JP5899638B2 - 反射防止フィルム製造用金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止機能に優れた反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することができる反射防止フィルム製造用金型の製造方法、上記製造方法により得られた反射防止フィルム製造用金型、および上記反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、フラットパネルディスプレイの需要が増加している。また、最近においては、家庭用の薄型テレビの普及率も高まっており、益々フラットパネルディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに近年普及しているフラットパネルディスプレイは、大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関してはその傾向が強くなってきている。このようなフラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、さらには有機ELディスプレイ等の種々の表示方式のものが採用されており、いずれの方式のディスプレイにおいても映像の表示品質を向上させることを目的とした研究が日々行われている。なかでも、表示品質の向上を目的とした光の反射防止技術の開発は、各方式のディスプレイにおいて共通する重要な技術的課題の一つになっている。
従来、このような反射防止技術としては、例えば、低屈折率の物質からなる薄膜を単層で表面に形成することにより、単一波長の光に対して有効な反射防止効果を得る技術や、低屈折率の物質からなる薄膜と高屈折率の物質からなる薄膜とを交互に形成した複数層を形成することにより、より広い波長範囲の光に対して反射防止効果を得る技術が用いられてきた。なかでも複数層を用いる技術は、その層数を増加させることによって、より広い波長域を有する光に対しても反射防止効果を得ることができる点において有用であったことから、種々の用途において実用化が図られてきた。
しかしながら、このような複数層を用いる技術においても幾つかの問題点があった。まず第1に、反射防止効果に優れた複数層を形成するには、通常、真空蒸着法等を用いて成膜する必要があるため、表示装置を製造するに際して真空設備を備えることが必要となってしまうという問題点があった。また、真空蒸着法では、成膜時間も長時間になるのが一般的であったことから、製造効率の問題も指摘されていた。特に、周囲光が非常に強い環境で使用されるディスプレイに対しては、一層高い反射防止性能が要請されるため、複数層を構成する層数を増加させる必要があることから、製造コストが著しく高くなってしまうという問題点があった。
第2に、技術的観点からしても、複数層による反射防止技術は、光の干渉現象を利用するものであるため、反射防止効果が光の入射角や波長に大きく影響してしまい、望み通りの反射防止効果を得ることが困難であるという問題点があった。
このような問題点に対し、特許文献1〜6には凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成することによって反射防止を図る技術が開示されている。このような方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止するものである。このようなモスアイ構造を用いた反射防止技術は、簡易な方法によって広い波長範囲の光の反射を防止できる点において有用なものであることから、ディスプレイの分野においてもその実用化が検討されている。
なお、上記モスアイ構造に用いられる微細凹凸パターンとしては、円錐形や四角錐形などの錐形体が一般的である。
上記モスアイ構造は、その微細凹凸形状を反転させた形状を有する金型(スタンパあるいは鋳型)を用いて、その微細凹凸を任意の樹脂層に転写することによって製造されるのが一般的である。したがって、モスアイ構造が用いられた反射防止フィルム(以下、単に反射防止フィルムと称する場合がある。)を作製する方法としては、基板上に硬化性樹脂からなる樹脂層を形成した後、上記のような金型を用いて当該樹脂層の表面にモスアイ構造を賦型し、さらに当該樹脂層を硬化させることによって形成する方法を用いることができる。このような製造方法は、簡易な方法で、かつ高い製造効率で反射防止フィルムを連続的に製造することができるという利点があるものである。
しかしながら、上記反射防止フィルムが所望の反射防止機能を有するか否かについては、実際に上記製造方法により得られた反射防止フィルムを測定することにより評価されることから、例えば、上記製造方法に用いられる金型に問題がある場合は、大量の反射防止フィルムに不良を発生させてしまうといった問題があった。
また、上記金型の評価方法については、作製した基板を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning electron microscope)により、金型の微細凹凸形状を観察する方法等を挙げることができる(特許文献7および特許文献8)。しかしながら、このような方法は金型の微細凹凸形状を直接的に評価することができる点において利点を有するものであったが、評価のために金型を損壊しなければならず、仮に評価した結果、金型には問題がなかったとしても、評価対象となった金型をその後も継続して用いることができないという問題点があった。
特表2001−517319号公報 特開2004−205990号公報 特開2004−287238号公報 特開2001−272505号公報 特開2002−286906号公報 国際公開第2006/059686号パンフレット 特開2008−158013号公報 特開2008−176076号公報 特開2010−122599号公報
本発明は、所望の反射防止機能を有する反射防止フィルムを製造可能とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法、上記製造方法により製造された反射防止フィルム製造用金型、および反射防止フィルムの製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、上記反射防止フィルムの反射率は、上記反射防止フィルムを製造する際に用いられる反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率と相関するものであることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
本発明は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、上記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記検査工程を有することにより、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記範囲内であるものを確実に得ることが可能となる。これにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。
本発明は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成した際に、上記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、上記陽極酸化法の条件を決定する条件決定工程と、上記条件決定工程で得られた条件下で上記陽極酸化法を行うことにより、上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、を有することを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記条件決定工程を有することにより、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が好ましい値となるような陽極酸化法の条件で、上記反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。これにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。
本発明においては、上記正反射率の測定方法が、上記反射防止フィルム製造用金型表面または上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、上記反射防止フィルム製造用金型表面または上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、上記正反射光を含む分光反射率(SCI)から、上記正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くものであることが好ましい。これにより、上記正反射率をより高精度で測定することが可能になるからである。
本発明は、上述した反射防止フィルム製造用金型の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする反射防止フィルム製造用金型を提供する。
本発明によれば、上述した反射防止フィルム製造用金型の製造方法を用いて製造されることにより、優れた反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型とすることができる。
