JP2024007014A - 溶接装置および溶接方法 - Google Patents

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Kenji Kamikawa
優一 小林
Yuichi Kobayashi
真克 中野
Masakatsu Nakano
貴大 藤本
Takahiro Fujimoto
正光 安部
Masamitsu Abe
薫 篠田
Kaoru Shinoda
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Abstract

【課題】実際の円筒胴の回転位置を容易に取得して、開先溶接を適切に行う。【解決手段】溶接装置1は、突合せ部に開先が形成された2つの円筒胴9を一体的に回転する回転機構2と、円筒胴9の回転に並行しつつ、中心軸J1を中心とする周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成するトーチ部31と、トーチ部31による溶接ビードの形成位置を軸方向に移動する溶接位置移動部41と、円筒胴9の回転において、溶接位置に到達する直前の周方向の位置を測定位置として、円筒胴9の外周面に設けられた被検出部96,97を、測定位置において検出する検出部42と、検出部42による被検出部96,97の検出に基づいて、溶接位置移動部41を制御する制御部10とを備える。溶接装置1では、実際の円筒胴9の回転位置を容易に取得して、開先溶接を適切に行うことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、溶接装置および溶接方法に関する。
従来、2つの円筒胴を溶接により接合をすることが行われている。例えば、2つの円筒胴の突合せ部に開先が形成され、当該2つの円筒胴を一体的に回転しつつ開先溶接が行われる。この場合に、開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成する多層溶接も行われる。
また、円筒胴の回転に並行して開先の断面形状を測定することにより、開先溶接を精度よく行う手法も知られている。例えば、特許文献1の溶接装置では、溶接ワークの開先断面形状を測定する非接触式形状計測センサが設けられる。溶接条件データ等を含む溶接技術データが予め準備されており、当該センサからの計測データに基づいて溶接技術データの補正データが計算される。溶接技術データに基づいて初層溶接が行われ、溶接技術データの補正データに基づいて2層目以降の溶接が実施される。特許文献2の溶接装置では、開先形状に適した溶接条件を予め登録した溶接条件データベースと、溶接箇所における開先実形状を計測する計測手段とが設けられる。溶接線に沿って離散した複数の計測位置が設定され、計測手段により各計測位置における開先実形状が計測される。計測結果と溶接条件データベースとを用いて、溶接線に沿って連続した溶接条件が設定される。
特開平9-155543号公報 特開2016-10810号公報
ところで、円筒胴を回転しつつ開先溶接を行う溶接装置では、円筒胴の回転位置を正確に取得することができない場合がある。例えば、円筒胴の外周面に接触するローラの回転により円筒胴を回転する溶接装置では、円筒胴とローラとの接触面において滑りが生じた場合、ローラの回転量から算出される円筒胴の回転位置が、実際の円筒胴の回転位置と相違してしまう。したがって、実際の円筒胴の回転位置を容易に取得して、開先溶接を適切に行う手法が求められている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、実際の円筒胴の回転位置を容易に取得して、開先溶接を適切に行うことを目的としている。
本発明の態様1は、溶接装置であって、中心軸を中心とする2つの円筒胴が前記中心軸に平行な軸方向に並べられ、前記2つの円筒胴の突合せ部に開先が形成されており、前記2つの円筒胴を一体的に回転する回転機構と、前記2つの円筒胴の回転に並行しつつ、前記中心軸を中心とする周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、前記開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成するトーチ部と、前記トーチ部による前記溶接ビードの形成位置を前記軸方向に移動する溶接位置移動部と、前記2つの円筒胴の回転において、前記溶接位置に到達する直前の前記周方向の位置を測定位置として、前記2つの円筒胴のうち少なくとも一方の円筒胴の外周面に設けられた被検出部を、前記測定位置において検出する検出部と、前記検出部による前記被検出部の検出に基づいて、前記溶接位置移動部を制御する制御部とを備える。
本発明の態様2は、態様1の溶接装置であって、前記少なくとも一方の円筒胴の前記外周面において、複数の被検出部が前記周方向に配列される。
本発明の態様3は、態様1(態様1または2であってもよい。)の溶接装置であって、前記溶接ビードを繰り返し形成する際に、前記開先に対する前記溶接ビードの前記軸方向の相対位置を変更すべき前記開先の前記周方向の位置がパス移行位置として設定されており、前記制御部が、前記検出部による前記被検出部の検出に基づいて、前記パス移行位置が前記溶接位置を通過するタイミングを特定する。
本発明の態様4は、態様1(態様1ないし3のいずれか1つであってもよい。)の溶接装置であって、前記被検出部が、前記少なくとも一方の円筒胴の前記外周面に対して磁力により固定される。
本発明の態様5は、態様1ないし4のいずれか1つの溶接装置であって、前記検出部が、前記測定位置において前記開先の断面形状を測定する非接触式の形状測定機であり、前記測定位置に到達した前記被検出部の断面形状も検出する。
本発明の態様6は、態様5の溶接装置であって、前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を、前記開先の前記各部位の近傍に位置する複数の部位に対して前記検出部により測定される複数の断面形状を用いて決定する。
本発明の態様7は、態様5(態様5または6であってもよい。)の溶接装置であって、前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を、前記各部位に対して前記検出部により直前に測定される断面形状に基づいて決定し、前記直前に測定される前記断面形状にて前記開先が不明確となった特定状態において、前記制御部が、前記開先の前記各部位に対する前回の前記溶接ビードの形成に用いた前記断面形状に基づいて、前記各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を決定する。
本発明の態様8は、態様7の溶接装置であって、前記特定状態において、前記制御部が、前記検出部により測定される前記被検出部の断面形状に基づいて、前記測定位置における前記開先の前記軸方向の位置を取得し、前記開先の前記各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を決定する。
本発明の態様9は、態様5(態様5ないし8のいずれか1つであってもよい。)の溶接装置であって、形成される前記溶接ビードの表面の深さが前記開先の前記全周に亘って一定となるように、前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対する溶接入熱条件を、前記開先の前記全周に対して取得される開先深さを用いて決定する。
本発明の態様10は、態様1ないし4のいずれか1つ(態様1ないし9のいずれか1つであってもよい。)の溶接装置であって、前記開先溶接により生成されたスラグを除去するスラグ除去ユニットをさらに備え、前記スラグ除去ユニットが、前記開先の長手方向におよそ沿う配列方向に配列され、端部が前記開先内に配置される複数のスラグ除去部と、前記配列方向に延びる部材を有し、前記複数のスラグ除去部を支持する支持部と、前記支持部が前記軸方向に移動可能な状態で、前記開先の前記長手方向に対する前記配列方向の傾斜角を変更することにより、前記複数のスラグ除去部のうち両端に位置する2つのスラグ除去部の端部を前記開先の両側面に接触させる回動機構とを備える。
本発明の態様11は、態様1ないし4のいずれか1つ(態様1ないし10のいずれか1つであってもよい。)の溶接装置であって、前記トーチ部が、サブマージアーク溶接用の複数の溶接トーチを有し、前記複数の溶接トーチが、互いに隣接して配置され、前記溶接装置が、前記複数の溶接トーチのワイヤを順次切断可能なワイヤ切断部をさらに備える。
本発明の態様12は、溶接方法であって、a)中心軸を中心とする2つの円筒胴が前記中心軸に平行な軸方向に並べられ、前記2つの円筒胴の突合せ部に開先が形成されており、前記2つの円筒胴を一体的に回転する工程と、b)前記a)工程に並行して、前記中心軸を中心とする周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、前記開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成する工程と、c)前記2つの円筒胴の回転において、前記溶接位置に到達する直前の前記周方向の位置を測定位置として、前記2つの円筒胴のうち少なくとも一方の円筒胴の外周面に設けられた被検出部を、前記測定位置において前記a)工程に並行して検出する工程と、d)前記被検出部の検出に基づいて、前記溶接ビードの形成位置を前記軸方向に移動する工程とを備える。
本発明によれば、実際の円筒胴の回転位置を容易に取得して、開先溶接を適切に行うことができる。
