JP5902491B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP5902491B2
JP5902491B2 JP2012013294A JP2012013294A JP5902491B2 JP 5902491 B2 JP5902491 B2 JP 5902491B2 JP 2012013294 A JP2012013294 A JP 2012013294A JP 2012013294 A JP2012013294 A JP 2012013294A JP 5902491 B2 JP5902491 B2 JP 5902491B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groove
tread
grooves
closed
pneumatic tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012013294A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013151235A (ja
Inventor
達也 冨田
達也 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2012013294A priority Critical patent/JP5902491B2/ja
Publication of JP2013151235A publication Critical patent/JP2013151235A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5902491B2 publication Critical patent/JP5902491B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、トレッド踏面に、溝によって複数の陸部を区画形成してなる空気入りタイヤ、なかでも、乗用車に用いて好適なタイヤに関するものであり、とくに、雪上走行時のトラクション性能を大きく向上させつつ、ドライ走行時における制動性能を高く維持するとともに、ヒールアンドトー摩耗の発生を抑制する技術を提案するものである。
トレッド踏面に設けた周溝および横溝によって画成される複数のブロックに、サイプを設けてなる、スタッドレスタイヤ等のタイヤは、雪上走行時に、周溝等の内部で押し固められて形成される雪柱の剪断力、ブロックエッジやサイプエッジによる氷雪路面に対する引掻き効果等に基づき、高い雪上性能を発揮することができる。
そして、このようなタイヤで、雪上トラクション性能をさらに向上させるため、ブロックの、トレッド周方向の長さを短くし、また、ブロックに設ける、トレッド幅方向に延びるサイプの本数を増やすことによって、トレッド接地面内での、ブロックエッジ、サイプエッジの増加に基いて、エッジ効果を一層高めることは広く知られている。
しかるに、上述した手法では、高いエッジ効果によって、雪上トラクション性能が大きく向上する一方で、ブロックの周方向長さの短縮化、サイプ本数の増加に起因して、ブロックのトレッド周方向の剪断剛性が低下するので、乾燥路面での制動性能が悪化するとともに、ブロックの蹴出側部分が、踏込側部分に比して局部的に早期に摩耗することによるヒールアンドトー摩耗と称される偏摩耗が発生し易くなるという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、雪上走行時のトラクション性能を大きく向上させてなお、トレッド踏面に区画形成した陸部の剛性の低下に起因する、ドライ走行時の制動性能の悪化、ヒールアンドトー摩耗の発生を有効に抑制することができる空気入りタイヤを提供することにある。
この発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、トレッド周方向に連続して延びる一本以上の環状周溝を有し、該環状周溝により複数の陸部区画構成されてなるものであって、陸部表面に、該陸部表面で一箇所以上の交点で相互に交わって延びるとともに、両端が該陸部内で終端する複数本の閉鎖溝を有し、該複数本の閉鎖溝のそれぞれにより、閉鎖溝の前記交点から少なくとも方向に広がる放射状部分を有する交差溝が構成されているものである。
ここでいう「終端」とは、陸部表面で延在する閉鎖溝が、環状周溝や、トレッド踏面に設けることのできるラグ溝その他の、サイプよりも溝幅の大きい溝に開口することなく、その陸部内で終了していることを意味する。またここで、「閉鎖溝」とは、タイヤの負荷転動に当り、接地面内で溝開口が相互に密着しない程度の溝開口幅を有するものをいう。
ここで、トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有する場合、複数本の前記閉鎖溝のうち、トレッド周方向に対して傾斜して延びるそれぞれの閉鎖溝の延在長さのトレッド幅方向成分、トレッド幅の2%以上25%以下であることが好ましい。
