JP5916497B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置及びこのバルブタイミング制御装置の作動油給排構造 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置及びこのバルブタイミング制御装置の作動油給排構造 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁である機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置及びこのバルブタイミング制御装置の作動油給排構造に関する。
従来のバルブタイミング制御装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたベーンタイプのものが知られている。
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトからタイミングチェーンを介して回転力が伝達されるタイミングスプロケットと、該タイミングスプロケットに相対回転可能に設けられて、例えば吸気弁を開閉作動させるカムシャフトと、該カムシャフトの一端部に固定されて、前記タイミングスプロケット側のハウジングの内部に回転自在に収容されたベーンロータと、を備えている。
また、前記ハウジングの内周面に突設された複数のシューと前記ベーンロータの外周に突設された複数のベーンとの間に、遅角油圧室と進角油圧室が隔成されていると共に、前記ベーンロータの前端側の中心位置に、保持穴が軸方向に沿って形成されている。この保持穴には、内部に作動油の給排通路が形成された通路構成部のロッド状の先端部が挿入保持されていると共に、該先端部の外周に前記保持穴との間をシールする複数のシールリングが設けられている。
そして、前記給排通路を介して前記遅角、進角油圧室に作動油を選択的に給排することによって、前記ベーンロータを遅角側あるいは進角側に回転駆動させて、前記タイミングスプロケットに対してカムシャフトの相対回転位相を変換して吸気弁の開閉タイミングを制御するようになっている。
特開2005−180378号公報
前記従来の装置にあっては、前記通路構成部の先端部外周に設けられた前記全てのシールリングは、外周面が前記ベーンロータの保持穴の内周面に摺動しつつシール作用を行っているが、このベーンロータには、バルブスプリングのばね力などに起因して前記カムシャフトに発生した正負の交番トルクを常時受けている。このため、前記各シールリングは、保持穴の内周面で摺動負荷が大きくなって摩耗が発生し易くなり、シール性能が低下するおそれがある。
本発明は、前記従来のバルブタイミング制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、シールリングの摩耗の発生を抑制して良好なシール性能を維持し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置及びこの作動油供給構造を提供することを目的としている。
本発明は、クランクシャフトから回転力が伝達され、内周側に複数のシューが突設されていると共に、前端側の回転中心位置に開口孔が形成されたハウジングと、
該ハウジングの前記開口孔と反対側の位置に形成されたカムシャフト挿通孔を介してカムシャフトに固定されていると共に、前記開口孔と対向する位置に保持穴が設けられたロータ及び該ロータの外周に放射方向に突設され、前記各シューとの間に複数の遅角油圧室と進角油圧室を隔成する複数のベーンを有し、前記各油圧室に選択的に給排された作動油によって前記ハウジングに対して遅角側あるいは進角側に相対回転するベーンロータと、
ロッド状の部位が前記保持穴内に挿入され、内部に前記遅角油圧室に対して作動油の給排を行う第1通路と、前記進角油圧室に対して作動油の給排を行う第2通路が形成された通路構成部と、
該通路構成部のロッド状の部位の外周に設けられ、前記ハウジングの開口孔の内周面と摺動するリング状の第1シール部材と、
前記ロッド状の部位の外周に設けられ、前記ロータの保持穴の内周面に摺動して前記第1通路と第2通路との間をシールする第2シール部材と、
を備え、
前記ロータは、前記第1通路と前記遅角油圧室とを連通する遅角側油孔と、前記第2通路と進角油圧室とを連通する進角側油孔がそれぞれ形成され、さらに、前記ハウジングの前端側の内面に摺動する一端面に、前記遅角側油孔と進角側油孔の一方が溝通路として形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、シールリングのシール性能の低下を抑制して、外部への作動油の漏れを低減することができる。
本発明の第1実施形態におけるバルブタイミング制御装置の要部拡大断面図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置を一部断面して示す概略図である。 本実施形態に供されるロック機構を示す縦断面図である。 本実施形態に供されるシールリングの斜視図である。 本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の最遅角側への作動状態を示す図2のA−A線断面図である。 本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の最進角側への作動状態を示す図2のA−A線断面図である。 本発明の第2実施形態におけるバルブタイミング制御装置の要部拡大断面図である。 本発明の第3実施形態におけるバルブタイミング制御装置の要部拡大断面図である。 本発明の第4実施形態におけるバルブタイミング制御装置の要部拡大断面図である。 本発明の第5実施形態におけるバルブタイミング制御装置の最遅角側への作動状態を示す断面図である。 本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の要部拡大断面図である。 本実施形態におけるバルブタイミング制御装置の最進角側への作動状態を示す断面図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置の中間位相側への作動状態を示す断面図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。本実施形態では、バルブタイミング制御装置(VTC)を吸気弁側の動弁装置に適用したものを示している。なお、本発明を排気弁側の動弁装置に適用することも可能である。
