JP5910404B2 - 積層体および車両用ルーフウインド - Google Patents

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本発明は電波透過性を有するとともに遮熱性に優れた積層体およびそれを用いた車両用ルーフウインドに関する。
近年、赤外線透過率の低い遮熱性に優れる車両用合わせガラスの開発が行われている。しかし車両用合わせガラスにおいて、赤外線透過率を低減させるために、銀を主成分とする層を有する熱線反射膜(以下、単に熱線反射膜という)を用いる場合、キーレスエントリー、GPS、携帯電話、ETC等に使用される周波数300MHz〜10GHzの電波の透過性が悪いという問題があった。
そこで、熱線反射膜に格子状にレーザ照射を行い照射部分の熱線反射膜を除去することで電波透過性を改善しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の構造では電波透過性はある程度改善されるものの十分とは言い難かった。また、車両用の窓ガラスでは特に視認性が重視されるフロントガラスは別として、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラス等においては、最低限の視認性を確保すれば意匠性を高めることが可能であるが、特許文献1の方法では意匠性に対して自由度が少なかった。
国際公開第1999/054961号パンフレット
本発明は、熱線反射材料を用いた車両用合わせガラス等の積層体において、遮熱性に優れるとともに、電磁波を用いる各種の通信機器類の使用を可能とする十分な電波透過性を有し、さらに必要に応じて高い意匠性の実現が可能な積層体および車両用ルーフウインドを提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を有する積層体および車両用ルーフウインドを提供する。
[1] 1対の透明基板と、前記透明基板の間に全面に亘って設けられた中間膜と、前記透明基板の間に略全面に亘って設けられた、銀を主成分とする層を有し、複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜とを備え、さらに支持膜を有し、前記中間膜は前記支持膜を挟持するように積層された多層中間膜であって、前記熱線反射膜は前記支持膜の少なくとも片側の主面に設けられた積層体。
[2] 1対の透明基板と、前記透明基板の間に全面に亘って設けられた中間膜と、前記透明基板の間に略全面に亘って設けられた、銀を主成分とする層を有し、複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜とを備え、前記貫通孔の開口部の面積は、前記熱線反射膜の中心領域において小さく、周縁領域において中心領域の面積より大きい、積層体。
[3] 前記貫通孔の開口部の面積は、前記熱線反射膜の中心領域において小さく、周縁領域において中心領域の面積より大きい、[1]に記載の積層体。
[4] 前記支持膜は、前記熱線反射膜が有する貫通孔と同位置に該貫通孔の開口部と同寸同形の開口部を持つ貫通孔を有する[1]または[]に記載の積層体。
[5] 前記熱線反射膜は前記透明基板の少なくとも一方の内側主面に設けられた記載の積層体。
[6] 前記貫通孔は所定のパターンをもって前記熱線反射膜の全体に形成された[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記熱線反射膜の前記貫通孔の開口部を含む全面積に対する前記貫通孔開口部の合計面積の占める割合が10〜40%である、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 前記貫通孔の開口部の短径は全貫通孔において0.1〜200mmの範囲にあり、長径は全貫通孔において0.1〜400mmの範囲にある、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] JIS R3106(1998年)により定められる可視光透過率(Tv)が30%以上であり、ISO13837(2008年)により定められる日射透過率(Tts)が60%以下である[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 前記透明基板がガラス基板である、[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の積層体を用いた車両用ルーフウインド。
本発明によれば、熱線反射材料を用いた車両用合わせガラス等の積層体において、遮熱性に優れるとともに、電磁波を用いる各種の通信機器類の使用を可能とする十分な電波透過性を有し、さらに必要に応じて高い意匠性の実現が可能な積層体および車両用ルーフウインドが提供できる。
本発明の一実施形態の積層体の構成を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)はそのX−X線に沿う断面図である。 図1に示す積層体における熱線反射膜付き透明基板の構成を部分的に示す図で、図2(a)は熱線反射膜側から見た平面図、図2(b)はそのX−X線に沿う断面図である。 本発明の別の実施形態の積層体の構成を示す断面図である。 図3に示す積層体における熱線反射膜付き支持膜の構成を部分的に示す図で、図4(a)は平面図、図4(b)はそのX−X線に沿う断面図である。 本発明のさらに別の実施形態の積層体の構成を示す図で、図5(a)は平面図、図5(b)はそのX−X線に沿う断面図である。 図2に示す熱線反射膜付き透明基板の製造方法の一例を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明の積層体は、1対の透明基板と、前記透明基板の間に全面に亘って設けられた中間膜と、前記透明基板の間に略全面に亘って設けられた、銀を主成分とする層を有し、複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜とを備える。本発明の積層体において、前記熱線反射膜が有する貫通孔は所定のパターンをもって前記熱線反射膜の全体に形成されていることが好ましい。
