JP5903115B2 - 鞍乗型車両の蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
そして、簡易な負圧制限バルブによって、アイドリング時のスロットルバルブ上流側近傍でのリーク負圧においてはパージ燃料ガスを制限して混合気のばらつきを防止し、それ以上のスロットルバルブの開度ではスロットルバルブ近傍に発生する負圧を有効利用してパージ燃料ガスを供給して安価にパージ性能を向上することができる。
本実施形態において、鞍乗型車両はパワーユニット5を搭載した自動二輪車1であり、特許請求の範囲および本明細書の説明における前後左右上下等の向きは、本実施形態の蒸発燃料処理装置100を備えた車両(自動二輪車1)の向きに従うものとする。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
メインフレーム21の屈曲部からは左右一対のシートレール23が途中屈曲部を形成しながら後方に延出しており、シートレール23の屈曲部とメイン急傾斜部21aの中央部とを連結したバックステー24がシートレール23を支持している。
車体フレーム2のダウンフレーム22の上部を左右両側からフロントカバー18Aが覆い、内燃機関3とシート17との間の左右両側をサイドカバー18Bが覆い、シートレール25の後半をリヤカバー18Cが覆っている。
本実施形態の内燃機関3は、空冷単気筒のSOHC型4ストロークサイクル内燃機関である。
カウンタ軸42はクランクケース30を左方に貫通して外部に突出して、パワーユニット5の最終の出力軸となっており、突出部位に出力スプロケット26がスプライン嵌合されている。
出力スプロケット26に巻き掛けられる駆動チェーン27が、後輪14側の被動スプロケット14aに架渡されてチェーン伝達機構が構成され、後輪14に動力が伝達される。
シリンダヘッド34の吸気ポート34aには、金属製の吸気管61が接続し後方に延出して気化器62に接続し、気化器62は、硬質ゴム製のコネクティングチューブ63を介して後方に位置する上流側のエアクリーナケース64に連結している。
フロート室へは燃料タンク8からの重力落下によって常時加圧供給される燃料が、燃料供給管81(図2参照)によって燃料受給口67(図5参照)からフロート室66に供給される。
図8中VI−VI矢視図に相当する図6に模式的に示されるように、本実施形態の蒸発燃料処理装置100は、キャニスタ9とそれに接続される配管等で構成されている。
キャニスタ9は活性炭等の吸着剤を内蔵する円筒状の容器であり、本実施形態において円筒軸を車幅方向に配向して、下流側吸気通路6Cを形成する吸気管61とクランクケース30との間であって、気化器62の下部近傍に配置されて、自動二輪車1のメインフレーム急傾斜部21aに取り付けられる(図1、図8参照)。
自動二輪車1の駐車時等において、燃料タンク8内の燃料が暖められて発生した蒸発燃料ガスはブリーザ配管82、チャージ管91を経由してキャニスタ9内に送られ、キャニスタ9内の吸着剤に吸着される。
吸着された蒸発燃料ガスは、内燃機関3の稼働によって生じる吸気系の負圧によってパージされ、戻りパージ配管92(図2参照)を通り吸気通路6に戻され、内燃機関3において燃焼することで、ガスの浄化がなされる
また、ドレイン管94は、後部下方に延びてクランクケース30の下方に至り、車体下部において外方端94bが下方に開口しており、ドレインされる気体、液体による車体および乗員への影響を抑制している。
一方、中心軸を車幅方向に配向する円筒状のキャニスタ9は、下流側吸気通路6Cを形成する吸気管61とクランクケース30(図1参照)との間であって、気化器62の下部近傍に配置されており、キャニスタ9の右端部9a中央に一端91aが接続して、上流側吸気通路6Aを形成するコネクティングチューブ62の下方を左方に通過して上方に延びるチャージ管91の他端91bに、ブリーザ管82が接続している。
そのため、前述のように燃料タンク8内から発生した蒸発燃料ガスは、ブリーザ管82とチャージ管91を介してキャニスタ9内に送られ、吸着剤に吸着される。
図3、図4に示されるように、戻り開口部68は、側面視で気化器62内のキャブ内吸気通路6Bの下縁部6Bbに位置しており、一端側が戻りパージ管92の他端92bが接続されるノズル部に形成されるとともにノズル部と気化器62の壁部に気化器62内のキャブ内吸気通路6Bの軸方向に穿設された軸方向孔68aと、軸方向孔68aと接続してキャブ内吸気通路6B内に向けて気化器62の壁部に穿設された連通孔68bを備えている。
なお、連通孔68bの外方向端は栓部材69で塞がれている。
そして、戻りパージ配管92の逆U字部92cの上端は、図1、図2に示されるように、側面視で吸気管61内の下流側吸気通路6Cの上縁部6Ca以上に位置している(図9も参照)。
そのため逆U字部92cは、キャブ内吸気通路6Bの下縁部6Bbと下流側吸気通路6Cの上縁部6Caとの間を上下することで、限られたスペースの中で吸気通路6(6B、6C)の上下幅を利用して、逆U字部92cの配管長さを確保して、パージ性能のより安定化が図られている。
キャニスタ9が気化器62の下部近傍に配置されて、キャニスタ6からの戻りパージ配管92が、下流側吸気通路6Cを形成する吸気管61の右側方空間において逆U字状として配置されているので、キャニスタ9と戻りパージ配管92の配置スペースが確保され、且つ、配管長の高低差を利用してパージ燃料ガスの急激な戻りが防止され、自動二輪車1の振動、傾斜においても凝縮した液体燃料がキャニスタ9から吸気通路6へ流入することが防止され、パージ燃料ガスによるエンジン性能への影響を防止してエンジン性能を高めることができるものとなっている。
