JP5902009B2 - はんだバンプの形成方法 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために、電極のみならず、電極の周辺部を含む電極配列領域に対して、はんだ組成物をベタ塗りし(電極パターンに依らず、電極が配置された領域全面またはブロック毎に一定厚みではんだ組成物を全面印刷する)、その後リフローすることで、電極のみにはんだバンプを形成することができる方法(以下、ベタ塗り法と適宜称する)が考えられた。
このようなベタ塗り法としては、例えば、はんだ組成物中のはんだ粉末の体積比率を30%以下とし、はんだ粉末の粒子径を30μm以下としたはんだ組成物を、電極配列領域にベタ塗りする方法が提案されている(特許文献1)。
本発明に関連するはんだ組成物においては、前記フラックスの酸価が、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3)
また、本発明のはんだ組成物およびはんだバンプの形成方法により、微細ピッチの電極へはんだバンプを形成する場合において、ブリッジ、はんだ不足、はんだ未着(ミッシングバンプ)などの不良を抑制できる理由は、必ずしも定かでは無いが、本発明者らは以下のように推察する。
一般のソルダーペーストと言われる材料は、表面実装部品を電極に機械的電気的に接合するために、はんだ粉末を全て熔解合一させ、さらに表面実装部品の電極面および基板の電極面に濡れることが必要であった。すなわち、はんだが濡れるために、電極表面やはんだ粉末表面の酸化物や汚れを取り去り、正常な金属表面を露出させることが第一で、次いで、溶融したはんだが電極間に濡れ広がる必要があり、そのために活性を重視し、はんだ粒子の成長制御という概念がなかった。
本発明によるはんだ組成物およびはんだバンプ形成方法は、はんだ粉末の合一成長を制御することを前提に設計されたものであり、実験の結果、軟化点が110℃以下で、酸価が140mgKOH/g以上の樹脂(ロジン系樹脂)と、ロジンエステル化合物とを組み合わせて用いた場合に、以下のような効果があることを発見した。これらの樹脂は、はんだ溶融前の温度域(はんだ融点の70℃以下或いは50℃以下で、還元作用を発揮し、はんだバンプを形成するはんだ粉末表面および電極表面(一般には銅)の酸化膜を除去する。さらに、表面に形成された金属塩は、溶媒中に溶出し、清浄な金属表面が露出し、接触する同じく清浄化された金属表面を有する金属電極やはんだ粉末と金属接合することができる。金属接合したはんだは、銅側に拡散することが可能で、時間とともに、また温度上昇により拡散領域を拡大していく一方、はんだ粉末同士も拡散が進みより大きな凝集体へと成長する。このはんだ粉末の凝集体の一部は、金属電極と接合し、一部ははんだ粉末のみの凝集体を形成する。
次いで、はんだの融点を迎えると、この凝集体は一気に合一し大きな粒子を形成するが、金属電極に接合していた凝集体は電極に引き込まれる様に濡れ広がり始め、これと接合していたはんだ粉末の凝集体は、一緒に金属電極上に引き込まれ、金属電極上にはんだバンプを形成することになる。一方、金属電極と接触していなかったはんだ粉末の凝集体は個々により大きなはんだ粉末を形成する。
一方で、金属表面の酸素を剥ぎ取ったロジン系樹脂は、当初は金属塩の形で溶液中に溶解するが、粒子の凝集・粒成長に伴い、溶液中に溶解せず、金属表面に金属塩のまま残り始める。これはリフロー工程において、溶剤が蒸発して溶解する溶媒がなくなることによるか、金属塩の溶解度を超えることによるかは定かではない。
この金属表面に残った金属塩は、有機皮膜として、他のはんだ粉末の接触を妨げる存在となり、以降の粒成長を抑止する機能を果たすことになる。
以上の金属表面への塩形成から、溶媒中への塩の溶解、金属表面の露出と接触による金属接合と拡散現象による粒子の凝集・成長と最後に金属塩による粒子接触の妨げによる粒成長の抑制、これら一連の反応によりはんだ組成物のべた塗り法でも、局所的なはんだバンプ形成を可能とした。
また、前記フラックスの酸価は、電極の大きさと、そこに堆積させるはんだ層(はんだバンプの体積)によるが、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが必要である。酸価が5mgKOH/g未満では、はんだ粉末や電極の表面を活性化させることができず、他方、70mgKOH/gを超えると、ブリッジの発生を抑制できない。また、電極ピッチが100μm以下と非常に狭い場合に、ブリッジの発生とはんだ量不足の不良とを十分に抑制するという観点から、前記フラックスの酸価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがより好ましく、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることがさらにより好ましく、18mgKOH/g以上28mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
前記(A)ロジン系樹脂の軟化点は、活性作用の観点から、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、60℃以上95℃以下であることが特に好ましい。なお、軟化点は、熱機械分析(TMA)装置により測定できる。
前記(A)ロジン系樹脂の酸価は、活性作用の観点から、150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましく、150mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であることが特に好ましい。なお、酸価は、試料1gに含まれている遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムを求めることで測定できる。
前記(B)ロジンエステル化合物の軟化点は、リフロー時の流動性の観点から、60℃以上100℃以下であることがより好ましい。
前記(B)ロジンエステル化合物の酸価は、フラックスの酸価を調整しやすいという観点から、1mgKOH/g以上5mgKOH/g未満であることがより好ましい。
図1〜図8は、本発明のはんだバンプの形成方法の一態様を説明するための図である。なお、図1〜図3は、それぞれ、本発明のはんだバンプの形成方法を適用できる配線基板の一例を示している。
本発明のはんだバンプの形成方法は、前記本発明のはんだ組成物を用いた方法である。そして、具体的には、図4〜図8に示すように、配線基板1の表面に形成された複数の電極12にはんだバンプ3を形成するはんだバンプの形成方法であって、以下説明する供給工程および溶融工程を備える方法である。
絶縁基材11としては、適宜公知のものを用いることができ、ガラスエポキシ基材、ポリイミド基材、シリコン基材などが挙げられる。
電極12は、配線基板1の表面に形成されるものであり、他の電子部品との電気的接続を図るためのものである。電極12の材質は、特に限定されないが、銅、銀、スズなどが挙げられる。また、電極12の形状は、特に限定されないが、図1に示すように円形状であってもよく、図2に示すように四角形状であってもよい。さらに、図3に示すように、電極12が複数のブロックに分かれて設けられていてもよい。このような場合、電極12間の平均間隙W1,W2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
はんだ組成物2は、後述するが、はんだ粉末21と、フラックス22とを含有するものである。
はんだ組成物2の供給方法としては、適宜公知の方法を採用でき、例えば、印刷機による方法、ディスペンサによる方法を採用できる。
配線基板1を、リフロー装置などを用いて加熱すれば、はんだ粉末21の表面酸化膜がフラックス22に含まれる活性成分によって還元されることで、表面酸化膜が除去される。図4では、簡潔に説明するために、配線基板1上に搭載された電子部品の図示を省略している。
リフロー装置の条件は、特に限定されず、はんだ粉末の種類などに応じて適宜設定できる。
リフロー装置におけるプリヒート温度は、はんだの融点よりも70℃低い温度以上であることが好ましく、はんだの融点よりも50℃低い温度以上であることがより好ましく、はんだの融点よりも30℃低い温度以上であることが特に好ましい。
リフロー装置におけるピーク温度は、はんだの融点以上であることが好ましく、はんだの融点よりも10℃高い温度以上であることがより好ましく、はんだの融点よりも20℃高い温度以上であることが特に好ましい。
なお、溶融したはんだの表面には、溶媒の蒸発により溶解できなくなった金属塩23が付いており、これが立体障害となり、個々に粒成長したはんだ粉末21の更なる合一を抑制することになる。
その後、配線基板1を冷却して残渣洗浄して、はんだバンプ3以外のはんだ粉末21を除去する。
以上のようにして、電極12上にはんだバンプ3を形成することができる。
すなわち、電極12間の平均間隙をW(μm)、はんだ粉末21の(初期の)平均粒子径をD(μm)、およびフラックス22の酸価をAV(mgKOH/g)とした場合に、下記数式(1)で表される条件を満たし、かつ、前記平均間隙が35μm以下の場合には、下記数式(2)で表される条件を満たし、前記平均間隙が35μmを超える場合には、下記数式(3)で表される条件を満たすことが必要である。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3)
例えば、電極12の形状が図1に示すように円形状である場合には、電極ピッチの値から電極12の直径の値を減じることで算出できる。また、図1に示すWを測定し、その平均値を算出してもよい。
さらに、電極12の形状が図2に示すように四角形状である場合には、電極ピッチの値から電極12の短辺の値を減じることで算出できる。また、図2に示すWを測定し、その平均値を算出してもよい。
はんだ粉末21の平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
フラックス22の酸価は、試料1gに含まれている遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムを求めることで測定できる。
(0.5×W)+5 ≦ AV ≦ (0.5×W)+11 ・・・(2A)
0.8×W ≦ AV ≦ 1.3×W ・・・(3A)
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
ロジン系樹脂A:ロジン誘導体(平均酸価:150mgKOH/g、軟化点:85〜95℃)商品名「FG−90」、ハリマ化成社製
ロジン系樹脂B:ロジンをアクリル酸にて酸変性したもの(平均酸価:180mgKOH/g、軟化点:85〜95℃)、タムラ製作所社製
ロジン系樹脂C:ロジンを酸変性したもの(平均酸価:238mgKOH/g、軟化点:124〜134℃)、商品名「KE−604」、荒川化学工業社製
ロジンエステル化合物:不均化ロジングリセリンエステル(平均酸価:5mgKOH/g未満、軟化点:95〜105℃)、商品名「GEDIR−100M」、三菱油化商事社製
溶剤:ヘキシルジグリコール
チクソ剤:ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
消泡剤:商品名「フローレンAC−303」、共栄社化学社製
はんだ粉末A:平均粒子径が3.7μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
はんだ粉末B:平均粒子径が3.7μmで、融点が227℃で、組成が99.3Sn/0.7Cuのもの
はんだ粉末C:平均粒子径が2.4μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
はんだ粉末D:平均粒子径が11μmで、融点が217℃で、組成が96.5Sn/3Ag/0.5Cuのもの
ロジン系樹脂A16質量%、ロジンエステル化合物37質量%、溶剤40質量%、チクソ剤6質量%および消泡剤1質量%を容器に投入し、らいかい機を用いて混合してフラックスを得た。
その後、得られたフラックス12質量%、およびはんだ粉末A88質量%を容器に投入し、混練機にて2時間混合することではんだ組成物を調製した。
そして、得られたはんだ組成物を、配線基板(絶縁基材:シリコン基材(Si)、電極材質:ラミネート銅(LMCu)、電極形状:円形状、電極ピッチ:80μm、電極直径:50μm、電極間の間隙:30μm)上の電極が設けられた領域に、印刷機にて印刷する。その後、リフロー炉(タムラ製作所「TNR25−53PH」)ではんだ組成物を溶解させて、さらに、配線基板の表面を残渣洗浄して、配線基板上の電極上にはんだバンプを形成した。ここでのリフロー条件は、プリヒート温度が160℃(75秒間)で、温度220℃以上の時間が30秒間以上50秒以内で、ピーク温度が240℃で、酸素濃度が100ppmで、搬送速度が0.8m/分である。
なお、リフロー後の配線基板の表面の状態を図9に示し、残渣洗浄後の配線基板の表面の状態を図10に示す。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。そして、表1に示す配線基板を用い、表1に示すリフロー条件ではんだ組成物を溶融させた以外は、実施例1と同様にして電極上にはんだバンプを形成した。
なお、表1中において、GEは、ガラスエポキシ基材を示し、EBCuは、電子線蒸着銅を示す。
[比較例1〜6]
表2に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。そして、表2に示す配線基板を用い、表2に示すリフロー条件ではんだ組成物を溶融させた以外は、実施例1と同様にして電極上にはんだバンプを形成した。
はんだ組成物の評価(フラックスの酸価)およびはんだバンプの評価(平均高さ、標準偏差、外観)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1および表2に示す。なお、電極形状が円形状でない場合には、はんだバンプの平均高さおよび標準偏差は測定しなかった。
(1)フラックスの酸価
はんだ組成物を量りとり、溶剤にて溶解させる。そして、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5mol/L・KOHにて滴定した。
(2)平均高さ、および、(3)標準偏差
はんだバンプを形成した配線基板を試料とする。はんだバンプの高さを測定し、その平均高さおよび標準偏差を算出した。
(4)外観
はんだバンプを形成した配線基板を試料とする。試料の外観を拡大鏡にて観察する。そして、はんだバンプの状態を以下の基準に基づいて判定した。
○:はんだ量は十分であり、ブリッジは発生していない。
×:はんだ量が足りない箇所はあるが、ブリッジは発生していない。
××:ブリッジが発生している。
一方で、フラックスが前記(A)成分を含有しないものを用いた場合(比較例1)には、ブリッジの発生、はんだ量不足やはんだ未着の不良を十分には抑制できなかった。
また、はんだバンプを形成するにあたり、前記数式(1)〜(3)の条件を満たさない場合(比較例2〜6)には、ブリッジの発生、はんだ量不足やはんだ未着の不良を抑制できなかった。
12…電極
2…はんだ組成物
21…はんだ粉末
22…フラックス
3…はんだバンプ
Claims (3)
- はんだ粉末と、フラックスとを含有し、前記フラックスは、(A)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が140mgKOH/g以上であるロジン系樹脂と、(B)軟化点が110℃以下であり、かつ酸価が5mgKOH/g以下であるロジンエステル化合物と、(C)溶剤とを含有し、前記フラックスの酸価は、5mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であるはんだ組成物を用いたはんだバンプの形成方法であって、
配線基板上の電極が設けられた領域に、前記はんだ組成物を供給する供給工程と、
前記配線基板を加熱して、前記はんだ粉末を溶融させることにより、前記電極上にはんだバンプを形成する溶融工程と、を備え、
前記電極間の平均間隙をW(μm)、前記はんだ粉末の平均粒子径をD(μm)、および前記フラックスの酸価をAV(mgKOH/g)とした場合に、
下記数式(1)で表される条件を満たし、かつ、
前記平均間隙が35μm以下の場合には、下記数式(2)で表される条件を満たし、
前記平均間隙が35μmを超える場合には、下記数式(3)で表される条件を満たす
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。
D ≦ 0.2×W ・・・(1)
(0.5×W)+3 ≦ AV ≦ (0.5×W)+13 ・・・(2)
0.75×W ≦ AV ≦ 1.5×W ・・・(3) - 請求項1に記載のはんだバンプの形成方法において、
前記(A)ロジン系樹脂の軟化点が、100℃以下である
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。 - 請求項1または請求項2に記載のはんだバンプの形成方法において、
前記フラックスの酸価が、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である
ことを特徴とするはんだバンプの形成方法。
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