JP5924031B2 - 機器用コネクタおよび機器用コネクタの製造方法 - Google Patents
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一方、使用態様によっては、機器側の端子を収容したケースが、例えば別体に二分割されたものが並んで設けられ、シェルカバーが両分割ケースに跨って装着されてそれぞれに対してボルト締結される場合がある。しかるに両分割ケースは、それぞれのボルト締結面の高さ位置が公差内でやむを得ずずれる場合があり、そうした場合、剛性の高いシェルカバーでは、各分割カバーに対して正確にボルト締めできない可能性があり、シールド機能が損なわれるおそれがあった。
そのため、シェルカバーを剛性の高いものに形成しながらも、両分割ケースに跨る正確なボルト締めが担保され、耐振動性に優れたものとした上で、良好なシールド性能を発揮することができる。
(1)前記カバー本体にはねじ孔が形成された縦向きの締結板が設けられる一方、前記他の取付部には前記締結板に当接可能でねじの挿通孔が開口された被締結板が設けられ、前記挿通孔が縦長の長孔状に形成されている。
被締結板に通したねじを締結板のねじ孔に仮止めし、ねじに対して長孔を上下動させることで他の取付部の高さ調節をしたのち、ねじを本締めすることで高さ調節された他の取付部がカバー本体に対して結合される。
本発明の一実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施形態では、ハイブリット車等に搭載されたジェネレータとインバータとの接続部分、より具体的には、インバータから引き出されたシールド電線を機器であるジェネレータに接続する部分に配される機器用コネクタを例示している。ジェネレータは、シールド機能を有する金属製のケース10内に収容されている。なお、ケース10は、図3ないし図5に示すように、別体の2個の第1ケース11と第2ケース12とが並んで設置されて構成されている。
第1ハウジング20は合成樹脂製であって、図1及び図4に示すように、横長の箱形をなすハウジング本体21を備えており、同ハウジング本体21の奥側の下面から、第1ケース11の上面の取付孔に嵌合される嵌合体22が鈍角をなして突出形成されている。嵌合体22の根元部にはフランジ23が左右両側に突出した形態で形成され、左右両端部に取付孔24が開口されている。第1ハウジング20は、フランジ23を第1ケース11の上面に当てた形態で取り付けられ、このときハウジング本体21は、前方の斜め上方を指向した姿勢を採るようになっている。
端子台26にはそれぞれ第1端子30が装着されている。第1端子30は縦方向に長い形状であって、その上端が直角曲げされて挿通孔32を有する接続部31が形成された全体外観略L字状となっている。第1端子30は、接続部31がそれぞれ対応する端子台26の上面に重ねられるとともに、嵌合体22を貫通して脚部28に沿った形態でインサート成形により装着されている。
各第1端子30の下端は、ケース10内に収容されたジェネレータ側の対応する端子(図示せず)とそれぞれボルト締め等によって接続されている。
第2ハウジング40内には、前後両面に開口した3本のキャビティ43が横方向に並んで形成されている。各キャビティ43には、シールド電線の端末に接続された第2端子55が収容されるようになっている。
第2端子55は前後方向に細長い形状であって、その先端部には、挿通孔57を有する接続部56が形成されている。第2端子55は、その後端のバレル部58が被覆電線50の端末にかしめ圧着されることで固定されている。
このように第2端子55を装着した第2ハウジング40の嵌合部41が、第1ハウジング20のフード部25に対して嵌合され、フランジ42がフード部25の開口縁に当たる正規位置まで押し込まれたときに、各第2端子55の先端の接続部56が、端子台26上に配された第1端子30の接続部31の上面に整合して重なる設定となっている。
シェル本体61はアルミダイキャスト製であって、図2に示すように、第2ハウジング40におけるフランジ42よりも前方の所定長さ領域を覆うことが可能な筒形に形成されている。同シェル本体61の前縁には、厚肉の取付環部62が形成されている。
右取付腕64は、上記した左取付腕63よりも所定寸法上方位置において右側に真直に突出した形態で形成され、その突出端が同じくケース10(第1ケース11)に対する第2取付部66となっている。同第2取付部66にも同様にボルト70Bの挿通孔67が形成されている。右取付腕64の途中位置には、シェルカバー80との結合部68が一段高くなった形態で形成されている。同結合部68にはねじ孔68Aが開口されている。
ブラケット75は、取付板76が取付環部62の前面に位置決めされて当てられ、取付板76の左右の側縁部に開口された挿通孔78Aに通したねじ78を、取付環部62に形成されたねじ孔79に螺合して締め付けることで固定されるようになっている。
カバー本体81はアルミダイキャスト製であって、第1ハウジング20の上面を覆うことが可能な前面開口の浅皿状に形成されており、同前面開口には、上記したシェル本体61における後端部の上面に重なる重畳部82が形成されている。