本発明の積層体においては、熱線反射膜が、複数の独立した貫通孔を有する、好ましくは、所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の貫通孔を有することにより十分な電波透過性を有する。また、熱線反射膜自体は銀を主成分とする層を有することで高い熱線反射性能を有し、膜自体の合計面積が小さくても、積層体とした際に全面に亘って日射透過率が低く抑えられ遮熱性能を高く保持することができる。すなわち、積層体において、高い電波透過性と高い遮熱性の両立が可能となる。
ここで、本発明の積層体においては、後述の態様の通り、透明基板の周縁部に暗色隠蔽層を設けることがある。その場合、暗色隠蔽層が形成された領域では光や電波は透過しないことから、暗色隠蔽層のない中心領域にのみ熱線反射膜を有する態様の積層体とすることもできる。熱線反射膜が設けられる透明基板の間の積層体の「略全面」とは、このように一部分を欠いていてもよい積層体の全面を意味する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の積層体の構成を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)はそのX−X線に沿う断面図である。図2は、図1に示す積層体における熱線反射膜付き透明基板の構成を部分的に示す図で、図2(a)は熱線反射膜側から見た平面図、図2(b)はそのX−X線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態の積層体10Aは、1対の透明基板1a、1bと透明基板1a、1bの間に全面に亘って設けられた中間膜3と、透明基1aの内側主面の全面に設けられた、銀を主成分とする層(図示されず)を有する熱線反射膜2とを備える。なお、本明細書において、透明基1a、1bの「内側」とは、中間膜が存在する側をいい、その反対側、すなわち、通常、透明基1a、1bが雰囲気と接する側を透明基1a、1bの「外側」という。積層体10Aにおける透明基1aの内側主面の全面に設けられた熱線反射膜2は、図2(a)および図2(b)に示すように、所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の独立した貫通孔2hを有する。なお、図2は、図1(a)において破線でかこまれた長方形領域Pに対応する熱線反射膜2付き透明基板1aの部分拡大図である。長方形領域Pにおいて長辺s1が熱線反射膜2の中心側に位置する辺であり、長辺s2は熱線反射膜2の外周と重なる辺である。
図2(a)に示すように熱線反射膜2付き透明基板1aにおいて、熱線反射膜2が有する貫通孔2hの開口部の形状は、全て相似の楕円形状であり、熱線反射膜2の周縁部から膜の中心に向かって漸次その面積が小さくなるパターンで貫通孔2hが形成されている。熱線反射膜2の領域Pより内側の領域には、領域Pのうちで最も面積の小さい楕円と同寸同形の楕円形状の開口部を有する貫通孔が熱線反射膜2の中心まで形成されている。積層体10Aにおいて熱線反射膜2は、膜全体において、上記と同様のパターンで周縁部から膜の中心に向かって、漸次、貫通孔2hの開口部の面積が小さくなるパターンで貫通孔2hが形成されている。なお、長方形領域Pの短辺の長さ、すなわち貫通孔2hの開口部の面積が膜の中心に向かって漸次小さくなる周縁領域の幅は、積層体の大きさにもよるが、概ね100〜1000mmとすることができる。
本実施形態の積層体10Aにおける、熱線反射膜2が有する複数の独立した貫通孔2hの配置パターンを例示したが、本発明の実施形態の積層体においては、以下に示す好ましい熱線反射膜の開口率の範囲や貫通孔2hの形状、大きさ等を考慮しながら、積層体の用途に応じて貫通孔2hの配置パターンを適宜調整可能である。
ここで、透明基板1a上の熱線反射膜2の形成領域において、実際に熱線反射膜が存在する領域が熱線反射領域21であり連続した領域である。熱線反射膜2の形成領域において貫通孔部分は熱線反射膜が存在しない非熱線反射領域22であり複数の独立した領域として存在する。なお、本明細書において、熱線反射膜2の形成領域とは、熱線反射膜2の外周で囲まれる領域をいい、熱線反射領域21と非熱線反射領域22のいずれも含む領域をいう。
本発明の積層体においては、熱線反射膜における貫通孔の配置パターンに関わらず、熱線反射膜の形成領域の全面積に対する貫通孔開口部、すなわち非熱線反射領域の合計面積の占める割合が10〜40%であることが好ましく、10〜25%がより好ましい。なお、本明細書においては、熱線反射膜の形成領域の全面積に対する貫通孔開口部、すなわち非熱線反射領域の合計面積の占める割合を、必要に応じて「熱線反射膜の開口率」という。
本発明に用いる熱線反射膜は、銀を主成分とする層を有し、それにより高い熱線反射性を有する膜である。したがって、この熱線反射膜の開口率と熱線反射膜が有する熱線反射性能により積層体の熱線反射性能が規定される。なお、熱線反射膜の具体的な構成については、他の構成部材と含めて後述する。熱線反射膜の熱線反射性能にもよるが、熱線反射膜の開口率が膜全体として上記範囲であれば、非熱線反射領域から十分に電波が透過し、熱線反射領域において十分な熱線反射が行える。
また、本発明の積層体においては、熱線反射膜における貫通孔の配置パターンに関わらず、貫通孔の開口部の短径は全貫通孔において0.1〜200mmの範囲にあり、長径は全貫通孔において0.1〜400mmの範囲にあることが好ましい。開口部の短径は全貫通孔において0.1〜100mmの範囲にあり、長径は全貫通孔において0.1〜200mmの範囲にあることがより好ましい。熱線反射膜における貫通孔の開口部の大きさを上記範囲とすることで、積層体とした際に十分な電波透過性が得られる。
