JP5908320B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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このような制御によれば、内燃機関の再始動時、予め記憶しておいたO 2 フィードバック係数に早めに復帰できるため、より低燃費にすることができる。
エンジン水温(または油温)とO 2 センサの素子温度との間に相関関係はあるものの、必ずしも一対一で対応するとは限らない。
したがって、増量噴射時間を一定時間とする制御は、低燃費化の観点から課題となる。
車両に搭載される内燃機関の吸気系に燃料を噴射する燃料噴射装置(60)と、
内燃機関の排気系に設けられるO 2 センサ(61)と、
所定のアイドルストップ制御条件を満たすとアイドルストップ制御に入り内燃機関を停止に導き、所定の再始動条件を満たすと内燃機関を再始動するアイドルストップ制御手段(51)とを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置において、
アイドルストップ後の内燃機関の再始動時における前記O 2 センサ(61)の素子温度である再始動時O 2 センサ温度(Y)を、アイドルストップに入る直前の内燃機関の運転状態であるIS直前運転状態およびアイドルストップ領域(Re)のアイドルストップ経過時間(xe)から推測する再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)と、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)が推測した再始動時O 2 センサ温度(Y)に基づき燃料増量噴射時間(Tr)を設定する増量噴射時間設定手段(54)とを備え、
内燃機関の再始動時点から前記増量噴射時間設定手段(54)が設定した燃料増量噴射時間(Tr)だけ前記燃料噴射装置(60)をオープン制御して燃料を増量して噴射し、その後前記O 2 センサ(61)が検出する酸素濃度に基づくO 2 フィードバック制御に入る内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記スロットル全閉領域内に、燃料噴射を行わないフューエルカット領域(Rb)を設定し、
前記スロットル全閉領域(Rbc)内に、前記フューエルカット後に機関回転数がアイドル回転数に低下する低下領域(Rc)を設定し、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、
前記IS直前運転状態として、
前記フューエルカット領域(Rb)の時間幅(xb)から該フューエルカット領域(Rb)におけるO 2 センサ温度の温度低下量(b・xb)を推測し、
前記温度低下量(b・xb)から求められるフューエルカット領域(Rb)の終端における温度であるFC終端温度と前記O 2 センサ(61)のアイドル回転数における収束温度である所定のアイドル温度との温度差(ΔY)から該低下領域(Rc)における前記O 2 センサ(61)の低下温度勾配(c)を求め、
前記低下領域(Rc)の時間幅(xc)と前記低下温度勾配(c)から該低下領域(Rc)の温度低下量(c・xc)を推測することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置である。
請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記IS直前運転状態では、アイドル回転数より高回転の機関回転数からアクセルスロットル弁(35v)を全閉にすることで、アイドル回転数に移るスロットル全閉領域(Rbc)を設定し、
再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、前記スロットル全閉領域(Rbc)の初期のO 2 センサ初期温度(a)をアクセルスロットル弁(35v)を全閉にする直前の機関回転数から推測し、同O 2 センサ初期温度(a)を初期温度として再始動時O 2 センサ温度(Y)を推測することを特徴とする。
請求項1または請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記IS直前運転状態では、前記スロットル全閉領域の後、所定時間のアイドル領域(Rd)と該アイドル領域(Rd)後の機関回転数が0に落ちる機関減速停止領域(Rd´)とを設定し、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、
前記アイドル領域(Rd)と前記機関減速停止領域(Rd´)における前記O 2 センサ(61)の温度低下量(d)を推測することを特徴とする。
