JP5924232B2 - 散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置 - Google Patents

散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置 Download PDF

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Description

この発明は、断層画像の元となる投影像に含まれる散乱成分を除去する散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置に関する。
断層撮影装置は、被検体を種々の投影角から撮影し、得られた複数の投影像に基づいて断層画像を生成する。撮影では、照射源が被検体に放射線を照射し、減衰された放射線の強度を検出器が測定する。この際、放射線の一部は被検体によって散乱される。本来は散乱していない放射線(直接線)のみを測定することが望ましいが、実際には散乱によって生成される散乱線も一緒に測定してしまう。測定結果には、被検体の透過長の情報に散乱線が重畳される。このため、測定結果に基づいて被検体の透過長を精度良く把握することが困難となる。これに起因して、断層画像にカッピングやストリークと呼ばれるアーティファクト(偽像)が発生する。
従来、アーティファクトを抑制するための種々の方法がある。一例として、以下に3つの方法を示す。
第1は、散乱線除去用グリッドを検出器の前面に設ける方法である。散乱線除去用グリッドは、斜めに入射する放射線を遮蔽する。これにより、散乱線が検出器によって測定されることを防ぐ。散乱線除去用グリッドは、例えば、鉛の箔とアルミ/カーボンファイバとが積層された構造を有している。
第2は、投影像に対する畳み込み演算を行い、散乱成分を推定し、補正する方法である(例えば、特許文献1を参照)。
第3は、断層画像に対するモンテカルロシミュレーションにより、散乱成分を演算し、補正する方法である。この方法は、放射線の光子1つ1つについて、少しずつ進ませる度に、直進するか散乱するかを逐次判定し、さらに、散乱する場合にはどの方向に進むかを判定する。この逐次判定を基本的に検出器に到達するまで行う。
国際公開WO2011/058612
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
第1の方法では、鉛の箔自体が厚みを有するので、散乱線のみならず直接線も遮蔽してしまうという不都合がある。
第2の方法は投影像に対する演算である。投影像は、断層画像と違って、奥行き方向(検出器と被検体/照射源を結ぶ方向)の情報を有していない。よって、この方法では、散乱線が被検体内で発生した位置や、散乱線が検出器に入射した角度等、散乱線の奥行き方向における情報を考慮することができない。このため、散乱成分の推定精度を高めることが困難であるという不都合がある。
第3の方法は、演算量が膨大であるため、計算に膨大な時間がかかり、実用的でないという不都合がある。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、演算量を抑制しつつ、散乱成分を精度良く除去できる散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を計算により推定する過程と、推定された前記第1強度分布に基づいて前記断層画像の基になった投影像から散乱成分を除去する過程と、を備え、前記除去する過程は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する散乱線補正方法である。
[作用・効果]
推定する過程は、直接線を断層画像または3次元モデル(以下、「断層像等」という)に対して照射したならば、生成されるであろう1回散乱線を計算する。1回散乱線は、直接線が最初の散乱を受けることによって生成される放射線である。さらに、算出された1回散乱線がさらに散乱を受けずに直進するとしたならば、検出器で検出されるであろう1回散乱線の第1強度分布を計算する。この演算では、直接線の照射方向(奥行き方向)における1回散乱線の生成位置、向き、経路等が考慮されるので、第1強度分布を精度良く推定できる。また、1回散乱線がさらに散乱されて多重回散乱線となる事象を推定する演算を行わないので、演算量の低減を図ることができる。なお、多重回散乱線は、直接線が2回以上の散乱を受けることによって生成される放射線である。
また、除去する過程は、第1強度分布に基づいて投影像に重畳されている散乱成分を除去する。散乱成分は、全散乱線の強度分布であり、第1強度分布と一定程度の関係性を有する。よって、第1強度分布に基づくことにより、投影像から散乱成分を好適に除去できる。なお、全散乱線は、1回散乱線および多重回散乱線を含む。
以上のとおり、本発明では、散乱成分の全部ではなく、その一部のみを推定し、散乱成分の一部のみに基づいて散乱成分を除去する。散乱成分の一部のみであれば、少ない演算量であっても精度良く推定できる。さらに、この一部を散乱成分の支配的な因子である第1強度分布としているので、散乱成分の除去精度を確保することができる。
さらに、本発明では、前記除去する過程は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する。これにより、散乱成分の除去を、第1、第2強度分布に基づいて行うことができ、投影像から散乱成分を一層好適に除去できる。
上述した発明において、前記推定する過程は、前記断層画像または前記3次元モデルに対する直接線の照射角を変えて、複数の第1強度分布を推定することが好ましい。推定する過程は、断層画像等に対する直接線の照射方向が異なる複数の場合を仮想し、それぞれの場合について、第1強度分布を推定する。このため、散乱成分の除去を、複数の第1強度分布に基づいて行うことができ、散乱成分の除去精度を高めることができる。
上述した発明において、前記推定する過程は、各照射角を、前記投影像における投影角と一致させることが好ましい。推定する過程は、投影像が現実に撮影されたときの投影角と同じ照射角で直接線を断層画像に照射する場合を仮想して、第1強度分布を推定する。よって、投影像から散乱成分を一層好適に除去できる。
