以下に、本発明にかかる運転支援システムおよび運転支援方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
本発明の実施形態にかかる運転支援システムの構成について図1から図10を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる自車行動方針決定装置および運転支援装置を含む運転支援システムの構成の一例を示す図である。図2は、本実施形態にかかる自車位置校正装置を含む運転支援システムの構成の別の一例を示す図である。図3は、補正区間と誤差補正量の設定の一例を示す図である。図4は、補正区間と誤差補正量の設定の別の一例を示す図である。図5は、誤差補正カーブの設定の一例を示す図である。図6は、図5のA1地点における誤差補正カーブの一例を示す図である。図7は、図5のB1地点における誤差補正カーブの一例を示す図である。図8は、図5のB2地点における誤差補正カーブの一例を示す図である。図9は、図5のB3地点における誤差補正カーブの一例を示す図である。図10は、図5のC1地点における誤差補正カーブの一例を示す図である。
図1に示すように、車両100(以下「自車」と呼ぶこともある)は、検知部1と、自車走行車線認識部2と、周辺車両認識部3と、道路構造認識部4と、基準地物情報記憶部5と、道路情報記憶部6と、自車位置取得部7と、車両データ取得部8と、自車行動方針決定部9と、目標軌跡生成部10と、制御パラメータ生成部11と、自動運転制御部12と、出力制御部13と、予想経路取得部14と、を有する。車両100において、自車走行車線認識部2と、周辺車両認識部3と、道路構造認識部4と、基準地物情報記憶部5と、道路情報記憶部6と、自車位置取得部7と、車両データ取得部8と、自車行動方針決定部9と、目標軌跡生成部10とが、自車行動方針決定装置30に含まれる。制御パラメータ生成部11と、自動運転制御部12と、出力制御部13とが、運転支援装置40に含まれる。図1において、本実施形態にかかる運転支援システムは、検知部1(検知手段)と、自車行動方針決定装置30と、運転支援装置40とを含んで構成される。
検知部1は、カメラ1aと、レーダ1bと、車車間通信部1cと、路車間通信部1dとを有し、検知手段として構成される。本実施形態において、カメラ1aおよびレーダ1bは、車両100の進行先に設置された地物を検知可能なように車両100の前方に設けられ、検知対象となる地物等の対象物の画像データや検知情報を取得する。ここで、地物としては、例えば、信号機、標識、トンネル、橋脚、橋桁、歩道橋、路面ペイント、バス停行灯、および、反射板などが挙げられるが、これに限定されない。本実施形態において、これらの地物は、自車位置を校正するための基準地物として用いられる。なお、基準地物に基づいた自車位置の校正については後述する。車車間通信部1cは、車両100の周辺を走行する周辺車両と通信することで、周辺車両の位置や車両データを取得する。路車間通信部1dは、車両100の周辺に位置するインフラ装置と通信することで、車両100の周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得する。検知部1は、カメラ1a、レーダ1b、車車間通信部1c、路車間通信部1dのうち少なくとも1つから取得された各種情報を、自車走行車線認識部2、周辺車両認識部3、道路構造認識部4へ出力する。
自車走行車線認識部2は、検知部1により取得された情報に基づいて車両100が走行中の車線を認識する。例えば、自車走行車線認識部2は、カメラ1aやレーダ1bにより取得された、車両100が走行中の道路上の路面ペイントや反射板等の地物の画像データや検知情報に基づいて、車両100が走行中の車線を認識する。自車走行車線認識部2は、自車走行車線の認識結果を自車行動方針決定部9へ出力する。
周辺車両認識部3は、検知部1により取得された情報に基づいて車両100の周辺を走行する周辺車両を認識する。例えば、周辺車両認識部3は、カメラ1aやレーダ1bにより取得された、車両100の前方の画像データや検知情報に基づいて、前走車との車間や前走車の車高を認識する。また、周辺車両認識部3は、車車間通信部1cにより取得された周辺車両の位置、および/または、路車間通信部1dにより取得された走行環境情報に基づいて、各走行車線の車両密度を認識する。周辺車両認識部3は、周辺車両の認識結果を自車行動方針決定部9へ出力する。
道路構造認識部4は、検知部1により取得された情報に基づいて車両100が走行中の道路構造を認識する。例えば、道路構造認識部4は、カメラ1aやレーダ1bにより取得された車両100の前方の画像データや検知情報、および/または、路車間通信部1dにより取得された走行環境情報に基づいて、車両100が走行中の道路の幅員や走行車線間の構造物の有無等を認識する。道路構造認識部4は、道路構造の認識結果を自車行動方針決定部9および目標軌跡生成部10へ出力する。