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、 前記アイドルストップ経過時間(xe)から前記アイドルストップ領域(Re)の前記O 2 センサ(61)の温度低下量(e・xe)が推測されることを特徴とする。
そこで、請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、アイドルストップに入る直前の内燃機関の運転状態であるIS直前運転状態からアイドルストップに入る直前のO 2 センサ温度を推測することができ、推測されたO 2 センサ温度からアイドルストップ経過時間を考慮すれば、再始動時O 2 センサ温度(Y)を比較的精度良く推測することができる。
フューエルカット領域(Rb)では、O 2 センサ(61)は外気温と略同等の温度である吸気に晒される。
吸気の温度は排気ガス温度よりはるかに低いため、O 2 センサ温度はフューエルカット領域(Rb)で一気に低下することになる。
そこで、フューエルカット領域(Rb)のO 2 センサ温度の温度低下勾配(b)を実験等で求めておけば、該フューエルカット領域(Rb)の時間幅(xb)を計測することで、該フューエルカット領域(Rb)のO 2 センサ温度の温度低下量(b・xb)を精度良く推測することができる。
この低下領域(Rc)で、O 2 センサ温度は緩い勾配で温度低下するが、この勾配は、フューエルカット終了直後のO 2 センサ温度であるFC終端温度とアイドル温度との温度差(ΔY)によって変わる。
そこで、低下領域における温度低下勾配(c)を実験等によって求めておけば、該低下領域(Rc)の時間幅(xc)を計測することで、該低下領域(Rc)のO 2 センサ温度の温度低下量(c・xc)を精度良く推測することができる。
アイドル領域(Rd)と機関減速停止領域(Rd´)は運転状態の影響を受け難く、O 2 センサ温度の低下に関しては1つの領域として扱い、車両ごとに実験等により該アイドル領域(Rd)と機関減速停止領域(Rd´)におけるO 2 センサ温度の温度低下量(d)を求めることができ、該アイドル領域(Rd)と機関減速停止領域(Rd´)のO 2 センサ温度の温度低下量(d)を精度良く推測することができる。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るスクータ型の自動二輪車1の側面図である。
車体前部2と車体後部3とが、低いフロア部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ6とメインパイプ7とからなる。
一方車体前部2においては、ヘッドパイプ5に軸支されて上方に操向ハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
メインパイプ7の斜め傾斜部の中央付近にブラケット15が突設され、同ブラケット15に軸支されたリンク部材16を介してパワーユニット20が揺動自在に連結支持されている。
また、シリンダヘッド32における下側の排気ポートから下方に延出し後方へ屈曲した排気管38が右寄りに偏って後方へ延びて後輪17の右側のマフラー39(図2参照)に接続される。
また、内燃機関30の排気ポートまたは排気管38には、排気中の酸素濃度を検知するO 2 センサ61が設けられている。
内燃機関30はECU(エンジン制御ユニット)50により制御される。
燃料噴射弁60による燃料噴射制御もECU50で行われ、この燃料噴射制御装置の簡略システム図を図2に示す。
燃料噴射制御手段52は、アイドルストップ後の内燃機関の再始動時における前記O 2 センサ61の素子温度である再始動時O 2 センサ温度Yを推測する再始動O 2 センサ温度推測手段53と燃料増量噴射時間Trを設定する増量噴射時間設定手段54を含んでいる。
アイドルストップに入る直前の内燃機関の運転状態であるIS直前運転状態からアイドルストップに入る直前のO 2 センサ温度を推測することができ、推測されたO 2 センサ温度からアイドルストップ経過時間を考慮すれば、再始動時O 2 センサ温度Yを比較的精度良く推測することができる。
再始動時O 2 センサ温度Yに対して燃料増量噴射時間Trは直線的に右肩下がりの変化し、再始動時O 2 センサ温度Yが高くなるほど燃料増量噴射時間Trは短くなる。
燃料増量噴射時間Trは最大でも5秒間であり、再始動時O 2 センサ温度Yが約320℃を越えているときは、燃料増量噴射時間Trは0秒で、再始動時に燃料増量噴射はせず、直ぐにO 2 フィードバック制御に入ることになる。
図4は、内燃機関が高い機関回転数で運転されていたときから減速して停車するときのO 2 センサ温度と機関回転数の変化を示している。
