JP5913409B2 - 含水切削液 - Google Patents

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Description

本発明は、含水切削液及びこの切削液を用いてシリコンインゴットをスライスするシリコンウエハの製造方法に関する。
さらに詳しくは、切削加工において使用し、従来と比較して砥粒の切り込み深さが均一であり、ウエハのカーフロスが少なく、さらに抑泡性に優れた含水切削液、この切削液を用いてシリコンインゴットをスライスするシリコンウエハの製造方法に関する。
シリコンインゴットのワイヤーによるスライス方法は、(1)遊離砥粒を切削液に分散した砥粒スラリーを用いる方法、(2)電着や樹脂による接着でワイヤーに砥粒を固着した固定砥粒ワイヤーと含水切削液を用いる方法に大別される。
近年、固定砥粒ワイヤーによるスライス方法では、シリコンウエハの生産効率を高める目的としたシリコンウエハの薄型化が進みつつある。そのため、スライスに使用される固定砥粒ワイヤーは細線化されつつある。
通常、固定砥粒ワイヤーの細線化に伴い、ワイヤー自体の破断強度が低下するため、スライス加工時のワイヤー張力を従来よりも下げて加工を行う必要がある。また、ワイヤーの冷却が不十分な場合は、加工熱によるワイヤーの温度上昇によって更に破断強度が低下するために、ワイヤーの切断破損が起こり易くなるという問題があった。
また、スライス加工時のワイヤー張力が低下することで、ワイヤーの振動が発生し易くなり、加工時のカーフロスが増加して目標とするウエハ膜厚より薄くなるという問題があった。更に、ワイヤー張力の低下に伴い、ワイヤーに固着された砥粒自体のシリコンへの押付け圧力が低下する。そのため、砥粒のシリコン切削面への切り込みが不十分となり、砥粒の切り込みが不均一な状態で加工が進行するため、ウエハの平坦性が低下する、砥粒の急激な切り込みによりクラックやチッピングが発生するという課題がある。
従来の含水切削液は、切削時に生じる摩擦熱の冷却性を高める目的や、有機溶剤による引火の危険性を低くして作業性を改善することを目的として、グリコール類に比熱の高い水を含有する含水切削液が開発されている(特許文献1)。しかしながら、含水率を上げることで切削液自身の比熱は高められるものの、スライス加工時に切削液を循環して再使用することから泡立つなどの問題があった。泡立ちを抑制する対策としては、疎水性の高い化合物を用いることが考えられ、例えばシリコーン系消泡剤を切削液に含有させることが知られている(特許文献2)。
特開2011−21096号公報 特開平08−209184号公報
しかしながら、疎水性の高い化合物がシリコン切削面に強固に付着すると、切削面と砥粒との滑りが発生し、砥粒の切込みが十分に行われないため安定的にスライス加工が行われないという課題がある。そこで本発明の含水切削液は、従来の切削液と比較して、砥粒の切込み深さが均一であり、ウエハのカーフロスが少なく、さらに抑泡性に優れた比熱が高い含水切削液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、3〜8個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物(A)を含有し、(A)の数平均分子量が1,000〜10,000,000であることを特徴とする含水切削液;この切削液を用いてシリコンインゴットをスライスするシリコンウエハの製造方法に関する。
本発明の含水切削液は、インゴットの切削工程において、従来よりもさらに過酷なスライス条件下でも、砥粒の切込み深さの均一性を高く維持し、かつ抑泡性に優れる。また、ワイヤーの振動を抑制し、被切削物のカーフロスを低減することができるという効果を奏する。
本発明の含水切削液は、3〜8個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物(A)を含有し、(A)の数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)が1,000〜10,000,000である。
本発明で用いるポリオキシアルキレン付加物(A)は、3〜8個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物である。3〜8個の水酸基を有する化合物の具体例としては、3個の水酸基を有する化合物[グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなど];4個の水酸基を有する化合物[ペンタエリスリトール、ジグリセリンなど];5個の水酸基を有する化合物[グルコース、フルクトース、キシリトール、トリグリセリンなど];6個の水酸基を有する化合物[ソルビトール、ジペンタエリスリトールなど];8個の水酸基を有する化合物[スクロースなど]が挙げられる。
