以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1000の光学系を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1000は、光源装置1と、照明光学系100と、色分離導光光学系200と、光変調装置としての液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写光学系600と、を具備して構成されている。
光源装置1は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、遮蔽部材50、検知装置60、及び制御装置70を備えている。励起光源10から射出される励起光の光路上には、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30がこの順に配置されている。
図2は、励起光源10の正面図である。
図2に示すように、励起光源10は、基台11上にレーザー光源12が5個×5個の正方形状に2次元配列(合計25個)で並べられているレーザー光源アレイである。
励起光源10は、後述する回転蛍光板30が備える蛍光物質を励起させる励起光として、青色(発光強度のピーク:445nm付近、図4(a)参照)のレーザー光を射出する。なお、励起光源10は、後述する蛍光物質を励起させることができる波長の光であれば、445nm以外のピーク波長を有する色光を射出する励起光源であっても構わない。
コリメーターレンズアレイ13は、各レーザー光源12に対応して設けられた複数のマイクロレンズ130が5個×5個の2次元配列(合計25個)で並べられて構成されている。このコリメーターレンズアレイ13は、各マイクロレンズ130が、それぞれ、各レーザー光源12から射出される各レーザー光の光線軸上となるように配置され、各レーザー光を平行化する。
集光レンズ20は、例えば凸レンズからなる。集光レンズ20は、コリメーターレンズアレイ13から入射する複数のレーザー光(励起光)の光線軸上に配置され、この励起光を収束する。
平行化レンズ21は、例えば両凹レンズからなる。平行化レンズ21は、集光レンズ20と、集光レンズ20における焦点位置との間に配置され、集光レンズ20から入射する励起光を平行化する。
ダイクロイックミラー22は、その表面が、励起光源10の発光面及び蛍光体層32の表面に対して約45°の角度をなすように、これら各面と対峙して配置されている。ダイクロイックミラー22は、平行化レンズ21から入射する励起光(青色光成分)を90°折り曲げてピックアップ光学系40側に反射するとともに、後述するピックアップ光学系40から入射する赤色光成分及び緑色光成分を透過させる。
ピックアップ光学系40は、ダイクロイックミラー22と回転蛍光板30との間の光の光路上に配置されている。ピックアップ光学系40は、回転蛍光板30からの光の広がりを抑える第1レンズ41と、第1レンズ41から入射される光を平行化する第2レンズ42とを含んで構成されている。第1レンズ41は、例えば、回転蛍光板30側が平面状、これと反対側が凸の曲面状をなす平凸レンズからなり、第2レンズ42は、例えば凸レンズからなる。ピックアップ光学系40は、回転蛍光板30からの光を略平行化した状態でダイクロイックミラー22に入射させる。また、ピックアップ光学系40の第1レンズ41及び第2レンズ42は、ダイクロイックミラー22から入射する励起光を集光する機能を兼ねており、この励起光を集光させた状態で回転蛍光板30に入射させる。
図3は、回転蛍光板30の斜視図である。
蛍光体層が設けられた基体として回転板を用いた回転蛍光板30はいわゆる反射型の回転蛍光板である。回転蛍光板30は、図1及び図3に示すように、モーター33により回転駆動される回転板31の上に蛍光体層32が設けられてなる。回転板31は本発明における基体に相当する。蛍光体層32は、回転板31の回転軸Oの回りにリング状に設けられている。蛍光体層32は図示しない蛍光体粒子とバインダーを含む。
この回転蛍光板30には、第1レンズ41及び第2レンズ42によって集光された励起光(青色光)が、蛍光体層32の表面から入射する。また、回転蛍光板30は、励起光が入射する側と同じ側に向けて、蛍光体層32が発した赤色光(蛍光)及び緑色光(蛍光)を射出する。
回転蛍光板30は、使用時において7500rpmで回転する。詳しい説明は省略するが、回転蛍光板30の直径は50mmであり、蛍光体層32に入射する青色光の光軸が回転蛍光板30の回転中心から約22.5mm離れた場所に位置するように構成されている。つまり、青色光の集光スポットは、約18m/秒の速度で回転軸Oの回りに円を描くように、回転板31に対して相対的に移動する。
回転板31は、蛍光体層32が発する蛍光を反射する材料よりなる。なお、本実施形態では回転板31として円板を用いているが、その形状は円板に限られない。回転板31の材料としては、例えば、Al等の熱伝導率の高い金属材料等を用いることができる。
蛍光体層32は、蛍光を発する蛍光体粒子を有しており、励起光(青色光)を吸収し、概ね490〜750nm(発光強度のピーク:570nm、図4(b)参照)の蛍光に変換する機能を有する。この蛍光には、緑色光(波長530nm付近)及び赤色光(波長630nm付近)が含まれる。
蛍光体粒子は、図1に示す励起光源10から射出される励起光を吸収し、蛍光を発する粒子状の蛍光物質である。例えば、蛍光体粒子には、波長が約445nmの青色光によって励起されて蛍光を発する物質が含まれており、励起光の一部を、赤色の波長帯域から緑色の波長帯域まで含む光に変換して射出する。