図4において、O 2 センサ温度の変化を実線で示し、機関回転数の変化を破線で示している。
アイドルストップ領域Reに入る直前の内燃機関の運転状態であるIS直前運転状態において、アクセルスロットル弁35vを全閉にすることで、アイドル回転数に移るスロットル全閉領域Rbcが設定されている。
図4において、t1〜t3の間がスロットル全閉領域Rbcである。
O 2 センサ初期温度aは、再始動時O 2 センサ温度Yを推測するときの初期温度となる。
このO 2 センサ初期温度aは、吸気温度によって補正可能であり、吸気温度が低いほどO 2 センサ初期温度aも低くなる。
吸気温度は、燃料噴射システムに設けられた吸気温センサ64によって検出できる。
図4において、t1〜t2の間がフューエルカット領域Rbである。
フューエルカット領域Rbでは、O 2 センサ(61)は外気温と略同等の温度である吸気に晒される。
吸気の温度は排気ガス温度よりはるかに低いため、O 2 センサ温度はフューエルカット領域Rbで一気に低下することになる。
なお、この温度低下勾配bは、吸気温度によって補正可能であり、吸気温度が低いほど温度低下勾配bは大きい。
図4において、t2〜t3の間が低下領域Rcである。
したがって、低下領域Rcの終了時(t3時点)のO 2 センサ温度は、FC終端温度a−b・xbから温度低下量c・xcを減算したa−b・xb−c・xcとして演算できる。
なお、温度低下勾配cは、内燃機関や完成車の仕様によって変わる。
図4において、t3〜t4の間がアイドル領域Rdであり、一定時間に決められており、t4〜t5の間が機関減速停止領域Rd´である。
一方、O 2 センサ温度は、アイドル領域Rdで略維持され、アイドル領域Rdが終了したところで一気に若干下降した後に機関減速停止領域Rd´で緩やかに下降しているが、O 2 センサ温度に関してアイドル領域Rdと機関減速停止領域Rd´は、内燃機関の運転状態の影響を受け難い領域であり、したがって、アイドル領域Rdと機関減速停止領域Rd´を1つの領域として扱い、車両ごとに実験等によりアイドル領域Rdと機関減速停止領域Rd´におけるO 2 センサ温度の温度低下量dを求めておくことができる。
この温度低下量dは精度の良い推測値である。
したがって、機関減速停止領域Rd´の終了時(t5時点)のO 2 センサ温度は、低下領域Rcの終了時(t3時点)のO 2 センサ温度a−b・xb−c・xcから温度低下量dを減算したa−b・xb−c・xc−dとして演算できる。
なお、この低下勾配eは、吸気温度によって補正可能であり、吸気温度が低いほど温度低下勾配bは大きい。
すなわち、再始動時O 2 センサ温度Yは、Y=a−b・xb−c・xc−d−e・xeとして演算されて、比較的精度良く推測することができる。
なお、内燃機関の再始動は、アイドルストップ中に運転者がスロットル操作をすることで、実行される。
このときも、アイドルストップ経過時間xeが短時間であったので、再始動時O 2 センサ温度Yはアイドル温度Yiより若干低い390℃となっている。
したがって、図3のグラフに照らしてみても燃料増量噴射時間Trは0秒であり、内燃機関の再始動時に燃料増量噴射は実行せず、直ぐにO 2 フィードバック制御に入ることになる。
したがって、再始動時O 2 センサ温度Yはより低下して約320℃となっている。
この再始動時O 2 センサ温度Yは、O 2 センサ活性温度Yaより若干高く、図3のグラフに照らしてみても燃料増量噴射時間Trは略0秒であり、320℃を下回るような再始動時O 2 センサ温度Yであれば0秒でない燃料増量噴射時間Trが設定されることになる。
ある時点でO 2 センサ温度は、O 2 センサ活性温度Yaを下回っており、例えば図7に示すt6時点でスロットル操作があり内燃機関の再始動が開始されたとすると、再始動時O 2 センサ温度Yは、約200℃であり、再始動時O 2 センサ温度Yが200℃であると、図3のグラフに照らしてみると、燃料増量噴射時間Trは約2秒間に設定される。
以上のように、O 2 センサが活性温度になるまでの増量補正を必要最小限に抑えられるため、早期にO 2 フィードバック制御に復帰することと燃費の向上を両立することができる。
なお、e1>e2>e3の関係にある。
このような低下勾配e1,e2,e3を使用することにより、一層精度の高い再始動時O 2 センサ温度Yを予測可能となる。
機関温度は、内燃機関に設けられた水温/油温センサ65により検出できる。
Rbc…スロットル全閉領域、Rb…フューエルカット領域、Rc…低下領域、Rd…アイドル領域、Rd´…機関減速停止領域、Re…アイドルストップ領域、
30…内燃機関、35…スロットルボディ、35v…アクセルスロットル弁、
