以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態の画像形成装置は、第1の電位を形成する第1の電位形成部と、第1の電位とは異なる第2の電位を形成する第2の電位形成部と、第1のパルス信号のレベルに基づいて、第1の端子の電位を第1の電位又は第2の電位に切替える第1の切替部と、第1のパルス信号の低周波成分を通過させた信号であって、過渡的に変化する応答である第1の応答信号を出力する第1の低域通過フィルタと、第1のパルス信号を反転する第1の反転部と、反転された第1のパルス信号の低周波成分を通過させた信号であって、過渡的に変化する応答である第2の応答信号を出力する第2の低域通過フィルタと、第1の応答信号の大きさと第2の応答信号の大きさとを比較し、第1の応答信号及び第2の応答信号のいずれか一方が他方よりも大きい場合に高いレベルとなる第2のパルス信号を出力する第1の比較部と、第2のパルス信号のレベルに基づいて、第2の端子の電位を第1の電位又は第2の電位に切替える第2の切替部とを有し、像担持体へ現像剤を担持しつつ搬送する現像剤担持体の像担持体に対する電界の方向を変化させる。
これにより、本実施の形態の画像形成装置は、簡易な構成で位相をシフトさせた信号を出力し、現像剤担持体の像担持体に対する電界の方向を変化させて、高画質な画像を形成することができる。
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置1の概要を示す構成図である。本図に示すように、画像形成装置1は、例えば4つの像形成装置10、中間転写装置12、給紙装置14、搬送路16、定着装置18、コントローラ210、操作表示部220及び画像処理部300を有する。この画像形成装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)またはネットワークを介したサーバなど(図示せず)から受入れた画像データを印刷するプリンタ機能に加えて、フルカラー複写機としての機能、スキャナ機能及びファクシミリとしての機能を兼ね備えた複合機であってもよい。
画像形成装置1の上部には、コントローラ210、操作表示部220及び画像処理部300が配置されている。コントローラ210(図17参照)は、画像形成装置1を構成する各部を制御する。操作表示部220は、例えばタッチパネルなどであり、コントローラ210に対する入力を受入れるとともに、画像形成装置1の状態などを表示する。画像処理部300は、受入れた画像データに対して階調補正及び解像度補正などの画像処理を施し、像形成装置10に対して出力する。
画像形成装置1のほぼ中央部には、カラー画像を構成する色に対応して、複数の像形成装置10が配置されている。本例では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応して、第1の像形成装置10C、第2の像形成装置10M、第3の像形成装置10Y及び第4の像形成装置10Kが、中間転写装置12に沿って所定の間隔を空けてほぼ水平に配列されている。
4つの像形成装置10C、10M、10Y、10Kは、収容している現像剤の色がそれぞれ異なり、その他の構成がほぼ同様にされている。以下、像形成装置10のいずれかを特定する場合には、C、M、Y又はKを付すことにより区別する。
中間転写装置12は、中間転写体としての中間転写ベルト20を図中矢印aの方向に回転させる。4つの像形成装置10C、10M、10Y、10Kは、画像処理部300から入力された画像データに基づいて各色の現像剤像を順次形成する。中間転写装置12は、4つの像形成装置10C、10M、10Y、10Kが形成した複数の現像剤像を重ね合わせるタイミングで中間転写ベルト20に転写(一次転写)する。
給紙装置14は、用紙などの記録媒体22を搬送路16に対して供給する。搬送路16は、中間転写装置12の下方に配置されている。給紙装置14から供給された記録媒体22は、搬送路16上を図中矢印bの方向に搬送され、中間転写ベルト20上に多重に転写された各色の現像剤像が一括して転写(二次転写)され、転写された現像剤像が定着装置18によって定着され、外部に排出される。
次に、画像形成装置1の各構成についてより詳細に説明する。上述したように、4つの像形成装置10C、10M、10Y、10Kは、ほぼ同様に構成されている。以下、第1の像形成装置10Cを例に説明する。第1の像形成装置10Cは、像担持体24C、帯電装置26C、光書込装置28C及び現像装置30Cを有する。
