JP5913403B2 - 擬弾性を示すマグネシウム合金、並びに擬弾性を示すマグネシウム合金部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はマグネシウム合金に関し、さらに詳しくは、擬弾性を示すマグネシウム合金に関する。
マグネシウムは構造用材料等に通常用いられる金属では最も低密度であり、また、優れたリサイクル性を有し、資源も豊富に存在するので、次世代の構造用材料として注目されている。特に、マグネシウムに種々の添加元素を添加したマグネシウム合金は、軽量で、比強度、比剛性が高く、衝撃吸収性に優れる。そのため、マグネシウム合金は、自動車部品や携帯用電子機器類の筐体など、各種の構成部材として検討されている(たとえば、特許文献1、2)。
一方、低温状態で変形を加えても、所定の温度まで加温するとあらかじめ記憶させた形状を復元する形状記憶合金や、応力を印加すると見かけ上塑性変形を起こすが、応力を除荷するともとの形状に戻る擬弾性を示す合金がTi−Ni系合金で報告されている(たとえば、特許文献3、4)。
マグネシウム合金についても、印加した応力を除荷する際に、双晶の発生、消滅によって、わずかに変形が回復することが報告されている。しかしながら、その回復の程度は、0.5%未満と小さい(非特許文献1)。
特開2005−213535号公報 特開2006−257478号公報 特開2001−262298号公報 特開平10−237572号公報
Reversible plastic strain during cyclic loading-unloading of Mg and Mg-Zn alloys, Materials Science and Engineering A, vol. 456, 2007, pp. 138-146 Deformation Behavior of Mg Alloy Single Crystals at Various Temperatures, Materials Science Forum vol. 350-351, 2000, pp. 183-188
前述のとおり、擬弾性を示す合金は種々報告されている。しかしながら、擬弾性を示すマグネシウム合金は報告されていない。軽量である擬弾性を有するマグネシウム合金が得られれば適用範囲は広く、開発が望まれていた。そこで、本発明では、擬弾性を有するマグネシウム合金、及びそれを用いた製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、双晶の発生、消滅を利用し、弾性変形領域を超える大きな応力を印加して変形しても、応力を除荷すると元の形状に戻る、擬弾性を示すマグネシウム合金を得るために鋭意検討した。その結果、特定の元素を含有させ、結晶方位を揃えたマグネシウム合金とすることにより、印加された応力によるひずみを規則的に発生する双晶で緩和し、応力を除荷すると双晶が消滅することによりひずみが回復し、元の形状に戻ることを見出した。
本発明は上記の知見に基づきなされたマグネシウム合金であって、マグネシウムを主成分とし、合金元素として、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのうち少なくとも1種の元素を含有し、一方向結晶構造を有することを特徴とする。これにより、印加された応力によるひずみを規則的に発生する双晶で緩和し、応力を除荷すると双晶が消滅することによりひずみが回復する擬弾性を示すマグネシウム合金を得ることができる。
本発明によれば、従来得られなかった、擬弾性を示すマグネシウム合金を得ることができる。
従来の一般的なマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。 Mg−Y単結晶内で2方向に揃って発生した双晶を示す図である。 応力の印加、除荷によって成長、消滅する双晶を示す図である。 本発明のマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。 本発明の実施例におけるマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。 本発明の実施例におけるマグネシウム合金の組織を示す図である。 比較例におけるマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下、「%」は「原子%」を表すものとする。
擬弾性とは、応力を印加することにより生じたひずみが、応力を除荷することで回復する現象である。これは、弾性領域を超えて応力を印加した際に、結晶の底面すべりなどの転位を伴う不可逆な塑性ひずみを発生させず、双晶の生成、成長によるひずみによってひずみが蓄積し、応力を除荷した際に、生成、成長した双晶が消滅することが原因と考えられる。
