本発明の実施形態の統括指示装置の一態様としては、運行車両内で発生した出来事の少なくとも発生場所の特定情報を含む通報情報を受け付ける通報受付部と、前記出来事に対応して処置するのに適した処置位置を前記通報情報に基づいて決定する処置決定部と、前記出来事の前記通報情報と共に前記処置位置を担当者に指示する処置指示部と、を備えるのに加えて、次の構成を備えてもよい。
統括指示装置の第1の他の態様としては、前記通報受付部が受け付ける前記通報情報には、前記特定情報の他に、前記出来事を判別可能な情報が含まれていてもよく、また、前記通報情報と共に前記担当者に指示した内容を記録保持する処置記録部を備えるようにしてもよい。
この態様では、通報側が保持できていない場合にも通報情報や指示内容を後の証拠などとして再利用することができる。
本発明の実施形態の通報処置システムの一態様としては、運行車両に乗車する利用者が操作する利用携帯端末装置と、前記運行車両が停車する駅のホームに設置されて乗降口を開閉するホームゲート装置と、上記請求項1に記載の統括指示装置と、を備えて構築されており、前記ホームゲート装置は、前記利用者が乗車する前記運行車両および該運行車両内での乗車位置を特定可能な前記特定情報を前記利用携帯端末装置に通知する情報通知機能を有して、前記利用携帯端末装置は、少なくとも前記ホームゲート装置から取得した前記特定情報を含む前記通報情報を前記統括指示装置に送信する取得通信機能を有して、前記統括指示装置は、前記通報受付部が前記利用携帯端末装置から送信されてきた前記通報情報を受信して受け付け、前記処置決定部が前記通報情報に含まれる前記特定情報から前記利用者の乗車位置を特定して前記出来事の処置に適した前記処置位置を決定し、前記処置指示部が前記出来事の前記通報情報と共に前記処置位置を前記担当者に指示するように構成するのに加えて、次の構成を備えてもよい。
通報処置システムの第1の他の態様としては、前記ホームゲート装置の前記情報通知機能は、前記利用携帯端末装置との間で非接触近接通信を行って当該ホームゲート装置の設置位置と共に現在時刻を前記特定情報として送信し、前記統括指示装置は、前記設置位置および前記現在時刻から前記利用携帯端末装置を所持する利用者が乗車する前記運行車両および該運行車両における乗車位置を特定するようにしてもよい。
この態様では、運行車両に乗車する際に、利用者が非接触通信機能を備える利用携帯端末装置をホームゲート装置側に準備されている情報通知機能に非接触タッチさせて近接通信を実行させるだけで、乗車する運行車両やその乗車位置を統括指示装置が特定するのに有効な設置位置と現在時刻をその利用携帯端末装置に取得させることができる。
通報処置システムの第2の他の態様としては、前記統括指示装置の処置指示部は、前記担当者が目視可能な表示部に少なくとも前記通報情報と共に前記運行車両および前記乗車位置を表示させて指示するようにしてもよい。
この態様では、統括指示装置でも目視して通報情報と共に運行車両や乗車位置を把握して指示することができ、該当運行車両の停車場所の駅員などの担当者に明確に指示することができる。
通報処置システムの第3の他の態様としては、前記統括指示装置の処置指示部は、前記担当者が所持する担当携帯端末装置に少なくとも前記通報情報と共に前記運行車両および前記乗車位置を通知して指示するようにしてもよい。
この態様では、該当運行車両に乗車する警備員などの担当者に目視可能な情報として通知することができ、その担当者はその表示を目視するだけで把握して処置することができる。
通報処置システムの第4の他の態様としては、前記統括指示装置は、前記通報情報に応答する応答情報を前記利用携帯端末装置に送信する応答送信部を備えていてもよい。
この態様では、通報してきた者に通報の受け付けや処置内容などを返すことができ、通報者は安心して待つなどすることができる。
通報処置システムの第5の他の態様としては、前記統括指示装置の前記通報受付部は、前記利用携帯端末装置の識別情報に基づいて前記通報情報の受付の可否を判断するとともに、該通報情報に前記識別情報を対応付けして記録保持する端末記録部を備えるようにしてもよい。
この態様では、通報してきた利用携帯端末装置の識別情報が受け付け拒否対象である場合にまで、例えば、所持者を特定不能な場合にまで通報を受け付けて処置してしまうことを回避することができ、通報者を特定することができない利用携帯端末装置の通報を拒否して、いたずらで混乱させられてしまうことを回避することができる。
通報処置システムの第6の他の態様としては、前記統括指示装置は、前記乗車位置付近の前記ホームゲート装置の開閉動作を制御する開閉制御部を備えていてもよい。
この態様では、通報してきた利用携帯端末装置を所持する利用者の乗車位置付近のホームゲート装置の開閉動作を適宜制御することができ、例えば、停車場所側の担当者が到着するのに時間が掛かる場合に開放するタイミングを遅らせることができる。
通報処置システムの第7の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、動画像または静止画像を撮影する撮影機能を備えて、当該撮影情報を前記通報情報として前記統括指示装置に送信するようにしてもよい。
この態様では、利用携帯端末装置で怪我人等の急病人や痴漢行為などを撮影して、運行車両内で発生した出来事を判別可能な情報として通報することができ、把握し易い通報情報や、証拠となり得る通報情報を通報先に提供することができる。
通報処置システムの第8の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、撮影を第三者に報知する報知機能を非動作状態にして該撮影を実行する秘匿モードを備えて、該秘匿モードで撮影した撮影情報の当該利用携帯端末装置自体での再表示を禁止するようにしてもよい。
