JP5919690B2 - 車両車軸用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば鉄道車両の車軸を回転自在に支持する軸受装置に関する。
従来、この種の軸受装置として、例えば鉄道車両車軸には、各種の円すいころ軸受が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。一例として図5に示された円すいころ軸受には、常時非回転状態に維持された静止輪1(例えば、外輪)と、外輪1の内側に対して相対回転可能に対向配置された回転輪3(例えば、内輪)と、外輪1及び内輪3の対向面にそれぞれ周方向に連続して形成された軌道面1s,3s相互間に転動自在に組み込まれた複数の転動体(ころ)5と、複数の転動体(ころ)5を1つずつ回転自在に保持しながら、外内輪1,3間に沿って公転する例えば樹脂製の保持器11とが設けられている。
また、鉄道車両車軸13には、複数(図面では、2つ)の内輪3がその背面同士を環状の間座15に当て付けた状態で嵌合(圧入)されており、これら2つの内輪3の外側に対向して単体の外輪1がハウジング(図示しない)に嵌合(圧入)されている。なお、それぞれの内輪3の対向面には、間座15側から離間する方向に沿って末広がり状に傾斜し、かつ、周方向に連続した環状の内輪軌道面3sが形成されており、これに対して、外輪1の対向面には、各内輪3の内輪軌道面3sに沿って傾斜し、かつ、周方向に連続した環状の外輪軌道面1sが形成されている。
また、各内輪軌道面3sの両側には、当該内輪軌道面3sに沿って環状の鍔部7,9が突出されており、その突出端7e,9eの径寸法が相互に異なっている。即ち、各内輪3において、間座15側の鍔部7(以下、小径鍔部7という)は、比較的小径の突出端7eとなり、反間座15側の突出端9e(以下、大径鍔部9という)は、間座15側の鍔部7よりも比較的大径の突出端9eとなっている。
更に、2つの内輪3の軸方向両側には、これに隣接して、シール・ウェア・リング(SEAL WEAR RING)機能を有する環状の油切り部材17,19(符号19の部材は、後ろ蓋部材ともいう)が、鉄道車両車軸13に嵌合されている。この場合、一方側(図3(a)中向って左側)の油切り部材17に対して、押圧体21をアキシアル方向(軸方向ともいう)に当て付けてボルト23で締め付けることで、円すいころ軸受に所定の予圧を付与することができる。なお、軸方向とは、軸受の回転中心軸Axに沿って平行を成す方向を指す。具体的には、鉄道車両車軸13の回転中心軸Ax、及び、当該回転中心軸Axに一致する円すいころ軸受の回転中心軸Ax(外内輪1,3の相対回転中心軸Ax)に沿って平行を成す方向を指す。
上記した円すいころ軸受によれば、鉄道車両車軸13を回転させると、外内輪1,3の軌道面1s,3s相互間に、保持器11と共に組み込まれた複数の転動体(ころ)5は、当該外内輪1,3が回転中心軸Ax回りに相対回転する間(軸受回転中)に、各鍔部7,9の案内面7s,9sによって保持・案内されながら軌道面1s,3sに沿って転動する。これにより、鉄道車両車軸13を円滑に回転させることができる。
また、上述した円すいころ軸受には、軸受回転中における潤滑性能を一定に維持するために、所定量の潤滑剤(例えば、グリース)が軸受内部に封入されている。この場合、潤滑剤(グリース)の軸受外部への漏洩防止を図ると共に、異物(例えば、水、塵埃)の軸受内部への浸入防止を図るために、外内輪1,3の両側には、軸受内部を軸受外部から密封するための密封機構が設けられている。
密封機構は、その基端部25eが外輪1に固定され、その先端部25tが各油切り部材17,19に非接触状態に位置決めされた環状のシールケース25と、当該シールケース25と油切り部材17,19との間に介在された密封部材27とを備えている。なお、シールケース25は、基端部25eから先端部25tに向けて軸受内部(内輪3と油切り部材17,19との軸方向当接部位)を覆うように延出されている。
密封部材27は、シールケース25に固定され、かつ、油切り部材17,19に向けて延出した環状のスリンガ27aと、スリンガ27aの内側に固定され、かつ、油切り部材17,19に向けて延出した環状のシール部材27bとを備えている。この場合、スリンガ27aの延出端は、油切り部材17,19に対して非接触状態に位置決めされ、これに対して、シール部材27bの延出端は、油切り部材17,19に対して接触状態に位置決めされている。
特開2009−138880号公報 特開2009−85418号公報 特開平11−336774号公報 特開2000−52986号公報 特開2005−226794号公報