蛍光体粒子としては、通常知られたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体層を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体層を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いることとしても良い。
図1に示すように、回転蛍光板30から射出された光は、前述のピックアップ光学系40で平行化され、ダイクロイックミラー22に入射する。
ダイクロイックミラー22は、ピックアップ光学系40から入射する光のうち、励起光(青色光)を反射して除去し、緑色光及び赤色光を透過させる。
なお、ダイクロイックミラー22には、ピックアップ光学系40からの光が入射する入射面と反対側の表面に、図示しない他の光源装置から射出された青色光が入射し、ピックアップ光学系40からの光の光線軸と平行な方向に反射される。
照明光学系100は、光源装置1と色分離導光光学系200との間に配置されている。照明光学系100は、集光レンズ101、ロッドインテグレーター102、及び平行化レンズ103を備えている。
集光レンズ101は、例えば凸レンズからなる。集光レンズ101は、ダイクロイックミラー22から入射する光の光線軸上に配置され、この光を集光する。
集光レンズ101を透過した光は、ロッドインテグレーター102の一端側に入射する。ロッドインテグレーター102は、光路方向に延在する角柱状の光学部材であり、内部を透過する光に多重反射を生じさせることにより、集光レンズ101を透過した光を混合し、輝度分布を均一化するものである。ロッドインテグレーター102の光路方向に直交する断面形状は、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bの画像形成領域の外形形状と略相似形となっている。
ロッドインテグレーター102の他端側から射出された光は、平行化レンズ103により平行化され、光源装置1から射出される。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220、反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250及びリレーレンズ260を備えている。色分離導光光学系200は、光源装置1からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bに導光する機能を有する。
ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220は、基体上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を透過させる波長選択透過膜が形成されたミラーである。具体的には、ダイクロイックミラー210は、青色光成分を透過させ、赤色光成分及び緑色光成分を反射する。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、赤色光成分を透過させる。
反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250は、入射した光を反射するミラーである。具体的には、反射ミラー230は、ダイクロイックミラー210を透過した青色光成分を反射する。反射ミラー240、反射ミラー250は、ダイクロイックミラー220を透過した赤色光成分を反射する。
ダイクロイックミラー210を透過した青色光は、反射ミラー230で反射され、青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー210で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射され、緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー220を透過した赤色光は、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ260、射出側の反射ミラー250を経て赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、通常知られたものを用いることができ、例えば、液晶素子410と液晶素子410を挟持する偏光素子420、430とを有した、透過型の液晶ライトバルブ等の光変調装置により構成される。偏光素子420、430は、例えば透過軸が互いに直交する構成(クロスニコル配置)となっている。
液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、光源装置1の照明対象となる。これら液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G及び液晶光変調装置400Bによって、入射された各色光の光変調が行われる。
例えば、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、一対の透明基体に液晶を密閉封入した透過型の液晶光変調装置であり、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像情報に応じて、入射側偏光板420から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板430から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合せた平面視略正方形状をなしている。直角プリズムを貼り合せた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向が揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
