JP5906734B2 - 含窒素化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アンモニアを含有する原料ガスを用い、気相反応により含窒素化合物を製造する方法に関する。
炭化水素、アンモニア、酸素含有ガスなどを原料ガスとして用い、気相反応により含窒素化合物を製造する方法は種々知られている。
特に、炭化水素とアンモニアと酸素含有ガスとを含む原料ガスを用い、気相流動層反応によって不飽和ニトリル類を製造する方法はアンモ酸化反応による製造方法として知られており、中でもプロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造は、工業的に広く実施されている。
一般的に、アンモ酸化反応は350℃以上の高温下で実施される場合が多い。このような反応条件下では、原料となるガス状アンモニアが解離して単原子状窒素と水素を発生し、単原子状窒素が反応器などを構成する金属材料と反応し、金属材料表面に窒化物を形成しやすい。その結果、金属材料の硬度が上昇し、延性や靭性が低下する現象(窒化腐食)を引き起こすこととなる。
窒化腐食は、350℃以上の高温下で、原料としてガス状アンモニアを用いる反応であれば、種々の反応において起こり得る。特に高濃度のガス状アンモニアと接触する部分で窒化腐食が生じやすく、ガス状アンモニアを含有する原料ガスを反応器に供給するためのガス供給導管などで顕著に起こりやすい。
例えば、プロピレンのアンモ酸化反応の場合、原料としてプロピレン、ガス状アンモニア、および酸素含有ガスを用い、400〜500℃といった高温下で実施される。この反応は一般的に流動層反応器内で行われることから、原料のプロピレンおよびガス状アンモニアはガス供給導管を通じて反応器内に供給される。ガス状アンモニアを含有するプロピレンはガス供給導管内において反応温度付近まで温度が高められ、ガス供給導管内でアンモニアの一部が単原子状窒素に分解し、ガス供給導管(原料散布ノズルを含む)を構成する金属材料と接触することで窒化腐食が生じる。
金属材料表面に形成された窒化物は、それ自体が非常に脆く、周囲の温度変化や物理的衝撃等により金属材料表面から容易に剥離する。これにより、窒化腐食がさらに内部にまで進行し易く、金属材料の著しい減肉を引き起こす。窒化腐食が進行すると金属材料自身が脆くなり、衝撃等により破損しやすくなるため、プラントを長期間安定して運転することが困難となる。一旦窒化腐食した金属材料は腐食前の状態に戻ることはないため、窒化腐食が進行した場合には、腐食部分を新規の部品と交換することが必要となる。
腐食部分を新規の部品と交換するにはプラントを停止させなければならないだけでなく、加えて、部品代や工事費など、コスト的にも多大な負担を強いられることになる。
このように、ガス状アンモニアを含有する原料ガスを用い、気相反応により含窒素化合物を製造する方法など種々の工業反応において、窒化腐食は問題となっており、プラントの安定運転を維持するために、窒化腐食を防止する技術が求められている。
これまでに窒化腐食の問題を解決するため数多くの検討が行われ、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1〜3には、ガス供給導管の材料を耐窒化材料に置き換える方法が開示されている。
また、特許文献4には、不飽和ニトリル化合物の製造において、アンモニア供給導管内にある間のガス状アンモニアの温度をアンモニアの解離温度以下に維持する、あるいは、アンモニア供給導管の内面の温度を窒素が導管と反応して窒化物を形成することができる温度以下に維持する方法が開示されている。
