JP5900218B2 - ポリウレタンフォームに含まれるトルエンの低減方法 - Google Patents
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Description
このような種々の検討を重ねたうえで、本発明者は以下の発明を完成させるに至った。
前記加熱ポリウレタンフォームを耐圧容器内に収容し、1kPa以上30kPa以下まで2〜5回に分割して段階的に減圧して、前記加熱ポリウレタンフォーム内に含有されるトルエンを揮発させる揮発工程と、を備えることを要旨とする。
更に、連泡性のポリウレタンフォームが、シリコーン系整泡剤を用いて得られる場合は、とりわけ効果的にトルエンを低減できる。
また、本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、加熱工程と揮発工程とを備えることを要旨とするものである。
連泡性のポリウレタンフォームは、どのようにして得られたものであってもよい。例えば、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物等を含む組成物が、樹脂化とともに発泡されて、独泡性のポリウレタンフォームが形成された後、破泡処理を経て得られた連泡性のポリウレタンフォームであってもよい。また、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物等を含む組成物が、発泡によって膨張しつつ、同時に破泡を生じながら樹脂化されることで得られた連泡性のポリウレタンフォームであってもよい。
尚、本発明では、連続気泡率(ASTMD2856−70に準拠)が50%以上であるポリウレタンフォームを連泡性ポリウレタンフォームというものとする。
また、加熱手段も特に限定されず、熱風をあてて加熱する手段(熱風加熱手段)を用いてもよく、赤外線照射により加熱する手段(赤外線加熱手段)を用いてもよく、更に、その他の様々な加熱手段を用いることができる。これらの加熱手段は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、上記加熱温度は、測定対象であるポリウレタンフォームの内部の中心まで熱電対を差し込んで測定(熱電対温度計を利用して測定)される温度であるとする。
即ち、加熱ポリウレタンフォーム内に含まれたトルエンを含むVOCは、減圧環境で沸点が降下される。この降下された沸点が、加熱ポリウレタンフォームの温度を下回ることで、当該成分が揮発される。このため、通常、上記加熱工程は、揮発工程において減圧によって降下されるトルエンの沸点よりも、高い温度にポリウレタンフォームを加熱する工程である。逆に、揮発工程は、加熱工程において加熱されたポリウレタンフォームの温度よりも、トルエンの沸点が低い温度となるように減圧して、トルエンの沸点を降下させる工程である。
このようなことから、通常、加熱工程では、前述のように、加熱ポリウレタンフォームは70℃以上に加熱されていることが好ましく、更に、揮発工程では、30kPa以下に減圧される。この減圧は、更に、20kPa以下が好ましく、10kPa以下がより好ましく、5kPa以下が更に好ましく、4kPa以下が特に好ましい。尚、どの程度に減圧してもよいが、減圧によるポリウレタンフォームの外観品質の確保及びポリウレタンフォーム内の空気の抜け程度の観点から、減圧下限値は、1kPa以上であり、2kPa以上が好ましく、3kPa以上が好ましい。
このような装置としては、独立気泡を有するポリウレタンフォームを減圧破泡処理することができるクラッシング装置を利用できる。また、所望の値まで1回で減圧を行ってもよいが、徐々に段階的に行うことができ、特に複数回に分割して減圧を行うことが好ましく、本発明では、2〜5回に分割して段階的に減圧する。例えば、100kPaから25kPaまで減圧する場合には、2〜5回に分割して段階的に減圧することが好ましく、2〜4回に分割して段階的に減圧することがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物の配合量は、特に限定されないが、ポリオール化合物全体100質量部に対して、通常、10〜60質量部である。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
変性ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートのカルボジイミド変性化合物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機水銀化合物、有機鉛化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
触媒の配合量は、特に限定されないが、アミン類を用いる場合には、ポリオール化合物全体100質量部に対して、通常、0.01〜2質量部である。有機金属化合物を用いる場合には、ポリオール化合物全体100質量部に対して、通常、0.01〜1質量部である。
発泡剤の配合量は、特に限定されないが、水を用いる場合には、ポリオール化合物全体100質量部に対して、通常、0.5〜7質量部である。
また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等、いずれの界面活性剤も使用することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
整泡剤の配合量は、特に限定されないが、ポリオール化合物全体100質量部に対して、通常、0.001〜5質量部である。