上述した発明において、前記断層画像または前記3次元モデルは複数のボクセルを有し、前記検出器は複数の検出素子を有し、前記推定する過程は、ボクセルと検出素子との全ての組み合わせについて、一のボクセルにおいて生成された1回散乱線が一の検出素子によって検出される個別強度を計算することによって、第1強度分布を推定することが好ましい。例えば、ボクセルの個数をm、検出素子の個数をnとすれば、ボクセルと検出素子の組み合わせは(m×n)通り存在する。これら(m×n)通りの全てに組み合わせについて、ボクセルで散乱され、検出素子によって検出される1回散乱線の個別強度を計算する。算出された個別強度を検出素子ごとに集計することにより、第1強度分布を精度よく推定できる。
上述した発明において、前記推定する過程は、個別強度を計算する際、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内において減衰する割合と、一のボクセル内で一の検出素子に向かう1回散乱線が生成される確率と、1回散乱線が前記断層画像または前記3次元モデル内において減衰する割合と、を考慮することが好ましい。これによれば、個別強度を精度良く推定できる。
上述した発明において、被検体を表すボクセルの減弱係数が同じ値をとることが好ましい。各ボクセルの減弱係数が一律であるので、直接線および1回散乱線の減衰量を、それらの経路に関係なく、透過長のみに基づいて推定できる。よって、演算量をさらに低減できる。
上述した発明において、前記推定する過程は、前記断層画像または前記3次元モデルを直接線の照射軸と略直交する複数のスライスに区分し、個別強度をスライスごとに計算することが好ましい。スライスの領域内においては、直接線が当該スライスに到達するまでの透過長等の条件のばらつきが比較的に少ない。このため、一のボクセルにおいて生成された1回散乱線が一の検出素子によって検出される個別強度を各ボクセルについて計算する際、同じスライスに属するボクセルに関する個別強度の計算条件は比較的に類似している。本発明によれば、このように条件が類似する演算をまとめて行うので、演算処理の効率化や簡素化を容易に図ることができる。
上述した発明において、前記第1強度分布を平滑化することによって前記第2強度分布を推定することが好ましい。第2強度分布を精度良く推定できる。
また、本発明は、散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を推定する推定部と、推定された前記第1強度分布に基づいて前記断層画像の基になった投影像から散乱成分を除去する除去部と、を備え、前記除去部は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する画像処理装置である。
[作用・効果]この画像処理装置によれば、上述した散乱線補正方法を好適に行うことができる。よって、散乱線の補正精度を確保しつつ、演算量を抑制できる。
さらに、散乱成分の除去を、第1、第2強度分布に基づいて行うことができ、投影像から散乱成分を一層好適に除去できる。
また、本発明は、被検体に放射線を照射する照射源と、被検体を透過した放射線を検出する検出器と、前記検出器の検出結果に基づいて投影像を取得する投影像取得部と、前記複数の投影像に基づいて断層画像を生成する断層画像生成部と、散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、前記検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を推定する推定部と、推定された前記第1強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する除去部と、を備え、前記除去部は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する断層撮影装置である。
[作用・効果]この断層撮影装置によれば、上述した散乱線補正方法を好適に行うことができる。よって、散乱線の補正精度を確保しつつ、演算量を抑制できる。
さらに、散乱成分の除去を、第1、第2強度分布に基づいて行うことができ、投影像から散乱成分を一層好適に除去できる。
また、上述した発明において、さらに、前記断層画像の基になる投影像が撮影されたときの撮影条件を投影像ごとに記憶する記憶部を備え、前記推定部は、前記撮影条件に基づいて、前記断層画像または前記3次元モデルに対する直接線の照射角を設定することが好ましい。これによれば、投影像に重畳された第1強度分布や散乱成分を計算によって適切に推定することができる。
なお、本明細書は、次のような発明も開示している。
(1)上述した発明において、前記推定する過程は、直接線を照射する照射源および前記検出器と、前記断層画像または前記3次元モデルとの相対的位置を変えて、複数の第1強度分布を推定することが好ましい。相対的位置の異なる複数の場合を仮想し、それぞれの場合について、第1強度分布を推定する。このため、散乱成分の除去を、複数の第1強度分布に基づいて行うことができ、散乱成分の除去精度を高めることができる。
(2)上述した発明において、前記推定する過程は、前記相対的位置を、前記投影像における撮影条件と一致させることが好ましい。推定する過程は、投影像が現実に撮影されたときの撮影条件と同じ相対的位置において直接線を断層画像等に照射する場合を仮想して、第1強度分布を推定する。よって、投影像から散乱成分を一層好適に除去できる。
(3)上述した発明において、前記推定する過程は、投影像ごとに第1強度分布を推定することが好ましい。全ての投影像に対して、散乱線の補正の精度良く行うことができる。
(4)上述した発明において、前記推定する過程は、直接線の照射源側のスライスから前記検出器側のスライスの順番で、各スライスに関連する個別強度の計算を順次開始し、一のスライスに関連する個別強度の計算を行う時には、そのスライスの前記照射源側に隣接する他のスライスについて既に行われた個別強度の計算の結果を利用することが好ましい。これによれば、既に行われた個別強度の計算結果を活用して、その後の個別強度の計算を行う。よって、同じ演算を重複して実行することを防ぐことができる。
