JP5906674B2 - 中空糸炭素膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空糸状の第1の炭素膜と、前記第1の炭素膜の外表面に設けられた第2の炭素膜とを備える中空糸炭素膜、およびその製造方法に関する。
近年の環境問題や省エネルギー化の観点から、各種のガスなどの混合物からの分離、有機溶剤の脱水・精製プロセスなどにおいて膜分離法が注目を集めている。用いられる分離膜には、ポリイミド膜、ポリスルホン膜などの高分子膜が提案されているが、このような高分子膜は耐熱性および耐溶剤性に問題がある。また、高分子膜と比較して耐熱性に優れるゼオライト膜を分離膜に用いることも知られているが、ゼオライト膜では耐酸性に乏しいという問題があった。
近年、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性に優れた分離膜として、炭素膜が開発されている。このような炭素膜は、支持体(多孔質基材)の表面に形成された支持体型炭素膜と、支持体を用いない自立型炭素膜との2種類に大きく分類される。自立型炭素膜は、その代表的なものに平膜型、中空糸型があり、中でも、単位容積あたりの膜面積を大きくできることから中空糸型(中空糸炭素膜)が好適であると考えられている。
自立型である中空糸炭素膜において、緻密かつ親水性の高い膜構造を形成させるためには、前駆体としてスルホン化ポリマーを用いることが有効であることが知られている。たとえば、特開2009−34614号公報(特許文献1)には、スルホン化ポリフェニレンオキサイド(SPPO)を前駆体とする中空糸炭素膜が開示されている。
また炭素膜の課題として、混合物の膜分離の観点から、高透過性と高選択性の両立が挙げられる。たとえば特開2010−269229号公報(特許文献2)ではアルコールからの脱水が検討されており、炭素膜の内部に親水性の金属イオンを過剰に導入することで炭素膜を親水化し、なおかつアルコールの吸着を抑制させることで水の高透過性と高選択性を得ようとしている。
また特開2006−231095号公報(特許文献3)には、ポリフェニレンオキサイド(PPO)を前駆体とした気体分離用の中空糸炭素膜が開示されている。
一方、支持体型炭素膜としては、たとえば特許第3647985号公報(特許文献4)には、セラミクス多孔質体表面にシリカゾル、アルミナゾルなどのコーティング層を形成し、その表面に密着した炭素膜を形成することによる分子ふるい炭素膜が開示されている。また、特開2010−510870号公報(特許文献5)には、多孔質基材の表面に第1の炭素膜(炭素膜下地層)と、第1の炭素膜の表面にあり、第1の炭素膜より膜厚が薄くかつ平均細孔径が小さい第2の炭素膜(炭素膜分離層)を備えた炭素膜積層体が開示されている。
特開2009−34614号公報 特開2010−269229号公報 特開2006−231095号公報 特許第3647985号公報 特開2010−510870号公報
本発明者らは、特許文献1の記載に従って、SPPO中空糸炭素膜の作製を試みた。しかしながら、作製されたSPPO中空糸炭素膜は、膜構造が非常に緻密となるため溶媒から水を除去する浸透気化分離法における分離性能は非常に優れるものの、膜構造全体が緻密化するため、透過性能は低くなってしまうという問題が生じた。また、特許文献1に開示されたSPPO中空糸炭素膜では、スルホン化度の高い(たとえば特許文献1に実施例として記載されたスルホン化度45%)SPPOは、ポリマーの親水性が高いために、紡糸工程中で水分を多量に含む結果、膜の強度が弱くなるうえ、乾燥工程において中空糸膜同士が接着しやすいなど、大量生産工程における取扱い性に困難を生じる。
特許文献2に記載された発明は、膜全体に金属を導入すると、透過物質である水との親和性は向上するが、膜断面における表面(上流側)〜中心部〜裏面(下流側)の全てで親水性が上がるため、表面(上流側)における水の選択性は向上するが、膜中心部の拡散および膜外(下流側)へ脱離で弊害が生じ、依然として透過流速は低いものであった。
また、本発明者らは、特許文献3の記載に従ってPPO中空糸炭素膜の作製を試みた。しかしながら、作製されたPPO中空糸炭素膜は、細孔径が比較的大きく、かつ細孔内の疎水性が高い炭素膜であるために、水分子は容易に透過しやすい構造であるが、親水性の低い溶媒から水を除去する場合には水が選択的に透過されず、分離性能が低いという問題を生じる。またPPO中空糸炭素膜の膜細孔内に吸着した前記親水性の低い溶媒の分子により水分子の透過が阻害されるため、結果的に全体の透過量も小さいものとなる。また、特許文献3に記載のPPO中空糸炭素膜は、柔軟性に乏しいため破損しやすく、分離膜モジュールの製造工程における取扱い性に困難を生じるという問題もあった。
さらに、特許文献4、5に記載されたような支持体型炭素膜では、炭素ではないセラミックなどの異素材を多孔質基材に用いるため、炭素とセラミックなどの異素材とでは熱膨張率が異なるため、焼成中、または、使用中にクラックや剥離が生じる問題もあった。また、特許文献5に開示された炭素膜積層体については、平均細孔径のサイズだけでは透過性と選択性を両立するには不十分であり、透過物質との親和性が考慮されていないため、依然として選択性は低いものであった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、混合物の分離膜として使用する際に高透過性と高選択性とを両立することができ、かつ、モジュール化に必要な柔軟性を確保し、実用性の高い中空糸炭素膜およびその製造方法を提供することである。
本発明の中空糸炭素膜は、中空糸状の第1の炭素膜と、前記第1の炭素膜の外表面に設けられた第2の炭素膜とを備え、破断伸度が1〜4%であり、前記第2の炭素膜が前記第1の炭素膜よりも透過成分である水との親和性が高いことを特徴とする。
本発明の中空糸炭素膜において、前記第2の炭素膜の前駆体ポリマーは、下記の式(I)で表わされる繰り返し単位Aと、下記の式(II)で表わされる繰り返し単位Bとの繰り返し構造を有しており、
Figure 0005906674
Figure 0005906674
前記式(I)および前記式(II)において、それぞれ、mおよびnはそれぞれ1以上の自然数であり、前記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、金属元素で部分的または全体的に中和されていてもよいスルホン基、カルボキシル基、ホスホン酸基を示し、RおよびRは同時に水素原子を示さず、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとの総数に対する前記繰り返し単位Bの数の百分率の割合が、15%よりも大きく、100%よりも小さいことが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜において、前記式(II)におけるR1およびR2は、それぞれ独立に、−SO3M、−SO3Hまたは水素原子を示し、ここにおいてMは金属元素を示すことが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜は、前記第1の炭素膜の厚さが5〜100μmであり、前記第2の炭素膜の厚さが0.05〜20μmであることが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜は、引張弾性率が5GPa以上であることが好ましい。
発明の中空糸炭素膜は、水を含有する揮発性有機化合物から前記水を分離するために好適に用いられ得る。
本発明の中空糸炭素膜は、水分と揮発性有機化合物を含む空気から前記水分を透過させ、前記水分と前記揮発性有機化合物を分離するためにも好適に用いられ得る。
本発明はまた、前記第1の炭素膜の前駆体ポリマーである第1の前駆体ポリマーを作製する工程と、前記第2の炭素膜の前駆体ポリマーである第2の前駆体ポリマーを作製する工程と、中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面に第2の前駆体ポリマーが設置された中空糸炭素膜前駆体を形成する工程と、中空糸炭素膜前駆体を炭素化処理する工程とを含む、中空糸炭素膜の製造方法についても提供する。
本発明の中空糸炭素膜の製造方法においても、前記第2の炭素膜の前駆体ポリマーは、下記の式(I)で表わされる繰り返し単位Aと、下記の式(II)で表わされる繰り返し単位Bとの繰り返し構造を有しており、
Figure 0005906674
Figure 0005906674