本発明は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法であって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する金型検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記金型検査工程で上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記検査基準を満たすものであるか検査することにより、複数回の賦型工程に用いた後の反射防止フィルム製造用金型の微細孔の形状について評価することが可能となる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型表面の微細孔の形状変化を原因とする反射防止フィルムの欠陥の発生を防止することが可能となる。
本発明によれば、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が所定の範囲内となるように上記反射防止フィルム製造用金型を製造することにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを得ることが可能となるといった作用効果を奏する。
反射防止フィルム製造用金型の正反射率および反射防止フィルムの反射率の関係を示すグラフである。 本発明の反射防止フィルム製造用金型の一例を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法に用いられる陽極酸化工程の一例を示す工程図である。 本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法に用いられる陽極酸化工程の他の例を示す工程図である。 本発明の反射防止フィルム製造用金型の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの製造方法により製造される反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法、反射防止フィルム製造用金型、および反射防止フィルムの製造方法について説明する。
A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法
本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法について説明する。
ここで、本発明の製造方法により得られる反射防止フィルム製造用金型は、表面に複数の微細孔が形成されているものであり、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成された、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造を有する反射防止フィルムを製造するために用いられるものである。
従来、上記モスアイ構造を有する反射防止フィルムは、表面に複数の微細孔を有する反射防止フィルム製造用金型を用い、これに硬化性樹脂を流し込んで硬化させる方法や、上記硬化性樹脂を基材上に塗布して塗膜を形成し、上記塗膜に上記反射防止フィルム製造用金型を押し当てて微細凹凸を賦型する方法等により製造されるものである。上記反射防止フィルムにおいては、上記反射防止フィルムが所望の反射率を有するか否かは、実際に製造された反射防止フィルムを測定することによって評価されていたことから、例えば、上記反射防止フィルム製造用金型の形状等に欠陥を有する場合であっても、実際に反射防止フィルムを形成しなければ評価を行うことができず、欠陥品を大量に形成してしまうといった問題があった。
また、上記反射防止フィルム製造用金型自体の形状を評価する方法としては、上記反射防止フィルム製造用金型を破壊することによって評価する方法が取られていたことから、評価後の反射防止フィルム製造用金型を用いることができないといった問題があった。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率と、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて形成された反射防止フィルムの反射率とは相関することを見出した。また、上記反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与することが可能な反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率の値としては70.9%〜78.2%の範囲内であることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
図1に示すように、実際に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を70.9%〜78.2%の範囲内とすることにより、反射防止フィルムの反射率を0.2%以下とすることができることが、後述する実施例においても示されている。
なお、図1は反射防止フィルム製造用金型の正反射率および反射防止フィルムの反射率の関係を示すグラフである。
ここで、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を上記数値範囲内とすることにより、上記反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与することが可能な理由については明らかではないが、次のように考えられる。
上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率は、その表面に形成される微細孔の形状に大きく影響されるものである。
例えば、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が78.2%を超える理由としては、上記微細孔の形状が錐形体とならず、反射防止フィルムの反射率の低下に寄与しない円柱形等の傾斜を有さない形状となっている可能性が考えられる。また、上記微細孔の平均孔深さが浅いことから、上記正反射率が高くなっている可能性が考えられる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて反射防止フィルムを製造した場合は、所望の反射防止機能を発揮することが可能な微細凹凸形状を反射防止フィルムに賦型することが困難になるものと考えられる。
また、例えば、上記反射防止フィルム製造用金型の正反射率が70.9%に満たない理由としては、上記微細孔の平均孔深さが深くなりすぎ、微細凹凸形状が細長く、アスペクト比の高い形状となっている可能性が考えられる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて反射防止フィルムを製造した場合は、反射防止フィルムに賦型された微細凹凸形状を容易に離型することができなくなり、安定的な製造が困難になるものと考えられる。よってこの場合は、所望の微細凹凸形状を有する反射防止フィルム自体を形成することが困難になるものと考えられる。
本発明は、反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与することが可能となる、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率の数値範囲を見出したことに大きな特徴を有するものである。また、上記正反射率は、反射防止フィルム製造用金型を非破壊・非接触で測定することが可能である。よって、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法においては、上記数値範囲を評価基準として用いることにより、例えば、上記反射防止フィルム製造用金型を製造する際の条件の設定や、上記反射防止フィルム製造用金型を形成した後の検査等を行うことができることから、反射防止機能に優れた反射防止フィルムを製造可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。
本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法としては、工程の違いから2つの態様に分けて考えることができる。以下、各態様について説明する。
1.第1態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法
まず、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法の第1態様について説明する。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、上記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする製造方法である。
本態様によれば、上記検査工程を有することにより、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記範囲内であるものを確実に得ることが可能となる。これにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。
以下、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における各工程について説明する。
(1)陽極酸化工程
本工程は、表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する工程である。
(a)金属基体
まず、本工程に用いられる金属基体について説明する。
本工程に用いられる金属基体としては、表面がアルミニウムからなるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本工程に用いられる金属基体としては、アルミニウム単体からなるものであってもよく、あるいは任意の基材上にアルミニウムからなる層が最表層となるように形成された構成を有するものであってもよい。
