JP5911417B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法においては、静電潜像担持体の表面を、コロナ放電等を用いて帯電させた後、レーザー等を用いて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常このような電子写真法に適用するトナーには熱可塑性樹脂のような結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性材料のような成分を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5μm以上10μm以下のトナー粒子としたものが用いられる。このような、トナーに含まれる材料の混練と、混練物の粉砕と、粉砕物の分級と、を含むトナーの製造法について、「粉砕法」と呼ばれている。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電制御を行ったり、クリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタンのような無機微粉末がトナーに外添されている。
このようなトナーに関して、省エネルギー化、装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。そして、低温定着性に優れたトナーを調製する場合、ポリエステル樹脂が結着樹脂として広く用いられている。
また、トナー用のポリエステル樹脂について、環境面への配慮から、カーボンニュートラルを考慮して、バイオマスから取得可能な単量体を用いて合成されたものが注目されている。バイオマスから取得可能なポリエステル用の単量体のうち、好適なものとしては1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)が知られている。
1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含むトナーとしては、脂肪族多価アルコールを70モル%以上含むアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル樹脂である結着樹脂と、電荷制御剤とを含有し、結着樹脂の原料であるアルコール成分が脂肪族アルコールとして1,2−プロパンジオールを含み、電荷制御剤が特定のアゾ化合物の金属錯体である、トナーが提案されている(特許文献1を参照)。
特開2012−215857号公報
しかし、特許文献1に記載されるような、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含むトナーには、トナーに由来する不快な臭気の問題がある。この不快な臭気の問題は、被記録媒体上のトナー像を加熱して定着させる際に、特に顕著である。このようなトナーの不快な臭気は、結着樹脂中に僅かに含まれるか、定着時の加熱に起因するポリエステル樹脂の分解にともなって僅かに生じる、1,2−プロパンジオールが原因であると考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含有し、不快な臭気を生じにくい静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明は、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を含有する結着樹脂と、
水酸化ジルコニウム粒子と、を含む静電荷像現像用トナーに関する。
本発明によれば、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含有し、不快な臭気を生じにくい静電荷現像用トナーを提供することができる。
高化式フローテスターを用いる軟化点の測定方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
〔結着樹脂〕
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を含有する結着樹脂と、水酸化ジルコニウム粒子と、を含む。本発明のトナーは、結着樹脂中に、必要に応じ、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。また、本発明のトナーは、必要に応じてその表面を、外添剤を用いて処理されたものであってもよいさらに、本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。
以下、静電荷像現像用トナーを構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、水酸化ジルコニウム粒子、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉、及び外添剤と、静電荷像現像用トナーの製造方法と、及び本発明のトナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリアとについて順に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を必須に含む。そして、ポリエステル樹脂は、1,2−プロパンジオールを含む2価又は3価以上のアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体である。以下、結着樹脂について、アルコール成分、カルボン酸成分、及び結着樹脂の製造方法について順に説明する。
(アルコール成分)
本発明において、結着樹脂として用いるポリエステル樹脂の単量体として使用される、2価又は3価以上のアルコール成分は、少なくとも1,2−プロパンジオールを含む。アルコール成分における、1,2−プロパンジオールの量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には、60質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
1,2−プロパンジオールの製造方法は特に限定されず、化学合成、発酵法、これらの方法の組合せのような方法を用いて製造される。具体的な方法としては、植物油脂を加水分解し、得られた反応物からグリセリンを精製し、水素化分解触媒の存在下に、得られたグリセリンと水素とを反応させて、1,2−プロパンジオールを得る方法が挙げられる(特開2010−111618参照)。
