JP5920705B2 - 溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金 - Google Patents

溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム−マグネシウム合金に係り、特に、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造された溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金に関する。
アルミニウム溶湯は、大気に曝されると容易に酸化して多量の酸化物等の介在物を形成させる。この介在物としては、Al、MgO、MgAl、SiO、珪酸塩、Al・Si・O、FeO、Feなどの酸化物の他に、炭化物(Al、AlC、黒鉛炭素)、ボライド(AlB、AlB12、TiB、VB)、AlTi、AlZr、CaSO、AlN及び各種のハロゲン化物がある。
一方、アルミニウム−マグネシウム合金(以下、適宜、Al−Mg合金という)溶湯は、Mgの酸化物生成自由エネルギーがAlよりも小さいため、Mgが優先的に酸化され、MgO(マグネシア)、Al−MgO(スピネル)を形成させると考えられている。そして、前記酸化物はAl−Mg合金溶湯(以下、適宜、溶湯という)との濡れ性が高いため、溶湯中に沈降又は浮遊する介在物として存在することとなる。
これらの介在物が溶湯中に存在すると、最終的に非金属介在物となって、展伸材、鍛造品、ダイカスト品などの製品の品質低下を招いてしまう。
したがって、溶解炉、保持炉等による各製造段階において溶湯から介在物を分離除去するために、ガスやフラックスによる炉内溶湯処理、フィルター濾過や回転ノズル処理といったインライン処理等が行われている。
しかし、前記処理後に処理槽から溶湯を鋳造鋳型に移す工程、及び鋳造鋳型により鋳造を行う工程では、溶湯が大気に曝されるため、溶湯表面において酸化物が生成してしまう。
そこで、Al−Mg合金におけるMgの溶湯酸化を抑制するため、一般的にBe(ベリリウム)を数ppm添加する処理が行われている。そして、この処理を行うことで、MgO、Al−MgOの生成が抑制されることが確認されている(非特許文献1)。
しかしながら、作業者が前記Beを微粉末やヒュームとして継続的に吸引し続けると、慢性呼吸機能障害を引き起こす原因となる恐れがある。そのため、作業者の安全や作業環境の向上のため、Beの添加を抑制する必要があった。
また、近年の省エネルギー化・環境負荷軽減の観点から、リサイクルへの意識が高まっており、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造されたAl−Mg合金が使用されている。したがって、このようなアルミニウムスクラップを原料として用いた場合であっても、溶湯酸化を抑制できる技術の創出が望まれている。
そこで、特許文献1には、Al−Mg合金において、Beを添加しなくてもMgの溶湯酸化を抑制できる方法が提案されている。詳細には、Al−Mg合金中におけるBi(ビスマス)の含有量を30ppm(0.003質量%)以下とすることによって、溶湯面におけるBiの存在を少なくしてBiによるMgに対する酸素の供給を防止するとともに、溶湯面を酸素の拡散速度の遅いAlやMgの酸化膜によって覆うことで、溶湯中におけるMgOの形成を抑制するという方法である。
軽金属、No.21(1956)第68頁
特開2008−260975号公報
しかしながら、工業的によく使用されるAl、Mg新塊や再生アルミニウムの原料となるアルミニウムスクラップにはそもそも不純物としてBiは含まれておらず、従来から使用されている原料により製造されたAl−Mg合金のBi含有量は30ppm(0.003質量%)以下となっていた。つまり、Al−Mg合金のBiの含有量を30ppm以下と規定したとしても、従来のAl−Mg合金とは何ら違いがなかった。
また、詳細な結果については後記するが、Al−Mg合金に含まれるBiの含有量を30ppm以下に抑制したとしても、溶湯酸化により介在物が多数形成される場合があった。
したがって、特許文献1に記載された従来技術では、溶湯酸化を十分には抑制できていないのが現状である。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、Beを添加しなくても溶湯酸化を抑制することが可能なアルミニウム−マグネシウム合金を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の発明者らは、従来、Al−Mg合金溶湯では、Mgの酸化物生成自由エネルギーがAlよりも小さいため、Mgが優先的に酸化され、MgO、Al−MgOを形成させると考えられていたことに関し、以下のような検討を行った。
