JP6118489B2 - ペースト状金属粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および多孔質金属粒子焼結物の製造方法 - Google Patents

ペースト状金属粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法および多孔質金属粒子焼結物の製造方法 Download PDF

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本発明は、ペースト状金属粒子組成物、金属製部材接合体の製造方法、および、多孔質金属粒子焼結物の製造方法に関する。詳しくは、加熱焼結性金属粒子と揮発性分散媒と熱硬化性樹脂組成物からなるペースト状金属粒子組成物、複数の金属製部材間に該ペースト状金属粒子組成物を介在させ加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させる金属製部材接合体の製造方法、および、該ペースト状金属粒子組成物を加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させる、多孔質金属粒子焼結物の製造方法に関する。
銀、銅、ニッケルなどの金属粉末を液状熱硬化性樹脂組成物中に分散させてなる導電性・熱伝導性ペーストは、加熱により硬化して導電性・熱伝導性被膜が形成される。したがって、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極の形成、特に、アモルファスシリコン半導体を用いているために、高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に使用されている。
近年、チップ部品の高性能化により、チップ部品からの発熱量が増え、導電性(電気伝導性)はもとより、熱伝導性の向上が要求される。したがって、金属粒子の含有率を可能な限り増加することにより導電性、熱伝導性を向上しようとする。ところが、そうすると、ペーストの粘度が上昇し、作業性が著しく低下するという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1(特開2014−51590)では、「(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含み、好ましくは(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む、銀ペースト組成物及びその製造方法」が提案されている。
ところが、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は無数の細孔が表面から内部まで連通しているので、(B)樹脂の配合量が微量ないし少量の場合は、細孔内に樹脂が浸透してしまい、銀粒子表面にとどまる量が少ないため、熱硬化性樹脂の配合により、接触している部材への接着性を飛躍的に向上する効果がないという問題がある。
特許文献2(特開2014−194013)では、「(A)プレート型銀微粒子、(B)銀粉、及び(C)熱硬化性樹脂を含み、前記(A)成分の銀微粒子と前記(B)成分の銀粉の合計量を100質量部としたとき、前記(C)成分が1〜20質量部配合される熱硬化性樹脂組成物、および該樹脂組成物をダイアタッチペースト又は放熱部材接着用材料として使用して作製した半導体装置及び電気・電子部品」が提案されている。
ところが、(A)プレート状銀微粒子を必須成分にしているので、収納容器から熱硬化性樹脂組成物を連続的に吐出すると、吐出口手前にプレート状銀微粒子が次第に堆積して詰まりが発生するという問題がある。
特許文献3(特開2010−65277)では、「(A)平均粒径が0.1μm〜50μmの加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上400℃以下での加熱により、該揮発性分散媒を揮散させ該金属粒子同士の焼結物により金属製部材同士を接合させ、次いで硬化性液状樹脂組成物を該多孔質焼結物中に含浸して硬化させるという金属製部材接合体の製造方法」が提案されている。
しかしながら、この方法は、加熱焼結性金属粒子を含むペースト状金属粒子組成物を加熱して該焼結性金属粒子同士を焼結した後、液状の硬化性樹脂組成物を毛細管現象により含浸させるので、作業効率が低いという問題がある。
特許文献4(特開2013−214733)では、低温焼結性銀微粒子、特には、低温焼結性銀微粒子が、平均粒子径1〜500nmの銀微粒子;及び熱硬化型バインダを含み、銀微粒子100質量部に対して、熱硬化型バインダが2〜7質量部である、熱伝導性ペーストが提案されている。
しかしながら、この熱伝導性ペーストは低温焼結性銀粒子がいわゆるナノサイズの超微粒子であるため表面活性が高く、該銀粒子同士の凝集を防ぐため多量の表面被覆剤を必要とする。このため該銀粒子の焼結体は必然的に空孔率が高くなり、熱硬化型バインダの比率が少ないと熱衝撃に対する耐久性が低下する。これを防ぐためには多量の熱硬化型バインダを用いることになるが、そうすると該焼結体中に多量の熱硬化型バインダを含むことになる。しかし、エポキシ樹脂等の熱硬化型バインダは有機物であるため耐熱性が低く、該焼結体が高温度下に置かれた場合、その熱分解ガスが多量に発生して周辺の部材を汚染するという問題がある。
特開2014−51590号公報 特開2014−194013号公報 特開2010−65277号公報 特開2013−214733号公報
本発明者らは上記の問題点を解決するため鋭意研究した結果、マイクロメートルサイズの平均粒子径を有する加熱焼結性金属粒子と揮発性分散媒からなるペースト状金属粒子組成物に、少量ないし微量の熱硬化性樹脂組成物を含有せしめたペースト状金属粒子組成物は、加熱すると該加熱焼結性金属粒子同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物が硬化して導電性と熱伝導性の優れた多孔質金属粒子焼結物となること、複数の金属製部材間に該ペースト状金属粒子組成物を介在させて加熱すると、高い導電性、熱伝導性を保持しつつ複数の金属製部材を強固に接合し、しかも、かくして得られた接合体は熱衝撃に対する耐久性が優れていることを見出して、本発明に到達した。
本発明の目的は、加熱すると加熱焼結性金属粒子同士が焼結し熱硬化性樹脂組成物が硬化して導電性と熱伝導性と熱衝撃に対する耐久性が優れた多孔質金属粒子焼結物となるペースト状金属粒子組成物、複数の金属製部材が強固に接合し、熱衝撃に対する耐久性が優れている金属製部材接合体の製造方法、および、導電性と熱伝導性と熱衝撃に対する耐久性が優れた多孔質金属粒子焼結物の製造方法を提供することにある。
この目的は、
「[1] (A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状物であり、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒が揮散し、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して、多孔質金属粒子焼結物となることを特徴とする、ペースト状金属粒子組成物。
[1-1] 極性基を有する有機物が(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、または、(c)含窒素有機化合物であることを特徴とする、[1]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[2] 加熱焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[1]または[1-1]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[3] 熱硬化性樹脂組成物が、包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする、[1]、[1-1]または[2]に記載のペースト状金属粒子組成物。
[4] 多孔質金属粒子焼結物の空隙率が5〜38%であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のペースト状金属粒子組成物。
[5] 多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のペースト状金属粒子組成物。
[6] (A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させて多孔質金属粒子焼結物とすることにより、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
[6-1] 極性基を有する有機物が(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、または、(c)含窒素有機化合物であることを特徴とする、[6]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[7] 加熱焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[6]または[6-1]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[8] 熱硬化性樹脂組成物が、包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする、[6]、[6-1]、または[7]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[9] 金属製部材の金属が銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これら各金属の合金であることを特徴とする、[6]〜[8]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[10] 多孔質金属粒子焼結物の空隙率が5〜38%であることを特徴とする、[6]〜[9]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[11] 多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[6]〜[10]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[12] 金属製部材が金属製個所を有する、リードフレーム、回路基板または電子部品であることを特徴とする、[6]〜[11]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[13](A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状物を、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させて多孔質金属粒子焼結物とすることを特徴とする、多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[13-1] 極性基を有する有機物が(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、または、(c)含窒素有機化合物であることを特徴とする、[13]に記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[14] 加熱焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、[13]または[13-1]に記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[15] 熱硬化性樹脂組成物が、包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物であることを特徴とする、[13]、[13-1]または[14]に記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[16] 金属製部材の金属が銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これら各金属の合金であることを特徴とする、[13]〜[15]のいずれかに記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[17] 多孔質金属粒子焼結物の空隙率が5〜38%であることを特徴とする、[13]〜[16]のいずれかに記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