ところで、特許文献1のプロジェクターは、複数の光源から射出されるレーザー光を回転板に形成された蛍光体層に集光させる構成となっている。このような構成の場合、光源からレーザー光が射出されている状態で回転板が停止すると、回転板のある一点にレーザー光が集光する。このとき、レーザー光の照射エネルギーにより、回転板においてレーザー光が集光する部分が高温になる。そのため、回転板においてレーザー光が集光する部分が溶融し、回転板に穴が開いてしまう場合がある。この場合、高出力のレーザー光が回転板を突き抜けて外部に漏れてしまう。
そこで、本実施形態においては、励起光源10から射出された励起光が蛍光体層32と回転板31とを突き抜けたか否かを検知する検知装置60と、励起光源10から射出された励起光が蛍光体層32と回転板31とを突き抜けたことを検知装置60が検知したときに、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御装置70と、を含む構成を採用している。これにより、高出力の光が外部に漏れることを抑制している。
本実施形態の検知装置60は、回転板31を突き抜けた励起光の光量を検知する検知素子(第1光量検知素子)である。第1光量検知素子60としては、例えばフォトダイオードを用いる。
本実施形態の第1光量検知素子60は、回転板31を突き抜けて遮蔽部材50により反射された反射光の光量を検知する。第1光量検知素子60は、遮蔽部材50において回転板31を突き抜けた励起光の照射領域と重ならない領域に配置されている。このような構成により、第1光量検知素子60には回転板31を突き抜けた励起光が直接入射しないようになっている。
遮蔽部材50は、回転板31の蛍光体層32が形成された側とは反対側に配置されている。遮蔽部材50は、回転板31を突き抜けた励起光を遮蔽する部材である。本実施形態において、制御装置70は、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。
本実施形態の遮蔽部材50は、回転板31から離れた位置に配置されている。より詳しくは、回転板31の蛍光体層32が形成された面とは反対側の面から離れた位置に配置されている。これにより、遮蔽部材50には回転板31に開いた穴から漏れ出た励起光が集光しない。遮蔽部材50における回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射スポットの大きさは、蛍光体層32における励起光の照射スポットの大きさよりも大きくなる。
遮蔽部材50は、回転板31の穴から漏れ出た励起光を全て遮蔽可能な大きさになっている。例えば、遮蔽部材50の大きさは、回転板31の穴から漏れ出た励起光の進行方向から見て、遮蔽部材50の配置位置における回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射スポットの大きさよりも大きくなっている。
なお、レイアウトの制約上、遮蔽部材50の大きさが制限される場合には、遮蔽部材50は、回転板31の穴から漏れ出た励起光を全て遮蔽可能な位置に配置される。ここで、図1において符号Dは、回転板31の蛍光体層32が形成された面とは反対側の面と遮蔽部材50において回転板31を突き抜けた励起光が入射する面との間の距離である。例えば距離Dは、5mm〜10mmの範囲の距離に設置される。
本実施形態の遮蔽部材50の融点は、回転板31の融点よりも高くなっている。例えば、回転板31の形成材料としてアルミニウム(融点:660.32℃)等の金属材料を用いる場合、遮蔽部材50としてはジルコニア(融点:2700℃)、アルミナ(2050℃)、炭化珪素(2600℃)等のセラミックスを用いる。
図5は、第1光量検知素子60が所定の時間内に検知した励起光の光量に基づいて算出される遮蔽部材50に照射される光エネルギーの総量と時間との関係を示すグラフである。以下の説明では、第1光量検知素子60が所定の時間内に検知した励起光の光量に基づいて算出される遮蔽部材50に照射される光エネルギーの総量を、照射光エネルギーの総量と呼ぶ。
図5において、横軸は時間、縦軸は照射光エネルギーの総量である。
また、回転板31を突き抜けた励起光が遮蔽部材50に照射され始めてから時間t1だけ経過したときの照射光エネルギーの総量をV1とし、回転板31を突き抜けた励起光が遮蔽部材50に照射され始めてから時間t2(t2>t1)だけ経過したときの照射光エネルギーの総量をV2とする。
なお、照射光エネルギーの総量とは、第1光量検知素子60が単位時間に検知した励起光の光量(回転板31を突き抜けて遮蔽部材50により反射された反射光の光量)を時間積分した積算値とする。
上述したように、制御装置70は、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。本実施形態において、制御装置70は、照射光エネルギーの総量が遮蔽部材50を溶融させるエネルギーに達する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。
例えば、励起光源10から射出された励起光が蛍光体層32と回転板31とを突き抜け、所定の時間、回転板31を突き抜けた励起光が遮蔽部材50に照射される場合を考える。この場合、図5に示すように、照射光エネルギーの総量と時間との関係は、比例関係にある。つまり、回転板31を突き抜けた励起光が遮蔽部材50を照射する時間が長くなるに従って、照射光エネルギーの総量が大きくなる。照射光エネルギーの総量V2は、照射光エネルギーの総量V1よりも大きくなっている。