この態様では、痴漢行為などの犯罪の発生時に秘匿モードを選択して、その犯罪者に気付かれないように撮影して通報することができ、その撮影映像は再表示することができずに盗撮などに利用することを禁止することができる。
通報処置システムの第9の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、前記撮影機能による撮影実行時の表示画面として、大面積の偽り画面内に準備されている小領域内に撮影情報を判別可能に表示するようにしてもよい。
この態様では、痴漢行為などの犯罪の発生時の撮影中の撮影情報は小領域の小窓でのみ表示できるようにして、その犯罪者などに気付かれないように撮影して通報することができる。
通報処置システムの第10の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、テキスト情報を入力する機能を備えて、当該テキスト情報を前記通報情報として前記統括指示装置に送信するようにしてもよい。
この態様では、撮影情報だけでなく、あるいは、撮影情報に代えて、出来事を説明するテキスト情報で通報することができ、通報内容を的確に把握して貰って的確な処置をしてもらうことができる。
通報処置システムの第11の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、前記入力機能による入力操作時の表示画面として、大面積の偽り画面内に準備されている小領域内に入力中のテキスト情報を判別可能に表示するようにしてもよい。
この態様では、痴漢行為などの犯罪の発生時に入力する入力テキストを小領域の小窓でのみ表示できるようにして、その犯罪者などに気付かれないように入力して通報することができる。
通報処置システムの第12の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、前記入力機能による入力操作時の表示画面として、メール機能で利用する入力画面を表示するようにしてもよい。
この態様では、撮影情報だけでなく、あるいは、撮影情報に代えて、出来事を説明するテキスト情報をメール機能の入力画面の形態で入力して通報することができ、通報内容を的確に把握して貰って的確な処置をしてもらうことができるとともにその犯罪者などに気付かれないように入力して通報することができる。
通報処置システムの第13の他の態様としては、前記利用携帯端末装置は、前記通報情報の前記統括指示装置への送信ができなかった場合には、自動的に再送信する再送信機能を備えるようにしてもよい。
この態様では、通報情報の通報時に送信エラーが発生したとしても自動再送してもらえるので、再送信操作をする手間無く確実に通報することができ、痴漢行為などの犯罪の通報時にその犯罪者に気付かれてしまう可能性を小さくすることができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第1の他の態様としては、前記通報処置システム専用の前記利用携帯端末装置に限るものではなく、前記ホームゲート装置の前記情報通知機能から取得する前記特定情報を利用する本体アプリケーションと、前記ホームゲート装置の前記情報通知機能から当該特定情報を取得するサブアプリケーションと、を搭載して、前記サブアプリケーションを単独で機能可能にあるいは前記本体アプリケーションと共に機能可能に所定の入力操作に従って起動させるアプリ起動部を備えていてもよい。
この態様では、汎用の通信機能を有する携帯端末装置にサブアプリケーションと共に本体アプリケーションをインストールして、そのサブアプリケーションだけでも起動するだけでホームゲート装置の情報通知機能から運行車両および乗車位置を特定可能な特定情報を取得することができ、通報する必要が生じたときに初めて通報処置システムを利用する本体アプリケーションを起動すればよい。したがって、サブアプリケーションを共通利用する他の本体アプリケーションが起動して、乗車する運行車両や乗車位置を有効利用する状況でもよく、通報処置システムを機能させる通報(本体)アプリケーションは適宜必要に応じて起動させればよい。この結果、ホームゲート装置から情報を取得するために通報処置システムを利用すると判断されてしまうことを回避することができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第2の他の態様としては、前記アプリ起動部は、車両に乗車するために通過する改札、または、前記ホームゲート装置に設置されている非接触近接通信部との間で実行する所定の通信処理をトリガーとして前記サブアプリケーションを機能可能に起動させるようにしてもよい。
この態様では、改札やホームゲート装置に非接触タッチさせて近接通信するだけで、サブアプリケーションを起動させてホームゲート装置の情報通知機能から運行車両および乗車位置を特定可能な特定情報を取得することができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第3の他の態様としては、前記アプリ起動部は、前記特定情報の取得後には、前記通報処置システムを利用可能な本体アプリケーションを前記利用携帯端末装置の操作と同時に起動させるようにしてもよい。