なお、貫通孔の開口部の短径とは、例えば、図2においてDsで示される開口部における最も短い径をいい、長径とは、図2においてDlで示される開口部における最も長い径をいう。積層体10Aが有する、熱線反射膜2においては、図2(a)に示す領域Pのうちで最も面積の小さい楕円については、Dsが0.1〜1mm程度であり、Dlが0.1〜10mm程度が好ましい。また、同様に領域Pのうちで最も面積の大きい楕円については、Dsが37.5〜200mm程度であり、Dlが37.5〜400mm程度が好ましい。一般的にある波長の電波が透過している状態となるためには、少なくとも熱線反射膜2が有するいずれかの貫通孔の長径が、その電波の波長の1/10以上である必要があり、好ましくはその電波の波長の1/2以上である。したがって、本発明の積層体において、熱線反射膜が有する貫通孔の径は、透過が必要とされる電波の波長に応じて適宜設定される。
このように、積層体10Aにおいては、熱線反射膜2が有する貫通孔2hの開口部の面積を熱線反射膜の中心領域において小さくすることで、その領域における熱線反射膜自体の存在する面積を大きくして、周縁領域よりも熱線反射性能を高くしている。具体的には熱線反射膜の性能にもよるが、熱線反射膜2の中心領域における開口率は、5〜20%が好ましく、5〜10%がより好ましい。また、反対に熱線反射膜2が有する貫通孔2hの開口部の面積を熱線反射膜の周縁領域において、中心領域の貫通孔2hの開口部の面積より大きくすることで、その領域における電波透過性を中心領域よりも高くしている。具体的には熱線反射膜の性能にもよるが、熱線反射膜2の周縁領域における開口率は、20〜50%が好ましく、30〜50%がより好ましい。
なお、熱線反射膜2の中心領域とは、熱線反射膜2と中心を同一にする熱線反射膜2と略相似形状の領域をいい、その面積としては、熱線反射膜2の全面積の概ね30〜60%程度の領域をいう。また、熱線反射膜2の周縁領域とは中心領域を除いた領域をいう。積層体10Aにおいては、このような設計とすることで、これを例えば車両用のルーフウインドとした際に、特に高い熱線反射性が求められる中心領域において高レベルの熱線反射性能が得られるとともに、周縁部に配置された大きな開口部を有する貫通孔より十分に電波が透過可能となる。この場合、熱線反射膜2の中心領域と周辺領域を併せた全体の開口率としては、概ね10〜40%の範囲が好ましい。
また、本発明の積層体における熱線反射膜が有する貫通孔の開口部の形状は図2示す楕円形状に限定されない。貫通孔の開口部の形状としては、上記短径や長径、熱線反射膜の開口率の好ましい範囲を勘案しながら、円形、三角形、矩形、多角形、星形等の形状を適宜選択することもできる。
ここで、本発明の積層体について、熱線反射性能を評価するには、一般的に用いられる日射透過率を指標として用いることができる。本発明の積層体の日射透過率について、具体的にいえば、JIS R3106(1998年)により定められる日射透過率(Te)が50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることが特に好ましい。また同様に、ISO13837(2008年)により定められる日射透過率(Tts)が60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。本発明の積層体において、日射透過率が上記範囲であれば、十分に遮熱性を有するといえる。
また、本発明の積層体について、電波透過性を評価するには、可視光透過率を指標として用いることができる。本発明の積層体の可視光透過率について、具体的にいえば、JIS R3106(1998年)により定められる可視光透過率(Tv)は、30%以上であることが好ましく、35%以上がより好ましい。本発明の積層体において、熱線反射領域の可視光透過率(Tv)を略0%とし、熱線反射膜を有しない積層体の可視光透過率(Tv)を80〜90%に設定すれば、積層体の可視光透過率(Tv)を指標として、簡易的に上記熱線反射膜の開口率を見積もることが可能である。この設定のもとで本発明の積層体において、可視光透過率(Tv)が上記範囲であれば、十分に電波透過性を有するといえる。
さらに、本発明の積層体の電波透過性について、電波透過性を評価するには、以下の指標を用いてもよい。具体的には、積層体における、周波数300MHz〜10GHzの電磁波の電波透過ロスが5dB以下であることが好ましく、3dB以下であることがより好ましい。本明細書において、電波透過ロスとは、本発明の積層体を自動車のような密閉された空間を形成する一部として装着し、その外側より周波数300MHz〜10GHzの電磁波の信号を照射し、本発明の積層体を通して内側に置かれた受信機により受信された信号強度を、熱線反射膜を設けない以外は同様の構成の積層体を装着した場合の信号強度との差で表したものである。
なお、本発明の積層体が十分な透過性を有する、周波数300MHz〜10GHzの電磁波は、周波数300MHzの電磁波については、キーレスエントリー、ガレージオープナーなどに、周波数800MHz〜2GHzの電磁波については、携帯電話、GPSなどに、周波数5〜6GHzの電磁波については、ETCなどにそれぞれ使用される電磁波であり、利用活用性が高い周波数領域の電磁波である。
積層体10Aにおいては、上記構成とすることで、日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)や可視光透過率(Tv)、さらには電波透過ロス等を上記範囲に調整可能である。さらに、積層体10Aにおいては、高い遮熱性と電波透過性を確保しながら、用途に応じて、熱線反射膜2の貫通孔2hの開口部の形状や配置さらには熱線反射膜の開口率を適宜選択することが可能であり、それにより積層体の意匠性に高い自由度を持たせることができる。また、このようにして意匠性の自由度が増すことで乱視の人の視認性を向上させるような構成とすることも可能となる。
次に、図3、図4により、本発明の別の実施形態の積層体を説明する。図3は、本発明の別の実施形態の積層体10Bの断面図であり、図4は図3に示す積層体10Bにおける熱線反射膜付き支持膜の構成を部分的に示す図で、図4(a)は熱線反射膜側から見た平面図、図4(b)はそのX−X線に沿う断面図である。