この重畳部82の正面視で右端部には、シェル本体61の右取付腕64に設けられた結合部68に重ねられる被結合部83が形成されており、同被結合部83には、ボルト84(図3参照)の挿通孔84Aが形成されている。
取付部材90は、図8にも示すように、同取付部材90を第2ケース12の上面(第2ボルト締結面12A)にボルト締めにより固定するための第3取付部91を有しており、同第3取付部91の後縁寄りの位置には、ボルト70Cの挿通孔92が開口されている。
位置決めピン89を位置決め孔97に挿通しつつ当て板96を受け面88上に載せると、ねじ孔86Aの中心線と挿通孔95の中心線とが、少なくとも左右方向において整合した状態で、締結板86と被締結板94とが対面するようになっている。
ケース10のうち第1ケース11の上面の所定位置に第1ハウジング20が当てられ、フランジ23の両端の取付孔24にボルト24Aを通して第1ケース11の上面のねじ孔にねじ込むことで固定される。このとき第1ハウジング20は、ハウジング本体21の前面のフード部25が斜め上方を指向して開口した形態を採る。
それとともに、各端子台26に装着された第1端子30の下端が、ジェネレータ側の対応する端子と接続される。
それとともに、シールド電線の端末に、かしめリング77と、ブラケット75と、シールドシェル60におけるシェル本体61とが先通しされる。
次に、先通しされていたシェル本体61が第2ハウジング40に外嵌され、その後縁がフランジ42に当たったところで、計4本の係止片45が、取付環部62の内面の対応する係止孔に弾性的に係止することで、第2ハウジング40の外周におけるフランジ42の前側の所定位置に装着される。
この状態から、ブラケット75の外周に編組線51(図3)の端末の開口部が嵌められ、さらにその外周にかしめリング77が嵌められてかしめられることで、編組線51の端末の開口部がブラケット75の外周に対して固定される。
その結果、シールド電線の端末では、3本の被覆電線50の端末に接続された第2端子55が第2ハウジング40に装着されるとともにその外周にシェル本体61が装着され、さらに同シェル本体61の前面側に装着されたブラケット75に、編組線51の端末の開口部が嵌着された形態となる。
そのため、第1取付部65と第2取付部66の各挿通孔67にボルト70A,70Bを通して対応するねじ孔(図示せず)にねじ込むことで、シェル本体61が第1ケース11の上面(第1ボルト締結面11A)に固定される。
この状態から、作業孔34を通して、各端子台26上において重ねられた第1端子30と第2端子55の接続部31,56の挿通孔32,57にボルト27Aを通し、仕込まれたナット27に螺合して締め付ることによって、対応する第1端子30と第2端子55同士が接続される。そののち、作業孔34がキャップ35で塞がれる。
すなわち、シールドシェル60は、第1ケース11と第2ケース12とに跨って配されて、都合3箇所でボルト締めにより固定されており、かつ3箇所の取付部65,66,91が、各辺の長さが概ね等しい三角形をなすように配された形態を採る。
これによりキャップ35の被着部分が開放されるから、引き続いてキャップ35を外して図8に示すように作業孔34を開口し、同作業孔34を通して各端子台26にねじ込んであるボルト27Aを外して第1端子30と第2端子55同士の結合を解除する。それとともに、ねじ78を緩めてブラケット75が外される。
この状態からシールド電線を引っ張ると、ブラケット75ともども各第2端子55が第2ハウジング40のキャビティ43の前方に引き抜かれる。
第1端子30と第2端子55同士を再度接続する場合は、上記とは逆の手順によって組み付ければよい。
すなわち、シェルカバー80を剛性が高いものに形成しながらも、両ケース11,12に跨る正確なボルト締めが担保され、耐振動性に優れたものとした上で、良好なシールド性能を発揮することができる。
この構造であると、位置決めピン89に位置決め孔97を挿通しつつ、取付部材90の当て板96をカバー本体81の受け面88に当てると、ねじ孔86Aと挿通孔95とが整合した形態で締結板86と被締結板94とが対面するから、引き続きボルト87を仮止めしたのち取付部材90の高さ調節を行い、最後にボルト87を本締めすることで、高さ調節された取付部材90が装着部85に結合される。取付部材90をカバー本体81に対して高さ調節して結合する作業を、より能率良く行うことができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)取付部材をカバー本体の装着部に高さ調節可能に装着する部分の構造において、装着部の締結板からスタッドボルトを立てる一方、被締結板の長孔状の挿通孔を貫通したスタッドボルトの突出端にナットを螺合して締め付ける構造としてもよい。
(2)取付部材を装着部に仮組みする際に適用される位置決め手段は必ずしも設ける必要はなく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(3)ケースに取り付けられる取付部は、第1ケースと第2ケースとに分かれている限り、その数並びに配設形状は任意である。