(5)上述した発明において、前記推定部は、前記撮影条件に基づいて、前記照射源および前記検出器と、前記断層画像または前記3次元モデルとの相対的位置を設定することが好ましい。これによれば、投影像から散乱成分を適切に除去できる。
本発明に係る散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置によれば、散乱成分の除去精度を確保しつつ、演算量を抑制できる。また、散乱成分が除去された投影像によれば、アーティファクトが抑制された断層画像を得ることが可能となる。
実施例1に係る断層撮影装置の全体構成図である。 撮像部3による撮影および画像処理装置5による処理の手順を示すフローチャートである。 推定部における処理を説明する図である。 図4(a)は実際の散乱線の振る舞いを模式的に示す図であり、図4(b)は仮想される散乱線の振る舞いを模式的に示す図である。 図5(a)は、円柱ファントムの撮影条件を模式的に示す図であり、図5(b)はFPDで検出される放射線の強度を例示するグラフである。 処理部における処理を説明する図である。 個別強度を計算するための説明図である。 処理部における処理を説明する平面図である。 図9(a)、(b)、(c)はそれぞれ、処理部における処理を説明する平面図と、強度分布を模式的に示すグラフである。 第1強度分布を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る断層撮影装置1の全体構成図である。断層撮影装置1は、大きく、撮像部3と画像処理装置5と分けられる。
撮像部3は、天板11と、X線管13と、フラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)15と、C字状アーム17を備えている。天板11は被検体Mを載置する。X線管13はコーン状に広がるX線を照射する。本明細書では、X線の中心軸を適宜に「照射軸A」という。FPD15はX線を検出する。FPD15は、略平坦な検出面15Sを有している。検出面15Sには、複数の検出素子(不図示)が設けられている。X線管13は、この発明における照射源に相当する。FPD15は、この発明における検出器に相当する。
X線管13およびFPD15は、互いに対向するようにC字状アーム17によって保持されている。C字状アーム17は、図示省略の駆動機構によって回転可能に設けられている。図1では、C字状アーム17の回転方向Rを例示する。C字状アーム17の回転により、X線管13およびFPD15は、互いに対向した状態を保ちつつ、被検体Mの周りを移動する。これにより、投影角(被検体Mに対する照射軸Aの角度)が変わる。
画像処理装置5は、収集部21と記憶部22と断層画像生成部23と推定部25と除去部27とを備えている。収集部21は、FPD15の検出結果から投影像を収集する。記憶部22は、撮像部3における撮影条件を投影像ごとに記憶する。撮影条件は、X線管13、FPD15および被検体Mの相対的位置や、X線管13から照射されるX線(直接線)の初期強度等に関する情報を含む。断層画像生成部23は、投影像に基づいて再構成演算処理を行い、断層画像を生成する。推定部25は、断層画像に基づいて第1強度分布(詳細は後述する)を推定する。除去部27は、第1強度分布に基づいて投影像から散乱成分を除去する。
この画像処理装置5は、所定のプログラムを読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)や、各種情報を記憶するRAM(Random-Access Memory)や固定ディスク等の記憶媒体等で実現される。
次に、実施例1に係る断層撮影装置1の動作について、図2を参照して説明する。図2は、撮像部3による撮影および画像処理装置5による処理の手順を示すフローチャートである。
<ステップS1> 被検体を撮影する
被検体Mの撮影では、X線管13が被検体MにX線を照射し、FPD15が被検体Mを透過したX線を検出する。このような撮影を、C字状アーム17を回転させながら繰り返し行う。これにより、種々の投影角において撮影が行われる。
<ステップS2> 投影像を収集する
収集部21は、FPD15の出力結果に基づいて投影角の異なる複数の投影像を生成し、収集する。また、記憶部22は、投影像が撮影されたときの撮影条件を記憶する。撮影条件は、C字状アーム17の駆動機構等の撮像部3から記憶部22に送信される。
<ステップS3> 断層画像を生成する
断層画像生成部23は、投影像に基づいて再構成処理を行い、被検体Mの断層画像を生成する。再構成処理としては、例えば適当な再構成関数を用いて畳み込み積分を行うと共に、畳み込み積分結果を逆投影する処理等が例示される。
<ステップS4> 3次元モデルを生成する
推定部25は、断層画像に基づいて3次元モデルWを生成する。
図3を参照する。図3は、推定部25における処理を説明する図である。3次元モデルWは、例えば、被検体Mの透過長を水の透過長に換算することにより得られる水近似3次元モデルである。この3次元モデルWは、その内部が水で満たされていると仮想されており、3次元モデルW内の領域には一様に水の減弱係数μが対応付けられている。
3次元モデルWは、複数のボクセルvによって構成されている。3次元モデルWを構成する各ボクセルvは、それぞれ被検体Mを表すボクセルに相当する。各ボクセルvは、3次元方向に配列されている。これらのボクセルvに水の減弱係数μが一律に対応付けられていると考えてもよい。図3では、図示の便宜上、1つのボクセルviを示している。
<ステップS5> 第1強度分布を推定する〜推定する過程
推定部25は、3次元モデルWを用いて第1強度分布を推定する。第1強度分布は、FPD15で検出される散乱成分の一部である。第1強度分布を推定する際、推定部25は、散乱を受けていないX線である直接線を3次元モデルWに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が3次元モデルW内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定する。なお、「1回散乱線」は、直接線が最初の散乱を受けることによって生成される放射線(本実施例ではX線)である。
