次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
まず、実施例のパチンコ機10について説明する。図1はパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。なお、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータが回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、平板状の遊技盤本体50の表面側に、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置される普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置され普通図柄の変動表示や特別図柄の変動表示を行う図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置され演出図柄の変動表示やリーチ演出などの各種演出表示を行う演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置される第1始動口36と、センター役物49の左部に形成され普通電動役物39の翼片部が左側に開くことにより(実線参照)遊技球の入球可能性が通常(点線参照)よりも高くなる第2始動口38と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置される大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置される一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、第2始動口38の下側には風車47が設けられ、上述した各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38が演出表示装置34の左側に配置されており、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32を通過させ、普通図柄作動ゲート32への遊技球の通過に基づいて変動表示される普通図柄が当りとなって普通電動役物39が第2始動口38を開放すると、遊技者は左打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。さらに、大入賞口44が遊技領域31の右下部に配置されており、第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球に基づいて変動表示される特別図柄が当りとなって大当り遊技が開始されると、遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて大入賞口44に入球させることができる。
[遊技盤本体50の構成]
遊技盤本体50の構成についてさらに説明する。図3は、遊技盤本体50の正面図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、図3のB−B断面図である。図6は、遊技盤本体50の斜視図である。
遊技盤本体50は、図4〜図6に示すように、透明なアクリル素材で形成された平板状の部材であるアクリル板51と、アクリル板51の表面51aに貼り付けられた表面装飾シート60と、アクリル板51の裏面51bに貼り付けられた裏面装飾シート70と、を備えている。この遊技盤本体50には、図3,図6に示すように、上述した遊技盤30の各構成にそれぞれ対応する位置に形成された開口部である複数の取付穴52a〜52g,通過穴52hが設けられている。取付穴52a〜52gは、図2に示した普通図柄作動ゲート32、演出表示装置34及びセンター役物49、第1始動口36、図柄表示装置40、大入賞口44、一般入賞口45、風車47に対応する位置にそれぞれ形成された穴である。取付穴52a〜52gは、遊技盤本体50の表面から裏面までを貫通する穴(図3における紙面手前−奥方向に開けられた穴)であり、対応する各構成を取り付けるためのものである。通過穴52hは、遊技盤本体50の表面から裏面までを貫通する穴であり、図2に示したアウト口46を通過した遊技球が通過するものである。また、遊技盤本体50には、遊技領域31から外れた位置であり図3における左下,右下,左上,右上に計4つの基準穴53a〜53dが形成されている。この基準穴53a〜53dは、遊技盤本体50の表面から裏面までを貫通している。
さらに、遊技盤本体50には、取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53d以外の部分に、装飾用に描かれた各種絵柄や識別マークなどが設けられている。これらは、遊技盤本体50のうち表面装飾シート60や裏面装飾シート70に設けられたものである。以下、表面装飾シート60及び裏面装飾シート70の各構成について説明する。図7は、裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。なお、図7は、説明の便宜上、遊技盤本体50の表面側(図3における紙面手前側)から見た正面図として示している。