[18] 多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、[13]〜[17]のいずれかに記載の多孔質金属粒子焼結物の製造方法。」により達成される。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、微小吐出性と加熱焼結性が優れており、加熱により加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して、導電性と熱伝導性の優れた多孔質金属粒子焼結物となり、該多孔質金属粒子焼結物は、熱衝撃に対する耐久性が優れている。
本発明の金属製部材接合体の製造方法によると、金属製部材同士が極めて強固に接合しており、しかも熱衝撃に対する耐久性の優れた金属製部材接合体を確実に製造することができる。この金属製部材接合体は、金属系基板や金属製個所を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等における金属製部材として有用である。
本発明の多孔質金属粒子焼結物の製造方法によると、導電性と熱伝導性と熱衝撃に対する耐久性が優れた多孔質金属粒子焼結物を確実に製造することができる。
実施例におけるせん断接着強さ測定用試験体Aの平面図である。銀基板1と銀チップ3とが、銀粒子または銅粒子の加熱焼結物である多孔質銀または多孔質銅により接合されている。 図1におけるX−X線断面図である。 実施例1におけるペースト状銀粒子組成物を133Paの減圧下において40℃で加熱してオクタンジオールを除去したものの電子顕微鏡写真である。 実施例1におけるペースト状銀粒子組成物を加熱して生成した多孔質銀粒子焼結物(冷熱サイクル試験前)の断面図の電子顕微鏡写真である。 比較例1におけるペースト状銀粒子組成物を加熱して生成した多孔質銀粒子焼結物(冷熱サイクル試験前)の断面図の電子顕微鏡写真である。 実施例1における冷熱サイクル試験後の多孔質銀粒子焼結物の断面図の電子顕微鏡写真である。 比較例1における冷熱サイクル試験後の多孔質銀粒子焼結物の断面図の電子顕微鏡写真である。 図4を図3と同じ写真サイズにしたものである。 図6を図3と同じ写真サイズにしたものである。 図7を図3と同じ写真サイズにしたものである。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、(A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状物であり、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒が揮散し、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して、多孔質金属粒子焼結物となることを特徴とする。
該加熱焼結性金属粒子(A)は、金属塩(ただし金属は、銀、銅、金、白金、パラジウムから選択される)の湿式還元法により製造されたもの、すなわち、湿式還元法による加熱焼結性金属粒子であることが好ましい。例えば、該金属粒子が銀粒子の場合、湿式還元法では、通常、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製する方法が例示される。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粉を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製している。濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、通常、清浄な水で繰り返し洗浄している。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンが付着しているため、通常、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄して得ることができる。このようにして製造された銀粒子(A)は通常、球状、涙滴状または粒状である。また、該金属粒子が銅の場合は、硝酸銅塩、硫酸銅塩等を使用して、また、それ以外の金属粒子も同様の方法により製造することができる。
このように金属塩の湿式還元法による該加熱焼結性金属粒子は表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有する多孔質状ではない。
該加熱焼結性金属粒子(A)の平均粒径は0.7μm以上6μm以下である。この平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる体積基準の粒度分布における累積50%粒径、すなわち、メジアン径である。平均粒径が6μmを越えると、該金属粒子の焼結性が低下するため小さい方が好ましく、特には3μm以下であることが好ましい。しかし、平均粒径が0.7μm未満であると表面活性が強いため、該金属粒子同士の凝集を防止するための被覆剤の量が多く必要となり、該金属粒子を加熱して焼結した場合、焼結物中の空孔率が必然的に大きくなり、該金属粒子同士の多孔質焼結物の熱衝撃に対する耐久性が低下し、冷熱衝撃試験において該多孔質金属粒子焼結物中にクラックが発生しやすくなるという問題がある。また、ペースト状金属粒子組成物の保存安定性が低下し、加熱焼結時の接合強度が不均一になりやすいため、特には0.8μm以上であることが好ましい。すなわち、該金属粒子(A)のより好ましい平均粒径は0.8〜3μmである。なお、本発明の目的・効果に反しない範囲において、平均粒径が0.7μm未満および6μmを超える加熱焼結性金属粒子を少量ないし微量併用しても良い。
該加熱焼結性金属粒子(A)の材質は、加熱により焼結すれば良く、銀、銅、金、白金、パラジウム、および、これら各金属の合金または混合物、さらにはこれら各金属により表面がメッキされた金属(例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、スズ)粒子または樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂)粒子であってもよい。該金属粒子(A)が銀粒子の場合は、表面または内部の一部が酸化銀または過酸化銀であってもよく、銅粒子の場合は、表面または内部の一部が酸化銅であってもよい。
該加熱焼結性金属粒子(A)の形状は、本発明のペースト状金属粒子組成物中において、均一に分散しやすく微小吐出性、焼結性に優れる、球状、涙滴状または粒状であることが好ましい。これらの形状は、例えばJIS Z 2500に記載の分類を用いることができる。
なお、本発明の目的・効果に反しない範囲において、フレーク(薄片)状・針状・角状・樹枝状・不規則形状・板状・極薄板状・六角板状・柱状・棒状・多孔状・繊維状・塊状・海綿状・けい角状・丸み状等の金属粒子(ただし金属は、銀、銅、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される)を少量ないし微量併用しても良い。
また、該加熱焼結性金属粒子(A)は、表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有しない。細孔が多数あり、しかも内部まで細孔が貫通または連通していると、本願のペースト状金属粒子組成物において、少量または微量の配合にとどまる熱硬化性樹脂組成物(C)が、該加熱焼結性金属粒子(A)の内部へ浸透してしまい、該熱硬化性樹脂組成物(C)の配合の効果が発揮できないためである。
該加熱焼結性金属粒子(A)は、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の凝集を防ぎ、揮発性分散媒(B)への分散性を向上し、優れた焼結性を得るために、表面が極性基を有する有機物、好ましくは、(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤、または、(c)含窒素有機化合物で被覆されている。極性基を有する有機物は、特には、(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩若しくはエステル、または、(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤であることが好ましい。なお、還元法で金属粒子を製造する工程において使用する還元剤等の有機物が、金属粒子(A)中に微量残存する場合があるが、本発明においては該有機物に含まれる。本発明における極性基を有する有機物は、銀粒子などの金属粒子に会合、結合または吸着していることがあり得るが、被覆に含まれるものとする。極性基を有する有機物は加熱焼結性金属粒子(A)を被覆できれば、常温で固体、半固体、液体のいずれでもよい。
上記極性基として、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基、カルボン酸エステル基、水酸基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、スルホ基(スルホン酸基と称されることがある)、チオール基、リン酸基、酸性リン酸エステル基、ホスホン酸基が例示されるが、カルボキシル基、カルボン酸塩基、カルボン酸エステル基、水酸基であることが好ましい。
また、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基が例示されるが、アミノ基であることが好ましい。
炭素原子含有極性基の炭素原子数は好ましくは1〜54であり、より好ましくは1〜18である。
(a)脂肪酸またはそのアルカリ金属塩もしくはエステルにおける脂肪酸として、炭素原子数が3以上であるプロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の1価の直鎖飽和脂肪酸;炭素原子数が14以上である2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の1価の分枝飽和脂肪酸;ソルビン酸、マレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸が例示される。これら例示した脂肪酸の炭素原子数は最大24であるが、これに限定されるものではなく、例えば54であってもよい。