次に、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させるまでの光源装置1の動作について、図6を用いて説明する。
まず、励起光源10を起動させる(ステップS1)。これにより、励起光源10から励起光が射出され、回転板31に形成された蛍光体層32に励起光が集光される。励起光が集光する部分は、回転蛍光板30の回転によって、回転軸Oの回りに円を描くように移動する。
このような構成の場合、励起光源10から励起光が射出されている状態で回転板31が停止すると、回転板31のある一点に励起光が集光する。このとき、励起光の照射エネルギーにより、回転板31において励起光が集光している部分が高温になる。そのため、回転板31において励起光が集光する部分が溶融し、回転板31に穴が開いてしまう場合がある。この場合、励起光が回転板31の穴が開いた部分を突き抜ける。本実施形態においては、回転板31の蛍光体層32が形成された面とは反対側に遮蔽部材50が配置されている。そのため、回転板31を突き抜けた励起光は遮蔽部材50に入射する。
次に、回転板31を突き抜けた励起光の光量を検知する(ステップS2)。本実施形態においては、第1光量検知素子60によって、回転板31を突き抜けて遮蔽部材50により反射された反射光の光量が検知される。
次に、第1光量検知素子60が所定の時間内に検知した励起光の光量に基づいて、遮蔽部材50に照射される照射光エネルギーの総量を算出する(ステップS3)。ここで、照射光エネルギーの総量は、第1光量検知素子60が単位時間に検知した励起光の光量(回転板31を突き抜けて遮蔽部材50により反射された反射光の光量)を時間積分した積算値で表される。算出した照射光エネルギーの総量は、制御装置70に入力される。
制御装置70は、算出した照射光エネルギーの総量が入力されると、これがしきい値以上であるか否かを判断し(ステップS4)、算出した照射光エネルギーの総量がしきい値よりも大きい場合には、励起光源10に停止信号を出力する。
ここで、しきい値は、遮蔽部材50が溶融するようなエネルギーよりも低い値である。このしきい値は、励起光源10から射出される励起光の単位時間の光量、遮蔽部材50に対する励起光の照射時間、遮蔽部材50の融点、などのデータに基づいて設定される。しきい値は、安全率等を考慮して設定される。しきい値は、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融することがないように、遮蔽部材50が溶融するようなエネルギー値よりも低い値に設定される。本実施例では、遮蔽部材50が溶融するようなエネルギー値の例えば75%の値をしきい値とする。
一方、算出した照射光エネルギーの総量がしきい値以下である場合には、ステップS3に戻り、第1光量検知素子60が所定の時間内に検知した励起光の光量に基づいて、遮蔽部材50に照射される照射光エネルギーの総量が算出される。
制御装置70から停止信号が入力されると、励起光源10からの励起光の射出が停止する(ステップS5)。
本実施形態の光源装置1によれば、回転板31において励起光源10から射出された励起光が集光する部分が溶融し、回転板31に穴が開いてしまった場合でも、回転板31の穴から漏れ出た励起光を遮蔽部材50で止めることができる。よって、回転板31の穴から漏れ出た励起光が外部に漏れる前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させることができる。
また、この構成によれば、遮蔽部材50が回転板31から離れた位置に配置されているため、回転板31の穴から漏れ出た励起光は遮蔽部材50には集光されない。また、励起光の照射により回転板31が発熱した場合であっても、回転板31の熱は遮蔽部材50には直接伝わらない。よって、回転板31の穴から漏れ出た励起光を遮蔽部材50で止めることが容易となる。
また、この構成によれば、遮蔽部材50の融点が回転板31の融点よりも高いため、回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射により遮蔽部材50が溶融しにくくなる。よって、回転板31の穴から漏れ出た励起光を遮蔽部材50で止めることが容易となる。
なお、本実施形態においては遮蔽部材50が回転板31から離れた位置に配置されているため、遮蔽部材50の融点を回転板31の融点よりも低く設定することもできる。よって、設計の自由度が広がる。
また、この構成によれば、回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射により遮蔽部材50が溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることが停止される。よって、回転板31の穴から漏れ出た励起光が外部に漏れることを回避することができる。
また、この構成によれば、照射光エネルギーの総量が遮蔽部材50を溶融させるエネルギーに達する前に、励起光源10から励起光が射出されることが停止される。よって、回転板31の穴から漏れ出た励起光が外部に漏れることを回避することができる。
また、この構成によれば、第1光量検知素子60が遮蔽部材50において回転板31を突き抜けた励起光の照射領域と重ならない領域に配置されるため、回転板31を突き抜けた励起光は第1光量検知素子60には直接当たらない。そのため、回転板31を突き抜けた励起光が高出力の光の場合であっても、第1光量検知素子60には遮蔽部材50で反射して強度が弱められた反射光が届く。よって、高出力の光の照射により第1光量検知素子60が故障することを回避することができる。
