JP5905355B2 - 発電用ガスタービン翼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばガスタービン翼に好適な遮熱コーティングの成膜法に関する。
近年、ガスタービンでは、高効率化を目指し燃焼ガス温度の高温化が進んでいる。タービン動翼、静翼材料では、従来の多結晶合金から、耐熱温度の高い、一方向凝固合金、更には単結晶合金が開発されている。しかし、既に燃焼ガス温度は、これらの翼材料の融点を超えており、各種の冷却技術に加え、タービン動翼、静翼基材表面への遮熱コーティング(TBC:Thermal Barrier Coating)の施工が普及してきた。
TBCは遮熱のためのトップコートと耐酸化性、耐食性の確保の為のボンドコートから構成される。トップコートは、熱伝導率が低い酸化物が用いられ、イットリアの添加で結晶構造を安定化した、イットリア部分安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia: YSZ)が広く用いられる。ボンドコートには、MCrAlY合金(MはNi,Co,Feのうちいずれか、1つ以上)やNi-Al, Ni-Al-Pt等のアルミナイドが用いられる。
ボンドコートは表面に熱成長酸化物(Thermal Grown Oxide: TGO)を形成し、酸化性および腐食性の環境から翼基材を保護している。このTGOには、アルミナが好適であるため、ボンドコートは通常、基材に比較して高いAl濃度を持つ。一方、燃焼ガス温度の高温化に伴い、ボンドコートから基材へのAlの拡散が促進されることで、翼基材表面に、析出相の形成、組織の変化が著しい変質層である二次反応層(Secondary Reaction Zone: SRZ)が形成し、翼基材強度の低下を招くことが指摘されはじめている。
この問題を解決するために、特許文献1にはReを含む合金からなる拡散バリヤ層と安定化層をから構成される多層合金皮膜により、高温での使用中に基材への元素の拡散を抑制する方法が開示されている。
国際公開WO2008/059971号 特許第3559670号公報
特許文献1に記載されている、多層合金皮膜を含む耐熱合金部材の製造プロセスにおいては、Ni、Re-Ni、Ni-W金属皮膜をめっき等により成膜し、Cr浸透処理によりめっきによる金属皮膜とCrを反応させ、拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を成膜することが示されている。この際、拡散バリヤ層の欠陥の減少、各層の界面の平滑化を図る点から、1300℃程度の高温処理が例示されている。
さらに、多層合金皮膜成膜後、溶体化及び時効処理を行うことで、基材の組織制御に加え、多層合金皮膜の欠陥の減少、各層の界面の平滑化を図ることが好ましいとされている。
しかしながら、発明者らが実施した試験片での要素試験の結果、特許文献1に記載の高温処理では、Crが基材表面に過剰に拡散し、針状のCrとReに富む析出相を含む拡散層を生じることが確認された。この析出相を含む拡散層は、基材本来の合金組織から大きく変化しているため、基材強度の低下を招くという問題がある。
一方、基材組織の変化を維持しながら多層合金皮膜を形成するために、1100℃程度での例示もあるが、この場合、発明者らの検討の結果、拡散バリヤ層が若干脆くなる傾向が認められた。
発電用ガスタービン翼の特徴として、航空機用タービン翼に比べ長時間の耐久性が要求され、耐熱温度の基準がガスタービン翼では、5万〜10万時間のクリープ破断強度で設計するのに対し、航空機用タービン翼では数千時間と短い。
従って、長時間寿命を前提とした合金組織の維持、変質層の抑制に加えて、本発明で対象とする単結晶ガスタービン翼では、異結晶の発生防止も重要となる。
また、ガスタービン翼は航空機タービン翼に比べ10〜20倍程度大型であることから、大型翼でも精密鋳造プロセスでの歩留向上ができる特許文献2に示す重量で、C:0.06%以上0.08%以下、B:0.016%以上0.035%以下、Hf:0.2%以上0.3%以下、Cr:6.9%以上7.3%以下、Mo:0.7%以上1.0%以下、W:7.0%以上9.0%以下、Re:1.2%以上1.6%以下、Ta:8.5%以上9.5%以下、Nb:0.6%以上1.0%以下、Al:4.9%以上5.2%以下、Co:0.8%以上1.2%以下、及び残部が実質的にNiである組成のNi基単結晶耐熱合金が、大型単結晶翼を構成する材料として実質的に適しており、以下、本合金を本発明に用いる単結晶合金と称する。
本発明に用いる単結晶合金のタービン翼製造プロセス上の制約では、まず、翼形状に加工後の翼基材に対して、多層合金皮膜を特許文献1に推奨される高温処理で行うと、大型の翼では、形状、寸法の変化が大きくなるという問題がある。形状と寸法を修正するために、再度加工を行うと、既に成膜させた多層合金皮膜を損傷させ、拡散バリヤとしての効果が得られない。