また、このような脂肪酸として、炭素原子数が2以上であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸等の多価の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価の芳香族カルボン酸が例示される。これら脂肪酸の炭素原子数の最大値は特に限定されるものではなく、例えば54であってもよい。
脂肪酸のアルカリ金属塩として、ナトリウム塩とカリウム塩とリチウム塩が例示されるが、好ましくはナトリウム塩とカリウム塩である。
脂肪酸のエステルとして、アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)、フェニルエステルが例示される。これらアルキルエステルのアルキル基は炭素原子数1〜6が好ましい。
(b)酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤は、高分子からなる分散剤であり、重量平均分子量は通常1,000以上である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(キャリア:テトラヒドロフラン)によって測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
酸性官能基として、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基(スルホン酸基と称されることがある)、チオール基、リン酸基、酸性リン酸エステル基、ホスホン酸基が例示されるが、カルボキシル基、リン酸基または酸性リン酸エステル基であることが好ましい。酸性リン酸エステル基は、一部のリン結合水酸基がアルコキシ化されたものである。アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基が例示される。低級アルコキシ基の炭素原子数は好ましくは1〜8である。
また、塩基性官能基として、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基が例示されるが、アミノ基、アンモニウム塩基(例えば、第3級アンモニウム塩基、第4級アンモニウム塩基)であることが好ましい。アミノ基は、第1級アミノ基(-NH2)、第2級アミノ基(-NHR)、第3級アミノ基(-NRR')のいずれでもよい。前記RとR'はアルキル基、フェニル基、アラルキル基などであり、炭素原子数は好ましくは1〜8である。
前記酸性官能基と塩基性官能基を有する高分子分散剤は、分子中の酸性官能基の一部を塩基性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる塩基性化合物として、たとえば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アルキルアミン類、アマイドアミン類、アルカノールアミン類、モルホリン等の含窒素有機化合物が挙げられる。上記アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、アルキルアミン類の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンが挙げられる。アルキル基とアルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましい。
また、分子中の塩基性官能基の一部を酸性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる酸性化合物として、たとえば、リン酸,部分アルキルエステル化リン酸(酸性リン酸エステル),カルボン酸(例えば、低級脂肪族モノカルボン酸,低級脂肪族ジカルボン酸)が挙げられる。これらカルボン酸の炭素原子数は1〜8が好ましい。酸性官能基の一部は、塩基性官能基との塩を形成していてもよい。
酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。また、高分子分散剤のアミン価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
高分子分散剤において酸性官能基と塩基性官能基の高分子本体への結合位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。酸性官能基と塩基性官能基は、高分子本体へ直接結合しても良く、連結基を介して結合しても良い。連結基として、エチレン基〜オクチレン基などの低級アルキレン基、フェニレン基、鎖中にエーテル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸エステル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸アミド結合を有する低中級アルキレン基が例示される。低級アルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましく、鎖中にエーテル結合などを有する低中級アルキレン基の合計炭素原子数は2〜12が好ましい。
市販の酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤として、SOLSPERSE24000(酸価:24mgKOH/g、アミン価:47mgKOH/g),SOLSPERSE32000(酸価:15mgKOH/g、アミン価:180mgKOH/g)(Lubrizol,Ltd.製)(SOLSPERSEは、リューブリゾル リミテッドの登録商標である)等が例示される。
また、DISPERBYK-106(酸価:132mgKOH/g、アミン価:74mgKOH/g)、DISPERBYK-130(酸価:2mgKOH/g、アミン価:190mgKOH/g)、DISPERBYK-140(酸価:73mgKOH/g、アミン価:76mgKOH/g)、DISPERBYK-142(酸価:46mgKOH/g、アミン価:43mgKOH/g)、DISPERBYK-145(酸価:76mgKOH/g、アミン価:71mgKOH/g)、DISPERBYK-180(酸価:94mgKOH/g、アミン価:94mgKOH/g)、DISPERBYK-187(酸価:35mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、DISPERBYK-191(酸価:30mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2001(酸価:19mgKOH/g、アミン価:29mgKOH/g)、DISPERBYK-2010(酸価:20mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2020N(酸価:36mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2025(酸価:38mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、DISPERBYK-102(酸価:101mgKOH/g)、DISPERBYK-174(酸価:22mgKOH/g)、DISPERBYK-2096(酸価:40mgKOH/g)、DISPERBYK-2150(アミン価:57mgKOH/g)、などのディスパービックシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](DISPERBYKは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
また、BYK-9076(酸価:38mgKOH/g、アミン価:44mgKOH/g)、BYK-9077(アミン価:48mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U(酸価:24mgKOH/g、アミン価:19mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U100(酸価:50mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、ANTI-TERRA-204(酸価:41mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-205(酸価:40mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-250(酸価:46mgKOH/g、アミン価:41mgKOH/g)などのビックシリーズ品、アンチテラシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](BYKおよびANTI-TERRAは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)が例示される。
また、ディスパロンDA−234(酸価:16mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、ディスパロンDA−325(酸価:14mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)などのディスパロンシリーズ品[楠本化成株式会社製]ディスパロンは、楠本化成株式会社の登録商標である);アジスパーPB−821(酸価:17mgKOH/g、アミン価:10mgKOH/g)、アジスパーPB−822(酸価:14mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPB−881(酸価:17mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPN−411(酸価:6mgKOH/g、アジスパーPA−111(酸価:35mgKOH/g)、などのアジスパーシリーズ品[味の素ファインテクノ株式会社製]が例示される(アジスパーは、味の素株式会社の登録商標である)。
(c)含窒素有機化合物は、1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類、アルキルアミドアミン類、N-アルキルエタノールアミン類、N-アルキルモルホリン、その他の有機アミン化合物が例示される。含窒素有機化合物の炭素原子数は1〜54が好ましい。
該加熱焼結性金属粒子(A)を被覆する極性基を有する有機物の被覆量は、これら加熱焼結性金属粒子の0.1〜2.0質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。少なすぎると該金属粒子(A)が凝集しやすくなって保存安定性が低下し、ひいては加熱焼結時の接合強度が不均一になり、多すぎると該加熱焼結性金属粒子(A)の加熱焼結性が低下し、更には該焼結物における空隙率が大きくなって該焼結物の熱衝撃に対する耐久性が低下する。