表面装飾シート60は、図4,5に示すように、表層60aと、表層60aの裏面側に形成された基材層60cと、表層60aと基材層60cとの間に形成された意匠層60bと、を備える。この表面装飾シート60は、基材層60cの裏面側がアクリル板51の表面51aに貼り付けられており、表面51aの全面に貼り付けられている。また、表面装飾シート60には、上述した取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dが形成されており(図3,6参照)、これらの穴はいずれも表層60a,意匠層60b,基材層60cを貫通している。表層60a及び基材層60cは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、キャブロイド等の透明フィルムで構成されている。意匠層60bは、基材層60cの表面に印刷(シルクスクリーン印刷など)により形成された層である。意匠層60bには、表面絵柄61a,61b,表面識別マーク63a,63bが設けられている(図3,6参照)。表面絵柄61aは、樹木やそこから舞い散る花びらを描いた絵柄であり、表面装飾シート60の上部から左中央部にかけて設けられている。表面絵柄61bは、扇子(扇)を描いた絵柄であり、表面装飾シート60の右中央部に設けられている。表面識別マーク63a,63bは、それぞれ表面装飾シート60の左下,右上に設けられている。表面識別マーク63a,63bは、それぞれ基準穴53a,53bから一部がはみ出している。また、表面装飾シート60には、後述する裏面装飾シート70の裏面識別マーク73a,73c(図3,7参照)を遊技盤本体50の表面側から確認可能な確認部62a,62bが設けられている。表面識別マーク63a,63b及び確認部62a,62bについては、後述する。表面装飾シート60の下端には、アクリル板51に対する表面装飾シート60の傾き(回転)の有無を検査するための表面検査用ライン68が設けられている。表面検査用ライン68は、表面装飾シート60の下端に沿って左右に引かれた破線として描かれている。
裏面装飾シート70は、図4,5に示すように、表層70aと、表層70aの裏面側に形成された基材層70cと、表層70aと基材層70cとの間に形成された意匠層70bと、を備える。この裏面装飾シート70は、表層70aの表面側がアクリル板51の裏面51bに貼り付けられており、裏面51bの全面に貼り付けられている。また、裏面装飾シート70には、上述した取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dが形成されており(図7参照)、これらの穴はいずれも表層70a,意匠層70b,基材層70cを貫通している。表層70a及び基材層70cは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、キャブロイド等の透明フィルムで構成されている。意匠層70bは、基材層70cの表面に印刷(シルクスクリーン印刷など)により形成された層である。意匠層70bには、裏面絵柄71a,71b,裏面識別マーク73a,73bが設けられている(図7参照)。裏面絵柄71aは、樹木から舞い散る花びらを描いた絵柄であり、裏面装飾シート70の左中央部に設けられている。裏面絵柄71bは、扇子(扇)の影を模した絵柄であり、裏面装飾シート70の右中央部に設けられている。裏面識別マーク73a,73bは、それぞれ裏面装飾シート70の右下,左上に設けられている。裏面識別マーク73a,73bは、それぞれ基準穴53c,53dから一部がはみ出している。裏面識別マーク73a,73bについては、後述する。裏面装飾シート70の上端には、アクリル板51に対する裏面装飾シート70の傾き(回転)の有無を検査するための裏面検査用ライン78が設けられている。裏面検査用ライン78は、裏面装飾シート70の上端に沿って左右に引かれた破線として描かれている。
このようにして構成された遊技盤本体50を表面側(表面51a側)から見ると、図3に示すように、表面装飾シート60の絵柄等だけでなく、アクリル板51を透かして裏面装飾シート70に形成された絵柄等も確認できる。具体的には、遊技盤本体50の上部から左中央部にかけて表面絵柄61a,裏面絵柄71aが確認できる。また、遊技盤本体50の右中央部には表面絵柄61b,裏面絵柄71bが確認できる。このように、遊技盤本体50では、表面装飾シート60と裏面装飾シート70とに設けられた絵柄により、遊技者に奥行きを感じさせるようになっている。また、表面識別マーク63a,表面識別マーク63b,表面検査用ライン68だけでなく、裏面識別マーク73a,裏面識別マーク73b,裏面検査用ライン78についても、遊技盤本体50の表面側から確認できる。ここで、表面装飾シート60の確認部62aは、遊技盤本体50を表面側から見たときに、裏面識別マーク73a及び基準穴53cを含む領域として形成されている。表面装飾シート60のうちこの確認部62aは絵柄が設けられておらずほぼ無色透明となっている。そのため、裏面識別マーク73a及び基準穴53cの遊技盤本体50の表面側からの確認を妨げないようになっている。確認部62bは、遊技盤本体50を表面側から見たときに、裏面識別マーク73b及び基準穴53dを含む領域として形成されている。この確認部62bも、確認部62aと同様に絵柄が設けられずほぼ無色透明となっている。そのため、裏面識別マーク73b及び基準穴53dの遊技盤本体50の表面側からの確認を妨げないようになっている。なお、確認部62a,62bは表面側から見て矩形状の領域として図示しているが、必ずしも矩形状である必要はなく、そもそも確認部62aの外縁を明確に識別できる必要はない。例えば、表面装飾シート60のうち確認部62aの周辺も絵柄が設けられず無色透明となっていてもよい。
[遊技盤30の製造工程]