ここにおいて、少なくとも一本の閉鎖溝の、トレッド周方向に対する傾斜角度、トレッド接地面内で、30°以上150°以下であることが好ましい。
また、閉鎖溝の溝幅、適応リムに組み付けて規定内圧を充填したタイヤ姿勢で、2mm〜5mmの範囲内であることが好ましい。
なお、「適応リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定されたリムをいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。
そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格をいい、たとえば、アメリカ合衆国では、“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOK”であり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical OrganizationのSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA YEAR BOOK”である。
そしてまた、閉鎖溝の溝深さ、該閉鎖溝の延在長さの50%以上の、他の閉鎖溝との交点を含む領域で、環状周溝の溝深さの50%以上であることが好ましい。
ところで、トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有して、トレッド幅方向の最外側のそれぞれに位置するショルダー陸部区画構成されたときは、前記交差溝ショルダー陸部に構成されていることが好ましい。
なお好ましくは、前記閉鎖溝の少なくとも一端、該閉鎖溝よりも溝幅が狭い、トレッド接地面内で溝開口が密着するサイプに連通している。なおここで、「トレッド接地面」とは、タイヤを適応リムに組み付けて規定内圧を充填した状態の下で、最大負荷能力を負荷したときの接地面をいうものとする。
また、一箇所の交点で相互に交わって延びるとともに、両端が前記陸部内で終端する二本の閉鎖溝を有し、該二本の閉鎖溝のそれぞれによって、十字状をなす交差溝が構成されていることが好ましい。
また、トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有して、トレッド幅方向の最外側のそれぞれに位置するショルダー陸部が区画構成され、前記ショルダー陸部に、複数のラグ溝が構成され、前記ラグ溝は、トレッド幅方向に向けて湾曲して延びるとともに、トレッド端付近で直角に折れ曲がってトレッド周方向に延びるL字状の屈曲長溝と、該屈曲長溝の周方向延在部分のトレッド幅方向内側で該屈曲長溝に開口してトレッド周方向に延びるとともに、トレッド幅方向内側に直角に折れ曲がって延びる、屈曲長溝よりも小さいL字状の屈曲短溝とで構成されていることが好ましい。
この発明の空気入りタイヤによれば、陸部表面に、該陸部表面で一箇所以上の交点で相互に交わって延びるとともに、両端が該陸部内で終端する複数本の閉鎖溝を設けて、それらの閉鎖溝のそれぞれによって、閉鎖溝の交点から少なくとも三方向に広がる放射状部分を有する交差溝を形成することにより、雪上走行時に、陸部内で終端する閉鎖溝からなる交差溝に入り込んだ雪が、とくに、閉鎖溝の交点を含む前記放射状部分で、大きな雪柱剪断力を発揮することになるので、雪上トラクション性能および制動性能を有効に向上させることができる。
またこのタイヤでは、交差溝を形成する複数本の閉鎖溝が、環状周溝等に開口せずに陸部内で終端することから、ブロックの周方向長さを小さくしたりサイプ本数を増やしたりする従来の手法のような、陸部剛性の大幅な低下を招くことがなく、乾燥路面での所要の制駆動性能を、偏摩耗の発生なしに確保することができる。
ここで、トレッド踏面に二本以上の環状周溝を設けた場合で、トレッド周方向に対して傾斜して延びる閉鎖溝の延在長さのトレッド幅方向成分を、トレッド幅の2%以上25%以下としたときは、雪上走行時に、その閉鎖溝を含む交差溝の放射状部分でもたらされる十分大きな圧雪効果によって、雪上トラクション性能を大きく向上させることができ、併せて、排水性の確保に必要な二本以上の環状周溝を適正に配置することができる。
これはすなわち、トレッド周方向に対して傾斜して延びる閉鎖溝の延在長さのトレッド幅方向成分を、トレッド幅の2%未満とした場合は、トレッド幅方向成分が小さすぎる前記閉鎖溝によっては、雪上トラクション性能を有効に向上し得るほどの大きな圧雪効果を得ることができないおそれがあり、この一方で、閉鎖溝の前記トレッド幅方向成分を、トレッド幅の25%を超えるものとした場合は、排水性を確保するためにトレッド踏面に設ける二本以上の環状周溝を適正に配置できなくなる懸念がある。
またここで、少なくとも一本の閉鎖溝の、トレッド周方向に対する傾斜角度を、トレッド接地面内で、30°以上150°以下としたときは、トレッド周方向に対して所定の角度で大きく傾斜して延びる前記閉鎖溝によって、雪上走行時のトラクション性能をより一層高めることができる。
