JP5906750B2 - cBN焼結体切削工具およびその製造方法 - Google Patents

cBN焼結体切削工具およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、切刃部分にcBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体が用いられたcBN焼結体切削工具およびその製造方法に関するものである。
このようなcBN焼結体切削工具として、特許文献1には、耐摩耗性の向上を図るとともに被削材の面粗度の悪化や筋の発生を抑制することを目的として、切刃の横切刃境界部を粗粒のcBN単結晶体で形成するとともに前切刃境界部を微粒のcBN多結晶体で形成して、表面を硬質皮膜で被覆したものが提案されている。
特開2010−228069号公報
しかしながら、この特許文献1に記載のcBN焼結体切削工具では、すくい面に粗粒のcBN単結晶体と微粒のcBN多結晶体とが配設されるため、乾式切削のような過酷な条件下においては耐クレータ摩耗性に乏しい微粒のcBN多結晶体部分においてクレータ摩耗が進展して刃先に欠損が生じるおそれがある。その一方で、逃げ面にもすくい面に連なってcBN単結晶体とcBN多結晶体とが配設されるので、同様に乾式切削において逃げ面摩耗に対する耐性に劣る粗粒のcBN単結晶体部分に摩耗によってcBN粗粒子の欠落が生じてチッピングや細かい刃こぼれが発生し、これが被削材の仕上げ面に転写されて仕上げ面精度の劣化を招いてしまう。
また、上記特許文献1に記載のcBN焼結体切削工具の製造方法では、cBN粗粒子とcBN微粒子とを結合材粉末と混合して焼結することにより得られたcBN焼結体から、切刃の横切刃境界部が粗粒のcBN単結晶体で形成されるとともに前切刃境界部が微粒のcBN多結晶体で形成されるように切刃チップを切り出して基材となる超硬合金製の台金に接合するようにしており、混合条件等によっては必要な大きさのcBN単結晶体部分とcBN多結晶体部分とを含んだcBN焼結体を得ることができないおそれもある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、たとえ乾式切削のような過酷な切削条件下でもすくい面のクレータ摩耗や逃げ面摩耗を抑制することができて長寿命であるとともに、仕上げ面精度の劣化も防ぐことが可能なcBN焼結体切削工具を提供し、またそのようなcBN焼結体切削工具を確実に製造することが可能なcBN焼結体切削工具の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のcBN焼結体切削工具は、上面にすくい面が形成される第1cBN層と、この第1cBN層の下面に接合された第2cBN層とを備えた層状焼結体を有し、上記すくい面と、このすくい面から上記第2cBN層に渡って延びる逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されたcBN焼結体切削工具であって、上記第1cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が上記第2cBN層におけるcBN粒子の平均粒径よりも大きくされているとともに、上記切刃にはホーニングが施されていて、このホーニングと上記逃げ面との交差稜線から上記すくい面とは反対側に0.05mmまでの範囲に上記第1cBN層と第2cBN層との接合面が位置していることを特徴とする。
また、本発明のcBN焼結体切削工具の製造方法は、このようなcBN焼結体切削工具を製造するのに、平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN焼結体を予備焼結するとともに、上記第1cBN焼結体よりも平均粒径の小さなcBN粒子を含有する第2cBN焼結体を予備焼結し、これら第1、第2cBN焼結体を突き合わせて本焼結して接合したブランク材を形成し、このブランク材の上記第1、第2cBN焼結体の接合面を含む領域を切り出して上記層状焼結体に成形することを特徴とする。
従って、まず、このような製造方法によれば、平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN焼結体と平均粒径の小さなcBN粒子を含有する第2cBN焼結体とが予備焼結によって所定の寸法、形状に形成され、こうして形成された第1、第2cBN焼結体を突き合わせて本焼結することにより接合したブランク材から、これら第1、第2cBN焼結体の接合面を含む領域が切り出されて層状焼結体に成形され、切刃チップなどとして台金に接合されるので、切刃部分の所望の位置に第1、第2cBN層を有するcBN焼結体切削工具を確実に製造することが可能となる。