また、本工程に用いられる金属基体の形態は特に限定されるものではない。より具体的には、シート状あるいはロール状のいずれの形態を有する金属基体であっても好適に用いることができる。なかでも本工程においては、ロール状の形態を有する金属基体を用いることが好ましい。
従来、ロール状の反射防止フィルム製造用金型の評価方法としては、走査型電子顕微鏡により、上記反射防止フィルム製造用金型の微細孔の形状を観察する方法等が用いられており、評価のために上記反射防止フィルム製造用金型を破壊する必要があったことから、評価後は使用することは困難であった。
しかしながら、後述する検査工程においては、上記反射防止フィルム製造用金型を破壊することなく測定可能な正反射率を用いて評価するものであることから、後述する検査工程において正反射率が検査基準を満たすものについては、測定を行った反射防止フィルム製造用金型をそのまま完成品とすることができる。一方、後述する検査工程において正反射率が検査基準を満たさないものについては、微細孔の平均孔深さ等を、再度、本工程を行うことにより調整することによって、上記反射防止フィルム製造用金型の正反射率が検査基準を満たすように調整することが可能となる。
このようなことから、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、特にロール状の金属基体を用いる場合に効果を奏するということができる。
また、後述する検査工程における評価は、反射防止フィルム製造用金型における金属基体の細孔が形成されていない部位の表面状態によって特に制約を受けるものではない。したがって、反射防止フィルム製造用金型における金属基体の表面状態としては微細孔が形成されていない部位の表面状態が鏡面であるものであっても、あるいは、表面粗さが大きいことに起因する曇り面であるものであってもよい。
ここで、金属基体における上記微細孔が形成されていない部位の表面状態が鏡面である場合と、曇り面である場合の反射防止フィルム製造用金型について図を参照しながら説明する。図2は本工程により形成される反射防止フィルム製造用金型の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、本工程により形成される反射防止フィルム製造用金型10は、表面がアルミニウムからなるものであり、複数の微細孔Aが形成されているものである。また、上述したように、本態様に用いられる金属基体としては、微細孔Aが形成されていない表面の状態が鏡面であるものであってもよく(図2(a))、あるいは微細孔Aが形成されていない表面の状態が曇り面であるものであってもよい(図2(b))。
よって、本工程に用いられる金属基体としては表面状態が鏡面のものであってもよく、表面状態が曇り面のものであってもよい。
このような金属基体としては、具体的には、純度の高い圧延されたアルミニウム板や、上記アルミニウム板に鏡面処理が施されたもの、ガラス板にアルミニウムスパッタ膜(アルミニウムスパッタ−ガラス板)が形成されたもの等を挙げることができる。
本発明においては、なかでもアルミニウムスパッタ−ガラス板であることが好ましい。アルミニウムスパッタ−ガラス板は、上記圧延されたアルミニウム板や、鏡面処理が施されたアルミニウム板に比べて正反射率が高く、かつ正反射率を除いた分光反射率(SCE)が低いことから、その表面が上述した上記圧延されたアルミニウム板や、鏡面処理が施されたアルミニウム板に比べて良好な平滑性を示すものである。よって、アルミニウムスパッタ−ガラス板は良好な平滑性を有することから、表面に形成される微細孔についても所望の形状に精度よく形成することが可能となり、上述した数値範囲の反射率を示す反射防止フィルム製造用金型を好適に形成することが可能となる。さらに、上記反射防止フィルム製造用金型を用いることにより、反射率の低い優れた反射防止機能を有する反射防止フィルムを得ることが可能となる。
(b)陽極酸化法
次に、本工程に用いられる陽極酸化法について説明する。本工程に用いられる陽極酸化法としては、上記金属基体の表面に所望の形状を有する微細孔を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、陽極酸化によって上記金属基体の表面に微細孔を有するアルミナ膜を形成するポーラスアルミナ膜形成工程と、上記アルミナ膜をエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大するエッチング工程とを、順次繰り返し実施する方法が用いられることが好ましい。いわゆるモスアイ構造を有する反射防止フィルムにおいては、表面に円錐や四角錐等の錐形の微細構造物が形成されていることが望ましいものであるところ、上記の方法によれば、このような錐形の微細構造物を形成可能なテーパー形状の微細孔を形成することが容易になるからである。
本工程において上記ポーラスアルミナ膜形成工程と、上記エッチング工程とを順次繰り返すことによって金属基体に微細孔を形成する方法について図を参照しながら具体的に説明する。図3は、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における陽極酸化工程の一例を示す工程図である。図3に例示するように、本工程において金属基体に微細孔を形成する方法としては、表面が研磨された金属基体1に対し(図3(a))、陽極酸化によって上記金属基体1の表面に微細孔を有するアルミナ膜1’を形成するポーラスアルミナ膜形成工程と(図3(b))、上記アルミナ膜1’をエッチングすることにより上記微細孔の孔径を拡大するエッチング工程と(図3(c))を用い、これを順次繰り返し実施する方法であることが好ましい。このような方法によれば、上記ポーラスアルミナ膜形成工程における陽極酸化時間と、上記エッチング工程におけるエッチング処理時間とを調整することによって、様々なテーパー形状を有する孔の形成が可能であり、周期、孔深さに合わせて、最適な屈折率変化を設計することが可能となるからである(図3(d))。
上記ポーラスアルミナ膜形成工程において、上記金属基体の表面に微細孔を有するアルミナ膜を形成する方法としては、所望の深さ、および配列態様で微細孔が形成されたアルミナ膜を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。ここで、上記ポーラスアルミナ膜形成工程において形成される微細孔の深さや配置態様は、陽極酸化に用いる電解液の液性等に依存するものであるところ、本工程に用いられる電解液は、中性の電解液であっても、あるいは酸性の電解液であっても好適に用いることができる。なかでも本工程においては上記電解液として酸性の電解液が用いられることが好ましい。酸性の電解液が用いられることにより、本工程において上記金属基体の表面に微細孔をランダムな位置に形成することができるからである。本工程に用いられる酸性の電解液としては、例えば、硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、およびリン酸水溶液等を挙げることができる。
上記エッチング工程において、アルミナ膜をエッチングする方法としては、上記アルミナ膜に形成された微細孔を所望の程度に拡大することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、アルカリエッチング法、酸性エッチング法、電解エッチング法を挙げることができる。上記アルカリエッチング法は、通常5wt%〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液を40℃〜80℃に加温し、アルミニウム材を0.5分間〜10分間浸漬し、表層をエッチングする方法である。このエッチング方法は、処理コストが安価であり、取扱いが容易なため、最も一般的に使用されているエッチング方法である。
一方、上記酸性エッチング法は、化学研磨を行う場合の艶出しエッチングとして、リン酸−硫酸(75wt%:25wt%)系の浴を105℃〜110℃に加温し、アルミニウム材を2分間〜10分間浸漬し、表層をエッチングする方法である。
上記エッチング工程においてはこれらのいずれの方法であっても用いることができるが、アルカリエッチング法は、光沢や表面粗度等が大きく、エッチング面を一定の状態に維持することが難しく、遊離アルカリ濃度や浴中の溶存アルミニウム成分を常に一定範囲に管理することなどが要求されるため、酸性エッチング法が用いられることが好ましい。
本工程において、上記ポーラスアルミナ膜形成工程と上記エッチング工程とを繰り返し実施する態様としては、本工程において所望の形状を有する微細孔を形成することが可能な態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、金属基体の表面にテーパー形状の微細孔を形成できるように、上記ポーラスアルミナ膜形成工程と上記エッチング工程とを繰り返し実施することが好ましい。本態様によって製造される反射防止フィルム製造用金型は、いわゆるモスアイ構造を有する反射防止フィルムを製造するために用いられるものであるところ、本工程において形成される凹部の形状をテーパー形状とすることにより、本態様によって製造された反射防止フィルム製造用金型を用いて製造される反射防止フィルムに、広い波長領域において優れた反射防止機能を付与することができるからである。
図4は、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における陽極酸化工程の他の例について示す工程図である。図4においては、本工程においてテーパー形状の微細孔が形成されるように、上記ポーラスアルミナ膜形成工程と、上記エッチング工程とを繰り返し実施する例について示している。図4に例示するように、本工程においては、金属基体1に対して(図4(a))、まず第1のポーラスアルミナ膜形成工程により、円柱状の第1の微細孔を有するアルミナ膜1’を形成した後(図4(b))、第1のエッチング工程により、上記第1の微細孔の孔径を拡大するように、上記アルミナ膜1’をエッチングする(図4(c))。次に、第2のポーラスアルミナ膜形成工程により、上記孔径が拡大された第1の微細孔の底部に、第1の微細孔より孔径の小さい第2の微細孔を形成する(図4(d))。次いで、第2のエッチング工程により、第1の微細孔および第2の微細孔の孔径を拡大するようにアルミナ膜1’をエッチングする(図4(e))。これを複数回繰り返すことにより(図4(f)および図4(g))、テーパー状の形状を有する微細孔を形成することが好ましい(図4(h))。