アルコール成分は、本発明の目的を阻害しない範囲で、1,2−プロパンジオールの他の、2価、又は3価以上のアルコール成分を含んでいてもよい。1,2−プロパンジオールの他の、2価、又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、グリセリンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。これらの1,2−プロパンジオールの他の、2価、又は3価以上のアルコール成分として、特に1,3−プロパンジオール、及びグリセリンを用いるのが好ましい。
(カルボン酸成分)
結着樹脂として用いるポリエステル樹脂の単量体として使用される2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、以下のものが挙げられる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、或いはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
(結着樹脂の製造方法)
結着樹脂として用いるポリエステル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知のポリエステル樹脂の製造方法から適宜選択できる。ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、前述のアルコール成分とカルボン酸成分とを反応容器に入れ、触媒の存在下に、200℃以上250℃以下で、副生する揮発性成分を除去しながら重縮合反応を行う方法が挙げられる。重縮合反応中には、揮発性成分を除去し、重縮合反応を促進する目的で、反応容器を減圧することができる。触媒としては、例えば、スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウムのような金属や、これらの金属含有化合物が挙げられる。
カーボンニュートラルの観点から、トナーに含まれる結着樹脂は、バイオマス由来の1,2−プロパンジオールを用いて合成されたポリエステル樹脂を含むのが好ましい。バイオマスの種類は特に限定されず、植物バイオマスであっても動物バイオマスであってもよい。バイオマス由来の材料の中では、大量に入手しやすく安価であることから、植物バイオマス由来の材料がより好ましい。バイオマスから、1,2−プロパンジオールを製造する方法の具体例としては、植物性油脂、又は動物性油脂の酸又は塩基を用いる化学的加水分解や、又は酵素や、微生物を用いる生物的加水分解が挙げられる。また、グリセリンは、グルコースのような糖類を含む基質から発酵法を用いて製造することもできる。また、ポリエステル樹脂の単量体であるアルコール成分が、1,2−プロパンジオールの他に、1,3−プロパンジオールやグリセリンを含む場合、これらもバイオマス由来のものであるのが好ましい。
大気中に存在するCOのうち、放射性炭素(14C)を含むCOの濃度は、大気中において一定に保たれている。一方、植物は大気中の14Cを含むCOを光合成の過程において取り込むことで、自らの有機成分における炭素中の14Cの濃度が、大気中における14Cを含むCOの濃度と同じ比率となっており、その濃度は107.5pMC(percent Modern Carbon)である。また、動物における炭素も、植物に含まれる炭素に由来するため、動物の有機成分における炭素中の14Cの濃度も、植物と同様である。
ここで、トナー中に含まれる14Cの濃度をXpMCとすると、下記式(1)に従ってトナー中の炭素のうちのバイオマス由来の炭素の比率を求めることができる。
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(%)=(X/107.5)×100 (1)
また、カーボンニュートラルの観点から特に好ましいプラスチック製品として、製品に含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25%以上であるプラスチック製品に対して、バイオマスプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)が与えられる。そして、トナーに含まれる炭素中のバイオマス由来の炭素の割合が25%以上となる、トナー中の14Cの濃度Xを上記式(1)から求めると、26.9pMC以上となる。従って、トナーに含まれる炭素の放射性炭素同位体14Cの濃度が26.9pMC以上となるように、ポリエステルを調製することが好ましい。なお、石油化学製品の炭素元素中における14Cの濃度は、ASTM−D6866に従って測定できる。
ポリエステル樹脂の酸価は、特に限定されないが、3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましい。ポリエステル樹脂の酸価が高すぎる場合、高湿条件下で、トナーの種々の性能が湿度の悪影響を受けやすい。
ポリエステル樹脂の軟化点は、特に限定されないが、80℃以上140℃以下が好ましい。軟化点がこのような範囲のポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂として用いることで、低温定着性に優れ、高温での定着時にオフセットが発生しにくいトナーを得やすい。ポリエステル樹脂の軟化点は、以下の方法に従って測定することができる。
<軟化点測定方法>
高化式フローテスター(CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いてポリエステル樹脂の軟化点の測定を行う。具体的には、以下のようにしてポリエステル樹脂の軟化点を測定する。ポリエステル樹脂1.5gを試料として用い、高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用する。そして、昇温速度4℃/min、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60℃以上200℃以下の条件で測定を行う。ポリエステル樹脂のフローテスターの測定から得られた、温度(℃)とストローク(mm)とに関するS字カーブを用いて、軟化点を読み取る。
軟化点の読み取り方を、図1を用いて説明する。ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をSとする。S字カーブにおいて、ストロークの値が(S+S)/2となる温度を、ポリエステル樹脂の軟化点とする。
ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、特に限定されないが、60℃以上70℃以下が好ましい。ガラス転移点がこのような範囲のポリエステル樹脂をトナーの結着樹脂として用いることで、低温定着性に優れ、高温での定着時にオフセットが発生しにくいトナーを得やすい。
ポリエステル樹脂のガラス転移点は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリエステル樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的な測定方法は以下の通りである。測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、ポリエステル樹脂の吸熱曲線を測定することで求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用する。測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分、常温常湿下で測定して得られたポリエステル樹脂の吸熱曲線からポリエステル樹脂のガラス転移点を求めることができる。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、1,800以上2,000以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)がこのような範囲であると、幅広い温度範囲で用紙に良好に定着できるトナーを得ることができる。また、数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、15以上16以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布がこのような範囲であると、低温定着性に優れたトナーを得やすい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
結着樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。結着樹脂が、ポリエスエテル樹脂と、ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂を組み合わせて含む場合、ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として使用される熱可塑性樹脂から適宜選択して使用することができる。
結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
〔水酸化ジルコニウム粒子〕
本発明のトナーは、水酸化ジルコニウム粒子を必須に含む。本発明のトナーは、前述の1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を含有する結着樹脂を必須に含むため、1,2−プロパンジオールに由来する臭気の問題が潜在的には生じやすいものであるが、水酸化ジルコニウム粒子を含むことで、1,2−プロパンジオールに由来する臭気の問題が軽減される。
水酸化ジルコニウム粒子の粒子径は、所望する臭気抑制効果が得られる範囲で特に限定されない。典型的には、水酸化ジルコニウム粒子の体積平均粒子径は、500nm以下が好ましく、10nm以上300nm以下がより好ましく、50nm以上100nm以下が特に好ましい。このような範囲内の水酸化ジルコニウム粒子を用いる場合、流動性が良好であり、所望する程度に1,2−プロパンジオールに由来する臭気が軽減されるトナーを得やすい。水酸化ジルコニウム粒子の体積平均粒子径(D50)は、LA−950(株式会社堀場製作所製)のような装置を用いて測定することができる。
水酸化ジルコニウム粒子の市販品の例としては、宣城晶瑞新材料有限公司製のナノ水酸化ジルコニウム粉末(VK−RH60)が挙げられる。
水酸化ジルコニウム粒子は、トナー粒子の内部に添加されてもよく、トナー粒子の表面に外添されてもよい。少量で高い臭気抑制効果が得られる点からは、水酸化ジルコニウム粒子は外添されるのが好ましい。
水酸化ジルコニウム粒子の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、水酸化ジルコニウム粒子の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
〔着色剤〕
本発明のトナーは、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。トナーには、トナー粒子の所望する色に合わせて、公知の顔料や染料から適宜選択して用いることができる。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックのような黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネープルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキのような黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGKのような橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bのような赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキのような紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのような青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGのような緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛のような白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトのような体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、所望する色相へのトナーの色相の調整のような目的で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。
〔電荷制御剤〕
本発明のトナーは、必要に応じ、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