米国特許第3704690号明細書 米国特許第4401153号明細書 米国特許第5110584号明細書 特許第3471864号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法は、実施が困難であること、多大な費用を要すること、得られる効果が限定的であることなどから、さらなる窒化腐食を防止する有効な方法の開発が求められている。特に、高温下、高濃度のガス状アンモニアを含有する原料ガスを用いた気相反応の場合には窒化腐食が起こりやすいことから、効果的に窒化腐食を防止する方法が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高温下、高濃度のガス状アンモニアを含有する原料ガスを用いて気相反応を行う場合においても、簡便かつ低コストで窒化腐食を防止しつつ含窒素化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の含窒素化合物の製造方法は、炭素数1〜6の炭化水素から選ばれる少なくとも一つのガス状化合物と、ガス状アンモニアと、酸素含有ガスとを反応器内に供給し、気相反応により含窒素化合物を製造する方法において、ガス状アンモニアを前記反応器内に供給するガス供給導管内に、少なくともガス状アンモニアと水蒸気とを導入し、該ガス供給導管からガス状アンモニアと水蒸気を含む混合ガスを反応器内に供給することを特徴とする。
ここで、前記ガス供給導管内に導入する水蒸気の量が、ガス状アンモニア1モルに対し、0.01〜2.0モルであることが好ましい。
本発明の含窒素化合物の製造方法は、前記ガス状化合物がプロピレンおよび/またはプロパンであり、前記気相反応がアクリロニトリルを合成する反応である場合、または前記ガス状化合物がイソブチレンおよび/またはイソブタンであり、前記気相反応がメタクリロニトリルを合成する反応である場合に好適である。
本発明の含窒素化合物の製造方法によれば、高温下、高濃度のガス状アンモニアを含有する原料ガスを用いて気相反応を行う場合においても、簡便かつ低コストで窒化腐食を防止しつつ含窒素化合物を製造できる。
本発明に用いられる反応装置の一例を示す概略構成図である。 図1に示す反応装置のガス供給導管を拡大した部分拡大図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の含窒素化合物の製造方法は、炭素数1〜6の炭化水素から選ばれる少なくとも一つのガス状化合物と、ガス状アンモニアと、酸素含有ガス(以下、これらを総称して「原料ガス」という場合がある。)とを反応器内に供給し、気相反応により含窒素化合物を製造する方法である。
気相反応の原料ガスとなる炭素数1〜6の炭化水素としては、例えばメタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、n−ブタンやイソブタン等のブタン類、n−ブチレンやイソブチレン等のブチレン類、n−ペンタンやイソペンタン等のペンタン類、n−ペンテンやイソペンテン等のペンテン類、n−ヘキサンやイソヘキサン等のヘキサン類、n−ヘキセンやイソヘキセン等のヘキセン類などが挙げられる。
本発明は、炭素数が1〜6の炭化水素のアンモ酸化反応により不飽和ニトリル類を合成する反応に適用されることが好ましく、中でも、プロピレンおよび/またはプロパンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの合成、あるいは、イソブチレンおよび/またはイソブタンのアンモ酸化反応によるメタクリロニトリルの合成に適用されることが特に好ましい。
気相反応の原料ガスとなる酸素含有ガスとしては特に制限されないが、空気や酸素ガスを用いるのが一般的である。また、不活性ガスにより任意の濃度に希釈された酸素ガスを用いてもよい。
気相反応に用いられる原料ガスの組成は特に限定されないが、炭素数1〜6の炭化水素から選ばれる少なくとも一つのガス状化合物(以下、単に「ガス状化合物」という。)とガス状アンモニアと酸素とのモル比が、ガス状化合物/ガス状アンモニア/酸素=1/0.5〜2.0/1.0〜5.0となる組成が好ましい。
気相反応は、上述したガス状化合物とガス状アンモニアと酸素含有ガスとを反応器内に供給して行われるが、本発明は、ガス状アンモニアを反応器内に供給するガス供給導管内に、少なくともガス状アンモニアと水蒸気とを導入し、該ガス供給導管からガス状アンモニアと水蒸気を含む混合ガスを反応器内に供給することを特徴とする。すなわち、本発明では、少なくともガス状アンモニアと水蒸気とが混合された状態でガス供給導管から反応器内に供給される。