本工程によって金属基体に形成される微細孔の形状については、所望の反射防止機能を有する反射防止フィルムを製造することができるような反射防止フィルム製造用金型とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、円錐形や四角錐形等の錐形体を挙げることができる。また、上記錐形体の先端形状としては、図2に示すように、丸みを持たせて形成されていてもよい。また図示はしないが、上記錐形体の先端が平坦に形成されていてもよいし、先端に向かって細くなるように形成されていてもよい。
本工程によって金属基体に形成される微細孔の周期は、特に限定されるものではなく、本態様によって製造される反射防止フィルム製造用金型を用いて製造する反射防止フィルムの用途等に応じて適宜決定することができる。ここで、本工程において微細孔が形成される周期は、本態様によって製造される反射防止フィルム製造用金型を用いて製造される反射防止フィルムの、反射率の波長依存性に影響を及ぼすものであり、その周期が長くなるほど可視光領域の短波長側の光に対する反射率が増加する傾向にあるものである。一方、周期が200nm以下においては、周期の変動に伴う反射率の波長依存性の変化は少なくなるものである。このようなことから、本工程において形成される微細孔の周期は、70nm〜130nmの範囲内であることが好ましく、90nm〜110nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記周期はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合は、単位面積あたりに形成された微細孔の平均周期を指すものとする。
また、本工程において形成される微細孔の平均孔深さも、本態様によって製造される反射防止フィルム製造用金型を用いて製造される反射防止フィルムの、反射率の波長依存性に影響を及ぼすものであり、その深さが深いほど反射率を低くすることができ、一方、浅くなると長波長側の反射率が増加する傾向にあるものである。このようなことから、本工程において形成される微細孔の平均孔深さは、150nm〜450nmの範囲内であることが好ましく、250nm〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
また本工程において微細孔が形成される間隔は、これが広くなるほど、本態様によって製造される反射防止フィルム製造用金型を用いて製造する反射防止フィルムにおいて、可視光の全波長領域において反射率が増加する傾向にあり、狭くなるほど可視光の全波長領域において反射率が低下する傾向にある。このようなことから、本工程において微細孔が形成される間隔は、0nm〜30nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜20nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記間隔はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合における上記間隔は、単位面積あたりに形成された微細孔間の平均距離を指すものとする。
ここで、上記微細孔が形成される周期、深さ、および間隔は、それぞれ図5におけるP、Q、およびRで表される距離を指すものとする。なお、図5は、本工程により形成される反射防止フィルム製造用金型の一例を示す概略断面図である。
(2)検査工程
本工程は、上記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する工程である。また、本工程において、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内である。
ここで、正反射率とは、正反射光のみを対象とした反射率を意味するものである。
本工程に用いられる正反射率の測定方法は、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を所望の精度で測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、なかでも上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)から、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くことによって、正反射率を求める方法が用いられることが好ましい。このような方法によれば、より高精度で上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定することができるからである。
このような方法の具体例としては、例えば、JIS Z 8722に記載された方法を挙げることができる。
本工程において上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定する方法としては、通常、測定光を上記反射防止フィルム製造用金型表面に入射し、上記反射防止フィルム製造用金型表面から反射された反射光のうち、正反射光のみを対象として反射率を求める方法が用いられるが、このとき上記測定光を上記反射防止フィルム製造用金型表面に入射する角度としては、正反射率を測定することができる範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも、上記反射防止フィルム製造用金型表面の法線に対して3°〜50°の範囲内であることが好ましく、3°〜45°の範囲内であることがより好ましく、3°〜13°の範囲内であることがさらに好ましい。
また、本工程において正反射率を測定する際に用いられる測定光の波長としては、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定することができる範囲内であれば特に限定されるものではなく、上記反射防止フィルム製造用金型表面に形成されている微細孔の形状等に応じて、適宜適切な波長の光を選択して用いることができる。なかでも本態様における測定光の波長は、通常、300nm〜800nmの範囲内であることが好ましく、380nm〜780nmの範囲内であることがより好ましい。
本工程における上記検査基準は、上記反射防止フィルム製造用金型表面の上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であれば特に限定されず、なかでも71.4%〜76.3%の範囲内であることがより好ましい。上記反射防止フィルム製造用金型表面の上記正反射率を上記範囲内とすることにより、本態様により製造された反射防止フィルム製造用金型を用いて、反射防止機能の高い反射防止フィルムを製造することが可能となるからである。
本工程において、上記検査基準を満たす反射防止フィルム製造用金型については、製品とすることができ、表示装置の反射防止フィルムの製造に用いることが可能である。
また、上記検査基準を満たさないもののうち、例えば、上記正反射率が78.2%を超えるものについては、上記金属基体に形成された微細孔の孔深さが浅い等の陽極酸化工程での加工の不足が原因として考えられることから、再度上述した陽極酸化工程を行い、上記陽極工程後に再度本工程を行って上記検査基準を満たすものについては製品とすることができる。
また、上記検査基準を満たさないもののうち、例えば、上記正反射率が70.9%に満たないものについては、上記微細孔の孔深さが深くなりすぎる等の陽極酸化工程での加工の過剰が原因として考えられることから、後述する再生工程により上記金属基体表面を平坦なものにした後、再度陽極酸化工程および検査工程を行い、上記検査基準を満たすものについて製品とすることが可能となる。
本態様においては、上述したように、陽極酸化工程後の反射防止フィルム製造用金型の正反射率を測定することにより、上記検査基準を満たすものについては製品とし、また、上記検査基準を満たさないものについても、再度、上記陽極酸化工程等を行って上記金属基体の微細孔を調整した後、本工程で上記正反射率を測定することで、上記検査基準を満たす場合は製品とすることができる。したがって、優れた反射防止機能を有する反射防止フィルムを製造可能な反射防止フィルム製造用金型のみを確実に得ることが可能となる。
(3)その他の工程
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、上記陽極酸化工程、および検査工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜選択して用いることができる。このような工程としては、例えば後述する「2.第2態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明する条件決定工程を挙げることができる。
また、上記以外の工程としては、例えば、再生工程や離型層形成工程等を挙げることができる。以下、各工程について説明する。
(a)再生工程
本工程は、上記陽極酸化工程における加工の過剰により、反射防止フィルム製造用金型の正反射率が、70.9%〜78.2%の範囲内から外れるものに対して、上記金属基体表面を平坦化する工程である。
