JP5921059B2 - 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びコーティング剤 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関し、更に詳しくはアルミニウム等の金属との密着性に優れたコート層を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びコーティング剤に関するものである。
従来より、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、ごく短時間の放射線の照射により硬化が完了するため各種基材へのコーティング剤や接着剤、又はアンカーコート剤等として幅広く用いられている。
しかし、金属系の基材の表面に硬化皮膜を形成させるためのコーティング剤や塗料に関しては、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いたコーティング剤や塗料では、金属系基材に対する密着性に劣るものであったため、なかなか充分なものが得られておらず、金属密着性を上げるべく種々の開発が進められてきた。
例えば、特許文献1においては、活性エネルギー線によって反応しうる重合性不飽和基を分子中に有するりん酸エステルを組成物の一成分として含有する被覆材用組成物が、金属の基材に対して優れた密着性を有することが記載されている。
また、特許文献2においては、(a)光硬化性アクリレート系樹脂、(b)カルボキシル基含有単官能アクリレート、(c)りん酸アクリレート、(d)2官能アクリレートモノマー、(e)3官能以上のアクリレートモノマー、(f)光開始剤からなる光硬化性組成物が、硬化性に優れ、更に硬化組成物が均一な皮膜を形成するために鋼管との付着性、表面平滑性にも優れることが記載されている。
特開昭58−219272号公報 特開2002−80511号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2の開示技術では、りん酸エステルを用いたことにより金属基材に対する密着性はある程度認められるものの、金属基材は加工、製造時に折り曲げられたり、高温条件下にさらされることが多く、これらを考慮すると、より過酷な条件下における被覆性能に優れており、かつコーティング剤としての機械的物性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の開発が求められていた。
そこで、本発明は、このような背景下において、アルミニウム等の金属基材との密着性に優れ、更には、被覆された金属基材の折り曲げ時や煮沸時にも塗膜の剥離や外観変化が生じない活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びコーティング剤を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、アクリル系樹脂、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物として、ポリオール成分由来の構造部位を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物とポリオール成分由来の構造部位を有せず、3個以上のエチレン性不飽和基を含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を用いてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の2種を併用することにより、金属基材の折り曲げ時や煮沸時にも塗膜の剥離や外観変化が生じない、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)、ポリオール系化合物(a3)を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、アクリル系樹脂(C)、及び、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)を含有してなり、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)が3個以上のエチレン性不飽和基を含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物であり、アクリル系樹脂(C)の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計を100重量部としたときに、5〜90重量部であり、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計を100重量部としたときに、0.05〜10重量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関するものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いたコーティング剤は、金属に対して優れた密着性を示し、更には被覆後の金属基材の折り曲げ時や煮沸時にも塗膜の剥離や外観変化が生じないといった優れた効果を有するものであり、また塗膜硬度や耐擦傷性についても優れるものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)、ポリオール系化合物(a3)を反応させて得られるものであり、その構造中にポリオール系化合物(a3)由来の構造部位を有するものである。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1個有する水酸基(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、特には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが、反応性および汎用性に優れる点で好ましい。
また、これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
多価イソシアネート系化合物(a2)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、
アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)、等が挙げられる。
これらの中でも、脂環式多価イソシアネート系化合物が好ましく用いられ、特にはイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが硬化塗膜の黄変が少ない点や、硬化収縮が小さい点で更に好ましく用いられる。
ポリオール系化合物(a3)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体が挙げられる。
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示の多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
ポリオレフィン系ポリオールとしては、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
(メタ)アクリル系ポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エステルを重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールが好ましく、硬化時に柔軟性等の機械的物性に優れる点で、ポリエステル系ポリオールが特に好ましい。