更には単結晶翼では、加工により導入された歪が残存した状態で、溶体化温度に加熱されると、異結晶が生じ大幅に強度が低下してしまう。従って、単結晶翼では、溶体化温度に相当する高温処理を伴う多層合金皮膜の成膜プロセスを適用することは困難である。
従って、本発明は上記の課題を解決するべくなされたものであり、その目的は、長時間寿命が要求される、発電用ガスタービンにおいて、本発明に用いる単結晶合金基材表面に、析出相を含む拡散層、および異結晶の発生を抑制させつつ、拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜の成膜法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、多層合金皮膜の成膜を本発明に用いる単結晶合金の時効処理温度以下で行う事で、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、多層合金皮膜の成膜において、本発明に用いる単結晶基材表面での拡散層および異結晶を抑制し、基材上に直接、拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を形成する事が可能となる。その結果、発電用ガスタービン単結晶翼の強度信頼性を向上させ、寿命の延長とガスタービンの効率向上が可能となる。
実施例の多層合金皮膜成膜法の手順を示すフローチャートである。 実施例の多層合金皮膜を含むTBCを示す模式断面図である。 実施例の多層合金皮膜を含むTBCを示す模式断面図である。 比較例の多層合金皮膜を含むTBCを示す模式断面図である。 実施例の多層合金皮膜を含むTBC施工後の状態を示す断面SEM画像である。 実施例の多層合金皮膜を含むTBCの耐熱試験後の状態を示す断面SEM画像である。 発電用ガスタービンを示す部分断面図である。 図5AのA部の詳細を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、適宜「本実施形態」と言う。)を詳細に説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
本発明の発電用ガスタービン翼は、重量で、C:0.06%以上0.08%以下、B:0.016%以上0.035%以下、Hf:0.2%以上0.3%以下、Cr:6.9%以上7.3%以下、Mo:0.7%以上1.0%以下、W:7.0%以上9.0%以下、Re:1.2%以上1.6%以下、Ta:8.5%以上9.5%以下、Nb:0.6%以上1.0%以下、Al:4.9%以上5.2%以下、Co:0.8%以上1.2%以下、及び残部が実質的にNiである単結晶合金からなる翼基材の表面に、直接多層合金皮膜、ボンドコート、トップコートを順次積層させた構造を有することを特徴とする。
前記発電用ガスタービン翼は、多層合金皮膜が、基材表面に直接接する拡散バリヤ層と中間層を含み、拡散バリヤ層がRe、Cr及びNiを含む合金であることが望ましい。
なお、本明細書においては、例えば「0.06%以上0.08%以下」は、「0.06%以上かつ0.08%以下」と同義であり、「0.06〜0.08%」と記載してもよいものである。他の数値範囲についても同様である。
本発明における拡散バリヤ成膜法を用いて、本発明に用いる単結晶合金上に拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜およびTBCを施工する工程は図1に示す様に、主に下記の手順を経て行われる。
(1)基材を溶体化する。(溶体化工程)
(2)基材を翼形状に加工する。(形状加工工程)
(3)基材に拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を成膜する。(多層合金皮膜成膜工程)
この多層合金皮膜成膜工程は、めっき処理工程とCr浸透処理工程とを含む。
(4)拡散バリヤ層を含む合金皮膜上にボンドコートを成膜する。(ボンドコート成膜工程)
(5)拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜とボンドコートを成膜した基材の時効を行う。(時効工程)
(6)ボンドコート上にトップコートを成膜する。(トップコート成膜工程)
以下、それぞれの工程について説明する。
(溶体化工程)
本実施形態では、先ず、精密鋳造後の本発明に用いる単結晶合金基材に対し溶体化を行う。溶体化は鋳造時に偏析した元素を拡散させて均質な組成にすることを目的とするため、基材の融点近い高温で行われる。
