JP5922744B2 - 伸縮継手構造 - Google Patents

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本発明は、伸縮継手構造に関するものである。
ガスタービンからの高温・高圧の排ガスが流通される排ガス管においては、排ガスは移動中に自然冷却されるので、軸線方向位置において温度が異なる。この温度変化に伴い排ガス管は、軸線方向で伸縮量が異なるので、熱応力が発生することになる。この熱応力を低減させるため、排ガス管は軸線方向に複数に分割されて、それらの間が伸縮量差を吸収する伸縮継手で連結されている。
この伸縮継手部分には、流れを乱すことなく排ガスを流すため、かつ、排ガスが伸縮継手に入り込むのを防ぐために、フローライナが取り付けられている(特許文献1参照)。
このフローライナは、略円筒形状とされ、上流側端部が上流側排ガス管にボルトによって取り付けられ、下流側は自由端とされ、すなわち、片持ち梁とされている。
特開2002−235883号公報
ところで、特許文献1に示されるフローライナは、片持ち梁であるので、排ガスの変動に伴う加振力によって振動が発生する。この振動は自由端である下流端でもっとも大きくなる。この振動によってフローライナが疲労し、損傷する恐れがある。
また、フローライナの下流端では、フローライナと排ガス管との間に隙間が存在するので、この隙間から排ガスおよびそれに伴う熱が入り込むことになる。このため、伸縮継手部分が高温の環境になるので、高温の悪影響を排除するため十分な断熱材が必要になり、製品のコストを増加させることになる。
本発明は、このような事情に鑑み、フローライナの自由端における剛性を高めて自由端部の振動を低減させる伸縮継手構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様は、軸線方向に間隔を空けて配置された上流側配管および下流側配管を間隔調整可能に接続する伸縮継手部と、上流側端部が前記上流側配管の内面に固定された略円筒形状をし、前記伸縮継手部を覆うように下流側に延在するとともに径方向に間隔を空けて配置されたフローライナと、を備えている伸縮継手構造であって、前記フローライナは、前記上流側配管の内径と略等しい外径の大径部と、前記大径部よりも径の小さな小径部と、前記大径部および前記小径部を接続する順次径が変化する傾斜部とを備え、該フローライナの外周部に、該フローライナの剛性を高める補強部材を備え、前記補強部材は、前記フローライナの前記伸縮継手部側の面に、周方向に間隔を空けて複数設けられ、且つ前記フローライナの前記傾斜部から前記小径部に亘って固定され、それぞれ径方向に突起し、前記軸線方向に延在するように取り付けられている板材で構成される外リブとされていることを特徴とする伸縮継手構造。
本態様によると、フローライナの下流端部に、フローライナの剛性を高める補強部材が備えられているので、補強部材がフローライナの自由端である下流端部における剛性を高めることができる。このように、フローライナの下流端部における剛性が高くなると、上流側配管および下流側配管の内部を通過する流体の変動に伴う加振力に対する剛性が増大するので、フローライナの下流端部に発生する振動を緩和することができる。
このため、フローライナに発生する応力の大きさが緩和できるので、フローライナが疲労損傷する恐れを低減させることができる。また、補強部材を外リブとすることにより、フローライナの自由端である下流端部における剛性を高めることができる。
また、本発明の第二態様は、軸線方向に間隔を空けて配置された上流側配管および下流側配管を間隔調整可能に接続する伸縮継手部と、上流側端部が前記上流側配管の内面に固定された略円筒形状をし、前記伸縮継手部を覆うように下流側に延在するとともに径方向に間隔を空けて配置されたフローライナと、を備えている伸縮継手構造であって、該フローライナの下流端部に、該フローライナの剛性を高める補強部材を備え、前記フローライナの下流側部分および前記下流側配管のいずれか一方に他方の前記フローライナの下流側部分あるいは前記下流側配管に向けて延在するように取り付けられ、先端部に駒部を有する移動部材と、前記他方の前記フローライナの下流側部分あるいは前記下流側配管に取り付けられ、前記駒部が移動可能に案内されるガイド部材と、を備え、前記補強部材は、前記フローライナの下流側部分に取り付けられた前記移動部材あるいは前記ガイド部材とされていることを特徴とする
このようにすると、フローライナの下流側部分に取り付けられる移動部材あるいはガイド部材がフローライナの自由端である下流端部における剛性を高めることができる。
移動部材およびガイド部材は、一箇所でもよいし、周方向に間隔を空けて複数箇所に設けられてもよい。