次に、こうして構成された遊技盤30の製造方法について説明する。図8は、遊技盤30の製造工程を示すフローチャートである。遊技盤30の製造工程では、まず、ルータ工程を行う(S100)。ここで、ルータ工程前における遊技盤本体50の状態について説明する。図9は、ルータ工程前の遊技盤本体50の構成の概略を示す構成図である。図10は、図9のC−C断面図である。図11は、図9のD−D断面図である。図12は、ルータ工程前の表面装飾シート60の構成の概略を示す構成図である。図13は、ルータ工程前の裏面装飾シート70の構成の概略を示す構成図である。なお、図12,図13は、遊技盤本体50の表面側から見た様子を示している。
ルータ工程前の遊技盤本体50は、表面側からみて外形が矩形状に形成されている点、取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dが形成されていない点、が異なる。なお、アクリル板51の図示は省略する。ルータ工程前の表面装飾シート60(意匠層60b)の左下,右上には、それぞれ表面識別マーク63a,表面識別マーク63bが設けられている。表面識別マーク63a,63bは、いずれも、黒塗りの円64と、円64の中心を通り円64よりも上下方向に長い縦線65と、円64の中心を通り円64よりも左右方向に長い横線66と、を有するマークとして構成されている。ルータ工程前の裏面装飾シート70(意匠層70b)の右下,左上には、それぞれ裏面識別マーク73a,裏面識別マーク73bが設けられている。裏面識別マーク73a,73bは、いずれも、黒塗りの円74と、円74の中心を通り円74よりも上下方向に長い縦線75と、円74の中心を通り円74よりも左右方向に長い横線76と、を有するマークとして構成されている。なお、本実施形態では、表面識別マーク63bの円64と、裏面識別マーク73a,73bの円74とが同じ直径であるものとした。また、表面識別マーク63aの円64は、他の識別マークの円64,74よりも直径が大きいものとした。この理由は後述する。
遊技盤30の製造工程では、こうして構成されたルータ工程前の遊技盤本体50に対して、S100のルータ工程を行う。この工程は、図14に示すように、ルータマシン90を用いて行われる。ルータマシン90は、遊技盤本体50を固定する固定治具91と、遊技盤本体50を加工するルータ刃92と、を備えている。ルータ工程では、まず、図示するように、ルータ工程前の遊技盤本体50を、表面側を上にした状態でルータマシン90の固定治具91により固定する。そして、ルータマシン90により、表面側から遊技盤本体50の切削加工や穴あけ加工を行う。これにより、遊技盤本体50の輪郭の一部を切り落とし、所定の位置に取付穴52a〜52g,通過穴52h,基準穴53a〜53dを形成する。基準穴53a〜53dは、表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73a,73bと一部が重複する位置に形成される。なお、ルータマシン90は、ルータ刃92をX,Y軸方向(図14における遊技盤本体50の表面に沿った方向)及びZ軸方向(図14における遊技盤本体50の厚さ方向)に移動可能な図示しないアクチュエータを備えている。また、ルータマシン90には、切削加工や穴あけ加工を行う加工位置を示すXY座標のデータや加工の深さを示すZ座標が予め記憶されている。遊技盤本体50が固定治具91により固定された上で、この記憶された加工位置に基づいてアクチュエータを駆動してルータ刃92を移動させることで、これらの加工は所定の位置に精度良く施される。このルータ工程により、遊技盤本体50及びこれを構成するアクリル板51,表面装飾シート60,裏面装飾シート70は、図3〜7に示した状態になる。
ここで、ルータ加工による基準穴53a〜53dの形成について詳細に説明する。まず、基準穴53aの形成について説明する。図15は、遊技盤本体50に基準穴53aを形成する様子を示す説明図である。なお、図15のうち左側の図は遊技盤本体50を表面側の右上方から見た部分斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50を表面側から見た正面図である。図15(a)に示すように、基準穴53aが形成される前の状態では、表面識別マーク63aのうち円64,縦線65,横線66が全て遊技盤本体50の表面側から確認できる。この状態から、基準穴53aは、表面識別マーク63aと一部が重複する位置に形成される。本実施形態では、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがないときの表面識別マーク63aの中心(円64の中心)と、基準穴53aとの中心とが、遊技盤本体50の表面側から見て同じ位置になるように、基準穴53aの加工位置(上述したXY軸方向の位置)が定められているものとした。また、本実施形態では、基準穴53aの直径は、表面識別マーク63aの円64の直径よりも大きく、縦線65,横線66の長さよりも小さいものとした。そのため、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがないとき、すなわち表面識別マーク63aが正しい位置にあるときには、図15(b)に示すように、基準穴53aによって表面識別マーク63aの円64の全てと縦線65,横線66の一部とが取り除かれることになる。その結果、基準穴53aの形成後すなわちルータ工程後には、図15(c)に示すように、表面識別マーク63aのうち縦線65の上下の一部,及び横線66の左右の一部が基準穴53aからはみ出して残った状態になる。基準穴53bの形成についても、基準穴53aの形成と同様である。すなわち、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがないとき、すなわち表面識別マーク63bが正しい位置にあるときには、基準穴53bの形成により表面識別マーク63bのうち円64の全てと縦線65,横線66の一部とが取り除かれる。これにより、表面識別マーク63bのうち縦線65の上下の一部,及び横線66の左右の一部が基準穴53bからはみ出して残った状態になる。