像担持体24Cは、例えば円筒状の感光体ドラムであり、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備え、長手方向を軸として回転(図1において反時計回りに回転)するようにされている。
帯電装置26Cは、例えばコロトロン、スコロトロン、または帯電ローラなどであり、像担持体24Cに対し、表面電荷を付与して帯電させる。
光書込装置28Cは、画像処理部300から受入れたシアン(C)の画像データに応じて光を出射する例えばLPH(LED Print Head)などである。光書込装置28Cは、帯電装置26Cが帯電させた像担持体24Cに光を照射(露光)することにより、像担持体24Cに静電潜像を形成する。
現像装置30Cは、現像ローラ31C、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含み、収容しているシアン(C)の現像剤により、像担持体24Cに形成された静電潜像を現像する。現像ローラ31Cは、軸となる芯金を備えた円筒状の部材であり、像担持体24Cに対し、予め定められた隙間を保つように、ほぼ平行に配置されている。また、現像ローラ31Cは、図2等を用いて詳述する電源部50が接続されている。
また、他の像形成装置10M、10Y、10Kも、像形成装置10Cと同様に、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色の現像剤像を形成する。
中間転写装置12は、各像形成装置10C、10M、10Y、10Kに対向する位置にそれぞれ第1の一次転写ローラ40C、第2の一次転写ローラ40M、第3の一次転写ローラ40Y及び第4の一次転写ローラ40Kを有する。また、中間転写装置12は、中間転写ベルト20を図中矢印aの方向に回転させるように搬送する搬送ローラ32、34、36を有する。
搬送ローラ32、34、36が中間転写ベルト20を回転させることにより、一次転写ローラ40C、40M、40Y、40Kは、像形成装置10C、10M、10Y、10K上に形成された各色の現像剤像を中間転写ベルト20に多重転写(重畳)させる。
また、搬送ローラ32は、搬送路16に設けられた搬送ローラ38とともに二次転写バイアスが印加された二次転写部を形成する。搬送ローラ32と搬送ローラ38は、搬送路16を通って搬送される記録媒体22に対し、中間転写ベルト20上に重畳された各色の現像剤像を一括して転写する。
二次転写部の下流には、クリーニングブレードを含むクリーニング装置42が設けられている。クリーニング装置42は、記録媒体22に現像剤像が転写された後に中間転写ベルト20に残留する現像剤を除去する。
また、中間転写装置12には、例えば中間転写ベルト20に対向するように、センサ44が設けられている。センサ44は、例えば中間転写ベルト20に光束を出射し、中間転写ベルト20からの反射光を検出して、例えば現像剤像の濃度(画素ごとの濃度など)の検出結果をコントローラ210に対して出力する。なお、センサ44は、現像剤像が転写された記録媒体22に光束を出射するようにされてもよい。
搬送路16には、さらに搬送ローラ46、排出ローラ48が設けられている。搬送ローラ46と排出ローラ48との間には、定着装置18が配置されている。定着装置18は、現像剤像が転写された記録媒体22に対して例えば熱と圧力とを加え、現像剤像を記録媒体22に定着させる。排出ローラ48は、現像剤像が定着された記録媒体22を排出する。
次に、現像ローラ31及びその周辺について詳述する。図2及び図3は、現像ローラ31及びその周辺の構成を示す模式図である。図2においては、現像ローラ31は、軸方向に対して平行な位置から軸方向に対して直行する方向に見た正面図が示されている。また、図3においては、現像ローラ31は、軸方向に対して直行する面に沿って切断した場合の断面を模式的に示した部分断面図が示されている。なお、図2においては、後述する絶縁層316は図示していない。
現像ローラ31は、トナーを担持しつつ搬送する現像剤担持体(フレアローラ)である。現像ローラ31は、例えば導体である軸部310、内側電極312及び外側電極314を有する。内側電極312は、例えば軸部310と同電位になるように接続された円筒状の導体であり、外周面が絶縁層316に覆われている。外側電極314は、軸部310に対して平行となる方向に延びる複数の帯状部分が予め定められた間隔で形成されており、絶縁層316を介して内側電極312を覆うように設けられている。