この態様では、サブアプリケーションが起動して特定情報を取得済みの場合には、利用携帯端末装置の操作と同時に通報処置システムを利用可能な通報(本体)アプリケーションを起動させることができ、迅速に通報操作をすることができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第4の他の態様としては、前記アプリ起動部は、前記特定情報の取得後には、前記通報処置システムを利用可能な本体アプリケーションを起動させる起動ボタンを表示画面内に選択可能に表示するようにしてもよい。
この態様では、サブアプリケーションが起動して特定情報を取得済みの場合には、表示画面内の起動ボタンを選択することにより通報処置システムを利用可能な通報(本体)アプリケーションを起動させることができ、誤操作で通報操作をしてしまうことなく、確実な通報をすることができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第5の他の態様としては、前記通報処置システムを利用可能な携帯端末装置としては、当該通報処置システム専用の前記利用携帯端末装置に限るものではなく、動画像または静止画像の撮影を第三者に報知する報知機能を非動作状態にして該撮影を実行する秘匿モードを備えて、該秘匿モードで撮影した撮影情報の当該利用携帯端末装置自体での再表示を禁止し、当該撮影情報を予め設定されている送信先に送信するようにしてもよい。
この態様では、痴漢行為などの犯罪の発生時に秘匿モードを選択して、その犯罪者に気付かれないように撮影することができ、その撮影映像は再表示することができずに盗撮などに利用することを禁止することができる。
通報処置システムを利用可能な携帯端末装置の第6の他の態様としては、前記携帯端末装置は、前記撮影機能による撮影実行時の表示画面として、大面積の偽り画面内に準備されている小領域内に撮影情報を判別可能に表示するようにしてもよい。
この態様では、痴漢行為などの犯罪の撮影情報は小領域の小窓でのみ表示できるようにして、その犯罪者などに気付かれないように撮影することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図14は本発明の一実施形態に係る統括指示装置を含んで統括指示方法を実行する通報処置システムを示す図である。ここで、本実施形態は、図15や図16を用いて説明した箇所に好適に適用することができるものであることから、その図で用いた符号を共通に使用して説明する。
図1において、通報処置システムは、鉄道運行車両(以下、単に車両ともいう)Cに乗車する乗客Pなどが所持する携帯電話機(携帯端末装置)200と、車両Cが停車する駅のプラットホームPH(図4を参照)に設置されているホームゲートGのゲート開閉装置300と、運行管理装置100と共に運行管理センタ内に設置されて車両C内で発生したトラブルの処置を指示する車内トラブル処置装置400と、を備えて構築されている。
ここで、運行管理装置100は、図2に示すように、制御部111、メモリ部112、HDD(ハードディスクドライブ)113、操作部115、表示部116、およびI/F(インターフェイス)117がバス120を介して各種情報をやり取り可能に接続されてワークステーションとして構成されている。
この運行管理装置100は、制御部111がメモリ部112内の制御処理プログラムや各種パラメータ等に従って各部112〜117を統括制御することによりHDD113内に格納されている不図示の路線内の走行列車の運行状況をその走行列車を特定する列車番号毎に管理するようになっている。運行管理装置100は、I/F117を介してネットワークスイッチNSWに接続することにより、例えば、その各走行列車番号毎の各駅への到着時刻や出発時刻などの運行状況情報を路線内の各検知装置などから受け取って表示部116に表示出力すると共に、操作部115からの入力指示に従って表示画面を切り換えることができるようになっている。また、運行管理装置100は、走行列車を構成する車両Cの長さと連結数と共に各車両Cのドア位置などの各走行列車番号毎の運行状況情報も読み出し可能にHDD113内に格納されている。
携帯電話機200は、図3に示すように、制御部211、メモリ部212、無線通信部213、非接触通信部214、操作部215、表示部216、音声入出力部217、およびカメラ218がバス220を介して各種情報をやり取り可能に接続されて構成されており、制御部211がメモリ部212内の制御処理プログラムに従って各部212〜218を統括制御することにより、操作部215から入力指示された各種機能を実行して表示部216に表示出力などするようになっている。
この携帯電話機200は、無線通信部213が不図示の各基地局を含む公衆回線網N1を介して遠隔位置との間で各種無線通信を実行するようになっており、音声入出力部217のスピーカやマイクを介して音声情報を送受信して会話などをすることができる。また、携帯電話機200は、各種データ情報のパケット通信を実行して各種ホームページの閲覧や電子メール等の送受信をすることができ、携帯電話機向けのホームページで提供されている情報のやり取りや、電子メール内のテキストや添付画像の表示出力を表示部216の表示画面内で実行することができる。また、この携帯電話機200は、非接触通信部214がRFID(radio frequency identification)方式により近接位置のICカードリーダライタ部との間で接続することなく各種情報をやり取りする非接触近接通信を実行するようになっており、例えば、駅の自動改札装置に設置されているICカードリーダライタ部との間で非接触近接通信を実行して定期券の確認や乗車料金の徴収などを自動で完了することができる。