本発明で用いるポリオール系化合物(a3)の分子量としては、500〜8000が好ましく、特に好ましくは550〜5000、更に好ましくは600〜3000である。ポリオール(a3)の分子量が大きすぎると、硬化時に塗膜硬度等の機械的物性が低下する傾向があり、小さすぎると硬化収縮が大きく安定性が低下する傾向がある。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造法は、通常、上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)、ポリオール系化合物(a3)を、反応器に一括又は別々に仕込み反応させればよいが、ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)を反応させるのが、反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応には、公知の反応手段を用いることができる。その際、例えば、多価イソシアネート系化合物(a2)中のイソシアネート基:ポリオール(a3)中の水酸基とのモル比を通常2n:(2n−2)(nは2以上の整数)程度にすることにより、イソシアネート基を残存させた末端イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を得た後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応を可能にする。
上記ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)とを予め反応させて得られる反応生成物と、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応にも、公知の反応手段を用いることができる。
反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応モル比は、例えば、多価イソシアネート系化合物(a2)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)が1:2程度であり、多価イソシアネート系化合物(a2)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)が1:3程度である。
この反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られる。
かかるポリオール(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫等の有機金属化合物、オクトエ酸亜鉛、オクトエ酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒等が挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。
またポリオール(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
また、反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、2個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが好ましく、3個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが特に好ましく、更には4個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが、硬化塗膜の硬度の点で更に好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が含有するエチレン性不飽和基の上限は通常30個であり、好ましくは25個以下である。
得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の重量平均分子量としては500〜50000であることが好ましく、更には1000〜30000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が小さすぎると硬化塗膜が脆くなる傾向があり、大きすぎると高粘度となり取り扱いにくくなる傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の60℃における粘度が500〜15万mPa・sであることが好ましく、特には500〜12万mPa・s、更には1000〜10万mPa・sであることが好ましい。かかる粘度が上記範囲外では塗工性が低下する傾向がある。
尚、粘度の測定法はE型粘度計による。
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)は、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)を反応させて得られるものである。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)としては、上記の水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)と同様のものが例示でき、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、3個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物を1種以上用いることが硬化塗膜の硬度の点で必要であり、更にはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
多価イソシアネート系化合物(b2)としては、上記の多価イソシアネート系化合物(a2)と同様のものが例示でき、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、
アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)、等が挙げられる。
これらの中でも、脂環式多価イソシアネート化合物が好ましく用いられ、特にはイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが硬化塗膜の黄変が少ない点や、硬化収縮が小さい点で更に好ましく用いられる。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)は、硬化塗膜の硬度の点から3個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが好ましく、4個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが特に好ましく、6個以上のエチレン性不飽和基を有するものであることが更に好ましく、中でもペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとを反応させてなる6個のエチレン性不飽和基を有するウレタン(メタ)アクリレートが殊に好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が含有するエチレン性不飽和基の上限は通常30個であり、好ましくは25個以下である。
なお、エチレン性不飽和基の個数を調整するためには、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と、多価イソシアネート系化合物(b2)とを、適宜選択して用いればよく、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)として3個のエチレン性不飽和基を有するものを用いて、多価イソシアネート系化合物(b2)として、ジイソシアネート化合物を用いる場合には、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)中のエチレン性不飽和基数は6個となる。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の製造方法については、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造方法に準じて製造すればよい。
なお、多価イソシアネート系化合物(b2)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)との反応モル比は、例えば、多価イソシアネート系化合物(b2)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)の水酸基が1個である場合は、多価イソシアネート系化合物(b2):水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)が1:2程度であり、多価イソシアネート系化合物(b2)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)の水酸基が1個である場合は、多価イソシアネート系化合物(b2):水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)が1:3程度である。