つまり、少なくとも一本の閉鎖溝の、トレッド周方向に対する傾斜角度を、30°未満または、150°を超えるものとした場合は、その閉鎖溝を含む交差溝で、トレッド周方向の大きな雪柱剪断力が発揮されない結果として、雪上トラクション性能を十分に向上できないおそれがある。
なおここで、閉鎖溝の溝幅を、適応リムに組み付けて規定内圧を充填したタイヤ姿勢で、2mm〜5mmとしたときは、乾燥路面での所要の走行性能を確保しつつ、十分大きな雪柱剪断力を発揮させて、雪上トラクション性能をより有効に高めることができる。
これを言い換えれば、閉鎖溝の溝幅を2mm未満とした場合は、閉鎖溝の溝幅が狭すぎることによって、雪上走行時に、十分大きな雪柱剪断力が発揮されずに、雪上性能を所期したほどに向上できないおそれがあり、一方、閉鎖溝の溝幅を、5mmを超えるものとした場合は、広い溝幅の故に、陸部剛性が大きく低下して、ドライ走行性能の確保が困難となる懸念がある。
ここにおいて、閉鎖溝の溝深さを、その閉鎖溝の延在長さの50%以上の、他の閉鎖溝との交点を含む領域で、環状周溝の溝深さの50%以上としたときは、とくに大きな雪柱剪断力を発揮する閉鎖溝の交点近傍の部分、すなわち放射状部分での溝深さを深くすることにより、その放射状部分で発揮される雪柱剪断力を大きくして、雪上トラクション性能のさらなる向上を実現することができる。
ところで、トレッド踏面に二本以上の環状周溝を設けて、トレッド幅方向の最外側のそれぞれに位置するショルダー陸部を区画形成したタイヤで、前記交差溝をショルダー陸部に配設した場合は、雪上走行時に、接地面内でトレッド幅方向の両側から押し縮められて、路面に対して浮き上がり傾向の下で負荷転動するトレッド部のセンター付近に比して、圧雪効果が大きいショルダー陸部に、交差溝を設けることに基き、雪上トラクション性能をより有効に向上させることができる。
なお、閉鎖溝の少なくとも一端を、その閉鎖溝よりも溝幅が狭く、トレッド接地面内で開口が密着するサイプに連通させたときは、閉鎖溝の一端に連通するサイプが、その閉鎖溝の、接地面内での柔軟な変形を許容するので、雪柱剪断力をより効果的に高めることができる。
この発明の一の実施形態を示すトレッドパターンの部分展開図である。 他の実施形態を示すトレッドパターンの部分展開図である。 交差溝の形成例を示す要部拡大展開図である。 交差溝を形成する閉鎖溝の傾斜角度と、加速時及び制動時のそれぞれで発揮される前後方向の雪柱剪断力との関係を表すグラフである。 閉鎖溝の傾斜角度と、加速時に発揮される前後方向及び幅方向のそれぞれの雪柱剪断力との関係を表すグラフである。 従来例タイヤのトレッドパターンを示す部分展開図である。
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
なお、図示は省略するが、各図に示す空気入りタイヤも、一般的なラジアルタイヤと同様に、ビード部に配設した一対のビードコアと、ビード部からトロイド状に延びるカーカスと、そのカーカスのタイヤ径方向外側に配設したベルトと、トレッドゴム等とを具えてなるものである。
図中1は、トレッドゴムにより形成されるトレッド踏面を示し、この空気入りタイヤでは、トレッド踏面1に、トレッド周方向に略直線状に延びる一本以上、ここでは四本の環状周溝2〜5を、トレッド幅方向に相互に所要の間隔をおいて、トレッド踏面1の全周にわたって連続させて設ける。
そしてここでは、環状周溝2〜5により、トレッド踏面1に、複数の陸部としての、タイヤ赤道面C上に位置するセンターリブ6、トレッド幅方向の最外側に位置するそれぞれのショルダーリブ7,8および、センターリブ6とショルダーリブ7,8との間に位置するそれぞれの中間リブ9,10を区画形成する。
なお、図示のリブパターンに替えて、図示しないブロックパターンとすることも可能である。
ここにおいて、図1に示す実施形態では、それぞれのショルダーリブ7,8の表面に、そのリブ表面で一箇所の交点Vで相互に交わって延びるとともに、両端がそのショルダーリブ内で終端する二本の閉鎖溝11,12、たとえば、実質的にトレッド周方向に延びる閉鎖縦溝11及び、閉鎖縦溝に交わって延びる閉鎖横溝12を設けて、それらの二本の閉鎖溝11,12によって、略「十」字状をなす交差溝13を形成し、該交差溝13を、トレッド周方向に相互に間隔をおいて複数個配置する。
リブ表面にこのような交差溝13を設けたタイヤによれば、雪上走行時に、トレッド接地面内で、ショルダーリブ7,8内で終端する二本の閉鎖溝11,12からなる交差溝13に入り込む雪が、とくに、相互に交わる閉鎖溝11,12の交点Vの付近で強固に押し固められて大きな雪柱剪断力を発揮することになるので、雪上トラクション性能を有効に向上させることができる。
また、交差溝13を構成する閉鎖溝11,12を、隣接するショルダー側周溝2,5および、後述するラグ溝のいずれにも開口させることなく、ショルダーリブ7,8内で終端させたことから、ショルダーリブ7,8の周方向剛性の低下を小さく抑えることができ、この結果として、上記のように雪上性能を向上しつつ、乾燥路面での所要の走行性能をも十分に確保し、併せて、ヒールアンドトー摩耗の発生を防止することができる。