これらの3〜8個の水酸基を有する化合物のうち、好ましいのは、3〜6個の水酸基を有する化合物である。さらに好ましくは、3又は4個の水酸基を有するグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールである。3個未満の水酸基を有する化合物の場合は、切削液の泡立ちが悪くなり、ワイヤーを細線化する場合には、切削液が加工部へより浸透し難くなるため、泡立ちによる切削液の液切れが発生する。これにより、切削で発生した切屑の排出が不十分となり、切屑が固定砥粒の際に目詰まりするために、砥粒が被切削物へ十分に切込まない。また、液切れが原因で加工熱の冷却が不十分となる。水酸基の個数が8個を超えるとポリオキシアルキレン付加物の粘度が高く、砥粒が被切削物へ十分に切込まないため、好ましくない。
本発明におけるポリオキシアルキレン付加物(A)の数平均分子量は、1,000〜10,000,000である。好ましくは2,000〜5,000,000であり、さらに好ましくは10,000を越え、1,000,000以下である。この数平均分子量が1,000未満の場合は、ワイヤーの振動が発生し易くなり、カーフロスが増加する。一方、10,000,000を越えるとポリオキシアルキレン付加物の粘度が高すぎて、砥粒の被切削物への切り込みが十分に行われない。3〜8個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物であれば、高温でのポリオキシアルキレン付加物自体の粘度低下が小さいために、加工熱による粘度変化を低く維持できる。
なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量である。
数平均分子量は、GPCによって、ポリエチレンオキシドを基準物質として40℃で測定される。[例えば、装置本体:HLC−8120(東ソー株式会社製)、カラム:東ソー株式会社製TSKgel α6000、G3000 PWXL、検出器:装置本体内蔵の示差屈折計検出器、溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)、溶離液流量:1.0ml/分、カラム温度:40℃、試料:0.25%の溶離液溶液、注入量:200μl、標準物質:東ソー(株)製TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE、データ処理ソフト:GPC−8020modelII(東ソー株式会社製)]。
本発明におけるポリオキシアルキレン付加物(A)は、3〜8個の水酸基を有する化合物に、エチレンオキシド(以下、EOと略称することがある。)、1,2−プロピレンオキシド(以下、POと略称することがある。)、テトラヒドロフラン、1,2−ブチレンオキシドのうちの1種を単独で付加させてもよいし、これらの2種以上を併用して付加させてもよい。
水への溶解性、切削液の泡立ち抑制、及び切削液の浸透性の観点から、EOとPOの2種の併用が好ましい。
本発明におけるポリオキシアルキレン付加物(A)において、2種以上のアルキレンオキシドまたはテトラヒドロフランを併用する際の付加形式はランダム状でもブロック状でもよく、また2種以上のアルキレンオキシド、例えばEOとPOの付加する順番は問わない。
なお、本発明におけるポリオキシアルキレン付加物(A)の水酸基の個数は、下記計算式(1)により計算することもできる。
水酸基の個数=[ポリオキシアルキレン付加物の数平均分子量]/([ポリオキシアルキレン付加物の活性水素価]/56100) (1)
活性水素価は、「56100/活性水素1個当たりの分子量」を意味し、活性水素を有する基が水酸基の場合、水酸基価に相当する。活性水素価の測定方法は、上記定義の値を測定できる方法であれば公知の方法でよく、特に限定されないが、水酸基価の場合、例えばJIS K1557−1に記載の方法が挙げられる。
数平均分子量は上記のGPCによる分子量である。
本発明のポリオキシアルキレン付加物(A)の具体例としては、グリセリンのEO17モルとPO13モルのランダム付加物、グリセリンのEO31モルとPO23モルのランダム付加物、グリセリンのEO24モルとPO36モルのランダム付加物、グリセリンのEO65モルとPO50モルのランダム付加物、グリセリンのEO162モルとPO50モルのランダム付加物、グリセリンのEO340モルとPO139モルのランダム付加物、グリセリンのEO784モルとPO316モルのランダム付加物、グリセリンのEO1,200モルとPO600モルのランダム付加物、グリセリンのEO1,680モルとPO840モルのランダム付加物などのグリセリンのEO/POランダム付加物;
