JP5899638B2 - 反射防止フィルム製造用金型の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような複数層を用いる技術においても幾つかの問題点があった。まず第1に、反射防止効果に優れた複数層を形成するには、通常、真空蒸着法等を用いて成膜する必要があるため、表示装置を製造するに際して真空設備を備えることが必要となってしまうという問題点があった。また、真空蒸着法では、成膜時間も長時間になるのが一般的であったことから、製造効率の問題も指摘されていた。特に、周囲光が非常に強い環境で使用されるディスプレイに対しては、一層高い反射防止性能が要請されるため、複数層を構成する層数を増加させる必要があることから、製造コストが著しく高くなってしまうという問題点があった。
第2に、技術的観点からしても、複数層による反射防止技術は、光の干渉現象を利用するものであるため、反射防止効果が光の入射角や波長に大きく影響してしまい、望み通りの反射防止効果を得ることが困難であるという問題点があった。
なお、上記モスアイ構造に用いられる微細凹凸パターンとしては、円錐形や四角錐形などの錐形体が一般的である。
本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法について説明する。
ここで、本発明の製造方法により得られる反射防止フィルム製造用金型は、表面に複数の微細孔が形成されているものであり、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成された、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造を有する反射防止フィルムを製造するために用いられるものである。
また、上記反射防止フィルム製造用金型自体の形状を評価する方法としては、上記反射防止フィルム製造用金型を破壊することによって評価する方法が取られていたことから、評価後の反射防止フィルム製造用金型を用いることができないといった問題があった。
図1に示すように、実際に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を70.9%〜78.2%の範囲内とすることにより、反射防止フィルムの反射率を0.2%以下とすることができることが、後述する実施例においても示されている。
なお、図1は反射防止フィルム製造用金型の正反射率および反射防止フィルムの反射率の関係を示すグラフである。
上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率は、その表面に形成される微細孔の形状に大きく影響されるものである。
例えば、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が78.2%を超える理由としては、上記微細孔の形状が錐形体とならず、反射防止フィルムの反射率の低下に寄与しない円柱形等の傾斜を有さない形状となっている可能性が考えられる。また、上記微細孔の平均孔深さが浅いことから、上記正反射率が高くなっている可能性が考えられる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて反射防止フィルムを製造した場合は、所望の反射防止機能を発揮することが可能な微細凹凸形状を反射防止フィルムに賦型することが困難になるものと考えられる。
また、例えば、上記反射防止フィルム製造用金型の正反射率が70.9%に満たない理由としては、上記微細孔の平均孔深さが深くなりすぎ、微細凹凸形状が細長く、アスペクト比の高い形状となっている可能性が考えられる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて反射防止フィルムを製造した場合は、反射防止フィルムに賦型された微細凹凸形状を容易に離型することができなくなり、安定的な製造が困難になるものと考えられる。よってこの場合は、所望の微細凹凸形状を有する反射防止フィルム自体を形成することが困難になるものと考えられる。
まず、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法の第1態様について説明する。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、上記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする製造方法である。
以下、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における各工程について説明する。
本工程は、表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する工程である。
まず、本工程に用いられる金属基体について説明する。
本工程に用いられる金属基体としては、表面がアルミニウムからなるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本工程に用いられる金属基体としては、アルミニウム単体からなるものであってもよく、あるいは任意の基材上にアルミニウムからなる層が最表層となるように形成された構成を有するものであってもよい。
しかしながら、後述する検査工程においては、上記反射防止フィルム製造用金型を破壊することなく測定可能な正反射率を用いて評価するものであることから、後述する検査工程において正反射率が検査基準を満たすものについては、測定を行った反射防止フィルム製造用金型をそのまま完成品とすることができる。一方、後述する検査工程において正反射率が検査基準を満たさないものについては、微細孔の平均孔深さ等を、再度、本工程を行うことにより調整することによって、上記反射防止フィルム製造用金型の正反射率が検査基準を満たすように調整することが可能となる。
このようなことから、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、特にロール状の金属基体を用いる場合に効果を奏するということができる。
本発明においては、なかでもアルミニウムスパッタ−ガラス板であることが好ましい。アルミニウムスパッタ−ガラス板は、上記圧延されたアルミニウム板や、鏡面処理が施されたアルミニウム板に比べて正反射率が高く、かつ正反射率を除いた分光反射率(SCE)が低いことから、その表面が上述した上記圧延されたアルミニウム板や、鏡面処理が施されたアルミニウム板に比べて良好な平滑性を示すものである。よって、アルミニウムスパッタ−ガラス板は良好な平滑性を有することから、表面に形成される微細孔についても所望の形状に精度よく形成することが可能となり、上述した数値範囲の反射率を示す反射防止フィルム製造用金型を好適に形成することが可能となる。さらに、上記反射防止フィルム製造用金型を用いることにより、反射率の低い優れた反射防止機能を有する反射防止フィルムを得ることが可能となる。
次に、本工程に用いられる陽極酸化法について説明する。本工程に用いられる陽極酸化法としては、上記金属基体の表面に所望の形状を有する微細孔を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、陽極酸化によって上記金属基体の表面に微細孔を有するアルミナ膜を形成するポーラスアルミナ膜形成工程と、上記アルミナ膜をエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大するエッチング工程とを、順次繰り返し実施する方法が用いられることが好ましい。いわゆるモスアイ構造を有する反射防止フィルムにおいては、表面に円錐や四角錐等の錐形の微細構造物が形成されていることが望ましいものであるところ、上記の方法によれば、このような錐形の微細構造物を形成可能なテーパー形状の微細孔を形成することが容易になるからである。
一方、上記酸性エッチング法は、化学研磨を行う場合の艶出しエッチングとして、リン酸−硫酸(75wt%:25wt%)系の浴を105℃〜110℃に加温し、アルミニウム材を2分間〜10分間浸漬し、表層をエッチングする方法である。
上記エッチング工程においてはこれらのいずれの方法であっても用いることができるが、アルカリエッチング法は、光沢や表面粗度等が大きく、エッチング面を一定の状態に維持することが難しく、遊離アルカリ濃度や浴中の溶存アルミニウム成分を常に一定範囲に管理することなどが要求されるため、酸性エッチング法が用いられることが好ましい。
なお、上記周期はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合は、単位面積あたりに形成された微細孔の平均周期を指すものとする。
なお、上記間隔はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合における上記間隔は、単位面積あたりに形成された微細孔間の平均距離を指すものとする。
本工程は、上記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する工程である。また、本工程において、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内である。
このような方法の具体例としては、例えば、JIS Z 8722に記載された方法を挙げることができる。
また、上記検査基準を満たさないもののうち、例えば、上記正反射率が78.2%を超えるものについては、上記金属基体に形成された微細孔の孔深さが浅い等の陽極酸化工程での加工の不足が原因として考えられることから、再度上述した陽極酸化工程を行い、上記陽極工程後に再度本工程を行って上記検査基準を満たすものについては製品とすることができる。