図4を参照して、散乱線に関する仮定について説明する。図4(a)は実際の散乱線の振る舞いを模式的に示す図であり、図4(b)は仮想される散乱線の振る舞いを模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、実際に被検体Mに放射線(直接線X0)を放射した場合、直接線X0は、散乱せずにそのまま被検体Mを透過する。ただし、直接線X0の一部は、被検体Mによって散乱され、種々の散乱線X1、X2となることがある。ここで、散乱線X1は1回散乱線を示し、散乱線X2は多重回散乱線を示す。多重回散乱線X2は、直接線X0が2回以上の散乱を受けることによって生成される放射線である。図4では散乱が生じた位置を☆印で模式的に示す。
1回散乱線X1および多重回散乱線X2は、直接線X0に加算的に重畳され、直接線X0と一緒にFPD15によって検出される。FPD15で検出される散乱線X1、X2の合成強度分布が、上述した散乱成分に相当する。
図4(b)は、推定部25が仮定する散乱線の振る舞いである。図示するように、1回散乱線X1が生成されると、その1回散乱線X1はさらに散乱を受けることなく進むものとみなす。すなわち、2回目以降の散乱が発生しないものとみなし、多重回散乱線X2は生成されないものとみなす。図4(b)では、考慮されない散乱を点線の☆印で模式的に示す。この結果、FPD15に到達する散乱線は、1回散乱線X1のみである。
次に第1強度分布を推定する処理を具体的に説明する。
図3を参照する。推定部25は、まず、記憶部22に記憶される撮影条件に基づいて、3次元モデルWに対するX線管13及びFPD15の相対的位置を設定する。本実施例1では、いずれかの投影像を撮影したときの撮影条件と一致するように、相対的位置を設定する。図3では、説明の便宜上、FPD15が有する1つの検出素子djを示している。
次に、推定部25は、X線管13からコーン状の直接線X0を3次元モデルWに対して照射した場合を仮想する。ここで、直接線X0の中心軸を照射軸Bとし、3次元モデルWに対する直接線X0の照射軸Bの角度を「照射角」とすると、照射角は、いずれかの投影像における投影角と一致する。なお、照射軸Bは、仮想的な軸である点で照射軸Aと区別される。
ここで、直接線X0がボクセルviで初めて散乱を受けることによって1回散乱線X1が生成され、この1回散乱線X1が検出素子djによって検出される強度を個別強度S(vi、dj)とすると、個別強度S(vi、dj)は次式(1)で表される。
S(vi、dj)=P×exp(−μL1)×Q(θ)×exp(−μL2) ・・・(1)
式(1)において、Pは直接線X0の初期強度である。μは3次元モデルW(各ボクセルv)の減弱係数である。L1は3次元モデルW内における直接線X0の透過長(水換算長)である(より具体的には、ボクセルviに到達するまでに直接線X0が3次元モデルW内を進む距離である)。L2は、3次元モデルW内における1回散乱線X1の透過長(水換算長)である(より具体的には、1回散乱線X1がボクセルviを出た後に3次元モデルW内を進む距離である)。θは、ボクセルviで散乱した1回散乱線X1が検出素子djに向かって進むときの散乱角である。Q(θ)は直接線X0が散乱角θで散乱する確率である。
ここで、初期強度Pは、撮影条件に基づいて与えられる。減弱計数μは、既知である。透過長L1、L2及び散乱角θは、X線管13、3次元モデルW(ボクセルvi)およびFPD15(検出素子dj)の相対的位置に基づき、幾何学的な計算をすることにより得られる。確率Q(θ)は、例えば、クライン−仁科の公式(Klein−Nishidaモデル)によって与えられる。よって、個別強度S(vi、dj)の値は、式(1)に基づいて算出される。
さらに、式(1)による1回散乱線X1の個別強度S(vi、dj)の計算を、ボクセルvと検出素子dの全ての組み合わせについて行う。例えば、3次元モデルWがm個のボクセルvを有し、FPD15がn個の検出素子dを有する場合には、ボクセルvと検出素子dの組み合わせは(m×n)通り存在する。これら(m×n)通りの全てに組み合わせについて、個別強度S(v、d)を計算する。そして、算出された個別強度S(v、d)を検出素子dごとに積算する。これにより、各検出素子dにおける1回散乱線X1の強度、すなわち、検出面15Sにおける第1強度分布S(d)が得られる。
以上が、1つの第1強度分布を推定する処理である。推定部25は、このような推定処理を、照射源13およびFPD15と、3次元モデルWとの相対的位置が異なる複数の場合を仮想し、繰り返し行う。その際も、各相対的位置を、各投影像における撮影条件と一致するように仮想する。これにより、断層画像の基になった投影像ごとに投影像と同じ数の第1強度分布を推定する。
<ステップS6> 投影像から散乱線を除去する〜除去する過程
除去部27は、推定された第1強度分布に基づいて対応する投影像から散乱成分を除去する。具体的には、除去部27は、まず、第1強度分布を平滑化した第2強度分布を計算する。続いて、第1強度分布と第2強度分布とを足し合わせることで、散乱成分を推定する。そして、この散乱成分を投影像から差し引く。
図5(a)は、円柱ファントムの撮影条件を模式的に示す図であり、図5(b)は図5(a)に示すFPD15で検出される放射線の強度を例示するグラフである。図5(b)において、横軸はFPD15の検出面15S上の位置を示し、縦軸は放射線の強度を対数表示によって示す。放射線の強度は、円柱ファントムFを透過せずに検出器15に到達した放射線量を基準(「10000」)としたときの相対値である。太い実線は直接線の強度分布を示し、各種の細い線は散乱線の強度分布を示す。具体的には、1点鎖線は1回散乱線の強度分布(第1強度分布)を示し、点線は多重回散乱線の強度分布を示し、細い実線は散乱成分(1回散乱線および多重回散乱線の合成強度分布)を示す。