本工程において、上記金属基体表面を平坦化する方法としては、上記金属基体表面に形成された微細孔を埋めて平坦化し、再度陽極酸化工程を行うことが可能となる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばアルミニウムを蒸着させる方法や、金属基体表面に形成された微細孔を研磨等により金属基体表面を平坦化する方法等を挙げることができる。
(b)離型層形成工程
本工程は、反射防止フィルム製造用金型の微細孔側表面に離型剤を塗布することにより離型層を形成する工程である。
なお、本工程に用いられる離型剤および離型層の形成方法としては、公知の離型剤、および形成方法を用いることができる。
2.第2態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法
次に、本発明の反射防止フィルム製造用金型の製造方法の第2態様について説明する。
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成した際に、上記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、上記陽極酸化法の条件を決定する条件決定工程と、上記条件決定工程で得られた条件下で上記陽極酸化法を行うことにより、上記金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本態様によれば、上記条件決定工程を有することにより、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が好ましい値となるような陽極酸化法の条件で、上記反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。これにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型を製造することが可能となる。
以下、本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法における各工程についてそれぞれ説明する。
(1)条件決定工程
本工程は、表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に上記複数の微細孔を形成した際に、上記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、上記陽極酸化法の条件を決定する工程である。
本工程に用いられる評価用金属基体としては、一般的な反射防止フィルム製造用金型に用いることができるものであれば特に限定されるものではないが、後述する陽極酸化工程に用いられる金属基体と同種類のものであることがより好ましい。上記評価用金属基体として、実際の反射防止フィルム製造用金型に用いられる金属基体と同種類のものを用いることにより、良好な反射防止機能を有する反射防止フィルムを製造可能な反射防止フィルム製造用金型を得ることができる陽極酸化法の条件をより正確に決定することができるからである。
また、本工程に用いられる上記正反射率の測定方法については、上述した「1.第1態様の反射防止フィルムの製造方法」の項で説明した方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記陽極酸化法の条件の決定方法としては、後述する陽極酸化工程において形成される反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、陽極酸化法の条件を決定することができる方法であれば、特に限定されるものではない。
本工程においては、通常は、以下に示す方法により、上記陽極酸化法の条件が決定されるものである。
まず、上記評価用金属基体を用い、所定の条件で陽極酸化法を行うことにより、上記評価用金属基体の表面に上記複数の微細孔が形成され、評価用反射防止フィルム製造用金型が形成される。
次に、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率の測定が行われる。このとき、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となっている場合は、上記評価用反射防止フィルム製造用金型を形成する際に用いた陽極酸化法の条件を、後述する陽極酸化工程における陽極酸化法の条件とすることができる。
一方、上記評価用反射防止フィルム製造用金型の正反射率が、70.9%〜78.2%の範囲内を満たさない場合は、再度、上記評価用金属基体を用い、上記陽極酸化法の条件を変更して、上記評価用反射防止フィルム製造用金型の形成を行い、上記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率の測定が行われる。このとき、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となっている場合は、変更した陽極酸化法の条件を、後述する陽極酸化工程における陽極酸化法の条件とすることができる。
上記以外の条件決定方法としては、例えば以下に示す方法を用いることも可能である。まず、予め陽極酸化法の条件を変えて、複数個の評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、それぞれについて正反射率を測定する。次に、測定結果の検量線を作成し、これを用いて、後述する陽極酸化工程において好ましい陽極酸化法の条件を決定する。
上記のような方法においては、陽極酸化法においてエッチング方法、工程にかかる時間、金属基体の種類等の様々な条件が変化した場合においても、最適な陽極酸化法の条件を容易に決定することが可能となる。
上記検量線の作成方法としては、例えば、上記陽極酸化法のそれぞれの条件を横軸に、上記正反射率を縦軸にとったグラフを作成する方法を挙げることができる。
(2)陽極酸化工程
本工程は、上記条件決定工程で得られた条件下で上記陽極酸化法を行うことにより、上記金属基体の表面に複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する工程である。
本工程においては、上記条件決定工程で得られた条件下で陽極酸化法を用いること以外の点については、上述した「1.第1態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明した陽極酸化工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(3)その他の工程
本態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法は、上記条件決定工程、および陽極酸化工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。このような工程としては、例えば、検査工程を挙げることができる。以下、検査工程について説明する。
(a)検査工程
本工程は、上記陽極酸化工程において形成された反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定することにより、上記正反射率が検査基準を満たすものであるか検査する工程である。本工程については、「1.第1態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、上記「1.第1態様の反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項でも説明したように、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記検査基準を満たす場合は、製品とすることができる。また、上記正反射率が上記検査基準を満たさない場合には、上記反射防止フィルム製造用金型に、再度、陽極酸化工程を行い、上記金属基体の微細孔を調整したのち、本工程を行い、検査基準を満たすものについては製品とすることができる。
さらに、本態様においては、上記正反射率が上記検査基準を満たさない場合には、再度条件決定工程を行うことにより、上記陽極酸化工程に用いられる陽極酸化法の条件を決定し直すことも可能である。
(b)その他の工程
本態様に用いられる上記以外の工程については、上述した「1.第1態様の反射防止フィルムの製造方法」の項で説明した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
B.反射防止フィルム製造用金型
次に、本発明の反射防止フィルム製造用金型について説明する。
本発明の反射防止フィルム製造用金型は、上述した「A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明した反射防止フィルム製造用金型の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするものである。
本発明の反射防止用フィルム製造用金型は、表面がアルミニウムからなる金属基体を用いて形成されたものであり、上記金属基体の表面に複数の微細孔を有するものである。また、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように製造されたものである。
本発明によれば、上述した反射防止フィルム製造用金型の製造方法を用いて製造されることにより、優れた反射防止機能を有する反射防止フィルムを形成可能な反射防止フィルム製造用金型とすることができる。
なお、本発明に用いられる金属基体、および上記複数の微細孔の形状、周期、平均孔深さ、間隔等については「A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で詳しく説明したので、ここでの説明は省略する。
C.反射防止フィルムの製造方法