基準地物情報記憶部5は、基準地物の設置場所(設定地点)を示す位置情報に対応付けて、基準地物の特徴を示す基準地物情報を記憶する。位置情報は、基準地物の緯度、経度、高度を示す情報である。基準地物情報は、例えば、基準地物の種別、道路に対する基準地物の設置状態、基準地物の大きさ、形状、色、照明有無等を示す情報である。基準地物の種別は、例えば、信号機、標識、トンネル、橋脚、橋桁、歩道橋、路面ペイント、バス停行灯、および、反射板等の種類を示す。道路に対する基準地物の設置状態は、例えば、基準地物の走行車線に対する横位置、基準地物に最も近い走行車線、基準地物の地面からの設置高さ、基準地物の設置場所と道路脇からの幅等を示す。基準地物の大きさは、基準地物の縦と横の長さを示す。基準地物情報記憶部5は、基準地物が設置されている場所周辺の環境を示す情報である周辺環境情報を更に記憶する。周辺環境情報は、例えば、基準地物が設置されている場所周辺の道路の車線数、車幅、背景の色、カーブの有無等を示す。基準地物情報記憶部5は、これらの情報を予め記憶しており、基準地物や周辺環境に関する情報を配信する外部装置と定期的に通信することで、記憶した情報を更新する。図1において、基準地物情報記憶部5に記憶された基準地物情報や周辺環境情報は、自車行動方針決定部9が自車行動方針を決定する際に参照される。
道路情報記憶部6は、ノードとリンクで構成される道路ネットワークデータを道路情報として記憶する。道路情報は、道路の走行車線や距離を示す情報を含む。道路情報記憶部6は、道路情報を予め記憶しており、道路情報を配信する外部装置と定期的に通信することで、記憶した情報を更新する。道路情報記憶部6に記憶された道路情報は、目標軌跡生成部10が目標軌跡を生成する際に参照される。
自車位置取得部7は、GPS情報と基準地物に基づいて算出し校正した車両100の自車位置を取得する。具体的には、自車位置取得部7は、自車位置をGPS情報から常時算出し、GPS情報に基づく自車位置を基準地物付近で校正(マッチング)することで校正済みの自車位置を取得する。自車位置取得部7は、取得した校正済みの自車位置を自車行動方針決定部9および目標軌跡生成部10へ出力する。なお、自車位置取得部7により取得される自車位置については後述する。
車両データ取得部8は、車両100の車速、前後加速度、横加速度、ヨーレート、舵角等の車両データを取得する。車両データ取得部8は、車両100に設けられた各種センサに接続された伝送路から構成される車両情報網を介して、車両100の車両データを取得する。各種センサは、例えば、車速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサなどを含む。車両データ取得部8は、取得した車両データを目標軌跡生成部10へ出力する。
自車行動方針決定部9は、自車走行車線認識部2、周辺車両認識部3、道路構造認識部4により取得された各認識結果と、基準地物情報記憶部5に記憶された基準地物情報や周辺環境情報と、自車位置取得部7により取得された自車位置とに基づいて、検知部1による基準地物の検知機会を向上させ、かつ、検知精度を向上させるための自車行動方針を決定する。自車行動方針決定部9は、決定した自車行動方針を目標軌跡生成部10、制御パラメータ生成部11へ出力する。
本実施形態において、自車行動方針決定部9は、現状を維持したまま基準地物に接近した場合、検知部1のカメラ1aおよびレーダ1bが基準地物を検知可能か否か判定し、判定結果に応じて自車行動方針を決定する。例えば、基準地物の検知予想状況が所定の閾値を満たすかを判定することで、検知部1のカメラ1aおよびレーダ1bが基準地物を検知可能であるかを判定する。具体的には、自車行動方針決定部9は、検知部1のカメラ1aおよびレーダ1bの撮影画角に基準地物の全影が入るか否か、および/または、基準位置物の撮影可能時間がどの程度あるかを判定して、検知部1のカメラ1aおよびレーダ1bが基準地物を検知可能であるかを判定する。
そして、自車行動方針決定部9は、基準地物を検知可能と判定した場合、例えば、現状維持で自動運転を継続する自車行動方針を決定し、当該自車行動方針を制御パラメータ生成部11または出力制御部13へ出力する。現状維持で自動運転を継続する自車行動方針とは、例えば、走行車線を維持し、前車間を維持し、車速を維持するよう自動運転を継続する方針である。一方、自車行動方針決定部9は、基準地物を検知不可または検知不十分と判定した場合、基準地物の検知可能性(例えば、画角、時間)を向上させるために必要な条件を算出し、地物検知開始時に必要な前走車との車間や車線変更の要否等を判定した上で、自車行動方針を決定する。
目標軌跡生成部10は、道路構造認識部4により取得された道路構造の認識結果と、道路情報記憶部6に記憶された道路情報と、自車位置取得部7により取得された自車位置と、車両データ取得部8により取得された車両データと、自車行動方針決定部9により決定された自車行動方針と、に基づいて、自動運転制御のための目標軌跡を生成する。本実施形態において、目標軌跡生成部10は、例えば、自車行動方針に基づく実現可能な目標軌跡を、道路構造の認識結果と道路情報と自車位置と車両データとを考慮した上で生成する。そして、目標軌跡生成部10は、生成した目標軌跡を制御パラメータ生成部11および/または出力制御部13へ出力する。また、目標軌跡生成部10は、生成した目標軌跡を予想経路取得部14へ出力する。