ガス状アンモニアを反応器内に供給するガス供給導管内に水蒸気を導入することにより、窒化腐食を防止するメカニズムについては現在のところ明らかではないが、ガス供給導管内のアンモニア濃度が低下すること、および、水蒸気を共存させることでアンモニアの反応性が低下することにより、ガス供給導管や反応器の窒化腐食防止効果が得られると考えられる。
ガス供給導管内に導入する水蒸気の量は、ガス状アンモニア1モルに対し、0.01〜2.0モルであることが好ましい。水蒸気の量が0.01モル以上であれば、窒化腐食をより効果的に防止できる。一方、水蒸気の量が2.0モルを超えても得られる効果は頭打ちとなる。また、過剰の水蒸気を混合することは、廃水の増加にもつながる。水蒸気の量は、ガス状アンモニア1モルに対し、0.05モル以上であることがより好ましく、1.0モル以下であることがより好ましい。
ガス状アンモニアと水蒸気の混合のタイミングは特に制限されず、混合した後でガス供給導管に導入してもよいし、ガス供給導管内で混合してもよい。
また、ガス供給導管内での混合ガスの温度は、混合ガスが凝縮しない温度以上、かつ反応器内での気相反応温度以下が好ましい。
ガス状化合物、ガス状アンモニア、酸素含有ガスを反応器内に供給する際は、これらを別々に供給してもよいし、これらの全部または一部を混合して供給してもよい。ただし、作業性等の観点から、酸素含有ガスはガス状化合物やガス状アンモニアと分けて反応器内に供給するのが好ましい。
上述したように、ガス状アンモニアは水蒸気と混合された状態で反応器内に供給されるので、原料ガスを反応器内に供給する際は、ガス状アンモニアおよび水蒸気を含む混合ガスと、酸素含有ガスとを別々に供給するのが好ましい。また、ガス状化合物は単独で供給されてもよいし、ガス状アンモニアおよび水蒸気と混合された状態で供給されてもよい。
また、原料ガスを反応器内に供給する方法としては、ガス供給導管に開孔部を1箇所以上設置し、そこから原料ガスを供給するスパージャー方式や、分散板を通じて供給する方式など、一般的に用いられる方法を使用することができるが、少なくともガス状アンモニアはガス供給導管から反応器内へ供給される。
気相反応の条件は特に限定されないが、一般的に、反応温度350〜500℃、反応圧力は常圧〜500kPaである。
なお、反応器内に供給される原料ガスは、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスや飽和炭化水素、アルコール類等で希釈してもよく、また、酸素濃度を高めて用いてもよい。
含窒素化合物は、反応器を備えた反応装置を用い、触媒の存在下、ガス状化合物とガス状アンモニアと酸素含有ガスとを反応させることによって製造される。
含窒素化合物の製造に用いられる反応装置としては特に限定されず、流動層反応装置、固定床反応装置などが挙げられる。中でも、流動層反応装置が好ましく用いられる。
また、反応器としては、ガス状化合物とガス状アンモニアと酸素含有ガスとを原料ガスとして用いる気相反応に適した反応器であれば特に制限されず、反応装置に併せて流動層反応器や固定床反応器などを適宜選択して用いればよい。
反応器や、反応器にガス状アンモニアなどの原料ガスを供給するガス供給導管を構成する金属材料としては特に限定されるものではないが、気相反応が高温条件下で実施されることなどの理由から、炭素鋼などが好ましく用いられる。
ここで、本発明に用いられる反応装置の一例を図1に示す。
図1に示す反応装置1は流動層反応装置であり、内部に触媒流動層11を備えた反応器10を主体として構成されている。
この例の反応器10は縦型円筒型流動層反応器であり、反応器10には、反応器10内にガス状化合物、ガス状アンモニア、および水蒸気を供給するガス供給導管20と、反応器10内に酸素含有ガスを供給するガス供給口30と、ガス供給口30から供給された酸素含有ガスを反応器10内に分散させるガス分散板40と、反応生成物(含窒素化合物)を含むガスと触媒とを分離するサイクロン50とが設けられている。
