JP5924371B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、パチンコ機やアレンジボールなどの弾球式の遊技機に関する。
従来、この種の遊技機としては、ベニヤにセル板(装飾層)が貼り付けられた遊技盤が
知られている。この遊技盤には、各種部品を取り付けるための部品取付用孔が形成される
。そして、この部品取付用孔の遊技盤における位置ずれを確認することが知られている。
例えば、特許文献1に記載の遊技機では、ベニヤの表面に樹脂製のセル板を貼り付けた遊
技盤に対して、ルーター加工によりベニヤの裏面側から部品取付用孔を形成した後、部品
取付用孔の加工位置ずれを検査している。この検査は、セル板の表面に、部品取付用孔の
開口形状を反転させた反転画像を描画しておき、部品取付用孔の開口部外側に反転画像が
残っていないかを確認することにより行う。
特開2002−177594号公報
ここで、特許文献1に記載の遊技機では、ベニヤとセル板(装飾層)とが正しく位置合
わせされていることが前提となっている。しかし、遊技盤の形成方法によっては、装飾層
が位置ずれしてしまう場合があった。あるいは、遊技盤が反ったり、装飾層が湿気で伸び
たりするなどの変形により、装飾層が位置ずれする場合もあった。そのため、装飾層の位
置ずれを検査したいという要望があった。また、部品取付用孔を形成する加工は遊技盤の
表面側から行われ、装飾層の貼り付けられる面は遊技盤の裏面側であるなど、加工する面
と装飾層の張り付けられる面とが互いに反対の面である場合がある。この場合、遊技盤の
表面側から加工を行った後、遊技盤の表裏を反転させて裏面側から装飾層の位置ずれを確
認することとすると、位置ずれの検査が非効率的になってしまう。また、遊技盤の両面に
装飾層が張り付けられている場合に、表面側の装飾層の位置ずれ検査を基板の表面側から
行い、裏面側の装飾層の位置ずれ検査を基板の裏面側から行うこととすると、やはり検査
が非効率的になってしまう。そのため、より効率的に装飾層の位置ずれを検査したいとい
う要望があった。
本発明の遊技機は、透過盤と装飾層との位置ずれを効率的に検査可能にすることを主目
的とする。
本発明の遊技機は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
即ち、本発明の遊技機は、
一方の面に対し第1装飾部と第1識別マークとを有する第1装飾層が形成されており、他方の面に対し第2装飾部と第2識別マークとを有する第2装飾層が形成されており、前記第1識別マークまたは前記第2識別マークと重なる位置に穴部が形成されている透過盤を有する遊技機であって、
前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは前記穴部より上下左右方向にはみ出した直線状の単位識別マークによって形成されており、前記穴部の上下方向より突出した単位識別マークが一直線上に配置されているとともに、前記穴部の左右方向より突出した単位識別マークも一直線上に配置されており、
前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは、前記透過盤を一方の面から見て重ならない位置に設けられている
ことを特徴とする。
本発明の遊技機によれば、透過盤と装飾層との位置ずれを効率的に検査可能にすること
ができる。
本発明の一実施例であるパチンコ機10の外観を示す外観斜視図である。 パチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図である。 遊技盤本体50の正面図である。 図3のA−A断面図である。 図3のB−B断面図である。 遊技盤本体50の斜視図である。 裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。 遊技盤30の製造工程を示すフローチャートである。 ルータ工程前の遊技盤本体50の構成の概略を示す構成図である。 図9のC−C断面図である。 図9のD−D断面図である。 ルータ工程前の表面装飾シート60の構成の概略を示す構成図である。 ルータ工程前の裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。 ルータマシン90の構成の概略を示す構成図である。 遊技盤本体50に基準穴53aを形成する様子を示す説明図である。 遊技盤本体50に基準穴53cを形成する様子を示す説明図である。 装飾シート検査工程のフローチャートである。 基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係と検査結果とを示す説明図である。 はみ出し量である半径の差Lの説明図である。 変形例の表面識別マーク63,裏面識別マーク73を示す説明図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変
動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタ
イプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
まず、実施例のパチンコ機10について説明する。図1はパチンコ機10(遊技機)の
外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構
成図である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板1
2(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を
貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊
技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。なお、上受け皿14は、その
上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されて
いる。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対し
て回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回
動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠2
1は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、
略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定さ
れる。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らした
り遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、
右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられて
いる。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユ
ニット)が設けられている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられている。発射ハンドル18の回転
軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射
装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モ
ータが回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を
打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、平板状の遊技盤本体50の表面側に、外レール31
aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30
は、遊技領域31の左部に配置される普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部
に配置され普通図柄の変動表示や特別図柄の変動表示を行う図柄表示装置40と、遊技領
域31の中央部に配置され演出図柄の変動表示やリーチ演出などの各種演出表示を行う演
出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と
、センター役物49の下側に配置される第1始動口36と、センター役物49の左部に形
成され普通電動役物39の翼片部が左側に開くことにより(実線参照)遊技球の入球可能
性が通常(点線参照)よりも高くなる第2始動口38と、遊技領域31の右下部に開閉可
能に配置される大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置される一般入賞口45と、
いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。ま
た、遊技盤30は、この他に、第2始動口38の下側には風車47が設けられ、上述した
各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられて
いる。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34
の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領
域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回
転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができ
る。また、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38が演出表示装置34の左側に配
置されており、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32を通
過させ、普通図柄作動ゲート32への遊技球の通過に基づいて変動表示される普通図柄が
当りとなって普通電動役物39が第2始動口38を開放すると、遊技者は左打ちを継続す
ることにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。さらに、大入賞口4
4が遊技領域31の右下部に配置されており、第1始動口36や第2始動口38への遊技
球の入球に基づいて変動表示される特別図柄が当りとなって大当り遊技が開始されると、
遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちすること
により、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて大入
賞口44に入球させることができる。
[遊技盤本体50の構成]
遊技盤本体50の構成についてさらに説明する。図3は、遊技盤本体50の正面図であ
る。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、図3のB−B断面図である。図6は、
遊技盤本体50の斜視図である。
遊技盤本体50は、図4〜図6に示すように、透明なアクリル素材で形成された平板状
の部材であるアクリル板51と、アクリル板51の表面51aに貼り付けられた表面装飾
シート60と、アクリル板51の裏面51bに貼り付けられた裏面装飾シート70と、を
備えている。この遊技盤本体50には、図3,図6に示すように、上述した遊技盤30の
各構成にそれぞれ対応する位置に形成された開口部である複数の取付穴52a〜52g,
通過穴52hが設けられている。取付穴52a〜52gは、図2に示した普通図柄作動ゲ
ート32、演出表示装置34及びセンター役物49、第1始動口36、図柄表示装置40
、大入賞口44、一般入賞口45、風車47に対応する位置にそれぞれ形成された穴であ
る。取付穴52a〜52gは、遊技盤本体50の表面から裏面までを貫通する穴(図3に
おける紙面手前−奥方向に開けられた穴)であり、対応する各構成を取り付けるためのも
のである。通過穴52hは、遊技盤本体50の表面から裏面までを貫通する穴であり、図
2に示したアウト口46を通過した遊技球が通過するものである。また、遊技盤本体50
には、遊技領域31から外れた位置であり図3における左下,右下,左上,右上に計4つ
の基準穴53a〜53dが形成されている。この基準穴53a〜53dは、遊技盤本体5
0の表面から裏面までを貫通している。
さらに、遊技盤本体50には、取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜
53d以外の部分に、装飾用に描かれた各種絵柄や識別マークなどが設けられている。こ
れらは、遊技盤本体50のうち表面装飾シート60や裏面装飾シート70に設けられたも
のである。以下、表面装飾シート60及び裏面装飾シート70の各構成について説明する
。図7は、裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。なお、図7は、説明の
便宜上、遊技盤本体50の表面側(図3における紙面手前側)から見た正面図として示し
ている。
表面装飾シート60は、図4,5に示すように、表層60aと、表層60aの裏面側に
形成された基材層60cと、表層60aと基材層60cとの間に形成された意匠層60b
と、を備える。この表面装飾シート60は、基材層60cの裏面側がアクリル板51の表
面51aに貼り付けられており、表面51aの全面に貼り付けられている。また、表面装
飾シート60には、上述した取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53
dが形成されており(図3,6参照)、これらの穴はいずれも表層60a,意匠層60b
,基材層60cを貫通している。表層60a及び基材層60cは、例えば、PET(ポリ
エチレンテレフタレート)、キャブロイド等の透明フィルムで構成されている。意匠層6
0bは、基材層60cの表面に印刷(シルクスクリーン印刷など)により形成された層で
ある。意匠層60bには、表面絵柄61a,61b,表面識別マーク63a,63bが設
けられている(図3,6参照)。表面絵柄61aは、樹木やそこから舞い散る花びらを描
いた絵柄であり、表面装飾シート60の上部から左中央部にかけて設けられている。表面
絵柄61bは、扇子(扇)を描いた絵柄であり、表面装飾シート60の右中央部に設けら
