(実施形態1)
実施形態1のスイッチを図1〜図9に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、図2(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図2(b)における左側を前側、右側を後側として説明を行う。
スイッチは、図8に示すように、前面の押釦27が押される毎に接点のオン/オフが切り替えられるスイッチ本体1と、スイッチ本体1の前面に取り付けられ、操作者が前面を押操作することによって裏側で押釦27を押すハンドル2とを備えている。
スイッチ本体1の器体3は埋込配線器具用の取付枠50に保持される。取付枠50の前面側には、スイッチ本体1の周りを囲むようにしてプレート(プレート枠60及び化粧プレート70からなる)が取り付けられており、プレートの開口窓61,71内にハンドル2が配置される。尚、取付枠50の上下の枠片には長孔53がそれぞれ設けられ、長孔53に挿通されたねじ(図示せず)を施工面に埋設された埋込ボックスのねじ孔に締結することによって、取付枠50が施工面に固定される。また、取付枠50の上下の枠片には挟み金具(図示せず)の一端部を係止させる孔54が設けられており、孔54に係止された挟み金具を用いて、石膏ボードのようなパネル材を挟持することで、施工面を構成するパネル材に取付枠50を固定することもできる。また、取付枠50の上下の枠片には、プレート枠60を取り付ける取付ねじ62が締結されるねじ孔55が設けられている。
図9はスイッチの内部回路を示す回路図であり、スイッチは、交流電源AC及び負荷W1(例えば照明器具や換気扇など)の直列回路が接続される接続端子T1,T2を備えている。接続端子T1と接続端子T2の間には、接点S1と電流トランスCT1の一次巻線n1と温度ヒューズF1とが直列に接続されている。また、接続端子T1と接続端子T2の間には限流用の抵抗R1とネオンランプL1との直列回路が並列に接続されている。また電流トランスCT1の二次巻線n2の両端間には、コンデンサC1と抵抗R2の直列回路が接続されている。コンデンサC1には、発光ダイオードLED1とダイオードD1が、互いの極性を逆向きにして、並列に接続されている。ここにおいて、電流トランスCT1などから、接点S1と直列に接続され、給電路に電流が流れると、発光ダイオードLED1に電流を流して発光ダイオードLED1を発光させる給電部が構成される。
接続端子T1,T2間に交流電源ACと負荷W1が接続されている状態で接点S1がオフに切り替えられていると、接点S1の両端間に電圧が印加されるので、抵抗R1を介してネオンランプL1に電流が流れて、ネオンランプL1が点灯する。尚、この時、ネオンランプL1に流れる電流は、負荷W1を動作させるのに必要な電流に比べて十分小さい電流値に設定されている。
一方、接点S1がオンに切り替えられた場合は、電流トランスCT1の一次巻線n1に電流が流れることによって、二次巻線n2に接続された発光ダイオードLED1に交流電源ACの半周期毎に電流が流れ、発光ダイオードLED1が赤色発光する。
したがって、負荷W1として照明負荷が用いられる場合には、接点S1のオフ時、すなわち照明負荷の消灯時にネオンランプL1が点灯することによって位置表示が行われ、暗がりでもスイッチの位置を容易に確認できる。一方、接点S1のオン時、すなわち負荷W1の動作時には発光ダイオードLED1が点灯することによって、負荷W1が動作中であることを表示することができる。
次に、スイッチ本体1について図1〜図3及び図7,図8に基づいて説明する。スイッチ本体1の器体3は直方体状であって、前面が開口した合成樹脂製のボディ4と、後面が開口した合成樹脂製のカバー5とを結合することによって構成される。すなわち、カバー5の上側壁及び下側壁の後縁からは後方に向かって組立片6が2個ずつ突出し、各組立片6の孔6aにボディ4の突起7を係止させることによって、ボディ4とカバー5とが結合される。