図3に示すように、本実施形態の積層体10Bは、1対の透明基板1a、1bと透明基板1a、1bの間に全面に亘って設けられた2層の中間膜3a、3bと、2層の中間膜3a、3bの間に全面に亘って設けられた支持膜4と、支持膜4の片側の主面の全面に設けられた熱線反射膜2とを備える。
ここで、本実施形態の積層体10Bを平面図に示すと上記図1(a)と同様である。上記図1(a)の破線でかこまれた長方形領域Pに相当する積層体10Bにおける領域を領域P’とした際に、領域P’に対応する熱線反射膜2付き支持膜4の部分拡大図を図4に示す。積層体10Bにおいて支持膜4の片側の主面の全面に設けられた熱線反射膜2は、図4(a)および図4(b)に示すように、所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の独立した貫通孔2hを有するとともに、支持膜4についても、熱線反射膜2が有する貫通孔2hと同位置に該貫通孔2hの開口部と同寸同形の開口部を持つ貫通孔4hを有する。
図4(a)に示すように熱線反射膜2付き支持膜4において、熱線反射膜2が有する貫通孔2hおよび支持膜4が有する貫通孔4hの開口部の形状は、全て相似の楕円形状であり、熱線反射膜2付き支持膜4の周縁部から膜の中心に向かって漸次その面積が小さくなるパターンで貫通孔2hおよび貫通孔4hが形成されている。また、熱線反射膜2付き支持膜4の領域P’より内側の領域には、領域P’のうちで最も面積の小さい楕円と同寸同形の楕円形状の開口部を有する貫通孔が熱線反射膜2付き支持膜4の中心まで形成されている。
積層体10Bにおいて熱線反射膜2付き支持膜4は、積層体の全体において、上記と同様のパターンで積層体の周縁部から中心に向かって、漸次、貫通孔2hおよび貫通孔4hの開口部の面積が小さくなるパターンで貫通孔2hおよび貫通孔4hが形成されている。ここで、積層体10Bにおける熱線反射膜2が有する貫通孔2hの開口部の形状、大きさ、配置、さらには熱線反射膜2の開口率は、積層体10Aが有する熱線反射膜2のそれらと好ましい態様を含めて同様とすることができる。また、本発明の積層体の実施形態としては、積層体10Bの変形として、支持膜が貫通孔を有しない以外は積層体10Bと全く同様の構成の積層体も好ましく挙げられる。
熱線反射膜2付き支持膜4が中間膜に挿入され、これをさらに1対の透明基板で挟持した構成の積層体において、積層体10Bのように支持膜4が熱線反射膜2と同様の貫通孔を有していれば、貫通孔を有しない支持膜を用いた積層体に比べて高い貫通性が得られる点で好ましい。一方、積層体10Bの変形として、支持膜が貫通孔を有しない以外は積層体10Bと全く同様の構成の積層体は、乗員の車外放出防止および車外からの飛来物貫通防止の点で好ましい。熱線反射膜2付き支持膜4を具備する積層体における支持膜4の設計は、用途に応じて適宜調整される。
積層体10Bやその変形の支持膜が貫通孔を有しない積層体においても、熱線反射膜2の構成を積層体10Aが有する熱線反射膜2と同様の構成とすることで、日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)や可視光透過率(Tv)、さらには電波透過ロス等を積層体10Aの場合と同様の範囲に調整可能である。
さらに、図5により本発明のさらに別の実施形態の積層体を説明する。図5は本発明のさらに別の実施形態の積層体10Cの構成を示す図で、図5(a)は平面図、図5(b)はそのX−X線に沿う断面図である。
図5(b)に断面図が示される本実施形態の積層体10Cは、1対の透明基板1a、1bと透明基板1a、1bの間に全面に亘って設けられた中間膜3と、透明基1aの内側主面の周縁部を除く全面に設けられた、銀を主成分とする層(図示されず)を有する熱線反射膜2と、透明基板1bの外側の主面の周縁部に設けられた帯状の暗色隠蔽層5を備える。なお、透明基板1aにおいて、熱線反射膜2の外縁は、暗色隠蔽層5の内縁に相当する位置より透明基板1aの外縁側に位置するように設けられている。
積層体10Cでは暗色隠蔽層5は、透明基板1bの外側周縁部に設けられているが、これは、透明基板1aの外側周縁部に設けられていてもよい。積層体を車両用に用いる場合には、好ましくは取り付けられた際に車内に位置する透明基板の外側(車内側)に設けられる。図5(a)は、暗色隠蔽層5が形成された側から見た平面図であり、暗色隠蔽層5が形成された領域を暗色隠蔽領域Fとし、それ以外の領域を熱線反射膜有効領域Cとして示す。
積層体10Cにおいては、熱線反射膜有効領域Cにおける、熱線反射膜2が有する貫通孔2hの開口部の形状、大きさ、配置、さらには熱線反射膜2の開口率は、積層体10Aが有する熱線反射膜2のそれらと好ましい態様を含めて同様とすることができる。また、積層体10Cにおいても、熱線反射膜有効領域Cにおける熱線反射膜2の構成を積層体10Aが有する熱線反射膜2と同様の構成とすることで、熱線反射膜有効領域Cにおける日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)や可視光透過率(Tv)、さらには電波透過ロス等を積層体10Aの場合と同様の範囲に調整可能である。なお、暗色隠蔽領域Fは、例えば、積層体の取り付け部等を隠蔽する領域であり、日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)や可視光透過率(Tv)は、概ね0である。よって、積層体10Cにおいては、日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)、可視光透過率(Tv)等は、熱線反射膜有効領域Cについて上記好ましい値となればよい。
また、積層体10Cの変形として、積層体10Bや、支持膜が貫通孔を有しない以外は積層体10Bと全く同様の構成の積層体において、透明基板1bまたは透明基板1aの外側の主面の周縁部に帯状の暗色隠蔽層5を設けた積層体が挙げられる。ただし、この場合、熱線反射膜2の外縁は、積層体の外縁と一致してもよいが、暗色隠蔽層5の内縁に相当する位置から外縁に相当する位置までの間にあればよい。