上記構成では、前記移動部材は、円弧状をした板材で、周方向に延在するように取り付けられ、前記ガイド部材の開口部は、周方向に延在するようにされていてもよい。
このようにすると、フローライナと下流側配管との間に形成される隙間に位置する移動部材およびガイド部材は、周方向に延在するようにされているので、この隙間から流体やそれに伴う熱が伸縮継手部に入り込むのを抑制することができる。
このため、流体が、たとえば、ガスタービンの排ガスのように高温である場合、伸縮継手部に設置される断熱材の量を削減することができる。
上記態様では、前記フローライナの下流端に、前記フローライナと前記下流側配管との間に形成される空間を覆う弾性部材が装着されていてもよい。
このようにすると、弾性部材は弾性変形することによって、フローライナと下流側配管との相対移動に伴う空間の大きさの変動に対応することができる。また、弾性部材は、フローライナと下流側配管との間に形成される隙間である空間を覆っているので、この空間から流体やそれに伴う熱が伸縮継手部に入り込むのを抑制することができる。
このため、流体が、たとえば、ガスタービンの排ガスのように高温である場合、伸縮継手部に設置される断熱材の量を削減することができるし、断熱材の寿命を長くすることができる。
上記態様では、前記フローライナの下流側に、前記フローライナの下流端面に対し面対称となるように構成された下流側フローライナが前記下流側配管に、該下流側フローライナの上流端と前記フローライナの下流端とが対向するように取り付けられていてもよい。
このようにすると、伸縮継手部に流体やそれに伴う熱が入り込む空間は、フローライナの下流端と下流側フローライナの上流端とで形成される隙間に限定されるので、流体やそれに伴う熱が伸縮継手部に入り込むのを抑制することができる。
このため、流体が、たとえば、ガスタービンの排ガスのように高温である場合、伸縮継手部に設置される断熱材の量を削減することができるし、断熱材の寿命を長くすることができる。
本発明によれば、フローライナの下流端部に、フローライナの剛性を高める補強部材が備えられているので、フローライナの下流端部に発生する振動を緩和させることができる。
このため、フローライナに発生する応力の大きさが緩和できるので、フローライナが疲労損傷する可能性を低減させることができる。
本発明の実施形態にかかる伸縮継手構造が用いられているガスタービンの排ガス管の構成を示す側面図である。 図1のA部を拡大して本発明の第一参考実施形態を示す部分断面図である。 図2のフローライナの一部を示す内周側から見た部分斜視図である。 本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。 図4のX−X断面図である。 本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。 図6のB部を示す部分断面図である。 図7のY−Y断面図である。 本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。 本発明の第二参考実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。 本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。 図11のフローライナの一部を示す内周側から見た部分斜視図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
[第一参考実施形態]
以下、本発明の第一参考実施形態にかかる伸縮継手構造1について図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる伸縮継手構造が用いられているガスタービンの排ガス管の構成を示す側面図である。図2は、図1のA部を示す部分断面図である。図3は、図2のフローライナの一部を示す内周側から見た部分斜視図である。
本実施形態は、本発明をガスタービンの排ガス管3に適用したものとして説明する。
排ガス管3は、軸線方向Lに上流側排ガス管(上流側配管)5と、下流側排ガス管(下流側配管)7と、に分割されている。
上流側排ガス管5と下流側排ガス管7とは、伸縮継手構造1によって軸線方向Lの間隔が調整可能に接続されている。
伸縮継手構造1には、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7を間隔調整可能に接続する伸縮継手(伸縮継手部)9と、伸縮継手9の部分における排ガス(流体)の流れを乱すことなく流し、かつ、排ガスが伸縮継手9に入り込むのを防ぐフローライナ部11と、が備えられている。