グリセリンのEO12モルとPO9モルのブロック付加物、グリセリンのEO11モルとPO58モルのブロック付加物などのグリセリンのEO−POブロック付加物、グリセリンのEO65モルとPO49モルのブロック付加物などのグリセリンのEO−POブロック付加物;
グリセリンのPO16モル付加物などのグリセリンのPO付加物;
グリセリンのEO70モル付加物などのグリセリンのEO付加物;
トリメチロールプロパンのEO64モルとPO49モルのランダム付加物などのトリメチロールプロパンのEO/POランダム付加物;
ペンタエリスリトールのEO40モルとPO31モルのランダム付加物、ペンタエリスリトールのEO1290モルとPO315モルのランダム付加物などのペンタエリスリトールのEO/POランダム付加物;
ペンタエリスリトールのEO20モルとPO12モルのブロック付加物などのペンタエリスリトールのEO−POブロック付加物;
ソルビトールのEO64モルとPO49モルのランダム付加物、ソルビトールのEO1790モルとPO435モルのランダム付加物、ソルビトールのEOソルビトールのEO2990モルとPOの1100モルのランダム付加物などのソルビトールのEO/POランダム付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、浸透性と反応抑制性の観点から、グリセリンのEO/POランダム付加物とグリセリンのEO−POブロック付加物である。
本発明の切削液は、切削液の浸透性、潤滑性、粘性および生分解性などを調整する目的で、(A)と、(A)以外の水酸基を有する化合物(B)を、本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。
(B)としては、(A)以外であれば特に限定しないが、数平均分子量が1,000未満のポリオキシアルキレン付加物(B1)、3個未満の水酸基を有する化合物のポリアルキレン付加物(Mn1,000以上)(B2)、及び8個を超える水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物(B3)、及び(B1)〜(B3)以外の水酸基を有する化合物(B4)等が挙げられる。
(B1)の具体例としては、トリエチレングリコール、グリセリンのEO7モル付加物、グリセリンのPO5モル付加物、グリセリンのEO7モルとPO3モルのランダム付加物、脂肪族アルコールのEO4モルとPO2モルのランダム付加物、トリメチロールプロパンのEO4モルとPO9モルのランダム付加物、ペンタエリスリトールのEO10モルとPO3モルのランダム付加物、ペンタエリスリトールのEO10モルとPO2モルのブロック付加物、ポリエチレングリコール(Mn600)、ポリプロピレングリコール(Mn400)、及びプロピレングリコールのEO12モル付加物等が挙げられる。
(B2)の具体例としては、ポリエチレングリコール(Mn6,000)、ポリプロピレングリコール(Mn2,000)、EO27モルとPO30のランダム付加物、ブタノールのEO26モルとPOの19モルのランダム付加物等が挙げられる。
(B3)の具体例としては、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
(B4)の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサノールなどの脂肪族アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、グルコース、フルクトース、キシリトール、トリグリセリン、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、スクロース等が挙げられる。
(B)のうち、切削液の生分解性の観点から好ましいのは、(B4)であり、さらに好ましいのは、グリセリン、プロピレングリコール、メタノール及びエタノールであり、特に好ましいのは、生分解性および引火性の観点からグリセリンとプロピレングリコールである。
本発明におけるポリオキシアルキレン付加物(A)の含有量は、使用時の切削液に対して0.01〜25重量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜20重量%であり、さらに好ましくは、0.01〜15重量%、最も好ましくは、0.1〜10重量%である。
(B)の含有量は、使用時の切削液に対して25重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20重量%以下であり、さらに好ましくは、15重量%以下、最も好ましくは、10重量%以下である。