図1は、従来の一般的なマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。一般的なマグネシウム合金の場合は、応力を印加すると、まず、応力に比例して弾性ひずみが発生し(11)、降伏点に達すると、その後は応力を大きく増加しなくても、底面すべりなどの転位を伴う不可逆な塑性ひずみが蓄積される。このとき同時に、双晶がランダムに発生することによって、局所的なひずみも蓄積される(12)。応力を除荷すると、蓄積された弾性ひずみは回復する(13)。また、発生した双晶の一部が消滅するため、双晶により蓄積されたひずみがわずかに回復する(14)。
しかしながら、双晶の消滅によるひずみの回復量は極めて小さく、大きな回復は見られない。これは、応力が印加された時の双晶の発生はランダムであるので、発生した双晶が互いに干渉しあい、局所的に転位などのひずみを発生させ、固着され、その結果、除荷しても大部分の双晶は消滅しないためである。また、底面すべりなどの転位を伴う不可逆な塑性ひずみは、一度蓄積されると、応力を除荷しても回復することはない。
したがって、擬弾性の発現には、以下の2つの条件が両立する必要がある。
(1)底面すべりの抑制と双晶発生の促進
合金にCRSS(臨界分解せん断応力)以上の応力が加わると、すべり(転位)の発生や双晶の発生がおこる。応力がCRSS以下であれば、弾性変形となる。応力が印加された際にマグネシウムの六方晶の底面のすべりが生じやすい状態であれば、すべりによる転位を伴う塑性ひずみが蓄積されることとなり、応力を除荷してもひずみは回復しない。
応力を除荷した際にひずみが回復するためには、弾性領域を超えて応力を印加した際に、双晶の生成、成長によりひずみを蓄積させる必要がある。
本発明の擬弾性を示すマグネシウム合金では、この底面すべりを抑制する(底面すべりのCRSSを向上させる)とともに、双晶の発生を促進する(双晶のCRSSを低下させる、あるいは過度に向上させない)元素を添加元素として選択した。
マグネシウムの六方晶の底面すべりを抑制させるためには、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuが有効であることが報告されている(たとえば、非特許文献2)。これらの元素は、添加することにより、メカニズムは明確ではないが、双晶の発生を促進することもできる。たとえばYの場合、1%添加した場合、底面すべりのCRSSは10MPa程度であり、純Mgと比べて約10倍となる。これに対して、双晶のCRSSは17MPa程度であり、純Mgとくらべて約5倍程度の増加に止まる。さらに高Y合金になると、底面すべりのCRSSはさらに上昇するが、双晶のCRSSはほとんど増加しない。それぞれの元素の底面すべりを抑制する効果、双晶の発生を促進する効果は異なるので、必要に応じて最適な元素を選択すればよい。底面すべりを抑制する元素と、双晶の発生を促進する元素として、それぞれ別の元素を選択し、2種の元素を添加してもよいし、3種以上の元素を添加してもよい。
これらの元素が上述したような効果を奏するためには、これらの元素が析出物(たとえばMg24など)としてではなく、母相に固溶した状態で存在する必要がある。母相に一定量の元素が固溶した状態で存在すれば、同時に析出物が存在していてもかまわない。ただし、これらの元素の添加量が大きすぎると、凝固の際に、初晶固溶体が粗大なデンドライトとして形成され、その後、デンドライト間に微細な共晶ラメラ組織が生じる。これらの組織の発生が多すぎると、応力が印加された際に発生する双晶と干渉し、転位運動などによるひずみを生じさせるため、応力を除荷しても双晶は消滅しなくなる。
たとえば添加する元素がYの場合、母相に固溶できる量の上限は3.4%である。底面すべりの抑制、双晶発生の促進の観点とデンドライト形成の観点から、合金作製の際に母相に添加するYは1.0〜6.0%とする必要がある。添加量が1.0%未満では、Yの添加による底面すべりの抑制、双晶の発生の促進の効果が十分に得られない。添加量が6.0%を超えると、上記のとおり、応力を除荷しても双晶が消滅しなくなる。添加量が6.0%以下であればデンドライト形成による影響は小さく、また、Yの一部が析出物として存在したとしてもYを母相に有効に固溶させることができる。好ましいYの添加量は、母相に固溶できる量の上限を考慮して1.0〜3.4%である。
(2)双晶の選択的活動
双晶が発生した場合であっても、複数の双晶がランダムに発生すると、双晶同士が互いに干渉し、局所的なひずみ(転位など)が発生し固着する。そのため、応力を除荷しても大部分の双晶が消滅しないこととなる。応力を印加した際の双晶の発生が規則的であり、互いに干渉しなければ、局所的な転位の発生などもなく、応力を除荷した際の双晶の消滅によるひずみの回復は大きくなる。したがって、本発明のマグネシウム合金では、双晶の発生を規則的にするために、結晶方位を一方向に揃える。具体的には、結晶構造を単結晶とする、あるいは、多結晶の合金を圧延により集合組織とすることにより、結晶方位を揃えることができる。