ここで、図1に示すところでは、略「十」字状をなす交差溝13が、リブ表面で、相互に交差させた二本の閉鎖溝11,12の交点Vから四方向に広がる一個の放射状部分を有するものとしたが、交差溝の放射状部分は、たとえば、図2に示すように、略トレッド周方向に延びる閉鎖溝31と、閉鎖溝31の延在途中で閉鎖溝31の一方の溝壁に開口する閉鎖溝32との交点Vから三方向に広がるものとすることができ、図2に示すこの交差溝33は、略「T」字状をなす。
また、図3(a)に例示する交差溝43は、相互に交差する二本の閉鎖溝41,42と、それらの閉鎖溝41,42に交点Vで開口する、閉鎖溝41,42よりも延在長さの短い閉鎖溝44とで構成されて、交点Vから五方向に広がる放射状部分を有する。
このように、交差溝の放射状部分は、五方向以上に広がるものとすることもできるが、この場合は、相互に交わる閉鎖溝がなす交角θが小さくなることに起因して、それらの交点近傍の陸部表面で偏摩耗が発生し易くなるおそれがあるので、交差溝は、図1,2に示すような、三方向もしくは四方向に広がる放射状部分を有するものとすることが好ましい。
なお、図3(b)に例示する交差溝53は、略トレッド周方向に延びる二本の閉鎖溝51,52を、トレッド幅方向に相互に所要の間隔をおいて設けるとともに、それらの閉鎖溝51,52のそれぞれに、各交点V1,V2で交差して延びる閉鎖溝54を設けてなる。
この交差溝53は、交点V1,V2のそれぞれから四方向に広がる二個の放射状部分を有するものである。
ところで、図1に示すように、ショルダーリブ7,8に、閉鎖縦溝11及び閉鎖横溝12からなる交差溝13を設けたタイヤでは、トレッド幅方向に向かって延びる閉鎖横溝12の延在長さのトレッド幅方向成分Pを、トレッド幅Wの2%以上25%以下とすることが好ましい。
直進走行時に、トレッド幅Wの2%以上の範囲を占める幅方向成分を有する閉鎖横溝12で十分大きな圧雪効果を発揮させて、雪上トラクション性能をさらに高めることができ、また、図示のように四本の周溝2〜5であっても、トレッド幅方向に相互に所要の間隔をおいて設けることができて、それらの周溝2〜5が、所期したとおりの排水機能を発揮し得るからである。
またここで、この閉鎖横溝12の、トレッド周方向に対する傾斜角度αは、図4及び図5に、その傾斜角度αに対する交差溝で発揮される雪柱剪断力の変化を表すグラフで示すところからも明らかなように、30°〜150°の範囲とすることが好ましく、より好適には、前記傾斜角度αを、鋭角側で30°〜60°の範囲内とする。
なお、図4及び図5に示す雪柱剪断力の数値はともに、閉鎖横溝の前記傾斜角度αを90°としたときに発揮される雪柱剪断力を基準とした指数値で表したものである。
従って、閉鎖溝12の、トレッド周方向に対する傾斜角度αを、鋭角側で30°〜60°の範囲内としたときは、図4,5に示すように、車両の直進走行時及び旋回走行時に、交差溝13で大きな雪柱剪断力が発揮されるので、横力の作用に対して有効に機能する。閉鎖横溝12の周方向エッジ成分を十分に確保できることとも相俟って、雪柱走行時の、トラクション性能及びハンドリング性能の両性能をバランス良く向上させることができる。
なおここで、閉鎖縦溝11及び閉鎖横溝12のそれぞれの溝幅は、適応リムに組付けて規定内圧を充填したタイヤ姿勢で、2mm〜5mmの範囲内とすることが好ましく、これにより、雪上トラクション性能を有効に向上させ、かつ、ドライ走行性能の悪化や、ヒールアンドトー摩耗の発生をもたらす、ショルダーリブ7、8の周方向の剛性の低下を十分小さく抑えることができる。
またここで、交差溝13の、特に放射状部分で発揮される雪柱剪断力を大きくして、高い雪上トラクション性能を発揮させるため、例えば、閉鎖縦溝11の、閉鎖横溝12との交点Vの位置での溝深さを、それらの閉鎖溝11、12に隣接するショルダー側の周溝2,5の溝深さの50%以上とすることが好ましく、なかでも、前記交点Vを含む、閉鎖縦溝11の延在長さLの50%以上の領域にわたって、閉鎖縦溝11の溝深さを、ショルダー側周溝2,5の溝深さの50%以上とすることが好ましい。
なお、閉鎖溝11、12の溝深さは、リブ表面に立てた法線に沿って、トレッド踏面から閉鎖溝11、12のそれぞれの溝底に到るまでの深さを意味する。
ところで、図1に示すところでは、ショルダーリブ7,8のそれぞれに、複数のラグ溝15を、トレッド周方向に所要の間隔をおいて配設している。
ここで、図示のラグ溝15は、トレッド幅方向に向けて幾分湾曲して延びるとともに、トレッド端付近で略直角に折れ曲がってトレッド周方向に延びる「L」字状の屈曲長溝16と、屈曲長溝16の周方向延在部分のトレッド幅方向内側で該屈曲長溝16に開口してトレッド周方向に延びるとともに、トレッド幅方向内側に略直角に折れ曲がって延びる、屈曲長溝16よりも小さい「L」字状の屈曲短溝17とで構成する。
なお、ラグ溝15を構成するこれらの屈曲溝16,17はともに、図示のように、隣接するショルダー側周溝2,5に開口させずに、ショルダーリブ7,8内で終了させることができる。