前記式(I)および前記式(II)において、それぞれ、mおよびnはそれぞれ1以上の自然数であり、前記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、金属元素で部分的または全体的に中和されていてもよいスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基を示し、RおよびRは同時に水素原子を示さず、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとの総数に対する前記繰り返し単位Bの数の百分率の割合が、15%よりも大きく、100%よりも小さいことが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜の製造方法においても、前記式(II)におけるRおよびRは、それぞれ独立に、−SOM、−SOHまたは水素原子を示し、ここにおいてMは金属元素を示すことが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜の製造方法において、前記第1の前駆体ポリマーは、ポリフェニレンオキサイドであり、前記第2の前駆体ポリマーは、スルホン化ポリフェニレンオキサイドであることが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜の製造方法は、前記炭素化処理する工程の前に、前記中空糸炭素膜前駆体を耐炎化処理する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、表側に透過成分と親和性が高い第2の炭素膜を配置し、裏側に透過成分との親和性が低い第1の炭素膜を配置することにより、高い選択性と高い透過性を両立させることが可能となる。また本発明の中空糸炭素膜は、柔軟性にも優れるため、破損しにくく、モジュール化が容易であり、実用性に優れたものである。
本発明の好ましい一例の中空糸炭素膜10の断面図である。 図2(a)は、図1に示した例の中空糸炭素膜10の正面図であり、図2(b)は図2(a)を一部拡大して示す図である。 引張試験に用いたサンプル台紙21を模式的に示す図である。 浸透気化装置を模式的に示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
図1は、本発明の好ましい一例の中空糸炭素膜10の断面図、図2(a)は、図1に示した例の中空糸炭素膜10の正面図、図2(b)は図2(a)を一部拡大して示す図である。図1および図2に示す例の本発明の中空糸炭素膜10は、中空糸状の第1の炭素膜1と、前記第1の炭素膜1の外表面に設けられた第2の炭素膜2とを備え、前記第2の炭素膜2は、前記第1の炭素膜1よりも透過成分との親和性が高いことを特徴の1つとする。
図1および図2には、第1の炭素膜1の外表面に第2の炭素膜2を設けた例を示している。この場合、透過成分を含む混合物を中空糸の外表面側である第2の炭素膜2の側から接触させることになる。透過成分を含む混合物と接触した第2の炭素膜2はまず、混合物の中から透過成分を選択し、第2の炭素膜2中に取り込む。第2の炭素膜2中に取り込まれた透過成分は、第2の炭素膜2中を拡散し、その下層にある第1の炭素膜1中に移行し、第1の炭素膜1中に拡散した後、第1の炭素膜1から脱着して透過する。このように本発明の中空糸炭素膜においては、第1の炭素膜1と第2の炭素膜2とで異なる特性が要求されることになる。
ここで、第1の炭素膜1および第2の炭素膜2としては、炭素を主成分として含む多孔質膜を用いることができる。第1の炭素膜1および第2の炭素膜2は、炭素を主成分として含むものであれば、炭素以外の成分を含んでいてもよい。第1の炭素膜1、第2の炭素膜2中における炭素の含有量は、いずれも、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「主成分」とは、膜の構成成分中において含有量(質量%)が最も大きい成分のことを意味する。なお、中空糸炭素膜10の構成成分およびその含有量は、たとえば、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:EDS)により、それぞれ特定することができる。
さらに、本発明者らは、中空糸炭素膜10の破断伸度が1〜4%である場合には、ガス分離性能に優れ、かつ柔軟性にも優れるため、破損しにくく、モジュール化が容易であり、実用性に優れた中空糸炭素膜を提供できることを見い出した。中空糸炭素膜10の破断伸度が1%未満である場合には、中空糸炭素膜として十分な柔軟性が得られず、破損しやすいため、モジュール作製時の取扱い性に困難を生じるという不具合があり、また、4%を超える場合には、炭素化が十分に進行していないために耐酸性、耐薬品性、ガス分離性能が十分でないという不具合がある。すなわち、中空糸炭素膜としての柔軟性を確保し、かつ炭素膜としての耐酸性、耐薬品性、ガス分離性能をも向上させるという理由からは、中空糸炭素膜10の破断伸度は、1.5〜3.5%の範囲内であることが好ましい。なお、中空糸炭素膜10の破断伸度は、日本工業規格「炭素繊維−単繊維の引張特性の試験法」(JIS R7606)に準拠して、たとえば引張試験機テクノグラフ(TGI−200NまたはTG−200NBミネベア株式会社製)を用いて引張試験を行なうことで測定することができる。
また、中空糸炭素膜10の引張弾性率は、5GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましい。中空糸炭素膜10の引張弾性率が5GPa未満である場合には、破断伸度が高くとも、炭素化が十分に進行していないために耐酸性、耐薬品性、ガス分離性能が十分でない場合があるためである。また、炭素化が進行しすぎると、炭素膜としての弾性率は高くなるが、欠陥が多くなるため、伸度が低下する結果、柔軟性が失われ、さらには欠陥に起因するガス分離性能の低下が起こりやすい。これらの理由からは、中空糸炭素膜10の引張弾性率は、50GPa以下であることが好ましく、30GPa以下であることがより好ましい。なお、中空糸炭素膜10の引張弾性率は、日本工業規格「炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法」(JIS R7606:2000)に準拠し、上述した破断伸度の測定に使用した引張試験機を用いて測定することができる。このとき引張弾性率を評価するための、中空糸炭素膜の断面積の測定は、日本工業規格「炭素繊維−単繊維の直径及び断面積の試験方法」(JIS R7607:2000)のC法に準拠し、樹脂片に包埋した中空糸炭素膜の繊維軸方向に垂直な面を研磨し、その横断面を走査型顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)によって撮影し、20本の中空糸膜の断面の面積を測定し、平均値を求めることで可能である。
本発明に用いられる第1の炭素膜の前駆体ポリマー(第1の前駆体ポリマー)は、炭素化処理した後も、第1の炭素膜が中空糸状の構造体(支持層)として働き得るような強度と柔軟性が必要である。また、混合物中に含まれる透過成分が水である場合には、水を効率よく拡散し、第1の炭素膜の外へ効率よく排出することが重要である。このため、第1の炭素膜は、第2の炭素膜よりも透過成分に対する親和性が低いことが要求される。また、第1の炭素膜の前駆体ポリマーの分子構造は、加熱処理の過程で、第2の炭素膜の前駆体ポリマーの構造と熱による架橋が起こりやすい構造であることが好ましい。これにより、自立型の中空糸炭素膜において、異種材料で形成された第1の炭素膜と第2の炭素膜との界面の剥離を起こりにくくすることができる。
第1の前駆体ポリマーとしては、たとえば、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルスルホンなど、公知の炭素化可能なポリマーを好適に用いることができる。中でも、ポリフェニレンオキサイドは炭素化収率が高く、比較的安価であるためより好ましい。ポリフェニレンオキサイドの分子量は、特に制限されないが、中空糸として紡糸ができ、中空糸の形状を保持できる理由から、重量平均分子量が5000〜100000の範囲内であることが好ましい。
本発明の中空糸炭素膜における第2の炭素膜は、混合物中から透過成分を選択的に膜中に取り組むことが重要であり、透過成分との親和性が高いことが要求される。すなわち、混合物中に含まれる透過成分が水である場合、第2の炭素膜は水との親和性が高い(親水性)であることが好適である。ここで、炭素膜の特性は、炭素化処理前の前駆体ポリマーの特性を反映する。したがって第2の炭素膜の親水性を高めるためには、第2の炭素膜の前駆体ポリマー(第2の前駆体ポリマー)の親水性が高いことが好ましい。
親水性が高い第2の前駆体ポリマーとしては、特に制限されるものではないが、下記の式(I)で表わされる繰り返し単位Aと、下記の式(II)で表わされる繰り返し単位Bとの繰り返し構造を有することが好ましい。