暗色隠蔽層5としては、通常、この種の積層体、例えば、車両用合わせガラスに用いられる暗色隠蔽層が特に制限なく用いられる。暗色隠蔽層は、一般的には、少なくとも目視で透けて見えない処理が施された層をいい、処理の方法は特に限定されない。暗色隠蔽層5の幅は、特に限定されないが、例えば、車両用合わせガラスに用いられる暗色隠蔽層の幅と同様に、概ね10〜200mmとすることができる。
暗色隠蔽層5は、例えば、透明基板中央に向かって薄くなっていく色調であってもよく、あるいは、暗色隠蔽材料でハーフトーン処理された、すなわち、既知の方法で視界面に向かってだんだん小さくなる点に暗色隠蔽層を分割する構成であってもよい。暗色隠蔽層5は、通常、透明基板の周縁部を囲む形に設けられるが、必要に応じて、その他の領域に設けることも可能である。暗色隠蔽層5は、通常の製造方法により、例えば、車両用合わせガラスの場合のガラス基板の湾曲工程等の間に同時に焼付けられる、セラミック焼付塗料のスクリーン印刷等により作製可能である。
以下、積層体10A〜10Cを例として、本発明の実施形態の積層体を構成する各構成要素について説明する。なお、積層体10A〜10Cで共通する構成については、積層体10A〜10Cを積層体10と表記する。
[透明基板]
本発明の実施形態の積層体10に用いる透明基板1a、1bの材質としては、透明なガラスや樹脂が挙げられる。ガラスとしては通常のソーダライムガラス(ソーダライムシリケートガラスともいう)、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。成形法についても特に限定されないが、例えば、フロート法等により成形されたフロート板ガラスが好ましい。
樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等が挙げられる。これらのなかでも芳香族系ポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート系アクリル樹脂等のアクリル樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。さらに、ポリカーボネート樹脂のなかでも特にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が好ましい。なお、透明基板は、上記のような樹脂を2種以上含んで構成されてもよい。
上記ガラスや樹脂としては、着色成分を添加しない無色透明な材質を用いてもよく、あるいは、本発明の効果を損なわない範囲で着色された着色透明な材質を用いてもよい。さらには、これらのガラスや樹脂は1種類もしくは2種類以上を組合せて用いてもよく、例えば、2層以上に積層された積層基板であってもよい。
積層体10に用いる1対の透明基板1a、1bは、互いに異なった種類の材質から構成されてもよいが、同一であることが好ましい。透明基板1a、1bの形状は平板でもよく、全面または一部が曲率を有していてもよい。透明基板1a、1bの厚さは積層体10の用途により適宜選択できるが、一般的には1〜10mmであることが好ましい。さらに、透明基板1a、1bには、外側に表出している面に、撥水機能、親水機能、防曇機能等を付与するコーティングが施されていてもよい。
[熱線反射膜]
熱線反射膜2としては、銀を主成分とする層を有する熱線反射膜が用いられる。このような熱線反射膜として、具体的には、銀を主成分とする層が誘電体層の間に挟み込まれるように積層された構造の多層熱線反射膜が挙げられる。以下、必要に応じて銀を主成分とする層を「熱線反射層」という。熱線反射層の層数は1〜4であってもよいが、2〜3が好ましい。誘電体層の数は熱線反射層の数に1を加えた数である。
銀を主成分とする層(熱線反射層)としては、銀(Ag)金属層または銀を主成分とする合金層を用いることができる。上記熱線反射層は、Agを主成分とし、それ以外の金属元素として、例えばPd、Au、Cu等を、Agとそれ以外の金属元素の総量に対して0.3〜10原子%含む層であることが好ましい。
多層熱線反射膜において上記熱線反射層を挟み込む誘電体層は、金属酸化物や窒化物、酸窒化物等を主成分とする材料からなる層である。上記金属酸化物として、具体的には、Bi、SnO、ZnO、Ta、Nb、WO、TiO、Al、ZrO、In等の金属酸化物またはそれらの混合物、あるいは、例えば、Sn、Al、Cr、Ti、Si、B、Mg、In、Ga等を含むZnO、Snを含むInが挙げられる。窒化物として、具体的には、Si、AlおよびBから選ばれる少なくとも1種以上の元素の窒化物、または、これらの窒化物とZr、Tiいずれかの窒化物との混合物(複合窒化物を含む。)などが挙げられる。
多層熱線反射膜の誘電体層に用いられる上記材料は、波長589.3nmの光を用いて測定される屈折率が概ね1.7〜2.6、特に1.8〜2.6となるように選択される。なお、多層熱線反射膜が有する各誘電体層は単層であっても多層であってもよい。
上記各種材料からなる誘電体層のうちでも、熱線反射層を安定的に、かつ高い結晶性を有しながら形成できる点で、誘電体層は、Znの酸化物層、またはSn、Al、Cr、Ti、Si、B、Mg、InおよびGaから選ばれる少なくとも1種の元素を含むZnの酸化物層からなることが好ましい。特に、Alおよび/またはTiを含むZnの酸化物層が好ましい。
本発明に用いる多層熱線反射膜は、基本的には上記熱線反射層が誘電体層の間に挟み込まれるように積層された構造を有するが、必要に応じて、熱線反射層の少なくとも片側に薄いバリヤ層を設けることも可能である。これらのバリヤ層は、誘電体層を形成する際に、熱線反射層を酸素との接触から保護しながら、バリヤ層自体は酸化されて誘電体層に取り込まれる。バリヤ層は、具体的には、Ti、Ta、Nb、Ni、Cr、Zn、Sn等の金属、またはステンレス鋼合金、あるいはNi−Cr合金のうちの少なくとも一つから選ばれる材料を主成分として構成される。
本発明に用いる多層熱線反射膜が有する各層の層厚は、熱線反射膜を構成する層の数や材料の種類にもよるが、概ね、誘電体層については5〜100nm、熱線反射層については5〜20nm、バリヤ層を有する場合のバリヤ層については0.1〜3nmとすることが好ましく、また、熱線反射膜全体の膜厚としては50〜400nmの範囲にあることが好ましい。熱線反射膜全体の膜厚は、より好ましくは、150〜300nmの範囲である。