次に、基準穴53cの形成について説明する。図16は、遊技盤本体50に基準穴53cを形成する様子を示す説明図である。なお、図16のうち左側の図は遊技盤本体50の確認部62aを表面側の右上方から見た部分斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50の確認部62aを表面側から見た正面図である。図16(a)に示すように、基準穴53cが形成される前の状態では、裏面識別マーク73aのうち円74,縦線75,横線76が全て遊技盤本体50の表面側から確認できる。この状態から、基準穴53cは、裏面識別マーク73aと一部が重複する位置に形成される。本実施形態では、アクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないときの裏面識別マーク73aの中心(円74の中心)と、基準穴53cとの中心とが、遊技盤本体50の表面側から見て同じ位置になるように、基準穴53cの加工位置(上述したXY軸方向の位置)が定められているものとした。また、本実施形態では、基準穴53cの直径は、裏面識別マーク73aの円74の直径よりも大きく、縦線75,横線76の長さよりも小さいものとした。そのため、アクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないとき、すなわち裏面識別マーク73aが正しい位置にあるときには、図16(b)に示すように、基準穴53cによって裏面識別マーク73aの円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取り除かれることになる。その結果、基準穴53cの形成後すなわちルータ工程後には、図16(c)に示すように、裏面識別マーク73aのうち縦線75の上下の一部,及び横線76の左右の一部が基準穴53cからはみ出して残った状態になる。基準穴53dの形成についても、基準穴53cの形成と同様である。すなわち、アクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないとき、すなわち裏面識別マーク73bが正しい位置にあるときには、基準穴53dの形成により裏面識別マーク73bのうち円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取り除かれる。これにより、裏面識別マーク73bのうち縦線75の上下の一部,及び横線76の左右の一部が基準穴53dからはみ出して残った状態になる。
なお、本実施形態では、基準穴53a〜53dはいずれも同じ直径とした。また、既に説明した図3〜7では、上述したように表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73a,73bの一部が基準穴53a〜53dからはみ出して残った状態を示している。
こうしてS100のルータ工程を行うと、次に、アクリル板51に対する表面装飾シート60及び裏面装飾シート70の位置ずれを確認する工程である装飾シート検査工程を行う(S110)。図17は、装飾シート検査工程のフローチャートである。この検査は、例えばコンピュータにより構成された図示しない検査装置により行われる。この装飾シート検査工程では、まず、検査装置は、遊技盤本体50を表面側から撮影した画像を取得する(S200)。画像は、例えば検査装置が備える図示しないカメラ(例えばCCDカメラ)に遊技盤本体50の表面を向けた状態で、カメラの撮影により取得される。なお、S200で撮影された画像は、例えば図3に示したような画像となり、表面装飾シート60だけでなく裏面装飾シート70の識別マークや検査用ラインも含まれる。
次に、撮影した画像について画像処理を行い、画像中の表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78,基準穴53a〜53d,表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73a,73bを特定する(S210)。具体的には、例えばこれらの形状や位置などを特定する。
続いて、検査装置は、S210で特定した表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78に基づいて、表面装飾シート60,裏面装飾シート70の回転ずれの有無を検査する(S220)。具体的には、表面検査用ライン68が遊技盤本体50の左下端部から右下端部までに亘って途切れることなく存在しているか否かによって、表面装飾シート60の回転ずれの有無を検査する。同様に、裏面検査用ライン78が遊技盤本体50の左上端部から右上端部までに亘って途切れることなく存在しているか否かによって、裏面装飾シート70の回転ずれの有無を検査する。ここで、アクリル板51に対して表面装飾シート60や裏面装飾シート70が傾いている(回転している)場合には、表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78もその回転に伴い斜め方向のラインとなる。そして、表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78が斜めになった状態でルータ工程が行われると、表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78は途中で途切れることになる。そのため、表面検査用ライン68や裏面検査用ライン78が途中で途切れているか否かを検査することで、表面装飾シート60,裏面装飾シート70の回転ずれを検査できる。なお、S220の検査の結果、表面装飾シート60及び裏面装飾シート70の少なくとも一方が位置ずれしていると判定した場合には、検査装置はS110の装飾シート検査工程を終了し、遊技盤本体50は廃棄される。