極性基を有する有機物の被覆量は通常の方法で測定できる。例えば、該金属粒子(A)を窒素ガス中で該有機物の沸点または熱分解温度以上に加熱して重量減少を測定する方法、該金属粒子(A)を酸素気流中で加熱して該金属粒子(A)に付着していた有機物中の炭素を炭酸ガスに変え、赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法が例示される。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、該加熱焼結性金属粒子(A)と該揮発性分散媒(B)と該熱硬化性樹脂組成物(C)からなり、粉末状の該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)が、該揮発性分散媒(B)の作用によりペースト化している。該熱硬化性樹脂組成物(C)は常温で液体または固体であるが、該揮発性分散媒(B)に溶解することが好ましい。このようにペースト化することによりシリンダーやノズルから微小量の吐出や細い線状に吐出でき、またメタルマスクによる印刷塗布が容易であり、微小な面積でも作業性良く塗布が可能になる。
また、該揮発性分散媒(B)が非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒を使用するのは、加熱により該加熱焼結性金属粒子(A)が焼結する際に分散媒が前もって揮散すると該加熱焼結性金属粒子(A)が焼結しやすく、その結果、導電性、熱伝導性、金属製部材への接着性が向上するからである。該揮発性分散媒(B)は、金属粒子表面を変質させず、その沸点は60℃以上であり、300℃以下であることが好ましい。沸点が60℃未満であるとペースト状金属粒子組成物を調製する作業中に該揮発性分散媒(B)が揮散しやすく、沸点が300℃より大であると、該加熱焼結性金属粒子(A)が焼結後も該揮発性分散媒(B)が残留しかねないからである。
そのような揮発性分散媒(B)として、水;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ターピネオール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の揮発性多価アルコール;低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の揮発性芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチルのような揮発性酢酸エステル;酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチルのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、プロピレンブリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ブチルカルビトール等の揮発性エーテル;低分子量の揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示される。揮発性分散媒(B)は2種類以上を併用しても良く、揮発性分散媒同士の相溶性は問わない。また、本発明のペースト状金属粒子組成物は使用する際にペースト状であれば良いので、該揮発性分散媒(B)は常温で固体状、例えば、ピロガロール、p−メチルベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、シル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ピナコールなどのアルコール類;ビフェニル、ナフタレン、デュレンなどの炭化水素類;ジベンゾイルメタン、カルコン、アセチルシクロヘキサンなどのケトン類;ラウリン酸、カプリン酸などの脂肪酸類を含有していても良い。この際、融点、沸点、蒸気圧、粘度、誘電率、屈折率等が異なる、複数の揮発性分散媒を併用しても良い。
該揮発性分散媒(B)の配合量は、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)をペースト状にするのに十分な量でよく、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の合計100質量部あたり、通常3〜20質量部であり、好ましくは5〜15質量部である。本発明のペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的・効果に反しない限り、該加熱焼結性金属粒子(A)以外の金属粒子または非金属系の粉体、金属酸化物、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、焼結促進剤等の添加物を少量ないし微量添加しても良い。
本発明における熱硬化性樹脂組成物(C)は、本発明のペースト状金属粒粗組成物が加熱された際に硬化して、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が加熱により生成した多孔質金属粒子焼結物の脆さ(機械的強度)を補強する効果がある。また、本発明のペースト状金属粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、加熱して生成した該多孔質金属粒子焼結物により、該金属製部材を接合する際に、該多孔質金属粒子焼結物と該金属製部材の接合を補強し、接合強度を極めて大きくする効果があり、更には該多孔質焼結体の熱衝撃に対する耐久性を向上する効果がある。このため、該熱硬化性樹脂組成物(C)の硬化機構は熱硬化性である
このような該熱硬化性樹脂組成物(C)は、熱硬化性樹脂自体が熱硬化性である場合を除き、少なくとも熱硬化性樹脂と硬化剤からなる。硬化剤量は該熱硬化性樹脂を加熱硬化させるのに十分な量である。該熱硬化性樹脂組成物(C)は、さらに、少量、例えば、質量5%以下の硬化促進剤、反応性稀釈剤、反応抑制剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、着色剤等を含有してもよい。該熱硬化性樹脂組成物(C)は、熱硬化性であれば特に限定されず、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性フェノール樹脂組成物、熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物、熱硬化性アルキド樹脂組成物、熱硬化性ポリエステル樹脂組成物、熱硬化性シリコン樹脂組成物、熱硬化性ポリアミドイミド樹脂組成物、熱硬化性ポリアミック酸型ポリイミド樹脂組成物等が例示される。これらのうちでは、該揮発性分散媒(B)への溶解性や該多孔質金属粒子焼結物による接合強度の点で、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性ポリイミド樹脂自体および熱硬化性ポリイミド樹脂組成物が好ましく、特には熱硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。該熱硬化性樹脂組成物(C)は、常温で固体状、半固体状、液状のいずれであってもよい。
なお、該熱硬化性樹脂組成物(C)は、本願発明の目的・効果に反しない限り、粉末状の充填剤、例えば、非加熱焼結性金属粒子、金属酸化物粒子、有機樹脂粒子等を含有しても良いが、多量に含有すると本発明の加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結を阻害するので、該熱硬化性樹脂組成物(C)中の該充填剤は2質量%以下であることが好ましい。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、通常、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等の主剤と、アミン、イミダゾール、酸無水物等の硬化剤からなり、さらに、硬化促進剤、1官能性あるいは多官能性の反応性稀釈剤、反応抑制剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、着色剤等を含有してもよい。
本発明における熱硬化性エポキシ樹脂組成物の主剤は、1分子中に少なくともエポキシ基(グリシジルエーテル基)を2個以上有することが必要であり、3個以上であることがより好ましい。このような多官能性のエポキシ樹脂は多数市販されており、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等が例示される。
本発明における熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化剤は、アミン系化合物、脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド(ポリアミド樹脂)、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、イミダゾール、3級アミン)、酸無水物化合物、メルカプタン系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が例示される。なお、これらの硬化剤はエポキシ樹脂の硬化を促進する効果を併せ持っていてもよい。硬化剤量は該熱硬化性エポキシ樹脂を加熱硬化させるのに十分な量である。硬化剤の種類によって該熱硬化性エポキシ樹脂を加熱硬化させるのに十分な量は異なるので、一律に規定しにくいが、該熱硬化性エポキシ樹脂の2〜15質量%である。
該熱硬化性エポキシ樹脂組成物における主剤と硬化剤は、本発明のペースト状金属粒子組成物中において、揮発性分散媒(B)により希釈された状態で存在しているので、該主剤と該硬化剤の硬化反応は抑制されるが、本発明のペースト状金属粒子組成物の保管中の硬化反応を更に抑制するため、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化剤は潜在型硬化剤を用いることが好ましい。潜在型硬化剤として、該揮発性分散媒(B)に溶解しにくい固体状の硬化剤、熱により溶融する樹脂等のカプセルに硬化剤を閉じ込めたカプセル型硬化剤、硬化剤を主剤の一部もしくはエポキシ基を有する化合物と予め付加反応させたアダクト型硬化剤、硬化剤を分子内部や分子集合体の内部に有する空洞内に取り込んだ包接型硬化剤等が例示されるが、該分散媒(B)中における反応抑制効果が高い包接型硬化剤が特に好ましい。
包接型硬化剤は、例えば、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2− エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾールを、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、5−ニトロイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等により包接した硬化剤が例示される。
本発明における熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、加熱して硬化した硬化物のガラス転移温度(Tg)は、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