ところで、上記した軸受装置(円すいころ軸受)は、車輪の両外側に配置されて鉄道車両の重量を支える仕様となっている。このため、当該軸受装置には、極めて大きな荷重が負荷される場合があり、その際に作用した曲げモーメントの大きさの程度によっては、鉄道車両車軸13が撓む場合がある。特に、鉄道車両の重量が軸受装置に対して車軸と垂直方向に負荷された場合、当該車軸が大きく撓むが、このときの撓み状態(撓み量、撓み程度)は、当該車軸の両軸端側に向うに従って大きくなる。
そして、上記したような撓み状態で鉄道車両車軸13が回転すると、2つの内輪3と、その両側の油切り部材17,19との軸方向当接部位が、相対的に回転(揺動)しながら擦れ合うことで、その軸方向当接部位の相互間において、応力変動(応力集中)が繰り返されると同時に、微小滑りが繰り返されることになる。
ここで、応力変動(応力集中)や微小滑りの程度によっては、2つの内輪3と、その両側の油切り部材17,19との軸方向当接部位が相互に摩耗し、これにより、摩耗粉(鉄金属粉)が発生する現象、即ち、フレッチングを生じる場合がある。この場合、フレッチングによって発生した摩耗粉(鉄金属粉)が軸受装置内に浸入すると、当該軸受が早期に劣化してしまう虞がある。
そこで、例えば特許文献3〜5には、上記した軸方向当接部位の応力変動(応力集中)や微小滑りによって発生した摩耗粉(鉄金属粉)が軸受装置内に浸入するのを防止するための技術思想が示されている。しかしながら、これら3つの特許文献3〜5に係る技術思想は、発生した摩耗粉(鉄金属粉)が軸受装置内に浸入するのを防止するにとどまり、摩耗粉(鉄金属粉)自体の発生を防止(抑制)する点について何ら考慮がされていない。
このため、フレッチングによって摩耗粉(鉄金属粉)が発生し続けた場合、その発生の程度によっては、当該フレッチング摩耗粉(鉄金属粉)が軸受装置内に浸入するのを防止することが困難になってしまうだけでなく、このときの軸受装置内へのフレッチング摩耗粉(鉄金属粉)の浸入の程度によっては、当該軸受が早期に劣化してしまう。
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、フレッチングが生じる部位に自動調心性を有する自動調心構造を構築することで、その部位における応力変動(応力集中)と微小滑りを無くし、これにより、車軸と共に軸受の回転中、フレッチング摩耗粉の発生を防止することを可能にした車両車軸用軸受装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、車両車軸を回転自在に支持する車両車軸用軸受装置であって、常時非回転状態に維持される静止輪ユニットと、前記静止輪ユニットに対して相対回転可能に対向配置され、車両車軸に嵌合されて共に回転する回転輪ユニットと、前記回転輪ユニットの軸方向両側に設けられ、前記車両車軸に嵌合される一対の油切り部材とを有し、前記一対の油切り部材のうち、前記車両車軸の反軸端側に設けられた油切り部材と、前記回転輪ユニットとの間には、軸受の回転中心軸に対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されており、前記自動調心構造は、前記回転輪ユニットに当接する当接面部を有すると共に、前記回転中心軸上の車輪中心よりも軸端側で、当該車輪中心かその近傍に位置した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の球面部を有する自動調心輪と、前記反軸端側に設けられた前記油切り部材に設けられ、前記自動調心輪の球面部が相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部と回転中心軸上に同中心で同半径を成す中空の球面部とを備えている。
このような目的を達成するために、本発明は、車両車軸を回転自在に支持する車両車軸用軸受装置であって、常時非回転状態に維持される静止輪ユニットと、
前記静止輪ユニットに対して相対回転可能に対向配置され、車両車軸に嵌合されて共に回転する回転輪ユニットと、前記回転輪ユニットの軸方向両側に設けられ、前記車両車軸に嵌合される一対の油切り部材とを有し、前記一対の油切り部材のうち、前記車両車軸の反軸端側に設けられた油切り部材と、前記回転輪ユニットとの間には、軸受の回転中心軸に対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されており、前記自動調心構造は、前記回転輪ユニットに当接する当接面部を有すると共に、前記回転中心軸上の軸受中心かその近傍に設定した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の凸球面状の球面部を有する自動調心輪と、前記反軸端側に設けられた前記油切り部材に設けられ、前記自動調心輪の球面部が相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部と回転中心軸上に同中心で同半径を成す中空の凹球面状の球面部とを備えている。