次に、本発明の反射防止フィルムの製造方法について説明する。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法であって、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する金型検査工程とを有し、上記検査基準は、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする製造方法である。
ここで、本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムを図を用いて説明する。図6は、本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。図6に示すように、本発明の製造方法により形成される反射防止フィルム20は、硬化性樹脂組成物3からなるものであり、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成された、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造を有する反射防止フィルムである。また、通常、硬化性樹脂組成物3の他に、光透過性基板2が用いられるものである。
ここで、上記反射防止フィルムは、通常、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて賦型することにより、得られるものである。また、上記反射防止フィルム製造用金型は反射防止フィルムの製造において、繰り返して用いられるものであるが、上記賦型を繰り返すことにより、上記反射防止フィルム製造用金型表面が磨滅して上記微細孔の形状が変化することから、上記反射防止フィルムに所望の微細凹凸パターンを賦型することが困難になるといった問題があった。
本発明によれば、上記金型検査工程で上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記検査基準を満たすものであるか検査することにより、複数回の賦型工程に用いた後の反射防止フィルム製造用金型の微細孔の形状について評価することが可能となる。よって、上記反射防止フィルム製造用金型表面の微細孔の形状変化を原因とする反射防止フィルムの欠陥の発生を防止することが可能となる。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法に用いられる各工程についてそれぞれ説明する。
1.賦型工程
本工程は、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する工程である。
本工程に用いられる反射防止フィルム製造用金型については、上述した「B.反射防止フィルム製造用金型」の項で説明したものとすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型する方法としては、本発明によって製造される反射防止フィルムの構成等に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではない。具体的な方法としては、例えば、上記反射防止フィルム製造用金型を用い、当該金型に硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物を充填する工程と、上記反射防止フィルム製造用金型に充填された硬化性樹脂組成物上に光透過性基板を配置する工程と、上記硬化性樹脂組成物と上記光透過性基板とが接した状態で上記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、硬化された硬化性樹脂組成物から上記反射防止フィルム製造用金型を剥離する工程とを有する方法や、光透過性基板を用い、上記光透過性基板上に硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物を塗工することにより、硬化性樹脂組成物からなる膜を形成する工程と、上記反射防止フィルム製造用金型を用い、上記硬化性樹脂組成物からなる膜にモスアイ構造を賦型する工程と、上記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、上記反射防止フィルム製造用金型を剥離する工程とを有する方法等を挙げることができる。
ここで、上記硬化性樹脂組成物に用いられる硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂を挙げることができ、本発明においてはこれらのいずれの硬化性樹脂であっても好適に用いることができる。なかでも本発明においては上記硬化性樹脂として光硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いられる光硬化性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートモノステアレート等の(メタ)アクリレート樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。これらに属する樹脂の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー等を挙げることができる。本発明においてはこれらの光硬化性樹脂の中から、後述する光透過性基板の屈折率と近い屈折率を有する樹脂を適宜選択して用いることができる。
また、上記光透過性基板としては、光透過性を示し、かつ所望の屈折率を有するものであれば特に限定されるものではない。このような光透過性基板としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的にはノルボルネン系樹脂等があるが、例えば、日本ゼオン株式会社製の製品名「ゼオノア」、JSR株式会社製の製品名「アートン」等がある)等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、或いは、ガラス(セラミックスを含む)等からなる基板を挙げることができる。
2.金型検査工程
本工程は、上記賦型工程後に、上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、上記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する工程である。また、上記検査基準が、上記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であることを特徴とする工程である。
本工程に用いられる正反射率の測定方法については、上述した「A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明した方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率が上記検査基準を満たす場合は、引き続き、上述した賦型工程に用いることができる。また、上記正反射率が上記検査基準を満たさない場合は、通常、新たな反射防止フィルム製造用金型に取り換えられる。
本工程は、上記賦型工程後に行われるのであれば特に限定されるものではないが、本発明の反射防止フィルムの製造方法における本工程の頻度としては、上記賦型工程の1000回〜5000回の範囲内で行った後に行うことが好ましく、なかでも、1500回〜4000回の範囲内で行った後に行うことが好ましい。上記賦型工程の回数が上記範囲に満たない場合は、上記反射防止フィルム製造用金型の微細孔の形状は変化しにくいことから製造効率を低下させてしまうおそれがあり、上記賦型工程の回数が上記範囲を超える場合は、金型検査工程を行ったとしても、上記反射防止フィルム製造用金型の微細孔の形状変化に由来する、反射防止フィルムの欠陥の発生を防止することが困難となるおそれがあるからである。また、反射防止フィルム製造用金型表面には、離型剤がコーティングされてなる離型層が形成されている場合があり、賦型工程の回数に依存して、離型層が劣化あるいは除去され、反射防止フィルム表面に欠陥の発生を防止することが困難となるためである。
3.その他の工程
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、上記賦型工程および金型検査工程を有する製造方法であれば特に限定されるものではなく、他にも必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。
4.反射防止フィルム
本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムは、上記硬化性樹脂組成物からなるものであり、凹凸の周期が可視光の波長以下に制御された微細凹凸パターンが表面に形成されているものである。
上記反射防止フィルムにおける微細凹凸の形状としては、反射防止機能を有することができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、反射防止フィルム表面に円錐形等の錐形体の構造物を形成することによってなる微細凹凸であることが好ましい。上記錐形体の構造物の形状については、上述した「A.反射防止フィルム製造用金型の製造方法」の項で説明した微細孔の形状と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明により製造される反射防止フィルムの反射率としては、所望の反射防止機能を有することができる程度であれば特に限定されないが、0.2%以下、なかでも0.04%〜0.18%の範囲内、特に0.04%〜0.12%の範囲内であることが好ましい。反射防止フィルムの反射率を上記範囲内とすることにより、上記反射防止フィルムを種々の表示装置に用いた場合に、視認性に優れた画像表示を行うことが可能となる。
なお、反射防止フィルムの反射率としては、例えば、島津製作所製、自記分光光度計UV−3100を用い、反射防止フィルム裏面に黒色テープを貼り付け、反射防止フィルム表面へ5度入射絶対反射率を測定することにより求めることができる。