また、この携帯電話機200は、カメラ218を起動させて静止画像または動画像を撮影して保存することができるようになっており、撮影データを電子メールに添付するなどして外部との間で送受信することもできる。また、携帯電話機200は、各種アプリケーションをメモリ部212内に格納して、所定の操作によりアプリ起動部で個別に実行することができるようになっており、例えば、操作部215や表示部216を利用するゲーム(アプリケーション)を起動させて利用することができる。
ここで、この携帯電話機200は、警察官Iや駅員Se(図13を参照)などが所持する場合を一例にして説明するが、図中では、乗客Pが所持するものは携帯電話機200Pとして図示し、警察官Iが所持するものは携帯電話機200Iとして図示し、駅員Seが所持するものは携帯電話機200Sとして図示する。この警察官Iや駅員Seが所持する携帯電話機200は、後述するアプリケーションがインストールされていなくてもよく、電子メールの受信機能と添付されてくる撮影データなどを再生することができれば十分である。
ゲート開閉装置300は、図4および図5に示すように、プラットホームPHの走行列車が停車する側の車両CのドアDに一致する箇所毎に設置されており、2枚1組のゲートGが左右にスライドすることにより開閉して車両Cへの乗客Pの乗降を許可する。このゲート開閉装置300は、プラットホームPHに停車する車両CのドアDに一致する箇所間に設置されている開閉部313が一対のゲートGを両側方に突出または収納する方向に進退させることで車両Cの乗降口となるドアDに対面する位置を開閉する。ここでは、このゲート開閉装置300は、車両CのドアD毎に設置されて左右に位置する開閉部313がゲートGを進退させてドアD前を開閉するものとして、そのドアD毎のゲート開閉装置300−1〜300−N(N:自然数、プラットホームPH上の設置台数)として説明する。なお、このゲート開閉装置300は、列車が停止するプラットホームPHに設置されている、所謂、ホームドアであり、ここでは、車両CのドアDと区別するためにゲートGという文言を使用している。このゲートGは、列車(車両C)の到着に合わせて駅員の操作や車両CのドアDに連動して開閉する。
このゲート開閉装置300は、制御部311、メモリ部312、開閉部313、リーダライタ部(情報通知機能)315、およびI/F317がバス320を介して各種情報をやり取り可能に接続されて構成されており、制御部311がメモリ部312内の制御処理プログラムに従って各部312〜317を統括制御することにより、I/F317を介してネットワークスイッチNSWに接続されている運行管理装置100からの指示信号(各駅の制御管理装置や走行列車側からの指示信号でもよい)に従って開閉部313を駆動させてゲートGを開閉動作させることができる。
また、このゲート開閉装置300は、プラットホームPHを管理する鉄道会社、車両Cが走行する路線、設置されている駅名、プラットホーム番号(番線)など既定の各種情報がメモリ部312内に格納されている。また、ゲート開閉装置300は、制御部311が走行列車の停車時にI/F317とネットワークスイッチNSWを介して運行管理装置100に駅やプラットホーム番号や設置順位などの識別情報を送り付けることにより、その列車番号や車両Cの編成や車両Cの番号(両番号)やドアDの位置などの識別情報を返送してもらってメモリ部312内に格納するようになっている。そして、ゲート開閉装置300は、後述するように、ゲートG毎に、言い換えると、車両CのドアDの左右に位置するリーダライタ部315が携帯電話機200の非接触通信部214などとの間でやり取りして受け取った書込要求に応じて、メモリ部312内から鉄道会社、路線、駅名、プラットホーム番号と共に、列車番号や車両編成や対応するドアD位置などの各種情報を読み出して携帯電話機200に受け渡すようになっている。
車内トラブル処置装置400は、運行管理装置100と同様に図6に示すように、制御部411、メモリ部412、HDD(処置記録部)413、操作部415、表示部416、およびI/F417がバス420を介して各種情報をやり取り可能に接続されてワークステーションとして構成されている。
この車内トラブル処置装置400は、制御部411がメモリ部412内の制御処理プログラムや各種パラメータ等に従って各部412〜418を統括制御することにより、車両C内で発生したトラブル(出来事)の処置に有用な情報の入手と提供を実行するようになっている。また、車内トラブル処置装置400は、公衆回線N1やインターネットN2を介して携帯電話機200からの通報を受け付けたときに、その通報内容を表示部416に表示出力するとともに、その通報内容に応答する操作部415からの各種処理入力に従って予め登録されている別の携帯電話機200にそのトラブルの処置に必要な各種情報を送信するとともに、その通報内容や指示内容をHDD413内に記録保存するようになっている。
具体的には、車両Cに乗車する乗客(利用者)Pが所持する携帯電話機(利用携帯端末装置)200Pは、その車両Cに乗車する際に、ゲート開閉装置300のリーダライタ部315に近接させて非接触通信を非接触通信部214に実行させて、そのゲート開閉装置300のメモリ部312内に格納されている鉄道会社、路線、駅名、プラットホーム番号と共に、乗車する車両Cの停車時に取り込んだ列車番号や車両編成や車両番号(何両目)やドアD位置などの乗車情報(特定情報)を受け取って書換更新可能に保持するサブアプリーケーションを含む、例えば、その乗車情報を利用して乗換のサポートなどをする乗車アプリケーションがメモリ部212内にインストールされている。また、メモリ部212内には、そのサブアプリケーションを同様に含んで、取得した乗車情報を予め設定されている通報先に送信する通報アプリケーション(本体アプリケーション)がインストールされている。