伸縮継手9には、上流側排ガス管5の下流側端部外周に取り付けられた鍔状をした上流側フランジ13と、下流側排ガス管7の上流側端部外周に取り付けられた鍔状をした下流側フランジ15と、上流側フランジ13および下流側フランジ15の外周側端部を全周に亘り接続するとともに軸線方向Lおよび径方向の変形が可能とされている伸縮部材17と、が備えられている。
伸縮部材17は、たとえば、耐熱性ゴム等のような可撓性および断熱性を有する材料で形成されている。
上流側フランジ13、下流側フランジ15および伸縮部材17で形成される空間の内側には、それらと間隔を空けて金網に代表される保持部材19が取り付けられている。上流側フランジ13、下流側フランジ15、伸縮部材17および保持部材19で形成される空間には、グラスウール等のような断熱材21が充填されている。
上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部にも、断熱材21が充填されている。
フローライナ部11には、排ガスの流れを案内するとともに排ガスが伸縮継手9に直接入り込むのを防ぐ、また、流れを下流側に誘導するフローライナ23と、フローライナ23の内周側に周方向に間隔を空けて取り付けられた複数の内側リブ25と、フローライナ23の下流端に、周方向に延在するように溶接によって取り付けられた横リブ(補強部材)27と、が備えられている。
フローライナ23は、全体的に円筒形状をした板材である。フローライナ23には、上流側の上流側排ガス管5の内径と略等しい外径の大径部29と、下流側の大径部29よりも径の小さな小径部31と、大径部29および小径部31を接続する順次径が変化する傾斜部33とが備えられている。
上流側の大径部29が上流側排ガス管5の内面にボルトによって固定して取り付けられることによってフローライナ23は上流側排ガス管5に取り付けられている。したがって、傾斜部33および小径部31は、大径部29に支持されているだけであり、小径部31の下流側端部は自由端とされている。
小径部31の下流端は、下流側フランジ15の下流端位置と略同じ位置に位置している。したがって、フローライナ23は、軸線方向Lにおいて伸縮継手9の全体を覆うように配置されていることになる。
内側リブ25は、フローライナ23から径方向内側に突起し、軸線方向Lでフローライナ23の略全長を覆うように軸線方向Lに延在するように取り付けられている。内側リブ25は、たとえば、全周溶接によってフローライナ23に固定されている。全周溶接でなくスポット溶接であってもよい。
内側リブ25は、フローライナ23の全体の剛性を強化する機能を有している。
横リブ27は、ドーナツ形状(円弧状)をした板材であり、その内径はフローライナ23の小径部31の内径と略等しくされている。したがって、横リブ27の内周側端は、フローライナ23から内側に突出することはないので、フローライナ23の内周側を流れる排ガスに対する抵抗となることがない。なお、横リブ27の内径はフローライナ23の小径部31の内径よりも小さくしてもよい。
なお、本実施形態では、横リブ27は、フローライナ23の全周に亘り設けられているが、フローライナ23の周方向に部分的に設けるようにしてもよい。この場合、複数箇所に設けるようにしてもよい。
以下、このように構成された本実施形態にかかる伸縮継手構造1の作用効果について説明する。
ガスタービンからの高温・高圧の排ガスは排ガス管3に流される。排ガスが上流側排ガス管5から下流側排ガス管7に向かって流れる際、排ガスはフローライナ23の内周面に案内されて流されるので、なめらかに流れ、流れが乱されることはない。
上流側排ガス管5および下流側排ガス管7を流れる排ガスは温度が場所によって異なりうるので、上流側排ガス管5の下流端および下流側排ガス管7の上流端の位置は、軸線方向Lおよび径方向で変動する。この変動は、伸縮部材17が変形することによって吸収される。
したがって、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7に発生する変形に伴う熱応力を緩和することができる。
排ガスは、フローライナ23の内面に沿って高速に移動するので、フローライナ23に大きな力が作用している。たとえば、排ガス量の変動や乱れ等の排ガスの変動によってフローライナ23に作用する力が変動するので、排ガスはフローライナ23に加振力を作用させて振動を発生させる。
本実施形態では、横リブ27がフローライナ23の自由端である下流端部における剛性を高めることができる。このように、フローライナ23の下流端部における剛性が高くなると、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部を通過する排ガスの変動に伴う加振力に対する剛性が強くなるので、フローライナ23の下流端部に発生する振動を緩和することができる。
このため、フローライナ23に発生する応力の大きさが抑制できるので、フローライナ23が疲労損傷する可能性を低減させることができる。