前記バルブタイミング制御装置は、図2〜図5,図6に示すように、図外のクランクシャフトによりタイミングチェーンを介して回転力が伝達される駆動回転体であるタイミングスプロケット1と、該タイミングスプロケット1に対して相対回転可能に設けられた吸気側のカムシャフト2と、タイミングスプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回転位相を変換する位相変換機構3と、該位相変換機構3を作動させる油圧回路4と、を備えている。
前記タイミングスプロケット1は、前記位相変換機構3の一部を構成する後述のハウジング5によって構成されていると共に、図5,図6中、矢印方向に回転するようになっている。
前記カムシャフト2は、図外のシリンダヘッドにカム軸受を介して回転自在に支持され、外周面所定位置に直動型のバルブリフターを介して吸気弁を開作動させる複数の駆動カムが一体に設けられていると共に、一端部2a側に肉厚な円環状のフランジ部2bが一体に設けられている。また、前記カムシャフト2の一端部2aの内部軸方向には、後述するベーンロータ7を一端部2aの先端部に軸方向から固定するカムボルト6が螺着する雌ねじ孔2cが形成されている。
前記位相変換機構3は、図2及び図5、図6に示すように、カムシャフト2の一端部2a側に配置された前記ハウジング5と、前記カムシャフト2の一端部に2aに前記カムボルト6によって軸方向から固定されて、前記ハウジング5内に相対回転自在に収容された従動回転体であるベーンロータ7と、前記ハウジング5の内周面に内方に向かって突出形成された4つのシュー8と、該各シュー8とベーンロータ7の後述する4つのベーン22〜25とによって隔成されたそれぞれ4つの遅角油圧室9及び進角油圧室10とを備えている。
前記ハウジング5は、ほぼ円筒状のハウジング本体11と、該ハウジング本体11の前後開口端を閉塞するフロントプレート12及びリアプレート13とを備えている。前記ハウジング本体11とフロントプレート12及びリアプレート13は、4本のボルト14によって軸方向から共締めにより一体的に結合されている。
前記ハウジング本体11は、図5、図6にも示すように、前記各シュー8を除く一般部がほぼ薄肉に形成されて、内部に形成された作動油室が前記各遅角油圧室9と各進角油圧室10とに隔成されている。前記各シュー8は、円周方向のほぼ等間隔位置に形成されて、それぞれが側面からみてほぼ台形状に形成され、それぞれの先端部に軸方向に沿って形成されたシール溝内にほぼコ字形状のシール部材15が嵌着されている。また、各シュー8の付け根部側の内部軸方向には、前記各ボルト14が挿通する4つのボルト挿通孔16が貫通形成されている。
さらに、前記1つのシュー8の円周方向の一側面には、突起部8aが一体に形成されている。この突起部8aは、ベーンロータ7の一つのベーン22の進角側への回転方向の対向側面22bが当接してベーンロータ7の最大図中右方向(進角方向)の回転位置を規制するようになっている。また、前記一つのシュー8の前記突起部8a近傍の外周面には、径方向に沿った嵌着溝8bが形成され、この嵌着溝8bに位置決め用ピン26が嵌着固定されている。
前記フロントプレート12は、金属板材をプレス成形によって比較的薄肉な円板状に形成され、図1及び図2に示すように、中央位置に前方へ突出形成された円筒部17がプレス成形時に一体に形成されていると共に、外周側の円周方向のほぼ等間隔位置には、前記各ボルト14が挿通する4つのボルト挿通孔(図示せず)が貫通形成されている。
前記円筒部17は、内部軸方向に開口孔17aが貫通形成されていると共に、該開口孔17aの内周面前端縁には外側へ拡径したテーパ面17bが形成されており、前記開口孔17aは、前記テーパ面17bを除く内周面全体の部位が平坦な円筒状に形成されている。これにより、前記フロントプレート12は、外径側に対して内径側の方が肉厚になっている。
前記リアプレート13は、例えば焼結合金によりフロントプレート12よりも肉厚な円板状に形成され、中央に前記ロータ21が回転自在に挿通された大径な支持孔18が穿設されていると共に、外周部には前記タイミングチェーンと補機類を駆動する別異のタイミングチェーンがそれぞれ巻回されて回転力が伝達される2段のギア歯部13a、13bが一体に形成されている。また、該各歯部13a、13bの径方向内側の外周側には、前記各ボルト14の先端部の雄ねじが螺着する4つの図外の雌ねじ孔が円周方向のほぼ等間隔位置に形成されている。
また、このリアプレート13のハウジング本体11側の内側面の所定位置には、図1及び図3に示すように、固定用穴13cが穿設されている共に、この固定用穴13cには、後述するロック機構のロック穴31aを構成する穴構成部31が圧入固定されている。
前記ベーンロータ7は、焼結合金によって一体に形成され、図2、図5及び図6に示すように、中央に形成された挿通孔7aを軸方向から挿通した前記カムボルト6によってカムシャフト一端部2aに軸方向から固定されたロータ21と、該ロータ21の外周面の円周方向のほぼ等間隔位置に径方向へ放射状に突設された4枚のベーン22〜25と、から構成されている。