S220の検査で位置ずれがなかった場合には、検査装置は、S210で特定した基準穴53a〜53d、表面識別マーク63a,63b,裏面識別マーク73a,73bに基づいて、表面装飾シート60,裏面装飾シート70の位置ずれの有無を検査する(S230)。具体的には、基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく位置ずれの有無を判定し、基準穴53bと表面識別マーク63bとの位置関係に基づいて位置ずれの有無を判定して、両方の判定で位置ずれがない場合にアクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがないと判定する。少なくとも一方の判定で位置ずれがある場合にはアクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれがあると判定する。同様に、基準穴53cと裏面識別マーク73aとの位置関係に基づいて位置ずれの有無を判定し、基準穴53dと裏面識別マーク73bとの位置関係に基づいて位置ずれの有無を判定して、両方の判定で位置ずれがない場合にアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれの有無を判定する。少なくとも一方の判定で位置ずれがある場合にはアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがあると判定する。
なお、基準穴と識別マークとの位置関係に基づく判定はいずれも同様に行うため、例として基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく検査について説明する。基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置ずれの有無は、基準穴53aからの表面識別マーク63aのはみ出しの程度に基づいて判定する。具体的には、表面識別マーク63aのうち円64が基準穴53aからはみ出していないときに、位置ずれがないと判定する。表面識別マーク63aのうち円64の少なくとも一部が基準穴53aからはみ出しているときに、位置ずれがあると判定する。図18は、基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係と検査結果とを示す説明図である。なお、図18では、表面識別マーク63aと基準穴53aとの位置関係がわかりやすくなるよう、表面識別マーク63aのうち基準穴53aの形成で取り除かれた部分(遊技盤本体50の表面側から見えない部分)を破線で示している。図18(a)に示すように、アクリル板51と表面装飾シート60とに全く位置ずれがない場合には、円64と基準穴53aとが同心円状に位置するため、円64は基準穴53aからはみ出さない(円64の存在が遊技盤本体50の表面側から確認できない)。また、図18(b)に示すように、アクリル板51と表面装飾シート60とに位置ずれがあっても、位置ずれが小さい場合には、円64は基準穴53aからはみ出さない。従って、図18(a),(b)のように円64が基準穴53aからはみ出していない場合には、基準穴53aと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく判定では、位置ずれはないと判定する。一方、図18(c)に示すように、アクリル板51と表面装飾シート60とに位置ずれが大きい場合には、円64は基準穴53aからはみ出す(円64の存在が遊技盤本体50の表面側から確認できる)ことになる。この場合には、基準穴53cと表面識別マーク63aとの位置関係に基づく判定では、位置ずれがあると判定する。
なお、上述したように、基準穴53aは、円64よりも直径が大きい。そのため、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれが、基準穴53aの半径と円64の半径との差以下であるときには、円64は基準穴53aからはみ出さないため、位置ずれがないと判定される。すなわち、基準穴53aの半径と円64の半径との差を調整することで、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれの許容範囲(位置ずれがないとみなせるずれの許容範囲)を調整することができる。
また、上述したように、本実施形態では、基準穴53a〜基準穴53dはいずれも同じ直径とし、表面識別マーク63aの円64の直径は表面識別マーク63bの円64及び裏面識別マーク73a,73bの円74の直径よりも大きくしている。すなわち、基準穴53aと表面識別マーク63aとに基づく位置ずれの有無の判定時のみ、位置ずれの許容量を小さくしている。
こうしたS230の検査の結果、基準穴53a〜基準穴53dのいずれに基づく判定でも位置ずれが許容範囲内であった場合には、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70とがいずれも位置ずれしていないと判定する。この場合、検査装置はS110の装飾シート検査工程を終了し、次の工程が行われる。一方、基準穴53a〜基準穴53dのいずれか1以上に基づく判定で位置ずれが許容範囲を超えていた場合には、検査装置はS110の装飾シート検査工程を終了し、遊技盤本体50は廃棄される。