すなわち、本発明の発明者らは溶湯酸化のメカニズムについて鋭意検討した結果、Al−Mg合金溶湯中のP(リン)の存在が溶湯酸化に大きな影響を与えることを見出した。詳細には、Al−Mg合金溶湯中に所定量を超えるPが存在すると、当該PはMgと化合物(以下、適宜、P化Mgという)を形成するとともに溶湯内を浮上し、大気雰囲気にて酸化することでMgとPの複合酸化物(以下、適宜、Mg−P酸化物という)を形成させることがわかった。一方、Al−Mg合金溶湯中のPが所定量以下であると、Mg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制できることがわかった。
なお、前記Mg−P酸化物は溶湯との濡れ性が高いため、溶湯中に沈降又は浮遊する介在物として存在してしまうこともわかった。これは、MgとPの化合物が、AlとPの化合物よりも酸化物生成自由エネルギーが低く安定に溶湯中で存在し得るとともに、MgとPの化合物がAl溶湯よりも比重が小さく浮上するためである。
以上の事項に基づき、本発明を創出した。
すなわち、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、ベリリウムを含有しないアルミニウム−マグネシウム合金であって、Mgを0.8〜15質量%、Feを0.2〜0.6質量%、含有し、AlとMgとの含有量の合計が90質量%以上であるとともに、不純物としてのPの含有量が0.001質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、前記Feを0.4質量%以上含有し、キャンボディ材用であることが好ましい。
また、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、厚板用、キャンエンド材用、自動車パネル材用であってもよい。
このように、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、他の成分と併せてMgを0.8〜15質量%含有していても、Pの含有量を0.001質量%以下に規制していることから、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。
つまり、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、例えば、キャンボディ材(缶胴材)、厚板、キャンエンド材(缶蓋材)、自動車用パネル材として用いる場合であれば、他の成分として、Si、Fe、Cu、Mn、Zn、Cr、Ti等を所定量含有するとともに、残部がAlおよび不可避的不純物となる成分であっても、MgおよびPの含有量を規制しているので、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金によれば、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。その結果、介在物がほとんど形成しない高品質のAl−Mg合金を提供することができる。
以下、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を実施するための形態について、詳細に説明する。
[溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金]
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、マグネシウムを0.8〜15質量%含有するアルミニウム−マグネシウム合金であって、Pの含有量が所定量以下の合金である。
以下に、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金に含まれる各合金成分を数値限定した理由について説明する。
(Mg:0.8〜15質量%)
Mgは、最終板製品或いは最終押出製品に高い強度及び耐力を付与するために必須の元素である。
Mgの含有量が0.8質量%未満では、最終板製品或いは最終押出製品を製造した場合に十分な強度及び耐力を得られない。一方、Mgの含有量が15質量%を超えると、Mgの偏析により鋳造割れが発生し、造塊が困難となるため、製品加工に適さなくなる。
したがって、Mgの含有量は0.8〜15質量%とする。
(P:0.001質量%以下)
Pは、不純物元素である。
Pの含有量が0.001質量%(10ppm)を超えると前記のように、Mg−P酸化物の形成を促進し、最終板製品或いは最終押出製品の品質を劣化させてしまう。
したがって、Al−Mg溶湯中のPの含有量は0.001質量%以下とする。より好ましくは0.0005質量%(5ppm)以下である。0.0005質量%以下とすることにより、さらに好適に溶湯酸化を抑制することができるからである。
なお、Pの含有量は0質量%であってもよい。
(アルミニウム及びマグネシウムの含有量の合計:90質量%以上)