前記ロータ21は、カムシャフト2側に延びたほぼ円筒状に形成され、前端部21aが前記フロントプレート12の円筒部17と反対側の内端面に当接している一方、後端側に一体に有する筒部21bが前記カムボルト6によってカムシャフト2に締結固定されている。
すなわち、前記ロータ21は、前端部21aの内部軸方向に保持穴21cが形成されており、この保持穴21cは、前記フロントプレート12の開口孔17aに対向配置されていると共に、内径が前記開口孔17aの内径とほぼ同一に設定されている。
一方、前記筒部21bは、内部に円環状の支持壁21dを有し、この中央にカムボルト6の軸部6aが挿通する挿通孔21eが軸方向に貫通形成されていると共に、前記支持壁21dよりも後端側に前記カムシャフト一端部2aの先端部側が嵌合する嵌合穴21fが形成されている。
また、前記筒部21bは、後端面が前記カムシャフト2のフランジ部2bの前端面に当接していると共に、前記支持壁21dの後端面と前記カムシャフト一端部2aの対向先端面との間に円環状の隙間Sが形成されている。
したがって、ロータ21を、カムシャフト2の一端部2aに前記カムボルト6によって締結固定する際には、前記隙間Sの存在によって前記筒部21bの後端面がフランジ部2bの前端面に圧接しつつカムボルト6の軸力が支持壁21dに作用することから、該ロータ21をカムシャフト2に強固に固定することができる。
また、ロータ21は、図5及び図6に示すように、前記各シュー8の先端部上面にそれぞれ嵌着固定されたシール部材16に摺動しつつ正逆回転すると共に、前端部21a側には、前記各遅角油圧室9に連通する連通孔である4つの遅角側油孔27と、各進角油圧室10に連通する連通孔である4つの進角側油孔28が径方向へそれぞれ貫通形成されている。
前記各ベーン22〜25は、それぞれが各シュー8間に配置されていると共に、各先端面に軸方向に形成されたシール溝内に前記ハウジング本体11の内周面11aに摺接するほぼコ字形状のシール部材29が嵌着されている。また、この各ベーン22〜25は、1つベーン22が最大巾に形成され、該ベーン22以外の3枚のベーン23〜25の巾が最大巾のベーン22よりも小さいほぼ同一の巾に設定されている。このように、各ベーン22〜25の巾をそれぞれ変化させることによってベーンロータ7全体の回転バランスを均一化するようになっている。
さらに、前記最大巾のベーン22と前記リアプレート13との間には、ベーンロータ7の自由な回転を拘束する前記ロック機構が設けられている。
このロック機構は、図2及び図3に示すように、前記最大巾ベーン22の内部軸方向に貫通形成された段差径状の摺動用孔22a内に摺動自在に収容されて、リアプレート13側に対して進退自在に設けられたロックピン30と、前記リアプレート13のロック穴構成部31に形成されて、前記ロックピン30の先端部30aが進出して係合し、あるいは後退して係合が解除されるロック穴31aと、機関の始動状態に応じて前記ロックピン30をロック穴31aに係合あるいは係合を解除する係脱機構と、から構成されている。
前記ロックピン30は、外周面が段差径状の有底円筒状に形成されて、ほぼ截頭円錐状に形成された先端部30aと、後端側のフランジ状の大径部30bとからなり、前記先端部30aが前記ロック穴31a内に軸方向から係合し易い形状になっている一方、大径部30bの根元部に前記遅角油圧室9からの油圧を導入する環状溝30cが形成されて、前記大径部30bが受圧部として機能するようになっている。
なお、前記摺動用孔22aのフロントプレート12側の孔縁には、図外の空気抜き孔が形成され、この空気抜き孔によってロックピン30の良好な摺動を確保するようになっている。
前記ロック穴31aは、図6に示すように、円周方向の前記進角油圧室10側に偏倚した位置に形成され、前記ロックピン30が係合した場合には、図5に示すように、ハウジング5とベーンロータ7の相対回転位置が最大遅角側の位置となるように設定されている。
前記係脱機構は、ロックピン30の後端部とフロントプレート12の内端面との間に弾装されて、ロックピン30を進出方向(係合する方向)へ付勢するコイルスプリング32と、前記ロック穴31a内あるいは前記環状溝30cに油圧を供給してロックピン30を後退させる解除用の油圧通路孔33a、33bとから構成されている。
つまり、前記コイルスプリング32のばね力によってロックピン30をロック穴31aに係合ロックさせるのに対して、前記油圧通路孔33a、33bは、前記遅角油圧室9と進角油圧室10にそれぞれ選択的に供給された油圧を前記ロック穴31a及び環状溝30cに供給してロックピン30を後退方向に移動させてロックを解除するようになっている。
なお、前記コイルスプリング32は、摺動用孔22aの底面側に設けられた縦断面T字形状のリテーナ32aによって姿勢が保持されるようになっている。
なお、前記ロック機構を、前記最大幅のベーン22と内側が肉厚になっている前記フロントプレート12との間に設けることも可能である。
前記油圧回路4は、前記各遅角油圧室9と進角油圧室10に対して油圧を選択的に供給するか、あるいは各油室9,10内の油を排出するもので、図1に示すように、前記遅角側油孔27に連通する第1通路としての遅角通路34と、前記各進角側油孔28に連通する第2通路としての進角通路35と、該各通路34,35に電磁切換弁36を介して油圧を選択的に供給するオイルポンプ37と、前記各通路34,35から電磁切換弁36を介して作動油をオイルパン38内に選択的に排出するドレン通路39と、を備えている。
前記遅角通路34と進角通路35は、位相変換機構3の前端側を覆うカバー部材40に一体に形成された給排部材である通路構成部41の内部に形成されており、この通路構成部41と前記カバー部材40は、アルミ合金材によって一体に形成されて、図外のシリンダヘッドに固定されている。