本発明において、前記自動調心輪の球面部の内径は、前記車両車軸の直径よりも大きく設定されている。
本発明において、前記軸受装置は、車輪の両外側に配置されて車両の重量を支える。
本発明によれば、フレッチングが生じる部位に自動調心性を有する自動調心構造を構築することで、その部位における応力変動(応力集中)と微小滑りを無くし、これにより、車軸と共に軸受の回転中、フレッチング摩耗粉の発生を防止することを可能にした車両車軸用軸受装置を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る車両車軸用軸受装置の構成を示す断面図。 (a)は、図1に示された自動調心輪の構成を示す断面図、(b)は、図1に示された油切り部材の構成を示す断面図。 本発明の他の実施形態に係る車両車軸用軸受装置の構成を示す断面図。 (a)は、図3に示された自動調心輪の構成を示す断面図、(b)は、図3に示された油切り部材の構成を示す断面図。 従来の車両車軸用軸受装置の構成を示す断面図。
以下、本発明の一実施形態に係る車両車軸用軸受装置について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、図5に示された車両車軸用軸受装置の改良であるため、以下では、改良部分の説明にとどめる。この場合、上記した車両車軸用軸受装置(図5)と同一の構成については、その構成に付された参照符号と同一の符号を本実施形態に用いた図面上に付すことで、その説明を省略する。
図1及び図2(a),(b)に示すように、本実施形態に係る車両車軸用軸受装置は、例えば鉄道車両の車輪の両外側に配置されて当該車両の重量を支える仕様となっており、常時非回転状態に維持された静止輪ユニットと、静止輪ユニットに対して相対回転可能に対向配置され、鉄道車両車軸13に嵌合されて共に回転する回転輪ユニットと、回転輪ユニットの軸方向両側に設けられ、鉄道車両車軸13に嵌合される一対の油切り部材17,19とを有している。
静止輪ユニットとしては、ハウジング(図示しない)に嵌合(圧入)される単体の静止輪(外輪)1を想定することができる。一方、回転輪ユニットとしては、その背面同士を環状の間座15に当て付けた状態で鉄道車両車軸13に嵌合(圧入)される複数(図面では2つ)の回転輪(内輪)3、並びに、間座15を想定することができる。
また、本実施形態に係る車両車軸用軸受装置において、一対の油切り部材17,19のうち、鉄道車両車軸13の反軸端側(図中向って右側)に設けられた油切り部材19と、回転輪ユニット(具体的には、反軸端側の内輪3の正面)との間には、軸受の回転中心軸Axに対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されている。
自動調心構造は、回転輪ユニット(反軸端側の内輪3の正面)に当接する当接面部29sを有すると共に、回転中心軸Ax上に位置した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の球面部29rを有する自動調心輪29と、反軸端側に設けられた油切り部材19に設けられ、自動調心輪29の球面部29rが相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部29rと回転中心軸Ax上に同中心で同半径を成す中空の球面部19rとを備えている。
自動調心輪29において、当接面部29sの形状については、反軸端側の内輪3の正面の形状に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、反軸端側の内輪3の正面が、回転中心軸Axを直交する方向に沿って延在する中空円形状の平坦面を成している場合、当接面部29sの形状は、これに合わせて、回転中心軸Axを直交する方向に沿って延在する中空円形状の平坦面に設定すればよい。
また、自動調心輪29において、球面部29rの形状については、油切り部材19に向けて球面状に突出した形状(即ち、凸球面状)に設定する場合、凸球面状を成す球面部29rの曲率中心P1を、回転中心軸Ax上の軸受中心S側(及び、その近傍)に設定すればよい。図面では一例として、回転中心軸Ax上において、軸受中心Sよりも軸端側に曲率中心P1を設定し、当該曲率中心P1から所定の曲率半径R1を成す中空の球面部29rが構成されている。なお、曲率中心P1は、鉄道車両車軸13の剛性により算出することができる。
更に、自動調心輪29において、球面部29rの内径29t(図2(a)参照)は、鉄道車両車軸13の直径13t(図1参照)よりも大きく設定(29t>13t)することが好ましい。なお、球面部29rの内径29t、及び、鉄道車両車軸13の直径13tについては、例えば、車両車軸用軸受装置の大きさや種類、或いは、使用目的や使用環境などに応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