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造1について、図4および図5を用いて説明する。
本実施形態は、補強部材の構成が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
図4は、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造1のフローライナ部11を示す部分断面図である。図5は、図4のX−X断面図である。
本実施形態では、フローライナ23(小径部31)の下流側部分の下流側排ガス管7に面した面に下流側排ガス管7に向けて延在するように移動部材37がボルト39によって取り付けられている。移動部材37は、円柱形状をした棒材であり、周方向に所定間隔を空けて複数本取り付けられている。
移動部材37の先端部には、略直方体形状をした駒41(駒部)が固定して取り付けられている。移動部材37および駒41は、フローライナ23に固定されているので、フローライナ23の下流側部分の剛性を強化する機能を有している。
下流側排ガス管7の内周面には、C字形断面をした管状体であるガイド(ガイド部材)43が、開口部45が軸線方向Lに延在するように固定して取り付けられている。開口部45の幅は移動部材37の外径よりも大きく、駒41の幅よりも小さくされている。ガイド43の軸線方向Lの長さは、駒41の長さよりも十分に大きくされている。
このようにすると、フローライナ23の下流側部分に取り付けられる移動部材37および駒41がフローライナ23の自由端である下流端部における剛性を、駒41がガイド43に接触しフローライナ23を支持することで、高めることができる。このように、フローライナ23の下流端部における剛性が高くなると、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部を通過する排ガスの変動に伴う加振力に対する剛性が増大するので、フローライナ23の下流端部に発生する振動を緩和することができる。
このため、フローライナ23に発生する応力の大きさが緩和できるので、フローライナ23が疲労損傷する可能性を低減させることができる。
なお、本実施形態では、フローライナ23に移動部材37を取り付け、下流側排ガス管7にガイド43を取り付けているが、フローライナ23にガイド43を取り付け、下流側排ガス管7に移動部材37を取り付けるようにしてもよい。
この場合、フローライナ23に取り付けられたガイド43および移動部材37がフローライナ23の剛性を高め、補強部材の機能を有することになる。
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造1について、図6〜図8を用いて説明する。
本実施形態は、フローライナ部11の構成が第実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
図6は、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造のフローライナ部を示す部分断面図である。図7は、図6のB部を示す部分断面図である。図8は、図7のY−Y断面図である。
本実施形態のフローライナ部11には、フローライナ23の下流側に下流側フローライナ47が備えられている。
下流側フローライナ47は、全体的に円筒形状をした板材である。下流側フローライナ47は、フローライナ23とフローライナ23の下流端面に対し面対称となるように構成されている。
下流側フローライナ47には、上流側にフローライナ23の小径部31と略同径の小径部49と、それに続く下流に向かい順次径が拡大される傾斜部51と、下流側排ガス管7の内径と略等しい外径の大径部53と、が備えられている。
下流側フローライナ47は、小径部49の上流側端部が、フローライナ23の下流側端部に対向するように配置され、下流側の大径部53が下流側排ガス管7の内面にボルトによって固定して取り付けられることによって下流側フローライナ47は上流側排ガス管5に取り付けられている。
したがって、傾斜部51および小径部49は、大径部53に支持されているだけであり、小径部49の上流側端部は自由端とされている。
下流側フローライナ47の内周面には、フローライナ23の内周面にと同様に構成された内側リブ55が、下流側フローライナ47から径方向内側に突起し、軸線方向Lで下流側フローライナ47の略全長を覆うように軸線方向Lに延在するように取り付けられている。内側リブ55は、たとえば、全周溶接によって下流側フローライナ47に固定されている。全周溶接でなくスポット溶接であってもよい。
内側リブ55は、下流側フローライナ47の全体の剛性を強化する機能を有している。