アルミニウム及びマグネシウムの含有量の合計が90質量%以上であると、規定していない他の元素の含有量を少なくすることができる。よって、他の元素による影響を受けにくくなるため、溶湯酸化の抑制の効果を適切に発揮することができる。一方、アルミニウム及びマグネシウムの含有量の合計が90質量%未満であると、Mg以外の他の元素を多量に含有することなり、他の元素の影響も大きくなるため、溶湯酸化の抑制の効果が低減してしまう。
したがって、アルミニウム及びマグネシウムの含有量の合計は90質量%以上であることが好ましい。
(その他の成分)
溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、前記成分の他、用途に応じて、Si、Fe、Cu、Mn、Cr、Zn等を含有するとともに、残部としてAlおよび不可避的不純物を含有する。なお、このようなその他の成分は、単体での含有量が5質量%を超えないことが好ましい。
[P低減方法]
工業的によく使用される純度99.7%以上のアルミニウム新塊や合金の製造時に添加されるMgに含まれているPは0.001質量%(10ppm)以下である。一方、市中屑や返り材などのアルミニウムスクラップには、通常、Pが0.0005〜0.01質量%(5〜100ppm)、またはそれ以上含有されている。
従って、前記アルミニウムスクラップの添加量が多いと必然的にP含有量が0.001質量%(10ppm)以上となる。
溶湯からPを除去する方法として、特定温度下で溶湯を濾過してAl−P化合物を濾過する方法(特開平4−276031号公報)や、溶湯中にMgOと共に酸素を吹き込んでP酸化物或いはMg−P酸化物を生成させてこれを分離する方法(特開平7−207366号公報)が提案されている。しかし、何れもアルミニウムロスが大きく経済的でないだけでなく、濾過に時間が掛かりすぎるため実用化には適用不可能である。
また、溶湯にMg或いはCaを添加して、塩素ガス或いは塩化物を吹き込みPとMgとの化合物を浮上させて除去する方法(特許第3524519号公報)も提案されているが、当該方法もマグネシウムロスが大きく経済的でないだけでなく、塩素使用量が増加するため実用化への適用は難しい。
そして、特許第3524519号公報に記載されている方法については、Mg添加量の増加に伴い脱P効果が大きくなるが、Mg量が0.66重量%以上となると脱P効果はほとんど変わらなくなる。更に、当該方法は脱P効果が低いため、100ppm含有したPを10ppm以下に低減することは不可能である。
従って、Pを10ppm以下にするには原料を調整する方法が有効である。
従って、Al−Mg溶湯中のPの含有量を0.001質量%(10ppm)以下とするには、P含有量が少ないアルミニウム新塊や製造時に添加されるMgの使用量と、アルミニウムスクラップの使用量を調整すればよい。
なお、使用するアルミニウム新塊、アルミニウムスクラップ、添加するMgについては、事前に、グロー放電質量分析法等によりP含有量(含有割合)を測定しておくことで、Al−Mg合金を製造する際に使用するそれぞれの量を適切に決定することができる。
[Pの含有量の測定方法]
Pの含有量の測定方法については、特に限定されないが、例えば、鋳込む直前の溶湯の一部を、所定サイズ(例えば、約45mmφ×約30mm高さ)の鋳型に鋳込み冷却することでサンプル用の鋳片を作製し、当該鋳片の鋳肌を旋盤等で切削して平滑化した表面に対しグロー放電質量分析法を用いて測定を行えばよい。また、キャンボディ材等の製品板に対しグロー放電質量分析法を用いて測定を行ってもよい。なお、どちらの方法でPの含有量を測定しても測定値に大きな違いは生じない。
[アルミニウムスクラップ]
アルミニウムスクラップとは、使用済みのアルミニウム製品であれば、限定されないが、例えば、使用済みのアルミニウム包装容器(飲料缶等)や、自動車部品アルミ鋳物、アルミ板にNi−Pメッキされたスクラップ材、Pが添加された過共晶Al−Si系合金等である。そして、これらのアルミニウムスクラップは、通常、Pを含有している。
次に、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を各製品に適用した場合における詳細な成分について記載する。
[キャンボディ材]
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金をキャンボディ材(缶胴材)に適用する場合について説明する。
従来、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造されたAl−Mg合金をキャンボディ材(缶胴材)に適用すると、所定量以上のPが存在することにより溶湯中に介在物(Mg−P酸化物)が多数発生し、最終的には、この介在物がしごき加工時のティアオフ(缶胴割れ)や巻締部での割れを生じさせてしまうという問題があった。
この問題に対して、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、以下に示すように対処することができる。