ガス供給導管20は反応器10の下方に設けられ、複数の枝管部21に分岐している。各枝管部21は、図2に示すように、反応器10内の有効断面積当たりの混合ガスの供給量が均一になるように、孔径の異なる複数のオリフィス部22を有している。さらに、各オリフィス部22には、反応器10の底面に向って開口したニップル部(原料散布ノズル)23が接続されている。
ガス供給口30は反応器10の底部に設けられ、ガス分散板40はガス供給口30とガス供給導管20との間に設けられている。
サイクロン50には、反応生成物を含むガスと触媒とをサイクロン50内に取り込む流入口51と、分離した反応生成物を含むガスを反応器10の外に導出するガス流出管52と、分離した触媒を反応器内の触媒流動層11に返送するディップレグ53が設けられている。
この例の反応装置1は、3つのサイクロン50が連結したものを、反応器内部に複数系列有しており(ただし、図1中では、3つのサイクロン50が連結した1つの系列のみ図示している。)、第一のサイクロン50aのガス流出管52aと第二のサイクロン50bの流入口(図示略)とが連結し、第二のサイクロン50bのガス流出管52bと第三のサイクロン50cの流入口(図示略)とが連結している。このように複数のサイクロンが連結していることで、反応生成物を含むガスと触媒とをより効果的に分離することができ、触媒が十分に分離された反応生成物を含むガスを第三のサイクロン50cのガス流出管52cから反応器10の外へ導出できる。
反応装置1を用いて含窒素化合物を製造する場合は、例えば以下のようにして行えばよい。
まず、ガス状化合物とガス状アンモニアを蒸発器(図示略)で気化し、それぞれ過熱器(図示略)により所定の温度に過熱した後、ガス供給導管20内で水蒸気と混合する。そして、ガス供給導管20からガス状化合物とガス状アンモニアと水蒸気とを含む混合ガスを、内部に触媒流動層11を備えた反応器10内に供給する。
別途、ガス供給口30から酸素含有ガスを反応器10内に供給し、ガス分散板40で分散させる。
反応器10内に供給された混合ガスおよび酸素含有ガスは、反応器10内を上昇する。このとき、気相反応が進行する。
反応開始後、反応器10内は反応生成物(含窒素化合物)を含む反応生成ガスと、未反応の原料ガスおよび水蒸気と、触媒とが混ざり合った状態となる。第一のサイクロン50aの流入口51aに流入したこれらの混合物は、第一のサイクロン50a内を高速旋回する間に、反応生成物を含むガスと触媒とに分離される。分離された反応生成物を含むガスは第一のサイクロン50aのガス流出管52aから第二のサイクロン50bに流入する。一方、触媒は第一のサイクロン50aのディップレグ53aを介して触媒流動層11に返送される。
第二のサイクロン50bに流入した反応生成物を含むガスは、第二のサイクロン50bを高速旋回する間に、僅かに残留する触媒が分離された後、第二のサイクロン50bのガス流出管52bから第三のサイクロン50cに流入する。一方、触媒は第二のサイクロン50bのディップレグ53bを介して触媒流動層11に返送される。
第三のサイクロン50cに流入した反応生成物を含むガスは、第三のサイクロン50cを高速旋回する間に、僅かに残留する触媒が分離された後、第三のサイクロン50cのガス流出管52cから反応器10の外に導出される。一方、触媒は第三のサイクロン50cのディップレグ53cを介して触媒流動層11に返送される。
なお、反応器10の外に導出された反応生成物を含むガスは、必要に応じて蒸留などの精製処理が施され、反応生成物(含窒素化合物)が回収される。
以上説明した本発明の窒素化合物の製造方法によれば、ガス供給導管にガス状アンモニアと水蒸気とを導入し、ガス状アンモニアを水蒸気とを混合した状態でガス供給導管から反応器内に供給するので、簡便かつ低コストでガス供給導管や反応器の窒化腐食を防止できる。