Figure 0005906674
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ここで、前記式(I)および前記式(II)において、それぞれ、mおよびnはそれぞれ1以上の自然数であり、これらは特に制限されないが、mは好ましくは1〜2000の範囲内、より好ましくは5〜1000の範囲内であり、nは好ましくは1〜2000の範囲内、より好ましくは5〜1000の範囲内である。
前記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、金属元素で部分的または全体的に中和されていてもよいスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基を示し、RおよびRは同時に水素原子を示さない。親水性が高いだけでなく、製膜性や構造制御性が高いという観点からは、R1およびR2は、それぞれ独立に、−SOM、−SOHまたは水素原子を示すポリフェニレンオキサイドを用いることが特に好ましい。ここで、Mは金属元素を示し、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価の金属元素、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄など2価以上の金属元素から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、金属の入手しやすさ、取り扱いやすさの観点からは、金属元素としてはナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
本発明に用いられる第2の前駆体ポリマーは、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとの総数に対する前記繰り返し単位Bの数の百分率の割合が、15%よりも大きく、100%よりも小さいことが好ましい。前記割合(RおよびRがそれぞれ独立に、−SOM、−SOHまたは水素原子を示す場合には、スルホン化度(DS))が15%以下である場合には、透過成分との親和性が小さいという傾向がある。前記割合は、透過成分との親和性をもたらす観点からは、30%より大きいことがより好ましく、40%より大きいことが特に好ましい。また、親和性が高すぎると、空気中の水分を含み膨潤するなどの観点からは、80%より小さいことがより好ましく、60%よりも小さいことが特に好ましい。
本発明に用いられる第2の前駆体ポリマーはまた、下記の式(III)で表わされる繰り返し単位Cと下記の式(IV)で表わされる繰り返し単位Dとの繰り返し構造を有するスルホン化ポリエーテルスルホン(SPES)であってもよい。この場合、繰り返し単位Cと繰り返し単位Dとの総数に対する繰り返し単位Dの数の百分率の割合DS(スルホン化度:100×(繰り返し単位Dの数)/(繰り返し単位Cと繰り返し単位Dとの総数))が、15<DS<100、好ましくは30<DS<100、より好ましくは40<DS<100の関係式を満たすスルホン酸基を含有するスルホン化ポリエーテルスルホンであることが好ましい。スルホン化ポリエーテルスルホンの繰り返し単位Cと繰り返し単位Dとの総数に対する繰り返し単位Dの数の百分率の割合DSが大きくなるにつれて、後述する炭素化処理工程を経て得られる第2の炭素膜2の親水性が大きくなるため、水の分離性能が高くなる傾向にある。
Figure 0005906674
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なお、前記式(III)および前記式(IV)において、それぞれ、kおよびlはそれぞれ1以上の自然数であり、これらは特に制限されないが、kは好ましくは1〜2000の範囲内、より好ましくは5〜1000の範囲内であり、lは好ましくは1〜2000の範囲内、より好ましくは5〜1000の範囲内である。
また前記式(IV)において、RおよびRは、ともにスルホン酸基であり、−SOM、または−SOHを示す。ここで、Mは金属元素を示し、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価の金属元素、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄など2価以上の金属元素から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、中空糸炭素膜を作製したとき、浸透気化分離に好適な炭素膜の細孔サイズが得られ、炭素膜の親水性がより高くなるという理由から、金属元素としてはナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
本発明の中空糸炭素膜10を構成する第1の炭素膜1の厚さT1については特に制限されるものではないが、強度と柔軟性の両立の観点から、5〜100μmの範囲内であることが好ましく、5〜50μmの範囲内であることがより好ましく、5〜30μmの範囲内であることが特に好ましい。
また本発明の中空糸炭素膜10を構成する第2の炭素膜2の厚さT2についても特に制限はされないが、透過成分が第1の炭素膜1に迅速に移行することが好ましいため、第1の炭素膜1よりも膜厚が薄い方が好ましい。具体的には、第2の炭素膜2の厚さT2は0.05〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.05〜10μmの範囲内であることがより好ましい。第2の炭素膜2の厚さT2が0.05μm未満である場合には、第2の炭素膜に欠陥が生じる可能性が高く、また、20μmを超える場合には、透過成分が迅速に第1の炭素膜に移行しにくくなる傾向にあるためである。
第1の炭素膜1と第2の炭素膜2との総膜厚(T1+T2)は、1〜50μmとすることが好ましい。中空糸炭素膜10の第1の炭素膜1と第2の炭素膜2との総膜厚(T1+T2)が1μm未満である場合には、自立型の中空糸炭素膜として十分な柔軟性が得られず、破損しやすいという傾向にあるためであり、また、50μmを超える場合には、気体分子の透過抵抗が大きくなりすぎるため、ガス分離膜として十分な透過流量が得られないという傾向にあるためである。すなわち中空糸炭素膜としての柔軟性を確保しつつ、しかもガス分離の透過流量も確保するという理由からは、中空糸炭素膜10の第1の炭素膜1と第2の炭素膜2との総膜厚(T1+T2)は5〜20μmであることがより好ましい。
また、中空糸炭素膜10の外径は、特に制限されないが、50〜500μmとすることが好ましい。中空糸炭素膜10の外径が50μm未満である場合には、前駆体中空糸膜の紡糸工程において作製が難しくなり、また、中空糸炭素膜10の内径が小さくなりすぎるため異物による詰りなども起こりやすくなるという傾向にあるためである。また、中空糸炭素膜10の外径が500μmを超える場合には、中空糸炭素膜10の外径が大きくなるほど中空糸炭素膜10が破断する最小曲げ半径は大きくなり、取り扱い性が悪くなる傾向にあるためである。すなわち作製の容易さ、中空糸炭素膜10の中空部3に十分なスペースを与えること、さらに中空糸炭素膜10としての十分な柔軟性をも確保するという理由からは、中空糸炭素膜10の外径は100〜400μmであることがより好ましい。
なお、第1の炭素膜1の厚さT1、第2の炭素膜2の厚さT2、第1の炭素膜1と第2の炭素膜2との総膜厚(T1+T2)、および中空糸炭素膜10の外径は、それぞれ、たとえば、上記の樹脂片に包埋した中空糸炭素膜の断面をSEMにより評価する方法を用いることができる。
本発明の中空糸炭素膜は、(1)第1の前駆体ポリマーを作製する工程と、(2)第2の前駆体ポリマーを作製する工程と、(3)中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面または内表面に第2の前駆体ポリマーが設置された中空糸炭素膜前駆体を形成する工程と、(4)中空糸炭素膜前駆体を炭素化処理する工程とを含む方法によって好適に製造することができる。本発明は、上記(1)〜(4)の工程を含む中空糸炭素膜の製造方法についても提供するものである。
上述した本発明の中空糸炭素膜の製造方法の各工程は、当分野で従来より用いられている方法を適宜組合せることで好適に実施することができる。中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面に第2の前駆体ポリマーが設置された中空糸炭素膜前駆体を形成する方法としては、たとえば、中空糸状に成形した第1の前駆体ポリマーを第2の前駆体ポリマーを溶解した溶液に含浸させた後、引き上げて乾燥処理するディップコート法を挙げることができる。膜構造制御が容易かつ製造工程も簡易であることから、中空糸炭素膜前駆体を形成するのに特に好適である。
