JP5908571B1 - ペースト状金属粒子組成物、接合方法および電子装置 - Google Patents

ペースト状金属粒子組成物、接合方法および電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結性金属粒子と揮発性分散媒の分離を抑制しつつ,塗布した後の形状保持性に優れたペースト状金属粒子組成物、金属製部材の強固かつ安定した接合が容易である接合方法、半導体素子とリードフレーム又は回路基板とが安定して接合している電子装置の提供。【解決手段】平均粒径が0.01〜10μmである加熱焼結性の金属粒子と低粘度揮発性分散媒と高粘度揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、25〜125℃で乾燥すると、該低粘度揮発性分散媒が揮散して可塑性を有する非流動体となり、150〜400℃で加熱すると該金属粒子同士が焼結するペースト状金属粒子組成物2。金属製部材間で該ペースト状金属粒子組成物2を加熱焼結することにより、金属製部材を接合する方法、及び、該ペースト状金属粒子組成物2を使用して半導体素子3とリードフレームもしくは回路基板1とを接合してなる電子装置。【選択図】図2

Description

本発明は、焼結性金属粒子と低粘度揮発性分散媒と高粘度揮発性分散媒からなり、乾燥により該低粘度揮発性分散媒が揮散して可塑性を有する非流動体となり、次いで、加熱により該高粘度揮発性分散媒が揮散し、該焼結性金属粒子が焼結して固体状金属となる、ペースト状金属粒子組成物、および、該ペースト状金属粒子組成物を使用して金属製部材を接合する方法、および、該ペースト状金属粒子組成物により、半導体素子とリードフレームもしくは配線基板とを接合してなる電子装置に関する。
銀、銅、ニッケルなどの金属の微細な粒子を硬化性樹脂組成物中に分散させて調製された導電性ペーストや熱伝導性ペーストは、加熱により硬化して導電性被膜や熱伝導性被膜が形成されるので、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接合や接着、太陽電池の電極、特にアモルファスシリコン半導体を用いた高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等への適用が知られている(特許文献1:特開2003−55701)。
しかし、ペースト状であるため、上記形成作業時や接合作業時に所定の形状や大きさや厚さにすることは容易でない。また、導電性被膜や熱伝導性被膜は金属粒子と硬化した樹脂とからなり、硬化した樹脂は電気絶縁性であり熱伝導性が小さいので、導電性や熱伝導性の大きさに限界がある。
近年チップ部品の高性能化によりチップ部品からの発熱量が増え、電気伝導性はもとより、熱伝導性の向上が要求されるが、対応に限界がある。
一方、硬化性樹脂を含有しない導電性・熱伝導性ペーストとして、貴金属(例えば銀)フレークと有機溶剤とからなり加熱により焼結する貴金属ペーストおよび該貴金属ペーストを電子デバイスと基板間で加熱焼結して電子デバイスを基板に固定する方法が開示されている(特許文献2:特公平7−111981)。
しかしながら、上記のペースト状金属粒子組成物は比重の大きい焼結性金属粒子と比重の小さい揮発性分散媒の混合物であり、両者の比重の差により両者が分離しやすいという問題がある。また、ペースト状であるため適用時に所定の形状や大きさや厚さを確保することは容易でなく、しかも塗布した後に形状や大きさや厚さ等が経時的に変化しやすいという問題がある。
そこで本発明者らは、焼結性金属粒子と揮発性分散媒が分離せず、所定の形状や大きさ、厚さを取りやすく、しかも形状保持性に優れた焼結性金属粒子組成物を提案したが、該焼結性金属粒子組成物は固体状のため、該焼結性金属粒子組成物を、半導体素子とリードフレームまたは回路基板との接合剤として使用するためダイパッド部に配置した際、振動やリードフレームまたは回路基板の傾きにより、該焼結性金属粒子組成物が動いてしまい、接合位置が安定しないという問題があることに気がついた(特許文献3:WO2008/065728)。
特開2003−55701号公報 特公平7−111981号公報 WO2008/065728号公報
本発明者らは、上記問題点のないペースト状金属粒子組成物を開発すべく鋭意研究した結果、焼結性金属粒子を揮発性分散媒によりペースト化する際に、低粘度と高粘度の複数の揮発性分散媒を使用することにより、焼結性金属粒子と揮発性分散媒の分離を抑制しつつ、しかも塗布した後の形状保持性に優れたペースト状金属粒子組成物を発明することに成功した。本発明の目的は、焼結性金属粒子と揮発性分散媒の分離を抑制しつつ、しかも塗布した後の形状保持性に優れたペースト状金属粒子組成物を提供すること、金属製部材間で該ペースト状金属粒子組成物の加熱焼結により、金属製部材の強固かつ安定した接合が容易である接合方法、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板とが安定して接合している電子装置を提供することにある。
この目的は、
[1] (A)還元法により製造された,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性金属粒子、(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が10〜200Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状物であり、該ペースト状物を25℃以上125℃以下の温度で乾燥すると、可塑性を有する非流動体となり、150℃以上400℃以下で加熱すると、該金属粒子(A)同士の焼結物となることを特徴とする、ペースト状金属粒子組成物。
[2] 乾燥により、ペースト状物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の半量以上が揮散し、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の半量以上が残存することを特徴とする、[1]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[2-1] 可塑性を有する非流動体のウイリアムス可塑度が、25℃おいて、10〜500であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[3] 焼結性金属粒子の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[4] 焼結物の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[1]、[2]または[3]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[5] (A)還元法により製造された,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性金属粒子、(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が10〜200Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状金属粒子組成物を、金属製部材(C1)に塗布した後、25℃以上125℃以下の温度で乾燥して、該ペースト状金属粒子組成物を、可塑性を有する非流動体とした後、金属製部材(C2)を該非流動体上に搭載し、150℃以上400℃以下で加熱することにより該金属粒子(A)同士の焼結物として、該金属製部材(C1)と該金属製部材(C2)を接合することを特徴とする、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の接合方法。
[6] 乾燥により、ペースト状物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の半量以上を揮散させ、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の半量以上を残存させることを特徴とする、[5]に記載の接合方法。
[6-1] 可塑性を有する非流動体のウイリアムス可塑度が、25℃おいて、10〜500であることを特徴とする、[5]または[6]に記載の接合方法。
[7] 焼結性金属粒子の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[5]または[6]に記載の接合方法。
[8] 金属製部材(C1)および金属製部材(C2)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[5]、[6]または[7]に記載の接合方法。
[9] 金属製部材(C1)が、リードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(C2)が半導体素子の金属部分であることを特徴とする、[5]、[6]、[7]または[8]に記載の接合方法。
[10] 焼結物の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[5]から[9]のいずれかに記載の接合方法。