通報アプリケーションは、起動時に乗車情報が未取得の場合には、車両Cに乗車する際に乗車情報の取得を促す不図示の表示画面を表示部216に表示出力する。また、通報アプリケーションは、起動時に乗車情報が取得済みである場合には、図7に示すように、「車内トラブル通報アプリケーション」のタイトル下の枠内に、<路線情報>として、「鉄道会社」、「路線」、「列車番号」、「車両編成」、「ホーム番号」などと共に、<車両情報>として、「車両番号」、「ドア位置」を表示する。この通報アプリケーションは、これに加えて、その<ドア位置情報>として、「変更なし」、「進行方向」、「逆進行方向」をそれぞれ白黒反転による選択表示用アイコン216a付きで表示するようになっており、近傍ドアの位置が進行方向または逆進行方向に変わったドア数をテンキー215cにより直接入力する、あるいは、スクロールボタン216cで選択決定する入力窓216bが表示画面内に準備されている。
この通報アプリケーションは、<ドア位置情報>の「変更なし」の選択表示用アイコン216aが黒表示のままでドア位置の変更がない場合に、操作部215のカーソル操作キー215aで下部の通報ボタン216dが選択されて中央の決定キー215bが押下されると、予め設定されている、例えば、鉄道会社や路線に応じて設定されている車内トラブル処置装置400が受信する電子メールアドレスにこれら乗車情報を送信する。また、通報アプリケーションは、ドア位置の変更がある場合に、操作部215のカーソル操作キー215aで<ドア位置情報>の「進行方向」または「逆進行方向」の一方の選択表示用アイコン216aが選択されて決定キー215bが押下され白黒反転された(選択決定された)後に、入力窓216b内に数字が直接入力あるいは選択入力されて決定キー215bが押下されて、この後に、通報ボタン216dが選択されて決定キー215bが押下されると、同様に、車内トラブル処置装置400の電子メールアドレスにこれら変更乗車情報を送信する。
また、通報アプリケーションは、通報ボタン216dの選択決定(押下)による乗車情報の送信完了後には、図8に示す表示画面に切り替えて下部に準備されている秘匿撮影ボタン216eが決定キー215bで選択決定されたときに、カメラ218を起動させて、痴漢行為や周囲の状況などを判別できる一定時間の動画像(静止画像としてもよい)を撮影仮保存してその撮影データ(通報情報)を先に乗車情報の送信先の車内トラブル処置装置400の電子メールアドレスに送信する。
このとき、通報アプリケーションは、撮影を第三者に報知するためにカメラ218の起動中を示す点灯や撮影開始終了音の音声出力などの報知機能を制限して、周囲に気付かれない状態での撮影を許可する秘匿モードを備えており、例えば、車両C内の犯人などを気づかれないように表示窓216fで確認しつつ撮影して車内トラブル処置装置400に送信する。その一方で、この通報アプリケーションは、起動中の秘匿撮影の許可が盗撮行為を誘引しないように、データフォルダ内や電子メール送信フォルダに再生可能に撮影データを保存することなく(再表示禁止)、車内トラブル処置装置400宛ての電子メールに添付して送信するようになっている。さらに、この通報アプリケーションは、送信エラーが発生した場合にも自動再送信を繰り返し実行して(再送信機能)特に操作することなく(手間無く自動再送)、撮影データの送信を完了して、仮保持する撮影データは自動消去するようになっている。
車内トラブル処置装置400は、車両Cの乗客Pの携帯電話機200Pから乗車情報の添付されている第1通報目の電子メールを受け取ると、まずは、その乗車情報をHDD413内に電子メールアドレスや日時情報などを対応付けして記録保持するとともに表示部416に目視確認可能に表示出力する。この車内トラブル処置装置400は、同時に、乗車情報に含まれる列車番号の走行位置を運行管理装置100に問い合わせて、次に停車する駅以降に待機する鉄道警察官Iおよび駅員Seや該当列車に乗車巡回する鉄道警察官Iが所持する携帯電話機200I、200Sの予め設定されている電子メールアドレスにその第1通報電子メールを転送(送信)する。
また、車内トラブル処置装置400は、続けて、その携帯電話機200Pから撮影データの添付されている第2通報目の電子メールを受け取ると、先に記録保持した乗車情報に加えてその撮影データを対応付けしてHDD413内に記録保持するとともに表示部416に乗車情報と一緒に目視確認可能に表示出力する。この車内トラブル処置装置400は、同時に、先に乗車情報を添付して電子メールを送信した携帯電話機200I、200Sにその第2通報電子メールを転送する。
すなわち、車内トラブル処置装置400は、車内トラブル通報受信部401、車内トラブル通報記録部402、車内トラブル通報確認部403、巡回・待機警察官等通知指示部404として機能し、通報受付部、処置決定部、および、処置指示部を備える統括指示装置を構成している。なお、本実施形態では、受信から受け付け、および、処置決定・指示まで車内トラブル処置装置400で行っているが、これに限る必要はなく、上記各部が別個の装置として配置されていてもよく、また、送受信は、受付および指示を行う装置とは別に実行する形態であってもよい。
そして、本実施形態の通報処理システムでは、以下で説明するように、各種情報のやり取りをすることにより車内で発生したトラブルの通報処置手順(統括指示方法を含む通報処置方法)を実行する。