結晶構造が六方晶であるマグネシウムの場合、双晶は結晶に対して6つの異なる方向を取り得るが、印加される応力の方向によって、発生する双晶の方向は限定される。すなわち、<11−20>方向からの圧縮応力の場合はそのうち4つ、<10−10>方向からの圧縮ではそのうち2つ方向の双晶が発生する。さらに、<10−10>方向からc軸方向にわずかに傾けた<10−1x>方向からの圧縮で発生する双晶は1つの方向のみとなる。その際の<10−10>方向からc軸方向への傾きの角度は、1〜10°である。すなわち、双晶を互いに干渉しないように選択的に生じさせ、消滅させるためには、結晶方位を揃えた上で、特定の方向から応力を印加する必要がある。
図2は、Mg−Y単結晶に、<10−10>方向から応力を印加した場合に発生した双晶の組織である。応力の印加により複数の双晶が発生しており、発生した双晶の方向が2方向に揃っていることが確認できる。図3は、応力の印加、除荷により成長、消滅する双晶を示している。他の双晶、粒界等と干渉しない場合、応力の印加による成長した双晶は、応力を除荷することによって消滅することが確認できる。
図4は、本願発明のマグネシウム合金の応力−ひずみ線図である。応力を印加し弾性ひずみが蓄積する領域(41)は、従来のマグネシウム合金と同じである。続く領域(42)は、従来のマグネシウム合金と同様の線を描いているが、転位等による塑性ひずみは抑制され、選択的、規則的な双晶によりひずみが蓄積する。応力を除荷すると、従来のマグネシウム合金と同様に弾性ひずみが回復し(43)、さらに、双晶の消滅により、双晶により蓄積されたひずみが回復する(44)。ただし、応力を印加した際には、発生した一部の双晶が、他の双晶、粒界等と干渉することにより転位などを生じ、塑性ひずみが残存する場合もある(45)。
本発明のマグネシウム合金の製造方法には、公知の製造方法を用いることができる。本発明のマグネシウム合金は一方向結晶構造(結晶学的方位がそろった結晶からなる構造)を有する。一方向結晶構造が単結晶合金として実現されているマグネシウム合金は、ブリッジマン法などの公知の製造方法を用いて製造することが可能である。また、常法によりマグネシウム合金板材を作製し、圧延を施し結晶方位を制御することで、優先方位を有する圧延集合組織を有する一方向結晶構造が集合組織として実現されているマグネシウム合金を製造することができる。
本発明のマグネシウム合金に対しては、時効処理を施してもよい。時効処理を施した場合、たとえば添加する元素がYの場合、Mg24等が析出する。この析出物の量によって、双晶の消滅によるひずみの回復が始まる応力や回復量を調整することができる。回復開始応力や回復量は、目的に応じて調整すればよい。ただし、上述したとおり、析出物が存在する場合であっても、母相に一定量の元素が固溶した状態で存在する必要がある。
本発明のマグネシウム合金は、上述したように、異方性を有しており、応力が印加される方向によって発生する双晶の方向の数が異なる。双晶が複数の方向に発生すると、相互に干渉しやすくなり、応力を除荷しても双晶が消滅せずにひずみが残ることとなる。したがって、部品として使用する際には、完成部品において応力が印加される方向が重要となる。具体的には、本発明のマグネシウム合金を加工する際は、完成部品において圧縮応力が印加される方向が、マグネシウムの六方晶の<10−10>方向からc軸方向へ傾き10°以下の角度を有する方向となるように加工する。これにより、発生する等価な双晶が2種類以下に限定され、応力が印加された際に双晶同士の干渉が抑えられるので、本発明のマグネシウム合金の擬弾性の効果を、最も有効に享受することができる。
なお、以上の説明では圧縮応力が印加された場合について説明してきたが、上述の圧縮応力が印加される方向と垂直な方向に引張応力が印加された場合も同様であることはいうまでもない。
[実施例1]
ブリッジマン法を用いて、仕込み組成がMg−0.5%Y、Mg−1.7%Yの2種類のマグネシウム合金の単結晶を作成した。不純物の混入を極力抑制するため、高純度グラファイトるつぼを用い、Arフロー50cm/分の雰囲気で、育成速度1mm/時間で結晶を育成した。作成したマグネシウム合金の結晶方位をESBDで確認し、幅3mm×奥行3mm×高さ6mmの大きさに、高さ方向とマグネシウム結晶の六方晶の柱面方向が平行になるように、試料を切り出した。
切り出しの際に試料に入るひずみを除去するために、切り出した試料を石英管にアルゴン封入し、250℃と350℃の間で2時間周期の繰り返しひずみ取り焼鈍を5周期施し、溶体化処理として500℃で24時間保持し、その後、水焼入れを行った。水焼入れを行った後、一部の試料については、析出物量を制御するため、200℃で時効処理を施した。時効処理の時間は、5、96、240時間のいずれかとした。
ひずみの回復量は、インストロン社製の万能試験機を用いて、試料の高さ方向にひずみ速度2×10-4/秒で圧縮応力を加え、その後、応力を除荷し、これを繰り返したときの応力−ひずみ線図を作成し、応力を除荷した際の回復のうち、弾性ひずみ分を除去した量とした。