この多価イソシアネート系化合物(b2)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が得られる。
得られたウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の重量平均分子量としては500〜50000であることが好ましく、更には1000〜30000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が小さすぎると硬化塗膜が脆くなる傾向があり、大きすぎると高粘度となり取り扱いにくくなる傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、上記と同様にして測定される。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の60℃における粘度が500〜15万mPa・sであることが好ましく、特には500〜12万mPa・s、更には1000〜10万mPa・sであることが好ましい。かかる粘度が上記範囲外では塗工性が低下する傾向がある。
尚、粘度の測定法はE型粘度計による。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の合計量((A)と(B)の和)としては、(A)〜(D)成分の合計を100重量部としたときに、10〜80重量部であることが好ましく、特に好ましくは20〜75重量部、殊に好ましくは30〜70重量部である。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の合計量が少なすぎると、鉛筆硬度や耐傷性が低下する傾向があり、多すぎると粘度が上昇し塗工性が低下する傾向がある。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の含有割合(重量比)としては、(A):(B)=1:0.1〜1:2であることが好ましく、特に好ましくは(A):(B)=1:0.2〜1:1.8である。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の含有割合が多すぎると、密着性が低下したり、硬化収縮が大きくなる傾向があり、少なすぎると粘度が高くなり、耐擦傷性、硬度等の機械的物性が低下する傾向がある。
本発明におけるアクリル系樹脂(C)とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を共重合してなるものである。
アクリル系樹脂(C)は、好ましくは、重合成分として、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)を主成分として含有し、必要に応じて、官能基含有モノマー(c2)、その他の共重合性モノマー(c3)を共重合成分とすることもできる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルについては、アルキル基の炭素数が、通常1〜12、特には1〜8、更には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸フェニルエステルとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
官能基含有モノマー(c2)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アルコキシ基又はフェノキシ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、単独又は2種以上併用して用いられる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
また、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。なお、かかるカルボキシル基含有モノマーは、酸のまま用いても良いし、アルカリで中和された塩の形で用いても良い。
上記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、フェノキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートのアクリル酸エステル等があげられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等が挙げられる。
上記窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
これら官能基含有モノマー(c2)は、1種又は2種以上併用して用いてもよい。
その他の共重合性モノマー(c3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
アクリル系樹脂(C)において、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)、官能基含有モノマー(c2)、及びその他共重合性モノマー(c3)の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)が好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは20〜95重量%、官能基含有モノマー(c2)が好ましくは0〜90重量%、特に好ましくは5〜80重量%、その他共重合性モノマー(c3)が好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0〜40重量%であればよい。
本発明におけるアクリル系樹脂(C)としては、ウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性に優れる点でメチル(メタ)アクリレートを重合成分とする重合体であることが好ましく、特にはメチルメタリレートを重合成分とする重合体であることが好ましく、更にはポリメチルメタクリレートであることが好ましい。
本発明においては、上記(c1)〜(c3)のモノマー成分を重合することによりアクリル系樹脂(C)を製造するのであるが、かかる重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行うことができる。例えば、有機溶媒中に、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(c1)、官能基含有モノマー(c2)、その他の共重合性モノマー(c3)等の重合モノマー、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等)を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
アクリル系樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、通常、40〜120℃、好ましくは60〜110℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると硬化塗膜の熱収縮の緩和作用が低下する傾向があり、低すぎると硬化塗膜の熱耐久性が低下する傾向がある。
かくして得られるアクリル系樹脂(C)の重量平均分子量については、通常、1万〜300万、好ましくは3万〜250万である。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましい。
尚、上記の重量平均分子量、数平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるもので、また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。またガラス転移温度はFoxの式より算出されるものである。
アクリル系樹脂(C)の含有量としては、(A)成分と(B)成分の合計を100重量部としたときに、5〜90重量部であり、特に好ましくは10〜90重量部、殊に好ましくは20〜90重量部である。