このような積層構造の熱線反射膜は、例えば、マグネトロンスパッタリング、電子線蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の、既知の技術のいずれかを使用して、熱線反射膜の被形成面上に、すなわち1対の透明基板1a、1bのうち少なくとも一方の内側の主面上に、または中間膜3が支持膜4を挟持するように積層された多層中間膜である場合には、該支持膜4の少なくとも一方の主面上に、所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の独立した貫通孔2hを有する形で設けられる。
熱線反射膜2全体に所定のパターンをもって複数の独立した貫通孔2hを形成する方法としては、被形成面上に熱線反射膜2を形成する際に所定のパターンで貫通孔2hを有する形に形成する方法、被形成面の略全面に熱線反射膜を形成した後、貫通孔2hを所定のパターンで形成する方法等が挙げられる。
積層体10A、10Cや支持膜が貫通孔を有しない以外は積層体10Bと全く同様の構成の積層体の場合は、実際に熱線反射膜が存在する熱線反射領域21と、複数の貫通孔2hすなわち非熱線反射領域22とからなるパターンを有する熱線反射膜2は、熱線反射膜2が形成される被形成面上の非熱線反射領域に相当する領域をマスキングした後に、該被形成面に蒸着等で熱線反射膜を形成しマスキングを外すことで作製できる。
または、図6に示す積層体10Aの場合のように、まず、図6(a)に示す通り、熱線反射膜2の被形成面(透明基板1a)上の非熱線反射領域に相当する領域に、一般に用いられるアルカリ可溶性樹脂組成物等によるパターン6を形成する。次いで、図6(b)に示す通り、蒸着等により熱線反射膜を被形成面の全面に形成する。その後、アルカリ水溶液等で、非熱線反射領域に相当する領域のアルカリ可溶性樹脂組成物等によるパターン6と共にパターン6上に形成された熱線反射膜を除去することで、図6(c)に示すように、熱線反射領域21のみに熱線反射膜自体が残存し、非熱線反射領域22に貫通孔2hを有する熱線反射膜2が作製できる。
積層体10Bの場合には、貫通孔を有しない支持膜の片側主面の全面に、蒸着等により熱線反射膜を形成した後、熱線反射膜が所定のパターンで貫通孔を有するように熱線反射膜を支持膜と共に、非熱線反射領域22に相当する部分をパンチング等の従来公知の方法により刳り貫くことで、熱線反射膜2付き支持膜4の全体に所定のパターンをもって複数の独立した貫通孔2h、4hを形成できる。
[支持膜]
支持膜4は本発明の実施形態の積層体10に必須ではないが、積層体10Bのように支持膜を用いる場合は、支持膜4の少なくとも片側の主面に熱線反射膜2を具備した形で2層以上の中間膜に挿入して用いられる。支持膜としては、表面に熱線反射膜2の形成が可能であり、必要に応じてパンチング等による貫通孔4hの形成が可能であって、さらに本発明の効果を損なわないような材質のものであれば、特に制限されない。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ナイロン、シクロオレフィンポリマー等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
ここで、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのように延伸法で作製されているプラスチックフィルムは、比較的に高強度であり、中間膜との合わせ加工時の取扱などで発生するフィルムの折れなどの欠陥を抑制でき、また、加熱による球状結晶の生成も抑制できて白濁が抑制されることから、熱線反射膜の支持膜として好ましい。用いる支持膜の膜厚としては、5〜200μmの範囲にあることが好ましく、20〜100μmの範囲にあることがより好ましい。
なお、このようプラスチックフィルムを支持膜として、その表面に上述したような熱線反射膜が形成された熱線反射フィルムは、市販品もありこれを上記のように所定のパターンで貫通孔を有するようにパンチング等により刳り貫いて本発明に用いることも可能である。このような市販品として、具体的には、XIR−70(商品名、Southwall Technologies社製)、レフテル(登録商標)WHO3(商品名、帝人デュポンフィルム社製)等が挙げられる。
[中間膜]
積層体10A、10Cにおける中間膜3や、積層体10Bにおける中間膜3a、3bは、従来公知の方法により、車両用合わせガラス用等の中間膜の原材料である熱可塑性樹脂組成物をシート状に製膜することで作製できる。なお、積層体10Bのような、2枚の中間膜3a、3bの間に熱線反射膜2付きの支持膜4を有する構成の場合には、中間膜の製造の際に、具体的には、中間膜3a、3bとなる2枚の熱可塑性樹脂組成物のシート状物を貼り合わせる際に、その層間に熱線反射膜2付きの支持膜4を挿入し、積層・一体化する。また、積層体10A、10Cにおける中間膜3と、積層体10Bにおける中間膜3a、3bは、膜厚を除いて材質、形状等全て同等とすることができる。したがって、以下に説明する中間膜3の構成は、膜厚を除いてそのまま中間膜3a、3bに適用可能である。
中間膜3用の熱可塑性樹脂としては、これを主成分とする組成物をシート状に製膜し、1対の透明基板1a、1bの間に挿入して成形した際に、一体化できるものであれば特に限定されない。また、例えば、積層体を車両用合わせガラスとして用いる場合には、積層体とした際に視認性が十分に確保されるものが好ましく、積層体とした際の可視光透過率が70%以上のものが特に好ましい。例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂等の従来から中間膜用として用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。
なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性および遮音性等の諸性能のバランスに優れる中間膜を得られることから、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール(以下、必要に応じて「PVA」と言うこともある)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、必要に応じて「PVB」と言うこともある)等が挙げられ、なかでも、優れた透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性および遮音性等の諸性能のバランスにより優れる中間膜を得られることから、PVBが好適に用いられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜5000のものが好ましく、より好ましくは500〜3000のものである。上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、アセタール化度が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50〜75モル%のものである。上記ポリビニルアセタール系樹脂は、残存アセチル基量が30モル% 以下であるものが好ましく、より好ましくは0.5〜24モル%のものである。
上記熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂を可塑化するために用いられる可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系などの有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系などのリン酸系可塑剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂に対する可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂の平均重合度や、ポリビニルアセタール系樹脂の平均重合度やアセタール化度および残存アセチル基量等によっても異なり、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対し、可塑剤10〜80質量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対する可塑剤の添加量が10質量部未満であると、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂の可塑化が不十分となって、成形(製膜)が困難となることがあり、逆に熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対する可塑剤の添加量が80質量部を超えると、得られる中間膜の強度が不十分となることがある。
中間膜3の作製に用いる熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂好ましくは可塑化ポリビニルアセタール系樹脂を主成分として含有するものであるが、本発明の効果を阻害しない範囲で各種目的に応じて、例えば、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上を含有していてもよい。
中間膜3の膜厚は、特に限定されるものではない。具体的には、車両用合わせガラス用等に通常用いられる中間膜と同様に、0.3〜1.6mmであることが好ましい。中間膜3の膜厚が0.3mm未満であると、中間膜自体の強度が不十分となることがあり、逆に中間膜3の膜厚が1.6mmを超えると、後述する積層体作製時のオートクレーブによる本接着(本圧着)工程において、これが挟み込まれる1対の透明基板1a、1bのずれが生じる現象、いわゆる板ずれ現象が発生することがある。
中間膜3a、3bの膜厚は、それぞれ0.3〜0.45mmであることが好ましく、合計膜厚として0.7〜0.85mmであることが好ましい。中間膜3a、3bの各膜厚が0.3mm未満であったり、合計膜厚が0.7mm未満であったりすると、中間膜自体の強度が不十分となることがあり、逆に中間膜3a、3bの各膜厚が0.45mmを超えたり、合計膜厚が0.85mm超えたりすると、後述する積層体作製時のオートクレーブによる本接着(本圧着)工程において、これが挟み込まれる1対の透明基板1a、1bのずれが生じる現象、いわゆる板ずれ現象が発生することがある。
中間膜3は単層構造に限定されない。例えば、特開2000−272936号公報に開示されている遮音性能の向上を目的として性質の異なる(損失正接の異なる)樹脂膜を積層した中間膜のような、多層構造の中間膜を得たい場合には、多層構造の中間膜を使用すればよい。
さらに、積層体10を車両用合わせガラスとしてフロントガラス等に用いる際に、中間膜3の上下方向における断面形状が楔形状である中間膜を得たい場合には、この形状に対応する中間膜を使用すればよい。この場合、最終的に得られる中間膜の形状に対応させて、中間膜の上辺から下辺に至る全体の断面形状として所望の楔形状の断面となっていればよい。たとえば、中間膜の厚さが上辺から下辺へ向けて単調に減少していてもよい。また、上辺の厚さが下辺の厚さより大きい限りにおいて、部分的に厚さが均一な部分を有していてもよい。
[積層体の製造]
本発明の実施形態の積層体は、一般的に用いられる公知の技術により製造できる。積層体10Aにおいては、上記の通り透明基板1aまたは透明基板1bの積層体とした際に内側となる主面に、銀を主成分とする層を有し、かつ所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜2を形成したものを準備する。積層体10Cにおいては、透明基板1aまたは透明基板1bの積層体とした際に外側となる主面の周縁部に予め帯状の暗色隠蔽層5を設けたものを準備し、この透明基板1aまたは透明基板1bに上記同様に熱線反射膜2を形成する。