こうしてS110の装飾シート検査工程を行って、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70とがいずれも位置ずれしていなかった場合には、図8に示すゲージプレス工程を行い(S120)、続いて釘打ち工程を行う(S130)。ゲージプレス工程では、図示しないゲージプレスを用いて、遊技盤本体50に上述した多数の釘を設けるための下穴などを形成する。釘打ち工程では、ゲージプレス工程で形成された下穴の位置に、図示しない釘打機を用いて遊技盤本体50の表面側から多数の釘を打ち込む。
S130の釘打ち工程を行うと、その後、S130で打ち込んだ多数の釘の位置が正しいか否かを確認する釘検査工程を行う(S140)。この釘検査工程は、例えば以下のように行う。まず、S110の装飾シート検査工程で用いた検査装置と同様の検査装置を用い、検査装置のカメラにより遊技盤本体50の表面側から撮影した画像を取得する。次に、撮影した画像に基づいて遊技盤本体50に打ち込まれた多数の釘の位置(座標)を検査装置が取得する。そして、予め定められた多数の釘の位置と、画像から取得した多数の釘の位置とを比較して、多数の釘の位置が正しいか否かを検査する。
S140の釘検査工程を行うと、その後、遊技盤本体50に各種部品を取り付ける部品取付工程を行い(S150)、遊技盤製造工程を終了する。部品取付工程では、例えば、遊技盤本体50の表面側から、普通図柄作動ゲート32、演出表示装置34及びセンター役物49、第1始動口36、図柄表示装置40、大入賞口44、一般入賞口45、風車47をそれぞれ対応する取付穴52a〜52gに取り付ける。また、遊技盤本体50の表面側に、外レール31aと内レール31bとを取り付ける。こうした遊技盤製造工程により、遊技盤本体50の加工や釘,部品などの取り付けが行われて、図3に示した遊技盤30が製造される。なお、S110〜S150の工程を行う際の遊技盤本体50の位置決めには、基準穴53aを用いてもよい。例えば、位置決め用の治具が有する突起を基準穴53aに差し込むなどにより、遊技盤本体50を位置決めしてもよい。
製造された遊技盤30は、その後、外枠22,本体枠21,ガラス板12が嵌め込まれた前面枠11などの取付や、上受け皿14,下受け皿16,発射ハンドル18などの取付が行われて、パチンコ機10が製造される。なお、基準穴53a〜53d、表面識別マーク63a,63b、裏面識別マーク73a,73b、表面検査用ライン68,裏面検査用ライン78は、遊技領域31の外に形成されており、例えば前面枠11や上受け皿14,下受け皿16,発射ハンドル18などにより隠されて、パチンコ機10の状態では表面側から確認できないようになっている。
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、遊技盤本体50の裏面側に裏面識別マーク73a,73bを有する裏面装飾シート70が形成されている。また、遊技盤本体50は表面側から形成された基準穴53c,53dを有する。そして、遊技盤本体50の表面側から確認される基準穴53c,53dと裏面識別マーク73a,73bとの相対的な位置関係に基づいてアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれが検査されている。このように、パチンコ機10の遊技盤30は、遊技盤本体50の裏面側に設けられた裏面装飾シート70の位置ずれが、遊技盤本体50の反対側の表面側から検査されたものである。また、位置ずれの検査に用いられる基準穴53c,53dも同じ表面側から形成されている。そのため、基準穴53c,53dの形成と位置ずれの検査とが同じ表面側から行われており、基準穴53c,53dを形成したあと位置ずれの検査のために遊技盤本体50の表裏を反転させる必要がない。これにより、パチンコ機10の遊技盤30は、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれが効率的に検査可能なものとなっている。このようなパチンコ機10は、効率的に製造することができる。
また、実施例のパチンコ機10では、アクリル板51の表面51aに表面絵柄61a,61bを有する表面装飾シート60が形成され、表面装飾シート60は、裏面識別マーク73a,73bを表面側から確認可能な確認部62a,62bを有している。そのため、アクリル板51の表面51aに表面装飾シート60が形成されている場合でも、表面装飾シート60が確認部62a,62bを有することで裏面識別マーク73a,73bを表面側から容易に確認できる。
また、実施例のパチンコ機10では、遊技盤本体50は、表面絵柄61a,61bと表面識別マーク63a,63bとを有する表面装飾シート60が表面51aに形成されたアクリル板51、に対して表面51a側から基準穴53a,53bが形成されてなるものであり、遊技盤本体50は、表面側から確認される基準穴53a,53bと表面識別マーク63a,63bとの相対的な位置関係に基づいてアクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれが検査されたものである。そのため、アクリル板51と表面装飾シート60との位置ずれも表面側から検査することができ、アクリル板51と表面装飾シート60,裏面装飾シート70との位置ずれを表面側からまとめて検査できる。