アクリル系樹脂(C)の含有量が少なすぎると、密着性が低下したり、硬化収縮が大きくなる傾向があり、多すぎると耐傷性等の機械的物性が低下する傾向がある。
本発明におけるリン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)としては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、リン酸エチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸1−クロロメチルエチレン(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を1個有するリン酸基含有エチレン性不飽和化合物、
ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ホスフェート、エチレンオキサイド変性リン酸ジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を2個以上有するリン酸基含有エチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
なかでもエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を用いることが耐擦傷性の点で好ましく、特にはビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ホスフェートが、殊にはビス(2−メタクリロイロキシエチル)ホスフェートが基材密着性の点で好ましい。
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)の含有量としては、(A)成分と(B)成分の合計を100重量部としたときに、0.05〜10重量部であり、特に好ましくは0.1〜8重量部、殊に好ましくは0.2〜5重量部である。
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)の含有量が少なすぎると、密着性が低下する傾向があり、多すぎると基材を腐食したり、耐擦傷性、硬度等の機械的物性を低下させる傾向がある。
本発明では、更に、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、アクリル系樹脂(C)及びリン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)の他に、光重合開始剤(E)を含有してなることも本発明の効果を発揮する点で好ましい。
光重合開始剤(E)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。なお、これら光重合開始剤(E)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
光重合開始剤(E)の含有量としては、(A)成分と(B)成分の合計を100重量部としたときに、0.1〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは1〜15重量部、殊に好ましくは2〜10重量部である。
光重合開始剤(E)の含有量が少なすぎると、硬化不良となる傾向があり、多すぎると耐擦傷性、硬度等の機械的物性が低下する傾向があったり、脆化や着色の問題が起こりやすい傾向がある。
本発明においては、上記(A)〜(D)および(E)成分に加えて、必要に応じて更に、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤等を添加することができる。
表面調整剤としては特に限定されず、例えば、セルロース系添加剤、アルキッド樹脂等を挙げることができる。
かかるセルロース系添加剤、アルキッド樹脂は、塗布時の造膜性を付与する作用や、金属蒸着面との接着性を上げる作用を有する。該セルロース系添加剤としては、流動性を低下させるために数平均分子量15000以上の高分子量品が好ましく、このようなものとしては、例えば、セルロース−アセテート−ブチレート樹脂等を挙げることができる。
かかるレベリング剤としては、塗液の基材への濡れ性付与作用、表面張力の低下作用を有するものであれば、公知一般のレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン変性樹脂、フッ素変性樹脂、アルキル変性の樹脂等を用いることができる。
重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール等を挙げることができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、油、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤、無機粒子(シリカを除く。)等を配合することも可能である。
かくして本発明のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、アクリル系樹脂(C)、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)を含有した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られる。
かかる樹脂組成物は必要に応じて、有機溶剤を配合し、粘度を調整して使用することも可能である。かかる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら上記の有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類とメチルエチルケトン等のケトン類やメタノール等のアルコール類との組み合わせや、メチルエチルケトン等のケトン類とメタノール等のアルコール類の組み合わせ、メタノール等のアルコール類の中から2種以上を選び併用すること等が、塗膜外観の点で好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記有機溶剤を用いて、通常10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の希釈し、塗布すればよい。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造するにあたり、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、アクリル系樹脂(C)、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)、光重合開始剤(E)の混合方法については、特に限定されるものではなく、種々方法により混合することができる。
中でも、(A)と(B)を混合し、(C)を追加した後、(D)を加え、最後に(E)を加える方法が好ましく用いられ、更には、酢酸エチル、トルエンなどの有機溶剤に(A)と(B)を溶解させた溶液を作り、そこへ有機溶剤に溶解させた(C)を添加し、そこに(D)と(E)をこの順序で添加する方法が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、各種基材へのトップコート剤やアンカーコート剤など、塗膜形成用の硬化型樹脂組成物として有効に用いられるものであり、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を基材に塗工した後、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
かかる活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。尚、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤(E)を用いなくても硬化し得る。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30〜3000mJ/cm2程度照射すればよい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