この場合、第1の前駆体ポリマーを中空糸状に成形する方法としては、特に限定されないが、後述する炭素化処理する工程後の中空糸炭素膜の破断伸度が1〜4%、好ましくは1.5〜3.5%となるような方法で行なわれる。そのような方法としては、たとえば、〔1〕第1の前駆体ポリマーを非プロトン性溶媒に溶解させる工程(溶解工程)と、〔2〕第1の前駆体ポリマーを温度誘起相分離点以上の温度で紡糸ノズルより吐出し、中空糸状にする工程(吐出工程)と、〔3〕中空糸状の第1の前駆体ポリマーを水あるいは水と有機溶媒の混合溶液により凝固させる工程(凝固工程)と、〔4〕凝固した中空糸状の第1の前駆体ポリマーを、溶媒置換処理を行なうことなく、水を含んだ状態から乾燥させる工程(乾燥工程)とを含む方法を好適に用いることができる。以下、上記の〔1〕〜〔4〕の工程を含む方法について説明する。
〔1〕溶解工程
まず、第1の前駆体ポリマーとしてたとえばポリフェニレンオキサイド(PPO)を非プロトン性溶媒に溶解させる。PPOの溶媒は、たとえば公知文献(G. Chowdhury, B. Kruczek, T. Matsuura, Polyphenylene Oxide and Modified Polyphenylene Oxide Membranes Gas, Vapor and Liquid Separation, 2001, Springer)にまとめられているように、ベンゼン、トルエン、クロロホルムなど環境負荷が大きく、人体に有害なものが多い。一方、たとえば特開平3−65227号公報には、およそ100℃以上の温度では、比較的環境負荷の小さい非プロトン性の溶媒にPPOが溶解されることが開示されている。本発明において用いられる非プロトン性溶媒としては、たとえばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどが用いられ、中でもPPOの溶解性が特に優れることから、非プロトン性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることが好ましい。
非プロトン性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いる場合、N−メチル−2−ピロリドンはおよそ100℃以上の温度でPPOを均一に溶解することができる。またN−メチル−2−ピロリドンに所望の貧溶媒(たとえばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)をポリマーの溶解性が確保される範囲で添加して、膜の細孔径や細孔径分布を変更することもできる。
〔2〕吐出工程
続く工程では、上述のようにして第1の前駆体ポリマーを非プロトン性溶媒に溶解させた溶液(紡糸原液)を、紡糸ノズルより吐出させて中空糸状にする。本発明における紡糸の形式は特に制限されるものではなく、従来公知の紡糸法を適用することができるが、第1の炭素膜1の構造制御を精密に行なう観点および、作製の容易さの観点からは、乾湿式紡糸法を適用することが好ましい。
吐出工程において、紡糸原液は、温度誘起相分離点以上の温度で吐出させる。ここで、「温度誘起相分離点」とは、温度により誘起された相分離により固化しない温度を指し、たとえばPPOをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた紡糸原液の温度誘起相分離点は、紡糸原液濃度や溶媒組成により変動するが、概ね80℃(50〜120℃)である。したがって当該工程では、80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上の温度で、均一な液体状を保った状態で、二重円筒管ノズルより内液とともに紡糸する。なお、吐出工程の際の温度は、溶媒の沸点以下に設定することはいうまでもなく、かつ紡糸原液の粘度を低くしすぎて紡糸安定性を損なわないという観点から、200℃以下とすることが好ましく、180℃以下とすることがより好ましい。
上述のように内液とともに吐出された中空糸状の紡糸原液は、内液との非溶媒誘起相分離により凝固される。内液は、中空糸状に吐出された紡糸原液の内側に吐出され、非溶媒誘起相分離により、紡糸原液を凝固させ得るものが好適に用いられる。このような内液としては、紡糸原液を上述のように100℃以上で吐出させる場合には、水よりも沸点の高い溶媒が好適に用いられる。このような内液としては、たとえばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。中でも、内液として後の水洗処理が容易となる理由から、エチレングリコールを用いることが好ましい。
〔3〕凝固工程
上述した吐出工程で吐出された紡糸原液は、続く凝固工程において、貧溶媒で満たされた凝固浴に浸漬される。なお、中空糸膜表面のポリマー濃度を高くして、表面を緻密にするなどの膜構造制御の観点から、吐出工程の後、中空糸状に形成された紡糸原液は、溶媒を部分的に乾燥処理した後に、当該凝固工程に供するようにすることが好ましい。凝固工程では、中空糸状に形成された紡糸原液は、非溶媒誘起相分離により、中空糸状物に凝固する。
当該凝固工程に用いられる貧溶媒としては、紡糸原液中の第1の前駆体ポリマーを速やかに凝固させることが可能で、かつ使用が容易であるという理由から、水あるいは水と有機溶媒の混合溶液が用いられる。有機溶媒を混合する場合、当該有機溶媒としては、たとえばメタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でもN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
紡糸原液を浸漬する際の貧溶媒の温度は特に制限されないが、0〜50℃の範囲内であることが好ましく、0〜20℃の範囲内であることがより好ましい。貧溶媒の温度が0℃未満である場合には、凝固浴の液体が凍る、あるいは粘度が低下しすぎるため紡糸安定性が悪くなるという傾向があるためであり、また、貧溶媒の温度が50℃を超えると、凝固浴の粘度が低くなりすぎ、膜構造が不安定になったり、紡糸安定性が悪くなったりするという傾向があるためである。また、紡糸原液を貧溶媒に浸漬する時間についても特に制限されないが、十分凝固を進行させて、中空糸形状を保ち、かつ工程を無駄に長くしないという観点から、0.1〜100秒の範囲内であることが好ましく、1〜50秒の範囲内であることがより好ましい。
〔4〕乾燥工程
上述した凝固工程の後、凝固した中空糸状の第1の前駆体ポリマーを、溶媒置換処理を行なうことなく、水を含んだ状態から乾燥させる。なお、凝固工程で相分離を終えた中空糸状の第1の前駆体ポリマーは、十分に水洗して残存する溶媒を除去した後に、当該乾燥工程に供することが好ましい。
上記の乾燥工程で行なわない「溶媒置換処理」とは、たとえば水を含む中空糸状物を、アルコールなど表面張力が水よりも小さく、かつ水と混和する溶媒に、徐々に溶媒濃度を高くしながら、最終的に完全に上記溶媒に置換する手法である。また、アルコールに置換した中空糸状物は、シクロヘキサン、n−ヘキサンなど、さらに表面張力の小さい溶媒に置換される場合もある。表面張力の低い溶媒を含んだ状態から乾燥された中空糸状物は、初期の細孔構造が維持されやすいとされる。また、溶媒置換と類似の方法として、上記の吐出工程における凝固浴の貧溶媒をあらかじめ、表面張力の小さい、たとえばアルコールなどにする場合も同様の効果が得られる。
しかしながら、上記の乾燥工程においては、このような溶媒置換処理は不要である。本発明者らの知見によれば、このような溶媒置換処理を行なったとしても、吐出原液から形成した中空糸状物は、後述する耐炎化処理工程と炭素化処理工程において、その多孔構造は溶融し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した場合に、一見すると全体が緻密で一様な、いわゆる均質膜構造となってしまうためである。溶媒置換処理を行なって作製された中空糸炭素膜10は、このような均質膜構造であるにも関わらず、脆くなり、柔軟性が低くなってしまう。
これに対し、本発明者らは、水を含んだ膜を溶媒置換処理を行なわずに乾燥して中空糸炭素膜10を作製したところ、同様な均質膜構造が得られたにも関わらず、驚くべきことに柔軟性は、溶媒置換処理を行なった中空糸炭素膜と比較して、非常に優れることが明らかとなった。また両者のガス分離性および透過性には、大きな差異は見られなかった。すなわち溶媒置換処理を行なわず、水を含んだ状態から直接乾燥処理を行なうことが、中空糸炭素膜の優れた柔軟性とガス分離性能を発揮させるために好ましいことが分かった。