溶体化の条件は、基材の種類に応じて適宜設定されるが、例えば真空中または不活性ガス中で、1200℃〜1340℃の温度範囲で1〜24時間保持することで実施される。また加熱保持に関しては、多段であっても良い。
(形状加工工程)
溶体化後の翼基材について、タービン翼面の研削を行い、嵌合部、冷却孔を所望の形状に加工する。タービン翼の形状は複雑で寸法精度が要求され、寸法精度に応じ機械加工、放電加工など種々の加工法を用いて行う。
(多層合金皮膜成膜工程)
本発明の拡散バリヤ成膜法では、翼基材表面に直接拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を形成する。
ここで拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜は、基材表面に直接接する拡散バリヤ層と中間層からなる。また、TBCを溶射で成膜する場合には、溶射の衝撃から拡散バリヤ層を保護する目的で保護層を挿入することも出来る。
成膜法については種々の方法が利用可能であるが、まず、電解めっき、無電解めっきを用いてNi、Re-Ni及びNi-Wからなる金属皮膜を翼基材表面に形成する。本発明では、拡散バリヤ層はReを含む合金で、他の金属元素としてCrを含む。そこで、Cr浸透処理を行い、翼基材表面に成膜させた金属皮膜とCrを反応させ、Reを含む合金からなる拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を成膜する。
Cr浸透処理の条件において、本発明では、処理温度を本発明に用いる単結晶合金の時効温度以下に設定することで、翼基材表面に析出相を含む変質層、異結晶の形成を抑制し、直接拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜の成膜が可能となる。
特許文献1に例示されている、1300℃程度のCr浸透処理温度では、先に翼基材表面に成膜させた金属膜とCrとの反応が速やかに進行し、欠陥の少ない拡散バリヤが成膜できる。
しかしながら、金属膜とCrの反応が完了し、Reを含む合金の拡散バリヤ層が形成するまでに、金属膜を通過して翼基材表面に拡散するCr量が処理温度に比例して増大し、過剰に拡散したCrにより、針状の析出相を含む拡散層が、翼基材表面に形成して、基材強度の低下させてしまう。
一方、本発明の拡散バリヤ成膜法では、処理温度が本発明に用いる単結晶合金の時効温度以下であり、金属膜を通過する過剰なCrの拡散を抑制することが可能となり、翼基材に強度に有害な拡散層を生じることなく、翼基材表面に直接拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を形成することができる。
また、形状、寸法を精密に加工後のタービン翼に対して、変形、寸法変化を生じる高温処理は好ましく無い。変形、寸法変化を修正するため、翼に再度の加工が必要となる場合、拡散バリヤ層が再加工時に破壊、削除されてしまい、効果が無くなる。
さらに、加工時には、基材表面に歪が発生するが、特許文献1で示されている、本発明に用いる単結晶合金の溶体化温度に相当する温度に加熱されると、翼基材表面に異結晶が生じる。この異結晶の形成により、単結晶としての特徴である優れた高温強度が大幅に低下してしまう。
本発明の拡散バリヤ成膜法では、本発明に用いる単結晶合金の時効温度以下での処理温度であり、異結晶が形成することがなく、単結晶翼としての強度信頼性の維持が可能となり、タービン翼の寿命の延長とガスタービンの効率向上が図れる。
なお、本発明に用いる単結晶合金の時効温度は800℃以上1150℃以下である。
本発明における多層合金皮膜は、拡散バリヤ層と中間層から構成され、それぞれの層の数は特に制限が無い。拡散バリヤ層の厚さは、本発明に用いる単結晶合金の時効温度以下での成膜を容易にするため、5〜10ミクロン(μm)の範囲にあることが望ましい。拡散バリヤ層が10ミクロン以上になると、1150℃以下の処理温度でCrの拡散が不完全となり拡散バリヤが形成されず、5ミクロン以下の場合はバリヤ層が不連続となってしまう。
(ボンドコート成膜工程)
拡散バリヤ層を含む合金皮膜を成膜後、その上にボンドコートを成膜する。
ボンドコートとしては、例えば、優れた耐食性、耐酸化性を発揮するMCrAlYが使用され、厚さは、特に限定されないが、通常約100〜200ミクロン程度で、具体的な成膜方法としては、例えば減圧プラズマ溶射法(Low Pressure Plasma Spray: LPPS)、高速フレーム溶射法(High Velocity Oxy-fuel Frame-spraying:HVOF)等を用いることが出来る。
(時効工程)
ボンドコートを成膜後、基材の組織の調整を目的とする時効処理を行う。