塗工膜厚(硬化後の膜厚)としては、通常1〜30μmであることが好ましく、特には2〜20μmであることが好ましい。塗工膜厚が厚すぎると、沸騰水浸漬試験等の熱負荷が大きく掛かる耐久性試験において硬化塗膜の熱収縮が大きくなり、基材に対する密着性を低下させる傾向がある。一方、薄すぎると、UV硬化膜として目的とする表面硬度が得られない傾向がある。
かかる基材としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂等やそれらの成型品(フィルム、シート、カップ、等)、金属、ガラス等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、これら基材に対して、優れた密着性能を有するものであるが、特には、通常のコーティング剤では充分な密着性を得ることが困難な基材の金属である場合においても、優れた金属密着性を有するものである。
かかる金属としては、アルミニウム、銅、鉄、SUS,亜鉛、マグネシウム、及びこれらの合金等が挙げられるが、特にはアルミニウム、マグネシウム及びこれらの合金に対して顕著に効果を発揮する。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、アクリル系樹脂(C)、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)を含有してなる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、アルミニウム等の金属基材との密着性に優れ、更には、被覆された金属基材の折り曲げ時や煮沸時にも塗膜の剥離や外観変化が生じないという優れた効果を示すものである。そして、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、塗料、粘着剤、接着剤、粘接着剤、インク、保護コーティング剤、アンカーコーティング剤、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、版材など、各種の被膜形成材料として有用である。中でも、金属を基材とするコーティング剤として用いるのが非常に有用である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の合成例
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[A−1]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート37.2g(0.17モル)、3官能のポリエステルポリオール(水酸基価260mgKOH/g)12.9g(0.02モル)、2官能のポリエーテルポリオール(水酸基価175mgKOH/g)25.6g(0.04モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.8g(0.22モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2〜3官能ウレタンアクリレート(A−1)を得た。
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[A−2]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、水添ジフェニルメタンジイソシアネート37.2g(0.17モル)、2官能のポリエーテルポリオール(水酸基価175mgKOH/g)51.3g(0.08モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート19.7g(0.17モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(A−2)を得た。
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[A−3]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート13.7g(0.06モル)、2官能のポリエステルポリオール(水酸基価45mgKOH/g)101.4g(0.04モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.3g(0.02モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(A−3)を得た。
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[B−1]〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート19.3g(0.09モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価105mgKOH/g)96.3g(0.18モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、6官能ウレタンアクリレート(B−1)を得た。
〔アクリル系樹脂[C−1]〕
攪拌装置、還流器、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、トルエン(溶媒)50.0gを入れて、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート50.0g、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量加えた混合物を2.0時間かけて滴下し、さらに1.0時間同温度に維持して重合を完結させ、アクリル系樹脂(C−1)の溶液(濃度50%)を得た。得られた(C−1)の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は45,000、ガラス転移温度(Tg)は100℃であった。
〔アクリル系樹脂[C−2]〕
攪拌装置、還流器、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、キシレン(溶媒)50.0gを入れて、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート32.5g、n−ブチルメタクリレート17.5gおよび重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量加えた混合物を2.0時間かけて滴下し、さらに1.0時間同温度に維持して重合を完結させ、アクリル系樹脂(C−2)の溶液(濃度50%)を得た。得られた(C−2)の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は90,000、ガラス転移温度(Tg)は75℃であった。
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)として以下のものを用意した。
〔リン酸基含有エチレン性不飽和化合物[D−1]〕
・ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ホスフェート(共栄社化学製、「ライトエステルP−2M」)
光重合開始剤(E)として以下のものを用意した。
〔光重合開始剤(E−1)〕
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)
実施例1
〔活性エネルギー線硬化型樹脂組成物〕
上記のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)、アクリル系樹脂(C−1)、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D−1)、光重合開始剤(E−1)を固形分換算で表1に示す割合で配合し、酢酸ブチルで光重合開始剤を除いた固形分が40%になるように希釈し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について、以下の評価を行った。
<基材密着性>
上記で得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、アルミ基材(JIS H 4000,A1050P)上にバーコーターNO.24を用いて、乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗工し、60℃で5分間乾燥した後、高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量500mJ/cm)を行い、硬化塗膜を形成した。硬化塗膜について、JIS K 5400(1990年版)に準じて碁盤目テープ法により評価した。