制御パラメータ生成部11は、目標軌跡生成部10により生成された目標軌跡に従って自動運転制御を行うための最適な制御パラメータを生成する。ここで、制御パラメータ生成部11は、自車行動方針決定部9により決定された自車行動方針に従って自動運転制御を行うための最適な制御パラメータを生成してもよい。制御パラメータとしては、例えば、横偏差、方向偏差、曲率、車間等のパラメータを含む。
自動運転制御部12は、制御パラメータ生成部11により生成された制御パラメータに基づいて自動運転制御を実行する。具体的には、自動運転制御部12は、運転支援として自車に対する走行制御を行うために、制御パラメータに基づいて、ブレーキ、エンジン、ステアリング等を動作させて、自動運転制御を実行する。
出力制御部13は、目標軌跡生成部10により生成された目標軌跡に従って出力制御を実行する。ここで、出力制御部13は、自車行動方針決定部9により決定された自車行動方針に従って出力制御を実行してもよい。具体的には、出力制御部13は、運転支援として自車行動方針に従って走行するよう促す情報提供を行うために、適切な運転指示をディスプレイに表示させたり、スピーカから音声出力させたりすることで、出力制御を実行する。
予測経路取得部14は、目標軌跡生成部10により生成された目標軌跡を、自車100が進行する予測経路として取得する。ここで、予測経路取得部14は、道路情報記憶部6に記憶された道路情報を用いて経路探索により生成される自車100の出発地から目的地まで走行経路を、自車100が進行する予測経路として取得してもよい。
本実施形態では、上述したように、自車位置の校正に用いる基準地物の認識精度を向上させるよう自動運転制御や出力制御を実行しているため、これらの制御後に検知した基準地物に基づいて自車位置を高精度に校正することが可能となる。以下、図2を参照して、上述の自車位置取得部7により取得される自車位置について説明する。
図2に示すように、車両100は、検知部1と、基準地物情報記憶部5と、自車位置取得部7と、車両データ取得部8と、予想経路取得部14と、GPS受信機15と、GPS測位部16と、画像処理部17と、基準地物測位部18と、校正機能制御部19と、誤差補正量算出部20と、自車位置マッチング部21と、を有する。車両100において、基準地物情報記憶部5と、車両データ取得部8と、予想経路取得部14と、GPS受信機15と、GPS測位部16と、画像処理部17と、基準地物測位部18と、校正機能制御部19と、誤差補正量算出部20と、自車位置マッチング部21とが、自車位置校正装置50に含まれる。図2において、本実施形態にかかる運転支援システムは、検知部1(検知手段)と、自車位置校正装置50とを含んで構成される。なお、図2において、検知部1のカメラ1aおよびレーダ1b、基準地物情報記憶部5、自車位置取得部7、車両データ取得部8、および、予想経路取得部14は、図1と同様であるため説明を省略する。
GPS受信機15は、GPS衛星から送信されるGPS情報を受信する。GPS受信機15は、GPS情報をGPS測位部16へ出力する。また、GPS受信機15は、GPS情報による自車位置を校正機能制御部19および基準地物情報記憶部5へ出力する。
GPS測位部16は、デッドレコニング部16aを備える。デッドレコニング部16aは、自律センサによるデッドレコニングを実行する。本実施形態において、GPS測位部16は、GPS受信機15により取得されたGPS情報、および、車両データ取得部8により取得された車両データに基づいて、デッドレコニングを実行しつつ、自車の現在位置を測位する。GPS測位部16は、GPSおよびデットレコニングを利用して測位した自車位置を誤差補正カーブ算出部20および自車位置マッチング部21へ出力する。
画像処理部17は、検知部1のカメラ1aやレーダ1bにより取得された画像データの画像処理を行う。本実施形態において、画像処理部17は、自車の前方を撮像した画像データに対して画像処理を行うことで、当該画像データ内の基準地物を検知する。画像処理部17は、検知した基準地物を含む画像データを基準地物測位部18へ出力する。
基準地物測位部18は、照合部18aを備える。照合部18aは、画像処理部17により検知された基準地物を含む画像データと、基準地物情報記憶部5に記憶された基準地物情報と、に基づいて、検知された基準地物を照合する。本実施形態において、基準地物測位部18は、照合された基準地物との自車との相対距離値を用いて自車の現在位置を測位する。基準地物測位部18は、基準地物を利用して測位した自車位置を誤差補正量算出部20へ出力する。また、基準地物測位部18は、基準地物利用による自車位置と校正対象となる基準地物の位置との間隔を示す情報、すなわち、基準地物までの残距離を誤差補正量算出部20へ出力する。なお、基準地物測位部18は、後述の校正機能制御部19により自車位置校正機能の停止指示が入力された場合はこれらの処理を実行しない。
校正機能制御部19は、補正区間設定部19aを備える。補正区間設定部19aは、GPS受信機15より入力されるGPS情報による自車位置、および、基準地物情報記憶部5から取得される自車の進行先の校正対象となる基準地物に関する基準地物情報と周辺環境情報に基づいて、自車位置の校正を行う区間である補正区間の設定を行う。そして、校正機能制御部19は、設定した補正区間を誤差補正量算出部20へ出力する。また、校正機能制御部19は、自車位置校正機能の停止指示または稼動指示を、基準地物測位部18または誤差補正量算出部20へ出力する。