基材の標準的な時効処理条件である他に特に制限はなく、基材の種類に応じて適宜設定されるが、例えば真空中または不活性ガス中で、800℃〜1180℃の温度範囲で1〜24時間保持することで実施される。また加熱保持に関しては、多段であっても良い。
(トップコート成膜工程)
時効処理後、ボンドコート上にトップコートを成膜する。
トップコートには熱伝導率が低い、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ ZrO2-6〜8Y2O3)が使用され、通常約300〜500ミクロン程度である。トップコートの堆積には、例えば大気圧下での大気圧プラズマ溶射法(Air Plasma Spray:APS)が通例用いられる。
以上により、本発明による多層合金皮膜の成膜法が実施される。
図2A〜2Cに本発明の多層合金皮膜を含むTBCの模式図を示す。
図2Aは、多層合金皮膜が拡散バリヤ層と中間層とで構成される場合である。図2Bは、多層合金皮膜が拡散バリヤ層、中間層と保護層とで構成される場合の模式図である。比較として、図2Cには、特許文献1で示される記載の方法で成膜した場合の模式図を示す。
図2Aにおいては、基材1の表面に、拡散バリヤ層2を含む合金皮膜4(多層合金皮膜)、ボンドコート5、トップコート6が順に形成されている。合金皮膜4は、拡散バリヤ層2、中間層7を交互に積層したものである。
一方、図2Bにおいては、合金皮膜4がボンドコート5に接する部分に保護層3が設けられている。
これに対して、図2Cにおいては、基材1と合金皮膜4の拡散バリヤ層2との間に拡散層8が生じている。
以下に本発明の実施例を示す。
ガスタービン部材に好適な、本発明に用いる単結晶合金を棒状に鋳造し、溶体化を真空雰囲気中で次に示す多段の加熱条件で行った。
1250℃・4h ⇒ 1260℃・4h ⇒ 1270℃・4h ⇒ 1280℃・4h
溶体化後の棒状の鋳造材より、直径1インチ、厚さ3ミリメートルの試験片を加工し、基材とした。バリヤ成膜は、本実施例ではめっきを用いて実施するため、前処理として表面を#600の耐水研磨紙で湿式研磨、アセトンによる脱脂洗浄を行った。
洗浄後の基材表面に電解めっきにより以下の順で多層めっき膜を成膜した。
用いためっき液は、Niめっき液、Re-Niめっき液及びNi-Wめっき液の3種類である。電流量及びめっき時間を調整することにより、所望の膜厚を得た。
(1) Niめっき 膜厚2ミクロン
(2) Re-Niめっき 膜厚6ミクロン
(3) Ni-Wめっき 膜厚5ミクロン
(4) Re-Niめっき膜厚6ミクロン
(5) Ni-Wめっき 膜厚5ミクロン
(6) Re-Niめっき膜厚6ミクロン
(7) Niめっき 膜厚10ミクロン
本実施例では上記の通りの、めっきにより基材表面の多層めっき膜を成膜した後、Cr浸透処理を行った。条件はAr雰囲気中で試験片を処理粉末(Al2O3-15Cr-5NH4Cl mass%)に埋没させ、加熱温度は、本発明に用いる単結晶合金の時効温度である、1120℃を選定し、4h保持した。
上記(1)Niめっき膜は単結晶基材と(2)Re-Niめっき膜との密着性の改善の為に挿入され、Cr浸透処理の過程で(2)Re-Ni層めっきと反応し、拡散バリヤ層の一部となり消失する。また (7)Niめっき膜は、(6)と反応し拡散バリヤ層の一部となるほか、TBCを溶射で成膜する場合に、その衝撃から拡散バリヤ層を保護する保護層となる。Cr浸透処理後は2層の中間層が3層の拡散バリヤによって挟まれた多層合金皮膜の構造となる。すなわち、Cr浸透処理により、Re-Niめっきは拡散バリヤ層であるRe-Ni-Cr層となり、Ni-Wめっきは中間層であるNi-W-Cr層となる。
上記の手順により、拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を成膜した、本発明に用いる単結晶合金試験片にボンドコートを溶射した。溶射前処理として、密着性を向上させるブラスト処理を、粒度24のアルミナ粒子を用い、圧力5kgf/cm2で行った。
ボンドコートには、市販のCoNiCrAlY(Co-32Ni-21Cr-8Al-0.5Y mass%)粉末を用いた。成膜方法は、様々な方法が利用可能で有る事は自明であるが、本実施例では、高速フレーム溶射(HVOF)および減圧プラズマ溶射(LPPS)を用いて、多層合金皮膜上に約150ミクロン成膜した。
ボンドコートの溶射後に、本発明に用いる単結晶合金の組織の調整を目的として時効処理を真空雰囲気中で次の多段の加熱条件で行った。
1120℃・4h ⇒ 871℃・20h
時効処理後に、トップコートを市販のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を大気圧プラズマ溶射(APS)を使用して、約300ミクロン施工した。