前記通路構成部41は、端部に前記開口孔17aとロータ21の保持穴21c内に跨って挿通された円柱状のロッド状部位である軸状部41aが一体に設けられ、この軸状部41aの内部軸方向に前記各通路34,35の一方端部34a、35aがほぼ平行に形成されている。
前記遅角通路34の一方端部34aは、先端34bが径方向へほぼL字形状に折曲形成されて、軸状部38aの外周に形成されたグルーブ溝34cを介して前記各遅角側油孔27に連通している。一方、進角通路35の端部35aは、直線状の先端部35aが前記軸状部38aの先端面と前記カムボルト6の頭部6b側との間に形成された油室42を介して前記各進角側油孔28に連通している。
前記軸状部41aは、前記開口孔17aに臨む基端側の外周に一つの第1環状シール溝43aが形成されていると共に、前記保持穴21cに臨む先端側の外周に2つの第2、第3環状シール溝43b、43cが隣接して形成されている。つまり、前記第1環状シール溝43aと第2環状シール溝43bは、前記遅角通路34の先端34b及びグルーブ溝34cを挟んだ両側に形成されている。
また、前記各環状シール溝43a〜43cには、円環状のシール部材である第1〜第3シールリング44,45、46がそれぞれ嵌着固定されている。
したがって、前記第1シールリング44と第2シールリング45とによって、前記遅角通路34のグルーブ溝34cがシールされている一方、前記油室42側が前記第2,第3シールリング45,46によってシールされるようになっている。
前記各シールリング44〜46は、代表的な一つシールリング44を記載した図4に示すように、硬質の合成樹脂材によって円環状に形成されていると共に、横断面ほぼ矩形状に形成されており、周方向の所定箇所が斜め方向から切断されて、該切断された対向両端面44a、44bを介して全体が拡縮変形可能になっている。
前記オイルポンプ37は、吐出通路37aが図外の濾過フィルターを介して前記電磁切換弁36に接続されていると共に、過大な吐出圧を抑制する図外のリリーフ弁が設けられている。
前記電磁切換弁36は、2方向弁であって、コントロールユニット47からの出力信号によって各通路34,35とオイルポンプ37の吐出通路37aあるいはドレン通路37とを選択的に切り換え制御するようになっている。また、この電磁切換弁36は、具体的に図示しないが、前記通路構成部41の外側部に、ボルトなどによって一体的に固定されている。
前記コントロールユニット47は、内部のコンピュータが図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、スロットルバルブ開度センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出すると共に、かかる機関運転状態に応じて前記電磁切換弁36の電磁コイルに制御パルス電流を出力するようになっている。
〔本実施形態の作用〕
以下、本実施形態の作用を説明すれば、まず、機関停止直前には、前記コントロールユニット47から電磁切換弁36への制御パルス電流の出力が停止されて、遅角油圧室9と進角油圧室10への油圧の供給が停止されることから、前記ベーンロータ7は、カムシャフト2に発生する交番トルクによって、図5に示すように最遅角位置(初期位置)に相対回転してロックピン30がコイルスプリングプリン32のばね力によって進出し、先端部30aがロック穴31a内に係合する。これによって、前記ハウジング5に対するベーンロータ7の相対回転が規制される。
次に、イグニッションスイッチをオンして機関を始動させクランキングが開始されると、オイルポンプ37の作動も開始される。しかし、この始動直後は、オイルポンプ37の吐出圧が十分に立ち上がらないことから、バルブタイミング制御装置へのオイル供給量が不足しているが、予めロックピン30の先端部30aがロック穴31a内に係入している状態が継続されて、ベーンロータ7を始動に最適な遅角側の回転位置に拘束している。したがって、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られると共に、前記カムシャフト2に作用する交番トルクによる各ベーンロータ7のばたつきを抑制できる。
そして、機関始動後の所定の低回転低負荷域では、コントロールユニット47から電磁切換弁36に制御電流が通電されて、オイルポンプ37の吐出通路37aと進角側通路35を連通させると同時に、遅角通路34とドレン通路39とを連通させる。
このため、オイルポンプ37から吐出された作動油は、進角側通路35を介して各進角油圧室10内に流入して、該各進角油圧室10が高圧になる一方、遅角油圧室9内の作動油が遅角側通路36を通ってドレン通路37からオイルパン44内に排出されて、各遅角油圧室9内が低圧になる。
このとき、各進角油圧室10内に流入した作動油が、前記油圧通路孔33bを介してロック穴31a内に供給されることから、ロックピン30が後退動してロック穴31aから抜け出しロックが解除される。これにより、ベーンロータ7は、自由な回転が許容されて排気弁の開閉タイミングを任意に変更することができるが、この状態では、最進角側に保持される。
一方、機関が例えば中回転域に移行した場合は、コントロールユニット47から電磁切換弁36に所定の制御パルス電流が出力されて、吐出通路36aと遅角通路34とを連通させると同時に、進角側通路35とドレン通路37とを連通させる。
これにより、各進角油圧室10内の作動油が排出されて低圧になると共に、各遅角油圧室9内に作動油が供給されて内部が高圧になる。このとき、各遅角油圧室9から前記摺動用孔22aの環状溝30cに油圧が供給されることから、この油圧を受けた大径部30bを介してロックピン30がロック穴31aから抜け出した状態が維持される。
このため、ベーンロータ7は、図5に示すように、ハウジング5に対して反時計方向へ回転して、タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の相対回動位相が遅角側に変換される。