[11] (A)還元法により製造された,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性金属粒子と(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が10〜200Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状金属粒子組成物を、リードフレームまたは金属部分を有する回路基板に塗布した後、25℃以上125℃以下の温度で乾燥して、該ペースト状金属粒子組成物を可塑性を有する非流動体とした後、金属部分を有する半導体素子を該非流動体上に搭載し、150℃以上400℃以下で加熱することにより、該金属粒子(A)同士の焼結物として、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分を接合してなる電子装置。
[12] 乾燥により、ペースト状物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の半量以上を揮散させ、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の半量以上を残存させることを特徴とする、[11]に記載の電子装置。
[12-1] 可塑性を有する非流動体のウイリアムス可塑度が、25℃おいて、10〜500であることを特徴とする、[11]または[12]に記載の電子装置。
[13] 焼結性金属粒子の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[11]または12]に記載の電子装置。
[14] 金属部分の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[11]、[12]または[13]に記載の電子装置。
[15] 焼結物の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[11]から[14]のいずれかに記載の電子装置。;により達成される。
本発明の請求項1で規定するペースト状金属粒子組成物は、まず、乾燥により低粘度揮発性分散媒(B1)が揮散して可塑性を有する非流動体となり、その後、加熱すると焼結性金属粒子(A)同士が焼結するので、焼結物の形状および厚さが安定している。また、厚さの大きい金属粒子焼結物、すなわち、固形状金属を得ることもできる。
本発明の請求項5で規定するペースト状金属粒子組成物による接合方法では、該ペースト状金属粒子組成物を金属製部材(C1)上に塗布した後、乾燥により低粘度揮発性分散媒(B1)が揮散して可塑性を有する非流動体とするので、金属製部材(C1)上で該ペースト状金属粒子組成物が広がって周辺にはみ出すことなく、また、該非流動体上に金属製部材(C2)を搭載する際に、該非流動体のつぶれや変形が小さく、かつ、金属製部材(C2)の側面および上面に這い上がって汚染することがない。しかも、可塑性を有する非流動体は、高粘度揮発性分散媒(B2)が多量に残存しているため、乾燥することなく粘着性を有するので、該金属製部材(C2)との密着性に優れている。また、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物となる際に、該金属製部材(C1)と該金属製部材(C2)とを強固に接合し、かつ、該金属製部材(C1)と該金属製部材(C2)間の接合層の厚さや位置が安定している。
本発明の請求項11で規定する電子装置は、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板が強固に接合し、外観が良好であり、しかも、半導体素子とリードフレームもしくは回路基板間の接合層の寸法および形状が安定しているので、該電子装置の性能が安定しており、優れる。
実施例における形状保持性測定用試験体についての平面図である。 図1に示した試験体のXにおける断面図である。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、(A)還元法により製造された,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性金属粒子と、(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒、および、(B2)25℃における粘度が10〜200Pa・sである高粘度揮発性分散媒とからなるペースト状物であり、25℃以上125℃以下の温度で乾燥すると可塑性を有する非流動体になり、150℃以上400℃以下で加熱すると、残余の該低粘度揮発性分散媒(B1)および該高粘度揮発性分散媒(B2)が揮散し、該金属粒子(A)同士の焼結物、すなわち、固形状金属となる。
焼結性金属粒子(A)は、加熱焼結性を有する金属粒子であれば限定されないが、加熱焼結性の点で好ましくは銀、金、銅、白金、パラジウム各粒子から選択され、より好ましくは銀粒子である。なお、これら金属の合金粒子、あるいは、これら金属により表面が被覆された他の金属粒子であっても良いし、該金属粒子は2種類以上を併用しても良い。
焼結性金属粒子(A)は、金属塩(ただし、金属は、好ましくは銀、銅、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される)の還元法により製造されたものである。例えば、銀粒子の場合、還元法では、通常、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製する方法が例示される。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製する方法が例示される。濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、通常、清浄な水で繰り返し洗浄している。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンが付着しているため、通常、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄して得ることができる。このようにして製造された焼結性銀粒子(A)は通常、球状または粒状である。また、該金属粒子の金属が、銅、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される場合は、硝酸金属塩、硫酸金属塩等を使用して、同様の方法により製造することができる。
焼結性金属粒子(A)の平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)である。
焼結性金属粒子の平均粒径が10μmを越えると、焼結性金属粒子(A)同士の焼結性が低下する恐れがあるので10μm以下であり、5μm以下であることが好ましい。また、0.01μm未満の場合、表面活性が強すぎてペースト状金属粒子組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.01μm以上であり、0.02μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
本発明のペースト状金属粒子組成物中の焼結性金属粒子の形状は限定されず、球状、粒状、フレーク(片)状・針状・角状・樹枝状・不規則形状・涙滴状・板状・極薄板状・六角板状・柱状・棒状・多孔状・繊維状・塊状・海綿状・けい角状・丸み状等が例示されるが、球状、粒状、フレーク状(鱗片状)であることが好ましい。なお、これらの形状の焼結性金属粒子を併用しても良い。なお、焼結性金属粒子の形状は、例えばJIS Z 2500に記載の分類を用いることができる。
焼結性金属粒子(A)は、焼結性金属粒子同士の凝集を防ぎ、優れた焼結性を得るために、表面が有機物で被覆されており、有機物として、(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、(c)含窒素有機化合物が例示されるが、(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、または、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤であることが好ましい。なお、焼結性金属粒子の表面を被覆している有機物は焼結性金属粒子に会合していることもあり得る。
還元法で焼結性金属粒子を製造する工程において使用する還元剤等の有機物が、焼結性金属粒子中に微量残存する場合があるが、本発明においては該有機物に含めない。
(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩もしくはエステルにおける脂肪酸として、炭素原子数が5以上であるペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の1価の直鎖飽和脂肪酸;炭素原子数が14以上である2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の1価の分枝飽和脂肪酸;ソルビン酸、マレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸が例示される。
また、このような脂肪酸として、炭素原子数が2以上であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸等の多価の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価の芳香族カルボン酸が例示される。
脂肪酸のアルカリ金属塩として、ナトリウム塩とカリウム塩とリチウム塩が例示されるが、好ましくはナトリウム塩とカリウム塩である。
脂肪酸のエステルとして、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、フェニルエステルが例示される。これらアルキルエステルのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。