器体3の短手方向(上下方向)の寸法は、埋込型配線器具用の取付枠50(図8参照)に3個まで取付可能な寸法に形成されている。取付枠50は中央に器具取付用の孔51を有し、孔51から前面を前方に露出させた状態で器体3が取付枠50に取り付けられる。この取付枠50に器体3を3個まで取付可能であり、器体3の短手方向の寸法は、孔51の長手方向寸法の約3分の1に設定され、器体3の長手方向(左右方向)の寸法は、孔51の短手方向寸法と略同じ寸法に設定されている。このような器体3の寸法を1個モジュール寸法という。
また、器体3の前部を構成するカバー5の左右両側壁には取付爪8が2個ずつ設けられており、取付爪8が取付枠50の器具取付孔52に係止されることによって、器体3が取付枠50に保持される。カバー5の右側壁には、それぞれ前後方向に延び、後端が開放された2本の溝9が平行に形成されており、2本の溝9の間の撓み片10が左右方向において撓み自在となり、この撓み片10に上述した2個の取付爪8が設けられている。したがって、撓み片10がカバー5の内側に撓められると、撓み片10に設けられた取付爪8が、取付枠50の器具取付孔52の外側に出て、取付爪8と器具取付孔52との係止状態が解除されるので、器体3が取付枠50から取り外される。尚、撓み片10の後端部には、撓み片10の押し込みを容易にするために、突起10aが設けられている。
器体3の後部を構成するボディ4の内部は、左右方向において大まかに3つの収納室に分けられている。左右両側の収納室4a,4bには、接続端子T1,T2をそれぞれ構成する速結型の端子部が収納され、左右方向の中央の収納室4cには接点S1や後述する開閉機構部24などが収納される。
右側の収納室4aには、端子板11と2個の鎖錠ばね14と解除釦15とからなる端子部が収納されている。端子板11は、鎖錠ばね14との間でそれぞれ電線を挟持する2つの接触片11aを備えるとともに、温度ヒューズF1の一方の端子が接続される接続片11bを備えている。また、収納室4aに対応するボディ4の後壁には、接触片11aと鎖錠ばね14との間の隙間にそれぞれ対応する部位に2個の電線挿入口16aが開口し、解除釦15に対応する部位に工具挿入用の孔(図示せず)が開口している。
左側の収納室4bには、端子板12と1個の鎖錠ばね14と解除釦15とからなる端子部が収納されている。端子板12は、鎖錠ばね14との間で電線を挟持する接触片12aと、中央の収納室4c内に配置される延長片12bを一体に備え、この延長片12bには固定接点12cが固着されている。また、収納室4bに対応するボディ4の後壁には、接触片12aと鎖錠ばね14との間の隙間に対応する部位に電線挿入口16bが開口し、解除釦15に対応する部位に工具挿入用の孔(図示せず)が開口している。尚、収納室4cには可動接点板13が収納されており、この可動接点板13に固着された可動接点13aと固定接点12cとで接点S1が構成される。
ここで、電線挿入口16aから挿入された電線は、鎖錠ばね14と接触片11aとの間に挿入され、鎖錠ばね14が電線に食い込むことによって電線の抜けが防止されるとともに、電線と端子板11とが電気的に接続される。同様に、電線挿入口16bから挿入された電線は、鎖錠ばね14と接触片12aとの間に挿入され、鎖錠ばね14が電線に食い込むことによって電線の抜けが防止されるとともに、電線と端子板12とが電気的に接続される。また、ボディ4の後壁に開口する工具挿入用の孔から工具が挿入されて解除釦15が押されると、解除釦15によって鎖錠ばね14が接触片11a又は12aから離れる方向に撓められ、電線の抜け止めが解除されるので、電線を容易に取り外すことができる。尚、鎖錠ばね14と解除釦15と端子板11,12でそれぞれ構成される速結型の端子部は従来周知であり、例えば特開2002−203455号公報に記載された鎖錠ばね及び解除釦と同様の構成を有しているので、詳細な説明は省略する。