この結果、排気弁の開閉タイミングが遅角側に制御されて、吸気弁と排気弁のバルブオーバーラップが大きくなり、かかる中回転域における機関燃焼効率を向上させることができる。
そして、この実施形態では、前述のように、第1シールリング44は、外周面が前記ロータ21の保持穴21cではなく、前記フロントプレート12の開口孔17aの内周面に摺動するようになっている。このため、機関始動時などに前記カムシャフト2に発生する交番トルクによる影響を受けず、開口孔17aの内周面との摺動負荷が小さいことから、長期に渡り摩耗の発生を抑制できて、耐久性が向上し、良好なシール性能を維持することができる。
つまり、前記遅角通路34の先端34b側のグルーブ溝34cと遅角側油孔27との間の良好なシール性能が維持されて、作動油の外部への漏れを効果的に抑制できる。
また、前記第1シールリング44を、フロントプレート12側に配置することによって、通路構成部41の軸状部41aの軸方向の長さを短くすることができることから、その分、ベーンロータ7のロータ21の軸方向の長さやハウジング5全体の軸方向の長さも短くすることができる。この結果、バルブタイミング制御装置のエンジンルーム内への搭載性が向上する。
さらに、前記遅角側油孔27を、ロータ21の前端部21aの前端面に形成したことから、ベーンロータ7の焼結成形時に一緒に形成することができるので、ドリルによって孔開けする場合に比較して成形作業が容易である。
また、前記円筒部17の開口孔17aにテーパ面17bが形成されていることから、前記軸状部41aを開口孔17aやロータ21の保持穴21cに挿入する際に、各シールリング44〜46が前記テーパ面17bに沿って縮径変形しながら案内されるため、前記各該軸状部41aの挿入作業が容易になる。
〔第2実施形態〕
図7は第2実施形態を示し、前記遅角通路34の先端34bに形成されたグルーブ溝34cに代えて、ロータ21の前端部21aの遅角側油孔27の内周側に、該遅角側油孔27と連通する円環状の油溝27aを形成したものである。他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
したがって、この実施形態によれば、前記第1実施形態と同様な作用効果が得られることは勿論のこと、前記油溝27aによってグルーブ溝と同様な作用が得られると共に、遅角側油孔27ととともにベーンロータ7の焼結成形時に一緒に成形することができるので、切削加工によってグルーブ溝を形成する場合に比較して成形作業が容易になる。
〔第3実施形態〕
図8は第3実施形態を示し、前記遅角側油孔27を、ロータ21の前端部21a側ではなく、前記フロントプレート12の対応する部位12aを膨出形成し、この内部に形成したものである。
つまり、遅角通路34の先端34b側には、グルーブ溝34cが形成されていると共に、該グルーブ溝34cと径方向から対向する前記フロントプレート12の円筒部17の内側の部位12aが膨出形成され、該膨出部位12aの内部に径方向に沿った遅角側油孔27が形成されている。
この場合も、フロントプレート12のプレス成形時に、前記膨出部位12aを一緒に成形できるので、かかる成形作業が容易である。
なお、他の構成は第1実施形態と同じであるから、同様の作用効果が得られる。
〔第4実施形態〕
図9は第4実施形態を示し、この実施形態では、第3実施形態の膨出部位12a内の遅角側油孔27を前提として、第2実施形態に示した円環状の油溝27aを同じく膨出部位12aの内周側に形成したものである。
したがって、前記遅角側油孔27と油溝27aをフロントプレート12側に一体に形成できるため、該両者27,27aの成形作業がさらに容易になる。
他の構成は、前記各実施形態と同じであるから、同様の作用効果が得られる。
〔第5実施形態〕
図10〜図13は第5実施形態を示し、ロック機構の構成を変更する共に、これに伴って油圧回路4の構成も変更したものである。
すなわち、前記ロック機構は、機関の停止状態に応じて、ハウジング5に対してベーンロータ7を最遅角側の回転位置(図10の位置)と最進角側の回転位置(図12の位置)との間の中間回転位相位置(図13の位置)に保持するものである。
前記リアプレート13(スプロケット1)の内側面の所定位置には、図外の第1〜第3ロック穴が形成されていると共に、前記ロータ21の径方向で対向して形成された2つの大径部21g、21hの周方向の3箇所に、第1〜第3摺動用孔50、51、52が形成され、この各摺動用孔50〜52に、前記各ロック穴にそれぞれ係脱する3つの第1〜3ロックピン53、54、55がそれぞれ設けられている。また、前記各ロック穴の先端部には、各ロックピン53〜55の係合を解除させる後述するロック解除通路56の一方端部56aが連通している。
第1ロック穴は、リアプレート13の内側面の前記ベーンロータ7の最遅角側の回転位置よりも進角側に寄った中間位置に形成されている。
したがって、第1ロックピン53は、ベーンロータ7の進角方向の回転に伴って先端部が前記第1ロック穴に係入すると、先端部の側縁が第1ロック穴の周方向内側縁に当接した時点でベーンロータ7の遅角方向への移動を規制するようになっている。
前記第2ロック穴は、第1ロック穴と同じく第1大径部21g側のリアプレート13の内側面に形成され、円周方向に沿った長溝の階段状に形成されている。
前記第3ロック穴は、前記第2大径部21h側に前記第2ロック穴よりも長くリアプレート13の円周方向に延びた円弧長溝状に形成されていると共に、リアプレート12の内側面の前記ベーンロータ7の最遅角側の回転位置よりも進角側に寄った中間位置に形成されている。また、この第3ロック穴は、その底面が遅角側から進角側に亘って低くなる3段の階段状に形成されて、これがロック案内溝として機能するようになっている。