フローライナ23の下流端と下流側フローライナ47の上流端とで形成される隙間は、上流側排ガス管5と下流側排ガス管7との熱による軸線方向Lの伸縮量の差異を吸収できる程度の大きさでよいので、小径部31と下流側排ガス管7との隙間に比べて小さくすることができる。このため、排ガスが伸縮継手9に入り込むのを抑制することができるので、その分断熱材21の量を削減することができるし、断熱材の寿命を長くすることができる。
下流側フローライナ47(小径部49)の上流側部分の下流側排ガス管7に面した面に下流側排ガス管7に向けて延在するように移動部材57がボルト59によって取り付けられている。移動部材57は、円柱形状をした棒材であり、周方向に移動部材37と同じ位置に取り付けられている。
移動部材57の先端部には、略直方体形状をした駒61が固定して取り付けられている。移動部材57および駒61は、下流側フローライナ47に固定されているので、下流側フローライナ47の上流側部分の剛性を強化する機能を有している。
駒41と駒61とは、伸縮部材62によって連結されている。伸縮部材62は、たとえば、バネ鋼等の伸縮可能な材料で構成され、駒41と駒61との間隔変化に対応できる。
下流側排ガス管7の内周面には、C字形断面をした管状体であるガイド(ガイド部材)63が、開口部65が軸線方向Lに延在するように固定して取り付けられている。
ガイド63の軸線方向Lにおける長さは、駒41および駒61を十分に収容できる大きさとされている。
開口部65の幅は移動部材37,57の外径よりも大きく、ガイド43,63の幅よりも小さくされている。
このようにすると、移動部材37および駒41がフローライナ23の自由端である下流側端部における剛性を高めることができる。移動部材57および駒61が下流側フローライナ47の自由端である上流側端部における剛性を高めることができる。
このように、フローライナ23の下流側端部および下流側フローライナ47の上流側端部における剛性が高くなると、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部を通過する排ガスの変動に伴う加振力に対する剛性が増大するので、フローライナ23の下流端部および下流側フローライナ47に発生する振動を抑制することができる。
このため、フローライナ23および下流側フローライナ47に発生する応力の大きさが緩和できるので、フローライナ23が疲労損傷する可能性を低減させることができる。
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造1について、図9を用いて説明する。
本実施形態は、補強部材の構成が第実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、上述の実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。を用いて説明する。
図9は、本実施形態にかかる伸縮継手構造1のフローライナ部11を示す部分断面図である。
本実施形態では、下流側排ガス管7の内周面に円弧状の板材である移動部材67が取り付けられている。移動部材67は、面部が周方向に延在するように配置されている。
移動部材67の下流側の面には、補強用の適宜数のリブ69が径方向に延在するように溶接によって取り付けられている。リブ69は、移動部材67の上流側の面に取り付けられてもよいし、両側の面に取り付けられてもよい。また、リブ69を備えなくてもよい。
移動部材67は、周方向に間隔を空けて複数備えられてもよいし、1個であってもよい。また、移動部材67は全周に亘るようにされてもよい。
移動部材67の先端部には、断面が略直方体形状をし、周方向に延在する駒71が固定して取り付けられている。
フローライナ23(小径部31)の下流側部分の下流側排ガス管7に面した面に、C字形断面をした管状体であるガイド(補強部材、ガイド部材)73が、開口部75が周方向に延在するように固定して取り付けられている。
開口部75の幅は移動部材67およびリブ69の軸方向長さよりも大きく、駒71の幅よりも小さくされている。ガイド73の周方向の長さは、駒71の長さよりも十分に大きくされ、たとえば、全周に亘るようにされている。
ガイド73は、フローライナ23に固定されているので、ガイド73が移動部材67に押し付けられると支持部材を得たことになり、フローライナ23の下流側部分の剛性を強化している。また、ガイド73だけでも、構造部材を増やしたことに相当し剛性が増す。
このように、フローライナ23の下流端部における剛性が高くなると、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部を通過する排ガスの変動に伴う加振力に対する剛性が増大するので、フローライナ23の下流端部に発生する振動を緩和することができる。