本発明のペースト状金属粒子組成物において、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率は、98.5:1.5〜99.9:0.1であることが必要であり、好ましくは98.8:1.3〜99.5:0.4であり、特に好ましくは98.8:1.2〜99.5:0.5である。前記比率において、該熱硬化性樹脂組成物(C)の数値が1.5を超えると、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結する際に、該熱硬化性樹脂組成物(C)が該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結を阻害し、生成した多孔質金属粒子焼結物の導電性、熱伝導率、熱衝撃に対する耐久性が低下し、該多孔質金属粒子焼結物で複数の金属製部材を接合する際の接合強度を極めて大きくすることができない(比較例7、比較例8参照)。また、前記比率において、該熱硬化性樹脂組成物(C)の数値が0.1未満であると、該多孔質金属粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、熱衝撃に対する耐久性、該多孔質金属粒子焼結物で複数の金属製部材を接合する際の接合強度を極めて大きくすることができない(比較例1、比較例2参照)。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、該加熱焼結性金属粒子(A)と該揮発性分散媒(B)と該熱硬化性樹脂組成物(C)を、ミキサーにて均一なペースト状になるまで撹拌混合することにより、容易に製造することができる。この際、該加熱焼結性金属粒子(A)と該揮発性分散媒(B)と該硬化性樹脂組成物(C)を同時にミキサーに投入して混合してもよく、まず、該揮発性分散媒(B)と該熱硬化性樹脂組成物(C)をミキサーに投入して混合し、次いで該加熱焼結性金属粒子(A)をミキサーに投入して混合しても良い。
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、(A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜:99.9:0.1であるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させて多孔質金属粒子焼結物とすることにより、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする。
この際、圧力や超音波振動を加えつつ加熱しても良い。
本発明の多孔質金属粒子焼結物の製造方法は、(A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)熱硬化性樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜:99.9:0.1であるペースト状物を、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性樹脂組成物(C)を硬化させて、多孔質金属粒子焼結物とすることを特徴とする。
前記金属製部材接合体の製造方法で使用する金属製部材は、本発明のペースト状金属粒子組成物を加熱して生成した多孔質金属粒子焼結物により接合される被接合体である。金属製部材の材質は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示されるが、導電性、接合性の点で、金、銀、銅、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金が好ましく、これらの金属でメッキされたものであってもよい。金属製部材として具体的には、全体または一部が金属で形成された、リードフレーム、プリント基板、放熱板等の金属系基板、および、半導体素子、チップ部品等の電子部品が例示される。
前記両製造方法で、加熱する際の雰囲気ガスは、該加熱焼結性金属粒子(A)の焼結を阻害しなければ特に限定されないが、該加熱焼結性金属粒子(A)および該金属製部材が銀または銀合金からなる場合は、酸素ガスを含む大気等の酸化性ガスが好ましい。該加熱焼結性金属粒子(A)および金属製部材が銅または銅合金のように酸化されやすい材質の場合には、酸素ガスを含まない窒素ガス等の不活性ガス、または、水素ガスを含む還元性ガスが好ましい。このうち水素ガス5〜25体積%と窒素ガス95〜75体積%からなるフォーミングガスと称される還元性ガスが特に好ましい。
複数の金属製部材間に介在するペースト状金属粒子組成物は、該加熱焼結性金属粒子(A)の焼結温度以上の温度に加熱されることにより、該揮発性分散媒(B)が揮散して、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して、導電性と熱伝導性が優れた多孔質の金属粒子焼結物となり金属製部材同士を強固に接合する。この際、該熱硬化性樹脂組成物(C)は、該加熱焼結性金属粒子(A)に比べて配合量が著しく少ないので、該多孔質金属粒子焼結物の導電性と熱伝導性を損なうことがなく、金属製部材同士の接合強度を著しく向上させる。
ペースト状金属粒子組成物は、該加熱焼結性金属粒子(A)の焼結温度以上の温度に加熱されることにより、該揮発性分散媒(B)が揮散して、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して、導電性と熱伝導性が優れた多孔質の金属粒子焼結物となる。この際、該熱硬化性樹脂組成物(C)は、該加熱焼結性金属粒子(A)に比べて配合量が著しく少ないので、該多孔質金属粒子焼結物の導電性と熱伝導性を損なうことがない。
これらの際の加熱温度は、該揮発性分散媒(B)が揮散し、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化する温度であればよく、通常70℃以上であり、150℃以上がより好ましい。しかし、400℃を越えると該揮発性分散媒(B)が突沸的に蒸発して、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して生成した多孔質金属粒子焼結物の形状に悪影響を与える可能性があるため、300℃以下であることが必要であり、好ましくは250℃以下である。
このようにして製造された、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して生成した焼結物、および、複数の金属製部材間での該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性樹脂組成物(C)が硬化して生成した焼結物は、数多くの微細な空孔や空隙、連続した空隙すなわち細孔を有しており、多孔質である。その空隙率は5〜38%であることが好ましく、より好ましくは10〜35%である。該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結する際に加圧すると空隙率を小さくでき、この場合、空隙率は10%未満であっても良い。
空隙率の測定方法は、通常の測定方法が利用できる。多孔質金属粒子焼結物の断面を電子顕微鏡で写真撮影し、画像解析ソフトにより固体部分と空間部分の面積比率を求める方法、電子顕微鏡により撮影した写真を均質な紙等に印刷し、固体部分と空間部分をはさみ等で切り分けて各々の質量を測定し、その質量比率を面積比率とする方法が例示される。
なお、加熱硬化性樹脂組成物の硬化物は通常透明であり、多孔質金属粒子焼結物の細孔内に存在しても目に見えず走査型電子顕微鏡写真に写らないので、加熱硬化性樹脂組成物の硬化物は前記空間部分に含まれている。
該多孔質金属粒子焼結物中の細孔の断面形状や大きさは、種々様々である(図4、図8参照)。その断面形状は、略円形、略楕円形、略長方形、略三角形、不規則形状などである。
焼結前の加熱焼結性金属粒子(A)間の隙間が主に細孔になるので、各細孔の最長径は、通常、0.1〜4μmくらいである。
該熱硬化性樹脂組成物(C)は、該加熱焼結性金属粒子(A)に比べて配合量が著しく少ないにも係わらず、接合体の接着強さが大きいことからすると、該熱硬化性樹脂組成物(C)は多孔質金属粒子焼結物の細孔中に薄く浸透した状態で硬化していると推測される。
また、本発明のペースト状金属粒子組成物中の該加熱焼結性金属粒子(A)は、高い導電性と熱伝導性を有するため、該加熱焼結性金属粒子(A)の多孔質焼結物も導電性と熱伝導性に優れる。具体的には、導電性の程度を示す体積抵抗率は、1×10 −5 Ω・cm以下であることが好ましく、熱伝導性の程度を示す熱伝導率は、100W/m・K以上であることが好ましい
本発明のペースト状金属粒子組成物を複数の金属製部材間の接合に用いた場合、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結物は、焼結時に接触していた金属製部材、例えば金メッキ基板、金合金メッキ基板、銀基板、銀メッキ金属基板、銀合金基板、銀合金メッキ基板、銅基板、銅メッキ基板、銅合金基板、銅合金メッキ基板、白金メッキ基板、白金合金基板、白金合金メッキ基板、パラジウムメッキ基板、パラジウム合金基板、パラジウム合金メッキ基板等の金属系基板や電気絶縁性基板上の前記した電極等金属部分へ強固に接着する。更に、該熱硬化性樹脂組成物(C)は接合強度を向上する効果があるので接着強度は著しく大きくなり、更に、該金属製部材間における該焼結物は熱衝撃に対する耐久性が優れる。このため、本発明の製造方法による金属製部材接合体は、金属系基板や金属個所を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等における金属製部材接合体として有用である。
そのような接合として、金属製個所を有する、コンデンサ、抵抗等のチップ部品、発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IC、IGBT、CPU等とリードフレームもしくは回路基板との接合、金属製個所を有する、高発熱の半導体素子と冷却板との接合が例示される。
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味し、平均粒径は前記したメディアン径を意味する。実施例と比較例中での加熱は、強制循環式オーブン内での加熱であり、強制循環式オーブン内の雰囲気は、断りがない限りは大気である。ペースト状金属粒子組成物の微小吐出性、加熱焼結性金属粒子の被覆剤量、加熱して生成した多孔質金属粒子焼結物の空隙率、体積抵抗率、熱伝導率、加熱して接合した接合体の接着強さの測定および冷熱サイクル試験は、以下の方法により行った。測定は、断りがない限りは大気中で室温(約25℃)での測定である。
[加熱焼結性金属粒子の被覆剤量]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、加熱焼結性金属粒子を昇温速度10℃/分にて室温(約25℃)から500℃まで昇温して、加熱焼結性金属粒子の減量率を被覆剤量として算出した。加熱焼結性金属粒子が加熱焼結性銅粒子の場合は、大気中の代わりに窒素ガス中にて昇温して測定した。
[ペースト状金属粒子組成物の微小吐出性]
5mlシリンジ(EFD,Inc.社製)にペースト状金属粒子組成物を3ml充填し、内径0.14mmであり長さが15mmの金属ニードル(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付け、1秒間隔で圧力200kPaの加圧有りと加圧なしを繰り返して吐出し、詰まりの発生の有無を観察した。
[多孔質金属粒子焼結物の空隙率]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に15mm角の開口部を有する厚さ1mmのステンレス製のマスクを置き、ペースト状金属粒子組成物を印刷塗布した。
ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子が加熱焼結性銀粒子の場合は、これを熱風循環式オーブンで、所定の温度で1時間加熱して取り出し、ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子(A)を焼結した。加熱焼結性金属粒子が加熱焼結性銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