(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤は、重量平均分子量が通常1,000以上である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(キャリア:テトラヒドロフラン)によって測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
酸性官能基として、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基(スルホン酸基と称されることがある)、チオール基、リン酸基、酸性リン酸エステル基、ホスホン酸基が例示されるが、カルボキシル基、リン酸基または酸性リン酸エステル基であることが好ましい。酸性リン酸エステル基は、一部のリン結合水酸基がアルコキシ化されたものである。アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基が例示される。低級アルコキシ基の炭素原子数は好ましくは1〜8である。
また、塩基性官能基として、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基が例示されるが、アミノ基、アンモニウム塩基(例えば、第3級アンモニウム塩基、第4級アンモニウム塩基)であることが好ましい。アミノ基は、第1級アミノ基(-NH2)、第2級アミノ基(-NHR)、第3級アミノ基(-NRR')のいずれでもよい。前記RとR'はアルキル基、フェニル基、アラルキル基などであり、炭素原子数は好ましくは1〜8である。
前記酸性官能基と塩基性官能基を有する高分子は、分子中の酸性官能基の一部を塩基性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる塩基性化合物として、たとえば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アルキルアミン類、アマイドアミン類、アルカノールアミン類、N-アルキルモルホリン等の含窒素有機化合物が挙げられる。上記アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、アルキルアミン類の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンが挙げられる。アルキル基とアルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましい。
また、分子中の塩基性官能基の一部を酸性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる酸性化合物として、たとえば、リン酸,部分アルキルエステル化リン酸(酸性リン酸エステル),カルボン酸(例えば、低級脂肪族モノカルボン酸,低級脂肪族ジカルボン酸)が挙げられる。これらカルボン酸の炭素原子数は1〜8が好ましい。酸性官能基の一部は、塩基性官能基との塩を形成していてもよい。
酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。また、高分子分散剤のアミン価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
高分子分散剤において酸性官能基と塩基性官能基の高分子本体への結合位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。酸性官能基と塩基性官能基は、高分子本体へ直接結合しても良く、連結基を介して結合しても良い。連結基として、エチレン基〜オクチレン基などの低級アルキレン基、フェニレン基、鎖中にエーテル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸エステル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸アミド結合を有する低中級アルキレン基が例示される。低級アルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましく、鎖中にエーテル結合などを有する低中級アルキレン基の合計炭素原子数は2〜12が好ましい。
市販の酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤として、SOLSPERSE24000(酸価:24mgKOH/g、アミン価:47mgKOH/g),SOLSPERSE32000(酸価:15mgKOH/g、アミン価:180mgKOH/g)(Lubrizol,Ltd.製)(SOLSPERSEは、リューブリゾル リミテッドの登録商標である)等が例示される。
また、DISPERBYK-106(酸価:132mgKOH/g、アミン価:74mgKOH/g)、DISPERBYK-130(酸価:2mgKOH/g、アミン価:190mgKOH/g)、DISPERBYK-140(酸価:73mgKOH/g、アミン価:76mgKOH/g)、DISPERBYK-142(酸価:46mgKOH/g、アミン価:43mgKOH/g)、DISPERBYK-145(酸価:76mgKOH/g、アミン価:71mgKOH/g)、DISPERBYK-180(酸価:94mgKOH/g、アミン価:94mgKOH/g)、DISPERBYK-187(酸価:35mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、DISPERBYK-191(酸価:30mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2001(酸価:19mgKOH/g、アミン価:29mgKOH/g)、DISPERBYK-2010(酸価:20mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2020N(酸価:36mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2025(酸価:38mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、DISPERBYK-102(酸価:101mgKOH/g)、DISPERBYK-174(酸価:22mgKOH/g)、DISPERBYK-2096(酸価:40mgKOH/g)、DISPERBYK-2150(アミン価:57mgKOH/g)、などのディスパービックシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](DISPERBYKは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
また、BYK-9076(酸価:38mgKOH/g、アミン価:44mgKOH/g)、BYK-9077(アミン価:48mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U(酸価:24mgKOH/g、アミン価:19mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U100(酸価:50mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、ANTI-TERRA-204(酸価:41mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-205(酸価:40mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-250(酸価:46mgKOH/g、アミン価:41mgKOH/g)などのビックシリーズ品、アンチテラシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](BYKおよびANTI-TERRAは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
また、ディスパロンDA−234(酸価:16mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、ディスパロンDA−325(酸価:14mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)などのディスパロンシリーズ品[楠本化成株式会社製]ディスパロンは、楠本化成株式会社の登録商標である);アジスパーPB−821(酸価:17mgKOH/g、アミン価:10mgKOH/g)、アジスパーPB−822(酸価:14mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPB−881(酸価:17mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPN−411(酸価:6mgKOH/g、アジスパーPA−111(酸価:35mgKOH/g)、などのアジスパーシリーズ品[味の素ファインテクノ株式会社製]が例示される(アジスパーは、味の素株式会社の登録商標である)。