れている。表面識別マーク63a,63bは、それぞれ表面装飾シート60の左下,右上
に設けられている。表面識別マーク63a,63bは、それぞれ基準穴53a,53bか
ら一部がはみ出している。また、表面装飾シート60には、後述する裏面装飾シート70
の裏面識別マーク73a,73c(図3,7参照)を遊技盤本体50の表面側から確認可
能な確認部62a,62bが設けられている。表面識別マーク63a,63b及び確認部
62a,62bについては、後述する。表面装飾シート60の下端には、アクリル板51
に対する表面装飾シート60の傾き(回転)の有無を検査するための表面検査用ライン6
8が設けられている。表面検査用ライン68は、表面装飾シート60の下端に沿って左右
に引かれた破線として描かれている。
裏面装飾シート70は、図4,5に示すように、表層70aと、表層70aの裏面側に
形成された基材層70cと、表層70aと基材層70cとの間に形成された意匠層70b
と、を備える。この裏面装飾シート70は、表層70aの表面側がアクリル板51の裏面
51bに貼り付けられており、裏面51bの全面に貼り付けられている。また、裏面装飾
シート70には、上述した取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53d
が形成されており(図7参照)、これらの穴はいずれも表層70a,意匠層70b,基材
層70cを貫通している。表層70a及び基材層70cは、例えば、PET(ポリエチレ
ンテレフタレート)、キャブロイド等の透明フィルムで構成されている。意匠層70bは
、基材層70cの表面に印刷(シルクスクリーン印刷など)により形成された層である。
意匠層70bには、裏面絵柄71a,71b,裏面識別マーク73a,73bが設けられ
ている(図7参照)。裏面絵柄71aは、樹木から舞い散る花びらを描いた絵柄であり、
裏面装飾シート70の左中央部に設けられている。裏面絵柄71bは、扇子(扇)の影を
模した絵柄であり、裏面装飾シート70の右中央部に設けられている。裏面識別マーク7
3a,73bは、それぞれ裏面装飾シート70の右下,左上に設けられている。裏面識別
マーク73a,73bは、それぞれ基準穴53c,53dから一部がはみ出している。裏
面識別マーク73a,73bについては、後述する。裏面装飾シート70の上端には、ア
クリル板51に対する裏面装飾シート70の傾き(回転)の有無を検査するための裏面検
査用ライン78が設けられている。裏面検査用ライン78は、裏面装飾シート70の上端
に沿って左右に引かれた破線として描かれている。
このようにして構成された遊技盤本体50を表面側(表面51a側)から見ると、図3
に示すように、表面装飾シート60の絵柄等だけでなく、アクリル板51を透かして裏面
装飾シート70に形成された絵柄等も確認できる。具体的には、遊技盤本体50の上部か
ら左中央部にかけて表面絵柄61a,裏面絵柄71aが確認できる。また、遊技盤本体5
0の右中央部には表面絵柄61b,裏面絵柄71bが確認できる。このように、遊技盤本
体50では、表面装飾シート60と裏面装飾シート70とに設けられた絵柄により、遊技
者に奥行きを感じさせるようになっている。また、表面識別マーク63a,表面識別マー
ク63b,表面検査用ライン68だけでなく、裏面識別マーク73a,裏面識別マーク7
3b,裏面検査用ライン78についても、遊技盤本体50の表面側から確認できる。ここ
で、表面装飾シート60の確認部62aは、遊技盤本体50を表面側から見たときに、裏
面識別マーク73a及び基準穴53cを含む領域として形成されている。表面装飾シート
60のうちこの確認部62aは絵柄が設けられておらずほぼ無色透明となっている。その
ため、裏面識別マーク73a及び基準穴53cの遊技盤本体50の表面側からの確認を妨
げないようになっている。確認部62bは、遊技盤本体50を表面側から見たときに、裏
面識別マーク73b及び基準穴53dを含む領域として形成されている。この確認部62
bも、確認部62aと同様に絵柄が設けられずほぼ無色透明となっている。そのため、裏
面識別マーク73b及び基準穴53dの遊技盤本体50の表面側からの確認を妨げないよ
うになっている。なお、確認部62a,62bは表面側から見て矩形状の領域として図示
しているが、必ずしも矩形状である必要はなく、そもそも確認部62aの外縁を明確に識
別できる必要はない。例えば、表面装飾シート60のうち確認部62aの周辺も絵柄が設
けられず無色透明となっていてもよい。
[遊技盤30の製造工程]
次に、こうして構成された遊技盤30の製造方法について説明する。図8は、遊技盤3
0の製造工程を示すフローチャートである。遊技盤30の製造工程では、まず、ルータ工
程を行う(S100)。ここで、ルータ工程前における遊技盤本体50の状態について説
明する。図9は、ルータ工程前の遊技盤本体50の構成の概略を示す構成図である。図1
0は、図9のC−C断面図である。図11は、図9のD−D断面図である。図12は、ル
ータ工程前の表面装飾シート60の構成の概略を示す構成図である。図13は、ルータ工
程前の裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。なお、図12,図13は、
遊技盤本体50の表面側から見た様子を示している。
ルータ工程前の遊技盤本体50は、表面側からみて外形が矩形状に形成されている点、
取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dが形成されていない点、が
異なる。なお、アクリル板51の図示は省略する。ルータ工程前の表面装飾シート60(
意匠層60b)の左下,右上には、それぞれ表面識別マーク63a,表面識別マーク63
bが設けられている。表面識別マーク63a,63bは、いずれも、黒塗りの円64と、
円64の中心を通り円64よりも上下方向に長い縦線65と、円64の中心を通り円64
よりも左右方向に長い横線66と、を有するマークとして構成されている。ルータ工程前
の裏面装飾シート70(意匠層70b)の右下,左上には、それぞれ裏面識別マーク73
a,裏面識別マーク73bが設けられている。裏面識別マーク73a,73bは、いずれ
も、黒塗りの円74と、円74の中心を通り円74よりも上下方向に長い縦線75と、円
74の中心を通り円74よりも左右方向に長い横線76と、を有するマークとして構成さ
れている。なお、本実施形態では、表面識別マーク63bの円64と、裏面識別マーク7
3a,73bの円74とが同じ直径であるものとした。また、表面識別マーク63aの円
64は、他の識別マークの円64,74よりも直径が大きいものとした。この理由は後述
する。
遊技盤30の製造工程では、こうして構成されたルータ工程前の遊技盤本体50に対し
て、S100のルータ工程を行う。この工程は、図14に示すように、ルータマシン90
を用いて行われる。ルータマシン90は、遊技盤本体50を固定する固定治具91と、遊
技盤本体50を加工するルータ刃92と、を備えている。ルータ工程では、まず、図示す
るように、ルータ工程前の遊技盤本体50を、表面側を上にした状態でルータマシン90
の固定治具91により固定する。そして、ルータマシン90により、表面側から遊技盤本
体50の切削加工や穴あけ加工を行う。これにより、遊技盤本体50の輪郭の一部を切り