次に、中央の収納室4cに収納される中枠ブロック17について図1及び図4〜図7に基づいて説明する。中枠ブロック17は、それぞれ合成樹脂成形品からなる前側枠18及び後側枠19と、電流トランスCT1と、端子板20とで構成される。
前側枠18の後側には電流トランスCT1が配置され、電流トランスCT1を覆うようにして後側枠19が取り付けられている。電流トランスCT1はリング状のコア21と、コア21にそれぞれ巻回された一次巻線n1及び二次巻線n2を備えている。一次巻線n1の一端は端子板20に電気的に接続され、一次巻線n1の他端はコア21の中心孔21aの内側で温度ヒューズF1の端子35bに接続されている。
前側枠18は接点S1を収納する凹部18aを備え、凹部18aの底部に端子板20が載置される。凹部18aの側壁にはV溝18bが形成されており、可動接点板13の突起13bをV溝18bに挿入した状態で、可動接点板13が凹部18a内に挿入される。可動接点板13は、後端縁を端子板20に当接させた状態で、端子板20との接触部位(後端縁)を支点として回転自在に配置されており、突起13bがV溝18bの端面と当接することで、その回転範囲が規制されている。ここにおいて、可動接点板13が、図7中の左周りに回転すると、可動接点13aが固定接点12cに接触し、接点S1がオン(閉極)した状態となる。一方、可動接点板13が、図7中の右回りに回転すると、可動接点13aが固定接点12cから離れて、接点S1がオフ(開極)した状態となる。
また前側枠18には、温度ヒューズF1と鎖錠ばね14との間をそれぞれ絶縁する絶縁壁18cが設けられ、絶縁壁18cの前側端間を連結する連結部分の溝18dから温度ヒューズF1の端子35aが前方に突出する。そして、温度ヒューズF1の端子35aは端子板11の接続片11bに接続されており、両端子板11,12(すなわち接続端子T1,T2)の間に、接点S1と電流トランスCT1の一次巻線n1と温度ヒューズF1の直列回路が接続される。
後側枠19は、電流トランスCT1の後面に対向配置される後壁19aと、後壁19aの周縁部から前方に突出して電流トランスCT1の側面を部分的に覆う側壁19bと、後壁19aの左側部から前方に突出する柱状部19cとを一体に備えている。柱状部19cには、電流トランスCT1の二次巻線n2の両端にそれぞれ電気的に接続された端子板20がインサート成形されており、柱状部19cの前端面から2本の端子板20の先端が露出している。
上述の端子板20は、カバー5内に収納される表示ブロック22に電気的に接続される。表示ブロック22は合成樹脂製の基台22aを有し、この基台22aには端子板(図示せず)がインサート成形されている。また基台22aには、図9に示す回路のうち抵抗R1,R2、コンデンサC1、発光ダイオードLED1、ダイオードD1及びネオンランプL1が実装されるとともに、端子板11,12の前側片にそれぞれ弾接するコンタクト22b,22cが設けられている。図7に示すように表示ブロック22が器体3内部に収納された状態では、コンタクト22b,22cがそれぞれ端子板11,12の前側片に弾接しており、接続端子T1,T2間に抵抗R1とネオンランプL1との直列回路が接続される。また二次巻線n2の両端間には、基台22aに実装された抵抗R2及びコンデンサC1の直列回路が接続され、コンデンサC1と並列に発光ダイオードLED1及びダイオードD1がそれぞれ接続されている。これにより、接続端子T1,T2をそれぞれ構成する端子板11,12に負荷W1及び交流電源ACの直列回路が接続された状態では、接点S1のオフ時にネオンランプL1が点灯し、接点S1のオン時に発光ダイオードLED1が点灯する。
また、カバー5の前壁において、表示ブロック22が備えるネオンランプL1及び発光ダイオードLED1に対応する部位には、透光窓23aが設けられ、この透光窓23aには透光性を有するランプカバー23が取り付けられている。したがって、ネオンランプL1及び発光ダイオードLED1の点灯・消灯の状態は、外部からランプカバー23を通して視認することができる。