本トラブル通報処置を実行可能に準備されている乗客Pの携帯電話機200Pは、図9のフローチャートに示す手順を実行する。まず、乗客Pによる手動操作により、あるいは、非接触通信部214が改札のリーダライタ部との間で行う非接触通信を切っ掛け(トリガー)にして自動的に、例えば、乗換サポートに役立つ乗車(本体)アプリケーションがサブアプリケーションを含めて起動する(ステップS101)。この後に、乗車する列車(車両C)がプラットホームPHに到着する前、あるいは、その列車の車両Cに乗車するタイミングにゲート開閉装置300のリーダライタ部315との間で非接触通信部214が非接触通信を実行する(ステップS103)。その非接触通信部214を介して転送されてくるメモリ部312内のその車両Cに対応する乗車情報を受け取って(ステップS105)、メモリ部212内に格納して最新情報に書換更新する(ステップS107)。なお、ここでは、乗車アプリケーションの起動から説明するが、その乗車アプリケーションが不要な場合やインストールしていない場合などには、通報(本体)アプリケーションを起動させてもよいことは言うまでもない。
この後に、例えば、痴漢行為を受けている被害者乗客Pvが加害者Mに気付かれないように手動操作して、本実施形態の通報アプリケーションが起動されると(ステップS111)、サブアプリケーションの起動(乗車情報の取得)を条件に、図7に示すように、メモリ部112内に格納する乗車情報を表示部216に表示出力する(ステップS113)。
このとき、既にステップS101で通報アプリケーションが手動で起動されている場合には、ステップS103〜S107において最新の乗車情報がメモリ部112内に格納されており、メモリ部112内に格納する乗車情報が既に表示部216に表示出力されていてもよい。また、ステップS111における通報アプリケーションの再度の起動操作により、ステップS113でサブアプリケーションの起動を確認してメモリ部112内に格納する乗車情報を表示部216に初めて表示出力するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、通報アプリケーションの起動を手動操作する場合を一例に説明するが、これに限るわけではなく、サブアプリケーションを含む他の本体アプリケーションの起動中には、例えば、通報アプリケーションの実行を指示するアイコン(ボタン)を表示部216内に表示させていてもよい。また、この通報アプリケーションは、サブアプリケーションが起動している状態であれば、例えば、サイドキー215dの操作により、あるいは、重力加速度センサを備える場合には特有の振り操作により起動するようにしてもよく、この場合は、より加害者Mに気付かれないように迅速に通報することができる。
これにより、携帯電話機200は、鉄道を利用する際に役に立つ乗車アプリケーションを起動させて乗車情報を取得しておくことにより、そのまま通報アプリケーションを実行することができ、トラブルが起こらないときから通報アプリケーションの起動を強制することを回避することができる。このため、必要なときに通報アプリケーションを起動すればよく、また、乗車情報を取得する動作が他の乗客に取って不快になってしまうことを避けることができる。
次いで、操作部215を操作して表示部216内のカーソルを移動させることにより、乗車情報が修正されたか確認して(ステップS115)、<ドア位置情報>の「進行方向」または「逆進行方向」の選択表示用アイコン216aの選択決定と共に入力窓216b内への数字入力がなされる乗車情報の修正追加が確認された場合には、その乗車情報を更新した後に(ステップS117)、続けて、通報ボタン216dの選択決定がされたか否かを確認して(ステップS119)、通報ボタン216dの決定キー215bによる選択決定が確認された場合には、メモリ部112内に格納する更新後の乗車情報を、鉄道会社や路線に応じて設定されている車内トラブル処置装置400の電子メールアドレスに送信してトラブル発生を通報するとともに、図8に示すように、表示部216の表示画面を切り替える(ステップS121)。
一方、ステップS115において、乗車情報の修正が確認されずに、<ドア位置情報>の「変更なし」の選択表示用アイコン216aが黒表示の選択状態のままで、通報ボタン216dの決定キー215bによる選択決定が確認された場合には(ステップS117、S119)、メモリ部112内に格納する乗車情報をそのまま車内トラブル処置装置400の電子メールアドレスに送信してトラブル発生を通報するとともに、図8に示すように、表示部216の表示画面を切り替える(ステップS121)。
ここで、何のアプリケーションも起動されていないで痴漢行為の被害を受けたときに初めて通報アプリケーションを起動する場合でも、一端下車してプラットホームPHのゲート開閉装置300のリーダライタ部315から乗車情報を取得してメモリ部112内に格納することもでき、以下同様に処理して通報することができる。
これにより、携帯電話機200Pを所持する被害者乗客Pvは、不審に思われることなく、乗車した車両Cや近傍のドアDの位置などを調べたり煩雑な入力操作の手間無く、正確な乗車位置情報と共にトラブルの発生を通報することができる。
次いで、操作部215を操作して秘匿撮影ボタン216eが選択決定されたか確認して(ステップS131)、秘匿撮影ボタン216eの決定キー215bによる選択決定が確認された場合には、カメラ218を起動させて一定時間の動画像撮影仮保存と共にその撮影データを添付しての同一電子メールアドレスへの送信を実行する(ステップS133)。この後には、携帯電話機200の電源キー215fの押下による通報アプリケーションの終了指示の有無を確認し(ステップS135)、終了指示が確認される前にはステップS131に戻って秘匿撮影ボタン216eの選択決定が確認される度に秘匿撮影と撮影データの送信を繰り返し、電源キー215fの押下が確認された場合には、例えば、件名に「終了」と入っている予め準備されている終了電子メールを同一電子メールアドレスに送信した後に通報アプリケーションを終了する(ステップS137)。