誤差補正量算出部20は、予想経路取得部14により取得された自車100が進行する予測経路と、GPS測位部16により入力されるGPS利用による自車位置の推移から算出された走行距離と、基準地物測位部18により入力される校正対象となる基準地物までの残距離と、校正機能制御部19から入力される補正区間等に基づいて、自車位置マッチング部21が実行する自車位置校正処理に要求される誤差補正量を算出する。ここで、誤差補正量算出部20は、これらの情報に基づいて、誤差補正量の全要求値に到達するまでの誤差補正カーブを算出する誤差補正カーブ算出部20aを備える。そして、誤差補正量算出部20は、算出した誤差補正カーブに従って自車位置校正処理を実行させる指示信号を自車位置マッチング部21へ出力する。なお、誤差補正量算出部20は、校正機能制御部19により自車位置校正機能の停止指示が入力された場合はこれらの処理を実行しない。
自車位置マッチング部21は、校正部21aを備える。校正部21aは、GPS測位部16により入力されるGPS利用による自車位置、および、基準地物測位部18により誤差補正量算出部20を介して入力される基準地物利用による自車位置を用いて、誤差補正量算出部20により算出された誤差補正カーブに従って自車位置校正処理を実行する。そして、自車位置マッチング部21は、校正済みの自車位置を自車位置取得部7へ出力する。なお、自車位置マッチング部21は、校正機能制御部19により誤差補正量算出部20を介して自車位置校正機能の停止指示が入力された場合はこれらの処理を実行しない。
ここで、図3〜図10を参照しつつ、本実施形態における補正区間、誤差補正量、および、誤差補正カーブの設定の詳細について説明する。
図3に示すように、補正区間設定部19aは、現在の自車100の走行地点の進行先に設置された基準地物に関する情報を取得した際に、自車位置校正機能の対象となる基準地物を設定する。そして、補正区間設定部19aは、例えば、道路の曲率、基準地物の大きさ、カメラ画角等の情報に基づいて、検知部1が基準地物を検知可能な検知可能範囲を決定し、検知可能範囲の始点を補正開始地点、検知可能範囲の終点を補正終了地点として設定する。図3において、検知可能範囲の左側の検知範囲外は、カメラ分解能以下のため基準地物を検知できない範囲であり、検知可能範囲の右側の検知範囲外は、基準地物の脇を通過してカメラ画角外となるため基準地物を検知できない範囲である。
そして、補正区間設定部19aは、走行中の自車100の進行先に設置された基準地物の設置地点の所定距離前の補正開始地点から当該設置地点に対応する補正終了地点までの区間(図3において、検知可能範囲に対応する区間)を、複数の補正区間(図3において、補正区間Aおよび補正区間B)に分割する。ここで、複数の補正区間は、補正終了地点から比較的遠い第1補正区間(図3において、検知部1による基準地物の検知信頼性が低い補正区間A)と、補正終了地点から比較的近い第2補正区間(図3において、検知部1による基準地物の検知信頼性が高い補正区間B)と、に分割される。例えば、補正区間設定部19aは、第1補正区間と第2補正区間を設定する際、補正開始地点から補正終了地点までの距離、および、検知部1のカメラ1aの分解能や画角等から決定される検知能に応じて、各補正区間の長さを決定する。一例として、自車100の検知部1が約100m先の基準地物を検知可能である場合、補正開始地点から約70mの区間を第1補正区間として設定し、残りの約30mの区間を第2補正区間として設定してもよい。
そして、誤差補正量算出部20は、自車100の検知部1が検知した基準地物の位置からGPS情報に基づく自車100の位置を校正する自車位置校正処理に要求される誤差補正量の全要求値を算出する。また、誤差補正カーブ算出部20aは、誤差補正量の全要求値に到達するまでの誤差補正カーブを算出する。ここで、第2補正区間(図3において、補正区間B)において処理される誤差補正量の配分は、第1補正区間(図3において、補正区間A)において処理される誤差補正量の配分よりも多い。例えば、図3の補正区間Aの誤差補正カーブは、誤差補正量の全要求値に対して約5分の1程度の誤差補正量を処理するように算出される。これは、補正区間Aでは、画素数の関係である程度の地点まで接近しないと、校正精度(補正精度、信頼性等)が確保できないため、地物検知直後からしばらくの区間は距離毎に応じて補正する誤差補正を少なめに加えることが望ましいと考えられるからである。一方、図3の補正区間Bの誤差補正カーブは、誤差補正量の全要求値に対して約5分の4程度の誤差補正量を処理するように算出される。これは、補正区間Bでは、地物に更に接近して、運転支援システムが期待する校正精度を確保可能な地点に達したら、誤差補正残量に対して誤差補正を二次的に(つまり、地物に近くなるほど多めに)加えていくことが望ましいと考えられるからである。なお、補正区間Bの終端では、地物通過直後として、誤差補正残量もこの地点で「0」となる。このように、本実施形態において、補正区間B内の誤差補正カーブの勾配は、補正区間A内の誤差補正カーブの勾配よりも大きい。