また器体3の内部には、接点S1を開閉させる開閉機構部24が収納されている。開閉機構部24は、反転ばね25と、反転子26と、押釦27と、スライドカム28と、復帰ばね29とで構成される。反転ばね25はコイルばねからなり、反転ばね25の後端部には可動接点板13の前縁に設けられた突起13cが挿入され、反転ばね15の前端部は反転子26の後部に設けられた筒部26a内に挿入される。反転子26の前端部は、カバー5の前面に設けられた凹部30の底壁に設けられた貫通孔31から前方に露出する。また反転子26の中間部の上下両側面には、前側にいくほど先細りとなる三角形状の支点突起26bが設けられている。貫通孔31の両側縁には軸受け溝32が形成されており、この軸受け溝32に後側から支点突起26bが挿入されることによって、反転子26が、支点突起26bと軸受溝32との接触部位を支点にして揺動自在となっている。ここで、反転ばね25の一端側が可動接点板13に保持されるとともに、反転ばね25の他端側は反転子26に保持されており、反転子26が揺動すると揺動範囲の中間で反転ばね25がもっとも圧縮される位置を通過する。この位置の前後において反転ばね25から可動接点板13に作用するばね力の向きが反転し、反転ばね25のばね力によって可動接点板13が急速に反対側へ回転するのである。
ところで、反転子26において貫通孔31から前方に露出する部位の左右両側には、前方に突出してスライドカム28に当接する突起26cが設けられている。スライドカム28は、カバー5の凹部30内に配置された押釦27が押されることによって、反転子26の位置関係に応じて、押釦27の裏面に沿ってスライドするように構成されている。スライドカム28の構成については後述する。
押釦27は、長手方向の両外側面の後端部に突出するガイド突起27aを備え、凹部30の内側面に前後方向に沿って形成された案内溝33にガイド突起27aが挿入されることによって、前後方向に移動自在で、且つ前方への抜け止めがなされている。
押釦27の後面には突起(図示せず)が設けられ、板ばねからなる復帰ばね29の孔29aに押釦27の突起が挿入されることによって、復帰ばね29が押釦27の後面に取り付けられる。復帰ばね29は、後側に向かってそれぞれ左右に拡がる2つのばね片29bを備え、各ばね片29bの先端が凹部30の底面に弾接されることによって、押釦27は復帰ばね29のバネ力を受けて前方に常に押された状態となる。
スライドカム28は合成樹脂により矩形枠状に形成されており、左右方向において対向する側辺部の後面には、反転子26の突起26cに当接するカム体28aが一体に設けられている。また、スライドカム28の他の側辺部の中央には一対のバネ片28bが保持されており、押釦27の裏面の突起が、一対のバネ片28bの間に挿入されることによって、押釦27の裏面にスライドカム28がスライド移動自在に装着される。尚、バネ片28bの弾性力によって、スライドカム28を初期位置に戻す復帰力が与えられる。
また、カバー5の前面の一端側(左側)には、斜め前方に突出して、ハンドル2を回転自在に支持する一対の軸部34が一体に設けられている。軸部34の前端部は、カバー5の短手方向と平行な方向を中心軸方向とする円柱状に形成される。ハンドル2の背面の一端部には軸受け部(図示せず)が設けられ、この軸受け部に軸部34を嵌め込むことによってハンドル2が軸部34を中心に回転自在に支持される。尚、ハンドル2の前面には、ランプカバー23に対向する部位に窓孔2aが設けられ、この窓孔2aには、ハンドル2の背面側からレンズ2bの一部が嵌め込まれている。而して、ネオンランプL1及び発光ダイオードLED1の発光はランプカバー23を通してレンズ23に入射し、レンズ23内を通過してハンドル2の前面側に導かれるようになっている。