これにより、携帯電話機200Pは、図10に示すように、加害者Mに気付かれないようにその姿など(顔や手元等)を秘匿撮影して、また、その周辺と共に他の乗客Pなども秘匿撮影して、鉄道会社の車内トラブル処置装置400に送信することができ、乗車情報による正確な位置と共に、加害者Mの姿や犯行の証拠になる映像などを撮影して通報することができる。また、被害者乗客Pvは、乗車情報や撮影データを車内トラブル処置装置400(鉄道警察官Iや担当駅員Seなど)に送信して通報した後には、状況に応じて、例えば、痴漢行為が継続していない場合には乗車する鉄道警察官Iや停車駅で待機する鉄道警察官Iなどに保護されるのを待っていたり、痴漢行為が継続している場合には離れたり下車して他の駅員に通報済みであることを伝えて事情聴取に備えることができる。
その一方で、車内トラブル処置装置400は、図11のフローチャートに示す手順を実行する。まず、携帯電話機200Pからの通報の有無を常時確認していて(ステップS201)、被害を受けている乗客Pvの携帯電話機200Pから送信(通報)されてきた乗車情報の添付されている第1通報電子メールの受信を確認すると、車内トラブル発生と判断して(ステップS203)、その電子メールに添付されている乗車情報をその携帯電話機200Pの電子メールアドレスや受信日時情報などを対応付けしてHDD413内に格納する記録保存処理を行なう(ステップS205)。
このとき、その乗車情報はモニタなどの表示部416に表示出力してトラブルの発生場所を運行管理センタ内の駅員などにも目視により把握可能にする(ステップS207)。同時に、その乗車情報に含まれる列車番号の走行位置を運行管理装置100に問い合わせて、そのトラブル処置に最適なプラットホームPHの駅、言い換えると、その列車が次に停車する駅から該当車両Cに乗車して捜索し逮捕するまでに十分な時間を取ることができる駅(停車場所)を割り出して(ステップS209)、それらの駅に待機する鉄道警察官Iやその列車に乗車して巡回する鉄道警察官Iや該当駅員Seが所持する携帯電話機200I、200Sの電子メールアドレスにその第1通報電子メールを転送(送信)する(ステップS211、213)。
これにより、鉄道警察官Iや担当駅員Seは、携帯電話機200I、200Sが受信した電子メールに添付されている乗車情報(処置位置)を確認することができ、例えば、図12(a)に示すように、該当車両Cに乗車している鉄道警察官Iは、被害者乗客Pvから離れていても、図12(b)に示すように、他の乗客Pが多数乗車している状況でも、その乗車情報に含まれる列車番号や車両番号やドア位置などから被害者乗客Pvの位置を把握して接近することができる。また、該当車両Cに乗車していない場合でも、鉄道警察官Iなどは、適宜乗車することができ、また、図13に示すように、被害者乗客Pv近傍の車両CのドアDの外側のホームゲートGの外側で待機することができる。
この後に、被害者乗客Pvの携帯電話機200Pから送信されてきた終了電子メールを受信する車内トラブル処置の終了確認の前に(ステップS215)、その携帯電話機200Pから送信されてきた秘匿撮影した撮影データが添付されている第2通報電子メールの受信を確認した場合には(ステップS217)、先に第1通報電子メールと同一の携帯電話機200I、200Sの電子メールアドレスにその第2通報電子メールも転送(送信)する(ステップS219)。
このとき、その撮影データは表示部416に先に取得していた乗車情報と共に表示出力して運行管理センタ内の駅員などにも目視により把握可能にするとともに(ステップS221)、その運行管理センタ内の担当者が撮影データの内容を確認した上で操作部415から入力する補足情報と共に乗車情報に対応付けして撮影データをHDD413内に格納する(ステップS223)。この後には、ステップS215に戻って、車内トラブル処置の終了を終了電子メールの受信で確認されるまで同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS215において、被害者乗客Pvの携帯電話機200Pから送信されてきた終了電子メールを受信して車内トラブル処置の終了を確認した場合には、そのまま車内トラブル処置を終了する(ステップS225)。
これにより、該当車両Cに乗車する鉄道警察官IやプラットホームPHで待機する鉄道警察官Iと担当駅員Seは、乗車情報に加えて、携帯電話機200I、200Sが受信した電子メールに添付されている撮影データを再生して被害内容を確認することができ、車両C内に多数の乗客Pが乗車している状況でも、被害者乗客Pvが撮影した加害者Mやその周囲の様子を把握することができる。
したがって、鉄道警察官Iや担当駅員Seは、車両C内やプラットホームPHに降りてきたところで、加害者Mを間違えることなく現行犯逮捕することができ、被害者乗客Pvの保護や事情聴取と合わせてその加害者Mを任意同行あるいは逮捕することができ、HDD413内の乗車情報や撮影データなどの証拠も確保されている。
また、被害者Pvに限らず、図14に示すように、痴漢行為に気が付いた第三者の乗客Poでも、通報アプリケーションをインストールしてある携帯電話機200Pを所持していれば、その被害者Pvに成り代わって、同様の車内発生トラブルの通報処置手順を実行することができる。この第三者の乗客Poは、既に証拠の撮影データなどは車内トラブル処置装置400に送信済みであるので、特に現場に残って事情説明などを受ける必要性は少なく、電子メールアドレスも車内トラブル処置装置400に蓄積されているので後日に連絡を取ることでも十分である。このため、第三者であるのにも拘わらずに、事情聴取で時間を取られて所用に遅れてしまったり、加害者Mに覚えられて逆恨みされたりすることを回避することができ、過大な負担を軽減することにより見て見ぬふりをしてしまうことをなくして、積極的に痴漢被害などの犯罪を防止することができる。
また、怪我などの急病が発生した場合にも同様に通報することができ、迅速に対処することが可能になる。さらに、このときの撮影データで急病人の症状なども確認して適切な処置を取ることができる。
このように本実施形態においては、走行する列車の車両C内で発生した痴漢行為などの被害者乗客Pvの近傍のドアDの位置や、その列車番号などの乗車情報を、また、その状況を撮影した撮影データと共に、単純な操作をするだけで送信して通報することができ、その列車の停車駅などを迅速に特定して駆けつけることができる。したがって、列車や乗車位置などの特定に時間が掛かるなどして、不明のまま処置できなくなってしまうことなく、加害者Mなどを容易に特定して逮捕等をすることができる。この結果、痴漢被害の取り締まりなどを効果的に支援することができ、検挙率を向上させるとともに、犯罪の監視・抑止効果を期待することができる。また、快適で安心・安全な鉄道車両の運行を確保することができる。
また、図示することは省略するが、本実施形態の第1の他の態様としては、本実施形態では、ゲート開閉装置300が走行列車の列車番号などの詳細な乗車情報を取得して携帯電話機200に受け渡すように構成する場合を一例として説明するが、これに限るものではない。例えば、ゲート開閉装置300は、既定の鉄道会社、路線、駅名、プラットホーム番号と共に、現在の時刻情報のみの乗車情報を携帯電話機200に受け渡して、通報先の車内トラブル処置装置400がその乗車情報から運行中の該当列車や車両番号やドア位置などを特定するようにしてもよい。この場合にも、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
第2の他の実施形態としては、本実施形態では、携帯電話機200の表示部216内にボタン216d、216e内に「通報」や「秘匿撮影」などの文字を表示するが、加害者Mに見られると逆上して暴力を振るわれるなどの可能性があることから、極力気付かれないように、異なるダミー文字を表示させたり、文字なしなどにしてもよい。また、撮影中の映像を表示窓216fで表示しつつ撮影するが、表示部216の全面を関係のない他のホームページなどのダミー画面にして、位置などが判別できる程度の小さな小窓を埋め込んで目立たないようにしてもよい。この場合にも、本実施形態と同様の作用効果を得ることができ、また、加害者Mが気付く心配をより少なくして、安心して通報することができる。
第3の他の実施形態としては、本実施形態では、撮影データで車両C内での出来事を特定可能にしているが、これに限らず、例えば、補足説明する簡単なテキスト入力をする小窓を準備して車内トラブル処置装置400に通報(送信)できるようにしてもよい。また、都度入力するのではなく、例えば、痴漢被害、痴漢発見、怪我人、体調不良など複数種の出来事を乗車情報と共に選択可能に準備して一緒に通報できるようにしてもよい。このとき、表示部216の画面を電子メールの画面にしてテキスト入力を行い得るようにしてもよく、また、その画面の一部に撮影映像を確認できる程度の小窓を準備するようにしてもよい。この場合には、車両C内で発生した出来事をより容易に把握することができ、迅速かつ適切に処置することができる。
第4の他の態様としては、本実施形態では、被害者乗客Pvの通報に対する応答をすることはないが、例えば、その通報の受け付けを報告する応答電子メールを返信するようにしてもよい。この場合には、単に受け付けを知らせるだけでなく、その返信電子メール内に鉄道警察官Iが乗車しているなど、各種情報を知らせて安心させることもでき、また、指示することもできる。
第5の他の態様としては、本実施形態では、ゲート開閉装置300のゲートGの開閉を特に制御することはしていないが、状況に応じて運行管理センター側の、例えば、車内トラブル処置装置400に開閉部313を遠隔制御する開閉制御部を設けて操作できるようにしてもよい。この場合には、例えば、鉄道警察官I等の到着が間に合わないときに、加害者Mの近傍のドアDに対応するゲートGの開放を遅延させることにより、加害者Mが降りてしまって他の乗客Pに紛れてしまうことを回避したり、乗車する鉄道警察官Iが確保する状態でそのまま待機して他の乗客Pが別のドアDから降りた後に混乱なく同行することもできる。
第6の他の態様としては、本実施形態では、車内トラブル処置装置400が携帯電話機200Pからの通報(送信)を拒否することはないが、その携帯電話機PのSIMカード情報などの識別情報を取得して、例えば、その携帯電話機Pがプリペイド式で使用者を厳格に特定できない場合にはその旨を返信するなどして拒否するようにしてもよい。この場合には、使用者を特定することができ、いたずらによる通報を未然に防止して混乱することを回避することができる。
第7の他の態様としては、本実施形態では、電子メールで各種情報を添付して通報する場合を一例にして説明するが、これに限らず、例えば、ホームページ形式に設計して、各種情報をやり取り可能にしてもよく、また、常時接続してリアルタイムに状況を通報することができるようにしてもよい。この場合にも、上述実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。