そして、校正部21aは、自車100が補正開始地点から補正終了地点に至るまでの間に、複数の補正区間(図3において、補正区間Aおよび補正区間B)毎に異なる誤差補正カーブに従って補正終了地点において誤差補正量に到達するよう段階的に自車位置校正処理を実行する。このように、本実施形態の自車位置校正装置50は、自車100が基準地物を検知した際、その基準地物との距離や通過時間等を算出し、その距離内で徐々に誤差補正を実施する。
ここで、図3に示したように、自車100が補正区間Aおよび補正区間Bを通過する場合は、補正終了地点が補正区間Bの終端となるが、図4に示すように、自車100が補正区間Bの途中で経路から外れる場合も考えられる。この場合、自車100は検知部1による基準地物の検知信頼性が高い補正区間Bを走行していたため、自車位置校正処理を全く実行しないよりも、補正区間B内で経路を外れる直前までは自車位置校正処理を継続することが望ましいと考えられる。そこで、本実施形態において、補正区間設定部19aは、自車100が補正区間B(第2補正区間)内を走行中に当該補正区間Bを離脱した場合は、補正区間Bを離脱した地点(図4において、自車100が左折する地点)を補正終了地点として変更する。この場合、校正部21aは、自車100が補正区間Bを離脱した地点に対応する変更された補正終了地点で、自車位置校正処理を終了する。そのため、図4の場合における実際の誤差補正量は、図3の場合と異なり、誤差補正量の全要求値に対して約3分の1程度となる。
このように、本実施形態の自車位置校正装置50は、自車100が基準地物を検知した際、自車100の予想経路を参照し、地物直近を通過せずに右左折(または分岐等)する予想経路の場合は、補正終了地点を右左折地点に変更する。そして、実施形態の自車位置校正装置50は、補正終了地点を右左折地点に変更した場合であっても、補正区間Aおよび補正区間Bの誤差補正カーブは変更せずに、そのままの誤差補正カーブに従って誤差補正を実施し、途中の右左折地点で誤差補正を終了する。なお、自車100の右左折地点が補正区間A内の場合には、本実施形態の自車位置校正装置50は、基準地物による自車位置校正を実施しない。これは、自車100が検知部1による基準地物の検知信頼性が低い補正区間Aを走行していた場合は、自車位置校正処理を継続するよりも停止するほうが望ましいと考えられるからである。
ここで、誤差補正カーブ算出部20aにより算出された誤差補正カーブは、校正対象となる基準地物を最初に検知した際に算出したものであるため、自車位置校正処理による誤差補正の進行具合、基準地物までの残距離や到達時間、自車100の走行速度等に応じて、調整する必要が生じる場合がある。そのため、自車100が基準地物に接近している間に、一度算出した誤差補正カーブが適切であるか再算出することが望ましいと考えられる。そこで、本実施形態では、図5〜図10に示すように、補正区間B内では、誤差補正量は少なくとも一度再算出され、再算出により誤差補正量が修正されると、補正区間B内の誤差補正カーブは、修正された誤差補正量に到達するように修正される。
図5に示すように、自車100が補正区間A内のA1地点から、補正区間B内のB1地点、B2地点、B3地点を順に通過し、基準地物の脇を通過するC1地点まで走行する場合を一例に、図6〜図10を参照して各地点における誤差補正カーブの例を説明する。
まず自車100が補正区間A内の始端側のA1地点に位置する場合、図6に示すように、誤差補正カーブ算出部20aは、補正区間A内の誤差補正カーブを一次直線となるように算出し、補正区間B内の誤差補正カーブを二次曲線となるように仮算出する。次いで、自車100が補正区間B内の始端側のB1地点に移動すると、図7に示すように、誤差補正量算出部20は、B1地点の誤差補正済量等に基づいて、B1地点で誤差補正量の全要求値を再算出する。そして、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量の全要求値が修正された場合、誤差補正カーブ算出部20aも、修正された誤差補正量の全要求値に到達するように、補正区間B内の誤差補正カーブを修正する。次いで、自車100が補正区間B内の中央のB2地点に移動すると、図8に示すように、誤差補正量算出部20は、B2地点の誤差補正済量等に基づいて、B2地点で誤差補正量の全要求値を再算出する。そして、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量の全要求値が再度修正された場合、誤差補正カーブ算出部20aも、再度修正された誤差補正量の全要求値に到達するように、補正区間B内の誤差補正カーブを再度修正する。
次いで、自車100が補正区間B内の終端側のB3地点に移動すると、図9に示すように、誤差補正量算出部20は、B3地点の誤差補正済量等に基づいて、B3地点で誤差補正量の全要求値を再算出する。そして、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量の全要求値が修正されなかった場合、補正区間B内の誤差補正カーブを変更せずに、校正部21aにより自車位置校正処理を継続する。次いで、自車100が補正区間B通過後のC1地点に移動すると、図10に示すように、校正部21aは、最終的にB2地点で修正された誤差補正量の全要求値に対する誤差補正、すなわち、C1地点の誤差補正済量分の誤差補正を完了させる。このように、本実施形態の自車位置校正装置50は、基準地物への接近時に誤差補正量を定期的に見直し、修正する。