溶接装置の構成を示す図である。 開先の断面図である。 開先の複数の部位における断面形状を示す図である。 溶接装置による溶接処理の流れを示す図である。 基準磁石および補正磁石の配置を示す図である。 基準磁石を示す図である。 基準磁石を示す図である。 開先におけるパス移行位置の近傍を示す図である。 開先の断面図である。 溶接方向位置の補正を説明するための図である。 溶接方向位置の補正を説明するための図である。 開先および補正磁石を示す図である。 開先および補正磁石の断面形状を示す図である。 開先および補正磁石の断面形状を示す図である。 適応制御の処理の流れを示す図である。 開先の断面図である。 開先の断面図である。 開先の断面図である。 溶接方向における開先の各部位の開先深さを示す図である。 ワイヤ切断部の構成を示す図である。 ワイヤ切断部によるワイヤの切断を説明するための図である。 ワイヤ切断部によるワイヤの切断を説明するための図である。 スラグ除去ユニットの構成を示す図である。 第1支持ベースおよび回動ユニットの構造を説明するための図である。 第1支持ベースおよび回動ユニットの構造を説明するための図である。 支持本体案内部および支持本体を示す図である。 支持本体案内部および支持本体を示す図である。 複数の第2スラグ除去部を示す図である。 複数の第2スラグ除去部を示す図である。 支持本体案内部の他の例を示す図である。 支持本体案内部の他の例を示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る溶接装置1の構成を示す図である。図1の溶接装置1は、サブマージアーク溶接により複数の円筒胴9を接合する装置である。溶接装置1では、サブマージアーク溶接以外の溶接が行われてもよい。溶接装置1は、回転機構2と、トーチ部31と、フラックス供給装置32と、溶接位置移動部41と、検出部42と、スラグ除去ユニット5と、ワイヤ切断部61と、制御部10とを備える。制御部10は、自動制御盤11と、コンピュータ12とを含む。制御部10は、溶接装置1の各構成に電気的に接続され、溶接装置1の全体制御を担う。
溶接装置1では、中心軸J1を中心とするとともに、略同じ外径を有する2つの円筒胴9が、中心軸J1に平行な方向(以下、「軸方向」という。)に並べられる。典型的には、当該2つの円筒胴9は、金属により形成される。2つの円筒胴9において互いに対向する端面(すなわち、軸方向を向く端面)は、突合せ部として互いに接触する。当該突合せ部には、中心軸J1を中心とする径方向の外側に向かって開口する開先が形成される。開先は、中心軸J1を中心とする周方向に延びており、円筒胴9の全周に亘って設けられる。
回転機構2は、複数のローラ21を有する。一例では、図1の左右方向に離れて配置される2つのローラ21をローラ対として、複数のローラ対が軸方向に配列される。2つの円筒胴9は複数のローラ対上に載置される。このように、各円筒胴9の外周面に接触する複数のローラ21により、当該円筒胴9が下方から支持される。一部のローラ21には、例えば、減速機を介してモータが接続され、当該ローラ21の回転により2つの円筒胴9が、中心軸J1を中心として一体的に回転する。典型的には、円筒胴9の回転速度は、略一定である。
1つのローラ21には、エンコーダ(ローラエンコーダまたはロータリーエンコーダ)22が設けられ、ローラ21の回転量が取得される。これにより、周方向における円筒胴9の回転位置が間接的に取得される。制御部10では、周方向における開先の各部位の位置が、エンコーダ22の出力値に基づいて特定可能である。上記のように、2つの円筒胴9は一体的に回転するため、以下の説明では、2つの円筒胴9を単に「円筒胴9」ともいう。後述するように、3つ以上の円筒胴9が軸方向に並べられてもよい。
トーチ部31は、複数の溶接トーチ311と、フラックス散布管316とを有する。複数の溶接トーチ311、および、フラックス散布管316は、周方向に並ぶ。図1の溶接装置1では、サブマージアーク溶接用の2本の溶接トーチ311が設けられる。2本の溶接トーチ311の先端、および、フラックス散布管316の先端は、互いに近接した位置に配置され、円筒胴9の最上部近傍の開先に対向する。
図1の例では、円筒胴9は中心軸J1を中心として反時計回りに回転する(図1中の矢印C参照)。2本の溶接トーチ311は、フラックス散布管316に対して、円筒胴9の回転方向の下流側に配置される。換言すると、周方向における開先の各部位は、フラックス散布管316、および、2本の溶接トーチ311を順に通過する。各溶接トーチ311および円筒胴9は、溶接電源(図示省略)に電気的に接続される。2本の溶接トーチ311の先端近傍において、開先溶接が行われる。以下の説明では、周方向において2本の溶接トーチ311の先端近傍の位置を、「溶接位置」という。溶接位置は、開先に対してトーチ部31により溶接が行われる周方向の位置である。溶接装置1に設けられる溶接トーチ311の個数は、1または3以上であってもよい。
各溶接トーチ311には、ワイヤ供給部361から溶加材であるワイヤが供給される。図1では、1つのワイヤ供給部361のみを図示している。溶接トーチ311とワイヤ供給部361との間には、ワイヤ送給部(図示省略)と、ワイヤ切れ検知部362とが設けられる。ワイヤ送給部は、ワイヤ供給部361からのワイヤを溶接トーチ311内に送り込む。ワイヤ切れ検知部362は、通過するワイヤが無くなった場合に、ワイヤ切れを検知する。ワイヤ切れ検知部362においてワイヤ切れが検知されると、制御部10により溶接処理が停止される。
フラックス供給装置32は、フラックス補充部321と、ホッパ部322と、レベルセンサ323と、自動弁324とを有する。ホッパ部322は、フラックスを貯留する。フラックス補充部321は、ホッパ部322内にフラックスを自動的に補充する。レベルセンサ323は、フラックス補充部321の不具合等により、ホッパ部322内のフラックスが所定量以下となった場合に、フラックス不足を検知する。フラックス不足が検知されると、制御部10により、作業者に対して警告が行われる。ホッパ部322は、自動弁324を介してフラックス散布管316に接続される。自動弁324を開くことにより、ホッパ部322からフラックス散布管316にフラックスが供給され、フラックス散布管316の先端から円筒胴9の開先にフラックスが供給される。また、自動弁324を閉じることにより、開先へのフラックスの供給が停止される。なお、後述の開先の断面形状は、フラックスが被っていない位置のビードをセンシングすることにより取得される。
検出部42は、円筒胴9の開先に対向して配置され、径方向および軸方向に沿う、開先の断面形状を測定する。検出部42は、例えば、非接触式の形状測定機であり、好ましくは、レーザースキャン型のセンサ、または、レーザースリットを利用したセンサである。検出部42は、トーチ部31に対して、円筒胴9の回転方向の上流側近傍に配置され、周方向における開先の各部位は、検出部42およびトーチ部31を順に通過する。開先において、検出部42により測定される周方向の位置を「測定位置」と呼ぶと、測定位置は、円筒胴9の回転において、溶接位置に到達する直前の周方向の位置である。軸直角方向における溶接位置と測定位置の間の距離は、フラックスが測定位置に被ることを防ぐため、好ましくは120mm以上である。検出部42では、軸方向に関して開先の両外側のある程度の範囲まで、円筒胴9の表面位置(すなわち、表面の断面形状)が検出可能である。
溶接位置移動部41は、例えば、ボールねじ、および、モータ等を有し、トーチ部31および検出部42を一体的に、互いに直交する2方向に移動可能である。当該2方向は、軸方向および径方向である。溶接位置移動部41による移動の前後において、複数の溶接トーチ311、フラックス散布管316および検出部42の相対的な位置関係は変化しない。なお、図1では、溶接位置移動部41を破線のブロックにて示している。
スラグ除去ユニット5は、周方向において溶接位置および測定位置から離れた位置に設けられ、円筒胴9の開先に対向して配置される。スラグ除去ユニット5は、開先溶接により開先に生成されたスラグを除去する。ワイヤ切断部61は、複数の溶接トーチ311の先端に近接した切断位置と、当該先端から離れた退避位置とに選択的に配置される(後述の図15参照)。ワイヤ切断部61は、複数の溶接トーチ311の先端から突き出たワイヤを切断する。スラグ除去ユニット5およびワイヤ切断部61の構成および動作については後述する。
溶接装置1では、円筒胴9の周囲に複数のカメラ(例えば、CCDカメラ)661,662も設けられており、トーチ部31による溶接の様子を確認することが可能である。上記構成を有する溶接装置1では、遠隔操作が可能となっており、例えば、外径が数mである大型の円筒胴9に対して溶接を行う場合でも、作業者が円筒胴9の上部まで登ることなく、地上から操作することができる。
ここで、溶接装置1における倣い制御について説明する。図2は、径方向および軸方向に沿う開先91の断面を示す図であり、溶接処理の途中における開先91の状態を示す。溶接装置1では、円筒胴9の回転に並行しつつ、トーチ部31が溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、開先91の全周に対して溶接ビード92が繰り返し形成される。実際には、開先91に対する溶接ビード92の軸方向の相対位置を、円筒胴9が1周する毎に変更しながら多層溶接が行われる。
円筒胴9の周方向の真円度および軸方向の水平度によっては、円筒胴9の回転により円筒胴9の位置が軸方向にずれることがあり、この場合、軸方向における開先91の位置が一定とはならない。開先91自体が蛇行して形成される場合も同様である。また、溶接ビード92の形成が繰り返されることにより、径方向において最も外側に位置する溶接ビード92の表面(以下、「開先91の底面」という。)の位置が変化するため、開先91の底面と溶接トーチ311との間の距離が変化してしまう。そこで、溶接装置1では、検出部42により測定される開先91の断面形状に基づいて、制御部10が溶接位置移動部41を自動的に制御する倣い制御が行われる。倣い制御により、円筒胴9が1周する間、軸方向に関して開先91に対する一定の相対位置に溶接トーチ311が配置される。また、開先91の底面と溶接トーチ311との間の距離が一定に保たれる。以下、倣い制御について具体的に説明する。