また、この構成によれば、励起光源10から射出された励起光の照射により回転板31において発生する熱を回転板31の回転方向に沿った広い領域で放散させることができる。このため、励起光源10から射出された励起光の照射により回転板31が溶融することを抑制することができる。
また、この構成によれば、励起光源10としてレーザー光源を用いており、例えばハロゲンランプや超高圧水銀ランプ等を用いる場合に比べて集光性が高い。そのため、回転板31には高出力の光が集光される。このとき、回転板31においてレーザー光が集光する部分が溶融して穴が開きやすくなる。よって、このような構成においては、高出力の光が外部に漏れることを抑制し安全性を確保するという本発明の効果が顕著なものとなる。
本実施形態のプロジェクター1000によれば、上述した光源装置1を備えているので、高出力の光が外部に漏れることを抑制し安全性を確保することが可能なプロジェクター1000を提供することができる。
なお、本実施形態においては、遮蔽部材60が溶融するようなエネルギー値の75%の値をしきい値とする例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、しきい値を0としてもよい。第1光量検知素子60によって得られる照射光エネルギーの総量は、第1光量検知素子60の取付け位置に依存する。そのため、第1光量検知素子60の取付け位置が製品毎にばらついている場合、照射光エネルギーの総量が真の値よりも小さく見積もられ、実際の照射光エネルギーの総量が、遮蔽部材50が溶融するようなエネルギー値よりも大きい場合があり得る。したがって、しきい値を0とすれば、第1光量検知素子60の取付け位置が製品毎にばらついている場合であっても、遮蔽部材50が溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを確実に停止することができる。
また、制御装置70は、照射光エネルギーの総量と時間との関係より、遮蔽部材50が励起光の照射により溶融する時間を推定し、第1光量検知素子60が励起光の光量を検知している時間が推定時間以上であるか否かを判断し、検知時間が推定時間以上である場合には、励起光源10に停止信号を出力してもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、光源としてレーザー光を射出する光源を用いたが、これに限らない。例えば、光源としてレーザー光以外の光を射出する光源を用いてもよい。
また、本実施形態の光源装置1では、蛍光体層が設けられた基体として回転板を用いたが、これに限らない。例えば、蛍光体層が設けられた基体として励起光が入射する方向に対して交差する方向に振動可能な基体を用いてもよい。すなわち、蛍光体層が設けられた基体は、励起光が入射する方向に対して交差する方向に移動可能であればよい。
また、本実施形態の光源装置1では、蛍光体層32を支持する基体として、Al等の熱伝導率の高い金属材料からなる回転板31を用いていたが、これに限らない。透明な回転板の上に設けられた反射膜を基体として用いてもよい。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、液晶光変調装置として3つの液晶光変調装置を用いたが、これに限らない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、透過型のプロジェクターを用いたが、これに限らない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過するタイプであることを意味している。「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る光源装置2を示す模式図である。
図7に示すように、本実施形態に係る光源装置2は、上述の回転蛍光板30に替えて固定式の蛍光板80を備えている点、上述の第1光量検知素子60に替えて温度検知素子61を備えている点、遮蔽部材51が基体81を突き抜けた励起光を吸収する点、で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
光源装置2は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、蛍光板80、遮蔽部材51、検知装置61、及び制御装置70を備えている。
本実施形態の蛍光板80はいわゆる反射型の固定式の蛍光板である。蛍光板80は、基体81の上に、蛍光体層82が設けられてなる。蛍光体層82は図示しない蛍光体粒子とバインダーを含む。
この蛍光板80には、第1レンズ41及び第2レンズ42によって集光された励起光(青色光)が、蛍光体層82の表面から入射する。また、蛍光板80は、励起光が入射する側と同じ側に向けて、蛍光体層82が発した赤色光(蛍光)及び緑色光(蛍光)を射出する。
基体81は、蛍光体層82が発する蛍光を反射する材料よりなる。基体81の材料としては、例えば、Al等の熱伝導率の高い金属材料等を用いることができる。
本実施形態の検知装置61は、基体81を突き抜けた励起光の照射により発熱する遮蔽部材50の温度を検知する検知素子(温度検知素子)である。温度検知素子61としては、例えばサーミスタを用いる。