このため、フローライナ23に発生する応力の大きさが緩和できるので、フローライナ23が疲労損傷する可能性を低減させることができる。
下流側排ガス管7とガイド73の下流側端との間には、板バネ77が装着されている。板バネ77は、下流側排ガス管7とガイド73の位置変動に伴い弾性変形し、この間の空間を覆うので、排ガスが伸縮継手9に進入するのを抑制することができる。
したがって、移動部材67およびガイド73と合わさって排ガスやそれに伴う熱の伸縮継手9への進入を効果的に抑制することができるので、伸縮継手9に設置される断熱材21の量を削減することができるし、断熱材の寿命を長くすることができる。
なお、本実施形態では、フローライナ23にガイド73を取り付け、下流側排ガス管7に移動部材67を取り付けているが、フローライナ23に移動部材67を取り付け、下流側排ガス管7にガイド73を取り付けるようにしてもよい。
この場合、フローライナ23に取り付けられた移動部材67がフローライナ23の剛性を高める、補強部材の機能を有することになる。
[第二参考実施形態]
次に、本発明の第二参考実施形態にかかる伸縮継手構造1について、図10を用いて説明する。
本実施形態は、補強部材の構成が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
図10は、本実施形態にかかる伸縮継手構造1のフローライナ部11を示す部分断面図である。
本実施形態では、フローライナ23の下流側部分と下流側排ガス管7との間に、チューブ状部材(補強部材)79が装着されている。
チューブ状部材79は、断面が円形の管状部材であり、耐熱性のある材料、たとえば、金属製で形成されている。チューブ状部材79は、弾力性を有するように構成され、変形し易くされている。
チューブ状部材79は、フローライナ23の下流側部分と下流側排ガス管7とによって少しつぶされた状態で設置され、周方向の複数箇所で、取付ボルト81によって取り付けられている。
チューブ状部材79における取付ボルト81が貫通する開口部は、取付ボルト81の径よりも大きくされている。
このため、取付ボルト81はチューブ状部材79の移動を許容するとともに大きく変位しないように位置を規制している。
このようにすると、フローライナ23の下流側部分は、チューブ状部材79を介して下流側排ガス管7によって移動することが抑制され、また、支持バネを得たことになるので、チューブ状部材79は、フローライナ23の自由端である下流端部における剛性を高めることができる。
このため、チューブ状部材79がフローライナ23の下流端部に発生する振動を低減することができるので、フローライナ23に発生する応力の大きさが低減でき、フローライナ23が疲労損傷する恐れを低減させることができる。
チューブ状部材79は、フローライナ23と下流側排ガス管7との間に形成される隙間を覆っているので、この隙間から流体やそれに伴う熱が伸縮継手9に入り込むのを抑制することができる。
このため、伸縮継手9に設置される断熱材21の量を削減することができる。
なお、取付ボルト81のフローライナ23への取り付けを溶接によって行ってもよい。このようにすると、ガタが減じるので、取付ボルト81もフローライナ23の剛性向上に寄与することになる。
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態にかかる伸縮継手構造1について、図11および図12を用いて説明する。
本実施形態は、補強部材の構成が第一参考実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、第一参考実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一参考実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
図11は、本実施形態にかかる伸縮継手構造1のフローライナ部11を示す部分断面図である。図12は、図11のフローライナ23の一部を示す内周側から見た部分斜視図である。
本実施形態では、フローライナ23の伸縮継手9の面(外周面)に、周方向に間隔を空けて複数設けられ、それぞれ径方向に突起し、軸線方向Lに延在するように取り付けられている板材で構成される外側リブ(外リブ)83が備えられている。
外側リブ83は、フローライナ23の傾斜部33から小径部31に亘り設置され、たとえば、全周溶接によってフローライナ23に固定されている。外側リブ83は、全周溶接でなくスポット溶接であってもよい。
この外側リブ83は、フローライナ23の剛性を高め、特に、フローライナ23の自由端である下流端部における剛性を高めることができる。