得られた多孔質金属粒子焼結物をポリイミド樹脂板からはずして空隙率測定用試験体とした。
得られた板状の試験体を自動精密切断装置(日本電子株式会社製、商品名アイソメット)により削り出し、得られた断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、その画像を均質な印刷用紙に印刷して多孔質金属粒子焼結物の固体部分と空間部分を切り分け、各々の質量を測定して空間部分の占める割合を空隙率として%で示した。
なお、加熱硬化性樹脂組成物の硬化物は透明であり、多孔質金属粒子焼結物の細孔内に存在しても目に見えず写真に写らないので、加熱硬化性樹脂組成物の硬化物は前記空間部分に含まれている。
[多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の1時間加熱して板状の多孔質金属粒子焼結物とした。加熱焼結性金属粒子が加熱焼結性銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該金属粒子焼結物について、JIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
[多孔質金属粒子焼結物の熱伝導率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布し、所定の温度の強制循環式オーブン内で所定の1時間加熱して板状の多孔質金属粒子焼結物とした。金属粒子が銅粒子の場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
ガラス板からはがした該多孔質金属粒子焼結物について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/m・K)を測定した。
[接合体の接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いてペースト状金属粒子組成物を塗布し、その上に幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を搭載後、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して接合した。銅粒子を含む場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップの側面を接着強さ試験機により速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。
[接合体の冷熱サイクル試験]
25mm×25mm×厚さ1.0mmの銀メッキ銅基板(銀純度99.9%)上に、幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いてペースト状金属粒子組成物を塗布し、その上に幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を搭載後、所定の温度の強制循環式オーブン内で1時間加熱して接合した。銅粒子を含む場合は、更に、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、所定の温度で10分間加熱した。
かくして得られた冷熱サイクル試験用試験体を、−55℃で30分間放置と+125℃で30分間放置を1サイクルとする冷熱サイクル試験を1000サイクル行った後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM-7500F)を用いて試験体を自動精密切断装置(日本電子株式会社製、商品名アイソメット)により削り出し、得られた断面を観察し、金属粒子の多孔質焼結物におけるクラック発生の有無を確認した。長さが25μm以上であり、最大幅が2μm以上である非常に細長い空隙、または、長さが4μm以上,25μm未満であり、最大幅が2μm以上である細長い空隙がクラックである(図7の下部、図10参照)。
[参考例1]
[熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)の調製、硬化剤は包接型硬化剤]
ミキサー中で、三菱化学株式会社製4官能性エポキシ樹脂(商品名:jER604、粘度7.5Pa・s(25℃)、エポキシ当量120g)93部、硬化剤として日本曹達株式会社製の包接型硬化材(商品名:TEP−2P4MHZ)7部を均一に混合することにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)を調製した。このエポキシ樹脂組成物を200℃で1時間加熱して生成した硬化物のガラス転移温度は190℃である。なお、TEP−2P4MHZは、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールを1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンに包接したものであり、該イミダゾールを46%含有する。
[参考例2]
[熱硬化性エポキシ樹脂組成物(2)の調製、硬化剤は非包接型硬化剤]
ミキサー中で、三菱化学株式会社製多官能タイプエポキシ樹脂(商品名:jER152、粘度1.5Pa・s(52℃)、エポキシ当量177g)97部、硬化剤として三菱化学株式会社製の2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール3部を均一に混合することにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物(2)を調製した。このエポキシ樹脂組成物を200℃で1時間加熱して生成した硬化物のガラス転移温度は178℃である。
[参考例3]
[非熱硬化性エポキシ樹脂]
三菱化学株式会社製4官能性エポキシ樹脂(商品名:jER604、粘度7.5Pa・s(25℃)、エポキシ当量120g)をそのまま用いた。このエポキシ樹脂は200℃で1時間加熱しても硬化しなかった。
[実施例1]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.8μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.5質量%である)涙滴状の加熱焼結性銀粒子91.2部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製、沸点244℃(以後同様))7.7部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.1部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.8:1.2である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックは発生していなかった(図6参照)。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[実施例2]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.7μmであり,表面がオクタン酸で被覆された(オクタン酸量は1.4質量%である)涙滴状の加熱焼結性銀粒子90.9部、揮発性分散媒としてn−ヘキサン(和光純薬工業ケミカル株式会社製の試薬、沸点69℃)8.1部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.0部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.9:1.1である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックは発生していなかった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[実施例3]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が6.0μmであり,表面がステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.2質量%である)球状の加熱焼結性銀粒子92.3部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)0.7部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、99.2:0.8である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックは発生していなかった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[実施例4]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が3.0μmであり,表面がオレイン酸カリウムで被覆された(オレイン酸カリウム量は0.3質量%である)球状の加熱焼結性銀粒子91.3部、揮発性分散媒としてα−ターピネオール(関東化学株式会社製)7.7部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.0部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.9:1.1である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を250℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックは発生していなかった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[参考例4]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり, 表面がリン酸エステル基とアミノ基を有する両性高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)で被覆された(DISPERBYK-2020量は0.3量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子92.1部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.4部、および、京セラケミカル株式会社製の熱硬化性ポリイミド樹脂(品番CT4112。固形分は17.5質量%であり、残りは揮発性溶媒のN,N−ジメチルアセトアミド(沸点166℃)である)2.9部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性ポリイミド樹脂組成物の質量比率は、99.5:0.5である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を250℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックは発生していなかった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[実施例6]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.3質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子92.9部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)0.093部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、99.9:0.1である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックが発生していなかった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[参考例5]