落とし、所定の位置に取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dを形
成する。基準穴53a〜53dは、表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73
a,73bと一部が重複する位置に形成される。なお、ルータマシン90は、ルータ刃9
2をX,Y軸方向(図14における遊技盤本体50の表面に沿った方向)及びZ軸方向(
図14における遊技盤本体50の厚さ方向)に移動可能な図示しないアクチュエータを備
えている。また、ルータマシン90には、切削加工や穴あけ加工を行う加工位置を示すX
Y座標のデータや加工の深さを示すZ座標が予め記憶されている。遊技盤本体50が固定
治具91により固定された上で、この記憶された加工位置に基づいてアクチュエータを駆
動してルータ刃92を移動させることで、これらの加工は所定の位置に精度良く施される
。このルータ工程により、遊技盤本体50及びこれを構成するアクリル板51,表面装飾
シート60,裏面装飾シート70は、図3〜7に示した状態になる。
ここで、ルータ加工による基準穴53a〜53dの形成について詳細に説明する。まず
、基準穴53aの形成について説明する。図15は、遊技盤本体50に基準穴53aを形
成する様子を示す説明図である。なお、図15のうち左側の図は遊技盤本体50を表面側
の右上方から見た部分斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50を表面側から見た正面図
である。図15(a)に示すように、基準穴53aが形成される前の状態では、表面識別
マーク63aのうち円64,縦線65,横線66が全て遊技盤本体50の表面側から確認
できる。この状態から、基準穴53aは、表面識別マーク63aと一部が重複する位置に
形成される。本実施形態では、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがない
ときの表面識別マーク63aの中心(円64の中心)と、基準穴53aとの中心とが、遊
技盤本体50の表面側から見て同じ位置になるように、基準穴53aの加工位置(上述し
たXY軸方向の位置)が定められているものとした。また、本実施形態では、基準穴53
aの直径は、表面識別マーク63aの円64の直径よりも大きく、縦線65,横線66の
長さよりも小さいものとした。そのため、アクリル板51と表面装飾シート60との位置
ずれがないとき、すなわち表面識別マーク63aが正しい位置にあるときには、図15(
b)に示すように、基準穴53aによって表面識別マーク63aの円64の全てと縦線6
5,横線66の一部とが取り除かれることになる。その結果、基準穴53aの形成後すな
わちルータ工程後には、図15(c)に示すように、表面識別マーク63aのうち縦線6
5の上下の一部,及び横線66の左右の一部が基準穴53aからはみ出して残った状態に
なる。基準穴53bの形成についても、基準穴53aの形成と同様である。すなわち、ア
クリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがないとき、すなわち表面識別マーク6
3bが正しい位置にあるときには、基準穴53bの形成により表面識別マーク63bのう
ち円64の全てと縦線65,横線66の一部とが取り除かれる。これにより、表面識別マ
ーク63bのうち縦線65の上下の一部,及び横線66の左右の一部が基準穴53bから
はみ出して残った状態になる。
次に、基準穴53cの形成について説明する。図16は、遊技盤本体50に基準穴53
cを形成する様子を示す説明図である。なお、図16のうち左側の図は遊技盤本体50の
確認部62aを表面側の右上方から見た部分斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50の
確認部62aを表面側から見た正面図である。図16(a)に示すように、基準穴53c
が形成される前の状態では、裏面識別マーク73aのうち円74,縦線75,横線76が
全て遊技盤本体50の表面側から確認できる。この状態から、基準穴53cは、裏面識別
マーク73aと一部が重複する位置に形成される。本実施形態では、アクリル板51と裏
面装飾シート70との位置ずれがないときの裏面識別マーク73aの中心(円74の中心
)と、基準穴53cとの中心とが、遊技盤本体50の表面側から見て同じ位置になるよう
に、基準穴53cの加工位置(上述したXY軸方向の位置)が定められているものとした
。また、本実施形態では、基準穴53cの直径は、裏面識別マーク73aの円74の直径
よりも大きく、縦線75,横線76の長さよりも小さいものとした。そのため、アクリル
板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないとき、すなわち裏面識別マーク73aが
正しい位置にあるときには、図16(b)に示すように、基準穴53cによって裏面識別
マーク73aの円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取り除かれることになる。
その結果、基準穴53cの形成後すなわちルータ工程後には、図16(c)に示すように
、裏面識別マーク73aのうち縦線75の上下の一部,及び横線76の左右の一部が基準
穴53cからはみ出して残った状態になる。基準穴53dの形成についても、基準穴53
cの形成と同様である。すなわち、アクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれが
ないとき、すなわち裏面識別マーク73bが正しい位置にあるときには、基準穴53dの
形成により裏面識別マーク73bのうち円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取
り除かれる。これにより、裏面識別マーク73bのうち縦線75の上下の一部,及び横線
76の左右の一部が基準穴53dからはみ出して残った状態になる。
なお、本実施形態では、基準穴53a〜53dはいずれも同じ直径とした。また、既に
説明した図3〜7では、上述したように表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク
73a,73bの一部が基準穴53a〜53dからはみ出して残った状態を示している。
こうしてS100のルータ工程を行うと、次に、アクリル板51に対する表面装飾シー
ト60及び裏面装飾シート70の位置ずれを確認する工程である装飾シート検査工程を行
う(S110)。図17は、装飾シート検査工程のフローチャートである。この検査は、
例えばコンピュータにより構成された図示しない検査装置により行われる。この装飾シー
ト検査工程では、まず、検査装置は、遊技盤本体50を表面側から撮影した画像を取得す
る(S200)。画像は、例えば検査装置が備える図示しないカメラ(例えばCCDカメ
ラ)に遊技盤本体50の表面を向けた状態で、カメラの撮影により取得される。なお、S
200で撮影された画像は、例えば図3に示したような画像となり、表面装飾シート60
だけでなく裏面装飾シート70の識別マークや検査用ラインも含まれる。
次に、撮影した画像について画像処理を行い、画像中の表面検査用ライン68,裏面検