さらに、現像ローラ31には、外側電極314の外周面を覆う保護層としての表層318が設けられている。つまり、現像ローラ31は、内側電極312、絶縁層316、外側電極314及び表層318が内周側から順に重ねられた4層構造になっている。
そして、現像ローラ31は、内側電極312及び外側電極314に異なる電位が設定され、それぞれの電位が周期的に切替えられると、内側電極312及び外側電極314により表層318の外面側に生じる電界の方向が変化するように構成されている。ここで、現像ローラ31は、表層318からトナーを反発させることと、表層318にトナーを吸引することとを繰り返し、回転しながらトナーを表層318上で摩擦により帯電させつつ像担持体24に向けて搬送する。
このように、現像ローラ31は、トナーを反発させることと吸引することとを繰り返すことにより、所謂トナーのクラウド化を行うフレア現像を実行する。なお、現像ローラ31は、内側電極312と外側電極314との間に絶縁層316が設けられているため、容量性の負荷となっている。
図2及び図3に示すように、現像ローラ31には、電源部50が接続されている。電源部50は、第1の電位形成部52、第2の電位形成部54、ブリッジ回路56及びブリッジ制御回路58を有する。
第1の電位形成部52及び第2の電位形成部54は、例えば1000V未満の電位差が生じるように互いに異なる電圧を発生させる直流高圧電源である。例えば、第1の電位形成部52は、上述したフレア現像を行う場合のピーク電圧Vppを形成し、第2の電位形成部54は、フレア現像を行う場合の基底電位を形成(バイアス電源)する。また、第1の電位形成部52及び第2の電位形成部54のいずれか一方の電位が0Vとなるように電位を設定されてもよい。
ブリッジ回路56は、端子A及び端子Bを有し、ブリッジ制御回路58の制御に応じて、第1の電位形成部52が形成する電位及び第2の電位形成部54が形成する電位を端子A及び端子Bに設定する。例えば、端子Aは外側電極314に接続され、端子Bは軸部310に接続される。なお、内側電極312は、軸部310と同電位になる。
次に、ブリッジ回路56及びブリッジ制御回路58について詳述する。図4は、ブリッジ回路56及びブリッジ制御回路58それぞれの構成を示す構成図である。図4に示すように、ブリッジ回路56は、例えば高耐圧FET(Field Effect Transistor)などから構成される4つのスイッチ(SW1〜SW4)を有する。
ブリッジ回路56は、例えば第1の電位形成部52が形成する電位が端子Cに設定され、第2の電位形成部54が形成する電位が端子Dに設定されて、SW1〜SW4がブリッジ制御回路58により制御されると、端子A及び端子Bにそれぞれ電位が設定される。
ブリッジ制御回路58は、基準パルス生成部580、第1の切替回路582、第1の低域通過フィルタ(LPF:Low−pass filter)584、反転器586、第2の低域通過フィルタ588、比較器590及び第2の切替回路592を有する。
基準パルス生成部580は、例えばデューティ比を変更可能にされたパルス発生器であり、発生させたパルス(第1のパルス信号)を第1の切替回路582、第1の低域通過フィルタ584及び反転器586に対して出力する。なお、ブリッジ制御回路58は、第1の切替回路582、第1の低域通過フィルタ584及び反転器586が外部からパルスを受入れ、基準パルス生成部580を有しない構成であってもよい。
第1の切替回路582は、例えば基準パルス生成部580から受入れた第1のパルス信号がハイレベル(H)である場合にはSW1をオン、SW3をオフにするよう動作し、第1のパルス信号がローレベル(L)である場合にはSW1をオフ、SW3をオンにするよう動作する。つまり、第1の切替回路582は、第1のパルス信号のレベルに応じてSW1及びSW3を切替える動作を行う。
第1の低域通過フィルタ584は、入力信号として第1のパルス信号を受入れると、図5(a)に示すように過渡的に変化する応答である出力信号(第1の応答信号)を出力する。第1の低域通過フィルタ584は、図5(b)に示すように、例えば抵抗器600及びコンデンサ602を有する。なお、第1の低域通過フィルタ584は、過渡応答をするように構成されていれば、他の構成であってもよい。
反転器586は、例えばインバータ回路であり、基準パルス生成部580から受入れた第1のパルス信号を反転させ、第2の低域通過フィルタ588に対して出力する。なお、反転器586による遅延は、例えば無視できる程度に短いものとする。