官能基として4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレンアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレンアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレンアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤として使用できる樹脂の中では、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点から、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレンアクリル系樹脂がより好ましい。4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレンアクリル系樹脂において、スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドのようなヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体、キレート化合物が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、0.5質量部以上15質量部以下が好ましく、1.0質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以上7.0質量部以下が特に好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させ難いため、形成画像の画像濃度が所望する値を下回ったり、画像濃度の長期にわたる維持が困難になったりすることがある。また、このような場合、電荷制御剤がトナー中に均一に分散し難く、形成画像にかぶりが生じやすくなったり、トナー成分の付着に起因する潜像担持部の汚染が起こりやすくなったりする。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化に起因する、高温高湿下での帯電不良に起因する形成画像における画像不良や、トナー成分の付着に起因する潜像担持部の汚染が起こりやすくなる。
〔離型剤〕
本発明のトナーは、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含んでいてもよい。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
好適な離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、及び鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、及びベトロラクタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部、又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
好適に使用できる離型剤としては、さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、及びさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類のような飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、及びバリナリン酸のような不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、及びさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールのような飽和アルコール;ソルビトールのような多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、及びラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、及びヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、及びN,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、及びステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーをグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加して得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量はトナーの質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、形成画像におけるオフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合がある。一方、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着に起因してトナーの耐熱保存性が低下する場合がある。
〔磁性粉〕
本発明のトナーには、必要に応じて、磁性粉を配合することができる。磁性粉の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されない。具体的な磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μmが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
トナー中での磁性粉の分散性を改良する目的で、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤のような表面処理剤を用いて表面処理された磁性粉を使用できる。
磁性粉の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とした場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、長期間にわたって画像濃度を所望する値に維持することが困難になったり、トナーの定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の使用量が過少である場合、形成画像にかぶりが発生しやすくなったり、所望する画像濃度の画像を長期間にわたり形成しにくくなったりする場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