図3は上記の手順により得られた本発明による多層合金皮膜を含むTBCの断面組織のSEM写真である。
図3においては、拡散バリヤ層2に接する基材1表面には、析出相等を含む拡散層が存在していない事がわかる。
一方、比較例として、特許文献1に記載の方法により、多層合金皮膜を成膜後、溶体化、ボンドコート溶射、時効処理、トップコート溶射を順に行って成膜した。成膜後の断面観察から、基材表面に20ミクロンの深さまで、針状の析出相が多数ふくむ拡散層が観察された。
以上の通り、本発明の多層合金皮膜の成膜法により、成膜時の基材表面での変質層の抑制が可能となったため、次に拡散バリヤの効果を1050℃における500時間の耐熱試験により検証した。
図4は、本発明の成膜法による多層合金皮膜を含むTBCの耐熱試験後の断面SEM写真である。
図4から、拡散バリヤ層2は、耐熱試験後も健全に存在しており、基材1の表面には析出相を含む拡散層は観察されない。ボンドコート5と基材1との間の拡散に伴う基材強度の低下は抑制されていることわかる。よって、タービン翼の健全性を長時間維持出来る。
一方、比較例の耐熱試験後の断面観察の結果、拡散バリヤ層は健全に残存しているが、成膜時に形成した析出物を含む拡散層も存在し、部材の強度低下の一因となる。従って、特許文献1の方法によれば、有効な拡散バリヤ層を成膜する事が出来るが、タービン翼の強度信頼性を損なう恐れがある。
実施例1と同様、本発明に用いる単結晶合金からなる発電用ガスタービン動翼の燃焼ガスに曝される翼面に実施例1と同様の本発明のコーティングを施工し発電用ガスタービン翼を得た。
図5Aは、実施例の発電用ガスタービン翼を用いた発電用ガスタービンの概略を示したものである。
本図において、ガスタービンは、吸気部16、圧縮機17、燃焼器18、タービン部19(動翼及び静翼を含む。)及び排気部20を含む構成である。
図5Bは、図5AのA部を拡大して示したものであり、動翼及び静翼を含むタービン部19の詳細を示す断面図である。
本図において、タービン部は、タービンローター10、シュラウド11、燃焼器12、ガスパス13、静翼14及び動翼15を含む構成である。
本発明のコーティングを施工した発電用ガスタービン翼では、翼面での変質層形成が抑制されることにより、ガスタービン翼の強度の維持が実現でき、燃焼温度を向上させた高効率ガスタービンが達成できる。
以上の通り、本発明について具体的な実施例を用いて説明したが、本発明は、これらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1:基材、2:拡散バリヤ層、3:保護層、4:拡散バリヤ層を含む合金皮膜、5:ボンドコート、6:トップコート、7:中間層、8:析出相を含む拡散層、9:ケーシング、10:タービンローター、11:シュラウド、12:燃焼器、13:ガスパス、14:静翼、15:動翼、16:吸気部、17:圧縮機、18:燃焼器、19:タービン部、20:排気部。

Claims (2)

  1. 重量で、C:0.06%以上0.08%以下、B:0.016%以上0.035%以下、Hf:0.2%以上0.3%以下、Cr:6.9%以上7.3%以下、Mo:0.7%以上1.0%以下、W:7.0%以上9.0%以下、Re:1.2%以上1.6%以下、Ta:8.5%以上9.5%以下、Nb:0.6%以上1.0%以下、Al:4.9%以上5.2%以下、Co:0.8%以上1.2%以下、及び残部が実質的にNiである単結晶合金からなる翼基材の表面に、直接多層合金皮膜、ボンドコート、トップコートを順次積層させた構造を有する発電用ガスタービン翼の製造方法であって、
    (1)基材を溶体化する。(溶体化工程)
    (2)基材を翼形状に加工する。(形状加工工程)
    (3)基材に拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜を成膜する。(多層合金皮膜成膜工程)
    (4)拡散バリヤ層を含む合金皮膜上にボンドコートを成膜する。(ボンドコート成膜工程)
    (5)拡散バリヤ層を含む多層合金皮膜とボンドコートを成膜した基材の時効を行う。(時効工程)
    (6)ボンドコート上にトップコートを成膜する。(トップコート成膜工程)
    を順次行うものであり、前記多層合金皮膜成膜工程での成膜温度は、前記単結晶合金の時効温度以下であることを特徴とする発電用ガスタービン翼の製造方法。
  2. 前記多層合金皮膜が、基材表面に直接接する拡散バリヤ層と中間層を含み、前記拡散バリヤ層がReCr及びNiを含む合金であることを特徴とする請求項1記載の発電用ガスタービン翼の製造方法
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