なお、前記第1〜第3ロック穴は、前記リアプレート13に形成された保持穴に嵌合固定された穴形成部材によって形成されている。
前記第1ロックピン53は、ロータ21の第1ロック穴側の内部軸方向に貫通形成された前記第1摺動用孔50内に摺動自在に配置され、小径な先端部の先端面が前記第1ロック穴の底面に密着状態に当接可能な平坦面状に形成されている。
また、この第1ロックピン53は、内部の凹溝底面とフロントプレート12の内面との間に弾装された第1スプリングのばね力によって第1ロック穴に係合する方向へ付勢されている。
また、この第1ロックピン53は、前記ロータ21内に形成されたロック解除通路56の一方端部56aからロック穴に供給された作動油が先端部に作用するようになっており、この油圧によって、前記第1スプリングのばね力に抗して後退移動して第1ロック穴との係合が解除されるようになっている。
前記第2ロックピン54は、前記ロータ21の前記第2ロック穴側の内部軸方向に貫通形成された前記第2摺動用孔51内に摺動自在に配置され、外径が段差径状に形成されて、小径な先端部は、先端面が前記第2ロック穴の各底面に密着状態に当接可能な平坦面状に形成されている。また、この第2ロックピン54は、後端側から内部軸方向に形成された凹溝底面とフロントプレート13の内面との間に弾装された第2スプリングのばね力によって第2ロック穴に係合する方向へ付勢されている。
また、この第2ロックピン54は、前記ロック解除通路56の一方端部56aから第2ロック穴に作用する油圧によって、前記第2スプリングのばね力に抗して後退移動して第2ロック穴との係合が解除されるようになっている。
前記第3ロックピン55は、前記ロータ21の第3ロック穴側の内部軸方向に貫通形成された第1摺動用孔52内に摺動自在に配置され、外径が段差径状に形成されて、小径な前記先端部の先端面が前記第3ロック穴の各底面に密着状態に当接可能な平坦面状に形成されている。また、この第3ロックピン55は、後端側から内部軸方向に形成された凹溝底面とフロントプレート13の内面との間に弾装された第3スプリングのばね力によって第3ロック穴に係合する方向へ付勢されている。
また、この第3ロックピン55は、前記ロック解除通路56の一方端部56aから第3ロック穴に作用する油圧によって、前記第3スプリングのばね力に抗して後退移動して第3ロック穴との係合が解除されるようになっている。
前記油圧回路4は、基本的には図2に示す通りであるが、前記電磁切換弁36とは別に図外の第2電磁切換弁が設けられていると共に、前記オイルポンプ37から吐出通路37aに吐出された油圧が第2電磁切換弁を経由して前記ロック解除通路56に供給されて一方端部56aからグルーブ溝56cと放射状の第1〜第3連通路57,58、59を介して各ロック穴に連通するようになっている。
すなわち、前記ロック解除通路56は、図11に示すように、前記通路構成部41内に前記遅角通路34とほぼ平行に形成されていると共に、軸状部41a内でL字形状に折曲された一方端部56aの先端56bが前記第2シールリング45と第3シールリング46との間に開口形成されていると共に、該開口部に円環状のグルーブ溝56cが形成されている。このグルーブ溝56cは、前記各連通路57〜59を介して各ロック穴に連通している。
また、前記第2電磁切換弁は、前記オイルポンプ37の吐出通路37aと前記ロック解除通路56と連通させるか、あるいは該ロック解除通路56と図外のドレン通路とを連通させるようになっていると共に、前記コントロールユニット47からの制御電流によってオンーオフ的に開閉作動するようになっている。
以下、この実施形態の作用について簡単に説明すると、まず、イグニッションスイッチをオフ操作して機関の停止直前では、バルブスプリングのばね力などに起因してカムシャフト2に正負の交番トルクが発生する。特に、負のトルクによってベーンロータ7が遅角側から進角側へ回転して中間位相位置になると、第1〜第3ロックピン53〜55が、各スプリングのばね力で進出移動して各先端部が対応する第1〜第3ロック穴に係合する。これによって、ベーンロータ7は、図13に示す最進角と最遅角の間の中間位相位置に保持されることになる。
その後、機関を始動するために、イグニッションスイッチをオン操作すると、その直後の初爆(クランキング開始)によってオイルポンプ37が駆動し、その吐出油圧が、遅角通路34と進角通路35を介して各遅角油圧室9と各進角油圧室10にそれぞれ供給される。一方、前記ロック解除通路56とドレン通路は連通された状態になっていることから、各ロックピン53〜55は、各スプリングのばね力によって各ロック穴に係合した状態を維持している。
続いて、例えば機関低回転低負荷域や高回転高負荷域に移行する直前には、コントロールユニット47から電磁切換弁36と第2電磁切換弁に制御電流が出力されて、吐出通路37aとロック解除通路56が連通すると共に、吐出通路37aに対する遅角通路18と進角通路19との連通が維持される。
したがって、ロック解除通路56から各連通路57〜59を介して第1〜第3ロック穴に作動油(油圧)が供給されるので、各ロックピン53〜55は、各スプリングのばね力に抗して後退移動して先端部が各ロック穴から抜け出す。これによって、それぞれの係合が解除される。
よって、前記ベーンロータ7は、自由な正逆回転が許容され、また、遅角、進角油圧室9,10の両方に作動油が供給される。
このように、両方の油圧室9,10に油圧を供給していることから、前記各ロックピン53〜55の各ロック穴への食い込み現象やばたつき等を十分に抑制できる。
その後、機関の運転状態の変化によって前述と同じく、油圧回路4を介して各遅角油圧室9のみにポンプ油圧が供給されて各進角油圧室10はドレン通路39と連通させた場合には、ベーンロータ7は、スプロケット1に対して図10に示す最大遅角側に相対回転する。これによって、各吸気弁の開閉時期を遅角側に制御する。