査用ライン78,基準穴53a〜53d,表面識別マーク63a,63b,裏面識別マー
ク73a,73bを特定する(S210)。具体的には、例えばこれらの形状や位置など
を特定する。
続いて、検査装置は、S210で特定した表面検査用ライン68,裏面検査用ライン7
8に基づいて、表面装飾シート60,裏面装飾シート70の回転ずれの有無を検査する(
S220)。具体的には、表面検査用ライン68が遊技盤本体50の左下端部から右下端
部までに亘って途切れることなく存在しているか否かによって、表面装飾シート60の回
転ずれの有無を検査する。同様に、裏面検査用ライン78が遊技盤本体50の左上端部か
ら右上端部までに亘って途切れることなく存在しているか否かによって、裏面装飾シート
70の回転ずれの有無を検査する。ここで、アクリル板51に対して表面装飾シート60
や裏面装飾シート70が傾いている(回転している)場合には、表面検査用ライン68,
裏面検査用ライン78もその回転に伴い斜め方向のラインとなる。そして、表面検査用ラ
イン68,裏面検査用ライン78が斜めになった状態でルータ工程が行われると、表面検
査用ライン68,裏面検査用ライン78は途中で途切れることになる。そのため、表面検
査用ライン68や裏面検査用ライン78が途中で途切れているか否かを検査することで、
表面装飾シート60,裏面装飾シート70の回転ずれを検査できる。なお、S220の検
査の結果、表面装飾シート60及び裏面装飾シート70の少なくとも一方が位置ずれして
いると判定した場合には、検査装置はS110の装飾シート検査工程を終了し、遊技盤本
体50は廃棄される。
S220の検査で位置ずれがなかった場合には、検査装置は、S210で特定した基準
穴53a〜53d、表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73a,73bに基
づいて、表面装飾シート60,裏面装飾シート70の位置ずれの有無を検査する(S23
0)。具体的には、基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく位置ずれ
の有無を判定し、基準穴53bと表面識別マーク63bとの位置関係に基づいて位置ずれ
の有無を判定して、両方の判定で位置ずれがない場合にアクリル板51と表面装飾シート
60との位置ずれがないと判定する。少なくとも一方の判定で位置ずれがある場合にはア
クリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがあると判定する。同様に、基準穴53
cと裏面識別マーク73aとの位置関係に基づいて位置ずれの有無を判定し、基準穴53
dと裏面識別マーク73bとの位置関係に基づいて位置ずれの有無を判定して、両方の判
定で位置ずれがない場合にアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれの有無を判
定する。少なくとも一方の判定で位置ずれがある場合にはアクリル板51と裏面装飾シー
ト70との位置ずれがあると判定する。
なお、基準穴と識別マークとの位置関係に基づく判定はいずれも同様に行うため、例と
して基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく検査について説明する。
基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置ずれの有無は、基準穴53aからの表面識
別マーク63aのはみ出しの程度に基づいて判定する。具体的には、表面識別マーク63
aのうち円64が基準穴53aからはみ出していないときに、位置ずれがないと判定する
。表面識別マーク63aのうち円64の少なくとも一部が基準穴53aからはみ出してい
るときに、位置ずれがあると判定する。図18は、基準穴53aと表面識別マーク63a
との位置関係と検査結果とを示す説明図である。なお、図18では、表面識別マーク63
aと基準穴53aとの位置関係がわかりやすくなるよう、表面識別マーク63aのうち基
準穴53aの形成で取り除かれた部分(遊技盤本体50の表面側から見えない部分)を破
線で示している。図18(a)に示すように、アクリル板51と表面装飾シート60とに
全く位置ずれがない場合には、円64と基準穴53aとが同心円状に位置するため、円6
4は基準穴53aからはみ出さない(円64の存在が遊技盤本体50の表面側から確認で
きない)。また、図18(b)に示すように、アクリル板51と表面装飾シート60とに
位置ずれがあっても、位置ずれが小さい場合には、円64は基準穴53aからはみ出さな
い。従って、図18(a),(b)のように円64が基準穴53aからはみ出していない
場合には、基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく判定では、位置ず
れはないと判定する。一方、図18(c)に示すように、アクリル板51と表面装飾シー
ト60とに位置ずれが大きい場合には、円64は基準穴53aからはみ出す(円64の存
在が遊技盤本体50の表面側から確認できる)ことになる。この場合には、基準穴53c
と表面識別マーク63aとの位置関係に基づく判定では、位置ずれがあると判定する。
なお、上述したように、基準穴53aは、円64よりも直径が大きい。そのため、アク
リル板51と表面装飾シート60との位置ずれが、基準穴53aの半径と円64の半径と
の差以下であるときには、円64は基準穴53aからはみ出さないため、位置ずれがない
と判定される。すなわち、基準穴53aの半径と円64の半径との差を調整することで、
アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれの許容範囲(位置ずれがないとみなせ
るずれの許容範囲)を調整することができる。
また、上述したように、本実施形態では、基準穴53a〜基準穴53dはいずれも同じ
直径とし、表面識別マーク63aの円64の直径は表面識別マーク63bの円64及び裏
面識別マーク73a,73bの円74の直径よりも大きくしている。すなわち、基準穴5
3aと表面識別マーク63aとに基づく位置ずれの有無の判定時のみ、位置ずれの許容量
を小さくしている。
こうしたS230の検査の結果、基準穴53a〜基準穴53dのいずれに基づく判定で
も位置ずれが許容範囲内であった場合には、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏
面装飾シート70とがいずれも位置ずれしていないと判定する。この場合、検査装置はS
110の装飾シート検査工程を終了し、次の工程が行われる。一方、基準穴53a〜基準
穴53dのいずれか1以上に基づく判定で位置ずれが許容範囲を超えていた場合には、検
査装置はS110の装飾シート検査工程を終了し、遊技盤本体50は廃棄される。
こうしてS110の装飾シート検査工程を行って、アクリル板51と表面装飾シート6
0及び裏面装飾シート70とがいずれも位置ずれしていなかった場合には、図8に示すゲ
ージプレス工程を行い(S120)、続いて釘打ち工程を行う(S130)。ゲージプレ
ス工程では、図示しないゲージプレスを用いて、遊技盤本体50に上述した多数の釘を設
けるための下穴などを形成する。釘打ち工程では、ゲージプレス工程で形成された下穴の
位置に、図示しない釘打機を用いて遊技盤本体50の表面側から多数の釘を打ち込む。