すなわち、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金によれば、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。その結果、介在物がほとんど形成しない高品質のAl−Mg合金が得られる。そして、このAl−Mg合金をキャンボディ材(缶胴材)に適用することにより、しごき加工時のティアオフ(缶胴割れ)や巻締部での割れの問題を回避することができる。
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金をキャンボディ材(缶胴材)に適用する場合は、Mg:0.8〜2.1質量%含有するとともに、不純物としてのPの含有量を0.001質量%(10ppm)以下とし、さらにその他の成分を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成される。Pの含有量は、より好ましくは0.0005質量%(5ppm)以下である(0質量%も含む)。
なお、Pの含有量の数値限定した理由は前記のとおりである。
(Mg:0.8〜2.1質量%:キャンボディ材)
Mgの含有量が0.8質量%未満であると缶強度が不足し、Mgの含有量が2.1質量%を超えると、加工硬化が大きすぎ、しごき成形時の割れや、ネック成形時のシワ、スジ等の発生率が高く、加工性に劣り、実用に適さない。
したがって、Mgの含有量は0.8〜2.1質量%とする。
その他の成分については特に限定されないが、前記成分以外の成分は、JIS H4000に規定される合金番号3104、3004のような組成であればよい。例えば、Si:0.1〜0.6質量%、Fe:0.1〜0.8質量%、Cu:0.05〜0.25質量%、Mn:0.2〜1.5質量%、Zn:0.30質量%以下、Cr:0.1質量%以下Ti:0.1質量%以下、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されていればよい。ここで、不可避的不純物としては、B、Zr、V等である。
なお、キャンボディ材(缶胴材)を製造する際の製造方法については、特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。
[厚板]
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を厚板に適用する場合について説明する。また、厚板とは、例えば、半導体関連の装置、機械・電気電子部品やその製造装置、生活用品等といった様々なものの材料として使用される板材である。
従来、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造されたAl−Mg合金を厚板に適用すると、所定量以上のPが存在することにより溶湯中に介在物(Mg−P酸化物)が多数発生し、最終的には、この介在物が面削工程時に脱落してしまい、表面に「巣」が発生したような表面欠陥を生じさせてしまうという問題があった。
この問題に対して、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、以下に示すように対処することができる。
すなわち、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金によれば、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。その結果、介在物がほとんど形成しない高品質のAl−Mg合金が得られる。そして、このAl−Mg合金を厚板に適用することにより、前記のような表面欠陥の問題を回避することができる。
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を厚板に適用する場合は、Mg:0.8〜2.5質量%含有するとともに、不純物としてのPの含有量を0.001質量%(10ppm)以下とし、さらにその他の成分を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成される。Pの含有量は、より好ましくは0.0005質量%(5ppm)以下である(0質量%も含む)。
なお、Pの含有量の数値限定した理由は前記のとおりである。
(Mg:0.8〜2.5質量%:厚板)
Mgの含有量が0.8質量%未満であると厚板の強度が不足し、Mgの含有量が2.5質量%を超えると、耐SCC(耐応力腐食割れ)性が低下する。
したがって、Mgの含有量は0.8〜2.5質量%とする。