図3は、周方向における開先91の複数の部位での断面形状を示す図である。検出部42では、一定の測定周期R(センシング周期)にて開先91の断面形状が測定される。図3の上段は、開先91の断面形状が測定される測定周期R毎の時刻Ta,Tb,Tc,Td,Teを示す。中段は、径方向に沿って見た開先91を示し、各時刻Ta~Teに測定位置を通過する開先91の周方向の位置(以下、「測定点」という。)に符号Ya,Yb,Yc,Yd,Yeを付す。また、中段では、軸方向を矢印にて示し、回転する円筒胴9の開先91に対するトーチ部31および検出部42の相対的な進行方向も「溶接方向」として矢印にて示す(径方向に沿って見た開先91を示す他の図において同様)。溶接方向は、周方向と略同じであり、溶接線方向とも呼ばれる。溶接装置1では、周方向における開先91の各部位に対して、溶接方向の座標が設定される。下段は、各時刻Ta~Teに検出部42により測定される開先91の断面形状を示す。下段の断面形状において、上下方向は軸方向に対応し、左右方向は径方向に対応する。既述のように、検出部42では、円筒胴9の表面位置が測定されるため、内部に溶接ビード92が形成された開先91の断面形状では、開先91内の底部は、最も外側に位置する溶接ビード92の表面を示す。なお、検出部42における測定周期は必ずしも一定でなくてもよい。
例えば、時刻Tbに断面形状が測定される開先91の測定点Ybについては、測定点Yb、および、測定点Ybに隣接する測定点Ya,Ycの断面形状を平均した断面形状(すなわち、軸方向の各位置において、径方向の位置を平均して得られる断面形状)が平均断面形状として求められる。そして、開先91の測定点Ybが溶接位置を通過する際に、当該平均断面形状から溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置(倣い位置とも呼ばれる。)が決定され、溶接位置移動部41により溶接トーチ311が当該軸方向位置および径方向位置に配置される。図2の例において、中央の溶接ビード92を形成する場合には、平均断面形状において、開先91の中央となる軸方向位置に溶接トーチ311が配置される。左側の溶接ビード92を形成する場合には、開先91の中央から左側にずれた軸方向位置に溶接トーチ311が配置される。右側の溶接ビード92を形成する場合には、開先91の中央から右側にずれた軸方向位置に溶接トーチ311が配置される。溶接トーチ311を配置すべき径方向位置は、溶接トーチ311に対向する開先91の底面(溶接ビード92の表面)から所定距離となる位置である。
既述のように、測定位置は、溶接位置に対して回転方向の上流側、すなわち、溶接方向の前側に配置されるため、測定点Ybが溶接位置を通過する前に(直前に)、測定点Ya~Ycの断面形状が得られている。同様に、時刻Tcに断面形状が測定される開先91の測定点Ycが、溶接位置を通過する際には、測定点Yb~Ydの断面形状を平均した平均断面形状が求められており、当該平均断面形状から溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置が決定される。
このように、溶接方向における開先91の各測定点に対して溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置は、当該測定点、および、当該測定点の近傍に位置する測定点の複数の断面形状の平均(移動平均)により決定される。なお、必ずしも平均断面形状が求められる必要はない。例えば、各断面形状において、開先91の開口側の2つの角部P11,P14、および、底面側の2つの角部P12,P13の座標値が取得され、複数の断面形状において、各角部P11~P14(以下、「特徴点P11~P14」ともいう。)について座標値の平均が求められる。そして、上述の平均断面形状に代えて、各特徴点P11~P14の平均座標値の位置を結んで得られる形状から、溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置が決定される。各特徴点P11~P14の特定は、傾きが所定値以上変化する点を求める等、周知の手法により行われてよい。
また、各測定点と当該測定点に隣接する測定点との間の位置については、これらの2つの測定点に対する2つの平均断面形状を用いた補間演算(例えば、線形補間)により、当該位置に対する断面形状が求められる。例えば、測定点Ybと測定点Ycとの間の各位置では、測定点Ybの平均断面形状と、測定点Ycの平均断面形状とを用いた補間演算により、当該位置に対する断面形状が求められる。そして、当該位置が溶接位置を通過する際に、当該位置に対する断面形状から溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置が決定され、当該軸方向位置および径方向位置に溶接トーチ311が配置される。
ところで、検出部42では、開先91の表面状態等に起因して、不正な断面形状が測定される場合がある。図3の例では、時刻Teに断面形状が測定される開先91の測定点Yeに対して、不正な断面形状が測定されている。この場合に、例えば、測定点Ydに対する平均断面形状を求める際に、測定点Yc~Yeの断面形状を用いると、平均断面形状が異常なものとなる。
そこで、不正な断面形状となっている測定点Yeの断面形状は、例えば、直前に求められた測定点Ycに対する平均断面形状に置き換え、測定点Yc,Ydの断面形状と、測定点Ycの平均断面形状とを用いて、測定点Ydに対する平均断面形状が求められる。不具合等により、一の測定点において断面形状が測定されない場合(断面形状が欠落した場合)も同様である。各測定点が、不正な断面形状であるか否かの判定では、例えば、当該測定点の断面形状と、当該測定点に対して溶接方向の後側に隣接する測定点の断面形状との間で、各特徴点P11~P14の位置のずれ量が算出される。そして、当該ずれ量が閾値(例えば、5mm)以上である場合に、当該測定点の断面形状が、不正な断面形状であると判定される。なお、不正な断面形状である測定点が所定距離(例えば、300mm)以上連続する場合には、制御部10により溶接処理が停止される。
次に、溶接装置1による円筒胴9に対する溶接処理について図4を参照しつつ説明する。溶接処理では、まず、図1の円筒胴9の外周面に1つの基準磁石96と、複数の補正磁石97とが取り付けられる(ステップS11)。1つの基準磁石96は、溶接方向の任意の位置において開先91の近傍に配置される。複数の補正磁石97は、開先91の近傍において溶接方向に配列される。複数の補正磁石97は、略一定の間隔(例えば、2~3m)にて配列されることが好ましいが、当該間隔が、ばらついていてもよい。基準磁石96および補正磁石97は、共に円柱形状であり、磁力により円筒胴9の外周面に固定される。好ましい処理例では、図5に示すように、基準磁石96が開先91の一方の縁近傍に配置され、複数の補正磁石97が開先91の他方の縁近傍に配置される。すなわち、開先91を挟んで基準磁石96と補正磁石97とが互いに反対側に配置される。後述するように、基準磁石96および補正磁石97は、検出部42により検出される被検出部である。本処理例にて用いられる、好ましい基準磁石96および補正磁石97は、高温(例えば、300℃)においても磁力の減少が少ない耐熱磁石である。
続いて、回転機構2による円筒胴9の回転が開始される(ステップS12)。トーチ部31では、円筒胴9の回転に並行して、溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、開先91の全周に対して溶接ビード92が繰り返し形成される(ステップS13)。このとき、既述の倣い制御が行われ、円筒胴9が略1周する間、軸方向に関して開先91に対する一定の相対位置に溶接ビード92が形成される。また、基準磁石96および補正磁石97が測定位置を通過する際に、検出部42により基準磁石96および補正磁石97が検出される(ステップS14)。以下では、先に、基準磁石96の検出に基づく処理について説明し、その後、補正磁石97の検出に基づく処理について説明する。なお、図4では、ステップS13とステップS14とを直列に並べているが、実際には、ステップS14における基準磁石96および補正磁石97の検出は、ステップS13における溶接ビードの形成の繰り返しと並行して行われる。ステップS13と後述のステップS15との関係についても同様である。
図6Aは、検出部42による基準磁石96の検出を説明するための図である。図6Aでは、断面形状が測定される開先91の溶接方向の位置(すなわち、測定点の位置)を破線にて示す。既述のように、検出部42では、軸方向に関して開先91の両外側のある程度の範囲まで、円筒胴9の表面位置(すなわち、表面の断面形状)が検出可能である。したがって、軸方向において基準磁石96と重なる各測定点では、開先91の断面形状と共に、基準磁石96の断面形状が検出される。図6Aでは、各測定点で測定される断面形状から特定される、基準磁石96の上端面のエッジ(開先91側に位置するエッジ)を点E11にて示す。
基準磁石96は円柱形状であり、制御部10では、複数の点E11を通る近似円が求められる。これにより、図6Bのように、角柱形状の基準磁石96を用いる場合に比較して、基準磁石96の中心を精度よく特定することが可能となる。制御部10では、基準磁石96の直径が予め入力され、2つの点E11の座標のみを用いて基準磁石96の中心が求められてもよい。検出部42では、必ずしも基準磁石96の全体の断面形状が検出される必要はなく、基準磁石96の一部の断面形状(上記エッジを含む断面形状)が検出されるのみであってもよい。
図7は、開先91におけるパス移行位置の近傍を示す図である。パス移行位置は、開先91に対する溶接ビード92の軸方向の相対位置を変更すべき開先91の溶接方向(周方向)の位置である。パス移行位置は、基準磁石96の近傍に設定される。制御部10では、基準磁石96の中心が測定位置を通過する時点を基準として、パス移行位置が溶接位置に到達するまでの溶接方向の距離(以下、「遅延距離」という。)が取得されている。基準磁石96の中心が測定位置を通過後、エンコーダ22により遅延距離の移動が検出された際に、パス移行位置が溶接位置に到達したと判定される。これにより、回転機構2のローラ21と円筒胴9の外周面との接触面の滑りや、ローラ21とエンコーダ22との接触面の滑り(以下、「ローラ21等の滑り」と総称する。)が生じた場合でも、検出部42による基準磁石96の検出に基づいて、パス移行位置が溶接位置を通過するタイミングが精度よく特定される。