S130の釘打ち工程を行うと、その後、S130で打ち込んだ多数の釘の位置が正し
いか否かを確認する釘検査工程を行う(S140)。この釘検査工程は、例えば以下のよ
うに行う。まず、S110の装飾シート検査工程で用いた検査装置と同様の検査装置を用
い、検査装置のカメラにより遊技盤本体50の表面側から撮影した画像を取得する。次に
、撮影した画像に基づいて遊技盤本体50に打ち込まれた多数の釘の位置(座標)を検査
装置が取得する。そして、予め定められた多数の釘の位置と、画像から取得した多数の釘
の位置とを比較して、多数の釘の位置が正しいか否かを検査する。
S140の釘検査工程を行うと、その後、遊技盤本体50に各種部品を取り付ける部品
取付工程を行い(S150)、遊技盤製造工程を終了する。部品取付工程では、例えば、
遊技盤本体50の表面側から、普通図柄作動ゲート32、演出表示装置34及びセンター
役物49、第1始動口36、図柄表示装置40、大入賞口44、一般入賞口45、風車4
7をそれぞれ対応する取付穴52a〜52gに取り付ける。また、遊技盤本体50の表面
側に、外レール31aと内レール31bとを取り付ける。こうした遊技盤製造工程により
、遊技盤本体50の加工や釘,部品などの取り付けが行われて、図3に示した遊技盤30
が製造される。なお、S110〜S150の工程を行う際の遊技盤本体50の位置決めに
は、基準穴53aを用いてもよい。例えば、位置決め用の治具が有する突起を基準穴53
aに差し込むなどにより、遊技盤本体50を位置決めしてもよい。
製造された遊技盤30は、その後、外枠22,本体枠21,ガラス板12が嵌め込まれ
た前面枠11などの取付や、上受け皿14,下受け皿16,発射ハンドル18などの取付
が行われて、パチンコ機10が製造される。なお、基準穴53a〜53d、表面識別マー
ク63a,63b、裏面識別マーク73a,73b、表面検査用ライン68,裏面検査用
ライン78は、遊技領域31の外に形成されており、例えば前面枠11や上受け皿14,
下受け皿16,発射ハンドル18などにより隠されて、パチンコ機10の状態では表面側
から確認できないようになっている。
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、遊技盤本体50の裏面側に裏面識別マ
ーク73a,73bを有する裏面装飾シート70が形成されている。また、遊技盤本体5
0は表面側から形成された基準穴53c,53dを有する。そして、遊技盤本体50の表
面側から確認される基準穴53c,53dと裏面識別マーク73a,73bとの相対的な
位置関係に基づいてアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれが検査されている
。このように、パチンコ機10の遊技盤30は、遊技盤本体50の裏面側に設けられた裏
面装飾シート70の位置ずれが、遊技盤本体50の反対側の表面側から検査されたもので
ある。また、位置ずれの検査に用いられる基準穴53c,53dも同じ表面側から形成さ
れている。そのため、基準穴53c,53dの形成と位置ずれの検査とが同じ表面側から
行われており、基準穴53c,53dを形成したあと位置ずれの検査のために遊技盤本体
50の表裏を反転させる必要がない。これにより、パチンコ機10の遊技盤30は、アク
リル板51と表面装飾シート60との位置ずれが効率的に検査可能なものとなっている。
このようなパチンコ機10は、効率的に製造することができる。
また、実施例のパチンコ機10では、アクリル板51の表面51aに表面絵柄61a,
61bを有する表面装飾シート60が形成され、表面装飾シート60は、裏面識別マーク
73a,73bを表面側から確認可能な確認部62a,62bを有している。そのため、
アクリル板51の表面51aに表面装飾シート60が形成されている場合でも、表面装飾
シート60が確認部62a,62bを有することで裏面識別マーク73a,73bを表面
側から容易に確認できる。
また、実施例のパチンコ機10では、遊技盤本体50は、表面絵柄61a,61bと表
面識別マーク63a,63bとを有する表面装飾シート60が表面51aに形成されたア
クリル板51、に対して表面51a側から基準穴53a,53bが形成されてなるもので
あり、遊技盤本体50は、表面側から確認される基準穴53a,53bと表面識別マーク
63a,63bとの相対的な位置関係に基づいてアクリル板51と表面装飾シート60と
の位置ずれが検査されたものである。そのため、アクリル板51と表面装飾シート60と
の位置ずれも表面側から検査することができ、アクリル板51と表面装飾シート60,裏
面装飾シート70との位置ずれを表面側からまとめて検査できる。
また、実施例のパチンコ機10では、基準穴53c,53dは、表面側からみてアクリ
ル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないときの裏面識別マーク73a,73b
と少なくとも一部が重複する位置に形成されたものであり、遊技盤本体50は、表面側か
らみたときの基準穴53c,53dからの裏面識別マーク73a,73bのはみ出しの程
度(円74がはみ出しているか否か)に基づいてアクリル板51と裏面装飾シート70と
の位置ずれの有無が検査されたものである。そのため、基準穴53c,53dと裏面識別
マーク73a,73bとが比較的近い位置に形成される。これにより、例えば基準穴53
c,53dと裏面識別マーク73a,73bとがそれぞれ離れた位置に形成され互いの距
離を測定して位置ずれを検査する場合などと比べて、加工部とその周辺の状態を確認する
だけで検査が可能となり、効率的に位置ずれを検査できる。具体的には、例えば図17の
S210やS230において、検査装置が画像処理を行う領域が小さくて済む。
また、実施例のパチンコ機10では、基準穴53c,基準穴53dは遊技盤本体50の
表面側から裏面装飾シート70までを貫通する穴であり、円74がはみ出しているか否か
、すなわち裏面識別マーク73a,73bの所定部位である円74が取り除かれたか否か
に基づいて位置ずれを判定するため、位置ずれをより容易に検査することができる。
また、実施例のパチンコ機10では、表面識別マーク63aの円64の直径は表面識別
マーク63bの円64及び裏面識別マーク73a,73bの円74の直径よりも大きくし
て、基準穴53aと表面識別マーク63aとに基づく位置ずれの有無の判定時のみ、位置
ずれの許容範囲を小さくしている。これにより、例えば表面識別マーク63aについては
位置ずれの許容範囲を小さくしてアクリル板51に対する表面装飾シート60全体の位置
ずれをより厳しく管理しつつ、表面識別マーク63bについては位置ずれの許容範囲を大
きくして表面装飾シート60の部分的な伸縮などによる位置ずれについてはある程度許容
するものとするなど、位置ずれの原因に応じて許容範囲を異ならせることができる。ある
いは、表面装飾シート60のうち表面識別マーク63aの周辺の位置ずれ(表面装飾シー
ト60の伸縮などによる部分的な位置ずれ)を部分的に厳しく管理することができる。こ
のように部分的に位置ずれを厳しく管理したい場合としては、例えば表面識別マーク63
aの周辺に部分的に釘の数が多い、文字や製造者の表示がある、などの例が挙げられる。
実施例のパチンコ機10では、円64,74が基準穴53a〜53dからはみ出してい