第2の低域通過フィルタ588は、例えば第1の低域通過フィルタ584と同様に、抵抗器及びコンデンサを有する。第2の低域通過フィルタ588は、入力信号として反転された第1のパルス信号を反転器586から受入れると、過渡的に変化する応答である出力信号(第2の応答信号)を出力する。ただし、本実施形態において、第2の低域通過フィルタ588は、第1の低域通過フィルタ584とは時定数が異なるものとする。
比較器590は、例えばコンパレータである。比較器590は、第1の低域通過フィルタ584の出力信号(第1の応答信号)と、第2の低域通過フィルタ588の出力信号(第2の応答信号)とを受入れてそれぞれの大きさを比較し、例えば第1の応答信号が第2の応答信号よりも大きい場合に高いレベル(ハイレベル:H)となる第2のパルス信号を第2の切替回路592に対して出力する。比較器590は、第2の応答信号が第1の応答信号よりも大きい場合に高いレベル(ハイレベル:H)となる第2のパルス信号を出力するように設けられてもよい。
第2の切替回路592は、例えば比較器590から受入れた第2のパルス信号がハイレベル(H)である場合にはSW2をオン、SW4をオフにするよう動作し、第2のパルス信号がローレベル(L)である場合にはSW2をオフ、SW4をオンにするよう動作する。つまり、第2の切替回路592は、第2のパルス信号のレベルに応じてSW4及びSW2を切替える動作を行う。
次に、図4及び図6を用いて、ブリッジ制御回路58及びブリッジ回路56の動作について説明する。図6は、ブリッジ回路56の基本動作を示すタイミングチャートである。なお、図6に示したタイミングチャートは、ブリッジ回路56の動作を説明するものであり、ブリッジ制御回路58による制御は行われていないものとしている。
図6に示した端子A、Bの電位は、図4に示した端子A、Bに生じる電位を示している。また、動作例として、ブリッジ回路56の端子C(図4)は第1の電位形成部52から電圧Vppが印加され、端子Dは第2の電位形成部54により0Vが設定されている。
例えば、図4に示した第1の切替回路582がSW1をオンにし、SW3をオフにすると、端子Aの電位はVpp(図6)となる。また、第1の切替回路582がSW1をオフにし、SW3をオンにすると、端子Aの電位は0Vとなる。第2の切替回路592がSW2をオンにし、SW4をオフにすると、端子Bの電位はVppとなる。また、第2の切替回路592がSW2をオフにし、SW4をオンにすると、端子Bの電位は0Vとなる。
例えば、SW1及びSW3を動作させるパルス信号と、SW2及びSW4を動作させるパルス信号との位相が180°ずれている場合、図6(a)、(b)に示すように、端子A及び端子Bには、位相が180°ずれた電位が形成される。例えば、端子Bの電位を基準とすると、端子Bに対する端子Aの相対的な電位は、図6(c)に示すように、Vppと−Vppとを繰り返すこととなる。つまり、端子Aと端子Bとの間には、常に電位差が生じていることになり、現像ローラ31を痛めやすくしてしまうことがある。
一方、SW1及びSW3を動作させるパルス信号と、SW2及びSW4を動作させるパルス信号との位相が例えば約90°(180°未満)ずれている場合、図7(a)、(b)に示すように、端子A及び端子Bには、位相が約90°(180°未満)ずれた電位が形成される。ここで、端子Bの電位を基準とすると、端子Bに対する端子Aの相対的な電位は、図7(c)に示すように変化する。
すなわち、端子Aに対して端子Bの電位が時間Tsだけ遅れて変化すると、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ高くなる時間Tsと、端子A、B間に電位差がない時間と、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ低くなる時間Tsとが生じる。つまり、端子Aと端子Bとの間に電位差が生じていない時間があるため、電位差が現像ローラ31に対して与える影響を小さくすることができる。
図8は、比較器590の動作を示すタイミングチャート(波形図)である。図8(a)に示した第1のパルス信号を基準パルス生成部580が出力すると、第1の低域通過フィルタ584は、図8(b)に示した過渡的に変化する応答である出力信号(第1の応答信号)を出力する。
第2の低域通過フィルタ588は、反転器586が反転させた第1のパルス信号を受入れて、図8(b)に示した過渡的に変化する応答である出力信号(第2の応答信号)を出力する。
比較器590は、第1の応答信号と第2の応答信号とを受入れてそれぞれの大きさを比較し、第1の応答信号が第2の応答信号よりも大きい場合に高いレベル(ハイレベル:H)となる第2のパルス信号を出力する(図8(c))。