次いで、上記透明基板1aおよび透明基板1bを、透明基板1aまたは透明基板1bが有する熱線反射膜2が内側に位置するように対向させ中間膜3を挟んで、積層体前駆体を得る。この積層体前駆体をゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約−65〜−100kPaの減圧度(絶対圧力約36〜1kPa)となるように減圧吸引(脱気)しながら温度約70〜110℃で予備接着(予備圧着)を行った後、この予備接着された積層体前駆体をオートクレーブの中に入れ、温度約120〜150℃、圧力約0.98〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着(本圧着)を行うことにより、積層体10A、10Cを得ることができる。
積層体10Bにおいては、まず、上記の通りに、銀を主成分とする層を有し、かつ所定のパターンをもって膜全体に形成された複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜2を具備する支持膜4が中間膜3a、3bに挿入されたものを準備する。これを、透明基板1aおよび透明基板1bの間に挟んで積層体前駆体とする。この積層体前駆体に対して、積層体10Aや積層体10Cを製造する場合と同様の操作を行うことで、積層体10Bを得ることができる。
[積層体の用途]
本発明の積層体は、熱線反射材料を用いた車両用合わせガラス等の積層体において、熱線反射膜を上記構成としたことで、遮熱性に優れるとともに、電磁波を用いる各種の通信機器類の使用を可能とする十分な電波透過性を有する。具体的には、本発明の積層体は、日射透過率(Te)、日射透過率(Tts)や可視光透過率(Tv)、さらには電波透過ロス等を上に示す範囲に調整可能である。
本発明の積層体は、さらに熱線反射膜を上記構成とすることで、必要に応じて高い意匠性の実現が可能である。具体的には、本発明の積層体は、高い遮熱性と電波透過性を確保しながら、用途に応じて、熱線反射膜の貫通孔の開口部の形状や配置さらには熱線反射膜の開口率を適宜選択することが可能であり、それにより積層体の意匠性に高い自由度を持たせることができる。このようにして意匠性の自由度が増すことで、車両用のルーフウインドとした際に、特に高い熱線反射性が求められる中心領域において高レベルの熱線反射性能が得られるとともに、周縁部において十分に電波が透過可能となる設計や、乱視の人の視認性を向上させるような設計とすることも可能となる。また、本発明の積層体を、支持膜上に熱線反射膜を有し、該支持膜と熱線反射膜がともに貫通孔パターンを有する構成とすれば貫通性が高まる点で好ましい。
本発明の積層体は、上記特性を活かして、建築物の窓ガラスや自動車、鉄道、船舶等の輸送機器の窓ガラス等に適用でき、輸送機器用、特に車両用窓ガラス、例えば、フロントウインド、サイドウインド、リアウインド、ルーフウインド等として好適に用いられる。本発明の積層体は、これらのうちでも、特に車両用のルーフウインドとすれば、高い遮熱性と電波透過性を確保しながら、要求特性に応じて、視認性と遮熱性、電波透過性との関係を幅広く選択することが可能となり、意匠性の自由度も増大する。
本発明は、以上説明した実施形態の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更や修正を加えることができることはいうまでもない。
1a、1b…透明基板、2…熱線反射膜、2h…貫通孔、21…熱線反射領域、22…非熱線反射領域、3、3a、3b…中間膜、4…支持膜、4h…貫通孔(支持膜)、5…暗色隠蔽層、6…パターン、10A、10B、10C…積層体

Claims (11)

  1. 1対の透明基板と、
    前記透明基板の間に全面に亘って設けられた中間膜と、
    前記透明基板の間に略全面に亘って設けられた、銀を主成分とする層を有し、複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜と
    を備え
    さらに支持膜を有し、前記中間膜は前記支持膜を挟持するように積層された多層中間膜であって、前記熱線反射膜は前記支持膜の少なくとも片側の主面に設けられた積層体。
  2. 1対の透明基板と、
    前記透明基板の間に全面に亘って設けられた中間膜と、
    前記透明基板の間に略全面に亘って設けられた、銀を主成分とする層を有し、複数の独立した貫通孔を有する熱線反射膜と
    を備え、
    前記貫通孔の開口部の面積は、前記熱線反射膜の中心領域において小さく、周縁領域において中心領域の面積より大きい、積層体。
  3. 前記貫通孔の開口部の面積は、前記熱線反射膜の中心領域において小さく、周縁領域において中心領域の面積より大きい、請求項1に記載の積層体。
  4. 前記支持膜は、前記熱線反射膜が有する貫通孔と同位置に該貫通孔の開口部と同寸同形の開口部を持つ貫通孔を有する請求項1またはに記載の積層体。
  5. 前記熱線反射膜は前記透明基板の少なくとも一方の内側主面に設けられた請求項に記載の積層体。
  6. 前記貫通孔は所定のパターンをもって前記熱線反射膜の全体に形成された請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記熱線反射膜の前記貫通孔の開口部を含む全面積に対する前記貫通孔開口部の合計面積の占める割合が10〜40%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記貫通孔の開口部の短径は全貫通孔において0.1〜200mmの範囲にあり、長径は全貫通孔において0.1〜400mmの範囲にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. JIS R3106(1998年)により定められる可視光透過率(Tv)が30%以上であり、ISO13837(2008年)により定められる日射透過率(Tts)が60%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記透明基板がガラス基板である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体を用いた車両用ルーフウインド。
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