本発明の含水切削液に用いられる水は、純水、イオン交換水、水道水、工業用水等のいずれを用いてもよい。
本発明の含水切削液の25℃における粘度は1〜20mPa・sであることが好ましい。1mPa・s以上であるとワイヤーの振動を抑制でき、20mPa・s以下であると、砥粒の被切削物への切り込みが安定する傾向にある。さらに好ましくは1〜15mPa・sである。
本発明の含水切削液は、砥粒がワイヤーに固着された固定砥粒ワイヤーによりスライス加工する際、好適に使用できる。
本発明の含水切削液は、ワイヤーによりシリコンインゴットをスライスしてシリコンウエハを製造する際、好適に使用できる。
本発明の含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスしてシリコンウエハを製造する方法として、遊離砥粒を切削液に分散した砥粒スラリーを用いる方法、または砥粒がワイヤーに固着された固定砥粒ワイヤーソーを用いる方法がある。本発明の含水切削液はいずれにも適用できるが、特に、固定砥粒ワイヤーソーを用いて、シリコンインゴットをスライスするシリコンウエハの製造方法に適している。
本発明の含水切削液は、切削により発生する切屑の分散性に優れるため、固定砥粒の目詰まりを抑制することができ、また、水を多く含んでも、水とシリコンとの反応による水素発生を抑えるため、切削時の発泡を低減できるため、固定砥粒ワイヤーソーを用いる方法に適用することが好ましい。
本発明の含水切削液とワイヤーを用いて、シリコンインゴットをスライスすることにより、シリコンウエハを製造することができる。上記の製造方法でスライスされたシリコンウエハは、太陽電池用シリコンウエハや半導体デバイス用シリコンウエハなどに使用できる。
上記のシリコンウエハは、太陽電池用セル、メモリー素子、発振素子、増幅素子、トランジスタ、ダイオードなどの電子材料に使用する事ができる。
本発明の含水切削液には、潤滑性を調整する目的で、さらに潤滑剤を含有してもよい。
潤滑剤としては、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル化合物や、脂肪族モノカルボン酸やそのエステル化合物(酢酸を除く)、脂肪族ジカルボン酸やそのエステル化合物などが挙げられる。
本発明の含水切削液には、装置などの腐食を抑制する目的で、さらに防錆剤を含有してもよい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールなどのアゾール化合物、イミダゾール、DBUなどのアミジン類、トリエタノールアミン、ジエタノールシクロヘキシルアミンなどのアルカノールアミン、またはそのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
本発明の含水切削液には、切削液のpHを調整する目的で、pH調整剤を適当量加えてもよい。pHを調整することによって、シリコンと水との反応により発生する水素ガスの量を低く維持できる。切削液のpHは、切屑の分散性を高く維持する観点から、好ましくは4〜10であり、更に好ましくは5〜10であり、最も好ましくはpHが6〜10の範囲である。
このようなpH調整剤としては、金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)などの塩基性化合物;有機酸(脂肪族カルボン酸を除く)(例えば酢酸、ギ酸、クエン酸など);無機酸(例えば燐酸、塩酸、硝酸、硫酸など)などの酸性化合物等が挙げられる。
本発明の含水切削液には、切屑の分散性を調整する目的で、分散剤を加えてもよい。このような分散剤としては、ポリカルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及び/又はその塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、ポリアルキレングリコール硫酸エステル塩、ポリビニルアルコールリン酸エステル塩、メラミンスルホン酸塩及びリグニンスルホン酸塩などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1 <グリセリンのEO/POランダム付加物(A−1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン7.7部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキシド241部とプロピレンオキシド241部の混合液を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、本発明のグリセリンのEO/POランダム付加物(A−1)(f(化合物が有する水酸基数)=3;数平均分子量5,800)を得た。なお、数平均分子量はGPCによる分子量である。