その他の成分については特に限定されないが、前記成分以外の成分は、JIS H4000に規定される合金番号5052のような組成であればよい。例えば、Si:0.25質量%以下、Fe:0.4質量%以下、Cu:0.1質量%以下、Mn:0.5質量%以下、Zn:0.3質量%以下、Cr:0.15〜0.35質量%、Ti:0.1質量%以下、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されていればよい。ここで、不可避的不純物としては、B、Zr、V等である。
また、JIS H4000に規定される合金番号6061のような組成でもよい。例えば、Si:0.40〜0.8質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Cu:0.15〜0.40質量%以下、Mn:0.15質量%以下、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.04〜0.35質量%、Ti:0.1質量%以下、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されていればよい。ここで、不可避的不純物としては、B、Zr、V等である。
なお、厚板を製造する際の製造方法については、特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。
[キャンエンド材]
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金をキャンエンド材(缶蓋材)に適用する場合について説明する。
従来、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造されたAl−Mg合金をキャンエンド材(缶蓋材)に適用すると、所定量以上のPが存在することにより溶湯中に介在物(Mg−P酸化物)が多数発生し、最終的には、開口部として設けられた蓋のスコア部で溝加工時に亀裂が発生し容物の漏れを起こす問題があった。
この問題に対して、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、以下に示すように対処することができる。
すなわち、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金によれば、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。その結果、介在物がほとんど形成しない高品質のAl−Mg合金が得られる。そして、このAl−Mg合金をキャンエンド材(缶蓋材)に適用することにより、前記のようなスコア破裂の問題を回避することができる。
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金をキャンエンド材(缶蓋材)に適用する場合は、Mg:4.0〜5.5質量%含有するとともに、不純物としてのPの含有量を0.001質量%(10ppm)以下とし、さらにその他の成分を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成される。Pの含有量は、より好ましくは0.0005質量%(5ppm)以下である(0質量%も含む)。
なお、Pの含有量の数値限定した理由は前記のとおりである。
(Mg:4.0〜5.5質量%:キャンエンド材)
Mgの含有量が4.0質量%未満であると缶強度が不足し、Mgの含有量が5.5質量%を超えると、鋳塊割れ、熱間圧延時の割れを引き起こし易くなる。
したがって、Mgの含有量は4.0〜5.5質量%とする。
その他の成分については特に限定されないが、前記成分以外の成分は、JIS H4000に規定される合金番号5182のような組成であればよい。例えば、Si:0.2質量%以下、Fe:0.35質量%以下、Cu:0.15質量%以下、Mn:0.2〜0.5質量%、Zn:0.25質量%以下、Cr:0.1質量%以下、Ti:0.1質量%以下、残部がAlおよび不可避的不純物から構成されていればよい。ここで、不可避的不純物としては、B、Zr、V等である。
なお、キャンエンド材(缶蓋材)を製造する際の製造方法については、特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。
[自動車パネル材]
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を自動車パネル材に適用する場合について説明する。
従来、アルミニウムスクラップを含有した原料から製造されたAl−Mg合金を自動車パネル材に適用すると、所定量以上のPが存在することにより溶湯中に介在物(Mg−P酸化物)が多数発生し、最終的には、この介在物がプレス加工時に脱落してしまい、表面に「巣」が発生したような表面欠陥を生じさせてしまうという問題があった。
この問題に対して、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金は、以下に示すように対処することができる。