なお、二重円筒管ノズルの形状などを調節することによって、第1の炭素膜1の外径や厚さなどを適宜調節することができる。
次に、中空糸状に成形された第1の前駆体ポリマーの外表面上に第2の前駆体ポリマーを設置する。中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面上に第2の前駆体ポリマーを設置する工程は、特には限定されないが、たとえば、中空糸状に成形された第1の前駆体ポリマーを第2の前駆体ポリマーを含有するディップ液に浸漬させた後、引き上げ、乾燥させることにより行なうことができる。
第2の前駆体ポリマーは、前記繰り返し単位A(または繰り返し単位C)と前記繰り返し単位B(または繰り返し単位D)との総数に対する前記繰り返し単位B(または繰り返し単位D)の数の百分率の割合(第2の前駆体ポリマーが上述したスルホン化ポリフェニレンオキサイドまたはスルホン化ポリエーテルスルホンである場合にはスルホン化度(DS))に応じて溶媒溶解性が異なる。たとえば第2の前駆体ポリマーとして上述したスルホン化ポリフェニレンオキサイドを用いる場合には、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、水などの公知の溶媒およびこれらの混合溶媒を好適に用いることができる。
第2の前駆体ポリマーの繰り返し単位BにおけるRおよびR(または繰り返し単位DにおけるRおよびR)が上述した金属元素で部分的または全体的に中和される場合、当該金属元素は、ディップコート工程におけるポリマー溶液の原料ポリマーに導入されていてもよいし、ディップコート工程後に得られた中空糸炭素膜前駆体を金属イオンを含む溶液に浸漬して、所望の金属元素を導入する方法がとられてもよい。
ディップコート工程では、中空糸状に成形された第1の前駆体ポリマーを、第2の前駆体ポリマー(たとえば上述したスルホン化ポリフェニレンオキサイド)のディップ液に浸漬した後、引き上げて乾燥処理される。この際、ディップ液の濃度は1〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。所定の引上げ速度により、ディップ液がコートされた中空糸状の第1の前駆体ポリマーを引上げながら乾燥処理を施すことにより、所望の厚さのコート層(第2の炭素膜)を有する中空糸炭素膜前駆体を作製する。ディップコート工程中での、中空糸状の第1の前駆体ポリマーへのダストの付着は炭素膜の欠陥となるため、中空糸炭素膜前駆体はダストを低減した雰囲気中で作製されることが好ましい。コートムラやダストの付着を低減するために、前処理として溶媒に浸漬する、あるいはディップコートが複数回行われるなどの工夫がとられてもよい。
なお、三重円筒管ノズルを用いて、第1の前駆体ポリマーを含む紡糸原液と、第2の前駆体ポリマーを含む紡糸原液と、これらの紡糸原液を凝固するための内液とを同時に押し出して、乾式紡糸法、湿式紡糸法、または乾湿式紡糸法などを用いて、中空糸炭素膜前駆体を形成するようにしてもよい。
次に、中空糸炭素膜前駆体を炭素化処理することで、上述した本発明の中空糸炭素膜を得ることができるが、好ましくは、炭素化処理の前処理として、耐炎化処理が施される。耐炎化処理では、空気雰囲気下で150〜350℃、より好ましくは、200〜300℃で、30分間から4時間程度、中空糸炭素膜前駆体を加熱することにより、第1の前駆体ポリマーおよび第2の前駆体ポリマーの熱架橋反応が促進され、炭素化処理後の膜構造が強固なものとなり、分離性能や柔軟性の向上に有利である。また第1の前駆体ポリマーと第2の前駆体ポリマーとの界面で熱架橋が起こることにより、第1の炭素膜と第2の炭素膜との間で剥離の起こりにくい強固な中空糸炭素膜を製造することができる。
炭素化処理としては、従来公知の適宜の方法を採用することができる。具体的には、(好ましくは耐炎化処理が施された)中空糸炭素膜前駆体を高温炉内に収容し、減圧雰囲気下、またはヘリウム、アルゴンガス、窒素ガスなどで置換した不活性ガス雰囲気下で加熱処理することで焼成する方法を挙げることができる。また、(好ましくは耐炎化処理が施された)中空糸炭素膜前駆体を連続搬送しながら、不活性ガス雰囲気の下、高温処理する連続炭素化炉で中空糸炭素膜を製造する方法がとられてもよい。焼成の際の加熱条件は、中空糸炭素膜前駆体を構成するポリマーの種類などにより最適なものを選択することができるが、不活性ガス雰囲気中で、400〜1000℃で30分間から4時間の条件で焼成することが好ましく、500〜800℃で30分から2時間の条件で焼成することがより好ましい。焼成の際の温度が400℃未満である場合には、炭素化が不十分である虞があり、また、焼成の際の温度が1000℃を超える場合には、炭素化が進行しすぎて、得られた中空糸炭素膜が脆くなってしまう虞がある。
本発明の中空糸炭素膜は、水を含有する有機溶剤から前記水を分離するために好適に用いることができる。前記有機溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、酢酸、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどがあげられ、それらが1種類以上の混合系であってもかまわない。また、本発明の中空糸炭素膜を用いて分離を行うにあたり、水を含有する有機溶剤を、沸点未満まで加熱して液体の状態で行なっても、沸点以上に加熱して蒸気の状態で行なってもかまわない。
本発明の中空糸炭素膜の用途は、上述した用途に限定されるものでは勿論ない。
以下に本発明の実施例の詳細を示すが、本発明を制限するものではない。
<実施例1>
(第2の前駆体ポリマーの作製)
第2の前駆体ポリマーとして、ポリフェニレンオキサイド(PPO)をクロロホルムに溶解させた状態で、室温下、クロロ硫酸とクロロホルムとの混合溶液を滴下してスルホン化反応を進行させた後、乾燥処理を行い、スルホン化度DS=43%のスルホン化ポリフェニレンオキサイド(HSPPO)を得た。
(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)
N−メチル−2−ピロリドンとエチレングリコールとを質量比9:1で混合して作製した混合溶媒に、第1の前駆体ポリマー濃度が27.5質量%となるように、第1の前駆体ポリマーとしてのPPO(Poly(2,6−dimethyl−1,4−phenylene oxide 製品番号181781、アルドリッチ社製)を加え、150℃で撹拌することによって、均一な紡糸原液を得た。
続いて、130℃に保温した二重円筒管ノズルの内側から内液であるエチレングリコールを押し出すと同時に外側から上記の紡糸原液を押し出して、エアギャップで乾燥させた後、N−メチル−2−ピロリドン濃度が30質量%のN−メチル−2−ピロリドン水溶液で満たした凝固浴中で紡糸原液を固化することによって、中空糸状に成形された第1の前駆体ポリマーを作製した。その後、中空糸状に成形された第1の前駆体ポリマーを乾燥し、ワインダーで巻き取った。
(中空糸炭素膜前駆体の作製)
メタノールとジメチルアセトアミドとの質量比50/50の混合溶媒に対して、DS=43%のHSPPO(第2の前駆体ポリマー)を、ポリマー濃度10質量%となるように加えて、溶解させたものをディップ液浴槽に満たし、その中に中空糸状の第1の前駆体ポリマーを浸漬させた後、引上げながら乾燥処理を行うことで、中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面に第2の前駆体ポリマーを設けた中空糸炭素膜前駆体を得た。
(耐炎化処理)
得られた中空糸炭素膜前駆体を、電機炉にて空気雰囲気中、10℃/分の速度で270℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、中空糸炭素膜前駆体内の熱架橋を行なった。
(炭素化処理)
耐炎化処理された中空糸炭素膜前駆体を、高温炉を用いて、窒素雰囲気下で炭素化処理を行なった。10℃/分の速度で650℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、図1に示した中空糸炭素膜10を得た。膜の外径は200μm、第1の炭素膜1(支持層)の厚さT1は9μm、第2の炭素膜2(表層)の厚さT2は2μmであった。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製)
実施例1で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。