結果を表1、図5、図7に示す。時効処理を施した試料では、Yの一部がMg24等の析出物として析出しているので、母相のY濃度は仕込み組成のY濃度に比べて小さくなっている。No.11〜14の発明例の試料は、表1、図5に示すように、1.9%以上の大きな回復量が確認できた。また、時効処理を施した試料は、時効処理時間によって、回復開始応力が異なることが確認できた。図6に発明例の組織写真を示す。No.15〜17の試料は、表1、図7に示すように、回復量は0.25%以下と小さかった。ここで、回復量とは、弾性ひずみが回復した際に残留するひずみの大きさ(図4の43の接線とひずみ軸の交点)から、応力が0となったときのひずみの大きさ(図4の44とひずみ軸の交点)の差をいうものとする。また、回復開始応力とは、弾性ひずみが回復する領域(図4の43)の接線と、擬弾性により回復する領域の中点(図4の44で、上記回復量の1/2となる点)の接線の交点の応力をいうものとする。
母相のY濃度が0.5%であるマグネシウム合金では、回復量が小さかったが、母相のY濃度が1.0%、1.7%であるマグネシウム合金では、1.9%以上の大きな回復量を有していることが確認できた。また、時効処理を施すことにより析出物が存在する場合には、回復が開始する応力が変化することが確認できた。
[実施例2]
Mg−1.7%Yの単結晶、Mg−1.7%Yの多結晶、一般的に構造材料として用いられるマグネシウム合金であるAZ31圧延材について、実施例1と同様に回復量を比較した。単結晶は実施例1に記載の製造方法(時効処理はなし)、多結晶は公知の鋳造法により製造した。なお、AZ31圧延材は、単結晶と同様に、試料の高さ方向とマグネシウム結晶の六方晶の柱面方向が平行になるように試料を切り出したが、Mg−1.7%Yの多結晶の試料は結晶方位がランダムであるので、切り出した試料の高さ方向とマグネシウム結晶の六方晶の柱面方向の相関はない。結果を表2に示す。
No.21のMg−1.7%Yの単結晶は大きな回復量を示したが、No.22のMg−1.7%Yの多結晶、No.23のAZ31圧延材はともに回復量は0.5%以下と小さな値となった。これは、Mg−1.7%Yの多結晶では、応力が加えられた際に双晶は生成されるが、発生した双晶の方向がランダムであるため、双晶が互いに干渉しあい、局所的に転位などのひずみを発生させ固着し、多くの双晶が除荷しても消滅しないためである。また、AZ31圧延材の組織は集合組織であり、生じた双晶が互いに干渉しあうことは少ないが、Al、ZnはMg六方晶の底面のすべりの抑制や、応力が加わった際の双晶の発生の促進の効果が小さく、回復量を向上しないためである。
本発明によれば、従来は得られなかった擬弾性を示すマグネシウム合金を得ることができる。
11 弾性ひずみが蓄積される領域
12 塑性ひずみやランダムな双晶でひずみが蓄積される領域
13 弾性ひずみが回復する領域
14 双晶の消滅によりひずみが回復する領域
41 弾性ひずみが蓄積される領域
42 塑性ひずみが抑制され、選択的、規則的な双晶でひずみが蓄積される領域
43 弾性ひずみが回復する領域
44 双晶の消滅によりひずみが回復する領域
45 応力を除荷しても残存するひずみ(塑性ひずみ)

Claims (6)

  1. Y:1.7〜6.0原子%を含有し、残部はマグネシウム及び不可避的不純物であり、一方向結晶構造を有することを特徴とする回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金。
  2. 前記一方向結晶構造が単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金。
  3. 前記一方向結晶構造が集合組織であることを特徴とする請求項1に記載の回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金。
  4. 前記マグネシウム合金の母相が、Y:1.7〜3.4原子%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のマグネシウム合金からなり、完成部品において圧縮応力が印加される方向が、前記マグネシウム合金を構成するマグネシウムの六方晶の<10−10>方向からc軸方向に10°以下の角度を有する方向であることを特徴とする回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金部品。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のマグネシウム合金を、完成部品において圧縮応力が印加される方向が、前記マグネシウム合金を構成するマグネシウムの六方晶の<10−10>方向からc軸方向に10°以下の角度を有する方向となるように加工することを特徴とする回復量が1.9%以上の擬弾性を示すマグネシウム合金部品の製造方法。
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