シリコーン系整泡剤は、ポリシロキサン鎖を骨格として有する化合物である。また、ポリエーテル変性された化合物であってもよく、ポリエーテル・ポリシロキサンブロック重合体(ポリシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖のブロック構造)であってもよく、その他の変性及び構造の化合物であってもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、ポリエーテル変性されたシリコーン系整泡剤は、通常、ポリシロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖を有し、主鎖であるポリシロキサン鎖に、ポリオキシアルキレン鎖が変性された構造を有することができる。変性形態は特に限定されず、片末端変性、両末端変性、グラフト変性等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(1)比較例1
トルエン放出が認められる連泡性のポリウレタンフォームを、前述の加熱工程及び揮発工程を経ることなく、そのまま利用して、トルエンの放出量を測定した。
即ち、車両の後部座席用のシートパッド(製品実物大、質量約3500g、体積約0.06m3)を容積1m3の密閉容器に投入した後、容器内の気体を純窒素ガス(水分及び他のガスを含まない)で置換した。その後、密閉容器を40℃(大気圧下)の加熱炉内に2時間放置した。
尚、このポリウレタンフォームには、整泡剤としてシリコーン系整泡剤が利用されている。
比較例1で利用したものと同じ連泡性のポリウレタンフォームを、温度80℃の加熱炉に1時間放置して、温度80℃の加熱ポリウレタンフォームを得た。ついで、減圧クラッシング装置内に、加熱ポリウレタンフォームを投入し、4kPaまで段階的に三回に分割して減圧を行い、揮発性有機化合物の除去・低減を行い、実施例1のポリウレタンフォームを得た。
得られた実施例1のポリウレタンフォームについて、比較例1と同じ方法でトルエンの放出量を測定した。即ち、実施例1のポリウレタンフォームを容積1m3の密閉容器に投入した後、容器内の気体を純窒素ガス(水分及び他のガスを含まない)で置換し、その後、密閉容器を40℃(大気圧下)の加熱炉内に2時間放置した。次いで、JIS A1966に準拠して、2時間放置後の密閉容器内のトルエン濃度を測定した。その結果、トルエン放出量は22.357(μg/個)であった。
比較例1で利用したものと同じ連泡性のポリウレタンフォームを、温度90℃の加熱炉に1時間放置して、温度90℃の加熱ポリウレタンフォームを得た。ついで、減圧クラッシング装置内に、加熱ポリウレタンフォームを投入し、4kPaまで段階的に三回に分割して減圧を行い、揮発性有機化合物の除去・低減を行った。
こうして得られた実施例2のポリウレタンフォームを、比較例1と同じ測定に供し、トルエンの放出量を測定した。その結果、トルエン放出量は21.315(μg/個)であった。
比較例1で利用したものと同じ連泡性のポリウレタンフォームを、温度100℃の加熱炉に1時間放置して、温度100℃の加熱ポリウレタンフォームを得た。ついで、減圧クラッシング装置内に、加熱ポリウレタンフォームを投入し、4kPaまで段階的に三回に分割して減圧を行い、揮発性有機化合物の除去・低減を行った。
こうして得られた実施例3のポリウレタンフォームを、比較例1と同じ測定に供し、トルエンの放出量を測定した。その結果、トルエンの放出量は17.864(μg/個)であった。
上記(1)〜(4)の結果を図1にグラフとして示した。この結果から、本発明のポリウレタンフォームの揮発性有機化合物の低減方法を施さなかった比較例1のポリウレタンフォームに対して、この低減方法を施した実施例1〜3のポリウレタンフォームでは、極めて効果的にトルエンの放出量が低減されたことが分かる。即ち、比較例1に対して実施例1〜3のトルエン放出量は37.2〜46.6%と半分以下にまで低減された。
また、キシレンは、比較例1において47.094(μg/個)であったのに対して、実施例1〜3では12.676〜16.237(μg/個)にまで著しく低減された。即ち、キシレン放出量は26.9〜34.5%と半分以下にまで低減された。
更に、スチレンは、比較例1において27.000(μg/個)であったのに対して、実施例1〜3では4.138〜6.393(μg/個)にまで著しく低減された。即ち、スチレン放出量は15.3〜23.7%と四分の1以下にまで低減された。
以上から、本発明のポリウレタンフォームの揮発性有機化合物の低減方法及びポリウレタンフォームの製造方法は、揮発性有機化合物としては沸点が高い化合物であっても、更には、極性に乏しく化学的な捕捉が困難な安定した化合物に対しても極めて効果的に作用されることが分かる。
Claims (4)
- 連泡性のポリウレタンフォームを70℃以上130℃以下に加熱して、加熱ポリウレタンフォームとする加熱工程と、
前記加熱ポリウレタンフォームを耐圧容器内に収容し、1kPa以上30kPa以下まで2〜5回に分割して段階的に減圧して、前記加熱ポリウレタンフォーム内に含有されるトルエンを揮発させる揮発工程と、を備えることを特徴とするポリウレタンフォームに含まれるトルエンの低減方法。 - 前記耐圧容器が、減圧破泡処理を行うことができるクラッシング装置である請求項1に記載のポリウレタンフォームに含まれるトルエンの低減方法。
- 前記揮発工程後のポリウレタンフォームに含まれるトルエンが、前記揮発工程後のポリウレタンフォーム全体に対して1.37×10 −6 質量%未満である請求項1又は2に記載のポリウレタンフォームに含まれるトルエンの低減方法。
- 前記連泡性のポリウレタンフォームは、シリコーン系整泡剤を用いて得られる請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のポリウレタンフォームに含まれるトルエンの低減方法。
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