図7では、一の溶接ビード92(以下、「今回の溶接ビード92」という。)の形成直前における開先91を示し、今回の溶接ビード92の形成において溶接トーチ311が相対的に移動する経路(パス)を破線の矢印にて示す。また、前回に形成された溶接ビード92(以下、「前回の溶接ビード92」という。)に対して平行斜線を付し、前回の溶接ビード92におけるパス移行位置を符号P31で示す。前回の溶接ビード92では、パス移行位置P31から溶接方向に向かって、開先91に対する軸方向の相対位置が変化しており、符号P32を付す位置にて軸方向の相対位置の変更が完了している。
今回の溶接ビード92では、位置P32から溶接方向に所定距離L1(例えば、数mm)だけ離れた位置P33が、パス移行位置として設定される。そして、パス移行位置が溶接位置を通過する際に、溶接位置移動部41が溶接トーチ311を移動し、溶接ビード92の形成位置が軸方向に移動される(ステップS15)。以上のように、溶接装置1では、検出部42による基準磁石96の検出に基づいて、溶接ビード92の軸方向の相対位置を変更するパス移行が行われる。図7のように、距離L1だけ前回の溶接ビード92と今回の溶接ビード92とを重ねることにより、パス移行部分の溶接欠陥をなくすことが可能となる。なお、距離L1は、溶接ビード92の軸方向の位置等に応じて適宜変更されてよく、0であってもよい。
溶接装置1では、上記の倣い制御およびパス移行を自動的に行いつつ、開先91の全周に対して溶接ビード92が繰り返し形成される。これにより、図8に示すように、開先91の大部分が溶接ビード92により埋まる。図8では、開先91を埋める溶接ビード92の集合に平行斜線を付している。開先91の大部分が埋まると、検出部42により測定される断面形状において、開先91が不明確な状態(以下、「特定状態」という。)となる。すなわち、断面形状における特徴点が不明確となり、開先91の位置を正確に特定することができなくなる。その結果、通常の倣い制御の実行が不能となる。以下、特定状態における倣い制御について説明する。なお、特定状態であるか否かの判定は、任意の手法にて行われてよい。例えば、開先91の断面形状における最大深さが閾値(例えば、15mm)以下となる場合に、特定状態であると判定される。
ここで、制御部10では、溶接方向における開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成する際に、前回の溶接ビード92の形成時に当該部位に対して用いた断面形状(以下、単に「前回の断面形状」ともいう。)が記憶されている。図8では、断面の部位における前回の断面形状の特徴点P11~P14を黒い点にて示す。また、特定状態においても、検出部42により開先91の断面形状が測定されており、図8では、当該部位に対して直前に測定された断面形状(以下、単に「今回の断面形状」ともいう。)を太い破線にて示す。
特定状態となると、制御部10では、今回の断面形状から開先91の深さD1が求められる。深さD1は、今回の断面形状において最も深い位置と、円筒胴9の外周面との間の径方向の距離である。前回の断面形状の特徴点P11~P14を結んだ形状において、深さD1の位置を示す直線(円筒胴9の外周面を示す線と平行な直線であり、図8中に破線にて示す。)と交わる点P15,P16が求められ、当該点P15,P16を底面側の2つの特徴点とした新たな断面形状が得られる。すなわち、特徴点P11,P15,P16,P14を結んだ形状が、開先91の当該部位に対して溶接ビード92を形成する際に参照すべき断面形状となる。そして、当該断面形状から溶接トーチ311を配置すべき軸方向位置および径方向位置が決定され、溶接位置移動部41により当該軸方向位置および径方向位置に溶接トーチ311が配置される。以上のように、特定状態における倣い制御では、開先91の各部位に対する前回の溶接ビード92の形成に用いた断面形状に基づいて、当該部位に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向位置および径方向位置が決定される。
ところで、ローラ21等の滑りが生じた場合等には、エンコーダ22により取得される円筒胴9の回転位置が、実際の円筒胴9の回転位置と相違する。その結果、上述の特定状態における倣い制御において、溶接方向における開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成する際に、当該部位に対して前回の溶接ビード92の形成時に用いた断面形状(すなわち、前回の断面形状)を正確に特定することができなくなる。そこで、溶接装置1では、補正磁石97の検出に基づく処理が行われる。補正磁石97の検出に基づく処理では、溶接方向位置の補正と、軸方向位置の補正とが行われる。以下では、先に、溶接方向位置の補正について説明し、その後、軸方向位置の補正について説明する。
図9Aおよび図9Bは、溶接方向位置の補正を説明するための図である。図9Aおよび図9Bの上段では、複数の補正磁石97および開先91を示し、下段では、開先91の断面形状を示す。図9Aは、非特定状態、すなわち、通常状態に対応し、図9Bは、特定状態に対応する。
通常状態では、検出部42において開先91の断面形状が測定される毎に、溶接方向における測定点の座標がエンコーダ22の出力値に基づいて特定され、断面形状と共に記憶される。また、既述のように、通常の倣い制御およびパス移行が行われる。さらに、各補正磁石97が測定位置を通過する毎に、図6Aを参照して説明した基準磁石96の検出と同様にして、当該補正磁石97の中心の溶接方向における座標が、エンコーダ22の出力値に基づいて特定される。当該補正磁石97の座標は、当該補正磁石97の中心の位置に対する断面形状(例えば、上述の補間演算により求められる断面形状)と共に記憶される。図9Aでは、上段の各補正磁石97の中心の位置に対する断面形状を下段に示す。通常状態では、各測定点の座標および断面形状の取得と、各補正磁石97(の中心)の座標および断面形状の取得とが繰り返される。実際には、各測定点の座標および断面形状、並びに、各補正磁石97の座標および断面形状が、円筒胴9が1周する毎に更新される。
特定状態となると、図8を参照して説明したように、溶接方向における開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成する際に、当該部位に対して前回の溶接ビード92の形成時に用いた断面形状(すなわち、前回の断面形状)が利用される。特定状態では、各補正磁石97が測定位置を通過する際に、測定位置を通過する開先91の部位の溶接方向の座標、すなわち、エンコーダ22の出力値により特定される当該部位の座標が、当該補正磁石97に対して1周前に取得された溶接方向の座標に修正される。
これにより、ローラ21等の滑りが生じた場合でも、溶接方向における補正磁石97の間隔毎に、エンコーダ22により特定される溶接方向の座標が補正される。その結果、特定状態における倣い制御において、開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成する際に、当該部位に対して前回の溶接ビード92の形成時に用いた断面形状をある程度正確に特定することが可能となる。特定状態に対応する図9Bでは、上段の各補正磁石97の位置に対する、前回の断面形状を下段に示す。以上のように、検出部42による補正磁石97の検出に基づいて、溶接方向位置の補正を行いつつ溶接位置移動部41を制御することにより(ステップS15)、特定状態における倣い制御を精度よく行うことが可能となる。
次に、特定状態における軸方向位置の補正について説明する。図10は、開先91および2つの補正磁石97a,97bを示す図である。図11Aは、検出部42により測定される開先91および補正磁石97aの断面形状を示す図であり、図11Bは、検出部42により測定される開先91および補正磁石97bの断面形状を示す図である。図11Aおよび図11Bでは、上段が前回の断面形状を示し、下段が今回の断面形状を示す。
図11Aに示すように、溶接方向における補正磁石97aの位置では、今回の断面形状における開先91および補正磁石97aの軸方向位置が、前回の断面形状から変化していない。この場合、図8を参照して説明した処理により、当該位置に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向位置を、前回の断面形状に基づいて適切に決定することが可能である。図10では、溶接方向における補正磁石97aの位置に対する溶接時の溶接トーチ311を実線の丸にて示し、溶接トーチ311が相対的に移動する経路を破線の矢印にて示す。
一方、図11Bに示すように、溶接方向における補正磁石97bの位置では、今回の断面形状における補正磁石97bの軸方向位置が、前回の断面形状から変化(位置ずれ)している。実際には、開先91の軸方向位置も変化している。この場合に、溶接方向における当該位置に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向位置を、前回の断面形状のみに基づいて決定すると、溶接ビード92が図11B中に矢印A1にて示す範囲内に形成される。その結果、開先91からずれた位置に溶接ビード92が形成される可能性がある。
そこで、制御部10では、補正磁石97の検出に基づいて軸方向位置の補正が行われる。具体的には、図11Bの上段に示す前回の断面形状において、補正磁石97bの上端面のエッジ(開先91側のエッジ)の軸方向位置E21が特定される。また、図11Bの下段に示す今回の断面形状において、補正磁石97bの上端面のエッジの軸方向位置E22が特定される。その後、今回の断面形状におけるエッジの軸方向位置E22と、前回の断面形状におけるエッジの軸方向位置E21との差V1が、位置ずれ量(ドリフト量)として求められる。