(5)本発明は、上記実施形態に例示したハイブリット車等に搭載されたジェネレータとインバータとの接続部分に配される機器用コネクタに限らず、モータとインバータとの接続部分に配される機器用コネクタにも同様に適用することができる。
(6)さらに本発明は、電源側等から引き出されたシールド電線の端末に設けられた端子を、金属製のケースに収容された機器側の端子に接続するべく設けられる機器用コネクタ全般に広く適用することが可能である。
11…第1ケース(一の分割ケース)
11A…第1ボルト締結面
12…第2ケース(他の分割ケース)
12A…第2ボルト締結面
20…第1ハウジング
26…端子台
27A…ボルト
30…第1端子
31…接続部
34…作業孔
40…第2ハウジング
50…被覆電線(電線)
55…第2端子
56…接続部
60…シールドシェル
61…シェル本体
65…第1取付部(一の取付部)
66…第2取付部(一の取付部)
70A,70B,70C…ボルト
80…シェルカバー
84…ボルト
85…装着部
86…締結板
86A…ねじ孔
87…ボルト(ねじ)
88…受け面
89…位置決めピン
90…取付部材(他の取付部)
91…第3取付部
94…被締結板
95…挿通孔
96…当て板
97…位置決め孔
Claims (4)
- 内部に機器側の端子が収容されかつ分割されたものが並んで配された金属製のケースに対し、前記機器側の端子と接続するべく装着される機器用コネクタであって、
前記機器側の端子と接続された第1端子を収容した第1ハウジングと、電線の端末に接続された第2端子を収容し前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングとが設けられ、前記両ハウジングが嵌合されることに伴い対応する前記第1端子と前記第2端子の接続部同士がボルト締め可能に重なって配され、かつ前記第1ハウジングには前記両端子の接続部同士をボルト締めするための作業孔が開口されているとともに、
嵌合された前記両ハウジングを覆って配される金属製のシールドシェルが設けられ、このシールドシェルは、前記両ハウジングの嵌合部分を覆うシェル本体と、このシェル本体と一部がオーバーラップしつつ前記作業孔を覆うシェルカバーとを備えて、前記シェル本体と前記シェルカバーとはボルト締めにより結合され、
前記シェル本体には前記一の分割ケースに取り付けられる一の取付部が、前記シェルカバーには前記他の分割ケースに取り付けられる他の取付部がそれぞれ設けられており、
かつ前記シェルカバーは、前記他の取付部が前記シェル本体と結合されるカバー本体とは別体に形成されて、前記カバー本体に対して高さ調節可能に結合されていることを特徴とする機器用コネクタ。 - 前記カバー本体にはねじ孔が形成された縦向きの締結板が設けられる一方、前記他の取付部には前記締結板に当接可能でねじの挿通孔が開口された被締結板が設けられ、前記挿通孔が縦長の長孔状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。
- 前記カバー本体の前記締結板の上縁には水平な受け面が形成されて位置決めピンが立てられている一方、前記他の取付部の前記被締結板の上縁には前記受け面に当てられる当て板が形成され、この当て板に、前記位置決めピンが挿通されることで、前記ねじ孔と前記挿通孔とが整合して前記締結板と前記被締結板とが対面する形態に位置決めする位置決め孔が開口されていることを特徴とする請求項2記載の機器用コネクタ。
- 内部に機器側の端子が収容されかつ分割されたものが並んで配された金属製のケースに対し、前記機器側の端子と接続するべく装着される機器用コネクタの製造方法であって、
前記機器側の端子と接続された第1端子を収容した第1ハウジングと、電線の端末に接続された第2端子を収容し前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングとが設けられ、前記両ハウジングが嵌合されることに伴い対応する前記第1端子と前記第2端子の接続部同士がボルト締め可能に重なって配され、かつ前記第1ハウジングには前記両端子の接続部同士をボルト締めするための作業孔が開口されているとともに、
嵌合された前記両ハウジングを覆って配される金属製のシールドシェルが設けられ、このシールドシェルは、前記両ハウジングの嵌合部分を覆うシェル本体と、このシェル本体と一部がオーバーラップしつつ前記作業孔を覆うシェルカバーとを備えて、前記シェル本体と前記シェルカバーとはボルト締めにより結合され、
前記シェル本体には前記一の分割ケースに取り付けられる一の取付部が、前記シェルカバーには前記他の分割ケースに取り付けられる他の取付部がそれぞれ設けられており、
かつ前記シェルカバーは、前記他の取付部が前記シェル本体と結合されるカバー本体とは別体に形成されて、前記カバー本体に対して高さ調節可能に結合されており、
前記シェルカバーにおける前記カバー本体がダイキャスト製であり、前記他の取付部が金属板製であることを特徴とする機器用コネクタの製造方法。
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