ミキサー内で、硫酸銅の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.3質量%である)球状の加熱焼結性銅粒子90.9部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.7部、および、参考例2で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(2)1.4部を均一に混合してペースト状銅粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銅粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.5:1.5である。
このペースト状銅粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銅粒子組成物を300℃で1時間加熱し、さらに、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス中において、300℃で10分間加熱して生成した該加熱焼結性銅粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であり、多孔質銅粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、接合体の接着強さは大きく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銅粒子焼結物にはクラックが発生していなかった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銅粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銅粒子焼結物の導電性、熱伝導性が高く、複数の銀製部材を極めて強固に接合して、しかも熱衝撃に対する耐久性が高いことがわかる。
[比較例1]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.3質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子92.3部、および、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.7部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該銀粒子と熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、100.0:0.0である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好で、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックが発生していた(図7参照)。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能で多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例2]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.3質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子92.25部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.7部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)0.05部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、99.95:0.05である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好で、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には、図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能で多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例3]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.5μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は2.1質量%である)球状の加熱焼結性銀粒子87.0部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)12.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.0部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.9:1.1である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好で、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能で多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例4]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.3質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子91.3部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.7部、および、参考例3記載の非熱硬化性エポキシ樹脂1.0部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該非熱硬化性エポキシ樹脂の質量比率は、98.9:1.1である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好で、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能で多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例5]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造された粒状の銀粒子を転動ボールミルによりフレーク化した,平均粒径が7.0μmであり,表面がステアリン酸で被覆された(ステアリン酸量は0.4質量%である)フレーク状の加熱焼結性銀粒子92.3部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂0.7部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂の質量比率は、99.2:0.8である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性が悪く、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が不可能で、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例6]
特開2014−51590の記載に準じて、表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有する多孔質の銀粒子を以下の方法により製造した。
硝酸銀水溶液10kg(濃度10mol%/L)、クエン酸水溶液4kg(濃度10mol%/L)、25℃の純水20kgをそれぞれ秤量した後、50リットル(L)のステンレス製タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、硝酸銀及びクエン酸の混合液を調製した。
次に、アスコルビン酸水溶液17kg(L−アスコルビン酸水溶液;濃度5mol%/L)、25℃の純水300kgをそれぞれ秤量した後、450リットルのステンレス反応タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、調製した。硝酸銀とクエン酸とアスコルビン酸の添加割合は、モル比率(硝酸銀:クエン酸:アスコルビン酸)で1:0.4:0.85であった。
次に、600mm径のステンレス製4枚羽根を有する撹拌機(500rpm)を用いて、調製したアスコルビン酸水溶液に、硝酸銀及びクエン酸の混合液を一括投入し、硝酸銀及びクエン酸の混合液とアスコルビン酸水溶液とを混合した。
硝酸銀及びクエン酸の混合液に、アスコルビン酸水溶液を添加した後、数秒後に還元反応が始まり、還元反応に伴う発泡現象が終了した後、15〜25℃で30分間撹拌を継続し、その後、撹拌を停止した。還元反応後における硝酸銀、クエン酸及びアスコルビン酸の混合液のpHは2であった。
反応液を静置後、上澄み液を除去し、沈殿している銀粒子をヌッチェを用いて濾過し、濾過した銀粒子Aをステンレスバッド上に広げ、60℃に保持した乾燥機中で15時間乾燥した。
このように製造された銀粒子は、平均粒径が2.5μmであり、凝集性が低いため表面は有機物で被覆されておらず、該銀粒子の表面には内部まで貫通または連通した多数の細孔が露出している。
ミキサー内で、該銀粒子91.3部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)8.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂0.7部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂の質量比率は、99.2:0.8である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好で、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かったが、接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能で多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例7]