一方、各進角油圧室10のみにポンプ油圧が供給されて各遅角油圧室9はドレン通路39と連通させた場合には、ベーンロータ7は、スプロケット1に対して図12に示す最大進角側に相対回転する。これによって、各吸気弁の開閉時期を進角側に制御する。
また、前記第2ロック穴と第3ロック穴の階段状の長溝形状に形成されていることから、前記ベーンロータ7が遅角側に位置した状態で機関を停止した場合には、カムシャフト2に発生する交番トルク(特に負のトルク)によって各ロックピン54,55が各ロック穴の階段を利用してラチェット式に中間位置に自動的に相対回転させることから、ベーンロータ7を始動に最適な中間相対回転位置に移動させることが可能になる。
他の構成は前記第1実施形態と同様であって、第1シールリング44が、フロントプレート12の円筒部17の開口孔17aの形成位置に配置されていることから、前記第1実施形態と同じく前記カムシャフト2の交番トルクに影響されない。したがって、第1シールリング44は、外周面の摩耗の発生が十分に抑制されて、良好なシール性能を維持できる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、バルブタイミング制御装置としては、ベーンタイプ以外のものにも適用することができる。
また、前記各実施形態では、第1シールリング44のみをフロントプレート12側に配置したが、VTCの仕様や大きさなどによっては、前記第2シールリング45などもフロントプレート12側に配置することも可能である。
さらに、前記実施形態では、遅角通路34側について説明したが、進角通路35を遅角通路34に置き換えることも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記通路構成部には、前記進角油圧室への作動油の給排を行う第1通路と、前記遅角油圧室への作動油の給排を行う第2通路が設けられ、
前記第1通路と第2通路との間をシールする第2シール部材を、前記通路構成部の外周に設けると共に、該第2シール部材の外周面が前記ロータの保持穴の内周面と摺動するように構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項b〕請求項aに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記第2シール部材は、隣接して配置された2本のシールリングによって構成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項c〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記通路構成部の外周には、シール溝が形成され、該シール溝に前記シール部材が嵌着されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項d〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記シール部材は、リング状に形成されて、周方向の一箇所が斜めに切断された樹脂材によって構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項e〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記ベーンロータには、油圧によって前記ハウジング側に進退動するロック部材が設けられていると共に、前記ハウジングには、前記ロック部材が進出動した際に係合するロック穴が設けられ、
前記通路構成部の内部には、前記ロック部材に係合解除用の油圧を給排する第3通路が設けられていると共に、前記通路構成部の外周には、該第3通路と、前記第1通路または第2通路との間をシールする第3シール部材が設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項f〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記ロータには、前記第1通路と前記遅角油圧室とを連通する第4通路が形成されていると共に、前記第2通路と進角油圧室とを連通する第5通路がそれぞれ形成されて、
前記第4通路と第5通路の少なくとも一方が、前記ハウジングの前端側内面に摺動する前記ロータの一端面に溝通路として形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、ロータの一端面側を溝通路として利用したことから、配置スペースの有用利用が図れると共に、ロータの軸方向の長さを短尺化できる。
〔請求項g〕請求項fに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記溝通路は、前記ベーンロータの型成形時に一体に形成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項h〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記ハウジングの開口孔の内周面には、前端面に向かって拡径するテーパ面が形成されていると共に、該テーパ面の内周縁から前記ベーンロータに向かって円環状に形成された部位を前記シール部材が摺動するシール摺動面として形成したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項i〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記ハウジングは、筒状のハウジング本体と、該ハウジング本体の前端側に配置されて、前記前端開口穴が形成されたフロントプレートと、前記ハウジング本体の後端側に配置されて、前記カムシャフト挿通孔が形成されたリアプレートと、を一体的に結合して構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項j〕請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記通路構成部は、内燃機関に固定されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