るか否かにより位置ずれの判定を行うものとしたが、これに限られない。例えば、識別マ
ーク全体の基準穴からのはみ出し量を導出して、このはみ出し量が所定値以下であるか否
かにより位置ずれを判定してもよい。この場合、識別マークに接する基準穴と同心で識別
マークに接する最大の同心円を仮想的に作図し、この同心円と基準穴との半径の差Lをは
み出し量として定義してもよい。図19は、この半径の差Lの説明図である。あるいは、
識別マークのうち基準穴からはみ出している部分の面積を導出して、この面積をはみ出し
量としてもよい。また、図19に示した半径の差Lと同様に、基準穴と同心で円64,7
4に接する最大の同心円を仮想的に作図し、この同心円と基準穴との半径の差をはみ出し
量として定義してもよい。
実施例のパチンコ機10では、基準穴53a,53bと表面識別マーク63a,63b
とに基づいて表面装飾シート60の位置ずれを検査し、基準穴53c,53dと裏面識別
マーク73a,73bとに基づいて裏面装飾シート70の位置ずれを検査するものとした
が、表面装飾シート60と裏面装飾シート70とで位置ずれ確認用の基準穴を共通化して
もよい。図20は、変形例の表面識別マーク63,裏面識別マーク73を示す説明図であ
る。図20は、図15,16と同様に、遊技盤本体50に基準穴53を形成する様子を示
している。なお、図20のうち左側の図は遊技盤本体50を表面側の右上方から見た部分
斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50を表面側から見た正面図である。図20(a)
に示するように、表面識別マーク63は、上述した表面識別マーク63a,63bの輪郭
線のみで構成されたマークであり、白抜き(内部が透明)の円64,縦線65,横線66
を有している。裏面識別マーク73は、色が表面識別マーク63の輪郭線と異なる点以外
は上述した裏面識別マーク73a,73bと同様であり、円74,縦線75,横線76を
有している。また、表面識別マーク63と裏面識別マーク73とは、輪郭の形状が同じで
あり、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがない
ときに表面側からみて同じ位置に配置され輪郭が一致するように形成されている。なお、
表面識別マーク63は輪郭線のみで構成されているため、図20(a)に示すように表面
識別マーク63と裏面識別マーク73とが同じ位置にあっても、表面側から表面識別マー
ク63と裏面識別マーク73とを確認できるようになっている。この状態から、基準穴5
3を、表面識別マーク63と一部が重複し且つ裏面識別マーク73と一部が重複する位置
に形成する。ここでは、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70と
の位置ずれがないときの表面識別マーク63,裏面識別マーク73の中心(円64,74
の中心)と、基準穴53との中心とが、遊技盤本体50の表面側から見て同じ位置になる
ように、基準穴53aを形成するものとする。この場合、アクリル板51と表面装飾シー
ト60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないときには、図20(b)に示すように
、基準穴53によって表面識別マーク63の円64の全てと縦線65,横線66の一部と
が取り除かれ、裏面識別マーク73の円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取り
除かれる。その結果、基準穴53の形成後すなわちルータ工程後には、図20(c)に示
すように、表面識別マーク63のうち縦線65の上下の一部,及び横線66の左右の一部
が基準穴53からはみ出して残り、裏面識別マーク73のうち縦線75の上下の一部,及
び横線76の左右の一部が基準穴53からはみ出して残った状態になる。このようにする
と、1つの基準穴53からの表面識別マーク63及び裏面識別マーク73のはみ出しの程
度(円64及び円74が基準穴53からはみ出しているか否か)に基づいて、アクリル板
51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれを検査することができ、
形成する基準穴の数を少なくすることができる。
なお、図20に示した表面識別マーク63を、輪郭線のみのマークではなく裏面識別マ
ーク73と同じマークとしてもよい。この場合、アクリル板51と表面装飾シート60及
び裏面装飾シート70との位置ずれがないときには、表面識別マーク63が裏面識別マー
ク73を隠すことになり表面側から裏面識別マーク73を確認することはできない。しか
し、その場合でも例えば円64,74がいずれも基準穴53からはみ出していないことを
確認することで、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置
ずれがないことを確認することはできる。なお、例えばアクリル板51に対して表面装飾
シート60及び裏面装飾シート70が同じように位置ずれした場合など、位置ずれが生じ
ていても表面識別マーク63が裏面識別マーク73を隠して裏面識別マーク73を表面側
から確認することができないことはある。しかし、その場合でも基準穴53と表面識別マ
ーク63との位置関係に基づいて表面装飾シート60が位置ずれしていることは確認でき
る。そして、表面装飾シート60が位置ずれしていれば、裏面装飾シート70の位置ずれ
を確認せずとも遊技盤本体50を廃棄すればよいため、問題はない。あるいは、基準穴5
3と表面識別マーク63との位置関係に基づいて表面装飾シート60が位置ずれしており
、且つ裏面識別マーク73が表面側から確認できないときには、裏面識別マーク73も表
面識別マーク63と同じ位置にあるとみなして裏面装飾シート70も位置ずれしていると
判定してもよい。
実施例のパチンコ機10では、識別マークのうち円64,74を取り除き、縦線65,
75,横線66,76については一部を残すように基準穴53a〜53dが形成されるも
のとしたが、識別マークの全てを取り除くように基準穴を形成してもよい。この場合、識
別マークの少なくとも一部が基準マークからはみ出しているか否かに基づいて、位置ずれ
を検査してもよい。
実施例のパチンコ機10では、円64,74をいずれも黒丸としたが、互いの色を異な
らせて、表面識別マークと裏面識別マークとを区別しやすくしてもよい。また、識別マー
クはカメラなどで撮影した画像に基づいて位置や形状を特定可能であればよく、例えば裏
面装飾シート70が全体に着色されているものとして裏面識別マークを白色とするなどと
してもよい。また、表面識別マークと裏面識別マークとの形状は実施例の態様に限らず、
例えば互いに形状を異ならせて区別しやすくしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、基準穴53a〜53dを遊技盤本体50の表面側から形
成し、同じ表面側から位置ずれの検査を行うものとしたが、基準穴53a〜53dを遊技
盤本体50の裏面から形成して、位置ずれの検査も裏面側から行うものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、表面装飾シート60,裏面装飾シート70はアクリル板
51に貼り付けられたものとしたが、アクリル板51に直接印刷などにより形成されてい
てもよい。
