JP5919654B2 - 生体センサーおよび生体情報検出装置 - Google Patents
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生体センサーを構成する発光素子と受光素子とは、物理的に異なる素子であるので、互いに物理的に離間した状態で配置せざるを得ない。この状態において発光素子からの漏光が受光素子に直接入射してしまうと、直接入射光は、生体情報を反映した光に対してノイズとなってしまう。
一方、被験者が体動していると、生体センサーにおける受光ポイントがずれてしまうので、生体情報を反映した光のみを受光することが困難になる。このため、被験者との接触面に板状の導光部材を設けて、受光する反射光量が変わらないようにした技術が提案されている(上記特許文献1のほか、特許文献3参照)。また、このような導光部材にファセットを持たせてマイクロプリズム構造とした技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、被験者との接触面に板状の導光部材を設けた場合、発光素子から射出された光の一部が導光部材で内部反射して、受光素子に入射してしまい、微弱な光成分においてノイズとなってしまう場合があった。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、微弱な光成分を精度良く検出することが可能な生体センサーおよび生体情報検出装置を提供することにある。
ここで、前記第1基板は、光透過性を有し、前記発光素子は、前記第1基板の一方の面側に設けられ、前記受光素子は、前記第1基板の他方の面側に設けられ、前記発光素子から出射した光のうち、前記生体からの反射光を受光する態様が好ましい。この態様によれば、第1基板に対し、発光素子と受光素子とが互いに異なる面にそれぞれ設けられるので、発光素子からの漏光が受光素子に受光されてしまうのを抑えることができる。このため、微弱な光成分をより精度良く検出することができる。
この構成において、前記受光素子は、第2基板における一方の面に設けられ、前記第2基板における一方の面が前記第1基板の他方の面に対向するように、前記第1基板と前記第2基板とが貼り合わせられた構成としても良い。
また、前記導光部材は、前記第1基板の一方の面側に前記発光素子を覆うように設けられても良いし、前記第1基板の一方の面側に前記発光素子の非配置部分に設けられても良い。
また、前記基板を平面視したときに、前記受光素子の受光面の面積は、前記発光素子の発光面の面積以上にすると、微弱な光成分を効率良く受光することができる。
なお、本発明は、このような生体センサーから出力される信号に基づいて生体情報を出力する演算処理回路を持たせた生体情報検出装置としても概念することが可能である。
なお、以下の各図については、各部、特に各層については認識可能な大きさとするために、縮尺を異ならせている場合がある。
図1に示されるように、生体情報検出装置1の筐体10は、腕時計を模した形状となっている。筐体10の表面には、長方形状の表示面を持った表示部100が設けられている。表示部100は、例えば液晶パネルであり、脈拍数や脈拍間隔などを表示する。筐体10の外周部にはボタンスイッチなどの操作子14が複数個(図では3個)個設けられている。操作子14は、脈波の測定開始や、測定終了、測定結果のリセットなどの各種指示の入力に用いられる。
また、筐体10の外周部のうち、表示部100を挟んで対向する部分には、被験者の左手首に巻回されたリストバンド12の一端と他端とが取り付けられている。これによって、筐体10が被験者の身体に装着されることになる。
なお、図1では省略されているが、後述する演算処理回路が、操作子14への入力に応じて各種の処理を実行して、その処理結果を表示部100に表示させる。
図に示されるように、筐体10の内部は中空部15を有する形状となっており、当該中空部15において被験者への装着面側に生体センサー20が設けられている。生体センサー20は、光透過性を有するガラスなどの基板22と、基板22に対して装着面側に設けられる複数の発光素子24と、基板22に対して非装着面側、すなわち装着面側とは反対側に設けられる受光素子26とを含む。なお、ここでいう基板22が第1基板である。
基板22を平面視したときの形状については、任意であるが、本実施形態では円形としている。また、ここでいう光透過性とは、発光素子24からの出射される光の波長帯域に含まれる光成分を透過する性質をいう。
基板22の装着面側(図において下側)に設けられた発光素子24は、例えば有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)であり、詳細には図4に示されるように、基板22を起点として順に、反射層241、第1電極層242、有機層243、第2電極層244および封止層245を積層した構造となっている。