(c)含窒素有機化合物は、1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類、アルキルアミドアミン類、N-アルキルエタノールアミン類、N-アルキルモルホリン、その他の有機アミン化合物が例示される。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、少なくとも焼結性金属粒子(A)、低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)からなり、それらの混合物であり、粉末状の焼結性金属粒子(A)が揮発性分散媒(B1)および揮発性分散媒(B2)の作用によりペースト化している。ペースト化することによりシリンダーやノズルから容易に吐出でき、特にスクリーン印刷、メタルマスクによる印刷塗布に適する。印刷された後の該ペースト状金属粒子組成物の厚さは限定されないが、例えば2mm以下であり、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは5〜500μmであり、特に好ましくは20〜200μmである。非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒(B1)および揮発性分散媒(B2)を使用するのは、加熱により該焼結性金属粒子(A)が焼結する際に分散媒が前もって揮散すると焼結性金属粒子(A)が焼結しやすく、その結果、焼結物の電気伝導性、熱伝導性、接着性が向上するからである。
そのような低粘度揮発性分散媒(B1)は、焼結性金属粒子表面を変質させないものが好ましく、その粘度は0.1〜500mP・sであることが好ましく、0.2〜400mP・sであることがより好ましい。粘度が0.1mP・s未満であると揮発性が極めて高くなり、ペースト状金属粒子組成物の調製が困難にる。また、その粘度が、500mP・sを超えると25℃以上125℃以下での乾燥で揮散しにくく、可塑性を有する非流動体が得られにくくなる。
低粘度揮発性分散媒(B1)として、水;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ターピネオール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の揮発性多価アルコール;低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の揮発性芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチルのような揮発性酢酸エステル;酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチルのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、プロピレンブリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ブチルカルビトール等の揮発性エーテル;低分子量の揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示される。揮発性分散媒(B1)は2種類以上を併用しても良く、揮発性分散媒同士の相溶性は問わない。
高粘度揮発性分散媒(B2)は、焼結性金属粒子表面を変質させないものが好ましく、その粘度は25℃において10〜200P・sであり、好ましくは30〜150P・sであり、より好ましくは50〜100P・sである。粘度が10P・s未満であると、本発明のペースト状金属粒子組成物を25℃以上125℃以下で乾燥した乾燥物は、可塑性および粘着性が得られない恐れがあり、粘度が200P・sを超えると、該乾燥物を150℃以上400℃以下で加熱しても揮散、分解しにくく、生成する焼結物中に残存しかねない。
そのような高粘度揮発性分散媒(B2)として、シクロヘキサンジメタノール(シス、トランスの混合物)、ボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルフェノールが例示されるが、イソボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルフェノールであることが好ましい。
本発明のペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り、常温で固体状の揮発性分散媒、例えば、ピロガロール、p−メチルベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、シル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ピナコールなどのアルコール類;ビフェニル、ナフタレン、デュレンなどの炭化水素類;ジベンゾイルメタン、カルコン、アセチルシクロヘキサンなどのケトン類;ラウリン酸、カプリン酸などの脂肪酸類を少量添加しても良い。
低粘度揮発性分散媒(B1)と高粘度揮発性分散媒(B2)の合計の配合量は、焼結性金属粒子(A)をペースト状にするのに十分な量でよく、好ましくは焼結性金属粒子(A)100質量部あたり、5〜40質量部であり、より好ましくは10〜25質量部である。低粘度揮発性分散媒(B1)と高粘度揮発性分散媒(B2)の比率は、それぞれの粘度により変わるが、例えば、質量比で低粘度揮発性分散媒(B1):高粘度揮発性分散媒(B2)=30〜70:70〜30である。
なお、本発明のペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り焼結性金属粒子(A)以外の金属粒子または非金属系の粉体、金属酸化物、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、焼結促進剤等の添加物を少量ないし微量添加しても良い。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、まず25℃以上125℃以下で乾燥すると、該ペースト状金属粒子組成物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の半量以上、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%に相当する量が揮散して、可塑性を有する非流動体となり、150℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上350℃以下で加熱すると、残余の低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)、あるいは残余の高粘度揮発性分散媒(B2)が揮散して、焼結性金属粒子(A)同士が焼結することを特徴とする。なお、前記乾燥終了時には、可塑性を有する非流動体のウイリアムス可塑度は、25℃おいて好ましく10〜500であり、より好ましくは30〜400である。また、該ペースト状金属粒子組成物に含まれる高粘度揮発性分散媒(B2)の半量以上、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%に相当する量が残存している。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、複数の金属製部材間の接合剤として使用することが好ましい。該ペースト状金属粒子組成物を金属製部材(C1)にスクリーン印刷、ステンシル印刷等により塗布した後、25℃以上125℃以下の温度で乾燥して可塑性を有する非流動体とし、その後、別の金属製部材(C2)を、乾燥した該ペースト状金属粒子組成物上に搭載し、150℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上350℃以下で加熱することにより、残余の低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)、あるいは残余の高粘度揮発性分散媒(B2)が揮散して焼結性金属粒子(A)同士の焼結物となり、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合することができる。なお、焼結性金属粒子(A)が焼結する際には、焼結性金属粒子表面を被覆している有機物も揮散、分解等により除去される。なお、前記乾燥終了時には、可塑性を有する非流動体のウイリアムス可塑度は、25℃おいて、好ましく10〜500であり、より好ましくは30〜400である。また、高粘度揮発性分散媒(B2)が微量ないし少量揮発しても良いが、好ましくは70〜100質量%に相当する量が残存しており、より好ましくは90〜100質量%に相当する量が残存している。
可塑性(塑性とも言われる)は、力を加えたときに変形する性質であり、本発明のペースト状金属粒子組成物を乾燥した後の可塑性を有する非流動体は、力を加えたときに変形する。可塑性の程度を示す可塑度は、例えば、JIS K 6249に規定するウイリアムスプラストメータで測定することができる。ウイリアムス可塑度は、25℃おいて10〜500であることが好ましく、30〜400であることがより好ましい。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、流れ出すことがなく塗膜の厚さの制御が容易であるため、形状保持性があり、厚膜の形成も容易にできる。しかも、乾燥後に少なくとも半量以上の高粘度揮発性分散媒(B2)が残存しているため、乾燥物の表面は粘着性を有している。これにより、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)との密着性が優れ、もって加熱後に両者の接着、接合が優れたものとなる。
なお、本発明のペースト状金属粒子組成物を、25℃以上125℃以下の温度で乾燥した乾燥物、すなわち、低粘度揮発性分散媒(B1)の少なくとも半量以上を除去した後において、焼結性金属粒子(A)同士が一部焼結していても良いが、可塑性や粘着性を失うまでに焼結していてはならない。
本発明のペースト状金属粒子組成物の乾燥後に残存する低粘度揮発性分散媒(B1)の量、高粘度揮発性分散媒(B2)の量、および、焼結性金属粒子(A)を被覆している有機物の量は、熱重量分析(TGA)により容易に測定することができ、該熱重量分析装置は多数市販されている。