そして、図11Bの下段に二点鎖線にて示すように、前回の断面形状を軸方向に差V1だけ移動(シフト)した形状が求められ、当該形状に基づいて補正磁石97bの位置に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向位置が決定される。図10では、溶接方向における補正磁石97bの位置において、今回の断面形状に対応する、補正磁石97b、溶接トーチ311および開先91を二点鎖線にて示す。このように、補正磁石97の検出に基づいて、軸方向位置の補正を行いつつ溶接位置移動部41を制御することにより(ステップS15)、溶接ビード92を開先91に対して適切に形成することが可能となる。
溶接装置1では、上述の倣い制御およびパス移行を行いつつ、開先91の全周に対して溶接ビード92の形成が繰り返される。開先91の全体が溶接ビード92により埋められると、回転機構2による円筒胴9の回転が停止される(ステップS16)。以上により、溶接装置1による溶接処理が完了する。
上記処理例では、溶接トーチ311に付与する電流、電圧および溶接速度(以下、「溶接入熱条件」という。)を一定にして溶接処理が行われるが、検出部42により測定される開先91の断面形状に基づいて、溶接入熱条件の自動的な調整(以下、「適応制御」という。)が行われてもよい。図12は、適応制御の処理の流れを示す図である。図13Aないし図13Cは、適応制御を説明するための図であり、開先91の断面を示す。既述のように、倣い制御およびパス移行を行いつつ、開先91の全周に対して溶接ビード92を形成することにより、図13Aに示すように、開先91内において軸方向に並ぶ複数の溶接ビード92が、溶接ビード層93として形成される。溶接ビード層93は、1つの溶接ビード92により形成されてもよい。適応制御では、一の溶接ビード層93(以下、「前の溶接ビード層93」という。)の次の溶接ビード層93を形成する際に、溶接入熱条件が調整される。
具体的には、前の溶接ビード層93における最初の溶接ビード92を形成する際に、溶接方向における開先91の各部位の断面形状が取得される。また、前の溶接ビード層93に含まれる各溶接ビード92の形成において、溶接方向における開先91の各部位の溶接時におけるワイヤの送給量がワイヤ送給部により取得される。制御部10では、上記最初の溶接ビード92の形成時に取得される開先91の各部位の断面形状に対して、前の溶接ビード層93に含まれる全ての溶接ビード92の形成時における、当該部位に対するワイヤの送給量から想定される厚さを足すことにより、当該部位に対する断面形状が台形にて近似される。なお、ワイヤの送給量と、溶接ビード92の厚さとの関係は予め得られる。このようにして、次の溶接ビード層93を形成する際に、前の溶接ビード層93が形成された開先91の開先幅W2および開先深さD2(図13A参照)が、開先91の全周に亘って求められる(ステップS21)。開先幅W2は、断面形状を示す当該台形における径方向内側の辺の長さである。開先深さD2は、径方向における当該台形の高さである。
図14は、溶接方向における開先91の各部位の開先深さD2を示す図である。図14の最上段では、開先深さD2の溶接方向における変化を同じ符号D2を付す実線にて示す。図14の2段目ないし4段目については後述する。前の溶接ビード層93に対して開先幅W2および開先深さD2が求められると、開先91の全周における開先幅W2の平均値が求められる。本処理例では、複数通りの開先幅に対して、溶接欠陥が生じにくい溶接入熱条件範囲を示す参照テーブルが、実験等により予め求められ、制御部10に記憶されている。開先幅W2の平均値を用いて参照テーブルを参照することにより、次の溶接ビード層93の形成における溶接入熱条件範囲が決定される(ステップS22)。なお、円筒胴9の開先溶接により製造すべき製品において、規格等に基づいて溶接入熱条件範囲が定められている場合には、例えば、当該溶接入熱条件範囲と、参照テーブルを用いて特定される溶接入熱条件範囲とが重なる範囲が、次の溶接ビード層93の形成における溶接入熱条件範囲として決定される。
続いて、次の溶接ビード層93の溶接入熱条件範囲において、平均的な(およそ中央の)溶接入熱条件が特定される。当該平均的な溶接入熱条件にて次の溶接ビード層93を形成したと仮定した場合に、当該次の溶接ビード層93に対して取得される開先深さ(以下、「推定開先深さ」という。)が推定される(ステップS23)。本処理例では、複数通りの溶接入熱条件と、当該溶接入熱条件により形成される溶接ビード92の厚さとの関係が、実験等により予め求められ、制御部10に記憶されている。推定開先深さは、当該関係を用いて得られる。図13Bでは、上記の平均的な溶接入熱条件にて仮想的に形成した溶接ビード層93(以下、「仮想溶接ビード層93」ともいう。)の溶接ビード92を二点鎖線にて示す。また、仮想溶接ビード層93の推定開先深さD3および開先幅W3を矢印にて示す。図14の上から2段目では、推定開先深さD3の溶接方向における変化を同じ符号D3を付す二点鎖線にて示す。
推定開先深さD3が得られると、開先91の全周における推定開先深さD3の平均値M1が求められる。図13Cおよび図14の上から2段目では、推定開先深さD3の平均値M1の位置を破線にて示す。その後、溶接方向における開先91の各部位に対して、推定開先深さD3の平均値M1と推定開先深さD3との差が、仮想溶接ビード層93の過不足量(厚さ)として求められる(ステップS24)。図14の上から3段目では、仮想溶接ビード層93の過不足量を示す領域に平行斜線を付している。
そして、溶接方向における開先91の各部位に対して、仮想溶接ビード層93の過不足量に応じて溶接ビード層93の厚さが増減するように、平均的な溶接入熱条件から変更した溶接入熱条件が求められる(ステップS25)。換言すると、開先91の各部位に対して、前の溶接ビード層93の開先深さD2と、推定開先深さD3の平均値M1との差に基づいて、溶接入熱条件が決定される。このとき、溶接方向の当該部位に対する溶接入熱条件が、ステップS22にて決定された次の溶接ビード層93の溶接入熱条件範囲内に制限される。したがって、開先深さD2と推定開先深さD3の平均値M1との差に相当する厚さの溶接ビード層93を形成するために必要な溶接入熱条件が、溶接入熱条件範囲の上限以上である場合には、当該溶接入熱条件が溶接入熱条件範囲の上限に変更される。同様に、上記差に相当する厚さの溶接ビード層93を形成するために必要な溶接入熱条件が、溶接入熱条件範囲の下限以下である場合には、当該溶接入熱条件が溶接入熱条件範囲の下限に変更される。
次の溶接ビード層93の形成において、溶接方向における開先91の各部位が溶接位置を通過する際には、当該部位に対する溶接入熱条件に従って、溶接トーチ311に付与する電流および電圧が変更される。これにより、開先91の全周に亘って、開先深さが推定開先深さD3の平均値M1に近似する次の溶接ビード層93が形成される(ステップS26)。図14の上から4段目では、次の溶接ビード層93に対して、検出部42により測定される開先深さの溶接方向における変化を太い実線D4で示す。実線D4が推定開先深さD3の平均値M1未満となる部位では、溶接入熱条件が溶接入熱条件範囲の上限に変更されており、実線D4が推定開先深さD3の平均値M1よりも大きくなる部位では、溶接入熱条件が溶接入熱条件範囲の下限に変更されている。
以上のように、適応制御を行うことにより、溶接ビード層93の表面の深さを略一定とすることが可能となる。実際には、特定状態における倣い制御と同様に、検出部42による補正磁石97の検出に基づいて、溶接方向位置の補正を行いつつ溶接位置移動部41を制御することにより、適応制御を精度よく行うことが可能となる。新たな溶接ビード層93を形成する際に、上記ステップS21~S26が繰り返される。
以上に説明したように、溶接装置1では、円筒胴9の回転に並行しつつ、トーチ部31が周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、開先91の全周に対して溶接ビード92が繰り返し形成される。また、円筒胴9の回転において、溶接位置に到達する直前の周方向の位置を測定位置として、円筒胴9の外周面に設けられた被検出部(上記の例では、基準磁石96または補正磁石97)が、測定位置において検出部42により検出される。これにより、ローラ21等の滑りが生じる場合でも、実際の円筒胴9の回転位置を容易に取得することができる。また、トーチ部31による溶接ビード92の形成位置を軸方向に移動する溶接位置移動部41が設けられ、検出部42による被検出部の検出に基づいて、制御部10が溶接位置移動部41を制御する。その結果、パス移行、特定状態における倣い制御、適応制御等を精度よく行う、すなわち、開先溶接を適切に行うことができる。
好ましくは、円筒胴9の外周面において、複数の被検出部(上記の例では、補正磁石97)が周方向に配列される。このように、複数の被検出部を設けることにより、ある程度短い間隔にて、円筒胴9の回転位置を取得することができ、開先溶接をより適切に行うことができる。
好ましくは、被検出部が、円筒胴9の外周面に対して磁力により固定される。これにより、被検出部の着脱可能な固定を容易に実現することができる。また、溶接時に円筒胴9を加熱する場合における熱や、溶接により生じる熱等の影響により、被検出部が円筒胴9から外れることを防止することができる。なお、溶接時における円筒胴9の温度等によっては、粘着テープ等により被検出部が固定されてもよい。また、円筒胴9の用途等によっては、被検出部が、円筒胴9の外周面に形成された部位や、溶接等により固定された部位などであってもよい。
好ましくは、溶接ビード92を繰り返し形成する際に、開先91に対する溶接ビード92の軸方向の相対位置を変更すべき開先91の周方向の位置が、パス移行位置として設定される。そして、制御部10が、検出部42による被検出部(上記の例では、基準磁石96)の検出に基づいて、パス移行位置が溶接位置を通過するタイミングを特定する。これにより、パス移行位置にてパス移行を精度よく行うことができる。
好ましくは、検出部42が、測定位置において開先91の断面形状を測定するとともに、測定位置に到達した被検出部の断面形状も検出する。このように、開先91の断面形状の測定に用いる形状測定機を用いて、被検出部を検出することにより、溶接装置1における部品点数を少なくすることができる。