続いて、図11を参照し、上述した構成の運転支援システムで行われる本実施形態における処理について詳細に説明する。図11は、本実施形態にかかる運転支援システムが実行する基本処理の一例を示す図である。
図11に示すように、まず、所定の操作に応じて運転支援システムが起動されると(ステップS101)、自車位置検知機能が起動されて、自車100の走行地点が取得される(ステップS102)、ここで、所定の操作とは、例えば、運転者による運転支援システムの起動スイッチをオンする操作である。ここで、自車位置検知機能は、GPS受信機15に対応する。
そして、運転支援システムの校正機能制御部19は、ステップS102において取得された自車100の走行地点に基づいて、走行距離に応じて劣化する自車位置精度の低下具合に応じて自車位置校正機能の対象となる基準地物を設定する必要があるかを判定する(ステップS103)。あるいは、校正機能制御部19は、ステップS102において取得された自車100の走行地点に基づいて、自車100の進行先に設置される基準地物に関する情報を基準地物情報記憶部5から取得する。そして、校正機能制御部19は、取得した基準地物情報や周辺環境情報に基づいて、自車100の進行先に設置された基準地物が校正対象となり得るか否かを判定する。
ステップS103において、運転支援システムの校正機能制御部19により基準地物を設定する必要がないと判定されたか、あるいは、基準地物は校正対象ではないと判定された場合(ステップS103:No)、ステップS102の処理へ戻る。一方、運転支援システムの校正機能制御部19により基準地物を設定する必要があると判定されたか、あるいは、基準地物は校正対象であると判定された場合(ステップS103:Yes)、自車位置校正機能が起動される(ステップS104)。ここで、自車位置校正機能(基準地物校正機能)は、基準地物測位部18と、誤差補正量算出部20と、自車位置マッチング部21とに対応する。
そして、運転支援システムの補正区間設定部19aは、例えば、道路の曲率、基準地物の大きさ、カメラ画角等の情報に基づいて、検知部1が基準地物を検知可能な検知可能範囲を決定し、検知可能範囲の始点を補正開始地点とし、検知可能範囲の終点を補正終了地点として設定する(ステップS105)。そして、運転支援システムの補正区間設定部19aは、ステップS105で設定した検知可能範囲内で補正区間Aおよび補正区間Bを設定する(ステップS106)。
そして、運転支援システムの誤差補正量算出部20は、予測経路取得部14により取得された自車100が進行する予測経路に基づいて、自車100が補正区間Aおよび補正区間Bを通過するか否か、この補正区間Aまたは補正区間B内で右左折等により経路を外れるか否か等を確認する。これにより、誤差補正量算出部20は、校正対象の基準地物までの予測経路が以下のケース1〜3のうちいずれに該当するかを判定する(ステップS107)。
本実施形態において、ケース1とは、自車100が補正区間Aおよび補正区間Bを通過する場合である。このケース1の場合、運転支援システムは、補正区間Aで位置誤差補正を開始し、自車100が基準地物の脇を通過した時点(すなわち、補正区間Bの終端)で位置誤差補正を完了する。また、ケース2とは、自車100が補正区間Aを通過するものの、補正区間B内で経路を外れる場合である。このケース2の場合、運転支援システムは、補正区間Aで位置誤差補正を開始し、補正区間B内の右左折地点で位置誤差補正を終了する。また、ケース3とは、自車100が補正区間A内で経路を外れる場合である。このケース3の場合、運転支援システムは、基準地物を自車位置校正機能の対象から外し、区間設定等をリセットする。
ステップS107において、運転支援システムの誤差補正量算出部20により校正対象の基準地物までの予測経路がケース1またはケース2に該当とすると判定された場合(ステップS107:ケース1またはケース2)、ステップS108の処理へ移行する。一方、運転支援システムの誤差補正量算出部20により校正対象の基準地物までの予測経路がケース3に該当とすると判定された場合(ステップS107:ケース3)、ステップS115の処理へ移行する。
そして、運転支援システムの誤差補正量算出部20は、自車100の検知部1が進行先に設置された基準地物の検知を開始したら(ステップS108:Yes)、その時点(例えば、図5のA1地点)で誤差補正量を算出する。そして、誤差補正カーブ算出部20aは、例えば図6に示すように、補正区間A内の誤差補正カーブを算出し、補正区間B内の誤差補正カーブを仮算出する(ステップS109)。そして、運転支援システムの校正部21aは、ステップS110において算出された補正区間A内の誤差補正カーブに従って、自車位置校正処理を実行する(ステップS110)。なお、運転支援システムは、自車100の検知部1が進行先に設置された基準地物の検知を開始していない場合(ステップS108:No)、基準地物の検知が開始されるまでステップS108の処理を繰り返す。