そして、例えばこのようにして製造される上記構成のcBN焼結体切削工具では、切刃部分を構成する上記層状焼結体において、上面に当該切削工具のすくい面が形成される第1cBN層はcBN粒子の平均粒径が第2cBN層よりも大きくされていて、高い耐クレータ摩耗性を保持することができる。その一方で、このすくい面に切刃を介して交差する逃げ面には、第1cBN層の下面に接合された第2cBN層が配設することになり、この第2cBN層は第1cBN層よりもcBN粒子の平均粒径が小さくされているので、逃げ面摩耗に対する耐性が高いとともに、粒径の大きなcBN粒子の脱落による切刃の欠損やチッピング、細かい刃こぼれなども防ぐことができる。
このため、上記構成のcBN焼結体切削工具によれば、乾式切削のような過酷な切削条件下でも、切屑の擦過によるクレータ摩耗や被削材との接触による逃げ面摩耗を抑えることが可能となり、長期にわたって安定した切削を行うことができる。また、切刃の欠損は勿論、チッピングや細かい刃こぼれも防ぐことができるので、これらは被削材の仕上げ面に転写されることによる仕上げ面精度の劣化も防ぐことができる。
ここで、上述のように第2cBN層よりも大きくされる上記第1cBN層におけるcBN粒子の平均粒径は2.0μm以上とされるとともに、これよりも小さくされる上記第2cBN層におけるcBN粒子の平均粒径は1.5μm以下とされるのが望ましい。第1cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が2.0μm未満であるとすくい面のクレータ摩耗を確実に抑制することができず、また第2cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が1.5μmを上回ると逃げ面摩耗を確実に抑制することができなくなるおそれが生じる。
さらに、本発明のcBN焼結体付き切削工具では、上記切刃ホーニングが施されていて、このホーニングと上記逃げ面との交差稜線から上記すくい面とは反対側に0.05mmまでの範囲に上記第1cBN層と第2cBN層との接合面が位置しているこれよりも接合面の位置がすくい面の反対側に位置していると、逃げ面における第1cBN層の厚さが大きくなりすぎて逃げ面摩耗が発生し易くなり、仕上げ面精度の劣化を防ぐことができなくなるおそれが生じる。
以上説明したように、本発明によれば、乾式切削のような過酷な切削条件下でもすくい面のクレータ摩耗や逃げ面摩耗を抑制することができるとともに、切刃の欠損やチッピング、細かい刃こぼれによる仕上げ面精度の劣化も防ぐことができ、長期にわたって安定した高精度の切削加工を促すことが可能となる。
本発明のcBN焼結体切削工具の一実施形態である切削インサートを示す斜視図である。 図1に示す実施形態の刃先部分の拡大側面図である。 本発明のcBN焼結体切削工具の製造方法の一実施形態において形成される層状焼結体のブランク材の平面図である。 図3に示したブランク材から切り出された層状焼結体を示す拡大側面図である。 図4に示した層状焼結体を台金に接合した状態を示す拡大側面図である。 図5に示した層状焼結体を接合した台金に研磨を施す図である。 本発明のcBN焼結体切削工具の実施例と比較例との第1の切削試験における逃げ面摩耗量の推移を示す図である。 本発明のcBN焼結体切削工具の実施例と比較例との第2の切削試験における逃げ面摩耗量の推移を示す図である。 本発明のcBN焼結体切削工具の実施例と比較例との第3の切削試験における逃げ面摩耗量の推移を示す図である。 本発明のcBN焼結体切削工具の実施例と比較例との第4の切削試験における逃げ面摩耗量の推移を示す図である。
図1および図2は、本発明のcBN焼結体切削工具の一実施形態である切削インサートを示すものである。本実施形態の切削インサートは、図1に示すように多角形平板状、具体的には菱形平板状をなすインサート本体1を有し、その一方の菱形面がすくい面2とされるとともに他方の菱形面は着座面3とされ、これらすくい面2と着座面3の周囲に配置される4つの周面が逃げ面4とされて、すくい面2と逃げ面4との交差稜線部に切刃5が形成されている。
