JP5897495B2 - 配線基板 - Google Patents
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Description
このような金属のイオンマイグレーションを防止する方法として、金属配線中に所定のマイグレーション抑制剤を導入する方法が提案されている(特許文献1)。
また、各種回路や部品の性能向上の点からは、金属配線の導電特性のより一層の向上も要求されている。
一方、金属配線の導電特性を考慮して、金属配線内におけるマイグレーション抑制剤の含有量を減らすと、導電特性は向上するものの金属配線間の絶縁信頼性が低下する。
このように、従来技術においては、配線層の導電特性とイオンマイグレーション抑制機能(言い換えると、配線層間の絶縁信頼性)はトレードオフの関係にあることが多く、両者をより高いレベルで達成する技術が求められていた。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(2) マイグレーション抑制剤が、後述する一般式(1A)〜(3A)で表される化合物、後述する一般式(6A)〜(8A)で表される化合物、ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、マグネシウム化合物、酸化アンチモン、後述する一般式(1)〜一般式(5)で表される化合物、後述する一般式(22)で表される化合物、後述する一般式(23)で表される化合物、および、後述する一般式(24)で表される基と後述する一般式(25)で表される基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、(1)に記載の配線基板。
(3) 一般式(1)で表される化合物が、後述する一般式(6)〜一般式(21)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(2)に記載の配線基板。
(4) 配線層中の金属が、金、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選択される(1)〜(3)のいずれか1つに記載の配線基板。
(5) 絶縁基板上に側面が露出する細線状の第1金属層が配置され、第1金属層の側面を含む絶縁基板と接触していない表面を覆うように第2金属層が配置されている、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の配線基板。
(6) (1)〜(5)のいずれか1つに記載の配線基板と、配線基板の配線層上に配置された絶縁層とを有する、絶縁層付き配線基板。
(7) プリント配線基板に用いられる、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の配線基板。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明においては、配線層の露出表面(絶縁基材と接触していない表面)付近にマイグレーション抑制剤をより偏在させることにより、通常トレードオフの関係にある配線層の導電特性とイオンマイグレーション抑制機能との両者をより高いレベルで両立することができる。より具体的には、配線層の外側露出表面付近に多くのマイグレーション抑制剤を偏在させることにより、配線層の露出表面付近から外側に析出する金属イオンの拡散を効率よく抑制することができる。また、配線層の外側表面付近に多くのマイグレーション抑制剤を偏在させることにより、配線層内部において金属以外の不純物の量を低減させることができ、結果として配線層内部に導通路が形成され、優れた導電特性を達成することができる。
図1は、配線基板の第1の実施態様の模式的断面図を示し、配線基板10は、絶縁基板12と、絶縁基板12上の全面に渡って配置された配線層14とを備える。配線層14は、第1金属層14aと第2金属層14bとを有する。
以下に、各部材(絶縁基板12、配線層14)について詳述する。
絶縁基板12は、絶縁性であり、配線層を支持できるものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、有機基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。
また、絶縁基板12は、有機基板、セラミック基板、およびガラス基板からなる群から選ばれる少なくとも2つの基板が積層した構造であってもよい。
なお、有機基板の材料としては、ガラス織布、ガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、芳香族ポリアミド織布や、これらに上記樹脂を含浸させた材料なども使用できる。
配線層14は、絶縁基板12上に配置される層で、導体部として機能する。
配線層14(言い換えると、第1金属層14aまたは第2金属層14b)は、主に金属で構成されている。金属の種類は特に制限されず、用途に応じて適宜最適な金属が選択される。なかでも、配線としての機能の点から、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの合金などが挙げられる。
第2金属層14bの厚みT1は、配線層14の全体厚みT2の1/10の厚みに相当する。言い換えると、配線層14中における第2金属層14bは、配線層14の露出表面から配線層14の全体厚みの1/10に相当する深さ位置までの領域に該当する。
配線層14中における第2金属層14b部分の特定方法としては、絶縁基板12表面に対して垂直な方向の配線層14の垂直断面を電子顕微鏡(SEMまたはTEM)で観察して、配線層14の外側表面(絶縁基板12と接触していない表面)から配線層14の全体厚みの1/10に相当する深さ位置までの領域を第2金属層14bとする。