有機層243は、第1電極層242と重なるように形成されたものであり、本実施形態では、第1電極層242からみて順に正孔輸送層243aと発光層243bと電子輸送層243cとの積層体で構成されている。
このような構成において、陽極から陰極に向かって順方向電流が流れると、正孔輸送層243aから注入される正孔と電子輸送層243cから注入される電子とが発光層243bで結合して、発光層243bの材料に応じたスペクトルの光が発生する。本実施形態では、スペクトルが図6に示されるように波長550nm付近でピークを有するように発光層243bの材料が選定されている。
また、有機層243で必要な機能は、陽極側から供給される正孔と陰極側から供給される電子との結合によって光を発生させることにある。このため最低限、有機層243には発光層243bがあれば良い。ただし、正孔輸送層243aおよび電子輸送層243cを設けた方が、キャリア(正孔、電子)の移動度が改善されて、発光効率を高めることができる点において有利である。発光効率を高めるという観点からいえば、第1電極層242(陽極)と正孔輸送層243aとの間に、陽極から正孔を取り入れる正孔注入層を設けても良いし、第2電極層244(陰極)と電子輸送層243cとの間に、陰極から電子を取り入れる電子注入層を設けても良い。
なお、導光部材29は、当該導光部材29に近い屈折率を有する接着剤によって発光素子24を覆うように基板22に接着される。
詳細には、図4に示されるように、基板22を起点として順にフィルター25、受光素子26が設けられる。そして、フィルター25および受光素子26を覆うように、遮光性を有するキャップ27が基板22に取り付けられている。
このうち、電極層261は、フォトダイオードの陽極であり、例えばITOが用いられる。また、電極層263は、フォトダイオードの陰極であり、アルミニウムなどが用いられる。アモルファスシリコン層262は、例えば陽極側のP型領域と陰極側のN型領域とを有する薄膜である。本実施形態において、受光素子26の受光領域は、基板22の周縁を除き、ほぼベタ状となっている。このような受光素子26において、基板22の装着面側からフィルター25を透過して光が入射すると、P型領域に正孔が発生し、N型領域に電子が発生する結果、入射光量に応じた光電流が順方向に流れる構成となっている。
なお、電極層263は、陰極のほかに反射層の機能を兼ねても良い。
発光素子24は、図5において白抜きで示したように、同心円で二重リング状の発光面24A、24Bを有する。このため、発光素子24を覆う導光部材29についても、平面視したときにはリング状となる。
一方、受光素子26は、平面視したときにハッチングで付された領域のように、上記同心円の中心を含む円形の受光面26Cと、リング状の受光面26D、26Eとを有し、これらの受光面26C、26D、26Eによって、発光面24A、24Bを囲むような位置関係となる。なお実際には、受光素子26は、基板22の非装着面側にベタ状に設けられるので、発光面24A、24Bで隠されない領域が平面視したときの受光面26C、26D、26Eとして外見に現れる。
なお、受光面のうち、発光面24A、24Bの背面(基板22の非装着面側)の部分については、ある程度の角度で入射した光でないと受光されないので、この部分については、パターニングによって抜いた状態としても良い。
受光領域については、ベタ状とするか、あるいは、発光面24A、24Bの背面側を抜いた状態とするか、いずれにしても、本実施形態においては受光面26C、26D、26Eの面積和は、発光面24A、24Bの面積和以上となるように設定されている。
ここで、発光素子24が上述した光共振構造を有するものであれば、出射光は、図8において下側となるような指向性を持つ。一方、発光素子24が光共振構造を有しないものであれば、結合によって発生した光が等方性で出射される。ただし、図8に示されるように、反射層241が発光層243bの周縁を含むように、発光層243bよりも一回り広く形成されているほか、導光部材29の側面には、反射層29aが形成されている。
このため、発光層243bによって発生した光のうち、図8において下側以外に方向に向かって射出された光は、反射層241、29bによって反射する。この結果、発光素子24が光共振構造であるか否かに関係なく、発光層243bからの光は、図において下側の被験者側に出射するので、光の出射効率が高められる。
なお、第1実施形態において発光素子24は、基板22の反対側に向けて光を出射するのでトップエミッション型となる。