負圧制限バルブ7は、戻り開口部68側が一定以上の負圧になったときのみ、キャニスタ9側から気化器62の戻り開口部68側へパージ燃料ガスの流入を許すワンウエイバルブである。
そして、一定以上の負圧を生じるそれ以上のスロットルバルブ65の開度では、戻り開口部68に一定以上の負圧が生じるので、負圧制限バルブ7が開き、スロットルバルブ65近傍に発生する負圧を有効利用してパージ燃料ガスを供給することができ、簡易な負圧制限バルブ7によって、安価にパージ性能を向上することができる。また、気化器62側からの吹き返しガスも防止する。
また、ゴムバンド71の外側面には接線方向の嵌合通孔72備える固定突起73が一体に形成されている。
一方、図10に示されるように、吸気管61の側壁61a、すなわち吸気通路6(下流側吸気通路6C)の外壁61aには、支持ボス61bが一体に設けられており、支持ボス61bに設けられた雌ねじ穴に螺入されるボルト61cによってバルブ取付けステー(本発明における「ステー」)61dが締結されている。
そのため戻りパージ配管92は負圧制限バルブ7を介して下流側吸気通路6Cの外壁61aによって支持されるので、戻りパージ配管92の振動が防止され、戻りパージ配管92内のパージ燃料ガスの乱れが防止され、パージ性能が向上するものとなる。
したがって、キャニスタ9は、下流側吸気通路6Cを形成する吸気管61とクランクケース30との間であって内燃機関3のシリンダ部32の後方近傍に配置されながら、内燃機関3側からの熱の影響によるキャニスタ9内の気化量の過大化が防止されて、最適なパージ量によるエンジン性能の安定化を図ることができる。
一方、図8に示されるように、キャニスタ9の後部に隣接するメインフレーム21のメイン急傾斜部21aには、キャニスタ9に面する側にキャニスタ取付けステー28が設けられており、キャニスタ取付けステー28の先端には嵌合突起28aが設けられ、嵌合突起28aを保護カバー95の嵌合通孔96に嵌入させることによって、キャニスタ9が、メイン急傾斜部21aに設けられたキャニスタ取付けステー28に保護カバー95を介して容易に取り付けられる
すなわち、クランクケース30に対して上方に内燃機関3のシリンダ部32を備えるパワーユニット5を、燃料タンク8の下方に配置した自動二輪車1の蒸発燃料処理装置100において、シリンダ部32から後方に、気化器62を備える吸気通路6(6A、6B、6C)が配置され、燃料タンク8に接続されたキャニスタ9が、下流側吸気通路6Cを有する吸気管61とクランクケース30との間であって気化器62の下部近傍に配置され、キャニスタ9からの戻りパージ配管92が、下流側吸気通路6Cを有する吸気管61の側方空間において、気化器62の下部近傍から上方に延びたのち逆U字部92cを形成することで迂回してキャブ内吸気通路6Bに接続されている。
例えば、本発明の鞍乗型車両は、実施形態の自動二輪車に限らず例えば、3輪、4輪のバギー車等、多様な鞍乗型車両であってよく、請求項1の要件を備える鞍乗型車両であればよい。
また、各機器の左右の配置は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものであってもよく、本発明に含まれる。
Claims (4)
- クランクケース(30)に対して上方に内燃機関(3)のシリンダ部(32)を備えるパワーユニット(5)を、燃料タンク(8)の下方に配置した鞍乗型車両(1)の蒸発燃料処理装置(100)において、前記シリンダ部(32)から後方に、気化器(62)を備える吸気通路(6)が配置され、前記燃料タンク(8)に接続されたキャニスタ(9)が、前記吸気通路(6)とクランクケース(30)との間であって前記気化器(62)の下部近傍に配置され、前記キャニスタ(9)からの戻りパージ配管(92)が、前記吸気通路(6)の側方空間において、前記気化器(62)の下部近傍から上方に延びたのち逆U字部(92c)を形成することで迂回して吸気通路(6)に接続され、
前記キャニスタ(9)からの前記戻りパージ配管(92)が前記吸気通路(6)に接続される戻り開口部(68)は、前記気化器(62)のスロットルバルブ(65)上流側のバルブ開閉部(6Bc)近傍に設けられ、前記戻りパージ配管(92)には、前記キャニスタ(9)から前記内燃機関(3)へのパージ燃料ガスを前記戻り開口部(68)側の負圧に応じて制限する負圧制限バルブ(7)が設けられ、
前記負圧制限バルブ(7)は、前記戻りパージ配管(92)が前記気化器(62)の下部近傍から上方に延びる途中に、入口を下方に出口を上方にして介装され、前記負圧制限バルブ(7)の出口から前記逆U字部(92c)の頂部までの距離が、前記逆U字部(92c)の頂部から前記戻り開口部(68)までの距離より小さく設定される
ことを特徴とする鞍乗型車両の蒸発燃料処理装置。 - 前記戻りパージ配管(92)が接続される前記気化器(62)の戻り開口部(68)は、側面視で前記吸気通路(6)の下縁部(6Bb)に位置し、前記戻りパージ配管(92)の前記逆U字部(92c)の上端は、側面視で前記吸気通路(6)の上縁部(6Ca)以上に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の蒸発燃料処理装置。
- 前記負圧制限バルブ(7)は、前記吸気通路(6)の外壁(61a)に設けられた支持ボス(61b)にステー(61d)を介して取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両の蒸発燃料処理装置。
- 前記キャニスタ(9)は保護カバー(95)により下方を覆われたことを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両の蒸発燃料処理装置。
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