<耐折り曲げ性>
上記で得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、アルミ基材(JIS H 4000,A1050P)上にバーコーターNO.24を用いて、乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗工し、60℃で5分間乾燥した後、高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量500mJ/cm)を行い、硬化塗膜を形成した。試験片を23℃、50%RHの環境下で48時間放置した後、JIS K 5600−5−1:1999 円筒形マンドレル法による耐屈曲性の試験(タイプ1の試験装置でマンドレルの直径2mm、折り曲げ時間2秒、23℃50%環境下で試験、)を、試験片の長手方向で行い、かかる試験においても割れないものを○、割れたものを×とし、その角度も測定した。
<耐沸騰水性>
上記で得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、アルミ基材(JIS H 4000,A1050P)にバーコーターNO.24を用いて、乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗工し、60℃で5分間乾燥した後、高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量500mJ/cm)を行い、硬化塗膜を形成した。アルミ基材(JIS H 4000,A1050P)に形成した硬化塗膜を沸騰水に1時間浸漬し、塗膜の表面状態を観察した。また、基板への密着具合を上記と同様、JIS K 5400(1990年版)に準じて碁盤目テープ法により評価した。なお、塗膜外観は以下の評価基準に従い評価した。
<塗膜外観>
○・・・変化はなかった。
△・・・塗膜が一部白化した。
×・・・塗膜が白化した。
実施例2
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)を、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−2)に替えた以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)を、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−3)に替えた以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)の配合比率を変更した以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
実施例5
実施例1において、アクリル系樹脂(C−1)をアクリル系樹脂(C−2)に替えた以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
比較例2
実施例1において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A−1)を用いなかった以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の組成を[表1]に、硬化塗膜の評価結果を[表2]に示す。
Figure 0005921059
Figure 0005921059
上記評価結果より、ポリオール由来の構造部位を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とポリオール由来の構造部位を有しないウレタン(メタ)アクリレート(B)の両方を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から得られる実施例1〜5に記載の硬化塗膜は、金属との密着性に優れ、かつ金属基材の折り曲げ時や煮沸時にも塗膜の剥離や外観変化が生じないことが分かる。
一方、ポリオール由来の構造部位を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のみ含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から得られる比較例1の硬化塗膜は、耐金属基材の折り曲げ性には優れるものの煮沸時の外観が変化してしまう結果となり、ポリオール由来の構造部位を有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)のみ含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から得られる比較例2の硬化塗膜は、耐煮沸性には優れるものの、金属基材の折り曲げ時に基材が破壊されてしまう結果となった。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、塗膜硬度に優れ、更に硬化性にも優れた効果を示すものであり、塗料、粘着剤、接着剤、粘接着剤、インク、保護コーティング剤、アンカーコーティング剤、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、版材など、各種の被膜形成材料として有用である。中でも金属基材用のコーティング剤として用いるのが非常に有用である。

Claims (7)

  1. 水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)、ポリオール系化合物(a3)を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、
    水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、
    アクリル系樹脂(C)、及び、
    リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)
    を含有してなり、
    水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)が3個以上のエチレン性不飽和基を含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物であり、
    アクリル系樹脂(C)の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計を100重量部としたときに、5〜90重量部であり、
    リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計を100重量部としたときに、0.05〜10重量部である
    ことを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  2. ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が、6個以上のエチレン性不飽和基を含有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  3. アクリル系樹脂(C)が、メチルメタクリレートを重合成分とする重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  4. リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(D)が、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  5. 更に、光重合開始剤(E)を含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有してなることを特徴とするコーティング剤。
  7. 金属基材用コーティング剤に用いることを特徴とする請求項6記載のコーティング剤。
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