図5(b)に示すように、1回散乱線の強度分布は、散乱成分の支配的な主因子である。1回散乱線の強度分布は、比較的大きくばらついている。これに対し、多重回散乱線の強度分布は、比較的ばらつきが少ない。さらに、多重回散乱線の強度分布は、1回散乱線の強度分布を平滑化したものに良く近似している。この多重回散乱線の強度分布に1回散乱線の強度分布を積算したものが散乱成分であるので、散乱成分は、第1強度分布と一定程度の関係性を有する。
このような1回散乱線と多重回散乱線との関係に関する知見に基づき、第1強度分布を平滑化することによって、第2強度分布を計算するように除去部27が構成されている。
平滑化としては、第1強度分布の平均値を、検出面15Sにわたって一様に分布させることが例示される。この場合、第2強度分布は、各検出素子dにおける1回散乱線X1の強度の総和を検出素子dの個数nで除した値を、一律に各検出素子dにおける強度としたものとなる。この平滑化処理によれば、多重回散乱線の強度分布を簡易かつ精度良く推定できる。
このように、実施例1に係る断層撮影装置1/画像処理装置5によれば、推定部25は、3次元モデルWを用いて散乱成分の一部である第1強度分布のみを推定するので、演算量の低減できる。また、3次元モデルWに直接線X0を照射したと仮定して第1強度分布を推定するので、1回散乱線X1の生成位置、向き、経路等を考慮することができ、推定精度が高い。さらに、散乱成分は第1強度分布に大きく依存するので、除去部27は、第1強度分布に基づいて投影像から散乱成分を好適に除去できる。このように、散乱成分の除去精度を確保しつつ、演算量を低減させることができる。そして、散乱成分が除去された投影像に基づけば、アーティファクトが抑制された断層画像を得ることができる。
推定部25は、ボクセルvと検出素子dとの組み合わせの全てについて、個別強度S(vi、dj)をそれぞれ計算し、得られた個別強度S(vi、dj)に基づいて第1強度分布を推定する。このため、第1強度分布を精度良く推定できる。
個別強度S(vi、dj)を算出する式(1)から明らかな通り、推定部25は、3次元モデルW内において直接線X0が減衰する割合と、ボクセルviにおいて検出素子djに向かう一回散乱線X1が発生する確率Q(θ)と、1回散乱線X1が3次元モデルW内において減衰する割合とに基づいて個別強度S(vi、dj)を算出する。このため、個別強度S(vi、dj)を精度よく得ることができる。
3次元モデルWは、その領域内における線減弱係数μが一律である。言い換えれば、被検体Mを表す各ボクセルvの線減弱係数μが同じ値をとる。このため、直接線X0および1回散乱線X1が減衰する割合は、3次元モデルW内におけるそれらの経路に関係なく、3次元モデルW内におけるそれらの透過長のみに依存する。よって、第1強度分布を推定するための演算量をさらに低減できる。
推定部25は、3次元モデルWに対する直接線X0の照射角を変えて、複数の第1強度分布を推定するので、散乱成分の除去精度を高めることができる。また、推定部25は、3次元モデルWに対するX線管13及びFPD15の相対的位置を、投影像における撮影条件と一致するように仮想するので、投影像における投影角と同じ照射角で直接線X0を照射したときの第1強度分布を推定できる。よって、投影像に重畳される散乱成分を適確に見積もることができる。さらに、推定部25は、投影像ごとに第1強度分布を推定するので、全ての投影像について散乱線の補正処理を精度良く行うことができる。
記憶部22は、撮影条件を投影像に対応づけて記憶しているので、推定部25が第1強度分布を推定する際に、撮影条件を好適に参照できる。
除去部27は、第1強度分布に基づいて第2強度分布を推定するので、散乱成分を適切に見積もることができる。また、除去部27は、第1強度分布を平滑化することによって第2強度分布を推定するので、第2強度分布および強度分布を簡易かつ適切に推定することができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
本実施例2は、推定部25における処理内容が実施例1と異なり、その他の構成については基本的に実施例1と同様である。実施例2における処理の手順は、図2においてステップS4を省略したものに相当する。すなわち、実施例2では、推定部25は3次元モデルを推定する処理を行わない。このため、ステップS5では、推定部25は、ステップS3で生成された断層画像Tを用いて、第1強度分布を算出する。以下では、このステップS5における処理を説明する。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
<ステップS5> 第1強度分布を推定する〜推定する過程
図6を参照する。図6は、第1強度分布の推定処理を説明する図である。断層画像Tの領域内における減弱係数は均一でない。図6では、断層画像Tが減弱係数の異なる2つの領域を有していることを模式的に示している。断層画像Tは、複数のボクセルvによって構成されている。各ボクセルvの減弱係数の値は一律ではない。少なくとも、被検体Mを表す各ボクセルvの減弱係数は同じ値をとらない。ただし、1つ1つのボクセルvの内部領域では、減弱係数が均一である。図6では、図示の便宜上、1つのボクセルviを示している。
推定部25は、投影像の撮影条件に基づいて、X線管13及びFPD15の位置を断層画像Tの周囲に仮想的に設定する。そして、推定部25は、直接線X0を断層画像Tに対して照射したと仮定し、かつ、直接線X0が断層画像T内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線X1が発生したときにはその1回散乱線X1はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、FPD15で検出される1回散乱線X1の第1強度分布を計算により推定する。具体的には、個別強度を計算することにより、第1強度分布を推定する。
ここで、ボクセルviにおいて生成された1回散乱線X1が検出素子djで検出される個別強度S(vi、dj)を計算する場合を例示する。