本実施形態の温度検知素子61は、遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側において蛍光体層82に励起光が照射される光照射位置が投影される位置に配置されている。このような構成により、温度検知素子61には、基体81を突き抜けた励起光が直接入射しないようになっている。また、このような構成により、温度検知素子61は、基体81を突き抜けた励起光の照射による遮蔽部材50の温度の変化を高い精度で検知することができる。
本実施形態の遮蔽部材51は、基体81を突き抜けた励起光を吸収する特性を有する。例えば、遮蔽部材51の励起光吸収特性は、遮蔽部材51の表面を黒体化処理することによって得られることができる。例えば、遮蔽部材51の表面に黒色アルマイト処理するもの、或いはカーボンブラックを黒色顔料として塗布するもの等が使用可能である。
制御装置70は、遮蔽部材51が基体81を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。本実施形態において、制御装置70は、温度検知素子61の検知結果に基づいて、温度検知素子61が検知した遮蔽部材50の温度が遮蔽部材50の融点に達する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。
ここで、遮蔽部材51に対して基体81を突き抜けた励起光が入射する場合を考える。図7において、符号P1は蛍光体層82において励起光が照射される光照射位置(例えば、励起光が集光される集光位置)を示す。符号P2は遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する面において、光照射位置P1が基体81を突き抜けた励起光の進行方向に投影される位置を示す。また、符号P3は遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側の面において、光照射位置P1が基体81を突き抜けた励起光の進行方向に投影される位置を示す。
この場合において、遮蔽部材51が最も高温に発熱する部分は、遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する面において符号P2で示した部分である。基体81を突き抜けた励起光により遮蔽部材51が溶融して穴が開く場合、遮蔽部材51において遮蔽部材51が最も高温に発熱する部分(P2)と反対側の部分(P3)が最終的に溶融すると考えられる。そこで、遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側の面において符号P3で示した部分に温度検知素子61を配置することにより、遮蔽部材50の温度の変化を高い精度で検知することができる。よって、遮蔽部材51が溶融して遮蔽部材51に穴が開く前に温度検知素子61が検知した検知結果に基いて、励起光源10から励起光が射出されることを停止させることができる。
次に、遮蔽部材51が基体81を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させるまでの光源装置2の動作について、図8を用いて説明する。
まず、励起光源10を起動させる(ステップS11)。これにより、励起光源10から励起光が射出され、基体81に形成された蛍光体層82に励起光が集光される。本実施形態では、固定式の蛍光板80を採用している。そのため、基体81においてある一点に励起光が集光する。図7には示していないが、蛍光板80には、蛍光体層82に生じる熱を排熱するための冷却装置が備えられている。冷却装置の冷却機能が低下した場合、励起光の照射エネルギーにより基体81が高温になる。そのため、基体81において励起光が集光する部分が溶融し、基体81に穴が開いてしまう場合がある。この場合、励起光が基体81を突き抜ける。本実施形態においては、基体81の蛍光体層82が形成された面とは反対側に遮蔽部材51が配置されている。そのため、基体81を突き抜けた励起光は遮蔽部材51に入射する。
次に、基体81を突き抜けた励起光の照射により発熱した遮蔽部材51の温度を検知する(ステップS12)。本実施形態においては、遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側の面において、符号P3で示した部分の温度が温度検知素子61によって検知される。検知した遮蔽部材51の温度のデータは、制御装置70に入力される。
制御装置70は、検知した温度のデータが入力されると、これがしきい値以上であるか否かを判断し(ステップS13)、検知した温度がしきい値以上である場合には、励起光源10に停止信号を出力する。
ここで、しきい値は遮蔽部材51の融点に基づいて設定され、遮蔽部材51の融点よりも低い値である。しきい値は、安全率等を考慮して設定される。しきい値は、遮蔽部材51が基体81を突き抜けた励起光の照射により溶融して穴が開くことがないように遮蔽部材51の融点よりも低い値に設定される。
一方、検知した温度がしきい値未満である場合には、ステップS12戻り、基体81を突き抜けた励起光の照射により発熱した遮蔽部材51の温度が検知される。
制御装置70から停止信号が入力されると、励起光源10からの励起光の射出が停止する(ステップS14)。
本実施形態の光源装置2によれば、基体81の穴から漏れ出た励起光が遮蔽部材51により吸収される。よって、基体81の穴から漏れ出た励起光を遮蔽部材81で止めることが容易となる。
また、この構成によれば、温度検知素子61の検知結果に基づいて、遮蔽部材51の温度が遮蔽部材51の融点に達する前に、励起光源10から励起光が射出されることが停止される。よって、基体81の穴から漏れ出た励起光が外部に漏れることを回避することができる。また、温度検知素子61が遮蔽部材51の基体81を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側に配置されるため、基体81を突き抜けた励起光は温度検知素子61には直接当たらない。よって、高出力の光の照射により温度検知素子61が故障することを回避することができる。