すなわち、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金によれば、溶湯においてMg−P酸化物がほとんど形成されず、溶湯酸化を抑制することができる。その結果、介在物がほとんど形成しない高品質のAl−Mg合金が得られる。そして、このAl−Mg合金を自動車パネル材に適用することにより、前記のような表面欠陥の問題を回避することができる。
本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を自動車パネル材に適用する場合は、Mg:6.0〜15.0質量%含有するとともに、不純物としてのPの含有量を0.001質量%(10ppm)以下とし、さらにその他の成分を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物から構成される。Pの含有量は、より好ましくは0.0005質量%(5ppm)以下である(0質量%も含む)。
なお、Pの含有量の数値限定した理由は前記のとおりである。
(Mg:6.0〜15.0質量%:自動車パネル材)
Mgの含有量が6.0質量%未満であると自動車パネル材としての強度が不足し、Mgの含有量が15.0質量%を超えると、成形性に劣り、実用に適さない。
したがって、Mgの含有量は6.0〜15.0質量%とする。
その他の成分については特に限定されないが、Mg、P以外の元素として、Fe:1.0質量%以下、Si:0.5質量%以下、Ti:0.1質量%以下、B:0.05質量%以下、Mn:0.3質量%以下、Cr:0.3質量%以下、Zr:0.3質量%以下、V:0.3質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Zn:1.0%質量以下の少なくとも1種以上の元素を不純物として含有する高Mg含有Al−Mg系合金から構成されることが好ましい。
なお、自動車パネル材を製造する際の製造方法については、特に限定されず、従来公知の方法を用いればよい。
次に、溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[試料]
試料として、キャンボディ材に適用するAl−Mg合金を想定した試料A(Mg:0.8〜2.1質量%)、厚板に適用するAl−Mg合金を想定した試料B(Mg:0.8〜2.5質量%)、キャンエンド材に適用するAl−Mg合金を想定した試料C(Mg:4.0〜5.5質量%)、自動車パネル材に適用するAl−Mg合金を想定した試料D(Mg:6.0〜15.0質量%)を用意した。そして、それぞれの試料に対してPを0.0001質量%(1ppm)、0.0005質量%(5ppm)、0.001質量%(10ppm)、0.0035質量%(35ppm)、0.005質量%(50ppm)含有するアルミニウムーマグネシウム合金を鋳込んだ。
[試験方法]
前記アルミニウム−マグネシウム合金溶湯を鋳込む直前に樋から柄杓で採取した溶湯を約45mmφ×約30mm高さの鋳型に鋳込み冷却することでサンプル用の鋳片を作製し、その鋳片の鋳肌を旋盤等で切削して平滑化した表面に対しグロー放電質量分析法を用いPの定量分析を行った。なお、キャンボディ材等の製品板に対しグロー放電質量分析法を用いて定量分析を行ったが同じ値を示した(表1〜4のP含有量は、製品板に対しグロー放電質量分析法を用いて定量分析を行った結果である。)。
また、Bi含有量、Be含有量についても同様の方法により求めたが、全ての試料のBi含有量、Be含有量はいずれも0質量%(0ppm)であった。
これらの試料を50g溶解した後、溶解までに生成した溶湯面の酸化物を除去した。その後、730℃の大気雰囲気で1時間保持後に冷却し、溶湯面に生成した酸化物数及び平均酸化物サイズとP含有量との関係を調べた。なお、酸化物数と平均酸化物サイズの測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、倍率350倍で20視野(合計2.4mm)観察し、平均値を求めるという方法で行った。
詳細な試料の組成、および試験結果を表1〜4に示す。なお、表1〜4において、本発明の構成を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0005920705
Figure 0005920705
Figure 0005920705
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[結果の検討]
実施例に係る合金と比較例に係る合金との結果を比較すると、P含有量を0.001質量%(10ppm)以下に制御することで、Al−Mg合金溶湯の酸化が著しく抑制されることが確認できた。
詳細には、実施例に係る合金は、溶湯面の酸化物数(個/mm)が55個/mm以下となるとともに、溶湯面の平均酸化物サイズ(μm)が10μm以下となった。