この場合、油切り部材19において、球面部19rの形状については、上記した自動調心輪29の球面部29rが相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部29rと回転中心軸Ax上に同中心P1で同半径R1を成すように設定すればよい。これにより、球面状に窪んだ形状(即ち、凹球面状)を成す球面部19rが構成される。
以上、本実施形態によれば、鉄道車両車軸13の反軸端側に設けられた油切り部材19と、回転輪ユニット(反軸端側の内輪3の正面)との間に、回転中心軸Axに対して自動調心性を有する自動調心構造を構築したことで、軸受装置に極めて大きな荷重が負荷されて、鉄道車両車軸13が軸端側に向うに従って大きく撓んだ状態で回転した場合でも、従来では生じたような応力変動(応力集中)や微小滑りを無くし、これにより、フレッチング摩耗粉の発生を防止(抑制)することができる。
具体的に説明すると、鉄道車両車軸13が撓んだ状態での軸受回転中、反軸端側に設けられた油切り部材19と、反軸端側に設けられた内輪3の正面との間に隣接して介在された自動調心輪29は、その凸球面状の球面部29rが、油切り部材19の凹球面状の球面部19rに沿って相対的に回転しながら摺動することで、軸受の回転中心軸Axに対して自動的に調心動作を実行する。
このとき同時に、自動調心輪29は、その球面部29rの内径29tを鉄道車両車軸13の直径13tよりも大きく設定したことで、反軸端側に設けられた内輪3の正面に沿って径方向(回転中心軸Axに直交する方向)に微小変位(微小スライド)しながら自動的に径方向位置の調整動作を実行する。
これにより、自動調心輪29の軸方向両側に隣接した内輪3の正面と油切り部材19との軸方向当接部位において、応力変動(応力集中)や微小滑りが発生しないため、フレッチングが発生する余地は無く、その結果、フレッチング摩耗粉(鉄金属粉)自体の発生を防止(抑制)することができる。
この場合、自動調心輪29と油切り部材19との軸方向当接部位に着目すると、双方の球面部29r,19r同士を摺接させる構成となっている。かかる構成は、非球面(例えば、平面)同士の接触に比して、その摺接面積を大きくすることができる。これにより、当該軸方向当接部位における面圧が小さくなることで、応力変動(応力集中)の発生を防止(抑制)することができるため、フレッチングが発生する余地は無く、その結果、フレッチング摩耗粉(鉄金属粉)自体の発生を防止(抑制)することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、これに代えて、以下の他の実施形態に係る車両車軸用軸受装置としても、上記した実施形態(図1,2)と同様の効果を実現することができる。
図3及び図4(a),(b)に示すように、本実施形態に係る車両車軸用軸受装置にも、上記した実施形態(図1,2)と同様に、一対の油切り部材17,19のうち、鉄道車両車軸13の反軸端側(図中向って右側)に設けられた油切り部材19と、回転輪ユニット(反軸端側の内輪3の正面)との間には、軸受の回転中心軸Axに対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されている。
自動調心構造は、回転輪ユニット(反軸端側の内輪3の正面)に当接する当接面部29sを有すると共に、回転中心軸Ax上に位置した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の球面部29rを有する自動調心輪29と、反軸端側に設けられた油切り部材19に設けられ、自動調心輪29の球面部29rが相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部29rと回転中心軸Ax上に同中心で同半径を成す中空の球面部19rとを備えている。
自動調心輪29において、当接面部29sの形状については、反軸端側の内輪3の正面の形状に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。例えば、反軸端側の内輪3の正面が、回転中心軸Axを直交する方向に沿って延在する中空円形状の平坦面を成している場合、当接面部29sの形状は、これに合わせて、回転中心軸Axを直交する方向に沿って延在する中空円形状の平坦面に設定すればよい。
また、自動調心輪29において、球面部29rの形状については、油切り部材19から離間する方向に向けて球面状に窪んだ形状(即ち、凹球面状)に設定する場合、凹球面状を成す球面部29rの曲率中心P2を、回転中心軸Ax上の車輪中心T側(及び、その近傍)に設定すればよい。図面では一例として、回転中心軸Ax上において、車輪中心Tよりも軸端側に曲率中心P2を設定し、当該曲率中心P2から所定の曲率半径R2を成す中空の球面部29rが構成されている。なお、曲率中心P2は、鉄道車両車軸13の剛性により算出することができる。