(第2の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例1の(第2の前駆体ポリマーの作製)と同様にして作製したDS=43%のHSPPOを用い、HSPPOをメタノールに常温で撹拌しながら溶解させ、ポリマー濃度30質量%の紡糸原液を作製した。これを二重円筒管ノズルから、該紡糸原液を内液である35%硝酸アンモニウム水溶液と同時に押出して、膜の内層を凝固させつつ、エアギャップにて乾燥処理を行なった後、純水で満たした凝固槽に浸漬した。湿潤した状態の中空糸状物をワインダーで巻き取った。得られたHSPPOを単独で用いて形成した湿潤中空糸状物は、束状で乾燥すると接着してしまい取り扱いが困難であったため、1m程度にカットした単糸を1本ずつ吊るした状態で、降伏強力以下、すなわち概ね1g程度の錘をつけて、中空糸状物中の内液を抜きつつ乾燥させた。次に、乾燥後の中空糸状物を上記実施例1と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のHSPPO中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
(第1の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例1の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)と同様の方法でPPO中空糸を作製し、実施例1と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
<実施例2>
(第2の前駆体ポリマーの作製)
第2の前駆体ポリマーとして、ポリフェニレンオキサイド(PPO)をクロロホルムに溶解させた状態で、室温下、クロロ硫酸とクロロホルムとの混合溶液を滴下してスルホン化反応を進行させた後、再沈させ、水洗した反応物を0.5M炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して、スルホン酸基をナトリウムで中和した後、水洗して残留した炭酸ナトリウム塩を完全に除去し、乾燥処理を行い、スルホン化度DS=43%のNa置換スルホン化ポリフェニレンオキサイド(NaSPPO)を得た。
(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)
実施例1と同様の方法でPPO中空糸状物を得た。
(中空糸炭素膜前駆体の作製)
メタノールとジメチルアセトアミドとの質量比50/50の混合溶媒に対して、DS=43%のNaSPPO(第2の前駆体ポリマー)を、ポリマー濃度10質量%となるように加えて、溶解させたものをディップ液浴槽に満たし、その中に中空糸状の第1の前駆体ポリマーを浸漬させた後、引上げながら乾燥処理を行うことで、中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面に第2の前駆体ポリマーを設けた中空糸炭素膜前駆体を得た。
(耐炎化処理)
得られた中空糸炭素膜前駆体を、電機炉にて空気雰囲気中、10℃/分の速度で270℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、中空糸炭素膜前駆体内の熱架橋を行なった。
(炭素化処理)
耐炎化処理された中空糸炭素膜前駆体を、高温炉を用いて、窒素雰囲気下で炭素化処理を行なった。10℃/分の速度で650℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、図1に示した中空糸炭素膜10を得た。膜の外径は200μm、第1の炭素膜1(支持層)の厚さT1は9μm、第2の炭素膜2(表層)の厚さT2は2μmであった。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製)
実施例2で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。
(第2の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例2の(第2の前駆体ポリマーの作製)と同様にして作製したDS=43%のNaSPPOを用い、NaSPPOをメタノールに常温で撹拌しながら溶解させ、ポリマー濃度30質量%の紡糸原液を作製した。これを二重円筒管ノズルから、該紡糸原液を内液である35%硝酸アンモニウム水溶液と同時に押出して、膜の内層を凝固させつつ、エアギャップにて乾燥処理を行なった後、純水で満たした凝固槽に浸漬した。湿潤した状態の中空糸状物をワインダーで巻き取った。得られたNaSPPOを単独で用いて形成した湿潤中空糸状物は、束状で乾燥すると接着してしまい取り扱いが困難であったため、1m程度にカットした単糸を1本ずつ吊るした状態で、降伏強力以下、すなわち概ね1g程度の錘をつけて、中空糸状物中の内液を抜きつつ乾燥させた。次に、乾燥後の中空糸状物を上記実施例2と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のNaSPPO中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
(第1の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例1の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)と同様の方法でPPO中空糸を作製し、実施例2と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
<実施例3>
(第2の前駆体ポリマーの作製)
第2の前駆体ポリマーとして、上記の式(III)および式(IV)にそれぞれ示される化学構造を有する繰り返し単位Aと繰り返し単位Bとの組み合わせからなるスルホン化ポリエーテルスルホン(SPES)を以下のようにして準備した。まず、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)、4,4’−ビフェノール、炭酸カリウム、およびモレキュラーシーブを四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。N−メチル−2−ピロリドンを加えて、150℃で50分撹拌した後、反応温度を195〜200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた。その後、放冷し、放冷後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、純水で丁寧に水洗することで、残留した炭酸カリウムを完全に除去した。その後、炭酸カリウムを除去した後のポリマーを乾燥させた。このポリマーを、0.5Mの炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、スルホン酸基をナトリウムで中和した。そして、炭酸ナトリウム水溶液への浸漬後のポリマーを水洗することによって、反応物に残留した炭酸ナトリウム塩を完全に除去した。その後、反応物を乾燥させて、目的物である第2の前駆体ポリマーとしてのスルホン化度DS=60%のNaSPESを得た。
(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)
実施例1と同様の方法でPPO中空糸状物を得た。
(中空糸炭素膜前駆体の作製)
ジメチルアセトアミド溶媒に対して、DS=60%のNaSPESを、ポリマー濃度8質量%となるように加えて、溶解させたものをディップ液浴槽に満たし、その中に支持体PPO中空糸膜を浸漬させた後、引上げながら乾燥処理を行うことで、中空糸炭素膜前駆体を得た。
(耐炎化処理)
得られた中空糸炭素膜前駆体を、電機炉にて空気雰囲気中、10℃/分の速度で270℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、中空糸炭素膜前駆体内の熱架橋を行なった。
(炭素化処理)
耐炎化処理された中空糸炭素膜前駆体を、高温炉を用いて、窒素雰囲気下で炭化処理を行なった。10℃/分の速度で650℃まで昇温させ、この温度で1時間加熱した後放冷し、目的物である中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、第1の炭素膜1(支持層)の厚さT1は9μm、第2の炭素膜2(表層)の厚さT2は3μmであった。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製)
実施例3で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。