〔外添剤〕
本発明のトナーは、必要に応じてその表面を、外添剤を用いて処理されていてもよい。本出願の明細書では、外添剤で処理される粒子を、「トナー母粒子」と称する。外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤を用いて疎水化して使用することもできる。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制しやすく、また、流動性に優れるトナーを得やすい。
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、トナー母粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明のトナーは、上述の特定のポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に、必要に応じて、着色剤、電荷制御剤、離型剤のような成分と、を配合して得られる。また、本発明のトナーを製造する際には、水酸化ジルコニウム粒子が、内添又は外添される。
トナーの具体的な製造方法としては、結着樹脂と、着色剤、電荷制御剤、離型剤のような成分とを混合後、得られる混合物を溶融混練し、溶融混練物を粉砕・分級する「粉砕法」が挙げられる。粉砕法は、所望の粒子径のトナーの調製が容易である点で好ましい。
また、結着樹脂や、着色剤、電荷制御剤、離型剤のような成分の微粒子を、水性媒体のような液体媒体中で凝集させて凝集粒子を形成し、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる「凝集法」も、トナーの製造方法として好ましい。凝集法では、形状が均一であり、粒子径分布幅の狭いトナーの調製が容易である。
トナーの平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には、5μm以上10μm以下が好ましい。
このようにして得られるトナーは、必要に応じて、その表面を、外添剤を用いて処理してもよい外添剤を用いるトナーの処理方法は特に限定されず、従来知られる外添剤を用いる処理方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤を用いる処理が行われる。
[キャリア]
本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
本発明のトナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂を用いて被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウムとの合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡を用いて測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合、2成分現像剤中のトナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をこのような範囲内の量とすることで、形成画像の画像濃度を適度な水準に維持しやすく、現像装置からのトナー飛散の抑制が原因で生じる画像形成装置内部の汚染や、転写紙へのトナーの付着を抑制できる。
以上説明した、本発明の静電荷像現像用トナーは、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含有しているにもかかわらず、不快な臭気を生じにくい。このため、本発明の静電荷現像用トナーは、種々の画像形成層で好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[合成例1]
〔1,2−プロパンジオールの製造〕
植物油脂を加水分解してグリセリンを得た。具体的には、植物油に対して、植物油を完全に鹸化するのに必要な量に対して2倍の量の10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、加熱下に植物油を完全に鹸化させた。鹸化後の反応液から、グリセリンの水溶液を分離した後、グリセリンの水溶液を蒸留して精製した。蒸留されたグリセリンを、活性炭を用いて処理し、精製されたグリセリンを得た。
上記方法に従って得られたグリセリンから、1,2−プロパンジオールを製造した。
まず、還流冷却器を有する反応器に、エチレングリコール(200g)、硝酸第二銅三水和物(76g)を加え、80℃で2時間加熱撹拌後、テトラエトキシシラン(52g)を滴下し80℃で2時間加熱撹拌した。その後、水(18g)を滴下し80℃で3時間加熱撹拌し沈澱物を得た。生成した沈殿物を約120℃で乾燥させ、400℃で2時間、空気中で焼成し、銅/シリカ触媒(銅含有量50%)を得た。得られた銅/シリカ触媒(3g)に、テトラアンミン白金(II)硝酸塩[Pt(NH3)4(NO3)2](29.8mg)の水溶液を添加し、ロータリーエバポレーターで乾燥乾固させた。得られた固体を120℃で乾燥させ、400℃で2時間、空気中で焼成し、銅−白金/シリカ触媒(Cu/Pt/Si=50/0.5/17)(銅含有量50%)を得た。
次いで、撹拌機付きの500mLの鉄製オートクレーブに、銅−白金/シリカ触媒2g、及びグリセリン200gを加え、水素置換した。その後、230℃のオートクレーブ内に、水素を5L/分(25℃、H)で導入し、圧力2MPa、7時間反応させ反応液を得た。得られた反応液を常法に従って精製して、1,2−プロパンジオールを得た。
[合成例2]
合成例1で得た1,2−プロパンジオール1142gと、テレフタル酸1992gと、エステル化触媒であるジオクタン酸錫(II)4gとを、窒素導入管、脱水管、精留装置、撹拌器、及び熱電対を備える、容量5Lの四つ口フラスコに仕込んだ。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下に230℃まで昇温した。次いで、同温度で、フラスコの内容物を15時間撹拌した後、フラスコ内を8.0kPaまで減圧した。減圧後、フラスコの内容物を230℃で8時間撹拌した。その後、フラスコの内容物の温度を180℃まで下げ、同温度で、フラスコ内に無水トリメリット酸576gを加えた。フラスコの内容物を2時間かけて210℃まで昇温した後、同温度、10kPaの圧力条件で、フラスコ内のポリエステル樹脂が所望する軟化点となるまで重合反応を継続させた。重合反応を停止させた後、フラスコ内の内容物を回収し、ポリエステル樹脂Aを得た。
[合成例3]