更に、自動調心輪29において、球面部29rの内径29t(図4(a)参照)は、鉄道車両車軸13の直径13t(図3参照)よりも大きく設定(29t>13t)することが好ましい。なお、球面部29rの内径29t、及び、鉄道車両車軸13の直径13tについては、例えば、車両車軸用軸受装置の大きさや種類、或いは、使用目的や使用環境などに応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
この場合、油切り部材19において、球面部19rの形状については、上記した自動調心輪29の球面部29rが相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部29rと回転中心軸Ax上に同中心P2で同半径R2を成すように設定すればよい。これにより、球面状に突出した形状(即ち、凸球面状)を成す球面部19rが構成される。
なお、本実施形態において、上記した実施形態(図1,2)では凸球面状の球面部29rとしたものを、凹球面状の球面部29rとし、これに対応して、上記した実施形態(図1,2)では凹球面状の球面部19rとしたものを、凸球面状の球面部19rとした以外は、上記した実施形態(図1,2)と同様の構成及び効果であるため、その説明は省略する。
なお、上記した各実施形態では、鉄道車両車軸を支持する軸受装置を想定したが、これ以外の車両車軸にも当該軸受装置を適用できることは言うまでもない。
13 鉄道車両車軸
17,19 油切り部材
19r 球面部
29 自動調心輪
29r 球面部
29s 当接面部
Ax 回転中心軸
P1,P2 曲率中心
R1,R2 曲率半径

Claims (4)

  1. 車両車軸を回転自在に支持する車両車軸用軸受装置であって、
    常時非回転状態に維持される静止輪ユニットと、
    前記静止輪ユニットに対して相対回転可能に対向配置され、車両車軸に嵌合されて共に回転する回転輪ユニットと、
    前記回転輪ユニットの軸方向両側に設けられ、前記車両車軸に嵌合される一対の油切り部材とを有し、
    前記一対の油切り部材のうち、前記車両車軸の反軸端側に設けられた油切り部材と、前記回転輪ユニットとの間には、軸受の回転中心軸に対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されており、
    前記自動調心構造は、
    前記回転輪ユニットに当接する当接面部を有すると共に、前記回転中心軸上の車輪中心よりも軸端側で、当該車輪中心かその近傍に位置した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の球面部を有する自動調心輪と、
    前記反軸端側に設けられた前記油切り部材に設けられ、前記自動調心輪の球面部が相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部と回転中心軸上に同中心で同半径を成す中空の球面部とを備えていることを特徴とする車両車軸用軸受装置。
  2. 車両車軸を回転自在に支持する車両車軸用軸受装置であって、
    常時非回転状態に維持される静止輪ユニットと、
    前記静止輪ユニットに対して相対回転可能に対向配置され、車両車軸に嵌合されて共に回転する回転輪ユニットと、
    前記回転輪ユニットの軸方向両側に設けられ、前記車両車軸に嵌合される一対の油切り部材とを有し、
    前記一対の油切り部材のうち、前記車両車軸の反軸端側に設けられた油切り部材と、前記回転輪ユニットとの間には、軸受の回転中心軸に対して自動調心性を有する自動調心構造が構築されており、
    前記自動調心構造は、
    前記回転輪ユニットに当接する当接面部を有すると共に、前記回転中心軸上の軸受中心かその近傍に設定した曲率中心から所定の曲率半径を成す中空の凸球面状の球面部を有する自動調心輪と、
    前記反軸端側に設けられた前記油切り部材に設けられ、前記自動調心輪の球面部が相対回転可能に摺接し、かつ、当該球面部と回転中心軸上に同中心で同半径を成す中空の凹球面状の球面部とを備えていることを特徴とする車両車軸用軸受装置。
  3. 前記自動調心輪の球面部の内径は、前記車両車軸の直径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両車軸用軸受装置。
  4. 前記軸受装置は、車輪の両外側に配置されて車両の重量を支えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両車軸用軸受装置。
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