本発明のペースト状金属粒子組成物の乾燥物上に金属製部材(C2)を搭載する際、該乾燥物が可塑性を有する非流動体であると、該乾燥物が流動して動くことがないため、金属製部材(C1)の平面方向に広がって周辺を汚染することなく、しかも、高粘度揮発性分散媒(B2)が乾燥物中に残存してその表面が粘着性を有するので、金属製部材(C2)との密着性が優れ、もって加熱後の金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の強固な接合が可能であり、しかも、乾燥物の上に金属製部材(C2)を搭載する際にかかる自重および人為的な荷重により該乾燥物がつぶれて変形することを防ぐことができ、また、乾燥物が金属製部材(C2)の側面および上面に這い上がって汚染することがなく、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の接合剤として一定の厚さを保つことができ、接合体の安定した寸法精度、特に安定した厚さの確保が可能になる。
金属製部材(C1)と金属製部材(C2)は、材質、形状、サイズ、表面処理等が同一であっても異なっていてもよい。焼結性金属粒子(A)と同様に、金属製部材(C1)および金属製部材(C2)の材質は、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることが好ましい。
金属製部材(C1)がリードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(C2)が半導体素子の金属部分である場合には、このようにして接合した電子装置は、リードフレームもしくは回路基板の金属部分と半導体素子の金属部分間の接合層(ダイボンド剤)の厚さが均一であり、電子装置、特には半導体装置としての寸法(特に厚さ)を一定にすることができ、また、半導体素子の側面および上面に這い上がることがないので、半導体素子において電流がショートすることなく、電子装置、特には半導体装置の特性の安定性が優れるという効果がある。
本発明のペースト状金属粒子組成物を加熱する際の雰囲気は、大気または酸素を含む酸化性ガス、水素ガスを含む還元性ガス、窒素等の不活性ガス等が例示される。酸化されやすい銅粒子等を含む場合は、水素ガスを含む還元性ガスまたは窒素等の不活性ガスが好ましいが、酸化性ガス中で焼結した後、還元性ガス中で還元しても良い。
焼結性金属粒子(A)同士が焼結してできた焼結物、すなわち、固形状金属は、導電性および熱伝導性に優れている。具体的には、その体積抵抗率は1×10-5Ω・cm以下であることが好ましく、熱伝導性は100W/m・K以上であることが好ましい。このように本発明のペースト状金属粒子組成物は、その焼結物が優れた導電性と熱伝導性(放熱性)を有し、さらには焼結途上で接触していた金属部材への優れた接着性を有するので、半導体素子の金属部分、チップ部品の金属部分、リードフレーム、回路基板上の電極等金属部分での接合剤、被覆剤として好適に用いることができる。そのため電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の製造に有用であり、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IGBT、CPU等の半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分との接合;高発熱のCPUチップと冷却板との接合に有用である。
発光ダイオード素子はLEDチップとも称され、電子装置の一種である発光ダイオード装置は、LEDチップがリードフレームもしくは回路基板とボンディング(接合)されており、本発明のペースト状金属粒子組成物はボンディング材(接合剤)として使用できる。本発明のペースト状金属粒子組成物により接合する部分の発光ダイオード素子の金属部分、リードフレーム、回路基板の金属部分の材質は、耐光性、耐熱性等を有し接続信頼性が高い、金、銀、銅、パラジウム、白金、それら金属の合金であることが好ましく、または、それら金属またはそれら金属の合金によりメッキされていることが好ましい。発光ダイオード装置の形態は限定されず、砲弾型、フラット型、チップ型、アレイ等が例示される。
発光ダイオード素子を構成する化合物半導体として、目的とする発光ピーク波長により変わるが、GaAlAs、GaInP、GaAsP、AlGaInP、GaP、InGaN、GaN、AlN等を使用することができる。なお、発光ダイオード素子が発する光の波長には通常ある程度の幅があり、発光ピーク波長はその内で最も大きい発光強度を示す波長である。発光ピーク波長は、分光光度計により発光スペクトルを測定して容易に知ることができる。また、各成分の比率を選択することにより、発光量や発光ピーク波長を変えることができる。
発光ダイオード素子は発光に伴い多量の熱の発生があり、しかも有機物を分解する性質のある紫外線を発する場合があるので、熱や紫外線により劣化しやすいエポキシ樹脂等の有機物を含む接合剤の使用は好ましくなく、ペースト状金属粒子組成物の焼結物中に実質的に有機物を含まない本発明のペースト状金属粒子組成物を好適に用いることができる。
また、本発明のペースト状金属粒子組成物の焼結物は、好ましくは銀、金、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であり、焼結時に接触していた金属製部材に優れた接着性を有し、しかも、極めて高い導電性および熱伝導性を有するため、高周波数で動作し発熱量の大きいCPUの他、数百ボルトから数千ボルトの高電圧で動作し発熱量が多く、動作温度も高温となる電力用半導体素子(パワー半導体素子)、例えば、MOSFET(電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のトランジスタ、LTT(光トリガサイリスタ)、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)、トライアック等のサイリスタと、リードフレームまたは回路基板との接合に好適に用いることができる。
なお、上記パワー半導体素子は、通常、高温動作が可能な窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等の窒化物半導体素子が好適である。
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味し、平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)を意味する。実施例と比較例中での加熱と乾燥は、強制循環式オーブン内での加熱と乾燥であり、強制循環式オーブン内の雰囲気は、断りがない限りは大気である。
焼結性金属粒子(A)の被覆剤量;低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)の粘度;ペースト状金属粒子組成物を乾燥した後の可塑性、ウイリアムス可塑度、流動性、粘着性;ペースト状金属粒子組成物の乾燥による、低粘度揮発性分散媒(B1)の除去率、揮発性分散媒(2)の除去率および焼結性金属粒子の表面を被覆している有機物の除去率;加熱して生成した焼結物の体積抵抗率と熱伝導率、および、加熱して接合した接合体の形状安定性と接着強さは、以下の方法により測定した。測定は、断りがない限りは大気中で室温(約25℃)での測定である。
[焼結性金属粒子(A)の被覆剤量]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、焼結性金属粒子(A)を昇温速度10℃/分にて室温(約25℃)から500℃まで昇温して、焼結性金属粒子(A)の減量率を被覆剤量として算出した。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中にて昇温して測定した。
[低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)の粘度]
ローター式粘度計(東機産業株式会社製RB80型)により、ロータNo.10またはロータNo.14を用い、回転速度0.3〜60rpmで測定した。ロータと回転数は、本実施例と比較例のペースト状金属粒子組成物中の分散媒の粘度に応じて、測定可能範囲になるよう適宜選択した。
[ペースト状金属粒子組成物を乾燥した乾燥物の可塑性、ウイリアムス可塑度、流動性、粘着性]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して板状の乾燥物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。
[該乾燥物の可塑性]
該乾燥物に直径5mm、重さ20gの金属製円柱を10秒間載せてからはずし、目視にて、該乾燥物に該ステンレス棒の跡が残っている場合は可塑性有りとし、跡が残っていない場合は可塑性無しとした。なお、形状は保持しているものの、明らかに乾燥して粉体が固まった状態(表面に粘着性を有していない)は、可塑性無しとした。
[該乾燥物のウイリアムス可塑度]
JIS K 6249「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する方法に準じて測定した。すなわち、該乾燥物2cmを球状の試験体とし、これをセロハン紙に挟んで、ダイヤルゲージのついた平行板可塑度計(ウイリアムスプラストメータ)にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛りをミリメートルの1/100まで読み取り、試験体の厚さを100倍して可塑度とした。ウイリアムスプラストメータは、株式会社上島製作所製を使用した。各実施例と各比較例と表中では、可塑度と表示した。