また、すくい面2と着座面3の中央部には、インサート本体1を貫通する取付孔6が開口させられている。なお、本実施形態の切削インサートは、後述するホーニングを除いて、すくい面2と着座面3とがこの取付孔6の中心線Cに垂直な平面状とされるとともに、逃げ面4は上記中心線Cに平行に延びる平面状とされて、すくい面2と逃げ面4とが直交する方向に形成されたネガティブタイプの切削インサートとされている。
このインサート本体1は、すくい面2とされる一方の菱形面の鋭角角部を除いた部分が超硬合金によりなる台金7として形成されるとともに、この鋭角角部には、該鋭角角部に交差する一対の逃げ面4をすくい面2から一定の深さで断面L字状に切り欠くように凹部8が形成されており、この凹部8に、cBN焼結体よりなる切刃チップ9がロウ付けにより接合されて構成されている。
ここで、これら切刃チップ9と台金7とにおいて、すくい面2と逃げ面4はそれぞれ面一となるように形成され、また一対の逃げ面4の交差稜線部はすくい面2にかけて凸円筒面状に形成されて、切刃チップ9上の切刃5に凸円弧状のコーナ部10が形成されるようになされている。さらに、上記切刃5には、チャンファーホーニングまたは丸ホーニングあるいはこれらの複合ホーニングよりなるホーニング11が、台金7から切刃チップ9にかけて連続するように形成されている。
このような切削インサートは、例えば刃先交換式バイトのホルダに着脱可能に取り付けられて、回転する被削材の外周面や端面に切刃5が切り込まれることにより、旋削加工に使用される。このとき、切刃5は、主として硬質なcBN焼結体によりなる上記切刃チップ9上に形成された部分が被削材に切り込まれて使用される。
さらに、この切刃チップ9は、上面に上記すくい面2が形成される第1cBN層9Aと、この第1cBN層9Aの下面に接合された第2cBN層9BからなるcBN層状焼結体によって形成されており、従って切刃チップ9における逃げ面4は第2cBN層9B上に亙って形成されている。そして、この層状焼結体の上記第1cBN層9AにおけるcBN粒子の平均粒径は、上記第2cBN層9BにおけるcBN粒子の平均粒径よりも大きくされている。
具体的に、上記第1cBN層9AにおけるcBN粒子の平均粒径は2.0μm以上とされるのが望ましく、本実施形態では4.5μmとされている。また、上記第2cBN層9BにおけるcBN粒子の平均粒径は1.5μm以下とされるのが望ましく、本実施形態では1.0μmとされている。
さらに、このうち第1cBN層9Aの厚さは、本実施形態ではすくい面2から切刃5に施されたホーニング11の範囲を下回らないようにされており、すなわち第1、第2cBN層9A、9Bの接合面9Cがホーニング11と逃げ面4との交差稜線Lの位置か、またはこれよりもすくい面2とは反対側(着座面3側)に位置している。ただし、この接合面9Cの位置は、図2に示す交差稜線Lから着座面3側に0.05mmまでの範囲Mは超えないようにされている。
このような切削インサートは、例えば以下に説明する本発明のcBN焼結体切削工具の製造方法の一実施形態により製造される。本実施形態では、上述のようなcBN粒子の平均粒径の異なる第1、第2cBN層9A、9Bを有する層状焼結体よりなる切刃チップ9を形成するのに、平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN焼結体を予備焼結するとともに、この第1cBN焼結体よりも平均粒径の小さなcBN粒子を含有する第2cBN焼結体を予備焼結し、これら第1、第2cBN焼結体を突き合わせて本焼結することにより接合してブランク材を形成し、このブランク材の上記第1、第2cBN焼結体の接合面を含む領域を切り出して層状焼結体に成形するようにしている。
図3は、このように予備焼結して形成された第1、第2cBN焼結体を突き合わせて本焼結することにより接合されたブランク材21を示すものであり、本実施形態ではこのブランク材21における第1cBN焼結体22Aは、すくい面2上における第1cBN層9Aの最大幅よりも大きな一定の厚さを有する円板状に形成される一方、第2cBN焼結体22Bは、第1cBN焼結体22Aと等しい厚さで第1cBN焼結体22Aの外径と等しい内径を有して第1cBN焼結体22Aの外周に接合面22Cを介して接合されたリング状(円環板状)に形成されている。
このような第1、第2cBN焼結体22A、22Bの予備焼結体は、例えば超硬合金製のポットおよびボールを用いてTiNとAlNを混合してから熱処理を施した後に粉砕した結合材粉末に、第1、第2cBN層9A、9Bに含有される平均粒径のcBN粒子をそれぞれ混合して円板状およびリング状の型に装入し、上記厚さの方向に0.1〜0.3GPaの圧力で圧縮して圧粉体を形成した後に、850〜1200℃の温度で30分加熱して予備焼結することにより、上述のような円板状およびリング状に形成される。