そして、たとえば、図1に示すように、前記屈曲短溝17の幅方向延在部分と、その延在部分のトレッド幅方向内側で平行に延びる閉鎖横溝12との間に、それらの端部のそれぞれに連通する横サイプ18を設け、また、トレッド周方向に互いに隣接する閉鎖縦溝11の相互間に、それらの閉鎖縦溝11のそれぞれの対向する端部に連通する縦サイプ14を設けたときは、トレッド接地面内での、閉鎖溝11,12の柔軟な変形を許容して、閉鎖溝11,12からなる交差溝13での雪柱剪断力を一層高めることができる。
図示のパターンでは、中間リブ9,10に、ショルダー側周溝2,5に開口してトレッド周方向に対して傾斜して延びる傾斜長溝19を、周方向に間隔をおいて設けるとともに、傾斜長溝19の、タイヤ赤道面C側の端部に連通してセンター側周溝3,4まで延びる傾斜サイプ20および、傾斜長溝19の相互間で傾斜長溝19と略平行に延びるとともにトレッド周方向に折れ曲がって延びて、傾斜長溝19と傾斜サイプとの連通箇所を通過する屈曲サイプ21のそれぞれを設けている。
またここでは、センターリブ6の側部部分に、トレッド周方向に対して傾斜して延びてセンター側周溝3,4の一方に開口する傾斜短溝22を、トレッド周方向に千鳥状に配置して設け、また、センターリブ6に、周方向に向けてジグザグ状に延びて、その延在途中で両側の各傾斜短溝22に連通するジグザグ状サイプ23と、トレッド周方向に隣り合う傾斜短溝22の相互間で、周方向に傾斜して延びて両センター側周溝3,4に開口するオープンサイプ24とのそれぞれを、周方向に間隔をおいて全周にわたって設ける。
タイヤサイズが215/55R17の実施例タイヤ、従来例タイヤを試作し、それらの性能を評価したので、以下に説明する。
実施例タイヤ1〜4はともに、図1に示すトレッドパターンを有するものとし、交差溝を構成する閉鎖横溝の溝幅をそれぞれ、2mm、4mm、1.5mm、5.5mmとした。
従来例タイヤは、図6に示すトレッドパターンを有するものとした。
ここで、従来例タイヤは、ショルダーリブに交差溝を設けずに、ショルダーリブのラグ溝の一部をなす「L」字状の屈曲長溝のトレッド幅方向内側の端部を延長して、該屈曲長溝を、隣接するショルダー側周溝に開口させるとともに、ショルダーリブに設けた、トレッド周方向に延びる縦サイプと、前記屈曲長溝との交差位置で、トレッド周方向に所定の延在長さで延びる縦溝を、トレッド周方向の、前記屈曲長溝の配設箇所ごとに複数個設けたものである。
なお、この従来例タイヤでは、前記屈曲長溝の、縦サイプとショルダー側周溝との間に存在する横溝部分の溝幅を2mmとした。
以上に述べた各供試タイヤについて、サイズ7Jのリムに組付けるとともに、空気圧230kPaを充填して、以下のスノートラクション性能試験およびドライ制動性能試験を行った。
<スノートラクション性能試験>
雪路のコース上で、上記のタイヤを装着した車両を停止状態から50m走行させて、車両の加速時間を計測することで、スノートラクション性能を評価した。その結果を表1に示す。
ここで、表1に示す指数値は、従来例タイヤの加速時間の逆数を100としたものであり、数値が大きいほどトラクション性能に優れることを表す。
<ドライ制動性能試験>
乗車人数が2名に相当する実車荷重の条件の下、乾燥路面で100Km/hからフル制動させたときの制動距離を測定した。その結果も表1に示す。
表1に示す指数値は、従来例タイヤの制動距離の逆数を100としたものであり、数値が大きいほど制動性能に優れることを表す。
<耐ヒールアンドトー摩耗性能試験>
上記のタイヤを、乗車人数が2名に相当する実車荷重の条件の下でFR車のフロント軸に装着し、実地走行にて10,000kmを走行した。走行後、ショルダーブロックの周方向溝側、接地端側の計2箇所について、踏み込み側、蹴り出し側の段差量(ヒールアンドトー摩耗量)を測定し平均化した。その結果も表1に示す。
表1に示す指数値は、従来例タイヤのヒールアンドトー摩耗量の逆数を100としたものであり、数値が大きいほどヒールアンドトー摩耗を抑制できることを表す。
Figure 0005902491
表1に示す結果から、実施例タイヤ1,2はともに、従来例タイヤに比して、スノートラクション性能及びドライ制動性能が大きく向上しているとともに、ヒールアンドトー摩耗の発生を有効に抑止できていることが解る。また、実施例タイヤ3は、従来例タイヤに比して、ドライ制動性能が特に大きく向上しているとともに、ヒールアンドトー摩耗の発生を有効に抑止できていることがわかる。さらに、実施例タイヤ4は、従来例タイヤに比して、多少ドライ制動性能は低下するが、スノートラクション性能を特に大きく向上できていることが解る。
なお、実施例タイヤにおいて、閉鎖横溝の溝幅を狭くすると、交差溝を設けたショルダーリブの周方向剛性の低下がより小さく抑えられることで、すぐれたドライ制動性能が発揮されるとともに、ヒールアンドトー摩耗の発生が抑制され、この一方で、前記溝幅を広くすると、大きな雪柱剪断力が得られ、スノートラクション性能が向上することが解る。