従って、本発明によれば、反応器やガス供給導管を構成する金属材料、特に、高濃度のガス状アンモニアを含有する原料ガスと接触するガス供給導管の窒化腐食を防止できるので、プラントを経済的に、かつ、長期間にわたって安定運転することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各例で用いた反応装置、および測定方法は以下の通りである。
[反応装置]
反応装置としては、図1に示す反応装置1を用いた。
反応器10としては、内径8.0mの縦型円筒型流動層反応器を使用した。
また、反応器10およびガス供給導管20には、炭素鋼を使用した。
触媒としては、粒子径1〜200μmのシリカに担持された複合酸化物触媒を使用した。
[ビッカース硬さの測定]
JIS Z 2244のビッカース硬さ試験に準拠して、以下のようにしてビッカース硬さを測定した。
ダイヤモンド製の正四角錐圧子を用い、ガス供給導管表面に圧子を押し付けた際の試験荷重F[N]を、押し付けた跡に残ったピラミッド型窪みの対角線長さd[mm]より求めた表面積で割った値をビッカース硬さ[HV]として、下記式(1)より算出した。
ビッカース硬さ=0.1891×F/(d) ・・・(1)
ビッカース硬さは無次元数であり、一般的にビッカース硬さが300HVを超えるような領域は、機械的性質が大きく変化する脆性領域となる。そのため、ビッカース硬さの管理値上限を脆性領域以下の280HVに設定し、設定値を超える場合には、炭素鋼材の窒化が著しく進行して機械的強度が低下していると判断し、ガス供給導管の枝管部のみ、またはガス供給導管全体を新規なものと交換する対応とした。
[打撃試験]
木槌を用いてガス供給導管のニップル部を打撃し、目視にて割れを確認した。
[実施例1]
図1に示す反応装置1を用い、反応温度420〜465℃において、複合酸化物触媒の存在下、ガス状プロピレンとガス状アンモニアと酸素含有ガスと水蒸気を反応器10内に供給し、プロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの合成反応を行った。
酸素含有ガスとしては空気を用い、反応器10の底部に設けられたガス供給口30から反応器10内に供給し、ガス分散板40を通じて反応器10内に分散させた。
別途、プロピレンとアンモニアをそれぞれ蒸発器(図示略)で気化し、さらにそれぞれ過熱器(図示略)により40℃以上まで過熱した後、ガス供給導管20内で水蒸気と混合し、ガス供給導管20のニップル部23において混合ガスの流れを整えた後に、50〜70cm/secのガス流速で反応器10内へ供給した。
反応器10内に供給する原料ガスの組成は、ガス状プロピレン/ガス状アンモニア/酸素=1/1.0〜1.3/1.7〜2.5であった。
ガス供給導管20に導入する水蒸気の量は、ガス状アンモニア1モルに対し、0.05〜0.5モルであった。また、ガス供給導管20内で混合されたプロピレンとガス状アンモニアと水蒸気との混合ガスの温度は40℃であった。
複数のサイクロン50によって、アクリロニトリルを含む反応生成ガスと、未反応の原料ガスおよび水蒸気と、複合酸化物触媒との混合物を、アクリロニトリルを含むガスと複合酸化物触媒とに分離した後、アクリロニトリルを含むガスは第三のサイクロン50cのガス流出管52cから反応器10の外に導出し、複合酸化物触媒はディップレグ53a〜53cを介して触媒流動層11に返送した。
上記条件にて反応装置1を2年間運転した後に、ガス供給導管20の点検を行った。
ガス供給導管20およびその枝管部21について、炭素鋼材の健全性確認のためにビッカース硬さの測定を実施した。結果を表1に示す。
また、木槌を用いてニップル部23を打撃し、割れが認められた部分がニップル部23全数に占める割合を求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