製造例2 <トリメチロールプロパンのEO/POランダム付加物(A−2)の製造>
製造例1において、グリセリンをトリメチロールプロパン11.3部に変更し、エチレンオキシドを238部、プロピレンオキシドを238部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、本発明のトリメチロールプロパンのEO/POランダム付加物(A−2)(f=3;数平均分子量5,800)を得た。
製造例3 <グリセリンのEO/POランダム付加物(A−3)の製造>
グリセリンを4.4部、エチレンオキシドを340部、プロピレンオキシドを139部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、グリセリンのEO/POランダム付加物(A−3)(f=3;数平均分子量10,100)を得た。
製造例4 <グリセリンのEO−POブロック付加物(A−4)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン7.7部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でプロピレンオキシド241部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、次に、プロピレンオキシド241部を4時間で圧入した。同温度でさらに6時間反応させ、本発明のグリセリンのEO−POブロック付加物(A−4)(f=3;数平均分子量5,800)を得た。
製造例5 <グリセリンのEO/POランダム付加物(A−5)の製造>
グリセリンを2.0部、エチレンオキシドを325部、プロピレンオキシドを175部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、グリセリンのEO/POランダム付加物(A−5)(f=3;数平均分子量22,000)を得た。
製造例6 <グリセリンのEO/POランダム付加物(A−6)の製造>
グリセリンを0.87部、エチレンオキシドを326部、プロピレンオキシドを173部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、グリセリンのEO/POランダム付加物(A−6)(f=3;数平均分子量52,700)を得た。
製造例7 <ペンタエリスリトールのEO/POランダム付加物(A−7)の製造>
製造例1において、グリセリンをペンタエリスリトール0.47部に変更し、エチレンオキシドを197部、プロピレンオキシドを63部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、ペンタエリスリトールのEO/POランダム付加物(A−7)(f=4;数平均分子量75,400)を得た。
製造例8 <ソルビトールのEO/POランダム付加物(A−8)の製造>
ソルビトールを0.47部、エチレンオキシドを203部、プロピレンオキシドを65部とした以外は、製造例3と同様な操作を行い、ソルビトールのEO/POランダム付加物(A−8)(f=6;数平均分子量103,900)を得た。
製造例9 <グリセリンのEO/POランダム付加物(A−9)の製造>
グリセリンを0.50部、エチレンオキシドを402部、プロピレンオキシドを265部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、グリセリンのEO/POランダム付加物(A−9)(f=3;数平均分子量122,000)を得た。
製造例10 <ソルビトールのEO/POランダム付加物(A−10)の製造>
ソルビトールを0.50部、エチレンオキシドを360部、プロピレンオキシドを175部とした以外は、製造例3と同様な操作を行い、ソルビトールのEO/POランダム付加物(A−10)(f=6;数平均分子量195,000)を得た。
比較製造例1 <グリセリンのEO/POランダム付加物(B1−1)の製造>
グリセリンを92部、エチレンオキシドを204部、プロピレンオキシドを204部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、比較のためのグリセリンのEO/POランダム付加物(B1−1)(f=3;数平均分子量500)を得た。
比較製造例2 <ジエチレングリコールのEO/POランダム付加物(B2−1)の製造>