本発明により製造される反射防止フィルムにおける微細凹凸の周期としては、反射防止機能を有することができる程度であれば、特に限定されるものではなく、上記反射防止フィルムの用途に応じて適宜決定することができる。
ここで、上記微細凹凸の周期は、上記反射防止フィルムの反射率の波長依存性に影響を及ぼすものであり、その周期が長くなるほど可視光領域の短波長側の光に対する反射率が増加する傾向にあるものである。一方、周期が200nm以下においては、周期の変動に伴う反射率の波長依存性の変化は少なくなるものである。このようなことから、上記微細凹凸の周期は、70nm〜130nmの範囲内であることが好ましく、90nm〜110nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記周期はすべての微細凹凸において均一ではない場合があるが、その場合は、単位面積あたりに形成された微細凹凸の平均周期を指すものとする。
また、上記微細凹凸の高さも、上記反射防止フィルムの反射率の波長依存性に影響を及ぼすものであり、その高さが高いほど反射率を低くすることができ、一方、低くなると長波長側の反射率が増加する傾向にあるものである。このようなことから、上記微細凹凸の高さは、150nm〜450nmの範囲内であることが好ましく、250nm〜350nmの範囲内であることがより好ましい。
また、上記微細凹凸の間隔は、これが広くなるほど、上記反射防止フィルムにおいて、可視光の全波長領域において反射率が増加する傾向にあり、狭くなるほど可視光の全波長領域において反射率が低下する傾向にある。このようなことから、上記微細凹凸の間隔は、0nm〜30nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜20nmの範囲内であることがより好ましい。
なお、上記間隔はすべての微細孔において均一ではない場合があるが、その場合における上記間隔は、単位面積あたりに形成された微細凹凸の平均距離を指すものとする。
ここで、上記微細凹凸が形成される周期、深さ、および間隔は、それぞれ図6におけるP’、Q’、およびR’で表される距離を指すものとする。
本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムは、例えば、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機EL表示装置等に用いられるものである。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を用いて本発明についてさらに詳しく説明する。
[実施例1]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
得られた反射防止フィルム製造用金型表面に紫外線硬化樹脂層塗布液を一定量塗布し、その上に厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、フジタック「T80SZ」)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をローラー(フジプラ製、ラミパッカー「LPA3301」)で圧着し、金型全体に均一な紫外線硬化樹脂組成物が塗布されたことを確認して、フィルム側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して紫外線硬化樹脂組成物を光硬化させた。その後、フィルムと金型とを剥離して反射防止フィルムを得た。
[実施例2]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で7分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で3分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[実施例3]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ180秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[実施例4]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で200秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ164秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ54秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[実施例5]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で220秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ140秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で12分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ80秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ60秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計1回追加実施した。さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間孔径拡大処理を行った。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[実施例6]
<反射防止フィルム製造用金型の作製>
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で200秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ164秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ54秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例1]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で146秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ94秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例2]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で74秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で9分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ46秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で7分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ20秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で3分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例3]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で366秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ234秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ100秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを形成したところ、反射防止フィルムと反射防止フィルム製造用金型とを剥離する工程において、剥離困難な部分があり、反射防止フィルムの一部が破断した。なお、後述する反射防止フィルムの反射率の測定においては、一部の剥離できた反射防止フィルムを用いて行った。
[比較例4]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で182秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ150秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ50秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例5]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で144秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ118秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ40秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[比較例6]
表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板にアセトンを用い、脱脂処理を行った後、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中、化成電圧65V、5℃の条件で110秒間、陽極酸化を施し、酸化皮膜を形成した。次に、3wt%リン酸の電解液中、35℃で18分間、形成された酸化皮膜を選択的に溶解除去した。