図7を参照する。図7は、個別強度を計算するための説明図である。説明の便宜上、直接線X0は、ボクセルviに到達する前に、ボクセルva、vbを通過するものとする。直接線X0のボクセルva、vb内における透過長は、それぞれLa、Lbである。また、ボクセルviから出た1回散乱線X1はボクセルvc、vdを通過するものとする。1回散乱線X1のボクセルvc、vd内における透過長は、それぞれLc、Ldである。各ボクセルva乃至vdの減弱係数は、それぞれμa乃至μdである。なお、図7では、図示の便宜上、各ボクセルvを分離して図示している。
この場合、個別強度S(vi、dj)は、次式で表される。
S(vi、dj)=P×exp(−μaLa)×exp(−μbLb)×Q(θ)×exp(−μcLc)×exp(−μdLd) ・・・(2)
ここで、初期強度Pは、現実の投影像の撮影条件に基づいて与えられる。減弱計数μa乃至μdは断層画像Tに基づいて与えられる。透過長La乃至Ld及び散乱角θは、X線管13、断層画像T(ボクセルvi)およびFPD15(検出素子dj)の相対的位置に基づいて与えられる。確率Q(θ)は、例えば、クライン−仁科の公式(Klein−Nishidaモデル)によって与えられる。よって、式(2)に基づいて、強度S(vi、dj)の値を算出することができる。
なお、式(2)は、直接線X0および1回散乱線X1が通過するボクセルvの個数によって適宜に変更される。このような計算手法を用い、ボクセルvと検出素子dの全ての組み合わせについて個別強度S(vi、dj)を計算する。そして、算出された個別強度S(v、d)を検出素子dごとに積算する。これにより、第1強度分布S(d)が得られる。
以上が、第1強度分布の推定処理である。推定部25は、この推定処理を、照射源13およびFPD15と、断層画像Tとの仮想的な相対的位置を変えて、繰り返し行う。これにより、推定部25は、複数の第1強度分布を得る。
このように、実施例2に係る断層撮影装置1/画像処理装置5においても、実施例1と同様な効果を奏する。すなわち、推定部25は、断層画像Tを用いて1回散乱線X1の第1強度分布のみを推定する。除去部27は、推定された第1強度分布に基づいて散乱成分を推定し、投影像から散乱成分を除去する。このため、比較的少ない演算量で、散乱補正を効率良く行うことができる。
また、実施例2によれば、推定部25は、断層画像Tを用いて第1強度分布を推定するので、第1強度分布の推定精度をさらに向上させることができる。特に、例えば人体などのように被検体M内の組成(物質)や密度が均一でない場合においては有効であり、第1強度分布を正確に推定できる。
また、推定部25は、断層画像Tに基づいて3次元モデルを生成する処理(ステップS4)を省略しているので、さらに、演算量を低減できる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
本実施例3は、推定部25における処理内容が実施例1、2と異なり、その他の構成については基本的に実施例1と同様である。実施例3における処理の手順は、図2に示すフローチャートと同じである。そこで、以下では、ステップS4、S5における処理を説明する。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
<ステップS4> 3次元モデルを生成する
図8を参照する。図8は、仮想される3次元モデルUとX線管13とFPD15を模式的に示す平面図である。推定部25は、断層画像に基づいて3次元モデルUを生成する。3次元モデルU内の減弱係数は均一でない。図8では、3次元モデルUが減弱係数の異なる複数の領域を有していることを模式的に示している。3次元モデルUは、被検体Mを表すボクセルvと、被検体M以外を表すボクセルvとによって構成されている。被検体Mを表す各ボクセルvの減弱係数は同じ値をとらない。図8では、平面視で3行3列に配列されている9個のボクセルv1乃至v9を示している。なお、図8の紙面垂直方向においても、複数のボクセルvが配列されていてもよい。
<ステップS5> 第1強度分布を推定する〜推定する過程
推定部25は、投影像の実際の撮影条件に基づいて、X線管13及びFPD15を3次元モデルUの周囲に仮想的に配置する。そして、推定部25は、直接線X0を三次元モデルUに対して照射したと仮定し、かつ、直接線X0が三次元モデルU内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線X1が発生したときにはその1回散乱線X1はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、FPD15で検出される1回散乱線X1の第1強度分布を計算により推定する。
図9を参照する。図9は、第1強度分布の推定処理を説明する平面図であり、図9(a)、(b)、(c)の右側にはそれぞれ強度分布S0”、S1’、S2のグラフを模式的に示している。
図9(a)に示すように、先ず、推定部25は、3次元モデルUを、照射軸Bと直交または略直交する複数のスライスk1、k2、k3に区分する。各スライスk1、k2、k3の照射軸B方向の厚みは、1つのボクセルvの厚みと等しい。
推定部25が第1強度分布を推定する処理の概要は、次の通りである。すなわち、スライスk1において生成される1回散乱線X1がFPD15によって検出される強度分布S0”を算出する(図9(a)参照)。同様の計算を、スライスk2、k3についても行い、強度分布S1’、S2を算出する(図9(b)、(c)参照)。最後に、各強度分布S0”、S1’、S2を積算することにより、第1強度分布を得る。
図9と併せて図10を参照して、第1強度分布の推定処理を具体的に説明する。図10は、第1強度分布を推定する処理の手順を示すフローチャートである。なお、個別強度の計算に関しては、説明の便宜上、省略する。
[強度分布S0”の算出]〜ステップS11乃至S14
まず、スライスk1に入射する直接線X0の強度分布P0を算出する。強度分布P0は、直接線X0の初期強度の分布である。続いて、強度分布P0がスライスk1において散乱されることによって生成される1回散乱線X1の強度分布S0を算出する。続いて、強度分布S0がスライスk2を通過することによって減衰されたときの1回散乱線X1の強度分布S0’を算出する。さらに、強度分布S0’がスライスk3を通過することによって減衰され、FPD15によって検出される1回散乱線X1の強度分布S0”を算出する。