第2のパルス信号は、第1のパルス信号の立ち上がりに対して時間Ts1だけ遅れて立ち上がり、第1のパルス信号の立ち下がりに対して時間Ts2だけ遅れて立ち下がる。なお、時間Ts1と時間Ts2とは、同じ時間となっている。つまり、第2のパルス信号は、第1のパルス信号に対して時間Ts1(=時間Ts2)だけ位相が遅れたパルス信号である。
そして、第1のパルス信号に応じて第1の切替回路582がSW1及びSW3を切替え、第2のパルス信号に応じて第2の切替回路592がSW2及びSW4を切替えると、図9(a)、(b)に示すように、端子Aの電位の変化に対し、時間Ts(=時間Ts1=時間Ts2)だけ遅れて端子Bの電位が変化する。
第1のパルス信号が高いレベル(ハイレベル:H)である時間をT(デューティ比が50%)とすると、端子A及び端子Bの電位がVppとなる時間もTである。よって、図9(c)に例示するように、第1のパルス信号の1周期の間に、端子A及び端子Bには、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ高くなる時間Tsと、端子A、B間に電位差がない時間[2(T−Ts)]と、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ低くなる時間Tsとが生じる。
このように、ブリッジ制御回路58は、ブリッジ回路56の端子A及び端子Bの電位を切替えることにより、現像ローラ31による上述したフレア現像を実現させている。
また、例えばデューティ比が60%である第1のパルス信号を基準パルス生成部580が出力した場合、図9(d)、(e)に示すように、端子Aの電位の変化に対し、時間Ts3だけ遅れて端子Bの電位が変化する。ここで、第1のパルス信号が高いレベル(ハイレベル:H)である時間をTt1とすると、端子A及び端子Bの電位がVppとなる時間もTt1である。
よって、図9(f)に例示するように、第1のパルス信号の1周期(Tt)の間に、端子A及び端子Bには、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ高くなる時間Ts3と、端子A、B間に電位差がない時間(下式1)と、端子Aの相対電位が端子BよりもVppだけ低くなる時間Ts3とが生じる。
端子A、B間に電位差がない時間=(Tt1−Ts3)+(Tt2−Ts3)
=Tt−2Ts3 ・・・(1)
このように、ブリッジ制御回路58は、基準パルス生成部580が生成する第1のパルス信号のデューティ比を変えることにより、ブリッジ回路56の端子A及び端子Bに生じる電位の変化を調節するように構成されてもよい。
次に、第1の低域通過フィルタ584の変形例について説明する。図10は、第1の低域通過フィルタ584の変形例を示す構成図である。図10(a)に示すように、第1の低域通過フィルタ584の第1の変形例は、抵抗器600に対して並列に抵抗器604が設けられ、スイッチSW−A(以下SW−A)のオン・オフにより、時定数が変わるように構成されている。
また、図10(b)に示すように、第1の低域通過フィルタ584の第2の変形例は、コンデンサ602に対して並列にコンデンサ606が設けられ、スイッチSW−B(以下SW−B)のオン・オフにより、時定数が変わるように構成されている。
第2の低域通過フィルタ588も、第1の低域通過フィルタ584の変形例と同様に、時定数が可変となるように構成されてもよい。
図11は、第1の低域通過フィルタ584の時定数が変更された場合の比較器590の動作を示すタイミングチャート(波形図)である。図11(a)に示した第1のパルス信号を基準パルス生成部580が出力すると、第1の低域通過フィルタ584は、図11(b)に示した過渡的に変化する応答である出力信号(応答信号I)を出力する。
第2の低域通過フィルタ588は、反転器586が反転させた第1のパルス信号を受入れて、図11(b)に示した過渡的に変化する応答である出力信号(第2の応答信号)を出力する。
比較器590は、応答信号Iと第2の応答信号とを受入れてそれぞれの大きさを比較し、図11(c)に示すように、応答信号Iが第2の応答信号よりも大きい場合に高いレベル(ハイレベル:H)となる第2のパルス信号を出力する。
第2のパルス信号は、第1のパルス信号の立ち上がりに対して時間TsIだけ遅れて立ち上がり、第1のパルス信号の立ち下がりに対して時間TsIだけ遅れて立ち下がる。