次いで、円板状の予備焼結体の外周面とリング状の予備焼結体の内周面とを嵌め込み可能な寸法に成形して嵌め込むことによってこれら内外周面を突き合わせた上で、やはり上記厚さの方向に3〜6GPaの圧力で圧縮するとともに、1100〜1500℃の温度で30分加熱して本焼結することにより、第1、第2cBN焼結体22A、22Bが接合面22Cを介して接合された円板状の上述のようなブランク材21を形成する。
さらに、こうして形成されたブランク材21から、図3に破線で示すように上記接合面22Cを含む領域Aをブランク材の厚さ方向に沿って切り出して、切刃チップ9よりも僅かに一回り大きな寸法の図4に示すような層状焼結体22を得る。次に、図5に示すようにこの層状焼結体22における上記第1cBN焼結体22A部分がすくい面2側を向くようにして、やはり上記台金7よりも僅かに一回り大きな寸法に形成された超硬合金製の基体23の凹部24に、この層状焼結体22をロウ付けにより接合する。なお、図5および図6に符号25で示すのはロウ付け層である。
しかる後、図6に破線で示すようにこれら層状焼結体22と基体23の表面に研磨を施すことにより、台金7と切刃チップ9とで面一なすくい面2および逃げ面4と連続したホーニング11を形成するとともに、層状焼結体22における第1、第2cBN焼結体22A、22Bの接合面22Cが、切刃チップ9における接合面9Cとして、ホーニング11と逃げ面4との交差稜線Lから着座面3側に上記範囲Mまでの位置に配置されるように第1cBN焼結体22A部分すなわち第1cBN層9Aの厚さを調整する。
このように製造された上記構成のcBN焼結体切削工具(切削インサート)では、切刃5のすくい面2に、切刃チップ9の上面において平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN層9Aが配設されるとともに、少なくとも切刃5に施されたホーニング11と逃げ面4との交差稜線Lから極小さい上記範囲Mよりもすくい面2とは反対の着座面3側の逃げ面4には、平均粒径の小さいcBN粒子を含有する第2cBN層9Bが配設されることになる。
従って、すくい面2においては切屑の擦過によるクレータ摩耗の進行を粗粒のcBN粒子によって抑えることができて、乾式切削のような過酷な切削条件下でも切刃5の刃先寿命を維持することができる。その一方で、逃げ面4においては微粒のcBN粒子によって逃げ面摩耗を抑制することができて、粒径の大きなcBN粒子の脱落による切刃5の欠損は勿論、チッピングや細かい刃こぼれも防止することができ、このようなチッピングや細かい刃こぼれが被削材に転写されることによる仕上げ面精度の劣化も防ぐことができるので、上記構成のcBN焼結体切削工具によれば、高精度の切削加工を長期にわたって安定して行うことが可能となる。
また、本実施形態では、切刃チップ9の第1cBN層9AにおけるcBN粒子の平均粒径が2.0μm以上とされるとともに、第2cBN層9BにおけるcBN粒子の平均粒径は1.5μm以下とされており、これにより、一層確実に高精度の切削加工が可能な長寿命のcBN焼結体切削工具を提供することが可能となる。すなわち、第1cBN層9AにおけるcBN粒子の平均粒径が2.0μm未満であると十分な耐クレータ摩耗性を発揮することができなくなるおそれがある一方、第2cBN層9BにおけるcBN粒子の平均粒径が1.5μmを上回ると逃げ面摩耗を確実に抑制することができなくなるおそれが生じる。
さらに、本実施形態では、これら第1、第2cBN層9A、9Bの接合面9Cの位置が、切刃5に施されたホーニング11と逃げ面4との交差稜線Lからすくい面2とは反対側に0.05mmの範囲Mまでとされて、すなわち略この交差稜線L上に位置するようにされており、実質的に切刃エッジとして作用するこの交差稜線Lよりもすくい面2側には確実に第1cBN層9Aを配置してクレータ摩耗の抑制を図ることができるとともに、逃げ面4には第2cBN層9Bが位置するようにして逃げ面摩耗やcBN粒子の脱落による仕上げ面精度の劣化をやはり確実に防止することができる。