[該乾燥物の流動性]
塗布した形状である、幅10mm×長さ10mmの範囲から、目視にて乾燥後において外側にはみ出しがない場合は、流動性無しとし、はみ出しがある場合は、流動性有りとした。
[該乾燥物の粘着性]
該乾燥物の表面に厚さ20μmの透明なポリエチレンフィルムを載せ、その上から直径5mm、重さ20gの金属製円柱を10秒間載せてからはずし、目視にて、該ステンレス棒を載せた部分の該ポリエチレンフィルムが、該乾燥物と密着している場合は粘着性有りとし、該乾燥物から剥離している、または、浮いている場合は粘着性無しとした。
[ペースト状金属粒子組成物の乾燥による、低粘度揮発性分散媒(B1)の除去率、揮発性分散媒(2)の除去率および焼結性金属粒子(A)の表面を被覆している有機物の除去率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して板状の乾燥物とした。焼結性金属粒子(A)が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。
揮発性分散媒(B1)の除去率は以下の方法により算出した。
該乾燥物を熱重量分析(TGA)用のアルミカップに取り出してから該乾燥物の質量を精秤し、示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)により、室温(約25℃)から500℃まで加熱して熱重量測定を行い、該乾燥物中に含まれている低粘度揮発性分散媒(B1)、および、焼結性金属粒子の各質量を測定した。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は大気中の代わりに窒素ガスとした。
同様に、乾燥前のペースト状金属粒子組成物について熱重量分析し、含まれている低粘度揮発性分散媒(B1)、および、焼結性金属粒子の各質量を測定した。
本発明の乾燥温度においては焼結性金属粒子は揮発しないので質量は不変であるから、乾燥前後における該焼結性金属粒子の単位質量あたりの低粘度揮発性分散媒(B1)の質量を比較することで、減少分が除去された分としてその比率を算出できる。すなわち、該焼結性金属粒子の単位質量あたりの、乾燥前の低粘度揮発性分散媒(B1)の質量(1)に対する、質量(1)と乾燥後の低粘度揮発性分散媒(B1)の質量(2)の差が除去された低粘度揮発性分散媒(B1)の質量として、除去率を下記の式により算出した。
低粘度揮発性分散媒(B1)の除去率(%)={質量(1)−質量(2)}/質量(1)×100
同様にして、揮発性分散媒(2)の除去率および該焼結性金属粒子の表面を被覆している有機物の除去率を求めた。なお、残存率(%)は100−除去率(%)で算出できる。
[焼結物の体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物の乾燥物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。続いて、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して板状の焼結物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該焼結物について、JIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
[焼結物の熱伝導率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物の乾燥物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。続いて、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して板状の焼結物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該焼結物について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/m・K)を測定した。
[接合体の形状安定性]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物の乾燥物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。
該乾燥物各4個の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を各1個搭載し、更に、幅25mm×長さ70mm×重さ20gのプラスチク板を10秒間載せることで加圧してから該プラスチック板を外し、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物中の焼結性金属粒子を焼結して、該銀基板と該銀チップを接合した。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
かくして得られた形状安定性測定用試験体の厚さ(該銀基板と該銀チップと該ペースト状金属粒子組成物の焼結物の合計の厚さ)を測定し、予め測定しておいた該銀基板と該銀チップの厚さを差し引いた値を接合体における焼結物の厚さとし、その4個の平均厚さと標準偏差を計算した。平均厚さが大きいほど、該銀チップの搭載により該ペースト状金属粒子組成物の塗布物が押しつぶされておらず、標準偏差の値が小さいほど、接合体は形状安定性が大きい。
[接合体の接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物の乾燥物とした。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中で加熱した。
該乾燥物各4個の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を各1個搭載し、更に、幅25mm×長さ70mm、重さ20gのプラスチック板を10秒間載せることで加圧してから該プラスチック板を外し、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して、該ペースト状金属粒子組成物中の焼結性金属粒子を焼結して、該銀基板と該銀チップを接合した。焼結性金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップの側面を接着強さ試験機により速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。
[実施例1]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は95%であった。
次いで、250℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例2]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が0.08μmであり,表面がオクタン酸で被覆された(オクタン酸量は1.5質量%である)球状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)14部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で15分間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は85%であった。
次いで、250℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例3]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造された銀粒子をフレーク化した,平均粒径が3.5μmであり,表面がステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.8質量%である)フレーク状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)11部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社製、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を7部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を100℃で5分間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は98%であった。
次いで、250℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例4]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸カリウムで被覆された(オレイン酸カリウム量は0.9質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度0.3mPa・s)11部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を30℃で2時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、n−ヘキサンの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、n−ヘキサンの除去率は100%であった。