また、上記検査基準を満たさないもののうち、例えば、上記正反射率が70.9%に満たないものについては、上記微細孔の孔深さが深くなりすぎる等の陽極酸化工程での加工の過剰が原因として考えられることから、後述する再生工程により上記金属基体表面を平坦なものにした後、再度陽極酸化工程および検査工程を行い、上記検査基準を満たすものについて製品とすることが可能となる。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、上記陽極酸化工程、および検査工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜選択して用いることができる。このような工程としては、例えば後述する「2.第2態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明する条件決定工程を挙げることができる。
また、上記以外の工程としては、例えば、再生工程や離型層形成工程等を挙げることができる。以下、各工程について説明する。
本工程は、上記陽極酸化工程における加工の過剰により、反射防止フィルム製造用金型の正反射率が、70.9%〜78.2%の範囲内から外れるものに対して、上記金属基体表面を平坦化する工程である。
本工程は、反射防止フィルム製造用金型の微細孔側表面に離型剤を塗布することにより離型層を形成する工程である。
なお、本工程に用いられる離型剤および離型層の形成方法としては、公知の離型剤、および形成方法を用いることができる。
次に、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法の第2態様について説明する。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成した際に、上記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、上記陽極酸化法の条件を決定する条件決定工程と、上記条件決定工程で得られた条件下で上記陽極酸化法を行うことにより、上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
以下、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における各工程についてそれぞれ説明する。
本工程は、表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成した際に、上記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、上記陽極酸化法の条件を決定する工程である。
まず、上記評価用金属基体を用い、所定の条件で陽極酸化法を行うことにより、上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔が形成され、評価用反射防止フィルム製造用金型が形成される。
次に、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率の測定が行われる。このとき、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となっている場合は、上記評価用反射防止フィルム製造用金型を形成する際に用いた陽極酸化法の条件を、後述する陽極酸化工程における陽極酸化法の条件とすることができる。
上記のような方法においては、陽極酸化法においてエッチング方法、工程にかかる時間、金属基体の種類等の様々な条件が変化した場合においても、最適な陽極酸化法の条件を容易に決定することが可能となる。
本工程は、上記条件決定工程で得られた条件下で上記陽極酸化法を行うことにより、上記金属基体の表面に複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する工程である。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、上記条件決定工程、および陽極酸化工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。このような工程としては、例えば、検査工程を挙げることができる。以下、検査工程について説明する。
本工程は、上記陽極酸化工程において形成された反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定することにより、上記正反射率が検査基準を満たすものであるか検査する工程である。本工程については、「1.第1態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
さらに、本態様においては、上記正反射率が上記検査基準を満たさない場合には、再度条件決定工程を行うことにより、上記陽極酸化工程に用いられる陽極酸化法の条件を決定し直すことも可能である。
本態様に用いられる上記以外の工程については、上述した「1.第1態様の反射防止フィルムの製造方法」の項で説明した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の反射防止フィルム製造用金型について説明する。
本発明の反射防止フィルム製造用金型は、上述した「A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明した反射防止フィルム製造用金型の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするものである。
次に、本発明の反射防止フィルムの製造方法について説明する。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法であって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する金型検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする製造方法である。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法に用いられる各工程についてそれぞれ説明する。
本工程は、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する工程である。
本工程は、上記賦型工程後に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する工程である。また、上記検査基準が、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする工程である。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、上記賦型工程および金型検査工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。
本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムは、上記硬化性樹脂組成物からなるものであり、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成されているものである。
なお、反射防止フィルムの反射率としては、例えば、島津製作所製、自記分光光度計UV−3100を用い、反射防止フィルム裏面に黒色テープを貼り付け、反射防止フィルム表面へ5度入射絶対反射率を測定することにより求めることができる。
ここで、上記微細凹凸の周期は、上記反射防止フィルムの反射率の波長依存性に影響を及ぼすものであり、その周期が長くなるほど可視光領域の短波長側の光に対する反射率が増加する傾向にあるものである。一方、周期が200nm以下においては、周期の変動に伴う反射率の波長依存性の変化は少なくなるものである。このようなことから、上記微細凹凸の周期は、70nm〜130nmの範囲内であることが好ましく、90nm〜110nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記周期はすべての微細凹凸において均一ではない場合があるが、その場合は、単位面積あたりに形成された微細凹凸の平均周期を指すものとする。
なお、上記間隔はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合における上記間隔は、単位面積あたりに形成された微細凹凸の平均距離を指すものとする。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
得られた反射防止フィルム製造用金型表面に紫外線硬化樹脂層塗布液を一定量塗布し、その上に厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、フジタック「T80SZ」)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をローラー(フジプラ製、ラミパッカー「LPA3301」)で圧着し、金型全体に均一な紫外線硬化樹脂組成物が塗布されたことを確認して、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化樹脂組成物を光硬化させた。その後、フィルムと金型とを剥離して反射防止フィルムを得た。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で7分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で3分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ180秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で200秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ164秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ54秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で12分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ80秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計1回追加実施した。さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で200秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ164秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ54秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で146秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ94秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で74秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ46秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で7分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ20秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で3分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で366秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ234秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ100秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを形成したところ、反射防止フィルムと反射防止フィルム製造用金型とを剥離する工程において、剥離困難な部分があり、反射防止フィルムの一部が破断した。なお、後述する反射防止フィルムの反射率の測定においては、一部の剥離できた反射防止フィルムを用いて行った。
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で182秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ150秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ50秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例5]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で144秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ118秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で110秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ70秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ30秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
上記実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた反射防止フィルム製造用金型の正反射率、および反射防止フィルムの反射率を以下の方法により測定した。結果を表1、表2、および図1に示す。なお、図1において比較例3の値については省略して示している。
JIS Z 8722に記載された方法に準拠し、コニカミノルタセンシング製、分光測色計CM−2600dを用い測定した。測定には金型表面の法線に対して、8°の角度から測定光を入射することによって、金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)から、金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くことによって、正反射率を得た。
島津製作所製、自記分光光度計UV−3100を用い、フィルム裏面に黒色テープを貼り付け、フィルム表面へ5度入射絶対反射率を測定した。
一方、比較例1〜6では、我々が実用上の目安にしている低い反射率を示す反射防止フィルムであるが、安定した生産の妨げとなる反射防止フィルム製造用金型や、安定した生産を可能にする反射防止フィルム製造用金型であるが、我々が実用上の目安にしている数値を満足しない反射防止フィルムであった。
上述した実施の形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、実施の形態では表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板を用いて、陽極酸化工程を行っているが、これには限定されない。例えば、ロール状の金属表面にアルミニウムをスパッタさせたロール体を用いて、陽極酸化を行ってもよい。また、実施の形態では陽極酸化の処理時間を変更して、金型表面の正反射率を評価する場合について適用している。しかし、陽極酸化の処理時間以外の条件変更により、金型表面の正反射率が変化したものに対しても、本発明の評価方法を適用することができる。例えば、ポーラスアルミナ膜形成工程の電解液濃度、化成電圧、処理温度やエッチング工程の電解液濃度、化成電圧、処理時間、処理温度の評価にも、本発明を適用することができる。
1’ … アルミナ膜
2 … 光透過性基板
3 … 硬化性樹脂組成物
10 … 反射防止フィルム製造用金型
20 … 反射防止フィルム
A … 微細孔
Claims (5)
- 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、
表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって前記金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、
前記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、前記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する検査工程とを有し、
前記検査基準は、前記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であり、
前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法。 - 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、
表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって前記評価用金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、
測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成した際に、前記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、前記陽極酸化法の条件を決定する条件決定工程と、前記条件決定工程で得られた条件下で前記陽極酸化法を行うことにより、前記金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、を有し、
前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法。 - 前記正反射率の測定方法が、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、前記正反射光を含む分光反射率(SCI)から、前記正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くものであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
- 前記正反射率の測定方法が、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、前記正反射光を含む分光反射率(SCI)から、前記正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くものであることを特徴とする請求項2に記載の反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
- 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法であって、
前記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する賦型工程と、
前記賦型工程後に、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、前記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する金型検査工程と、を有し、
前記検査基準は、前記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であり、
前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
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