一方、第1の低域通過フィルタ584の第1の変形例は、第1のパルス信号を受入れると、例えば図11(b)に示した過渡的に変化する応答である出力信号(応答信号II)を出力する。第1の低域通過フィルタ584の第1の変形例は、例えば図10(a)に示したSW−Aがオンにされて、第1の低域通過フィルタ584よりも時定数が小さくなっている。
比較器590は、応答信号IIと第2の応答信号とを受入れてそれぞれの大きさを比較し、応答信号IIが第2の応答信号よりも大きい場合に高いレベル(ハイレベル:H)となる第2のパルス信号を出力する。
ブリッジ制御回路58が第1の低域通過フィルタ584の第1の変形例を有する場合、第2のパルス信号は、第1のパルス信号の立ち上がりに対して時間TsIIだけ遅れて立ち上がり、第1のパルス信号の立ち下がりに対して時間TsIIだけ遅れて立ち下がる。つまり、ブリッジ制御回路58が第1の低域通過フィルタ584の第1の変形例を有する場合、ブリッジ制御回路58が第1の低域通過フィルタ584を有する場合よりも第2のパルス信号の位相遅れは小さくなる。
このように、ブリッジ制御回路58は、例えば第1の低域通過フィルタ584の時定数を変えることにより、第2のパルス信号の位相をシフトさせることができる。
次に、ブリッジ制御回路58の第1の変形例について説明する。図12は、ブリッジ制御回路58の第1の変形例を示す構成図である。図12に示すように、ブリッジ制御回路58の第1の変形例は、基準パルス生成部580が生成した第1のパルス信号を反転せずに第1の低域通過フィルタ584に対して伝達する非反転回路594を有する。なお、ブリッジ制御回路58の第1の変形例において、ブリッジ制御回路58を構成する各部と実質的に同一であるものには、同一の符号が付してある。
非反転回路594は、例えばバッファ回路であり、第1の低域通過フィルタ584に対して必要な電流を供給する。例えば基準パルス生成部580の電流供給能力が低い場合、第1の低域通過フィルタ584に対して必要な電流が得られず、第1の低域通過フィルタ584における充電時間が遅くなってしまうことがある。つまり、非反転回路594は、基準パルス生成部580の電流供給能力が低い場合にも、第1の低域通過フィルタ584に対して必要な電流を供給しつつ、第1のパルス信号を伝達する。
次に、ブリッジ制御回路58の第2の変形例について説明する。まず、ブリッジ制御回路58の動作について、図13を用いて補足説明する。図13は、第1の低域通過フィルタ584が出力する第1の応答信号と、第2の低域通過フィルタ588が出力する第2の応答信号との大小関係が入れ替わるタイミングを示すタイミングチャート(波形図)である。
ブリッジ制御回路58は、第1のパルス信号のパルス幅(時間)をTとすると、第1のパルス信号に対して第2のパルス信号の位相をT/2以上シフトさせることはできない。例えば図13(a)に示すように、第1の応答信号及び第2の応答信号は、第1のパルス信号の振幅値が漸近線となるように、過渡的に変化する。したがって、第1の応答信号及び第2の応答信号は、第1のパルス信号のLレベルからHレベルへ結ぶ対角線上の値よりも、常に大きな値で大小関係が入れ替わる。つまり、第1の応答信号及び第2の応答信号は、T/2よりも短い時間で値が交差する。
また、図13(b)に示すように、例えば第1の低域通過フィルタ584が出力する第1の応答信号がパルス幅Tの間に振幅値(Hレベル)まで到達しない場合には、第1の応答信号及び第2の応答信号の値がT/2よりも長い時間経過後に交差することも考えられる。しかし、第1の応答信号が振幅値まで到達しない場合、第1の応答信号が立ち上がるときに第1の応答信号及び第2の応答信号の値が交差するまでの時間(TsA)に比べて、第1の応答信号が立ち下がるときに第1の応答信号及び第2の応答信号の値が交差するまでの時間(TsB)が短くなる。つまり、第2のパルス信号は、第1のパルス信号の位相を変えた信号ではなくなってしまう。
そこで、ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、第2のパルス信号の位相をT/2以上シフトさせることができるように構成されている。図14は、ブリッジ制御回路58の第2の変形例を示す構成図である。なお、ブリッジ制御回路58の第2の変形例において、ブリッジ制御回路58を構成する各部と実質的に同一であるものには、同一の符号が付してある。
図14に示すように、ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、第1の低域通過フィルタ584、反転器586、第2の低域通過フィルタ588及び比較器590をそれぞれ2つ以上有する。ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、例えば3つの比較器590を有するように構成される。また、比較器590などのように、複数ある構成のいずれかを特定する場合には、比較器590−1、比較器590−2、比較器590−3などと記すことがある。
ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、最初の比較器590−1の出力(第2のパルス信号)がDC/DCコンバータ596−1を介して再び第1の低域通過フィルタ584−2及び反転器586−2に対して入力される。DC/DCコンバータ596は、比較器590が出力する信号のレベル(振幅値)を第1のパルス信号とほぼ同じレベルにして出力する。なお、ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、DC/DCコンバータ596を有していない構成であってもよい。
また、2つ目の比較器590−2の出力(第3のパルス信号)がDC/DCコンバータ596−2を介して再び第1の低域通過フィルタ584−3及び反転器586−3に対して入力される。そして、3つ目の比較器590−3の出力(第4のパルス信号)が第2の切替回路592に対して入力される。
第2の切替回路592は、3つ目の比較器590−3の出力(第4のパルス信号)を受入れると、第4のパルス信号のレベルに応じてSW2及びSW4を切替える動作を行う。
図15は、ブリッジ制御回路58の第2の変形例の動作の一部を示すタイミングチャート(波形図)である。図15(a)は、第1の低域通過フィルタ584−1に対して入力される第1のパルス信号である。
図15(b)に示すように、第1の低域通過フィルタ584−1が出力する第1の応答信号と、第2の低域通過フィルタ588−1が出力する第2の応答信号とは、第1のパルス信号の立上がり及び立下りから時間Tsだけ遅れて大小関係が入れ替わる。
図15(c)に示すように、比較器590−1は、図15(b)に示した第1の応答信号及び第2の応答信号を受入れて、第2のパルス信号を出力する。また、第1の低域通過フィルタ584−2が出力する第1の応答信号と、第2の低域通過フィルタ588−2が出力する第2の応答信号とは、第2のパルス信号の立上がり及び立下りから時間Tsだけ遅れて大小関係が入れ替わる。
図15(d)に示すように、比較器590−2は、図15(c)に示した第1の応答信号及び第2の応答信号を受入れて、第3のパルス信号を出力する。第3のパルス信号は、第1のパルス信号に対して時間2Tsだけ遅れている。
同様に、比較器590−3は、第1の低域通過フィルタ584−3が出力する第1の応答信号と、第2の低域通過フィルタ588−3が出力する第2の応答信号を受入れて、第4のパルス信号を出力する。このように、ブリッジ制御回路58の第2の変形例は、パルス信号の位相を変えることを繰り返すことにより、パルス信号の位相を上述したT/2よりも大きく変えることが可能になっている。
例えば、パルス信号の位相をn回変えると、位相を最大で約nT/2だけ変えることができる。なお、各第1の低域通過フィルタ584及び第2の低域通過フィルタ588は、それぞれ異なる時定数であってもよい。
次に、ブリッジ制御回路58の第3の変形例について説明する。図16は、ブリッジ制御回路58の第3の変形例を示す構成図である。なお、ブリッジ制御回路58の第3の変形例において、ブリッジ制御回路58の第2の変形例を構成する各部と実質的に同一であるものには、同一の符号が付してある。また、ブリッジ制御回路58の第3の変形例においては、第1の低域通過フィルタ584、反転器586、第2の低域通過フィルタ588及び比較器590をそれぞれ3つ有する構成としたが、それぞれ2つ以上であればいくつであってもよい。
ブリッジ制御回路58の第3の変形例は、比較器590−1〜590−3がそれぞれ出力する第2のパルス信号〜第4のパルス信号のいずれかがSW(スイッチ)700〜702のいずれかにより選択されて第2の切替回路592へ入力されるように構成されている。つまり、ブリッジ制御回路58の第3の変形例は、SW700〜702のいずれか1つをオンにすることにより、第2の切替回路592へ入力するパルス信号の位相をシフトさせる回数を選択することができる構成となっている。