一方、比較例に係る合金は、溶湯面の酸化物数(個/mm)が55個/mmを大きく超え3倍以上となるとともに、溶湯面の平均酸化物サイズ(μm)も10μmを大きく超え20〜30μmとなった。
また、比較例に係る合金は、Mg含有量が増加するに伴い(試料A→試料D)、溶湯面の酸化物数(個/mm)が飛躍的に増加してしまっている。一方、実施例に係る合金は、Mg含有量が増加しても、溶湯面の酸化物数(個/mm)は大幅に増加することなく所定値以下に収まっている。したがって、Mg含有量の多いAl−Mg合金に特に有効であることがわかった。
なお、走査型電子顕微鏡(SEM)に付属のエネルギー分散形X線分析装置(EDX)で、酸化物の同定を行った。比較例に係る合金の溶湯面に生成した酸化物をEDXにより測定したところ、形成された酸化物の成分はMg、P、Oであり、MgとPの複合酸化物であった。また、試料底部の断面をSEMにより観察した結果、前記MgとPの複合酸化物が観察されたことから、溶湯面の酸化物は溶湯中に沈降又は浮遊する介在物として存在していることがわかった。
以上より、P濃度を10ppm以下にすることでBeを添加しなくてもMgの溶湯酸化を抑制し、高品質なAl−Mg合金を製造することができることがわかった。
(キャンボディ材:結果)
表1に記載の合金を、溶解し、DC鋳造法を用いて厚さ600mmの鋳塊を作製した。この鋳塊に、500℃の均熱処理温度で4時間保持することにより均質化してから、冷却することなく連続して、熱間圧延(粗圧延、仕上げ圧延)を施して熱間圧延板とした。さらに、この熱間圧延板に冷間圧延を施して、板厚0.30mmのアルミニウム合金板とした。
得られたアルミニウム合金板に、アルカリ洗浄及びリン酸クロメート処理を施し、両面に厚さ16μmの樹脂フィルムをラミネートした。このフィルムラミネートを施されたアルミニウム合金板を、カッピング、DI成形(しごき加工率65〜70%)し、開口部をトリミングして、外径約66mm、高さ(缶軸方向長)124mm、フィルムを含まない側壁厚さ0.1mm近傍の有底筒形状とした。そして、開口部を縮径し(ネッキング)、開口部の縁を外側に拡げて(フランジング)、別工程で作製された缶蓋を開口部に巻き締めアルミ缶を製造した。
前記方法によりアルミ缶を10000個製造した。DI成形時に発生した割れ発生数が、0〜3個の場合はDI成形性が「良好」、4個以上の場合は「割れ発生」(不良)と判断した。
フランジ成形時に発生した割れの発生数が、0〜3個の場合はフランジ成形性が「良好」、4個以上の場合は「割れ発生」(不良)と判断した。
そして、巻き締め時に発生した割れの発生数が、0〜3個の場合は巻き締め成形性が「良好」、4個以上の場合は「割れ発生」(不良)と判断した。
表1に記載の実施例1−1〜1−4に係る合金をキャンボディ材に適用したところ、DI成形性、フランジ成形性、および巻き締め成形性が良好なキャンボディ材を製造することができた。
一方、表1に記載の比較例1−5〜1−7に係る合金をキャンボディ材に適用したところ、しごき加工時において缶胴割れとピンホールが発生し、フランジ割れ・巻き締め割れも発生した。
(厚板:結果)
表2に記載の合金を、溶解し、脱水素処理、ろ過を行った後、DC鋳造法を用いて厚さ500mmの鋳塊を作製した。この鋳塊に、500℃の均熱処理温度で4時間保持することにより均質化してから、熱間圧延して、厚さ約25mmのアルミニウム合金熱延板を作製した。このアルミニウム合金熱延板を、圧延方向長さ2000mm×幅1000mmに切断した後、圧延面(両面)に対してエンドミル加工による平滑化処理を行い、厚さ20mmのアルミニウム合金厚板(切断板)とした。さらに表面に、硫酸アルマイト処理(15%硫酸、20℃、電流密度2A/dm)にて厚さ10μmのアルマイト皮膜を形成した。
前記方法により厚板を40枚製造した。当該厚板の表面を肉眼により観察し、表面に「巣」が発生したものが1枚もない場合を、板表面外観が「良好」、1枚以上ある場合を、「巣発生」(不良)と判断した。
表2に記載の実施例2−1〜2−4(及び、参考例2−2)に係る合金を厚板に適用したところ、表面に「巣」が発生しない良好な厚板を製造することができた。
一方、表2に記載の比較例2−5、2−6に係る合金を厚板に適用したところ、介在物(Mg−P酸化物)が切断時または平滑化処理時に脱落してしまい、表面に「巣」が発生したような表面欠陥を生じさせてしまった。
また、このような表面欠陥は真空チャンバー用途では機能欠陥となる。真空チャンバー用途では、素材表面のままで使用されることは殆どなく、耐食性、耐候性を高めるためにアルマイト処理やメッキ処理が施される。しかし、前記表面欠陥部では十分なアルマイト皮膜が形成させず、真空装置用チャンバーの内部部材にこれらの欠陥があると、高真空に減圧した際に部材に固溶しているガス原子の表面への放出により、真空度が低下する。
そのため、目標の真空度に達するまでの時間を要し、生産効率が低下する。
(キャンエンド材:結果)