そして、運転支援システムの誤差補正量算出部20は、自車100が補正区間B内に入ったら(ステップS111:Yes)、その時点(例えば、図5のB1地点)での地物の検知状況から残りの誤差補正量を算出し、残補正量の見直しを行い、誤差補正カーブの見直しを実施する(ステップS112)。ステップS112において、例えば図7に示すように、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量が修正された場合は、誤差補正カーブ算出部20aも、修正された誤差補正量に到達するように補正区間B内の誤差補正カーブを修正する。そして、運転支援システムの校正部21aは、ステップS112において修正された補正区間B内の誤差補正カーブに従って、自車位置校正処理を実行する(ステップS113)。なお、運転支援システムは、自車100が補正区間B内に入っていない場合(ステップS111:No)、自車100が補正区間B内に入るまでステップS110の処理を繰り返す。
そして、運転支援システムの誤差補正量算出部20は、自車100が補正区間Bを通過していない、または、補正区間B内で経路を外れていないと判定された場合(ステップS114:No)は、ステップS112およびステップS113の処理を再度実行する。例えば、誤差補正量算出部20は、図5のB2地点での地物の検知状況から残りの誤差補正量を算出し、残補正量の見直しを行い、誤差補正カーブの見直しを実施する。そして、例えば図8に示すように、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量が再度修正された場合は、誤差補正カーブ算出部20aも、再度修正された誤差補正量に到達するように補正区間B内の誤差補正カーブを修正する。そして、運転支援システムの校正部21aは、再度見直された補正区間B内の誤差補正カーブに従って、自車位置校正処理を実行する。
更に、運転支援システムの誤差補正量算出部20は、自車100が補正区間Bを通過していない、または、補正区間B内で経路を外れていないと再度判定された場合は、ステップS112およびステップS113の処理をまた繰り返す。例えば、誤差補正量算出部20は、図5のB3地点での地物の検知状況から残りの誤差補正量を算出し、残補正量の見直しを行い、誤差補正カーブの見直しを実施する。そして、例えば図9に示すように、誤差補正量算出部20が再算出した結果、誤差補正量が再度修正されなかった場合は、補正区間B内の誤差補正カーブの修正を行わずに、運転支援システムの校正部21aは、最終的にB2地点で修正された補正区間B内の誤差補正カーブに従って、自車位置校正処理を実行する。
そして、運転支援システムの校正機能制御部19は、自車100が補正区間Bを通過した、または、補正区間B内で経路を外れたと判定された場合(ステップS114:Yes)は、ステップS116の処理へ進む。
例えば、運転支援システムの校正機能制御部19は、ステップS114において自車100が補正区間Bを通過したと判定された場合は、自車100が補正区間Aと補正区間Bを通過するケース1に該当するので、例えば図10に示すように、校正部21aが最終的にB2地点で修正された誤差補正量の全要求値に対する誤差補正、すなわち、C1地点の誤差補正済量分の誤差補正を完了させた後に、自車位置校正機能を休止させる(ステップS116)。また、例えば、運転支援システムの校正機能制御部19は、ステップS114において自車100が補正区間B内で経路を外れたと判定された場合は、自車100が補正区間Aを通過して補正区間B内で経路を外れるケース2に該当するので、例えば図4に示すように、校正部21aが自車100が補正区間Bを外れた地点までの誤差補正量に対する誤差補正を実行した後に、自車位置校正機能を休止させる。その後、ステップS117の処理へ移行する。
ここで、ステップS107の処理へ戻り、運転支援システムの誤差補正量算出部20により校正対象の基準地物までの予測経路がケース3に該当とすると判定された場合(ステップS107:ケース3)、運転支援システムは、基準地物を自車位置校正機能の対象から外し、区間設定等をリセットする(ステップS115)。その後、ステップS116の処理へ移行し、運転支援システムの校正機能制御部19は、補正区間A内で経路を外れるケース3に該当するので、自車位置校正を行う必要性は低いと判断して、自車位置校正機能を休止させる。その後、ステップS117の処理へ移行する。
そして、運転支援システムは、運転者の所定の操作により運転支援システムの終了が指示された場合(ステップS117:Yes)は、本処理を終了し、運転支援システムの終了が指示されていない場合(ステップS117:No)は、ステップS102の処理へ戻る。ここで、所定の操作とは、例えば、運転者による運転支援システムの起動スイッチをオフする操作である。
なお、本実施形態において、運転支援システムの校正機能制御部19は、ステップS114において自車100が補正区間B内で経路を外れたと判定された場合は、校正部21aが自車100が補正区間Bを外れた地点までの誤差補正量に対する誤差補正を実行した後に自車位置校正機能を休止させる例を説明したが、これに限定されない。例えば、運転支援システムの校正部21aは、自車100が補正区間Bを外れた地点までの誤差補正量に対する誤差補正を実施し、更に、補正区間Bを外れた地点(例えば、右左折を行う交差点)から基準地物の設置地点までの相対距離から誤差補正残量を予測し、当該予測した誤差補正残量分の誤差補正を最後まで完了させてもよい。