図17は、実施の形態にかかる複合機などの画像形成装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、この画像形成装置1は、コントローラ210とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ210は、画像形成装置1全体の制御と描画、通信、操作表示部220からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれてもよい。
コントローラ210は、CPU211と、ノースブリッジ(NB)213と、システムメモリ(MEM−P)212と、サウスブリッジ(SB)214と、ローカルメモリ(MEM−C)217と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)216と、ハードディスクドライブ(HDD)218とを有し、ノースブリッジ(NB)213とASIC216との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス215で接続した構成となる。また、MEM−P212は、ROM(Read Only Memory)212aと、RAM(Random Access Memory)212bと、をさらに有する。
CPU211は、画像形成装置1の全体制御を行うものであり、NB213、MEM−P212及びSB214からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
NB213は、CPU211とMEM−P212、SB214、AGPバス215とを接続するためのブリッジであり、MEM−P212に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM−P212は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM212aとRAM212bとからなる。ROM212aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM212bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。
SB214は、NB213とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB214は、PCIバスを介してNB213と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC216は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス215、PCIバス、HDD218及びMEM−C217をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC216は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC216の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C217を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC216には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。また、ASIC216は、図示しないホストPC及びネットワーク等にも接続されている。操作表示部220は、例えばタッチパネルなどであり、コントローラ210に対する入力を受入れるとともに、画像形成装置1の状態などを表示する。また、操作表示部220は、ASIC216に直接接続されている。
MEM−C217は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)218は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
AGPバス215は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P212に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
記録媒体219は、例えば1度の書き込みが可能なCD−R(Compact Disc Recordable)などであり、記録したプログラムやデータなどをHDD218にコピーする場合などに用いられる。
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置1をコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。