次いで、250℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例5]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてオクタンジオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度300mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を100℃で10分間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、オクタンジオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、オクタンジオールの除去率は99%であった。
次いで、250℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例6]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)で被覆された(DISPERBYK-2020量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)8部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルフェノール(特許第5150054号公報に記載の製造方法に準じて調製したもの。25℃における粘度62Pa・s)を12部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は95%であった。
次いで、300℃で1時間加熱して生成した銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して300℃で1時間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[実施例7]
ミキサー内で、硫酸銅の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.7質量%である)球状の銅粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銅粒子組成物を調製した。
このペースト状銅粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は95%であった。
次いで、300℃で1時間加熱し、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中で、300℃で10分間加熱して生成した銅粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して300℃で1時間加熱し、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中で、300℃で10分間加熱して製造した接合体について、形状安定性および接着性を測定したところ、形状安定性が良く、接着性は高かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銅粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合し、接合体の形状安定性に寄与することがわかる。
[比較例1]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物の乾燥をしない未乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該未乾燥物は流動性を有しており、α−ターピネオールの除去率は0%であった。流動性を有しているため可塑度は測定不可能であった。
該未乾燥物を250℃で1時間加熱して製造した焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、該未乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体は、形状安定性が低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥していないため、低粘度揮発性分散媒(B1)の全量が残存し、金属製部材(C2)を搭載する際に該未乾燥物が押しつぶされて形状安定性が低下するため、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の接合体の形状安定性に寄与することができないことがわかる。
[比較例2]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒としてグリセリン(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度1400mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を40℃で30分間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、グリセリンの除去率を測定したところ、該乾燥物は流動性を有しており、グリセリンの除去率は2%であった。流動性を有しているため可塑度は測定不可能であった。
該乾燥物を250℃で1時間加熱して製造した焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体は、形状安定性が低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥において低粘度揮発性分散媒が除去しにくく、多量が残存するため、金属製部材(C2)を搭載する際に該未乾燥物が押しつぶされて形状安定性が低下するため、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の接合体の形状安定性に寄与することができないことがわかる。
[比較例3]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてn−ヘキサン(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度0.3mPa・s)11部と、高粘度揮発性分散媒としてオクタンジオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度0.3Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、n−ヘキサンの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性、粘着性を有しておらず、n−ヘキサンの除去率は100%であった。乾燥していて脆く、可塑度は測定不可能であった。
該乾燥物を250℃で1時間加熱して製造した焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、接着性を測定したところ、接着していなかった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥物中に高粘度揮発性分散媒(B2)が存在していないため、乾燥物が可塑性、粘着性を失い、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を接合することができないことがわかる。
[比較例4]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を150℃で30分間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は可塑性、粘着性を有しておらず、α−ターピネオールの除去率は100%であった。
該乾燥物を250℃で1時間加熱して製造した焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1間加熱して製造した接合体について、接着性を測定したところ、接着していなかった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥温度が125℃を超えて高いと乾燥中に焼結が進行して可塑性、粘着性を失い、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を十分に接合することができないことがわかる。
[比較例5]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)12部と、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は95%であった。
該乾燥物を100℃で1時間加熱しても焼結しないため焼結物は得られず、体積抵抗率および熱伝導率を測定することができなかった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して100℃で1時間加熱して製造した接合体について接着性を測定したところ、接着していなかった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥後の加熱温度が150℃未満であると、該銀同士が十分に焼結しないため、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を接合することができないことがわかる。
[比較例6]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)14部と、高粘度揮発性分散媒としてジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社発売、略号SH200オイル。25℃における粘度300Pa・s)を8部添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性を有し、流動性無しであり、粘着性を有し、α−ターピネオールの除去率は95%であった。