好ましくは、制御部10が、溶接位置を通過する開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置を、開先91の当該部位の近傍に位置する複数の部位に対して検出部42により測定される複数の断面形状を用いて決定する。これにより、当該部位に対して測定される断面形状に異常等がある場合でも、溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置をある程度適切に決定することができる。
好ましくは、通常状態において、制御部10が、溶接位置を通過する開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置を、当該部位に対して検出部42により直前に測定される断面形状に基づいて決定する。また、直前に測定される断面形状にて開先91が不明確となった特定状態において、制御部10が、開先91の各部位に対する前回の溶接ビード92の形成に用いた断面形状に基づいて、当該部位に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置を決定する。これにより、特定状態において、溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置を適切に決定することができる。
好ましくは、特定状態において、制御部10が、検出部42により測定される被検出部の断面形状に基づいて、測定位置における開先91の軸方向の位置を取得し、開先91の各部位に対して溶接ビード92を形成すべき軸方向の位置を決定する。これにより、開先91の軸方向位置がずれた場合でも、溶接ビード92を開先91内の適切な位置に形成することができる。
好ましくは、形成される溶接ビード92の表面の深さが開先91の全周に亘って一定となるように、制御部10が、溶接位置を通過する開先91の各部位に対する溶接入熱条件を、開先91の全周に対して取得される開先深さを用いて決定する。実際には、溶接始端部と終端部における開先深さの差が小さくなるように溶着金属量を調整すればよい。これにより、開先91の深さがばらつく場合に必要となる作業者による追加の溶接作業を低減する(理想的には、追加の溶接作業をなくす)ことができる。
次に、ワイヤ切断部61について説明する。ワイヤ切断部61は、溶接トーチ311のワイヤの先端にスラグが付着した場合や、開先溶接の開始時(一時停止後の再開時も含む。)においてワイヤの先端を尖らせる場合等に、ワイヤを切断する。図15は、ワイヤ切断部61の構成を示す図であり、軸方向に沿って見たワイヤ切断部61および溶接トーチ311を示す。既述のように、溶接装置1では、サブマージアーク溶接用の複数の溶接トーチ311が設けられており、複数の溶接トーチ311は、互いに隣接して配置される。図15の例では、先端が互いに近接するように、2本の溶接トーチ311が傾斜して設けられる。詳細には、2本の溶接トーチ311の中心軸J2が、その先端の下方(円筒胴9側)にておよそ交わるように、2本の溶接トーチ311が傾斜する。
ワイヤ切断部61は、切断部本体62と、本体移動機構63とを備える。本体移動機構63は、エアシリンダ(図示省略)と、端部に切断部本体62が固定された支持アーム631とを有する。本体移動機構63は、エアシリンダの駆動により、軸方向に平行な揺動軸K1を中心として支持アーム631を揺動する。これにより、切断部本体62が、2本の溶接トーチ311の先端に近接した切断位置(図15中に実線にて示す切断部本体62の位置)と、当該先端から離れた退避位置(図15中に二点鎖線にて示す切断部本体62の位置)とに選択的に配置される。
切断部本体62は、エアニッパ621と、ニッパ揺動部626とを備える。エアニッパ621は、2つの刃部622を有し、エアシリンダ(図示省略)の駆動により2つの刃部622が接触した状態と、2つの刃部622が離隔した状態とが選択的に形成される。ニッパ揺動部626は、支持アーム631の端部に固定され、エアニッパ621は、軸方向に突出するようにニッパ揺動部626に取り付けられる。図15中に実線にて示すように、切断部本体62が切断位置に配置された状態では、エアニッパ621の2つの刃部622は、2本の溶接トーチ311の下方に配置される。ニッパ揺動部626は、エアシリンダ(図示省略)の駆動により、軸方向に平行な揺動軸K2を中心としてエアニッパ621を揺動する。軸方向に沿って見た場合に、揺動軸K2は、2本の溶接トーチ311の中心軸J2が交わる位置とおよそ重なる。なお、本体移動機構63、エアニッパ621およびニッパ揺動部626の駆動源は、エアシリンダ以外に、モータ等であってもよい。
ワイヤ切断部61による溶接トーチ311のワイヤ312の切断では、例えば、操作者が入力部を介して制御部10に指示することにより、以下の動作が自動的に行われる。まず、切断部本体62が、本体移動機構63により退避位置から切断位置に配置される。切断位置に配置されたエアニッパ621では、図16Aに示すように、2つの刃部622は離隔しており、一方の溶接トーチ311の下方において、その中心軸J2が2つの刃部622の間に位置する。ワイヤ送給部により当該溶接トーチ311のワイヤ312が所定の長さだけ送られ、図16A中に二点鎖線にて示すように、ワイヤ312が2つの刃部622の間に配置される。そして、2つの刃部622を接触させることにより、当該ワイヤ312が切断される。2つの刃部622が離隔した後、ワイヤ送給部によりワイヤ312が僅かに溶接トーチ311内に戻される。
続いて、ニッパ揺動部626がエアニッパ621を揺動することにより、図16Bに示すように、他方の溶接トーチ311の下方において、その中心軸J2が2つの刃部622の間に位置する。ワイヤ送給部により当該溶接トーチ311のワイヤ312が所定の長さだけ送られ、図16B中に二点鎖線にて示すように、ワイヤ312が2つの刃部622の間に配置される。そして、2つの刃部622を接触させることにより、当該ワイヤ312が切断される。2つの刃部622が離隔した後、ワイヤ送給部によりワイヤ312が僅かに溶接トーチ311内に戻される。エアニッパ621が図16Aに示す向きに戻された後、切断部本体62が、退避位置に戻される。これにより、ワイヤ切断部61によるワイヤ312の切断が完了する。
以上のように、溶接装置1では、複数の溶接トーチ311のワイヤ312を順次切断可能なワイヤ切断部61が設けられる。これにより、溶接トーチ311の個数に合わせて複数のワイヤ切断部を設ける場合に比べて、溶接装置1の部品点数を少なくすることができる。また、作業者が円筒胴9の上部まで登ることなく、遠隔操作によりワイヤ312の切断を容易に行うことができる。
次に、スラグ除去ユニット5について説明する。スラグ除去ユニット5は、円筒胴9の回転に並行して、開先溶接により開先91に生成されたスラグを除去する。図17は、スラグ除去ユニット5の構成を示す図である。図1の例では、円筒胴9の下部に対向する位置にスラグ除去ユニット5が配置されるが、図17では、開先91の長手方向(すなわち、円筒胴9の外周面の接線方向)が紙面の横方向におよそ沿うようにスラグ除去ユニット5を図示している。
スラグ除去ユニット5は、第1除去部51と、第2除去部52と、第1支持部53と、第2支持部54と、回動ユニット55と、イジェクタ59とを備える。第1除去部51、第2除去部52およびイジェクタ59は、開先91の長手方向に沿って配列される。溶接位置において溶接ビード92が形成された開先91の各部位は、第1除去部51、第2除去部52およびイジェクタ59を順に通過する。図17では、開先91の各部位の移動方向、すなわち、円筒胴9の回転方向を矢印にて示す。第1除去部51および第2除去部52では、開先91に付着したスラグが円筒胴9から剥離され、イジェクタ59により当該スラグが吸引されて除去される。
第1除去部51は、複数の第1スラグ除去部511を有する。複数の第1スラグ除去部511は、開先91の長手方向におよそ沿う配列方向に一定の間隔にて配列される。第1スラグ除去部511は、例えばチッパであり、開先91に向かって突出する棒状のチゼル512を、圧縮空気を利用して振動させる。チゼル512は、図17の紙面に垂直な軸方向に対して略垂直である。また、チゼル512は、開先91から離れるに従って開先91の移動方向の前側(第2除去部52側)に位置するように、開先91の長手方向に対して傾斜する。チゼル512の端部(先端)は、開先91内に配置される。図17の例では、3つの第1スラグ除去部511が設けられるが、第1スラグ除去部511の個数は、2または4以上であってもよい。後述の第2スラグ除去部521において同様である。
第1支持部53は、第1支持ベース531と、複数の案内部532と、複数の付勢部536とを有する。第1支持ベース531は、複数の案内部532(の後述のスプライン軸533)を支持する。第1支持ベース531の構造の詳細については後述する。各案内部532は、例えばボールスプラインであり、スプライン軸533と、移動体である外筒534とを有する。図17では、1つの案内部532のスプライン軸および外筒のみに符号を付している。スプライン軸533は、チゼル512の長手方向に略平行に延びる。外筒534には、第1スラグ除去部511が固定される。案内部532では、第1スラグ除去部511がスプライン軸533に沿って移動可能に支持される。付勢部536は、スプライン軸533に取り付けられる。付勢部536は、ばね等の弾性部材を有し、外筒534と共に、第1スラグ除去部511を開先91に向けて押し付ける(付勢する)。
第2除去部52は、複数の第2スラグ除去部521を有する。複数の第2スラグ除去部521は、開先91の長手方向におよそ沿う配列方向に一定の間隔にて配列される。第2スラグ除去部521は、例えばニードルスケーラであり、開先91に向かって突出する複数のニードル522を、圧縮空気を利用して往復運動させる。複数のニードル522は、円筒胴9の外周面に対して略垂直であり、ニードル522の端部は、開先91内に配置される。