従って、この発明の空気入りタイヤによれば、雪上走行時のトラクション性能を大きく向上させつつ、ドライ走行時における制動性能を高く維持するとともに、ヒールアンドトー摩耗の発生を抑制し得ることは明らかである。
1 トレッド踏面
2〜5 環状周溝
6〜10 リブ
11,12,31,32,41,42,44,51,52,54 閉鎖溝
13,33,43,53 交差溝
14 縦サイプ
15 ラグ溝
L 閉鎖縦溝の延在長さ
P 閉鎖横溝の延在長さのトレッド幅方向成分
V,V1,V2 交点
W トレッド幅
α 閉鎖横溝の傾斜角度
θ 閉鎖溝がなす交角

Claims (9)

  1. トレッド踏面に、トレッド周方向に連続して延びる一本以上の環状周溝を有し、該環状周溝により複数の陸部区画構成されてなる空気入りタイヤであって、
    陸部表面に、該陸部表面で一箇所以上の交点で相互に交わって延びるとともに、両端が該陸部内で終端する複数本の閉鎖溝を有し、該複数本の閉鎖溝のそれぞれにより、閉鎖溝の前記交点から少なくとも方向に広がる放射状部分を有する交差溝が構成されている空気入りタイヤ。
  2. トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有し、複数本の前記閉鎖溝のうち、トレッド周方向に対して傾斜して延びるそれぞれの閉鎖溝の延在長さのトレッド幅方向成分、トレッド幅の2%以上25%以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 少なくとも一本の閉鎖溝の、トレッド周方向に対する傾斜角度、トレッド接地面内で、30°以上150°以下である請求項1もしくは2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 閉鎖溝の溝幅、適応リムに組み付けて規定内圧を充填したタイヤ姿勢で、2mm〜5mmの範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 閉鎖溝の溝深さ、該閉鎖溝の延在長さの50%以上の、他の閉鎖溝との交点を含む領域で、環状周溝の溝深さの50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有して、トレッド幅方向の最外側のそれぞれに位置するショルダー陸部区画構成され、前記交差溝ショルダー陸部に構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記閉鎖溝の少なくとも一端、該閉鎖溝よりも溝幅が狭い、トレッド接地面内で溝開口が密着するサイプに連通している請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 一箇所の交点で相互に交わって延びるとともに、両端が前記陸部内で終端する二本の閉鎖溝を有し、該二本の閉鎖溝のそれぞれによって、十字状をなす交差溝が構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. トレッド踏面に二本以上の環状周溝を有して、トレッド幅方向の最外側のそれぞれに位置するショルダー陸部が区画構成され、
    前記ショルダー陸部に、複数のラグ溝が構成され、
    前記ラグ溝は、トレッド幅方向に向けて湾曲して延びるとともに、トレッド端付近で直角に折れ曲がってトレッド周方向に延びるL字状の屈曲長溝と、該屈曲長溝の周方向延在部分のトレッド幅方向内側で該屈曲長溝に開口してトレッド周方向に延びるとともに、トレッド幅方向内側に直角に折れ曲がって延びる、屈曲長溝よりも小さいL字状の屈曲短溝とで構成されている請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
JP2012013294A 2012-01-25 2012-01-25 空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP5902491B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012013294A JP5902491B2 (ja) 2012-01-25 2012-01-25 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012013294A JP5902491B2 (ja) 2012-01-25 2012-01-25 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013151235A JP2013151235A (ja) 2013-08-08
JP5902491B2 true JP5902491B2 (ja) 2016-04-13

Family