上述のようにハンドル2がスイッチ本体1に取り付けられた状態で、ハンドル2の他端部(右側部)が押操作されると、ハンドル2は、軸部34を中心にして図7中の右回りに回転する。ハンドル2の後面にはスイッチ本体1に保持された押釦27が当接しており、ハンドル2が押操作されると、押釦27が器体3に押し込まれる。
ここで、スイッチ本体1の動作を簡単に説明する。図7では可動接点板13が中立しているが、実際には反転ばね25のバネ力によって、可動接点板13は回転範囲の左端まで回転して接点S1が閉極している状態か、回転範囲の右端まで回転して接点S1が開極している状態かの何れかの状態で停止している。
接点S1が開極(オフ)している状態、すなわち可動接点13aが固定接点12cから離れている状態では、可動接点板13は回転範囲の右端まで回転しており、反転子26は図7中の左側に倒れている。このときスライドカム28は、バネ片28bにより移動範囲の中央位置に復帰している。また反転ばね25のバネ力によって反転子26は左側に倒れた位置で保持されている。反転子26が左側に倒れた状態では、反転子26の左側の突起26cよりも、右側の突起26cの方が前側(図7中の上方)に位置している。
オフ状態からユーザがハンドル2の右側を押すと、ハンドル2の回転に応じて、ハンドル2の裏側で押釦27が押し込まれ、押釦27とともにスライドカム28が図7中の下側に移動する。このとき、スライドカム28の図中右側のカム体28aが反転子26の右側の突起26cに当接して、反転子26の右端部を下向きに押すので、反転子26が支点突起26bの前端を中心として図中右回りに回転する。反転子26の回転に応じて反転ばね25が圧縮され、反転ばね25がもっとも圧縮される位置を反転子26が通過すると、反転ばね25のバネ力が開放されて、反転子26が図中右回りに急速に回転する。反転子26が右回りに回転すると、反転子26の回転に応じて可動接点板13が後端縁を支点として左回りに回転し、可動接点13aが固定接点12cに接触する位置で停止する。この時、反転ばね25のバネ力によって反転子26は右側に倒れた位置で保持され、可動接点板13は可動接点13aが固定接点12cに接触する位置で保持される。その後、ユーザがハンドル2から手を離すと、復帰ばね29のばね力によって押釦27が押し戻され、押釦27に当接しているハンドル2も元の位置に復帰する。また同時に、スライドカム28もバネ片28bのばね力を受けてスライドし、中央位置に復帰する。尚、反転子26が右側に倒れた状態では、反転子26の右側の突起26cよりも、左側の突起26cの方が前側(図7中の上方)に位置している。
また、オン状態からユーザがハンドル2の右側を押すと、ハンドル2の回転に応じて、ハンドル2の裏側で押釦27が押し込まれ、押釦27とともにスライドカム28が図7中の下側に移動する。このとき、スライドカム28の図中左側のカム体28aが反転子26の左側の突起26cに当接して、反転子26の左端部を下向きに押すので、反転子26が支点突起26bの前端を中心として図中左回りに回転する。反転子26の回転に応じて反転ばね25が圧縮され、反転ばね25がもっとも圧縮される位置を反転子26が通過すると、反転ばね25のバネ力が開放されて、反転子26が図中左回りに急速に回転する。反転子26が左回りに回転すると、反転子26の回転に応じて可動接点板13が後端縁を支点として右回りに回転し、回転範囲の右端の位置で停止しており、この停止位置では可動接点13aが固定接点12cから離れた状態となる。この時、反転ばね25のバネ力によって反転子26は左側に倒れた位置で保持され、可動接点板13は可動接点13aが固定接点12cから離れた位置で保持される。その後、ユーザがハンドル2から手を離すと、復帰ばね29のばね力によって押釦27が押し戻され、押釦27に当接しているハンドル2も元の位置に復帰する。また同時に、スライドカム28もバネ片28bのばね力を受けてスライドし、中央位置に復帰する。尚、反転子26が左側に倒れた状態では、反転子26の左側の突起26cよりも、右側の突起26cの方が前側(図7中の上方)に位置している。而して、ハンドル2が押操作される毎に、開閉機構部24によって接点S1のオン/オフが切り替えられるようになっている。