[強度分布S1’の算出]〜ステップS15乃至S17
強度分布P0がスライスk1を通過することによって減衰されたときの強度分布P1を算出する。この処理では、ステップS11において算出した強度分布P0を用いる。続いて、スライスk2において生成される1回散乱線X1の強度分布S1を算出する。続いて、強度分布S1がスライスk3を通過することによって減衰され、FPD15によって検出される1回散乱線X1の強度分布S1’を算出する。
[強度分布S2の算出]〜ステップS18乃至S19
強度分布P1がスライスk2を通過することによって減衰されたときの強度分布P2を算出する。この処理では、ステップS15において算出した強度分布P0を用いる。続いて、強度分布P2がスライスk3において散乱されることによって生成され、FPD15によって検出される1回散乱線X1の強度分布S2を算出する。
なお、上述した説明では特に触れなかったが、強度分布S0”を算出する過程(ステップS11乃至ステップS14)では、スライスk1内のボクセルv1乃至v3のいずれかと、FPD15の各検出素子dのいずれかとの各組み合わせについて、個別強度を計算している。同様に、強度分布S1’を算出する過程(ステップS15乃至ステップS17)では、スライスk2に関連する個別強度を計算しており、強度分布S2を算出する過程(ステップS18乃至ステップS19)では、スライスk3に関連する個別強度を計算している。したがって、本実施例3においても、一のボクセルvと一の検出素子dの組み合わせの全てについて、個別強度S(v、d)を計算する。
[第1強度分布を算出]〜ステップS20
強度分布S0”、S1’、S2を重ね合わせることにより、第1強度分布を得る。
このように、実施例3に係る断層撮影装置1においても、実施例1と同様な効果を奏する。すなわち、推定部25は、3次元モデルUを用いて1回散乱線X1の第1強度分布のみを推定する。除去部27は、推定された第1強度分布に基づいて投影像から散乱成分を除去する。このため、散乱成分の除去精度を確保しつつ、演算量を低減できる。
また、実施例3では、推定部25は、3次元モデルUを照射軸Bに直交する複数のスライスk1乃至k3に区分し、各スライスk1乃至k3で生成された1回散乱線X1がFPD15によって検出される強度分布S0”、S1’、S2を個別に算出する。各スライスk1乃至k3の領域内においては、直接線X0が当該スライスkに到達するまでの透過長のばらつきが比較的に少ないなど、計算条件が類似している。このため、演算処理の効率化や簡素化を容易に図ることができる。
また、推定部25は、X線管13側のスライスk1からFPD15側のスライスk3の順番で、各スライスk1、k2、k3に関連する個別強度の計算を順次開始し、1回散乱線X1の各強度分布S0”、S1’、S2を算出する。このため、例えば、スライスk2に関連する個別強度の計算を行う時には、そのスライスk2のX線管13側に隣接するスライスk1について既に行われた計算結果を利用することができる。言い換えれば、ステップS15の計算を行う時には、ステップS11の計算結果を利用できる。同様に、ステップS15において既に行った計算結果を、その後のステップS18において活用することができる。よって、同じ演算を重複して実行することを防ぐことができ、推定部25における演算量をさらに低減できる。この低減効果は、3次元モデルU等のように各ボクセルvの減弱係数が均一でない場合やスライスkの数が多い場合に特に顕著となる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例2では、個別強度S(vi、dj)を算出する際に、ボクセルva、vb内における直接線X0の透過長La、Lbを用いたが、これに限られない。例えば、ボクセルva、vbの厚み(照射軸B方向におけるボクセルva、vbの長さ)を、透過長La、Lbに代えて用いてもよい。これによれば、ボクセルva、vbの厚みは既知であるとともに、透過長La、Lbに近似する値をとるので、演算精度の低下を抑制しつつ、演算量の低減を図ることができる。また、同様に、ボクセルvc、vd内を進む距離Lc、Ldに代えて、ボクセルvc、vdの厚みを用いてもよい。
(2)上述した実施例1乃至3では、推定部25は、照射軸Bを中心とし、コーン状に広がる直接線X0を仮想したが、これに限られない。たとえば、全ての直接線X0が照射軸Bと平行に進むと仮想してもよい。言い換えれば、照射軸Bと平行な/略平行に照射される直接線X0を断層画像または前記3次元モデルに対して照射すると仮想してもよい。これによれば、各ボクセルvに直接線X0が到達するまでの距離を容易に算出することができる。また、各ボクセルvに入射する直接線X0の角度が一律となるので、第1強度分布を推定する際に行う幾何学的な演算を簡素化できる。
(3)上述した実施例1、3では、推定部25が3次元モデルW、Uを生成したが、これに限られない。断層画像生成部23が3次元モデルW、Uを生成するように変更してもよい。あるいは、3次元モデルW、Uを生成するモデル生成部を別途に備えるように変更してもよい。
(4)上述した実施例1乃至3では、推定部25は、断層画像の基になった投影像と同じ数の第1強度分布を推定したが、これに限られない。例えば、推定する第1強度分布の数を間引いてもよいし、投影像の数に比べて少なくしてもよい。これによれば、推定部25における演算量をさらに低減することができる。
(5)上述した実施例1乃至3では、推定部25は、照射角を投影像における投影角と一致させていたが、これに限られない。すなわち、照射角を投影角と異なる角度に設定してもよい。
(6)上述した実施例1乃至3では、推定部25によって推定される散乱の事象について特に説明しなかったが、各種の散乱を本発明に適用できる。たとえば、コンプトン散乱やレイリー散乱であってもよいし、それらの両方であってもよい。