なお、配線層14の全体厚みは、5箇所以上の任意点の配線層14の全体厚みを測定して、それらを算術平均したものである。
下限は特に制限されないが、0が最も好ましく、実用上は0.001以上であってもよい。
なお、比(X/Y)の測定方法は特に制限されず、例えば、絶縁基板12表面に対して垂直な方向の配線層14の垂直断面を電子顕微鏡(SEMまたはTEM)で観察して、第1金属層14aに相当する領域と第2金属層14bに相当する領域とに含まれる成分の元素分析を行い、マイグレーション抑制剤由来の元素の量を比較して、比(X/Y)を求めることができる。
使用されるマイグレーション抑制剤の種類に関しては、後段で詳述する。
第2金属層14bに含まれるマイグレーション抑制剤の含有量は上述した比(X/Y)を満たしていれば特に制限されないが、配線層14の導電特性の観点から、配線層14全質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5.0質量%がより好ましい。
マイグレーション抑制剤(マイグレーション防止剤)は、配線層14から析出する金属イオンのマイグレーションを抑制する化合物であり、上述した配線層14中に含まれる。
マイグレーション抑制剤の種類は特に制限されず、公知の化合物を使用することができる。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、無機イオン吸着剤、有機酸化防止剤、有機イオン吸着剤などが好ましい。以下に、それぞれの化合物について詳述する。
ビスマス化合物としては、例えば、酸化ビスマス、チタン酸ビスマス、硝酸ビスマス、サリチル酸ビスマス、炭酸ビスマスなどが挙げられる。これらの中でも、酸化ビスマスが特に好ましい。
ジルコニウム化合物としては、例えば、リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸ジルコニウム、テルル酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらの中でも、リン酸ジルコニウムが特に好ましい。
酸化アンチモン化合物としては、例えば、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、リンアンチモン酸、アンチモン酸ジルコニウム、アンチモン酸チタンなどが挙げられる。これらの中でも、五酸化アンチモンが特に好ましい。
マグネシウム化合物としては、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
なお、ビスマス化合物(A)と、ジルコニウム化合物および酸化アンチモン化合物の少なくともいずれか(B)との質量比(A:B)は1:0.2〜1:5が好ましく、1:0.5〜1:2がより好ましい。
有機酸化防止剤の好適態様としては、一般式(1A)、一般式(2A)および一般式(3A)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物が挙げられる。
脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはこれらを組み合わせた基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、1〜40が好ましく、4〜20がより好ましい。
アシル基またはRzOC(=O)基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましい。
炭素原子の合計数が該範囲であれば、金属のイオンマイグレーションが抑制され、配線層間の絶縁信頼性が向上する。なお、該効果がより優れる点で、合計数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、合成がより容易であり、配線層中での分散性がより優れる点から、合計数は50以下が好ましく、40以下がより好ましい。
なお、化合物中において、R1a〜R5aの一つのみが炭素原子を含む基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基など)の場合は、該基中の炭素原子の数が4以上であればよい。
また、化合物中において、R1a〜R5aのうち複数の基が炭素原子を含む基(例えば、アルキル基、アルコキシ基など)の場合は、各基中に含まれる炭素原子の数の合計が4以上であればよい。例えば、R1aおよびR2aがアルキル基で、R3a〜R5aが水素原子の場合、R1aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数とR2aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が4以上であればよい。
脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはこれらを組み合わせた基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。
なお、上記合計とは、例えば、R6a〜R8aがすべてアルキル基の場合、R6aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R7aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R8aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が6以上であればよい。
なお、R6a〜R8aには、必要に応じて、公知の置換基がさらに含まれていてもよい。置換基の例としては、上述したR1a〜R5aに置換される置換基と同義である。
なお、R6a〜R8aは互いに結合して環を形成してもよい。
アルキル基またはアリール基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。