以上説明したように、本実施形態のスイッチは、造営材に設置される器体3を備え、負荷W1及び電源が電線を介して接続される。器体3には、接点S1と、開閉機構部24と、発光部(発光ダイオードLED1からなる)と、給電部(電流トランスCT1などからなる)と、温度ヒューズF1とが収納されている。接点S1は、負荷と電源との間の給電路に電気的に接続される。開閉機構部24は接点S1のオン/オフを切り替える。発光部は動作表示用であり、負荷への給電時に発光する。給電部は、接点S1と直列に接続され、給電路に電流が流れると、発光部に電流を流して発光部を発光させる。温度ヒューズF1は給電部と負荷との間に電気的に接続されている。
これにより、定格を超える負荷が接続されると、給電部に定格を超える電流が流れることによって給電部が異常に発熱する可能性があるが、給電部の発熱による温度上昇が温度ヒューズF1の作動温度を超えると、温度ヒューズF1がオフして、負荷への給電が遮断される。したがって、温度ヒューズF1が負荷への給電を遮断することで、給電部の異常発熱が抑えられ、給電部の異常発熱による不具合を起こりにくくしたスイッチを実現することができる。
また器体3は、造営材に設けられた穴に後部を納めた状態で造営材に取り付けられている。器体3の内部には、接点S1及び開閉機構部24の後側に給電部(電流トランスCT1からなる)が配置されている。また器体3の後面には、負荷及び電源の直列回路と接点S1の間を電気的に接続するための電線が挿入される電線挿入口16a,16bが開口している。器体3の内部には、電線挿入口16aから挿入された電線に電気的に接続される端子部(端子板11及び鎖錠ばね14からなる)が給電部よりも前側に収納されている。そして、図4及び図5に示すように、温度ヒューズF1は、器体3の内部において前側に配置された端子部と、後側に配置された給電部との間を電気的に接続するように、器体3の内部に前後方向に沿わせて収納されている。
これにより、器体3の内部空間を有効に利用して温度ヒューズF1を収納することができ、温度ヒューズF1の長手方向を前後方向と直交させた状態で温度ヒューズF1が収納される場合に比べて、器体3を小型にできる。
また本実施形態では、給電部が電流トランスCT1を備えている。電流トランスCT1は、リング状のコア21と、コア21にそれぞれ巻回された一次巻線n1及び二次巻線n2を備えている。一次巻線n1は給電路の途中に接続され、二次巻線n2の両端間に発光部を含む回路が接続されている。温度ヒューズF1の一方の端子35aは、端子部を構成する端子板11に接続されている。温度ヒューズF1の他方の端子35bは、図5に示すようにコア21の後側を通って、コア21の中心孔21aに挿入され、中心孔21aの内側で一次巻線n1に接続されている。
これにより、温度ヒューズF1の端子35bと一次巻線n1との接続部分を、温度ヒューズF1の感温部からできるだけ遠ざけることができる。したがって、端子35bと一次巻線n1とを半田接続する際に半田の熱が温度ヒューズF1の感温部に加わりにくくなり、半田の熱で温度ヒューズF1が誤動作しにくくなる。
尚、端子35bと一次巻線n1との接続方法を半田接続に限定する趣旨のものではなく、かしめなどの方法で端子35bと一次巻線n1とを接続してもよい。
(実施形態2)