また、本実施形態において、補正区間設定部19aが検知部1の検知可能範囲から複数の補正区間を分割する例として、補正区間Aと補正区間Bとに2分割した例を説明したがこれに限定されない。本実施形態において、補正開始地点から補正終了地点までの区間に対応する検知可能範囲は、少なくとも2つの複数の補正区間に分割されればよく、この分割された複数の補正区間毎で異なる誤差補正カーブが設定されればよい。
以上説明したように、上述した実施形態にかかる運転支援システムの自車位置校正装置50は、走行中の自車100の進行先に設置された基準地物の設置地点の所定距離前の補正開始地点から当該設置地点に対応する補正終了地点までの区間を複数の補正区間に分割する。そして、自車位置校正装置50は、自車100の検知部1が検知した基準地物の位置からGPS情報に基づく自車100の位置を校正する自車位置校正処理に要求される誤差補正量を算出する。そして、自車位置校正装置50は、自車100が補正開始地点から補正終了地点に至るまでの間に、複数の補正区間毎に異なる誤差補正カーブに従って補正終了地点において誤差補正量に到達するよう段階的に自車位置校正処理を実行するので、適切なタイミングで自車位置を校正できる。これにより、本実施形態にかかる自車位置校正装置50においては、自車100が基準地物に向かって走行している間に少しずつ基準位置が補正されていくため、突然大きく補正されることを防ぐことができる。その結果、自車位置校正処理が実施された際、実際の車両挙動では起り得ないような位置跳びが抑制され、運転支援システム等の不具合や動作異常等を低減させることができる。
なお、従来においては、地物の位置情報を高精度に検知可能となるのは自車が地物に最も近づいた時であるので、自車位置を校正するタイミングは必然的に地物通過直後となっていた。そのため、自車位置を校正後、デフォルトの自車位置との乖離が大きい場合は、極端な位置跳びが発生していた。このように、従来では、地物接近時に自車位置校正処理を実施する際、元々の自車位置誤差が大きいと位置校正直後に位置跳びが発生する等、実際の車両挙動で起り得ないような位置移動が発生し、運転支援制御システムの不具合要因となっていた。一方、本実施形態にかかる自車位置校正装置50においては、上述のように、これらの問題を解決することが可能となる。
また、上述した実施形態にかかる運転支援システムの自車位置校正装置50において、複数の補正区間は、補正終了地点から比較的遠い第1補正区間と、補正終了地点から比較的近い第2補正区間と、に分割され、第2補正区間内の誤差補正カーブの勾配は、第1補正区間内の誤差補正カーブよりも大きいので、自車100が基準地物に向かって走行している間に補正される基準位置の誤差補正量を、第1補正区間と第2補正区間との間で基準地物との距離に応じて適切な量に配分することができる。具体的には、補正終了地点から比較的遠い第1補正区間では、検知部1による基準地物に対する検知信頼性が比較的低いため、誤差補正量の配分を少なく設定し、補正終了地点から比較的近い第2補正区間では、検知部1による基準地物に対する検知信頼性が比較的高いため、誤差補正量の配分を多く設定することができる。これにより、位置跳びを抑制しつつ位置誤差補正の精度を向上させることができる。
また、上述した実施形態にかかる運転支援システムの自車位置校正装置50において、第2補正区間内では、誤差補正量は少なくとも1度再算出され、再算出により誤差補正量が修正されると、第2補正区間内の誤差補正カーブは、修正された誤差補正量に到達するように修正されるので、一旦算出した第2補正区間内の誤差補正カーブであっても、自車位置校正処理による誤差補正の進行具合、基準地物までの残距離や到達時間、自車100の走行速度等に応じて調整する必要が生じた場合は、適切な誤差補正量および誤差補正カーブに修正することができる。これにより、位置誤差補正の精度をより一層向上させることができる。
更に、上述した実施形態にかかる運転支援システムの自車位置校正装置50において、自車100が第2補正区間内を走行中に当該第2補正区間を離脱した場合は、自車100が第2補正区間を離脱した地点で、自車位置校正処理を終了するので、自車100が基準地物の脇を通過せず途中で右左折等する場合であっても右左折地点までは自車位置校正機能を動作させることが可能となり、自車位置校正機能の作動期間を増加させることができる。これにより、自車が途中で基準地物が設置された経路を離脱した場合であっても位置誤差が全く補正されない状況を低減させることができる。
なお、従来においては、地物による自車位置校正地点が地物通過直後であったため、地物が見えてから通過するまでにはある程度の距離(例えば、50〜100m)があるものの、その区間内は地物の認識精度が比較的低い為、自車位置校正に利用するのが難しいと考えられていた。ここで、認識精度が低いとは、遠方からでは画角が小さく、ピクセルが小さいため、正確な距離を把握しにくいことを意味する。そのため、従来においては、地物通過の直前に右左折するような場合は、自車位置校正機能が動作しないことになり、自車位置誤差が残ったままになるなど運転支援システムの不具合要因となっていた。一方、本実施形態にかかる自車位置校正装置50においては、上述のように、これらの問題を解決することが可能となる。