このように、フローライナ23の下流端部における剛性が高くなると、上流側排ガス管5および下流側排ガス管7の内部を通過する排ガスの変動に伴う加振力に対する剛性が増大するので、フローライナ23の下流端部に発生する振動を低減することができる。
このため、フローライナ23に発生する応力の大きさが低減できるので、フローライナ23が疲労損傷する可能性を低減させることができる。
本実施形態では、フローライナ23の下流側部分と下流側排ガス管7との間に、断面が半円形の管状部材である半チューブ状部材(補強部材)85が装着されている。
半チューブ状部材85は、耐熱性のある材料、たとえば、金属製で形成されている。半チューブ状部材85は、弾力性を有するように構成され変形し易くされている。
半チューブ状部材85は、フローライナ23と下流側排ガス管7との間に形成される隙間を覆っているので、この隙間から流体やそれに伴う熱が伸縮継手9に入り込むのを抑制することができる。
このため、伸縮継手9に設置される断熱材21の量を削減することができる。
なお、本発明は以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行ってもよい。
1 伸縮継手構造
5 上流側排ガス管(上流側配管)
7 下流側排ガス管(下流側配管)
9 伸縮継手(伸縮継手部)
11 フローライナ部
21 断熱材
23 フローライナ
27 横リブ(補強部材)
37 移動部材
41 駒(駒部)
43 ガイド(ガイド部材)
47 下流側フローライナ
63 ガイド(ガイド部材)
73 ガイド
77 板バネ(弾性部材)
79 チューブ状部材
83 外側リブ(外リブ)
85 半チューブ状部材

Claims (5)

  1. 軸線方向に間隔を空けて配置された上流側配管および下流側配管を間隔調整可能に接続する伸縮継手部と、
    上流側端部が前記上流側配管の内面に固定された略円筒形状をし、前記伸縮継手部を覆うように下流側に延在するとともに径方向に間隔を空けて配置されたフローライナと、を備えている伸縮継手構造であって、
    前記フローライナは、前記上流側配管の内径と略等しい外径の大径部と、前記大径部よりも径の小さな小径部と、前記大径部および前記小径部を接続する順次径が変化する傾斜部とを備え、
    該フローライナの外周部に、該フローライナの剛性を高める補強部材を備え、
    前記補強部材は、前記フローライナの前記伸縮継手部側の面に、周方向に間隔を空けて複数設けられ、且つ前記フローライナの前記傾斜部から前記小径部に亘って固定され、それぞれ径方向に突起し、前記軸線方向に延在するように取り付けられている板材で構成される外リブとされていることを特徴とする伸縮継手構造。
  2. 軸線方向に間隔を空けて配置された上流側配管および下流側配管を間隔調整可能に接続する伸縮継手部と、
    上流側端部が前記上流側配管の内面に固定された略円筒形状をし、前記伸縮継手部を覆うように下流側に延在するとともに径方向に間隔を空けて配置されたフローライナと、を備えている伸縮継手構造であって、
    該フローライナの下流端部に、該フローライナの剛性を高める補強部材を備え、
    前記フローライナの下流側部分および前記下流側配管のいずれか一方に他方の前記フローライナの下流側部分あるいは前記下流側配管に向けて延在するように取り付けられ、先端部に駒部を有する移動部材と、前記他方の前記フローライナの下流側部分あるいは前記下流側配管に取り付けられ、前記駒部が移動可能に案内されるガイド部材と、を備え、
    前記補強部材は、前記フローライナの下流側部分に取り付けられた前記移動部材あるいは前記ガイド部材とされていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮継手構造。
  3. 前記移動部材は、円弧状をした板材で、周方向に延在するように取り付けられ、前記ガイド部材の開口部は、周方向に延在するようにされていることを特徴とする請求項2に記載の伸縮継手構造。
  4. 前記フローライナの下流端に、前記フローライナと前記下流側配管との間に形成される空間を覆う弾性部材が装着されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の伸縮継手構造。
  5. 前記フローライナの下流側に、前記フローライナの下流端面に対し面対称となるように構成された下流側フローライナが前記下流側配管に、該下流側フローライナの上流端と前記フローライナの下流端とが対向するように取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の伸縮継手構造。
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