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1960gと、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物780gと、ドデセニル無水コハク酸257gと、テレフタル酸770gと、エステル化触媒である酸化ジブチル錫4gとを、窒素導入管、脱水管、精留装置、撹拌器、及び熱電対を備える、容量5Lの四つ口フラスコに仕込んだ。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下に235℃まで昇温した。次いで、同温度で、フラスコの内容物を8時間撹拌した後、フラスコ内を8.3kPaまで減圧した。減圧後、フラスコの内容物を235℃で1時間撹拌した。その後、フラスコの内容物の温度を180℃まで下げ、同温度で、ポリエステル樹脂の酸化が所望する量となるような量の無水トリメリット酸をフラスコ内に加えた。フラスコの内容物を3時間かけて210℃まで昇温した後、同温度、10kPaの圧力条件で、フラスコ内のポリエステル樹脂が所望する軟化点となるまで重合反応を継続させた。重合反応を停止させた後、フラスコ内の内容物を回収し、ポリエステル樹脂Bを得た。
[実施例1]
合成例1で得られたポリエステルA(結着樹脂)100質量部と、ワックス(離型剤、WEP−3(日油株式会社製))7質量部と、4級アンモニウム塩(電荷制御剤、ボントロンP−51(オリヱント化学工業株式会社製))1.5質量部と、カーボンブラック(着色剤、MA−100(三菱化学株式会社製))7質量部とを、撹拌装置(ヘンシェルミキサー10B(日本コークス工業株式会社製))を用いて混合した。得られた混合物を、溶融混練装置(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて溶融混練し、溶融混練物を得た。得られた溶融混練物を粉砕機(ロートプレックス16/8型(株式会社東亜機械製作所製))で粗粉砕した後、粉砕機(ターボミルRS(ターボ工業株式会社製))で微粉砕した。微粉砕物をエルボージェット(EJ−LABO型式EJ−L−3(日鉄鉱業株式会社製))で分級して、体積平均粒子径7μmのトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ微粒子(RA−200H(日本アエロジル株式会社製))1.2質量部と、及び酸化チタン(EC−100(チタン工業株式会社製))0.8質量部と、ナノ酸化ジルコニウム粉末(体積平均粒子径60nm、宣城晶瑞新材料有限公司製)0.8質量部とを加え、撹拌装置(ヘンシェルミキサー10B(日本コークス工業株式会社製))を用いて、回転数3000rpm、ジャケット制御温度20℃で2分間混合して、外添処理されたトナーを得た。
[比較例1]
外添処理時に、ナノ酸化ジルコニウム粉末を用いなかったことの他は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
[比較例2]
比較例1のトナー60質量部と、ヤシガラ活性炭(粒子径約2mm、比表面積1000m/g以上)とを、トナー粉末が漏れず、且つ、十分な通気性を有する布袋中で混合した。混合後、布袋内で1晩、活性炭とともに静置されたトナーを、比較例2のトナーとして得た。
[参考例1]
合成例1で得られたポリエステルAに変えて、合成例2で得られたポリエステルBを用いることの他は、実施例1と同様にして、参考例1のトナーを得た。
実施例1、比較例1、比較例2、及び参考例1のトナーを用いて、下記方法に従って、トナーの発する臭気のテストを行った。
<容器内臭気テスト>
株式会社生産日本社製ポリエチレン袋(I−4)に、トナー試料100gを封入した。トナー試料の入った袋を120分程度静置した後、ポリエチレン製の袋を開封し、ポリエチレン製の袋の開口部から発生する不快臭の有無を確認した。臭気の確認は、熟練したパネラー10名が行った。パネラー10名のうち、不快臭を感じた人数を表1に記す。
<定着時臭気テスト>
排気フィルターが取り外された、複合機(2成分現像方式TASKalfa 5550ci(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて、下記の方法で調製された2成分現像剤と、トナーの試料とを用いて、画像面積20%の画像を連続100枚プリントした後、複合機からの不快臭の発生の有無を確認した。臭気の確認は、熟練したパネラー10名が行った。パネラー10名のうち、不快臭を感じた人数を表1に記す。
(2成分現像剤調製方法)
現像剤用キャリア(TASKalfa 5550ci用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルを用いて、常温常湿条件下、30分間混合して、2成分現像剤を得た。
Figure 0005911417
参考例1によれば、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含まないポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するトナーであれば、そもそも、臭気について殆ど問題ないことが分かる。他方、比較例1によれば、1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として含有するトナーでは、不快臭について顕著な問題が生じることが分かる。
これに対して、実施例1と比較例2との比較によれば、効果的な脱臭剤として広く使用される活性炭では、1,2−プロパンジオールに由来するトナーの臭気は僅かに除去されるのみであるところ、水酸化ジルコニウム粉末を脱臭剤として用いれば、1,2−プロパンジオールに由来するトナーの臭気を顕著に抑制できることが分かる。

Claims (2)

  1. 1,2−プロパンジオールに由来する単位を含むポリエステル樹脂を含有する結着樹脂と、
    水酸化ジルコニウム粒子と、を含み、
    前記ポリエステル樹脂が、1,2−プロパンジオールを60質量%以上含む2価又は3価以上のアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分との共重合体である、静電荷像現像用トナー。
  2. 前記水酸化ジルコニウム粒子の体積平均粒子径が、50nm以上100nm以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
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