実施形態2のスイッチを図10〜図12に基づいて説明する。実施形態1では、給電部が電流トランスCT1で構成されているが、本実施形態では図10に示すように給電部がダイオードブリッジDB1で構成されている。尚、給電部の構成を除いては実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態では、接続端子T1と接続端子T2の間に、接点S1と、ダイオードブリッジDB1と、温度ヒューズF1とが直列に接続されている。ダイオードブリッジDB1は、ブリッジ接続された4個のダイオードD2〜D5で構成されており、ダイオードブリッジDB1の直流出力端子間が短絡されている。すなわち、カソード同士が接続されたダイオードD2,D3の接続点と、アノード同士が接続されたダイオードD4,D5の接続点との間が短絡されている。そして、ダイオードブリッジDB1と並列に、コンデンサC2と発光ダイオードLED1と抵抗R2とが接続され、発光ダイオードLED1と並列にダイオードD1とコンデンサC1がそれぞれ接続されている。またダイオードブリッジDB1と並列に抵抗R3が接続されている。
ここで、接続端子T1,T2間に交流電源ACと負荷W1が接続されている状態で接点S1がオフに切り替えられると、接点S1の両端間に電圧が印加されるので、抵抗R1を介してネオンランプL1に電流が流れて、ネオンランプL1が点灯する。尚、この時、ネオンランプL1に流れる電流は、負荷W1を動作させるのに必要な電流に比べて十分小さい電流値に設定されている。
また、接点S1がオンに切り替えられた場合は、ダイオードブリッジで発生するダイオード2個分の順方向電圧によって、発光ダイオードLED1に交流電源ACの半周期毎に電流が流れ、発光ダイオードLED1が赤色発光する。
したがって、負荷W1として照明負荷が用いられる場合には、接点S1のオフ時、すなわち照明負荷の消灯時にネオンランプL1が点灯することによって位置表示が行われ、暗がりでもスイッチの位置を容易に確認できる。一方、接点S1のオン時、すなわち負荷W1の動作時には発光ダイオードLED1が点灯することによって、負荷W1が動作中であることを表示することができる。
次に、給電部であるダイオードブリッジDB1と温度ヒューズF1を保持する中枠ブロック17について説明する。図11は中枠ブロック17の斜視図、図12は中枠ブロック17の分解斜視図であり、中枠ブロック17は、それぞれ合成樹脂成形品からなる前側枠18及び取付ベース36と、端子板20などから構成される。前側枠18は、実施形態1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。
取付ベース36は合成樹脂成形品からなり、この取付ベース36には温度ヒューズF1の端子35bが接続される端子板38aと、端子板20が接続される端子板38bがインサート成形されている。また端子板38a,36bにダイオードブリッジDB1の交流入力端子を電気的に接続することによって、ダイオードブリッジDB1が取付ベース36に固定されている。またダイオードブリッジDB1の交流入力端子に電気的に接続された一対の端子板20は前方に向かって突出しており、一対の端子板20は柱状部37にインサート成形され、端子板20の先端は柱状部37の前端面から外部に露出している。
取付ベース36は前側枠18の後側に配置され、端子板38bに接続された端子板20は凹部18aの底部に配置される。温度ヒューズF1の一方の端子35aは端子板11に接続され、他方の端子35bは端子板38aに接続されている。
而して、本実施形態においても給電部であるダイオードブリッジDB1の近傍に温度ヒューズF1が配置されることになる。
これにより、定格を超える負荷がスイッチに接続されると、給電部に定格を超える電流が流れることによって給電部が異常に発熱する可能性があるが、給電部の発熱による温度上昇が温度ヒューズF1の作動温度を超えると、温度ヒューズF1がオフして、負荷への給電が遮断される。したがって、温度ヒューズF1が負荷への給電を遮断することで、給電部の異常発熱が抑えられ、給電部の異常発熱による不具合を起こりにくくしたスイッチを実現することができる。