このうち、血管50に流れる血液によって反射された光は、基板22およびフィルター25を透過して受光素子26に入射する。このため、受光素子26は、入射光量に応じた光電流を出力する。ここで、血管50は、心拍と同じ周期で膨張・収縮を繰り返している。したがって、血管の膨張・収縮の周期と同じ周期で光の反射量が増減するので、受光素子26から出力される光電流の変化は、血管50の容積変化を示すことになる。
この図において、駆動回路30は、演算処理回路50による制御したがって電流を常時または間欠的に供給して、発光素子24を駆動するものである。ここで、電流を間欠的に駆動する方が低消費電力化を図る上で好ましい。一方、変換回路40は、受光素子26から供給された光電流を電圧に変換するとともに、当該電圧を予め定められたサンプリング間隔でデジタルデータに変換するものである。
したがって、第1実施形態によれば、体動があっても、微弱な光成分を精度良く検出することができる。
なお、反射層29aを設けなくても、空気と導光部材29との屈折率の相違によって、導光部材29の界面において反射が生じるので、同様な効果を得ることができる。
本実施形態では、光遮蔽体等を設けなくて良いので、その分、受光面積を広く確保して、詳細には、受光面26C、26D、26Eの面積和を発光面24A、24Bの面積和以上となるように確保している。
したがって、第1実施形態に係る生体センサー20によれば、被験者の血管反射を経ていない光の受光を回避しつつ、受光面積を広く確保しているので、この意味においても、微弱な光成分を効率良く受光することができる。
なお、発光素子24をタイル状に形成する場合、当該タイル状の発光素子24を覆うように導光部材29が設けられる。
このようなモザイク状の配列によっても、発光面が受光面を囲むとともに、受光面の面積が発光面の面積以上となるので、微弱な光成分を効率良く受光することができる。
また、受光面の外枠や、発光面の形状については、図10の(A)、(B)に示されるような正方形に限られないことはいうまでもない。
この第2実施形態では(A)に示されるように、受光素子26が第2基板としての基板23に形成されている。そして、基板23は、受光素子26がフィルター25を挟むように、基板22の非装着面に接着剤28によって貼り合わせられている。このため、(B)に示されるように、結果的に、受光素子26が基板22に対して非装着面側に設けられるので、受光素子26は、発光素子24に対して図3に示した第1実施形態とほぼ同様な位置関係になる。
なお、接着剤28としては、紫外線硬化型やエポキシ系などが用いられる。
第2実施形態においては、基板23を除けば各部の位置関係が第1実施形態と同様なので、体動があっても、被験者の血管反射を経ていない光の受光を回避しつつ、微弱な光成分を効率良く受光することができる。
特に第2実施形態では、発光素子24が形成された基板22と受光素子26が形成された基板23との良品同士を貼り合わせれば良いので、基板22の一方の面に発光素子24を設けるとともに他方の面に受光素子26を設ける構成と比較して、歩留まりを向上させることができる。
導光部材29については、第1(第2)実施形態では、発光素子24に被せるように設けたが、第3実施形態では、基板22の装着面側において、発光素子24が設けられていない部分に、受光素子26に対向した部分に設けられている。
接触面29bは、第1(第2)実施形態と同様に、基板22の接触面に対して被験者側に突出するので、被験者が体動しても、受光素子26の受光領域に対応した接触面29bと皮膚52との位置がずれにくくなる。このため、必然的に皮膚52と、受光素子26(発光素子24)との相対的な位置もずれにくくなる。
一方、第3実施形態においても、導光部材29の側面には反射層29aが設けられるので、発光素子24の出射効率とともに、受光素子26の受光効率が高められる。したがって、第3実施形態によれば、第1(第2)実施形態と同様に体動があっても微弱な光成分を精度良く検出することができる。
この図に示されるように、第4実施形態では、受光素子26が、発光素子24とともに基板22の装着面側に設けられている。ここで、受光素子26は、非装着面側からの侵入光を遮光するために、基板22とは受光面の周縁を含むような遮光層266を介して設けられている。
導光部材29は、この受光素子26に被さるとともに、接触面29bが発光素子24の発光面よりも生体側に突出している。このため、他の実施形態と同様に、被験者が体動しても、受光領域に対応した接触面29bと皮膚52との位置がずれにくくなる。一方、導光部材29の側面には設けられた反射層29aによって、発光素子24の出射効率とともに、受光素子26の受光効率が高められる。したがって、第4実施形態によれば、他の実施形態と同様に体動があっても微弱な光成分を精度良く検出することができる。