該乾燥物を250℃で1時間加熱しても焼結しないため焼結物は得られず、体積抵抗率および熱伝導率を測定することができなかった。また、該乾燥物に銀チップを搭載して100℃で1時間加熱して製造した接合体について接着性を測定したところ、接着していなかった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥後の加熱温度が150℃未満であると、該銀粒子同士が十分に焼結しないため、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を接合することができないことがわかる。
[比較例7]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、低粘度揮発性分散媒(B1)としてα−ターピネオール(和光純薬工業株式会社発売の試薬。25℃における粘度36mPa・s)20部のみを添加し、均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
このペースト状銀粒子組成物を60℃で1時間乾燥した乾燥物について、可塑性、可塑度、流動性、粘着性、α−ターピネオールの除去率を測定したところ、該乾燥物は、可塑性、粘着性を有しておらず、α−ターピネオールの除去率は100%であった。乾燥していて脆く、可塑度は測定不可能であった。
該乾燥物を250℃で1時間加熱して製造した焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、該乾燥物に銀チップを搭載して250℃で1時間加熱して製造した接合体について、接着性を測定したところ、接着していなかった。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、乾燥物中に高粘度揮発性分散媒(B2)が存在していないため、乾燥物が可塑性、粘着性を失い、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を接合することができないことがわかる。
[比較例8]
ミキサー内で、硝酸銀の還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)粒状の銀粒子100部に、高粘度揮発性分散媒(B2)としてイソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社発売、略号MTPH。25℃における粘度80Pa・s)を25部添加し混合したがペースト化せず、ペースト状銀粒子組成物を調製することができなかった。
以上の結果を表6にまとめて示した。低粘度揮発性分散媒(B1)は、均一なペースト状銀粒子組成物を調製するために必要な成分であることがわかる。
Figure 0005908571
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本発明のペースト状金属粒子組成物は、乾燥することにより低粘度揮発性分散媒(B1)の半量以上が揮散して可塑性を有する非流動体となるので塗布後の形状安定性が優れ、高粘度揮発性分散媒(B2)の半量以上が残存することにより、粘着性を有するため金属製部材(C2)との密着性が優れ、加熱すると残余の低粘度揮発性分散媒(B1)および高粘度揮発性分散媒(B2)が揮散し、焼結性金属粒子(A)同士が焼結して金属製部材(C1)と金属製部材(C2)を強固に接合するので、複数の金属製部材間の接合に有用である。特には、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分との接合に有用である。半導体素子とリードフレーム間の接合剤層の厚さが安定しているので、形状安定性が優れた電子部品と電子装置の製作に有用である。
A 接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状金属粒子組成物(加熱して焼結後は固形状金属)
3 銀チップ

Claims (12)

  1. (A)還元法により製造された、球状、粒状またはフレーク状であり,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性粒子、(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が50100Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状銀粒子組成物を大気中で25℃以上125℃以下の温度で乾燥してJIS K 6249に規定するウイリアムス可塑度が25℃おいて10〜500である可塑性を有する非流動体としついで、大気中で150℃以上400℃以下で加熱して、該粒子(A)同士の焼結により固形状銀とすることを特徴とする、固形状銀の製造方法
  2. 25℃以上125℃以下の温度での乾燥により、ペースト状銀粒子組成物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の50質量%以上を揮散させ、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の50質量%以上を残存させることを特徴とする、請求項1に記載の固形状銀の製造方法
  3. 固形状銀の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、請求項1または請求項に記載の固形状銀の製造方法
  4. (A)還元法により製造された、球状、粒状またはフレーク状であり,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性粒子、(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が50100Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状粒子組成物を、金属製部材(C1)に塗布した後、大気中で25℃以上125℃以下の温度で乾燥して、該ペースト状粒子組成物を、JIS K 6249に規定するウイリアムス可塑度が25℃おいて10〜500である可塑性を有する非流動体とした後、金属製部材(C2)を該非流動体上に搭載し、大気中で150℃以上400℃以下で加熱することにより該粒子(A)同士の焼結物である固形状銀として、該金属製部材(C1)と該金属製部材(C2)を接合することを特徴とする、金属製部材(C1)と金属製部材(C2)の接合方法。
  5. 25℃以上125℃以下の温度での乾燥により、ペースト状銀粒子組成物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の50質量%以上を揮散させ、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の50質量%以上を残存させることを特徴とする、請求項に記載の接合方法。
  6. 金属製部材(C1)および金属製部材(C2)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、請求項または請求項に記載の接合方法。
  7. 金属製部材(C1)が、リードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(C2)が半導体素子の金属部分であることを特徴とする、請求項から請求項のいずれか1項に記載の接合方法。
  8. 固形状銀の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、請求項から請求項のいずれか1項に記載の接合方法。
  9. (A)還元法により製造された、球状、粒状またはフレーク状であり,平均粒径が0.01〜10μmであり,表面が有機物で被覆されてなる焼結性粒子と(B1)25℃における粘度が0.1〜500mPa・sである低粘度揮発性分散媒および(B2)25℃における粘度が50100Pa・sである高粘度揮発性分散媒からなるペースト状粒子組成物を、リードフレームまたは金属部分を有する回路基板に塗布した後、大気中で25℃以上125℃以下の温度で乾燥して、該ペースト状粒子組成物を、JIS K 6249に規定するウイリアムス可塑度が25℃おいて10〜500である可塑性を有する非流動体とした後、金属部分を有する半導体素子を該非流動体上に搭載し、大気中で150℃以上400℃以下で加熱することにより、該粒子(A)同士の焼結物である固形状銀として、半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分を接合することを特徴とする、電子装置の製造方法
  10. 25℃以上125℃以下の温度での乾燥により、ペースト状銀粒子組成物中に含まれる低粘度揮発性分散媒(B1)の50質量%以上を揮散させ、かつ、高粘度揮発性分散媒(B2)の50質量%以上を残存させることを特徴とする、請求項に記載の電子装置の製造方法
  11. 金属部分の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、請求項または請求項10に記載の電子装置の製造方法
  12. 固形状銀の体積抵抗率が1×10-5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、請求項から請求項11のいずれか1項に記載の電子装置の製造方法
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