50…ECU、51…アイドルストップ制御手段、52…燃料噴射制御手段、53…再始動O 2 センサ温度推測手段、54…増量噴射時間設定手段、
60…燃料噴射弁、61…O 2 センサ、62…機関回転数センサ、63…スロットル開度センサ、64…吸気温センサ、65…水温/油温センサ。
Claims (4)
- 車両に搭載される内燃機関の吸気系に燃料を噴射する燃料噴射装置(60)と、
内燃機関の排気系に設けられるO 2 センサ(61)と、
所定のアイドルストップ制御条件を満たすとアイドルストップ制御に入り内燃機関を停止に導き、所定の再始動条件を満たすと内燃機関を再始動するアイドルストップ制御手段(51)とを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置において、
アイドルストップ後の内燃機関の再始動時における前記O 2 センサ(61)の素子温度である再始動時O 2 センサ温度(Y)を、アイドルストップに入る直前の内燃機関の運転状態であるIS直前運転状態およびアイドルストップ領域(Re)のアイドルストップ経過時間(xe)から推測する再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)と、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)が推測した再始動時O 2 センサ温度(Y)に基づき燃料増量噴射時間(Tr)を設定する増量噴射時間設定手段(54)とを備え、
内燃機関の再始動時点から前記増量噴射時間設定手段(54)が設定した燃料増量噴射時間(Tr)だけ前記燃料噴射装置(60)をオープン制御して燃料を増量して噴射し、その後前記O 2 センサ(61)が検出する酸素濃度に基づくO 2 フィードバック制御に入る内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記スロットル全閉領域内に、燃料噴射を行わないフューエルカット領域(Rb)を設定し、
前記スロットル全閉領域(Rbc)内に、前記フューエルカット後に機関回転数がアイドル回転数に低下する低下領域(Rc)を設定し、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、
前記フューエルカット領域(Rb)の時間幅(xb)から該フューエルカット領域(Rb)におけるO 2 センサ温度の温度低下量(b・xb)を推測し、
前記温度低下量(b・xb)から求められるフューエルカット領域(Rb)の終端における温度であるFC終端温度と前記O 2 センサ(61)のアイドル回転数における収束温度である所定のアイドル温度との温度差(ΔY)から該低下領域(Rc)における前記O 2 センサ(61)の低下温度勾配(c)を求め、
前記低下領域(Rc)の時間幅(xc)と前記低下温度勾配(c)から該低下領域(Rc)の温度低下量(c・xc)を推測することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記IS直前運転状態では、アイドル回転数より高回転の機関回転数からアクセルスロットル弁(35v)を全閉にすることで、アイドル回転数に移るスロットル全閉領域(Rbc)を設定し、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、
前記スロットル全閉領域(Rbc)の初期のO 2 センサ初期温度(a)をアクセルスロットル弁(35v)を全閉にする直前の機関回転数から推測し、同O 2 センサ初期温度(a)を初期温度として再始動時O 2 センサ温度(Y)を推測することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記アイドルストップ制御手段(51)は、
前記IS直前運転状態では、前記スロットル全閉領域の後、所定時間のアイドル領域(Rd)と該アイドル領域(Rd)後の機関回転数が0に落ちる機関減速停止領域(Rd´)とを設定し、
前記再始動時O 2 センサ温度推測手段(53)は、
前記アイドル領域(Rd)と前記機関減速停止領域(Rd´)における前記O 2 センサ(61)の温度低下量(d)を推測することを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記アイドルストップ経過時間(xe)から前記アイドルストップ領域(Re)の前記O 2 センサ(61)の温度低下量(e・xe)が推測されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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