また、導光部材29を発光素子24および受光素子26の双方に被せるように設けた構成としても良い。この構成においては、被験者と位置ずれしにくいように、発光素子24または受光素子26のどちらか一方に被せた導光部材29の接触面29bを、発光素子24または受光素子26のどちらか他方に被せた導光部材29の接触面29bよりも生体側に突出させれば良い。
例えば、図3、図11、図12に示した例では、発光素子24を基板22の装着面側に、受光素子26を基板22の非装着面側に、それぞれ設けたが、反対に、発光素子24を基板22の非装着面側に、受光素子26を基板22の装着面側に設けた構成としても良い。この構成では、発光素子24は、基板22の側に光を出射するので、ボトムエミッション型となる。この構成において導光部材29については、基板22の装着面側において、受光素子26に被せるように設けても良いし、受光素子26が設けられている部分を避けるように、発光素子24に対向した部分に設けても良い。
また、血管としては、動脈・静脈のいずれでも良い。
生体情報としては、生体の血管のパターンでも良く、この血管パターンから当該生体を認証する認証装置にも適用可能である。
測定対象は、ヒトに限らず、動物でも良いのはもちろんである。
Claims (11)
- 第1基板に設けられ、生体に向けて光を照射する発光素子と、
前記第1基板に設けられ、前記生体からの光を受光する受光素子と、
光透過性を有し、前記第1基板に対して前記発光素子または前記受光素子の一方に対応して設けられ、前記生体に接触する接触面が前記発光素子または前記受光素子の他方よりも前記生体側に突出した導光部材と、
を具備し、
前記第1基板は、光透過性を有し、
前記発光素子は、前記第1基板の一方の面側に設けられ、
前記受光素子は、前記第1基板の他方の面側に設けられ、前記発光素子から出射した光のうち、前記生体からの反射光を受光する
することを特徴とする生体センサー。 - 前記発光素子は、
前記第1基板から向かって順に、反射層、第1電極層、発光層および第2電極層を少なくとも含んだ積層体であって、前記第1基板側とは反対側に光を出射し、
前記第1電極層および前記第2電極層は、それぞれ光透過性を有し、
前記受光素子は、前記第1基板を透過した光を受光する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体センサー。 - 前記導光部材は、
前記基板に対して鉛直方向となる側面で反射性を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体センサー。 - 前記受光素子は、
第2基板における一方の面に設けられ、前記第2基板における一方の面が前記第1基板の他方の面に対向するように、前記第1基板と前記第2基板とが貼り合わされることにより、前記第1基板の他方の面側に設けられた
ことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の生体センサー。 - 前記導光部材は、前記第1基板の一方の面側に前記発光素子を覆うように設けられた
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の生体センサー。 - 前記導光部材は、前記第1基板の一方の面側に前記発光素子の非配置部分に設けられた
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の生体センサー。 - 前記基板を平面視したときに、
前記発光素子は、前記受光素子に含まれるように配置されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の生体センサー。 - 前記基板を平面視したときに、
前記発光素子は、同心円状の発光面を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の生体センサー。 - 前記基板を平面視したときに、
前記発光素子は、所定の間隔をおいてマトリクス状に配列した発光面を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の生体センサー。 - 前記基板を平面視したときに、
前記受光素子の受光面の面積は、
前記発光素子の発光面の面積以上である
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の生体センサー。 - 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の生体センサーと、
前記受光素子から出力される信号に基づいて生体情報を出力する演算処理回路と、
を備える生体情報検出装置。
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