一方、このようなcBN焼結体切削工具を製造するための上記構成の製造方法では、平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN焼結体22A部分と平均粒径の小さなcBN粒子を含有する第2cBN焼結体22B部分とを予備焼結によって所定の寸法、形状に形成して、これらを突き合わせて本焼結することにより接合したブランク材21から、これら第1、第2cBN焼結体22A、22Bの接合面22Cを含む領域を切り出して層状焼結体22を成形し、これを切刃チップ9となるように接合して台金7となる基体23ごと研磨することにより、すくい面2側に第1cBN層9Aが、また逃げ面4側に第2cBN層9Bが、それぞれ所定の位置に配置されるようにしている。
このため、層状焼結体22よりなる切刃チップ9において、平均粒径の大きなcBN粒子を含む第1cBN層9Aと平均粒径の小さなcBN粒子を含む第2cBN層9Bとを確実に所望の大きさ、配置で成形することができ、例えば特許文献1に記載された製造方法のように、平均粒径の大きなcBN粒子と小さなcBN粒子とを合わせて結合材粉末と混合して焼結した後、その焼結体から、前切刃境界部に粗粒のcBN単結晶が配置されるとともに他の切刃部分がcBN多結晶体で形成されるような部分を確認して切り出す場合に対し、焼結後でなければ切刃チップとして使用可能な部分が形成されているかどうかを確認できないようなことはない。
なお、本実施形態の製造方法においては、予備焼結した円板状の第1cBN焼結体22A部分を、同じく予備焼結したリング状の第2cBN焼結体22B部分の内周に嵌め入れて本焼結することによりブランク材21を形成しており、こうして本焼結によって接合された第1、第2cBN焼結体22A、22Bの接合面22Cは円筒面をなすため、切刃チップ9における第1、第2cBN層9A、9Bの接合面9Cも厳密には湾曲することになるが、接合面22Cがなす円筒の半径が十分に大きければ接合面9Cは略平面状とみなすことができ、上記交差稜線Lからすくい面2とは反対側に0.05mmの範囲M内に位置させることができる。
しかも、こうしてそれぞれ予備焼結した円板状の第1cBN焼結体22A部分をリング状の第2cBN焼結体22B部分の内周に嵌め入れて本焼結することによってブランク材21を形成することにより、例えば予備焼結した平板状の第2cBN焼結体22Bの上に同じく予備焼結した平板状の第1cBN焼結体22Aを載置してこれら第1、第2cBN焼結体22A、22Bの層厚方向に圧縮することにより本焼結する場合に対し、切刃チップ9における第1、第2cBN層9A、9Bの層厚を略一定とすることが容易となる。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明の効果について実証する。本実施例では、上述した実施形態に基づいてcBN焼結体切削工具として切削インサートを製造し、切削条件を変えて第1ないし第4の4種の切削試験を行って、それぞれの切削試験において所定時間ごとの逃げ面摩耗量(最大摩耗幅)を測定した。この結果を、各切削試験について、図7ないし図10に示す。
また、この実施例に対する比較例として、実施形態の層状焼結体22よりなる切刃チップ9に代えて、切刃チップの全てが平均粒径1.0μmのcBN粒子を含有する第1cBN層9Aよりなる切削インサート(比較例1)と、切刃チップの全てが平均粒径4.5μmのcBN粒子を含有する第2cBN層9Bよりなる切削インサート(比較例2)とでも実施例と同一の切削条件で試験を行って逃げ面摩耗量(最大摩耗幅)を測定した。これらの結果も各切削試験について、図7ないし図10に併せて示す。
なお、製造した切削インサートは、呼び記号がCNGA120408タイプのもので、切刃にはすくい面に対して25°のチャンファホーニングが施され、すくい面に沿った方向のホーニング幅は0.13mmであって、実施例の切削インサートではホーニング11と逃げ面4との交差稜線Lに第1、第2cBN層9A、9Bの接合面9Cが位置していた。また、実施例および比較例1、2ともに、前切刃境界部から横切刃境界部に至る被削材と接触する全ての部分にcBN焼結体よりなる切刃チップが配設されていた。
さらに、切削試験はSCM420よりなる丸棒被削材の外周旋削を行い、切削条件は、図7に結果を示した第1の切削試験では切削速度100m/min、送り0.15mm/rev、切り込み0.1mm、図8に結果を示した第2の切削試験では切削速度200m/min、送り0.15mm/rev、切り込み0.1mm、図9に結果を示した第3の切削試験では切削速度100m/min、送り0.15mm/rev、切り込み0.5mm、図10に結果を示した第4の切削試験では切削速度150m/min、送り0.15mm/rev、切り込み0.5mmであり、いずれも乾式切削であった。