(7)上述した実施例1乃至3では、X線管13およびFPD15が被検体Mの周囲を移動することによって投影角を変えたが、これに限られない。被検体Mが回転することによって、投影角を変えるように変更してもよい。同様に、推定部25は、X線管13及びFPD15の仮想的な位置を変更することで照射角を変えてもよいし、3次元モデルW/Uまたは断層画像Tの仮想的な向きを変更することで照射角を変えてもよい。
(8)上述した実施例1乃至3は、医用分野、工業用分野または原子力用分野の装置に適用することができる。
(9)上述した実施例1乃至3では、放射線としてX線を例示したが、これに限られない。すなわち、X線以外の放射線に変更してもよい。
(10)上述した各実施例または上述の各変形実施例について、それらに含まれる構成を、さらに他の実施例および変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
1 … 断層撮影装置
5 … 画像処理装置
13 … X線管(照射源)
15 … フラットパネル型X線検出器(FPD)(検出器)
21 … 収集部(投影像取得部)
22 … 記憶部
23 … 断層画像生成部
25 … 推定部
27 … 除去部
A … 照射軸
B … 照射軸
d … 検出素子
X0 … 直接線
X1 … 1回散乱線
X2 … 多重回散乱線
M … 被検体
T … 断層画像
W、U …三次元モデル
k1、k2、k3 … スライス
v … ボクセル
μ … 減弱係数
Q(θ) … 検出素子に向かう1回散乱線がボクセル内で生成される確率
S(v、d) … 個別強度

Claims (11)

  1. 散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を計算により推定する過程と、
    推定された前記第1強度分布に基づいて前記断層画像の基になった投影像から散乱成分を除去する過程と、
    備え、
    前記除去する過程は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する散乱線補正方法。
  2. 請求項1に記載の散乱線補正方法において、
    前記推定する過程は、前記断層画像または前記3次元モデルに対する直接線の照射角を変えて、複数の第1強度分布を推定する散乱線補正方法。
  3. 請求項2に記載の散乱線補正方法において、
    前記推定する過程は、各照射角を、前記投影像における投影角と一致させる散乱線補正方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の散乱線補正方法において、
    前記断層画像または前記3次元モデルは複数のボクセルを有し、
    前記検出器は複数の検出素子を有し、
    前記推定する過程は、ボクセルと検出素子との全ての組み合わせについて、一のボクセルにおいて生成された1回散乱線が一の検出素子によって検出される個別強度を計算することによって、第1強度分布を推定する散乱線補正方法。
  5. 請求項4に記載の散乱線補正方法において、
    前記推定する過程は、個別強度を計算する際、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内において減衰する割合と、一のボクセル内で一の検出素子に向かう1回散乱線が生成される確率と、1回散乱線が前記断層画像または前記3次元モデル内において減衰する割合と、を考慮する散乱線補正方法。
  6. 請求項4または5に記載の散乱線補正方法において、
    被検体を表すボクセルの減弱係数が同じ値をとる散乱線補正方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の散乱線補正方法において、
    前記推定する過程は、前記断層画像または前記3次元モデルを直接線の照射軸と略直交する複数のスライスに区分し、個別強度をスライスごとに計算する散乱線補正方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載に散乱線補正方法において、
    前記第1強度分布を平滑化することによって前記第2強度分布を推定する散乱線補正方法。
  9. 散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を推定する推定部と、
    推定された前記第1強度分布に基づいて前記断層画像の基になった投影像から散乱成分を除去する除去部と、
    備え、
    前記除去部は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する画像処理装置。
  10. 被検体に放射線を照射する照射源と、
    被検体を透過した放射線を検出する検出器と、
    前記検出器の検出結果に基づいて投影像を取得する投影像取得部と、
    前記複数の投影像に基づいて断層画像を生成する断層画像生成部と、
    散乱を受けていない放射線である直接線を断層画像または断層画像に対応した3次元モデルに対して照射したと仮定し、かつ、直接線が前記断層画像または前記3次元モデル内で初めて散乱を受けることによって1回散乱線が発生したときにはその1回散乱線はさらに散乱を受けることなく進むと仮定したときに、前記検出器で検出される1回散乱線の第1強度分布を推定する推定部と、
    推定された前記第1強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する除去部と、
    備え、
    前記除去部は、1回散乱線がさらに散乱を受けた場合に発生する多重回散乱線が前記検出器で検出される第2強度分布を、前記第1強度分布に基づいて推定し、かつ、前記第1強度分布及び前記第2強度分布に基づいて前記投影像から散乱成分を除去する断層撮影装置。
  11. 請求項10に記載に記載の断層撮影装置において、
    さらに、前記断層画像の基になる投影像が撮影されたときの撮影条件を投影像ごとに記憶する記憶部を備え、
    前記推定部は、前記撮影条件に基づいて、前記断層画像または前記3次元モデルに対する直接線の照射角を設定する断層撮影装置。
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