第2支持部54は、第2支持ベース541と、複数の案内部542と、複数の付勢部546とを有する。第2支持ベース541は、第2スラグ除去部521の配列方向に延びる部材を有する。複数の案内部532(の後述のスプライン軸543)は、第2支持ベース541の当該部材に固定されて支持される。各案内部542は、例えばボールスプラインであり、スプライン軸543と、移動体である外筒544とを有する。図17では、1つの案内部542のスプライン軸および外筒のみに符号を付している。スプライン軸543は、複数のニードル522の長手方向に略平行に延びる。外筒544には、第2スラグ除去部521が固定される。案内部542では、第2スラグ除去部521がスプライン軸543に沿って移動可能に支持される。付勢部546は、スプライン軸543に取り付けられる。付勢部546は、ばね等の弾性部材を有し、外筒544と共に、第2スラグ除去部521を開先91に向けて押し付ける(付勢する)。
図18Aおよび図18Bは、第1支持ベース531および回動ユニット55の構造を説明するための図であり、径方向における外側から径方向に沿って見た第1支持ベース531および回動ユニット55を示す。図18Aおよび図18Bでは、後述の支持本体案内部58の図示を省略している。
図18Aおよび図18Bに示すように、第1支持ベース531は、平行リンク機構であり、2本の長リンク537と、3本の短リンク538とを有する。2本の長リンク537は互いに平行であり、3本の短リンク538も互いに平行である。3本の短リンク538は、長リンク537に沿って配列される。各長リンク537の両端には、2本の短リンク538の端部がジョイントによりそれぞれ接続され、長リンク537の中央には、残りの1本の短リンク538(すなわち、中央の短リンク538)の端部がジョイントにより接続される。
各短リンク538の中央には、案内部532(図17参照)等を介して第1スラグ除去部511が固定される。図18Aおよび図18Bでは、平行斜線を付す矩形により第1スラグ除去部511の位置を示し、チゼル512の根元から端部に向かう向きを、同じ符号512を付す矢印にて示す。複数の第1スラグ除去部511は、開先91の長手方向(回転方向)におよそ沿う配列方向に配列された状態で、第1支持ベース531により支持される。第1支持ベース531の2本の長リンク537は、配列方向に延びる部材である。図18Aおよび図18Bでは、平行斜線を付す円により第2スラグ除去部521の位置も示す。
回動ユニット55は、第1支持ベース回動機構56と、第2支持ベース回動機構57と、支持本体550と、支持本体案内部58(図17参照)とを備える。支持本体550は、開先91の長手方向に沿う方向に延びる部材である。支持本体550には、第1支持ベース531の中央の短リンク538が固定される。図18Aおよび図18Bに示すように径方向に沿って回動ユニット55を見た場合、中央の短リンク538は、支持本体550の長手方向とおよそ直交する。また、支持本体550は、径方向に略平行な回動軸K4を中心として第2支持ベース541を回転可能に支持する。図18Aおよび図18Bに示す回動ユニット55では、径方向に沿って見た場合に、回動軸K4が、中央の第2スラグ除去部521とおよそ重なる。
第1支持ベース回動機構56は、エアシリンダ561を有する。エアシリンダ561の本体は、支持本体550に支持される。エアシリンダ561のピストンロッドの先端は、第1支持ベース531の1本の長リンク537に接続される。エアシリンダ561がピストンロッドを引き込んだ状態では、図18Aに示すように、複数の第1スラグ除去部511の配列方向が、支持本体550の長手方向に略平行である。また、3本の短リンク538は、当該長手方向に対しておよそ直交し、チゼル512の向き(矢印512参照)は当該長手方向に略平行である。エアシリンダ561がピストンロッドを押し出すことにより、図18Bに示すように、複数の第1スラグ除去部511の配列方向が、支持本体550の長手方向に対して傾斜する。このとき、3本の短リンク538が当該長手方向に対しておよそ直交した状態が維持される。すなわち、チゼル512の向きが当該長手方向に略平行な状態が維持される。
第2支持ベース回動機構57は、エアシリンダ571を有する。エアシリンダ571の本体は、支持本体550に支持される。エアシリンダ571のピストンロッドの先端は、第2支持ベース541に接続される。エアシリンダ571がピストンロッドを引き込んだ状態では、図18Aに示すように、複数の第2スラグ除去部521の配列方向が、支持本体550の長手方向に略平行である。エアシリンダ571がピストンロッドを押し出すことにより、図18Bに示すように、複数の第2スラグ除去部521の配列方向が、支持本体550の長手方向に対して傾斜する。
図19Aおよび図19Bは、支持本体案内部58の構造を説明するための図であり、径方向における外側から径方向に沿って見た支持本体案内部58および支持本体550を示す。図19Aおよび図19Bでは、第1除去部51および第2除去部52を破線の矩形にて模式的に示し、第1支持部53および第2支持部54の図示を省略している。また、軸方向において開先91が配置されるべき基準位置を符号N1を付す一点鎖線にて示す。後述の図21Aおよび図21Bについても同様である。
支持本体案内部58は、リニアガイド581と、支持ピン586とを有する。リニアガイド581は、レール582と、ブロック583とを有する。レール582は、軸方向に延びており、図示省略の支持台に固定される。ブロック583は、レール582に沿って移動可能である。また、ブロック583は、支持ピン586を介して支持本体550に接続され、支持本体550は、ブロック583に対して回転可能に支持される。このように、支持本体550は、軸方向に移動可能であり、かつ、ブロック583に対して回転可能である。図19Bに示すように、径方向に沿って見た開先91が蛇行する部分を有する場合や、軸方向における開先91の位置が基準位置N1からずれている場合でも、上記構造を有する支持本体案内部58では、支持本体550の長手方向を開先91に沿わせることが可能である。
図20Aおよび図20Bは、開先91の長手方向に沿って見た複数の第2スラグ除去部521を示す図である。既述のように、第2スラグ除去部521は、付勢部546(図17参照)により開先91に向けて押し付けられる。また、第2支持ベース回動機構57のエアシリンダ571がピストンロッドを押し出すことにより、第2支持ベース541、すなわち、複数の第2スラグ除去部521の配列方向が、支持本体550の長手方向に対して傾斜する(図18B参照)。
このとき、複数の第2スラグ除去部521のうち両端に位置する2つの第2スラグ除去部521の端部(すなわち、ニードル522の端部)が、開先91の両側面に対して接触することにより、当該配列方向の傾斜が制限される。詳細には、エアシリンダ571がピストンロッドを押し出して、当該2つの第2スラグ除去部521のうち一方の第2スラグ除去部521が開先91の一方の側面に接触すると、支持本体550が軸方向に移動しつつ第2支持ベース541がさらに傾斜し、他方の第2スラグ除去部521が開先91の他方の側面に接触する。これにより、図20Aに示すように、任意の幅の開先91において、底面側の2つの角部(隅部)近傍に、当該2つの第2スラグ除去部521の端部が配置される。また、中央の第2スラグ除去部521の端部は、開先91の両側面間の略中央に配置される。図19Aでは、矢印Fにより第2スラグ除去部521の端部が開先91の側面に対して略垂直に当たることを示している(図19Bにおいて同様)。
実際の開先溶接では、図20Bに示すように、開先91内に溶接ビード92が存在しており、最外に位置する溶接ビード92の表面(すなわち、開先91の底面)における開先91の幅は、溶接ビード92の形成の繰り返しにより変化する。この場合でも、スラグ除去ユニット5では、開先91の底面と両側面とが交わる位置近傍に、両端に位置する2つの第2スラグ除去部521の端部が自動的に配置される。また、中央の第2スラグ除去部521の端部は、開先91の両側面間の略中央に配置される。図19Bのように、径方向に沿って見た開先91が蛇行する部分を有する場合等でも、支持本体550の長手方向が開先91に沿うため、第2スラグ除去部521の端部が開先91の側面に対して略垂直に当たる(矢印F参照)。
以上のように、第2支持ベース回動機構57では、エアシリンダ571によるピストンロッドの押出動作により、複数の第2スラグ除去部521のうち両端に位置する2つの第2スラグ除去部521の端部を開先91の両側面に接触させることが可能である。これにより、スラグが除去しにくい開先91の底面側の角部近傍についても、第2スラグ除去部521によりスラグを適切に除去することができる。なお、第2支持ベース回動機構57は、第2スラグ除去部521の端部を開先91の側面に押し付ける押付機構ともいえる(第1支持ベース回動機構56について同様)。
第1支持ベース回動機構56についても、第2支持ベース回動機構57と同様に、エアシリンダ561によるピストンロッドの押出動作により、複数の第1スラグ除去部511のうち両端に位置する2つの第1スラグ除去部511の端部を開先91の両側面に略垂直に接触させることが可能である。これにより、開先91の底面側の角部近傍についても、第1スラグ除去部511によりスラグを適切に除去することができる。既述のように、平行リンク機構である第1支持ベース531では、複数の第1スラグ除去部511の配列方向を、支持本体550の長手方向に対して傾斜させても、チゼル512の向きが当該長手方向に略平行な状態が維持される。したがって、チゼル512の振動によるスラグの除去を効率よく行うことが可能となる。
以上に説明したように、スラグ除去ユニット5は、開先91の長手方向におよそ沿う配列方向に配列され、端部が開先91内に配置される複数のスラグ除去部511,521と、配列方向に延びる部材を有し、複数のスラグ除去部511,521を支持する支持部53,54と、支持部53,54が軸方向に移動可能な状態で、開先91の長手方向に対する上記配列方向の傾斜角を変更することにより、複数のスラグ除去部511,521のうち両端に位置する2つのスラグ除去部の端部を開先91の両側面に接触させる回動機構56,57とを備える。これにより、開先91内の角部近傍までスラグを適切に除去することが可能となる。