また、実施例のパチンコ機10では、基準穴53c,53dは、表面側からみてアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれがないときの裏面識別マーク73a,73bと少なくとも一部が重複する位置に形成されたものであり、遊技盤本体50は、表面側からみたときの基準穴53c,53dからの裏面識別マーク73a,73bのはみ出しの程度(円74がはみ出しているか否か)に基づいてアクリル板51と裏面装飾シート70との位置ずれの有無が検査されたものである。そのため、基準穴53c,53dと裏面識別マーク73a,73bとが比較的近い位置に形成される。これにより、例えば基準穴53c,53dと裏面識別マーク73a,73bとがそれぞれ離れた位置に形成され互いの距離を測定して位置ずれを検査する場合などと比べて、加工部とその周辺の状態を確認するだけで検査が可能となり、効率的に位置ずれを検査できる。具体的には、例えば図17のS210やS230において、検査装置が画像処理を行う領域が小さくて済む。
また、実施例のパチンコ機10では、基準穴53c,基準穴53dは遊技盤本体50の表面側から裏面装飾シート70までを貫通する穴であり、円74がはみ出しているか否か、すなわち裏面識別マーク73a,73bの所定部位である円74が取り除かれたか否かに基づいて位置ずれを判定するため、位置ずれをより容易に検査することができる。
また、実施例のパチンコ機10では、表面識別マーク63aの円64の直径は表面識別マーク63bの円64及び裏面識別マーク73a,73bの円74の直径よりも大きくして、基準穴53aと表面識別マーク63aとに基づく位置ずれの有無の判定時のみ、位置ずれの許容範囲を小さくしている。これにより、例えば表面識別マーク63aについては位置ずれの許容範囲を小さくしてアクリル板51に対する表面装飾シート60全体の位置ずれをより厳しく管理しつつ、表面識別マーク63bについては位置ずれの許容範囲を大きくして表面装飾シート60の部分的な伸縮などによる位置ずれについてはある程度許容するものとするなど、位置ずれの原因に応じて許容範囲を異ならせることができる。あるいは、表面装飾シート60のうち表面識別マーク63aの周辺の位置ずれ(表面装飾シート60の伸縮などによる部分的な位置ずれ)を部分的に厳しく管理することができる。このように部分的に位置ずれを厳しく管理したい場合としては、例えば表面識別マーク63aの周辺に部分的に釘の数が多い、文字や製造者の表示がある、などの例が挙げられる。
実施例のパチンコ機10では、円64,74が基準穴53a〜53dからはみ出しているか否かにより位置ずれの判定を行うものとしたが、これに限られない。例えば、識別マーク全体の基準穴からのはみ出し量を導出して、このはみ出し量が所定値以下であるか否かにより位置ずれを判定してもよい。この場合、識別マークに接する基準穴と同心で識別マークに接する最大の同心円を仮想的に作図し、この同心円と基準穴との半径の差Lをはみ出し量として定義してもよい。図19は、この半径の差Lの説明図である。あるいは、識別マークのうち基準穴からはみ出している部分の面積を導出して、この面積をはみ出し量としてもよい。また、図19に示した半径の差Lと同様に、基準穴と同心で円64,74に接する最大の同心円を仮想的に作図し、この同心円と基準穴との半径の差をはみ出し量として定義してもよい。
実施例のパチンコ機10では、基準穴53a,53bと表面識別マーク63a,63bとに基づいて表面装飾シート60の位置ずれを検査し、基準穴53c,53dと裏面識別マーク73a,73bとに基づいて裏面装飾シート70の位置ずれを検査するものとしたが、表面装飾シート60と裏面装飾シート70とで位置ずれ確認用の基準穴を共通化してもよい。図20は、変形例の表面識別マーク63,裏面識別マーク73を示す説明図である。図20は、図15,16と同様に、遊技盤本体50に基準穴53を形成する様子を示している。なお、図20のうち左側の図は遊技盤本体50を表面側の右上方から見た部分斜視図であり、右側の図は遊技盤本体50を表面側から見た正面図である。図20(a)に示するように、表面識別マーク63は、上述した表面識別マーク63a,63bの輪郭線のみで構成されたマークであり、白抜き(内部が透明)の円64,縦線65,横線66を有している。裏面識別マーク73は、色が表面識別マーク63の輪郭線と異なる点以外は上述した裏面識別マーク73a,73bと同様であり、円74,縦線75,横線76を有している。また、表面識別マーク63と裏面識別マーク73とは、輪郭の形状が同じであり、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないときに表面側からみて同じ位置に配置され輪郭が一致するように形成されている。なお、表面識別マーク63は輪郭線のみで構成されているため、図20(a)に示すように表面識別マーク63と裏面識別マーク73とが同じ位置にあっても、表面側から表面識別マーク63と裏面識別マーク73とを確認できるようになっている。この状態から、基準穴53を、表面識別マーク63と一部が重複し且つ裏面識別マーク73と一部が重複する位置に形成する。ここでは、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないときの表面識別マーク63,裏面識別マーク73の中心(円64,74の中心)と、基準穴53との中心とが、遊技盤本体50の表面側から見て同じ位置になるように、基準穴53aを形成するものとする。この場合、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないときには、図20(b)に示すように、基準穴53によって表面識別マーク63の円64の全てと縦線65,横線66の一部とが取り除かれ、裏面識別マーク73の円74の全てと縦線75,横線76の一部とが取り除かれる。その結果、基準穴53の形成後すなわちルータ工程後には、図20(c)に示すように、表面識別マーク63のうち縦線65の上下の一部,及び横線66の左右の一部が基準穴53からはみ出して残り、裏面識別マーク73のうち縦線75の上下の一部,及び横線76の左右の一部が基準穴53からはみ出して残った状態になる。このようにすると、1つの基準穴53からの表面識別マーク63及び裏面識別マーク73のはみ出しの程度(円64及び円74が基準穴53からはみ出しているか否か)に基づいて、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれを検査することができ、形成する基準穴の数を少なくすることができる。