次に、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ70秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で14分間孔径拡大処理を行った。
さらに、0.03mol/Lシュウ酸水溶液の電解液中で、先と同一条件でそれぞれ30秒間、陽極酸化を施し、3wt%リン酸の電解液中、35℃で6分間孔径拡大処理を行った。さらに上記工程を繰り返し、これらを合計3回追加実施した。これにより、ガラス板上にスパッタされたアルミニウムに陽極酸化アルミナ膜が形成された構成を有した反射防止フィルム製造用金型を得た。
<反射防止フィルムの作製>
実施例1と同様の手順により反射防止フィルムを得た。
[評価]
上記実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた反射防止フィルム製造用金型の正反射率、および反射防止フィルムの反射率を以下の方法により測定した。結果を表1、表2、および図1に示す。なお、図1において比較例3の値については省略して示している。
<金型表面の正反射率>
JIS Z 8722に記載された方法に準拠し、コニカミノルタセンシング製、分光測色計CM−2600dを用い測定した。測定には金型表面の法線に対して、8°の角度から測定光を入射することによって、金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)から、金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くことによって、正反射率を得た。
<反射防止フィルムの反射率>
島津製作所製、自記分光光度計UV−3100を用い、フィルム裏面に黒色テープを貼り付け、フィルム表面へ5度入射絶対反射率を測定した。
Figure 0005899638
Figure 0005899638
表1および図1に示すように、実施例1〜6の反射防止フィルム製造用金型を用いて作製された反射防止フィルムの反射率は、0.04%から0.18%を示し、我々が実用上目安にしている反射率が0.20%以下を示した。正反射率が70.9%から78.2%である反射防止フィルム製造用金型を用いたため、反射防止フィルム製造用金型の微細凹凸が所望する形状になっており、反射防止フィルムに形成された微細凹凸も所望する反射率を示す形状である。
一方、比較例1、比較例2、比較例4、比較例5および比較例6の反射防止フィルム製造用金型を用いて作製された反射防止フィルムの反射率は、いずれも我々が実用上目安にしている反射率である0.20%以上の反射率を示した。これは、正反射率が78.2%よりも大きな正反射率を示す反射防止フィルム製造用金型を用いたため、反射防止フィルム製造用金型の微細凹凸が浅く、所望する形状になっておらず、反射防止フィルムに形成された微細凹凸の高さが低くなったためと考えられる。
また、比較例3の反射防止フィルム製造用金型を用いて作製された一部の反射防止フィルムの反射率は、0.01%を示し、我々が実用上目安にしている反射率が0.20%以下を示した。しかしながら、反射防止フィルムおよび反射防止フィルム製造用金型を良好に剥離することが困難であり、反射防止フィルムが破断した。これは、正反射率が70%よりも小さい反射防止フィルム製造用金型を用いたため、反射防止フィルム製造用金型の微細凹凸が深すぎ、金型表面の微細凹凸から紫外線硬化樹脂組成物が硬化したフィルムをきれいに剥離できなかったためと考えられる。よって、比較例3の反射防止フィルム製造用金型は、安定した生産の妨げとなる反射防止フィルム製造用金型であった。
本発明に係る反射防止フィルム製造用金型で調整された実施例1〜6では、低い反射率を示す反射防止フィルムを得ることができ、安定した生産を可能にする微細凹凸を実現した。
一方、比較例1〜6では、我々が実用上の目安にしている低い反射率を示す反射防止フィルムであるが、安定した生産の妨げとなる反射防止フィルム製造用金型や、安定した生産を可能にする反射防止フィルム製造用金型であるが、我々が実用上の目安にしている数値を満足しない反射防止フィルムであった。
以上のように、本発明によれば、評価すべき未知の試料に対して金型表面の正反射率を測定するだけで反射防止フィルムの反射率を容易に求めることができる。よって、本実施の形態によれば、非破壊により金型表面の正反射率を定量的に評価し、陽極酸化工程の最中に同一基板の正反射率の変化をモニタリングすることも可能である。また、反射防止フィルムの製造工程の最中に金型の摩耗等による劣化をモニタリングすることもでき、金型表面の正反射率を所望の値に復元することによって、金型を継続的に使用可能にすることもできる。
上述した実施の形態は一例であって、本発明を限定するものではない。例えば、実施の形態では表面にアルミニウムをスパッタさせたガラス板を用いて、陽極酸化工程を行っているが、これには限定されない。例えば、ロール状の金属表面にアルミニウムをスパッタさせたロール体を用いて、陽極酸化を行ってもよい。また、実施の形態では陽極酸化の処理時間を変更して、金型表面の正反射率を評価する場合について適用している。しかし、陽極酸化の処理時間以外の条件変更により、金型表面の正反射率が変化したものに対しても、本発明の評価方法を適用することができる。例えば、ポーラスアルミナ膜形成工程の電解液濃度、化成電圧、処理温度やエッチング工程の電解液濃度、化成電圧、処理時間、処理温度の評価にも、本発明を適用することができる。
1 … 金属基体
1’ … アルミナ膜
2 … 光透過性基板
3 … 硬化性樹脂組成物
10 … 反射防止フィルム製造用金型
20 … 反射防止フィルム
A … 微細孔

Claims (5)

  1. 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、
    表面がアルミニウムからなる金属基体を用い、陽極酸化法によって前記金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、
    前記陽極酸化工程で得られた反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、前記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する検査工程とを有し、
    前記検査基準は、前記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であり、
    前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
  2. 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型の製造方法であって、
    表面がアルミニウムからなる評価用金属基体を用い、陽極酸化法によって前記評価用金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して評価用反射防止フィルム製造用金型を形成し、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、
    測定結果に基づいて、表面がアルミニウムからなる金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成した際に、前記金属基体表面の正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内となるように、前記陽極酸化法の条件を決定する条件決定工程と、前記条件決定工程で得られた条件下で前記陽極酸化法を行うことにより、前記金属基体の表面に前記複数の微細孔を形成して反射防止フィルム製造用金型を形成する陽極酸化工程と、を有し、
    前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
  3. 前記正反射率の測定方法が、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、前記正反射光を含む分光反射率(SCI)から、前記正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くものであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
  4. 前記正反射率の測定方法が、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を含む分光反射率(SCI)と、前記評価用反射防止フィルム製造用金型表面の正反射光を除いた分光反射率(SCE)と、を測定した後、前記正反射光を含む分光反射率(SCI)から、前記正反射光を除いた分光反射率(SCE)を差引くものであることを特徴とする請求項2に記載の反射防止フィルム製造用金型の製造方法。
  5. 表面に複数の微細孔が形成された反射防止フィルム製造用金型を用いた反射防止フィルムの製造方法であって、
    前記反射防止フィルム製造用金型を用いて微細凹凸を賦型することにより、硬化性樹脂組成物からなる反射防止フィルムを形成する賦型工程と、
    前記賦型工程後に、前記反射防止フィルム製造用金型表面の正反射率を測定し、前記正反射率が所定の検査基準を満たすものであるか検査する金型検査工程と、を有し、
    前記検査基準は、前記正反射率が70.9%〜78.2%の範囲内であり、
    前記微細孔の形状が錐形体であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
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