グリセリンをジエチレングリコール17.5部に替え、エチレンオキシドを218部、プロピレンオキシドを230部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、比較のためのジエチレングリコールのEO/POランダム付加物(B2−1)(f=2;数平均分子量2,800)を得た。
実施例1〜22及び比較例1〜4
表1及び表2記載の配合比(重量部)で各成分を配合し、実施例1〜22及び比較例1〜4の切削液を調製して、砥粒の切込み深さの均一性、ワイヤーの振動抑制性、及び抑泡性の性能評価を行った。
Figure 0005913409
Figure 0005913409
なお、表1及び表2中の「PEG−6000(B2−2)」は三洋化成工業(株)製のPEG−6000(数平均分子量が6,000のポリオキシエチレングリコールを用いた。
実施例1〜22及び比較例1〜4の切削液の比熱を測定した。また、砥粒の切込み深さの均一性、ワイヤーの振動抑制性、抑泡性、及び生分解性を下記の方法で評価した。
<比熱の測定>
切削液の25℃における比熱(J/g・K)は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。その結果を表1及び表2に示す。
<粘度の測定>
切削液の25℃における粘度(mP・s)は、E型回転式粘度計(TV−22:東機産業株式会社製)を用いて測定した。その結果を表1及び表2に示す。
<pHの測定>
切削液のpHは、pHメーター(堀場製作所製)を用いて測定した。その結果を表1及び表2に示す。
<砥粒の切込み深さの均一性の評価>
砥粒の切込み深さの均一性の評価は以下に示す方法で行った。
(1)被切断材として125mm角の単結晶シリコンインゴットを用い、ダイヤモンド固定砥粒ワイヤー、シングルワイヤーソー切断機(タカトリ社製、WSD−K2)で切断試験を実施した。
切断条件:ワイヤー素線径90μm、ワイヤー張力10N、ワイヤーピッチ幅350μm、ワイヤー走行速度600m/分、ワイヤー往復回数1回/分、ウエハ切断枚数2枚、切断速度0.6mm/min(昇降位置0mm〜113.5mm),0.2mm/min(昇降位置113.5mm〜130mm)
(2)切断後ウエハの下端より5mmの部分を、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SURF TEST SV−600)を用いて、ウエハの断面曲線の最大高さ(Pz)を測定した。なお、砥粒の切込み深さが切断時に変動する場合は、ワイヤーの進行方向に対して垂直方向にあるウエハの断面曲線が平坦ではない。すなわち、断面曲線において、基準線からのウエハ断面曲線の最大高さ(Pz)が大きくなる。
測定条件:輪郭曲線フィルタλs2.5μm、基準長さ0.2mm、評価長さ4.0mm、測定長さ5.0mm
砥粒の切込み深さの均一性評価は以下の判断基準に従って行った。
○:Pzが 2.7μm未満
△:Pzが 2.7μm以上3.4μm未満
×:Pzが 3.4μm以上
<ワイヤーの振動抑制性の評価>
ワイヤーの振動抑制性の評価は以下に示す方法で行った。
(1)被切断材として125mm角の単結晶シリコンインゴットを用い、ダイヤモンド固定砥粒ワイヤー、シングルワイヤーソー切断機(タカトリ社製、WSD−K2)で切断試験を実施した。
切断条件:ワイヤー素線径90μm、ワイヤー張力10N、ワイヤーピッチ幅350μm、ワイヤー走行速度600m/分、ワイヤー往復回数1回/分、ウエハ切断枚数2枚、切断速度0.6mm/min(昇降位置0mm〜113.5mm),0.2mm/min(昇降位置113.5mm〜130mm)
(2)切断後ウエハの下端より5mmの部分を、JIS−H−0611に従い、ウエハの膜厚を測定した。
ワイヤーの振動抑制性の評価は以下の判断基準に従って行った。
◎:ウエハの膜厚が228μm以上
○:ウエハの膜厚が225μm以上〜228μm未満
△:ウエハの膜厚が220μm以上〜225μm未満
×:ウエハの膜厚が220μm未満
<抑泡性の評価>
抑泡性の評価は以下に示す方法で行った。
(1)内径5.5cmの200mLトールビーカーに、切削液に平均粒子径が0.5μmのシリコン粒子を7.5重量%分散させた分散液を175mL入れ、トールビーカーの底部から1cmの高さにバイオミキサー(NISSEI社製;BM−2型)の先端部がくるようにセットした。
(2)トールビーカーの底部から液面までの距離(液面高さ:P(cm))を記録した。
(3)トールビーカーに入った分散液を25℃に温調した後、13,500RPMで1分間攪拌した。
(4)攪拌停止30秒後に、トールビーカーの底部から最も高い気泡面までの距離(気泡面高さ:Q(cm))を測定して、気泡面高さと液面高さの比[Q/P]を記録した。