これら図7ないし図10に示した結果について、まず全ての切削試験において比較例1の測定結果が途中で途切れているのは、すくい面のクレータ摩耗による切刃の欠損により切削試験を続けることができなくなったためである。このように、切刃部分の全てが平均粒径の小さなcBN粒子を含有したcBN焼結体よりなる比較例1の切削インサートにおいては、図7ないし図10に示したように逃げ面摩耗自体は本発明の実施例と同等程度に抑えられているものの、乾式切削のような条件下では長時間の切削を行うことは不可能であった。
一方、これとは逆に、切刃部分の全てが平均粒径の大きなcBN粒子を含有したcBN焼結体よりなる比較例2の切削インサートにおいては、すくい面のクレータ摩耗は抑制されていたものの、図7ないし図10に示したように切削試験の当初から逃げ面摩耗量が大きな傾向となっており、このうち図7に結果を示した第2の切削試験では試験終了時(1200秒経過時)に、また図10に結果を示した第4の切削試験では試験終了前(600秒経過時)に、いずれも切刃に欠損が生じてしまった。
また、図9に示した第3の切削試験の測定結果において試験途中(825秒経過時)に逃げ面摩耗量が著しく大きくなっているのは、欠損には至らないまでも切刃にチッピングが生じたためである。さらに、この比較例2の切削インサートによって外周旋削を行った被削材の仕上げ面精度を測定したところ、本発明の実施例や比較例1によって外周旋削を行った被削材の仕上げ面精度よりも大幅に表面粗さが劣化していることが確認された。
これら比較例1、2に対して、本発明の実施例では、図6ないし図10に結果を示した切削試験の全てにおいて、乾式切削でも切刃6に欠損やチッピングを生じることなく、所定時間の試験を終了することができた。また、試験終了後の切削インサートのすくい面2を確認したところでもクレータ摩耗は十分に抑制されていて、そのまま連続して旋削加工を行うことが可能であった。
1 インサート本体
2 すくい面
4 逃げ面
5 切刃
7 台金
9 切刃チップ
9A 第1cBN層
9B 第2cBN層
9C 第1、第2cBN層9A、9Bの接合面
11 ホーニング
21 ブランク材
22A 第1cBN焼結体
22B 第2cBN焼結体
22C 第1、第2cBN焼結体22A、22Bの接合面
22 層状焼結体
L 逃げ面4とホーニング11との交差稜線
M 交差稜線Lからすくい面2とは反対側に0.05mmの範囲

Claims (3)

  1. 上面にすくい面が形成される第1cBN層と、この第1cBN層の下面に接合された第2cBN層とを備えた層状焼結体を有し、上記すくい面と、このすくい面から上記第2cBN層に渡って延びる逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されたcBN焼結体切削工具であって、上記第1cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が上記第2cBN層におけるcBN粒子の平均粒径よりも大きくされているとともに、上記切刃にはホーニングが施されていて、このホーニングと上記逃げ面との交差稜線から上記すくい面とは反対側に0.05mmまでの範囲に上記第1cBN層と第2cBN層との接合面が位置していることを特徴とするcBN焼結体切削工具。
  2. 上記第1cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が2.0μm以上であるとともに、上記第2cBN層におけるcBN粒子の平均粒径が1.5μm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のcBN焼結体切削工具。
  3. 平均粒径の大きなcBN粒子を含有する第1cBN焼結体を予備焼結するとともに、上記第1cBN焼結体よりも平均粒径の小さなcBN粒子を含有する第2cBN焼結体を予備焼結し、これら第1、第2cBN焼結体を突き合わせて本焼結して接合したブランク材を形成し、このブランク材の上記第1、第2cBN焼結体の接合面を含む領域を切り出して上記層状焼結体に成形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のcBN焼結体切削工具の製造方法。
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