実施例のパチンコ機10では、遊技盤本体50が透明のアクリル板51を有するものと
したが、識別マークと基準穴とに基づく位置ずれの検査ができればこれに限られない。例
えば、光透過性を有する板状部材であれば如何なる素材をアクリル板51の代わりに用い
てもよい。例えば、ポリカーボネート板などとしてもよい。なお、アクリル板51の透明
度は比較的高いものであるが、透明度の低い半透明状の素材としてもよい。また、無色の
素材に限られず、光透過性を有しつつ乳白色などの有色の素材としてもよい。表面装飾シ
ート60や裏面装飾シート70についても、同様に透明なものに限られない。
実施例のパチンコ機10では、確認部62a,62bは絵柄が設けられておらずほぼ無
色透明なものとしたが、識別マークと基準穴とに基づく位置ずれの検査ができればこれに
限られない。例えば、確認部62a,62bを透明度の低い半透明の領域としたり、確認
部62a,62b内に透過性の装飾が設けられていたりしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、撮影した画像に基づいて検査装置が位置ずれの検査を行
うものとしたが、人間が例えば目視により行ってもよい。
また、実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」と
して利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払
い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機
)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利
益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口
への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)
を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶する
ことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明
を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。も
ちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と
、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、
一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。
なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機として
は、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種
入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻
して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との
対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、遊技盤
30が「遊技盤」に相当し、遊技盤本体50が「遊技盤本体」に相当し、アクリル板51
が「透過盤」に相当し、裏面51bが「一方の面(第1面)」に相当し、表面51aが「
他方の面(第2面)」に相当し、裏面絵柄71a,71bが「第1装飾部」に相当し、裏
面識別マーク73a,73bが「第1識別マーク」に相当し、裏面装飾シート70が「第
1装飾層」に相当し、基準穴53a〜53dが「加工部」や「穴(基準穴)」に相当する
。また、表面絵柄61a,61bが「第2装飾部」に相当し、表面装飾シート60が「第
2装飾層」に相当し、確認部62a,62bが「確認部」に相当する。なお、実施例の主
要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、
実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に
説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要
素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明につい
ての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するた
めの手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施
例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる
形態で実施し得ることは勿論である。
10 パチンコ機、11 前面枠、12 ガラス板、14 上受け皿、16 下受け皿
、18 発射ハンドル、21 本体枠、22 外枠、26 演出ボタン、28a,28b
スピーカ、29 施錠装置、30 遊技盤、31 遊技領域、31a 外レール、31
b 内レール、32 普通図柄作動ゲート、34 演出表示装置、36 第1始動口、3
8 第2始動口、39 普通電動役物、40 図柄表示装置、44 大入賞口、45 一
般入賞口、46 アウト口、47 風車、49 センター役物、50 遊技盤本体、51
アクリル板、51a 表面、51b 裏面、52a〜52g 取付穴、52h 通過穴
、53,53a〜53d 基準穴、60 表面装飾シート、60a 表層、60b 意匠
層、60c 基材層、61a,61b 表面絵柄、62a,62b 確認部、63,63
a,63b 表面識別マーク、64 円、65 縦線、66 横線、68 表面検査用ラ
イン、70 裏面装飾シート、70a 表層、70b 意匠層、70c 基材層、71a
,71b 裏面絵柄、73,73a,73b 裏面識別マーク、74 円、75 縦線、
76 横線、78 裏面検査用ライン、90 ルータマシン、91 固定治具、92 ル
ーター刃。

Claims (1)

  1. 一方の面に対し第1装飾部と第1識別マークとを有する第1装飾層が形成されており、他方の面に対し第2装飾部と第2識別マークとを有する第2装飾層が形成されており、前記第1識別マークまたは前記第2識別マークと重なる位置に穴部が形成されている透過盤を有する遊技機であって、
    前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは前記穴部より上下左右方向にはみ出した直線状の単位識別マークによって形成されており、前記穴部の上下方向より突出した単位識別マークが一直線上に配置されているとともに、前記穴部の左右方向より突出した単位識別マークも一直線上に配置されており、
    前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは、前記透過盤を一方の面から見て重ならない位置に設けられている
    ことを特徴とする遊技機。
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