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る光源装置3を示す模式図である。
図9に示すように、本実施形態に係る光源装置3は、上述の第1実施形態に係る光源装置を収容する筐体90を備える点で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
光源装置3は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、遮蔽部材50、検知装置60、制御装置70及び筐体90を備えている。
筐体90は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、遮蔽部材50、検知装置60、及び制御装置70を収容する箱型の部材である。
なお、ここでいう筐体90は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、遮蔽部材50、検知装置60、及び制御装置70を囲むように配置された部材も含む。例えば、筐体90の一部に金具が設けられていたり、各構成部品を区画するように筐体90に突起部が形成されていたりする場合、これら金具及び突起部は筐体90の一部に含まれる。
筐体90の内壁面90aは、遮蔽部材50の回転板31を突き抜けた励起光が入射する側とは反対側の面から離れた位置に配置されている。
本実施形態の光源装置3によれば、回転板31の穴から漏れ出た励起光を遮蔽部材50と筐体90とで止めることができる。つまり、回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射により遮蔽部材50が溶融し、遮蔽部材50に穴が開いてしまった場合でも、遮蔽部材50の穴から漏れ出た励起光を筐体90で止めることができる。このため、回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射により遮蔽部材50と筐体90とが溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させることができる。
また、この構成によれば、筐体90の内壁面90aが遮蔽部材50から離れた位置に配置されている。そのため、遮蔽部材50に生じた穴から漏れ出た励起光の筐体90の内壁面90aにおける照射スポットは、回転板31に生じた穴から漏れ出た励起光の遮蔽部材50における照射スポットよりも大きくなる。また、励起光の照射により遮蔽部材50が発熱した場合であっても、遮蔽部材50の熱は筐体90には直接伝わらない。よって、遮蔽部材50の穴から漏れ出た励起光を筐体90で止めることが容易となる。
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る光源装置4を示す模式図である。
図10に示すように、本実施形態に係る光源装置4は、上述の第1実施形態に係る遮蔽部材50に替えて筐体91の一部を用いている点で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
光源装置4は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、検知装置60、制御装置70及び筐体91を備えている。
筐体91は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、検知装置60、及び制御装置70を収容する箱型の部材である。
なお、ここでいう筐体91は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、検知装置60、及び制御装置70を囲むように配置された部材も含む。例えば、筐体91の一部に金具が設けられていたり、各構成部品を区画するように筐体91に突起部が形成されていたりする場合、これら金具及び突起部は筐体91の一部に含まれる。
本実施形態においては、筐体91の一部が遮蔽部材として機能するように構成されている。すなわち、筐体91は、光源装置4の構成部品を収容するとともに、回転板31を突き抜けた励起光を遮蔽する部材でもある。第1光量検知素子60は、筐体91の一部において回転板31を突き抜けた励起光の照射領域と重ならない領域に配置されている。このような構成により、第1光量検知素子60には回転板31を突き抜けた励起光が直接入射しないようになっている。
本実施形態において、制御装置70は、筐体91の一部が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。
本実施形態の筐体91の一部は、回転板31の蛍光体層32が形成された面とは反対側の面から離れた位置に配置されている。これにより、筐体91の一部には回転板31の穴から漏れ出た励起光が集光しない。すなわち、筐体91の一部における回転板31の穴から漏れ出た励起光の照射スポットの大きさは、蛍光体層32における励起光の照射スポットの大きさよりも大きくなっている。
なお、製品重量の制約上、筐体91の形成材料が制限される場合には、筐体91の一部のみに回転板31の融点よりも高い融点を有するセラミックスを用い、筐体91のその他の部分には比重の小さい材料を用いることができる。
本実施形態の光源装置4によれば、遮蔽部材が筐体91の一部となり、遮蔽部材の機能が筐体91に付与される。よって、装置構成の簡素化を図ることができる。