表3に記載の合金を、溶解し、DC鋳造法を用いて厚さ500mmの鋳塊(スラブ)に鋳造し、鋳塊を均質化処理(510℃×4hr)し、熱間圧延を施して3.00mmの板厚とした後、中間焼鈍工程を含む冷間圧延を施し、0.26mmの製品板厚とした。
その後リン酸クロメート処理を施し、エポキシ系塗料を塗布して焼付けを行なった後、キャンエンド加工を行ない、204径(外径:2+4/16インチ)用の蓋を50枚形成した。
スコア部の亀裂発生の有無を確認するため、前記缶蓋を供試体として、耐圧試験機(株式会社テクノネット製「WBT−500」)にセッティングし、水圧により49kPa/秒の速度で缶内圧を上昇させ、バックリングさせたとき、スコア破断による液漏れが発生しなかった場合は「スコア部亀裂なし」と判断した。そして、スコア破断による液漏れが1枚以上ある場合を「スコア部亀裂あり」と評価した。
表3に記載の実施例3−1〜3−3に係る合金のスコア部の亀裂発生を前記試験により評価したところ、スコア破断による液漏れが発生することなく良好なキャンエンド材を製造することができた。
一方、表3に記載の比較例3−4、3−5に係る合金のスコア部の亀裂発生を前記試験により評価したところ、スコア破断による液漏れが発生した。
(自動車パネル材:結果)
表4に記載の合金を、溶解し、DC鋳造法および双ロール連続鋳造法を用いて各鋳塊厚に鋳造した。双ロール連続鋳造法の場合には各アルミ二ウム合金薄板鋳塊を表4に示す条件で均熱処理した後、熱間圧延することなしに、板厚1.0mmまで冷間圧延した。また、DC鋳造法の場合には表4に示す条件で均熱処理した後、480℃の開始温度、350℃の終了温度で板厚4mmまで圧延する熱間圧延を行い、その後、板厚1.0mmまで冷間圧延した。なお、これらの冷間圧延中の中間焼鈍は行わなかった。これら各冷延板を連続焼鈍炉で焼鈍温度450℃(1s以下)、冷却速度20℃/sの条件で最終焼鈍を行った。双ロール連続鋳造の際の、双ロール周速は70mm/min、アルミニウム合金溶湯を双ロールに注湯する際の注湯温度は液相線温度+20℃とし、双ロール表面の潤滑は行わなかった。なお、比較例4−10に係る合金はMgが15%以上であるため、Mgの偏析により鋳造割れが発生し、造塊できなかった。
このようにして得られた、板厚1.00mmのアルミニウム合金板をパネルとしてプレス成形後にフラットヘム加工させることを模擬して、常温にて、試験片に10%のストレッチを行った後、曲げ試験を行い評価した。試験片条件は、前記アルミニウム合金板をJIS Z 2204に規定される3号試験片(幅30mm×長さ200mm)を用い、試験片長手方向が圧延方向と一致するように作製した。曲げ試験はJIS Z 2248に規定されるVブロック法により、フラットヘム加工を模擬して、先端半径0.3mm、曲げ角度60度の押金具で60度に曲げた後、更に180度に曲げた。
そして曲げ試験後の曲げ部(湾曲部)の割れの発生状況を観察し、10回(10枚)の試験で曲げ部表面に割れが無いものを○、1回でも割れがあるものを×と評価した。
表4に記載の実施例4−1〜4−5(及び、参考例4−4)に係る合金を曲げ試験を行い曲げ加工性を評価したしたところ、良好な結果が得られた。
一方、表4に記載の比較例4−6〜4−9に係る合金を曲げ試験を行い曲げ加工性を評価したしたところ、曲げ部表面に割れが発生し、割れ部には介在物(Mg−P酸化物)が観察された。
以上より、本発明に係る溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金を、前記各用途に適用することで、各種の問題を回避することができることがわかった。

Claims (5)

  1. ベリリウムを含有しないアルミニウム−マグネシウム合金であって、
    Mgを0.8〜15質量%、Feを0.2〜0.6質量%、含有し、AlとMgとの含有量の合計が90質量%以上であるとともに、不純物としてのPの含有量が0.001質量%以下であることを特徴とする溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金。
  2. 前記Feを0.4質量%以上含有し、キャンボディ材用であることを特徴とする請求項1に記載の溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金。
  3. 厚板用であることを特徴とする請求項1に記載の溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金。
  4. キャンエンド材用であることを特徴とする請求項1に記載の溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金。
  5. 自動車パネル材用であることを特徴とする請求項1に記載の溶湯酸化抑制アルミニウム−マグネシウム合金。
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