(第2の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例3の(第2の前駆体ポリマーの作製)記載の方法で作製したDS=60%のNaSPESを用い、NaSPESの濃度が27.5質量%となるように、このNaSPESをN−メチル−2−ピロリドンに加え、150℃で撹拌することによって、NaSPESをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、均一な紡糸原液を得た。続いて、二重円筒管ノズルの内側から内液である硝酸アンモニウム濃度が15質量%の硝酸アンモニウム水溶液を押し出すと同時に外側から上記の紡糸原液を押し出して、エアギャップで乾燥させた後、純水で満たした凝固浴中で紡糸原液を固化することによって、中空糸状に成形されたNaSPESを作製した。その後、中空糸状に成形された湿潤状態のNaSPESをワインダーで巻き取った。得られた中空糸状に成形された湿潤状態のNaSPESを束にして乾燥させた場合には、NaSPESが互いに密着して、取り扱いが困難であった。そのため、NaSPESをそれぞれ1m程度の長さにカットして、1本ずつ吊るした状態で、それぞれの先端に1g程度の錘を取り付けて、中空糸状のNaSPES中の内液を抜きつつ乾燥させた。次に、乾燥後の中空糸状物を上記実施例2と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のNaSPPES中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
(第1の炭素膜の単独膜の作製)
上記実施例1の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)と同様の方法でPPO中空糸を作製し、実施例3と同様の条件で耐炎化処理および炭素化処理を施し、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、膜厚は10μmであった。
<比較例1>
(第2の前駆体ポリマーの作製)
実施例1と同様にしてDS=43%のHSPPO(第2の前駆体ポリマー)を作製した。
(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)
クロロホルムに、ポリマー濃度27.5質量%となるように、ポリフェニレンオキサイド(PPO)(Poly(2,6−dimethyl−1,4−phenylene oxide 製品番号181781、アルドリッチ社製)を加え、常温にて撹拌溶解させ、均一な紡糸原液を得た。二重円筒管ノズルから、該紡糸原液および内液としてエタノールを同時に常温の条件で押出して、エアギャップにて乾燥処理を行い、エタノールで満たした凝固槽で相分離させて、固化した中空糸状物を乾燥処理して巻取り、中空糸状の第1の前駆体ポリマーを得た。
(中空糸炭素膜前駆体の作製)
ジメチルアセトアミド溶媒に対して、DS=43%のHSPPOを、ポリマー濃度8質量%となるように加えて、溶解させたものをディップ液浴槽に満たし、その中に支持体PPO中空糸膜(中空糸状の第1の前駆体ポリマー)を浸漬させた後、引上げながら乾燥処理を行うことで、中空糸炭素膜前駆体を得た。
(耐炎化処理)
実施例1と同条件で処理を行なった。
(炭素化処理)
実施例1と同条件で処理を行い、中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、第1の炭素膜1(支持層)の厚さT1は10μm、第2の炭素膜2(表層)の厚さT2は2μmであった。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製)
比較例1で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。
(第2の炭素膜の単独膜の作製)
実施例1の(第2の炭素膜の単独膜の作製)記載と同様にして、単独のHSPPO中空糸炭素膜を得た。
(第1の炭素膜の単独膜の作製)
比較例1の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)記載の方法で作製したPPO中空糸を、比較例1で記載された方法で耐炎化処理、および、炭素化処理を行うことで、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。
<比較例2>
(第2の前駆体ポリマーの作製)
実施例2と同様にしてDS=43%のNaSPPO(第2の前駆体ポリマー)を作製した。
(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)
比較例1と同様にして、中空糸状の第1の前駆体ポリマーを得た。
(中空糸炭素膜前駆体の作製)
ジメチルアセトアミド溶媒に対して、DS=43%のNaSPPOを、ポリマー濃度8質量%となるように加えて、溶解させたものをディップ液浴槽に満たし、その中に支持体PPO中空糸膜(中空糸状の第1の前駆体ポリマー)を浸漬させた後、引上げながら乾燥処理を行うことで、中空糸炭素膜前駆体を得た。
(耐炎化処理)
実施例2と同条件で処理を行なった。
(炭素化処理)
実施例2と同条件で処理を行い、中空糸炭素膜を得た。膜の外径は200μm、第1の炭素膜1(支持層)の厚さT1は10μm、第2の炭素膜2(表層)の厚さT2は2μmであった。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製について)
比較例2で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。
(第2の炭素膜の単独膜の作製)
実施例2の(第2の炭素膜の単独膜の作製)記載と同様にして、単独のNaSPPO中空糸炭素膜を得た。
(第1の炭素膜の単独膜の作製)
比較例2の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)記載の方法で作製したPPO中空糸を、比較例2で記載された方法で耐炎化処理、および、炭素化処理を行うことで、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。
<比較例3>
実施例1の(中空糸状の第1の前駆体ポリマーの作製)記載の方法で作製したPPO中空糸を、実施例1で記載された方法で耐炎化処理、および、炭素化処理を行うことで、単独のPPO中空糸炭素膜を得た。
(水蒸気吸着測定用の単独膜の作製)
比較例3は支持層のみの構成であるため、比較例3記載のPPO中空糸炭素膜をそのまま用いた。
実施例および比較例で得られた中空糸炭素膜の評価方法は、以下のとおりである。
(膜形状および膜厚の評価方法)
実施例および比較例で得られた中空糸炭素膜の断面の外径、膜厚は走査型電子顕微鏡(SEM)により評価した。また中空糸炭素膜の第2の炭素膜の厚さは、中空糸炭素膜断面の表層側の第2の炭素膜と、内層側の第1の炭素膜にコントラストの差異が生じることを利用して評価した。
(水蒸気吸着測定)
実施例および比較例で得られた中空糸炭素膜における第1の炭素膜、第2の炭素膜の水との親和性評価は、第1の炭素膜、第2の炭素膜それぞれの単独の膜における水蒸気吸着測定より評価した。すなわち、第1の前駆体ポリマー、第2の前駆体ポリマーをそれぞれ単独で製膜し、耐炎化処理、炭素化処理を施した後、水蒸気吸着測定を行なった。各々の製法条件は実施例、比較例における第1の炭素膜の製法に準じ、耐炎化、炭素化は、各実施例、比較例で記載された条件を用いた。
具体的な評価方法として、サンプル50mgを150℃24時間真空乾燥した後、ASAP2020MC(マイクロメリティクス社製)を使用して、25℃における水蒸気の吸着測定を行なった。測定条件を以下に示す。
<分析条件>
・Dosing:Low Pressure incremental dose mode
・Dose amount:0.04461mmol/g
・Equilibrium interval:5s
・Po:23.640mmHg
・Temperature:25℃
<吸着ガス特性>
・Density conversion factor:0.0008055
・Therm. Trans hardsphere diameter:3.604Å
・Molecular cross−section area:0.108nm
(相対圧P/Po=0.03は、混合液中に含まれる比率の少ない水分の第2の炭素膜の水の選択性を、相対圧P/Po=0.9は、膜中に選択的に取り込まれた水分(高濃度)が第1の炭素膜または第2の炭素膜でどれだけ保持されやすいかの指標とした。
(破断伸度および引張弾性率の測定)
JIS R7606:2000に準拠して、引張試験機テクノグラフ(TG−200NB、ロードセル型式TT3D−10N、ミネベア株式会社製)を用いて、実施例1〜3および比較例1〜2の中空糸炭素膜の引張試験を行なうことによって、破断伸度および引張弾性率を評価した。中空糸炭素膜サンプルの断面積は、JIS R7607:2000のC法に準拠して、中空糸膜断面積を測定した。