なお、図20に示した表面識別マーク63を、輪郭線のみのマークではなく裏面識別マーク73と同じマークとしてもよい。この場合、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないときには、表面識別マーク63が裏面識別マーク73を隠すことになり表面側から裏面識別マーク73を確認することはできない。しかし、その場合でも例えば円64,74がいずれも基準穴53からはみ出していないことを確認することで、アクリル板51と表面装飾シート60及び裏面装飾シート70との位置ずれがないことを確認することはできる。なお、例えばアクリル板51に対して表面装飾シート60及び裏面装飾シート70が同じように位置ずれした場合など、位置ずれが生じていても表面識別マーク63が裏面識別マーク73を隠して裏面識別マーク73を表面側から確認することができないことはある。しかし、その場合でも基準穴53と表面識別マーク63との位置関係に基づいて表面装飾シート60が位置ずれしていることは確認できる。そして、表面装飾シート60が位置ずれしていれば、裏面装飾シート70の位置ずれを確認せずとも遊技盤本体50を廃棄すればよいため、問題はない。あるいは、基準穴53と表面識別マーク63との位置関係に基づいて表面装飾シート60が位置ずれしており、且つ裏面識別マーク73が表面側から確認できないときには、裏面識別マーク73も表面識別マーク63と同じ位置にあるとみなして裏面装飾シート70も位置ずれしていると判定してもよい。
実施例のパチンコ機10では、識別マークのうち円64,74を取り除き、縦線65,75,横線66,76については一部を残すように基準穴53a〜53dが形成されるものとしたが、識別マークの全てを取り除くように基準穴を形成してもよい。この場合、識別マークの少なくとも一部が基準マークからはみ出しているか否かに基づいて、位置ずれを検査してもよい。
実施例のパチンコ機10では、円64,74をいずれも黒丸としたが、互いの色を異ならせて、表面識別マークと裏面識別マークとを区別しやすくしてもよい。また、識別マークはカメラなどで撮影した画像に基づいて位置や形状を特定可能であればよく、例えば裏面装飾シート70が全体に着色されているものとして裏面識別マークを白色とするなどとしてもよい。また、表面識別マークと裏面識別マークとの形状は実施例の態様に限らず、例えば互いに形状を異ならせて区別しやすくしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、基準穴53a〜53dを遊技盤本体50の表面側から形成し、同じ表面側から位置ずれの検査を行うものとしたが、基準穴53a〜53dを遊技盤本体50の裏面から形成して、位置ずれの検査も裏面側から行うものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、表面装飾シート60,裏面装飾シート70はアクリル板51に貼り付けられたものとしたが、アクリル板51に直接印刷などにより形成されていてもよい。
実施例のパチンコ機10では、遊技盤本体50が透明のアクリル板51を有するものとしたが、識別マークと基準穴とに基づく位置ずれの検査ができればこれに限られない。例えば、光透過性を有する板状部材であれば如何なる素材をアクリル板51の代わりに用いてもよい。例えば、ポリカーボネート板などとしてもよい。なお、アクリル板51の透明度は比較的高いものであるが、透明度の低い半透明状の素材としてもよい。また、無色の素材に限られず、光透過性を有しつつ乳白色などの有色の素材としてもよい。表面装飾シート60や裏面装飾シート70についても、同様に透明なものに限られない。
実施例のパチンコ機10では、確認部62a,62bは絵柄が設けられておらずほぼ無色透明なものとしたが、識別マークと基準穴とに基づく位置ずれの検査ができればこれに限られない。例えば、確認部62a,62bを透明度の低い半透明の領域としたり、確認部62a,62b内に透過性の装飾が設けられていたりしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、撮影した画像に基づいて検査装置が位置ずれの検査を行うものとしたが、人間が例えば目視により行ってもよい。
また、実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、遊技盤30が「遊技盤」に相当し、アクリル板51が「透過盤」に相当し、裏面51bが「一方の面(第1面)」に相当し、表面51aが「他方の面(第2面)」に相当し、裏面絵柄71a,71bが「第1装飾部」に相当し、裏面識別マーク73a,73bが「第1識別マーク」に相当し、裏面装飾シート70が「第1装飾層」に相当し、基準穴53a〜53dが「穴(基準穴)」に相当し、図8のS100のルータ工程が「穴あけ工程」に相当し、図17のS220の識別マークに基づく検査が「検査工程」に相当する。また、表面絵柄61a,61bが「第2装飾部」に相当し、表面装飾シート60が「第2装飾層」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。