〔請求項k〕請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置の作動油給排構造において、
前記通路構成部は、前記ハウジングの先端側を覆うように配置されて、内燃機関に固定されたカバー部材に一体に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の作動油給排構造。
〔請求項l〕請求項kに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置の作動油給排構造において、
前記カバー部材には、作動油の給排を制御する制御弁が設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の作動油給排構造。
〔請求項m〕請求項iに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記フロントプレートは、前記リング状のシール部材の摺動する内径側の肉厚を、外周側よりも大きく形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)
2…カムシャフト(従動回転体)
3…位相変換機構
4…油圧回路
5…ハウジング
7…ベーンロータ(従動回転体)
8…シュー
9…遅角油室
10…進角油室
11…ハウジング本体
12…フロントプレート
13…リアプレート
14…ボルト
21…ロータ
21a…前端部
21b…筒部
21c…保持穴
22〜25…ベーン
27…遅角側油孔(保持穴)
28…進角側油孔
34…遅角通路(第1通路)
34a…一方端部
34b…先端
34c…グルーブ溝
35…進角通路(第2通路)
35a…一方端部
41…通路構成部
41a…軸状部
44…第1シールリング(シール部材)
45…第2シールリング
46…第3シールリング

Claims (2)

  1. クランクシャフトから回転力が伝達され、内周側に複数のシューが突設されていると共に、前端側の回転中心位置に開口孔が形成されたハウジングと、
    該ハウジングの前記開口孔と反対側の位置に形成されたカムシャフト挿通孔を介してカムシャフトに固定されていると共に、前記開口孔と対向する位置に保持穴が設けられたロータ及び該ロータの外周に放射方向に突設され、前記各シューとの間に複数の遅角油圧室と進角油圧室を隔成する複数のベーンを有し、前記各油圧室に選択的に給排された作動油によって前記ハウジングに対して遅角側あるいは進角側に相対回転するベーンロータと、
    ロッド状の部位が前記保持穴内に挿入され、内部に前記遅角油圧室に対して作動油の給排を行う第1通路と、前記進角油圧室に対して作動油の給排を行う第2通路が形成された通路構成部と、
    該通路構成部のロッド状の部位の外周に設けられ、前記ハウジングの開口孔の内周面と摺動するリング状の第1シール部材と、
    前記ロッド状の部位の外周に設けられ、前記ロータの保持穴の内周面に摺動して前記第1通路と第2通路との間をシールする第2シール部材と、
    を備え、
    前記ロータは、前記第1通路と前記遅角油圧室とを連通する遅角側油孔と、前記第2通路と進角油圧室とを連通する進角側油孔がそれぞれ形成され、さらに、前記ハウジングの前端側の内面に摺動する一端面に、前記遅角側油孔と進角側油孔の一方が溝通路として形成されていること特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. クランクシャフトから回転力が伝達され、内周側に複数のシューが突設されていると共に、前端側の回転中心位置に開口孔が形成されたハウジングと、
    該ハウジングの開口孔と反対側の位置に形成されたカムシャフト挿通孔を介してカムシャフトに固定されていると共に、前記開口孔と対向する位置に保持穴が設けられたロータ及び該ロータの外周に放射方向に突設され、前記各シューとの間に複数の遅角油圧室と進角油圧室を隔成する複数のベーンを有し、前記各油圧室に選択的に給排された作動油によって前記ハウジングに対して遅角側あるいは進角側に相対回転するベーンロータと、
    を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられ、
    ロッド状の部位が前記保持穴内に挿入され、内部に前記遅角油圧室に対して作動油の給排を行う第1通路と、前記進角油圧室に対して作動油の給排を行う第2通路が形成された通路構成部と、
    該通路構成部のロッド状部位の外周に設けられ、前記ハウジングの開口孔の内周面と摺動するリング状の第1シール部材と、
    前記ロッド状の部位の外周に設けられ、前記ロータの保持穴の内周面に摺動して前記第1通路と第2通路との間をシールする第2シール部材と、
    を備え、
    前記ロータは、前記第1通路と前記遅角油圧室とを連通する遅角側油孔と、前記第2通路と進角油圧室とを連通する進角側油孔がそれぞれ形成され、さらに、前記ハウジングの前端側の内面に摺動する一端面に、前記遅角側油孔と進角側油孔の一方が溝通路として形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の作動油給排構造。
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