具体的には、図3(a)および図3(b)に示す四角形の枠状の台紙21の両端に、実施例、比較例で得られた中空糸炭素膜のサンプル22をそれぞれ載せて、サンプル22の両端部をそれぞれ二液性エポキシ樹脂23により接着して固定した。上記のようにしてサンプル22を接着した後の台紙21のそれぞれの端部25をそれぞれ引張試験機のチャックに把持して固定した。続いて、台紙21およびサンプル22の接続部24を切り離した後、中空糸炭素膜のサンプル22の引張試験を開始した。サンプル22の長さは25mmであって、引張速度は5mm/minとした。引張試験の測定本数は20本としてその平均値を算出した。
(水−酢酸エチル分離性能の評価法)
図4に、実施例および比較例で得られた中空糸炭素膜の浸透気化分離法による水の分離性能および透過性能の評価に用いた浸透気化分離装置の模式的な構成図を示す。実施例および比較例で得られた中空糸炭素膜10の複数をそれぞれ同数ずつ束ねて、束ねた中空糸炭素膜10の一端の開口部を接着剤で封止して閉口するとともに、他端の開口部を開口させて、その両端にそれぞれキャップを嵌め込んで分離膜モジュール20を作製した。そして、このようにして作製した分離膜モジュール20を、保温テープ39で被覆されたステンレスチューブ44の一端に気密状態が保たれるように取り付けた。また、ステンレスチューブ44の端部間にはストップバルブ40を取り付けた。
また、容器33に供給液としての水分率3質量%の酢酸エチル水溶液32を注入して、容器33の底部に攪拌子35を設置した。そして、容器33を恒温槽34に設置し、スターラー31上に恒温槽34を設置して、酢酸エチル水溶液32中に温度計38を挿入した。恒温槽34によって容器33中の酢酸エチル水溶液32を一定温度に保ちながら、スターラー31によって攪拌子35を回転させて酢酸エチル水溶液32を攪拌し、分離膜モジュール20を酢酸エチル水溶液32中に浸漬させた。今回は、酢酸エチルの沸点(77.1℃)以下である70℃に設定した。
また、ステンレスチューブ44の他端を、他のステンレスチューブ45の一端とともに液体窒素37(−196℃)で冷却された冷却トラップ36中に気密状態で挿入した。ステンレスチューブ45の他端を真空ポンプ43に取り付けるとともに、ステンレスチューブ45の端部間には圧力計41およびストップバルブ42を冷却トラップ36側からこの順に取り付けた。
そして、真空ポンプ43を作動させて、分離膜モジュール20の酢酸エチル水溶液32の供給液側の圧力を大気圧とし、透過液側の圧力を1Paとした。そして、評価を開始してから所定時間が経過した後、冷却トラップ36でトラップされた透過液の質量から下記式により透過流束(kg・m−2・h−1)を求めた。その結果を表1に示す。
・透過流束(kg・m−2・h−1)=(透過液の質量(kg))÷{中空糸炭素膜の面積(m)×時間(h)}
また、冷却トラップ36でトラップされた透過液をTCD(Thermal Conductivity Detector)ガスクロマトグラフにより分析し、透過液中の酢酸エチル濃度を求めるとともに下記式により分離係数を算出した。
・分離係数(水/酢酸エチル)={透過液の水濃度(質量%)/透過液の酢酸エチル濃度(質量%)}÷{供給液の水濃度(質量%)/供給液の酢酸エチル濃度(質量%)}
各評価結果を表1に示す。表1からわかるように、本発明である実施例1、2、3では透過性能と分離性能の両面で高い性能を有し、かつ、分離膜モジュールを製造する上での取り扱いに十分な破断伸度と引張弾性率を有している。
Figure 0005906674
1 第1の炭素膜、2 第2の炭素膜、10 中空糸炭素膜、21 サンプル台紙、22 サンプル、23 エポキシ樹脂、24 接続部、25 チャック把持部、31 スターラー、32 供給液、33 容器、34 恒温槽、35 攪拌子、36 冷却トラップ、37 液体窒素、38 温度計、39 保温テープ、40 ストップバルブ、41 圧力計、42 ストップバルブ、43 真空ポンプ。

Claims (12)

  1. 中空糸状の第1の炭素膜と、
    前記第1の炭素膜の外表面に設けられた第2の炭素膜と、を備え、
    破断伸度が1〜4%であり、
    前記第2の炭素膜は、前記第1の炭素膜よりも透過成分である水との親和性が高い、中空糸炭素膜。
  2. 前記第2の炭素膜の前駆体ポリマーは、下記の式(I)で表わされる繰り返し単位Aと、下記の式(II)で表わされる繰り返し単位Bとの繰り返し構造を有しており、
    Figure 0005906674
    Figure 0005906674
    前記式(I)および前記式(II)において、それぞれ、mおよびnはそれぞれ1以上の自然数であり、前記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、金属元素で部分的または全体的に中和されていてもよいスルホン基、カルボキシル基、ホスホン酸基を示し、RおよびRは同時に水素原子を示さず、
    前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとの総数に対する前記繰り返し単位Bの数の百分率の割合が、15%よりも大きく、100%よりも小さい、請求項1に記載の中空糸炭素膜。
  3. 前記式(II)におけるRおよびRが、それぞれ独立に、−SOM、−SOHまたは水素原子を示し、ここにおいてMは金属元素を示す、請求項2に記載の中空糸炭素膜。
  4. 前記第1の炭素膜の厚さが5〜100μmであり、前記第2の炭素膜の厚さが0.05〜20μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸炭素膜。
  5. 引張弾性率が5GPa以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸炭素膜。
  6. 水を含有する揮発性有機化合物から前記水を分離することが可能である、請求項に記載の中空糸炭素膜。
  7. 水分と揮発性有機化合物を含む空気から前記水分を透過させ、前記水分と前記揮発性有機化合物を分離することが可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸炭素膜。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の中空糸炭素膜を製造する方法であって、
    前記第1の炭素膜の前駆体ポリマーである第1の前駆体ポリマーを作製する工程と、
    前記第2の炭素膜の前駆体ポリマーである第2の前駆体ポリマーを作製する工程と、
    中空糸状の第1の前駆体ポリマーの外表面に第2の前駆体ポリマーが設置された中空糸炭素膜前駆体を形成する工程と、
    中空糸炭素膜前駆体を炭素化処理する工程と、を含む、中空糸炭素膜の製造方法。
  9. 前記第2の前駆体ポリマーは、下記の式(I)で表わされる繰り返し単位Aと、下記の式(II)で表わされる繰り返し単位Bとの繰り返し構造を有しており、
    Figure 0005906674
    Figure 0005906674
    前記式(I)および前記式(II)において、それぞれ、mおよびnはそれぞれ1以上の自然数であり、前記式(II)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、金属元素で部分的または全体的に中和されていてもよいスルホン基、カルボキシル基、ホスホン酸基を示し、RおよびRは同時に水素原子を示さず、
    前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとの総数に対する前記繰り返し単位Bの数の百分率の割合が、15%よりも大きく、100%よりも小さい、請求項に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  10. 前記式(II)におけるRおよびRが、それぞれ独立に、−SOM、−SOHまたは水素原子を示し、ここにおいてMは金属元素を示す、請求項に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  11. 前記第1の前駆体ポリマーは、ポリフェニレンオキサイドであり、
    前記第2の前駆体ポリマーは、スルホン化ポリフェニレンオキサイドである、請求項または10に記載の中空糸炭素膜の製造方法。
  12. 前記炭素化処理する工程の前に、前記中空糸炭素膜前駆体を耐炎化処理する工程をさらに含む、請求項11のいずれかに記載の中空糸炭素膜の製造方法。
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