ガス供給導管20に導入する水蒸気の量を、ガス状アンモニア1モルに対し、1.0〜2.0モルに変更した以外は、実施例1と同様にしてプロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの合成反応を行い、ビッカース硬さの測定および打撃試験を実施した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ガス供給導管20に導入する水蒸気の量を、ガス状アンモニア1モルに対し、0.01〜0.02モルに変更した以外は、実施例1と同様にしてプロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの合成反応を行い、ビッカース硬さの測定および打撃試験を実施した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ガス供給導管20へ水蒸気を導入しなかった以外は、実施例1と同様にしてプロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの合成反応を行い、ビッカース硬さの測定および打撃試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 0005906734
表1から明らかなように、ガス状アンモニアと水蒸気とをガス供給導管内で混合して反応器内に供給した実施例1〜3の場合、ビッカース硬さは200HV以下であり、窒化腐食による硬度上昇は認められなかった。
また、打撃試験の結果は、実施例1の場合がニップル部全数の2%以下に硬度上昇による割れが認められ、実施例2の場合が全数の5%以下に硬度上昇による割れが認められ、実施例3の場合が全数の25%に硬度上昇による割れが認められた。そこで、割れが認められたニップル部のみ新規なものと交換した。
一方、水蒸気と混合せずにガス状アンモニアを反応器内に供給した比較例1の場合、ビッカース硬さは280HV超であり、窒化腐食による硬度の上昇が認められ、機械的強度を維持することが困難となった。
また、打撃試験の結果は、ニップル部全数の53%に硬度上昇による割れが認められた。そのため、ニップル部および枝管部を含むガス供給導管全てを交換せざるを得なくなった。
以上の結果より、本発明の含窒素化合物の製造方法は、ガス供給導管内に少なくともガス状アンモニアと水蒸気とを導入し、該ガス供給導管からガス状アンモニアと水蒸気を含む混合ガスを反応器内に供給するので、ガス供給導管の窒化腐食に伴う破損を抑制することが可能であることが示された。
1:反応装置、10:反応器、11:触媒流動層、20:ガス供給導管、21:枝管部、22:オリフィス部、23:ニップル部、30:ガス供給口、40:ガス分散板、50:サイクロン、50a:第一のサイクロン、50b:第二のサイクロン、50c:第三のサイクロン、51:流入口、52:ガス流出管、53:ディップレグ。

Claims (4)

  1. 炭素数1〜6の炭化水素から選ばれる少なくとも一つのガス状化合物と、ガス状アンモニアと、酸素含有ガスとを流動層反応器内に供給し、気相反応により含窒素化合物を製造する方法において、
    前記流動層反応器には、少なくともガス状アンモニアを前記流動層反応器内に供給するガス供給導管と、酸素含有ガスを前記流動層反応器内に供給するガス供給口とがそれぞれ別々に設けられ、前記流動層反応器およびガス供給導管が金属材料から構成され、
    前記ガス供給導管内に、少なくともガス状アンモニアと水蒸気とを導入し、該ガス供給導管からガス状アンモニアと水蒸気を含む混合ガスを前記流動層反応器内に供給することを特徴とする含窒素化合物の製造方法。
  2. 前記ガス供給導管内に導入する水蒸気の量が、ガス状アンモニア1モルに対し、0.01〜2.0モルであることを特徴とする請求項1に記載の含窒素化合物の製造方法。
  3. 前記ガス状化合物がプロピレンおよび/またはプロパンであり、前記気相反応がアクリロニトリルを合成する反応であることを特徴とする請求項1または2に記載の含窒素化合物の製造方法。
  4. 前記ガス状化合物がイソブチレンおよび/またはイソブタンであり、前記気相反応がメタクリロニトリルを合成する反応であることを特徴とする請求項1または2に記載の含窒素化合物の製造方法。
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