図21Aおよび図21Bは、支持本体案内部の他の例を示す図である。図21Aおよび図21Bに示す支持本体案内部58aは、支持アーム585と、支持ピン586とを有する。支持アーム585の一端は、支持台589により回転可能(揺動可能)に支持される。支持アーム585の他端は、支持ピン586を介して支持本体550に接続される。支持本体550は、支持アーム585の当該他端に対して回転可能である。上記構造を有する支持本体案内部58aでは、図21Bに示すように、径方向に沿って見た開先91が蛇行する部分を有する場合等でも、支持本体550の長手方向を開先91に沿わせることが可能である。その結果、支持本体案内部58aを有するスラグ除去ユニット5では、図19Aおよび図19Bの支持本体案内部58を有するスラグ除去ユニット5と同様に、第1除去部51および第2除去部52において、スラグ除去部511,521の端部を開先91の両側面に接触させ、開先91内の角部近傍までスラグを適切に除去することが可能となる。
上記溶接装置1および溶接方法では様々な変形が可能である。
上記実施の形態では、開先91を挟んで基準磁石96と補正磁石97とを反対側に配置する(すなわち、異なる円筒胴9の外周面に配置する)ことにより、検出部42により測定される断面形状において基準磁石96と補正磁石97とを容易に区別することが可能であるが、基準磁石96および補正磁石97は、同一の円筒胴9上に配置することも可能である。この場合、基準磁石96の外径や高さを補正磁石97と相違させることが好ましい。以上のように、被検出部は、2つの円筒胴9のうち少なくとも一方の円筒胴9の外周面に設けられていればよい。
制御部10による制御の内容によっては、基準磁石96および補正磁石97の一方のみが用いられてもよい。
基準磁石96および補正磁石97の中心を精度よく特定するという観点では、基準磁石96および補正磁石97が、円柱形状以外に楕円柱形状等であってもよい。一方、基準磁石96および補正磁石97を用いた処理に求められる精度によっては、図6Bのように、基準磁石96および補正磁石97が角柱形状等であってもよい。
検出部42において、被検出部の検出と、開先91の断面形状の測定とが個別の測定機により行われてもよい。この場合に、非接触式の形状測定機以外の測定機が、被検出部の検出に用いられてもよい。例えば、円筒胴9の外周面を撮像するカメラにより、被検出部を検出することも可能である。
溶接装置1では、3つ以上の円筒胴9が軸方向に並べられてもよい。この場合、各開先91に対してトーチ部31、検出部42、溶接位置移動部41等が個別に設けられ、当該3つ以上の円筒胴9に対する開先溶接が並行して行われる。また、1つの開先91の近傍にのみ基準磁石96および補正磁石97を設け、他の開先91の処理において、当該基準磁石96および補正磁石97の検出結果が利用されてよい。
スラグ除去ユニット5において、第1除去部51および第2除去部52の一方のみが用いられてもよい。
上述の倣い制御および適応制御は、円筒胴9を作製する際に、丸められた板状部材の端部同士を溶接する長手溶接等にて利用されてもよい。ワイヤ切断部61およびスラグ除去ユニット5についても同様である。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 溶接装置
2 回転機構
5 スラグ除去ユニット
9 円筒胴
10 制御部
31 トーチ部
41 溶接位置移動部
42 検出部
53,54 支持部
56,57 支持ベース回動機構
61 ワイヤ切断部
91 開先
92 溶接ビード
96 基準磁石
97,97a,97b 補正磁石
311 溶接トーチ
511,521 スラグ除去部
J1 (円筒胴の)中心軸
P31 パス移行位置
S11~S16,S21~S26 ステップ

Claims (12)

  1. 溶接装置であって、
    中心軸を中心とする2つの円筒胴が前記中心軸に平行な軸方向に並べられ、前記2つの円筒胴の突合せ部に開先が形成されており、前記2つの円筒胴を一体的に回転する回転機構と、
    前記2つの円筒胴の回転に並行しつつ、前記中心軸を中心とする周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、前記開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成するトーチ部と、
    前記トーチ部による前記溶接ビードの形成位置を前記軸方向に移動する溶接位置移動部と、
    前記2つの円筒胴の回転において、前記溶接位置に到達する直前の前記周方向の位置を測定位置として、前記2つの円筒胴のうち少なくとも一方の円筒胴の外周面に設けられた被検出部を、前記測定位置において検出する検出部と、
    前記検出部による前記被検出部の検出に基づいて、前記溶接位置移動部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする溶接装置。
  2. 請求項1に記載の溶接装置であって、
    前記少なくとも一方の円筒胴の前記外周面において、複数の被検出部が前記周方向に配列されることを特徴とする溶接装置。
  3. 請求項1に記載の溶接装置であって、
    前記溶接ビードを繰り返し形成する際に、前記開先に対する前記溶接ビードの前記軸方向の相対位置を変更すべき前記開先の前記周方向の位置がパス移行位置として設定されており、
    前記制御部が、前記検出部による前記被検出部の検出に基づいて、前記パス移行位置が前記溶接位置を通過するタイミングを特定することを特徴とする溶接装置。
  4. 請求項1に記載の溶接装置であって、
    前記被検出部が、前記少なくとも一方の円筒胴の前記外周面に対して磁力により固定されることを特徴とする溶接装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の溶接装置であって、
    前記検出部が、前記測定位置において前記開先の断面形状を測定する非接触式の形状測定機であり、前記測定位置に到達した前記被検出部の断面形状も検出することを特徴とする溶接装置。
  6. 請求項5に記載の溶接装置であって、
    前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を、前記開先の前記各部位の近傍に位置する複数の部位に対して前記検出部により測定される複数の断面形状を用いて決定することを特徴とする溶接装置。
  7. 請求項5に記載の溶接装置であって、
    前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を、前記各部位に対して前記検出部により直前に測定される断面形状に基づいて決定し、
    前記直前に測定される前記断面形状にて前記開先が不明確となった特定状態において、前記制御部が、前記開先の前記各部位に対する前回の前記溶接ビードの形成に用いた前記断面形状に基づいて、前記各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を決定することを特徴とする溶接装置。
  8. 請求項7に記載の溶接装置であって、
    前記特定状態において、前記制御部が、前記検出部により測定される前記被検出部の断面形状に基づいて、前記測定位置における前記開先の前記軸方向の位置を取得し、前記開先の前記各部位に対して前記溶接ビードを形成すべき前記軸方向の位置を決定することを特徴とする溶接装置。
  9. 請求項5に記載の溶接装置であって、
    形成される前記溶接ビードの表面の深さが前記開先の前記全周に亘って一定となるように、前記制御部が、前記溶接位置を通過する前記開先の各部位に対する溶接入熱条件を、前記開先の前記全周に対して取得される開先深さを用いて決定することを特徴とする溶接装置。
  10. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の溶接装置であって、
    前記開先溶接により生成されたスラグを除去するスラグ除去ユニットをさらに備え、
    前記スラグ除去ユニットが、
    前記開先の長手方向におよそ沿う配列方向に配列され、端部が前記開先内に配置される複数のスラグ除去部と、
    前記配列方向に延びる部材を有し、前記複数のスラグ除去部を支持する支持部と、
    前記支持部が前記軸方向に移動可能な状態で、前記開先の前記長手方向に対する前記配列方向の傾斜角を変更することにより、前記複数のスラグ除去部のうち両端に位置する2つのスラグ除去部の端部を前記開先の両側面に接触させる回動機構と、
    を備えることを特徴とする溶接装置。
  11. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の溶接装置であって、
    前記トーチ部が、サブマージアーク溶接用の複数の溶接トーチを有し、
    前記複数の溶接トーチが、互いに隣接して配置され、
    前記溶接装置が、
    前記複数の溶接トーチのワイヤを順次切断可能なワイヤ切断部をさらに備えることを特徴とする溶接装置。
  12. 溶接方法であって、
    a)中心軸を中心とする2つの円筒胴が前記中心軸に平行な軸方向に並べられ、前記2つの円筒胴の突合せ部に開先が形成されており、前記2つの円筒胴を一体的に回転する工程と、
    b)前記a)工程に並行して、前記中心軸を中心とする周方向における所定の溶接位置において開先溶接を連続的に行うことにより、前記開先の全周に対して溶接ビードを繰り返し形成する工程と、
    c)前記2つの円筒胴の回転において、前記溶接位置に到達する直前の前記周方向の位置を測定位置として、前記2つの円筒胴のうち少なくとも一方の円筒胴の外周面に設けられた被検出部を、前記測定位置において前記a)工程に並行して検出する工程と、
    d)前記被検出部の検出に基づいて、前記溶接ビードの形成位置を前記軸方向に移動する工程と、
    を備えることを特徴とする溶接方法。
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