ミキサー内で、硝酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が1.0μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸量は0.3質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子90.8部、揮発性分散媒としてオクタンジオール(協和発酵ケミカル株式会社製)7.7部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.5部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.4:1.6である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該加熱焼結性銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であるが、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は大きく、熱伝導率および接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性は高いものの、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例8]
ミキサー内で、酢酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.06μmであり,表面が3−メトキシプロピルアミンで被覆された(3−メトキシプロピルアミン量は5.5質量%である)球状の加熱焼結性銀粒子85.3部、揮発性分散媒としてベンジルアルコール(関東化学株式会社製)13.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.7部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.0:2.0(すなわち100:2.0)である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該多孔質銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であるが、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は大きく、熱伝導率および接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であるももの、多孔質銀粒子焼結物の導電性、熱伝導性が低く、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
[比較例9]
ミキサー内で、酢酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.06μmであり,表面が3−メトキシプロピルアミンで被覆された(3−メトキシプロピルアミン量は5.5質量%である)球状の加熱焼結性銀粒子83.6部、揮発性分散媒としてベンジルアルコール(関東化学株式会社製)13.0部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)3.4部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、96.1:3.9(すなわち100:4.1)である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該多孔質銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であるが、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は大きく、熱伝導率および接合体の接着強さは小さかった。なお、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物にはクラックが発生していなかった。
以上の結果を表7にまとめて示した。このペースト状銀粒子生物は、微小吐出が可能であり、熱衝撃性は良好なものの、多孔質銀粒子焼結物の導電性および熱伝導性が低く、しかも複数の銀製部材を極めて強固に接合できないことがわかる。
[比較例10]
ミキサー内で、酢酸銀の湿式還元法で製造され,平均粒径が0.3μmであり,表面がオレイン酸で被覆された(オレイン酸は2.4質量%である)粒状の加熱焼結性銀粒子87.7部、揮発性分散媒としてベンジルアルコール(関東化学株式会社製)10.5部、および、参考例1で調製した熱硬化性エポキシ樹脂組成物(1)1.8部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。該加熱焼結性銀粒子と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物の質量比率は、98.0:2.0(すなわち100:2.0)である。
このペースト状銀粒子組成物の微小吐出性、および、ペースト状銀粒子組成物を200℃で1時間加熱して生成した該多孔質銀粒子の多孔質焼結物について、空隙率、体積抵抗率、熱伝導率および接合体について接着強さを測定し、接合体の冷熱サイクル試験をしたところ、微小吐出性は良好であるが、多孔質銀粒子焼結物の体積抵抗率は大きく、熱伝導率は良好なものの接合体の接着強さは小さく、冷熱サイクル試験後の該多孔質銀粒子焼結物には図7と同様なクラックが発生していた。
以上の結果を表7にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、微小吐出が可能であり多孔質銀粒子焼結物の熱伝導性は良好なものの、導電性が低く、複数の銀製部材を極めて強固に接合できず、しかも熱衝撃に対する耐久性が乏しいことがわかる。
本発明のペースト状金属粒子組成物は、微小吐出性が良好であり、加熱により加熱焼結性金属粒子が焼結し、かつ、熱硬化性樹脂組成物が硬化して高い導電性、熱伝導性を有する多孔質金属粒子焼結物となり、金属製部材同士を極めて強固に接合することができるので、複数の金属製部材同士の接合材として有用であり、特には、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合、発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IC、IGBT、CPU等の半導体素子とリードフレームもしくは回路基板との接合、高発熱のCPUチップと冷却板との接合などに有用である。
本発明の金属製部材接合体の製造方法による金属製部材接合体は、金属系基板や金属製個所を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置などにおける金属製部材として有用である。
本発明の多孔質金属粒子焼結物の製造方法による多孔質金属粒子焼結物は、複数の金属製部材同士間の接合層として有用であり、回路基板上に形成される導電性の配線回路の形成に有用である。
A せん断接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状銀粒子組成物またはペースト状銅粒子組成物(加熱焼結後は多孔質銀または多孔質銅)
3 銀チップ

Claims (11)

  1. (A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状、涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有する多孔質状でなく,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状物であり、70℃以上300℃以下での加熱により、該揮発性分散媒が揮散し、該加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結し該熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)が硬化して、多孔質金属粒子焼結物となることを特徴とする、ペースト状金属粒子組成物。
  2. 加熱焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、請求項1に記載のペースト状金属粒子組成物。
  3. 多孔質金属粒子焼結物の空隙率が5〜38%であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のペースト状金属粒子組成物。
  4. 多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のペースト状金属粒子組成物。
  5. (A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有する多孔質状でなく,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ該熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)を硬化させて多孔質金属粒子焼結物とすることにより、複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
  6. 加熱焼結性金属粒子(A)の材質が、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金であることを特徴とする、請求項5に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  7. 金属製部材の金属が銅、銀、金、白金、パラジウム、または、これら各金属の合金であることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  8. 多孔質金属粒子焼結物の空隙率が5〜38%であることを特徴とする、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
  9. 多孔質金属粒子焼結物の体積抵抗率が1×10−5Ω・cm以下であり、かつ、熱伝導率が100W/m・K以上であることを特徴とする、請求項5〜請求項8のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
  10. 金属製部材が金属製個所を有する、リードフレーム、回路基板または電子部品であることを特徴とする、請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  11. (A)平均粒径が0.7μm以上6μm以下である球状,涙滴状または粒状の加熱焼結性金属粒子であって,表面から内部まで貫通または連通した多数の細孔を有する多孔質状でなく,該加熱焼結性金属粒子の表面を被覆する極性基を有する有機物の被覆量が0.1〜2.0質量%である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒と(C)包接型硬化剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物からなり、該加熱焼結性金属粒子(A)と該熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)の質量比率が98.5:1.5〜99.9:0.1であるペースト状物を、70℃以上300℃以下で加熱して該揮発性分散媒を揮散させ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結させ熱硬化性エポキシ樹脂組成物(C)を硬化させて多孔質金属粒子焼結物とすることを特徴とする、多孔質金属粒子焼結物の製造方法。
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