ID=49048004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012013294A Expired - Fee Related JP5902491B2 (ja) 2012-01-25 2012-01-25 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5902491B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10195904B2 (en) 2014-05-29 2019-02-05 Bridgestone Corporation Pneumatic tire
JP6367692B2 (ja) 2014-11-18 2018-08-01 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP6332086B2 (ja) * 2015-03-10 2018-05-30 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
JP6724317B2 (ja) * 2015-09-07 2020-07-15 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
JP6612585B2 (ja) 2015-10-30 2019-11-27 Toyo Tire株式会社 空気入りタイヤ
JP6663684B2 (ja) * 2015-10-30 2020-03-13 Toyo Tire株式会社 空気入りタイヤ
JP2021088344A (ja) * 2019-11-25 2021-06-10 住友ゴム工業株式会社 タイヤ
US11724548B2 (en) 2019-11-25 2023-08-15 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Tire

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4369734B2 (ja) * 2003-12-09 2009-11-25 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP5327944B2 (ja) * 2007-05-17 2013-10-30 株式会社ブリヂストン 空気入りラジアルタイヤ
JP2009248756A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013151235A (ja) 2013-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5902491B2 (ja) 空気入りタイヤ
US8925602B2 (en) Pneumatic tire
US9522573B2 (en) Pneumatic tire
CN108382134B (zh) 轮胎
US9090134B2 (en) Pneumatic tire
US9421826B2 (en) Pneumatic tire
JP6657587B2 (ja) 空気入りタイヤ
US10414213B2 (en) Pneumatic tire
KR101259261B1 (ko) 공기 타이어
JP4996670B2 (ja) 空気入りタイヤ
US10124628B2 (en) Heavy duty pneumatic tire
JP6139843B2 (ja) 空気入りタイヤ
US20170190222A1 (en) Pneumatic Tire
US10173475B2 (en) Pneumatic tire
EP3192673B1 (en) Pneumatic tire
JP2013039899A (ja) 空気入りタイヤ
JP6088336B2 (ja) 空気入りタイヤ
RU2473430C1 (ru) Пневматическая шина
US9446629B2 (en) Pneumatic tire
JP5790199B2 (ja) スタッドレスタイヤ
JP5506463B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5679104B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2021111662A1 (ja) 空気入りタイヤ
WO2011111352A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5437851B2 (ja) 空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160216

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160310

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5902491

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees