JP5901285B2 - 溶接トーチ位置のキャリブレーション方法および倣い溶接装置 - Google Patents

溶接トーチ位置のキャリブレーション方法および倣い溶接装置 Download PDF

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Description

この発明は、溶接トーチの溶接開始位置をキャリブレーションする方法、およびその方法によりキャリブレーションした溶接トーチを用い、予め測定した被溶接部材の形状に倣って溶接する倣い溶接装置に関するものである。
ロボットを用いて倣い溶接する場合、予め、変位計により被溶接部材の形状を測定して溶接部の位置を求めておき、溶接トーチをその溶接部位置に倣わせて溶接する。溶接時には変位計と溶接トーチの位置を置換するため、事前に検出記憶しておいた変位計と溶接トーチの位置関係のデータを測定結果に反映し、溶接部位置を修正していた(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−51706号公報
例えばTIG溶接では、被溶接部材の溶接部に対して、溶接トーチの電極を±0.1mm程度で位置決めする必要があるため、溶接トーチの電極先端を常に決められた位置に管理しておく必要があった。しかしながら、上記特許文献1に、溶接トーチの電極先端を常に決められた位置に精度よく管理する具体的な方法は開示されていない。また、変位計と溶接トーチの位置関係のデータで測定結果を修正する必要があるため手間がかかっていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、変位計と溶接トーチを置換して溶接する場合に溶接部の位置を容易に求めると共に、変位計と溶接トーチの位置合わせを高精度に行うことを目的とする。
この発明に係る溶接トーチ位置のキャリブレーション方法は、移動部が、前記被溶接部材に代えて先端が尖鋭形状の位置決め部材を保持し、前記測定位置において前記位置決め部材を基準にして前記変位計の投光スポット位置決めされる変位計位置決めステップと、前記移動部が、前記位置決め部材を保持したまま前記溶接位置に相対移動され前記溶接位置において前記位置決め部材を基準にして前記溶接トーチの電極先端位置決めされる溶接トーチ位置決めステップとを備えるものである。
被溶接部材を保持し、所定の測定位置、および当該測定位置から所定のオフセット量だけ離間した溶接位置に移動する移動部と、前記測定位置で前記被溶接部材の形状を測定する変位計と、前記溶接位置で前記被溶接部材を溶接する溶接トーチと、前記変位計および前記溶接トーチが前記オフセット量だけ離間して固定されたヘッドと、前記溶接位置において前記移動部を前記変位計の測定結果に倣って移動させ、前記溶接トーチから前記被溶接部材の溶接部までの距離を一定に保って溶接を行う制御部と、前記被溶接部材に代えて前記移動部に保持され、前記測定位置で前記変位計の投光スポット位置決めされると共に、前記溶接位置で前記溶接トーチの電極先端位置決めされる、先端が尖鋭形状の位置決め部材とを備えるものである。
この発明によれば、先端が尖鋭形状の位置決め部材を用いて変位計の投光スポットと溶接トーチの電極先端とを位置決めするようにしたので、溶接する前にキャリブレーション動作を行って変位計と溶接トーチの間の距離を求めておくことにより、溶接時に溶接部の位置を容易に計算できる。そのため、溶接の都度キャリブレーション動作を行わなくても溶接点を容易に求めることができる。また、被溶接部材と位置決め部材を共通の移動部で移動させることにより、被溶接部材と位置決め部材の移動特性を同一にすることができるので、変位計と溶接トーチの位置合わせを高精度に行うことができる。その結果、溶接を良好に実施可能となる。
この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置のキャリブレーション方法を説明する斜視図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置の測定状態を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置の溶接状態を示し、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置の位置決め部材を示す斜視図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置の測定動作を説明する図であり、隅肉溶接の場合を示す。 実施の形態1に係る倣い溶接装置による外周端位置の測定結果を示す図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置による溶接部位置の計算結果を示す図である。 実施の形態1に係る倣い溶接装置の測定動作を説明する図であり、端部(へり)溶接の場合を示す。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置のキャリブレーション方法を説明する斜視図である。また、本実施の形態1に係る倣い溶接装置を表わす平面図を図2(a)および図3(a)に、正面図を図2(a)および図3(b)に示す。図2は被溶接部材100の形状を測定している状態であり、図3は被溶接部材100を溶接している状態である。
この倣い溶接装置は、被溶接部材100を載置してこの被溶接部材100の中心軸であるZ軸まわりをθ方向に回転する回転テーブル1と、溶接トーチ2と、被溶接部材100のZ軸方向の変位を検出する変位計3と、溶接トーチ2と変位計3に対して回転テーブル1をR軸方向(径方向)に移動する径方向移動部4と、溶接トーチ2と変位計3をZ軸方向に移動する軸方向移動部5と、溶接トーチ2の姿勢を変更するトーチ回転部6と、変位計3をZ,R軸と直交するX軸方向に移動させ測定位置または退避位置に保持する変位計移動部7と、これら各部の動作を制御して倣い溶接を行う制御部8とを備える。
軸方向移動部5は、溶接トーチ2と変位計3を所定のオフセット量だけ離間して固定するヘッドに相当する。
図2および図3に例示した被溶接部材100は、円筒形状の大径部材101と、この大径部材101より外径の小さい円板形状の小径部材102とから構成される。大径部材101の上に小径部材102を軸方向に重ね、小径部材102の外周を大径部材101の上端面に溶接して(いわゆる隅肉溶接)、一体化することになる。
図示例の他にも、例えば円板形状の大径部材101と小径部材102等の組み合わせであってもよい。
倣い溶接装置において、回転テーブル1は、大径部材101、小径部材102を位置決め保持して、これら部材の中心軸であるZ軸を中心にしてθ方向に回転させる。また、この回転テーブル1は径方向移動部4上に設置されており、R軸方向に移動可能である。
径方向移動部4は、被溶接部材100の形状を測定する場合には回転テーブル1を図2に示す測定位置に移動させて、被溶接部材100の溶接部を変位計3のセンシング領域に入るように配置し、一方、溶接する場合には回転テーブル1を図3に示す溶接位置に移動させて、被溶接部材100の溶接部を溶接トーチ2から所定距離に配置する。
溶接トーチ2は、TIG溶接などのアーク溶接用であり、先端側に溶接用の電極2aを備える。もう一方の電極は図示を省略する。
トーチ回転部6は、溶接トーチ2の電極2aの先端を中心にしてθ’角度回転させ、被溶接部材100の溶接部に対する溶接トーチ2の角度を調整可能である。図2および図3の例では、隅肉溶接のために回転テーブル1の面に対して溶接トーチ2をθ’=45°傾斜させている。また、後述する端部(へり)溶接の場合は、回転テーブル1の面に対して溶接トーチ2をθ’=90°にする。
変位計3は、レーザ光線等のスポット光を回転テーブル1上の被溶接部材100へ向けて上側から照射して、反射光に基づいて被溶接部材100のZ軸方向の変位量を測定し、大径部材101または小径部材102の外周端を検出するセンサである。この変位計3は、Z軸方向の変位量が所定の閾値を超えた場合に外周端を検出したことを示す信号を制御部8へ出力する。
変位計移動部7は、変位計3をX軸方向に移動可能であり、被溶接部材100の形状を測定する場合には図2に示す測定位置に変位計3を保持し、溶接する場合には図3に示す退避位置へ変位計3を退避させる。
軸方向移動部5には、溶接トーチ2を保持するトーチ回転部6と、変位計3を保持する変位計移動部7とが所定のオフセット量Δrだけ離間した状態で固定されており、これら溶接トーチ2、トーチ回転部6、変位計3および変位計移動部7をZ軸方向に移動可能である。
以上の構成により、径方向移動部4が溶接トーチ2と変位計3をR軸方向に移動した場合、軸方向移動部5が溶接トーチ2と変位計3をZ軸方向に移動した場合、およびトーチ回転部6が溶接トーチ2をその電極2a先端を中心にして回転した場合でも、溶接トーチ2の電極2a先端から変位計3の投光スポットまでの距離(オフセット量Δr)は常に一定に保持される。
制御部8は、予め与えられたプログラムに従って倣い溶接装置全体を制御するものであり、回転手段(回転テーブル1およびトーチ回転部6)の回転量、移動手段(径方向移動部4、軸方向移動部5および変位計移動部7)の移動量をそれぞれ制御する。また、制御部8には、変位計3から外周端検出信号が入力される。
先ず、倣い溶接装置のキャリブレーション動作を説明する。
図4はキャリブレーション用の位置決め部材10を示す斜視図である。この位置決め部材10は、先端を尖鋭形状にした針材であり、基端側を冶具11により保持される。位置決め部材10と冶具11を回転テーブル1に載置する際に位置決め部材10の位置精度を高めるために、冶具11を大径にすることが好ましい。他方、変位計3と溶接トーチ2の位置決め精度を高めるために、位置決め部材10の先端を尖鋭形状にして小径にすることが好ましい。例えば溶接トーチ2の電極2a(または電極2aと同形状の部材)を位置決め部材10に用いてもよい。
キャリブレーション動作時、作業者が、図1に示すように、位置決め部材10と冶具11を回転テーブル1の所定位置に設置する。続いて作業者の操作入力を受け付けた制御部8が、変位計移動部7を制御して変位計3を測定位置に移動させると共に、径方向移動部4を制御して回転テーブル1と位置決め部材10を測定位置に移動させ、変位計3のセンシング領域に位置決め部材10を配置する。この状態で作業者が目視により、変位計3の投光スポットを位置決め部材10の先端に位置合わせする。
以上の動作が変位計位置決めステップに相当する。
続いて作業者の操作入力を受け付けた制御部8が、径方向移動部4を制御して回転テーブル1と位置決め部材10をオフセット量Δrだけ移動させて、位置決め部材10を溶接位置に配置する。このキャリブレーション動作時には、制御部8がトーチ回転部6を制御して、溶接トーチ2をθ’=90°の姿勢にしておく。この状態で作業者が目視により、溶接トーチ2の電極2aの先端を位置決め部材10の先端に位置合わせする。
以上の動作が溶接トーチ位置決めステップに相当する。
以上のキャリブレーションを行うことにより、変位計3の投光スポットから溶接トーチ2の電極2a先端までの修正後のオフセット量Δrを一意に決定することができる。オフセット量Δrは、後述する溶接動作時に溶接部位置を計算するために用いる。
また、溶接トーチ2の電極2a先端の位置を、変位計3の投光スポットから修正後のオフセット量Δrだけ離間した位置に位置決めできる。即ち、溶接を実施する都度キャリブレーション動作を行わなくても、溶接トーチ2の電極2a先端のR軸方向およびZ軸方向の位置を常に決められた位置に管理することができる。よって、良好な溶接を実施可能になる。
次に、倣い溶接装置の測定動作を説明する。
図5は測定動作を説明する図であり、回転手段および移動手段は図示を省略している。図5において、溶接部位置Rは大径部材101と小径部材102を溶接するR軸方向の一座標、外周端位置R’は大径部材101の外周端の位置座標、オフセット量ΔRは外周端位置R’から溶接部位置RまでのR軸方向の距離である。修正後のオフセット量Δrは、上述したように、変位計3の投光スポットから溶接トーチ2の電極2aまでのR軸方向の距離であり、固定値である。オフセット量ΔZは溶接部位置Rから溶接トーチ2の電極2aまでのZ軸方向の距離である。
隅肉溶接の場合、大径部材101の外周端位置R’よりオフセット量ΔRだけ内側の位置が溶接部位置Rとなる。なお、被溶接部材100の口径等により溶接条件が異なるため、制御部8には、被溶接部材100毎にオフセット量ΔR,ΔZの値が予め与えられている。
測定開始時、大径部材101と小径部材102は軸合わせされた状態で回転テーブル1に設置されている。図2および図5に示すように、制御部8は変位計移動部7を制御して変位計3を測定位置に移動させると共に、径方向移動部4を制御して回転テーブル1と被溶接部材100を測定位置に移動させ、変位計3のセンシング領域に被溶接部材100を配置する。
また、制御部8は軸方向移動部5を制御して、電極2aから溶接部位置RまでのZ軸方向の距離をオフセット量ΔZにする。
また、制御部8はトーチ回転部6を制御して、溶接トーチ2をθ’=45°に傾斜させる。なお、キャリブレーション動作時と測定動作時とで溶接トーチ2の角度θ’が異なったとしても、位置合わせした電極2aの先端位置は変わらないため、変位計3との位置関係(即ち、修正後のオフセット量Δr)も変わらない。
以上の動作が溶接トーチ姿勢変更ステップに相当する。
続いて、制御部8は回転テーブル1を制御して、θ=45°毎に0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°の8点において被溶接部材100の回転を停止し、各角度にて変位計3による測定を実施する。
例えばθ=0°のとき、制御部8が径方向移動部4を制御して被溶接部材100をR軸方向に移動させる。この移動中に、変位計3が被溶接部材100の外周側から内周側へ相対移動しながらZ軸方向の高さを測定し、測定値が所定閾値以上になったとき外周端と判定して、外周端検出信号を出力する。
そして、制御部8が、変位計3が外周端検出信号を出力したときの径方向移動部4のR軸方向の位置座標をθ=0°の外周端位置R’に設定する。
このようにして、制御部8はθ=0°〜315°の8点の外周端位置R’、R’45、R’90、R’135、R’180、R’225、R’270、R’315を取得する。図6に、外周端位置R’の測定結果を示す。理想的な真円形状の大径部材101および小径部材102に対し、8点の外周端位置R’が実測値である。
また制御部8は、測定した外周端位置R’と予め与えられたオフセット量ΔRより、溶接部位置R=(R’+ΔR)を計算して、8点の溶接部位置R、R45、R90、R135、R180、R225、R270、R315の座標を求める。なお、実際の倣い溶接装置における溶接部位置RはR=R’+ΔR+Δrとなるが、後述するように、径方向移動部4の移動動作によってオフセット量Δrが打ち消されるため、計算上ではこのΔrを無視して説明している。
図7に、溶接部位置Rの計算結果を示す。なお、溶接部位置RとR45の間、R45とR90の間、R90とR135の間、R135とR180の間、R180とR225の間、R225とR270の間、R270とR315の間の軌道(図7に示す太線)については、溶接時に制御部8が円弧補間、直線補間等の補間動作を行えばよい。
なお、図6と図7では、倣い溶接装置の動作を説明するために、外周端位置R’と溶接部位置Rを実際より甚だしく表現している。
本実施の形態1では、変位計3から外周端位置R’までのR軸方向の正確な距離を測定する必要はなく、単に外周端位置R’を検出できればよいため、変位計3の測定精度は低くてよい。また、外周端位置R’の検出タイミングから直接的に外周端位置R’を求めることができるため、位置計測精度は径方向移動部4の位置精度と略同等の精度が得られる。
次に、上記測定結果に基づく溶接動作を説明する。
溶接開始時、図4に示すように、制御部8は変位計移動部7を制御して変位計3を退避位置に移動させる。また、制御部8は、径方向移動部4を制御して回転テーブル1と被溶接部材100を修正後のオフセット量Δrだけ移動させると共に、軸方向移動部5を制御して溶接トーチ2をZ軸方向下側に所定量移動させて、溶接トーチ2の電極2aが被溶接部材100の溶接部に対して所定の位置関係になるよう配置する。
これら変位計3と溶接トーチ2とは修正後のオフセット量Δrだけ離間した位置関係で共通の軸方向移動部5に固定されているため、先のキャリブレーション動作により両者を位置合わせしておくことで、測定動作時と溶接動作時の変位計3と溶接トーチ2の置換に伴う位置ずれを抑制することができる。
続いて、制御部8は溶接トーチ2の電極2aと不図示の他方電極との間に電流を流し、電極2aと被溶接部材100の間でアーク放電させて、大径部材101と小径部材102の隅肉溶接を開始する。制御部8は回転テーブル1をθ方向へ回転させながら、この回転に同期するように、溶接部位置Rに基づいて径方向移動部4をR軸方向に移動させる。これにより、溶接トーチ2の電極2aが被溶接部材100の溶接部に対して常に一定の距離を維持しながら良好に溶接することができる。
上記説明では外周端位置R’をθ=45°毎に8点測定したが、これに限定されるものではなく、任意の角度θ毎に複数の外周端位置R’を測定すればよい。測定点を減らすことにより、測定時間を削減できると共に、測定データを削減できるメリットがある。
また、上記説明では大径部材101の外周端位置R’に基づいて溶接部位置Rを求める恒星にしたが、これに限定されるものではなく、例えば小径部材102の外周端(即ち、大径部材101と小径部材102の境界)を検出するようにした、この外周端位置より所定のオフセット量だけ外側に溶接部位置Rを求めることも可能である。
次に、端部(へり)溶接を説明する。
図8は、端部(へり)溶接時の測定動作を説明する図であり、回転手段および移動手段は図示を省略している。端部(へり)溶接の場合は、溶接トーチ2をθ’=90°、即ちキャリブレーション動作時と同じ姿勢とする。
図8において、被溶接部材100は、円筒形状の大径部材101と、この大径部材101より外径の小さい円筒形状の小径部材102とを入れ子にして成る。この場合、溶接部位置Rは、大径部材101の外周端位置R’よりオフセット量ΔR(即ち、大径部材101の肉厚)だけ内側の位置になる。
変位計3はR軸方向に相対的に移動しながら大径部材101の外周端を検出し、制御部8がその検出時の径方向移動部4のR軸方向の位置座標(外周端位置R’)より所定のオフセット量ΔRだけ内側に溶接部位置Rを求める。
あるいは、変位計3が、大径部材101の外周端位置R’を検出した後のディップ(図8のRに相当する位置)を検出し、制御部8がディップ位置をそのまま溶接部位置Rに用いてもよい。この場合、オフセット量ΔR=0と等価である。
あるいは、変位計3が、小径部材102の内周端を検出し、制御部8がその検出時の径方向移動部4のR軸方向の位置座標より所定のオフセット量だけ外側に溶接部位置Rを求めてもよい。
以上より、実施の形態1によれば、被溶接部材100の形状を測定する変位計3および被溶接部材100を溶接する溶接トーチ2が所定のオフセット量Δrだけ離間して軸方向移動部5(ヘッド)に固定され、径方向移動部4が被溶接部材100を保持した回転テーブル1を所定の測定位置に移動して変位計3による形状測定を行った後、測定位置からオフセット量Δrだけ離間した溶接位置に移動し、この溶接位置において径方向移動部4が変位計3の測定結果に倣って移動して溶接トーチ2から被溶接部材100の溶接部までの距離を一定に保って溶接を行う倣い溶接装置のキャリブレーション方法として、径方向移動部4が、被溶接部材100に代えて先端が尖鋭形状の位置決め部材10を保持した回転テーブル1を測定位置に移動し、変位計3の投光スポットを位置決めする変位計位置決めステップと、径方向移動部4が、位置決め部材10を保持した回転テーブル1を溶接位置に移動し、溶接トーチ2の電極2a先端を変位計3の投光スポットからオフセット量Δrだけ離間した位置に位置決めする溶接トーチ位置決めステップとを行う構成にした。このため、溶接する前にキャリブレーション動作を行って変位計3と溶接トーチ2の間の修正後のオフセット量Δrを求めておくことにより、溶接動作時に溶接部位置Rを容易に計算できる。
この修正後のオフセット量Δrに基づいて溶接の都度キャリブレーション動作を行わなくても溶接部位置Rを容易に求めることができるようになり、溶接の都度キャリブレーション動作を行わなくても溶接点を容易に求めることができる。また、被溶接部材100と位置決め部材10を共通の径方向移動部4で移動させることにより、被溶接部材100と位置決め部材10の移動特性を同一にすることができるようになり、変位計3と溶接トーチ2の位置合わせを高精度に行うことができる。その結果、溶接を良好に実施可能となる。
なお、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、上述した実施の形態の構成に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、上記実施の形態1では被溶接部材100の一例として円形部材を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば角の丸い多角形の筒状部材と、相同かつ小径の多角形の板状部材とから成る被溶接部材であってもよいし、あるいは角の丸い多角形の筒状部材と、相同かつ小径の多角形の筒状部材とから成る被溶接部材であってもよい。多角形の場合、良好な溶接を行うために、辺部の外周端に比べて角部の外周端の測定点を多くすることが好ましい。
また、測定動作時、変位計3が被溶接部材100の外周側から内周側へ相対移動しながら外周端を検出する構成にしたが、反対に、内周側から外周側へ相対移動する構成にしてもよい。
また、径方向移動部4が回転テーブル1をR軸方向に移動させることにより、溶接トーチ2と変位計3に対する被溶接部材100または位置決め部材10の位置を変更する構成にしたが、反対に、回転テーブル1を固定し、径方向移動部4が溶接トーチ2と変位計3をR軸方向に移動させる構成にしてもよい。
いずれの構成であっても、溶接トーチ2と変位計3は修正後のオフセット量Δrだけ離間した位置関係で固定されるため、キャリブレーション動作時に溶接トーチ2と変位計3を精度よく位置合わせでき、かつ、測定動作時と溶接動作時に変位計3と溶接トーチ2を置換した場合の位置ずれを抑制できる。
また、倣い溶接装置の溶接例として隅肉溶接と端部(へり)溶接を説明したが、これら以外の倣い溶接を行う場合についても上記実施の形態1のキャリブレーション動作が有効であることは言うまでもない。
1 回転テーブル
2 溶接トーチ
2a 電極
3 変位計
4 径方向移動部
5 軸方向移動部
6 トーチ回転部
7 変位計移動部
8 制御部
10 位置決め部材
11 冶具
100 被溶接部材
101 大径部材
102 小径部材

Claims (3)

  1. 被溶接部材の形状を測定する変位計および前記被溶接部材を溶接する溶接トーチが所定のオフセット量だけ離間してヘッドに固定され、所定の測定位置において移動部に保持された前記被溶接部材を前記変位計により形状測定した後、前記移動部が前記被溶接部材を前記測定位置から前記オフセット量だけ離間した溶接位置に移動させ、当該溶接位置において前記移動部が前記変位計の測定結果に倣って移動して前記溶接トーチから前記被溶接部材の溶接部までの距離を一定に保って溶接を行うための、溶接トーチ位置のキャリブレーション方法であって、
    前記移動部が、前記被溶接部材に代えて先端が尖鋭形状の位置決め部材を保持し、前記測定位置において前記位置決め部材を基準にして前記変位計の投光スポット位置決めされる変位計位置決めステップと、
    前記移動部が、前記位置決め部材を保持したまま前記溶接位置に相対移動され前記溶接位置において前記位置決め部材を基準にして前記溶接トーチの電極先端位置決めされる溶接トーチ位置決めステップとを備えることを特徴とする溶接トーチ位置のキャリブレーション方法。
  2. 溶接トーチ位置決めステップで位置決めした溶接トーチをその電極先端を中心に回転し、任意の傾斜角度で倣い溶接を行う溶接トーチ姿勢変更ステップを備えることを特徴とする請求項1記載の溶接トーチ位置のキャリブレーション方法。
  3. 被溶接部材を保持し、所定の測定位置、および当該測定位置から所定のオフセット量だけ離間した溶接位置に移動する移動部と、
    前記測定位置で前記被溶接部材の形状を測定する変位計と、
    前記溶接位置で前記被溶接部材を溶接する溶接トーチと、
    前記変位計および前記溶接トーチが前記オフセット量だけ離間して固定されたヘッドと、
    前記溶接位置において前記移動部を前記変位計の測定結果に倣って移動させ、前記溶接トーチから前記被溶接部材の溶接部までの距離を一定に保って溶接を行う制御部と、
    前記被溶接部材に代えて前記移動部に保持され、前記測定位置で前記変位計の投光スポット位置決めされると共に、前記溶接位置で前記溶接トーチの電極先端位置決めされる、先端が尖鋭形状の位置決め部材とを備える倣い溶接装置。
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