抑泡性の評価は以下の判断基準に従って行った。
○:[Q/P]が、1.10未満
△:[Q/P]が、1.10以上1.40未満
×:[Q/P]が、1.40以上
<生分解性の評価>
切削液の生分解性の評価は、以下に示す方法で行った。
(1)表1及び表2に示す含水切削液の水を除く有効性分濃度を50重量%に統一して評価用サンプルとした。すなわち、表1及び表2に示す含水切削液から水の量のみを減量させて、水以外の成分合計量が50重量%となるように評価用サンプルを配合した。
(2)(1)の方法で配合した評価用サンプルの生物化学的酸素要求量をJIS K0102及び32.3に遵守して行った。
生分解性の評価は以下の判断基準に従って行った。
○:生物化学的酸素要求量が400,000mg/L以上
△:生物化学的酸素要求量が100,000mg/L以上400,000mg/L未満
×:生物化学的酸素要求量が100,000mg/L未満
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例1〜22の本発明の切削液はいずれも、比熱が水の4.2J/g・Kに近く、砥粒の切込み深さの均一性、ワイヤーの振動抑制性、抑泡性ともに優れている。グリセリン、プロピレングリコールを併用した実施例20〜22は、更に生分解性に優れている。
一方、数平均分子量が1,000未満の3個の水酸基を有する化合物のみを用いた比較例1は、砥粒の切込み深さの均一性とワイヤーの振動抑制性が不十分である。
2個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物のみを用いた比較例2、及び比較例3は、本発明の切削液と粘度が同程度であるが、砥粒の切込み深さの均一性とワイヤーの振動抑制性、抑泡性のいずれも劣る。
2価のアルコールであるプロピレングリコールのみを用いた比較例4は、砥粒の切込み深さの均一性とワイヤーの振動抑制性が劣る。
本発明の含水切削液は、加工熱の冷却性が優れるだけでなく、砥粒の切込み深さの均一性、ワイヤーの振動抑制性、抑泡性が良好である。そのため、固定砥粒ワイヤーを用いて被切削物をスライスするときに使用する切削液として有用である。
本発明の含水切削液を用いてシリコンインゴットを切削加工して製造されたシリコンウエハは、例えば太陽電池用セル、メモリー素子、発振素子、増幅素子、トランジスタ、ダイオード、LSIの電子材料として利用でき、これらの電子材料は、太陽光発電装置、パソコン、携帯電話、ディスプレー、オーディオ等に使用することができる。
本発明の含水切削液は、加工熱の冷却性、砥粒の切込み深さの均一性、ワイヤー等の切削物の振動抑制性に優れるので、シリコンインゴッド以外に、水晶、炭化ケイ素、サファイヤ等の硬質な材料を切削するときに使用する切削液としても有用である。
また、本発明の含水切削液を用いて切削する工程を含む被切削物の製造方法は、被切削物への砥粒の切込み深さの均一性が高く維持でき、切削工具の振動を抑制できる製造方法であるので、砥粒を固着させたワイヤー、研磨パッド、ブレード等を用いた切断や研磨方法に利用できる。

Claims (8)

  1. 3〜8個の水酸基を有する化合物のポリオキシアルキレン付加物(A)を含有し、(A)の数平均分子量が10,000を超え、10,000,000以下であることを特徴とする含水切削液。
  2. 25℃における粘度が1〜20mPa・sである請求項1に記載の含水切削液。
  3. ポリオキシアルキレン付加物(A)が、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトールからなる群から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレン付加物である請求項1又は2に記載の含水切削液。
  4. さらに(A)以外の水酸基を有する化合物(B)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の含水切削液。
  5. 水酸基を有する化合物(B)がグリセリン及び/又はプロピレングリコールである請求項4に記載の含水切削液。
  6. 含水切削液のpHが4〜10である請求項1〜5のいずれかに記載の含水切削液
  7. 砥粒がワイヤーに固着された固定砥粒ワイヤーソーによる切削用である請求項1〜6のいずれかに記載の含水切削液。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の含水切削液を用いてシリコンインゴットをスライスするシリコンウエハの製造方法。
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