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る光源装置5を示す模式図である。
図11に示すように、本実施形態に係る光源装置5は、上述の第1実施形態に係る第1光量検知素子60に替えて第2光量検知素子62を用いている点、で上述の第1実施形態に係る光源装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
光源装置5は、励起光源10、コリメーターレンズアレイ13、集光レンズ20、平行化レンズ21、ダイクロイックミラー22、ピックアップ光学系40、回転蛍光板30、遮蔽部材50、検知装置62、及び制御装置70を備えている。
本実施形態の検知装置62は、蛍光体層32から放射された蛍光の光量を検知する検知素子(第2光量検知素子)である。第2光量検知素子62としては、例えばフォトダイオードを用いる。
本実施形態の第2光量検知素子62は、ダイクロイックミラー22の蛍光体層32から放射された蛍光が射出される側において蛍光の光線束の近傍に配置されている。このような構成により、第2光量検知素子62には、ダイクロイックミラー22から射出された蛍光が直接入射しないようになっている。第2光量検知素子62は、ダイクロイックミラー22から射出された蛍光の迷光を検知する。
制御装置70は、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。本実施形態において、制御装置70は、第2光量検知素子62の検出結果に基づいて、第2光量検知素子62が検知する蛍光の光量が0になったときに、励起光源10から励起光が射出されることを停止させる制御を行う。
次に、遮蔽部材50が回転板31を突き抜けた励起光の照射により溶融する前に、励起光源10から励起光が射出されることを停止させるまでの光源装置5の動作について、図12を用いて説明する。
まず、励起光源10を起動させる(ステップS21)。これにより、励起光源10から励起光が射出され、回転板31に形成された蛍光体層32に励起光が集光される。励起光が集光する部分は、回転蛍光板30の回転によって、回転軸Oの回りに円を描くように移動する。
次に、蛍光体層32から放射される蛍光の光量を検知する(ステップS22)。本実施形態においては、第2光量検知素子62によって、ダイクロイックミラー22から射出された蛍光の迷光の光量が検知される。検知した蛍光の光量は、制御装置70に入力される。
ところで、このような構成の場合、光源から励起光が射出されている状態で回転蛍光板30が停止すると、蛍光体層32のある一点に励起光が集光する。このとき、励起光の照射エネルギーにより蛍光体層32において励起光が集光する部分が高温になる。そのため、蛍光体層32において励起光が集光する部分が消失してしまう場合がある。この場合、回転蛍光板30において蛍光体層32が消失した部分からは蛍光が射出されなくなる。
制御装置70は、検知した蛍光の光量が入力される状態から蛍光の光量が入力されなくなると、つまり、第2光量検知素子62が検知する蛍光の光量が0よりも大きい値から0になったときに(ステップS23)、励起光源10に停止信号を出力する。
一方、第2光量検知素子62が検知する蛍光の光量が0になっていない場合には、ステップS22に戻り、蛍光体層32から放射される蛍光の光量が検知される。
制御装置70から停止信号が入力されると、励起光源10からの励起光の射出が停止する(ステップS24)。
本実施形態の光源装置5によれば、第2光量検知素子62の検知結果に基づいて、蛍光の光量が0になったときに、励起光源10から励起光が射出されることが停止される。このため、蛍光体層32において励起光が集光する部分が消失してしまった場合でも、励起光源10から励起光が射出されることを停止させることができる。
なお、本実施形態においては、第2光量検知素子62がダイクロイックミラー22の蛍光体層32から放射された蛍光が射出される側において蛍光の光線束の近傍に配置された例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2光量検知素子62がピックアップ光学系40を通過する蛍光の光線束の近傍に配置されていてもよい。すなわち、第2光量検知素子62は、蛍光体層32から蛍光が放射されているか否かを検知可能な位置に配置されていればよい。
また、第2光量検知素子62は、ダイクロイックミラー22の蛍光体層32から放射された蛍光が射出される側の一部に偏光ビームスプリッター(Polarized Beam Splitter, 以下、PBSと略記する)を配置し、このPBSにより反射された蛍光の一部を検知するように構成されていてもよい。
なお、上記実施形態においては、検査装置として、第1光量検知素子60、温度検知素子61、第2光量検知素子62、のいずれか1つを含む構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、検査装置として、第1光量検知素子60、温度検知素子61、第2光量検知素子62、の全てを含む構成を採用してもよい。すなわち、検査装置として、第1光量検知素子60、温度検知素子61、第2光量検知素子62、少なくとも1つを含む構成を採用していればよい。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
上記各実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の光源装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。