なお、アルキル基またはアリール基には、ヘテロ原子が含まれていてもよい。含有されるヘテロ原子の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。なかでも、イオンマイグレーション抑制機能が優れる点で、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、−C(=X3)X4−、−SOn−、−SO2N(Rc)−、ハロゲン原子、またはこれらを組み合わせた基の態様で含まれることが好ましい。
X1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
上記Ra、Rb、Rcは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
nは1〜3の整数を表す。
なお、上記合計とは、例えば、R9a〜R12aがすべてアルキル基の場合、R9aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R10aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R11aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数と、R12aのアルキル基中に含まれる炭素原子の数との合計数が6以上であればよい。
なお、R9a〜R12aは互いに結合して環を形成してもよい。
上述した一般式(1A)〜(3A)で表される化合物のなかでも、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、一般式(4A)、(5A)または(10A)で表される化合物が好適に挙げられる。
一般式(4A)中、R14aおよびR15aは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、酸素原子を含んでもよい脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでもよい芳香族炭化水素基を表す。なかでも、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、3級炭素原子あるいは4級炭素原子を含むアルキル基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。特に、R14aが炭素原子数1〜5個のアルキル基で、R15aが炭素原子数10〜20個のアルキル基であることが好ましい。
Lは、酸素原子を有していてもよい2価若しくは3価の脂肪族炭化水素基、酸素原子を有していてもよい2価若しくは3価の芳香族炭化水素基、−S−、または、これらを組み合わせた基を表す。
脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、脂肪族炭化水素基は1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい、また芳香族炭化水素基は6〜40が好ましく、6〜20がより好ましい。
また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または、環状のいずれであってもよい。
nは、2または3の整数を表す。
SH基含有化合物は、テトラゾール構造、トリアゾール構造、チアジアゾール構造およびベンズイミダゾール構造からなる群から選ばれる構造を含む。なかでも、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、トリアゾール構造、チアジアゾール構造が好ましい。
SH基含有化合物中におけるメルカプト基の量は特に制限されないが、化合物の全分子量中に対してメルカプト基の原子量総量が占める割合が50%以下であることが好ましく、特に40%以下が好ましい。
なお、メルカプト基は、一つだけなく、複数含まれていてもよい。
各炭化水素基中の炭素数は特に制限されず、後述する合計炭素数が5以上を示せば特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、炭素数30以下が好ましく、24以下がより好ましい。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6以上が好ましく、2置換以上の芳香族炭化水素基がより好ましい。
なお、化合物中において、炭化水素基の数が1つの場合は、炭化水素基中の炭素原子の数が5以上であればよい。
また、化合物中において、複数の炭化水素基が含まれる場合は、各炭化水素基中に含まれる炭素原子の数の合計が5以上であればよい。より具体的には、2つの炭化水素基(炭化水素基A、炭化水素基B)が化合物中に含まれる場合、炭化水素基A中の炭素原子の数と炭化水素基B中の炭素原子の数の合計が5以上であればよい。
つまり、該化合物は、一般式(A)で表される合計炭素数TCが5以上であればよい。
X1〜X4は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、およびテルル原子からなる群から選択される。なかでも、取り扱いがより簡便である点から、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
上記Ra、Rb、Rcは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。
nは1〜3の整数を表す。
SH基含有化合物の好適態様としては、以下の一般式(6A)〜一般式(8A)で表される化合物が挙げられる。該化合物であれば、イオンマイグレーション抑制機能がより優れる。特に、本発明の効果がより優れる点で、一般式(6A)または一般式(7A)で表される化合物が好ましい。
R21aおよびR22aの好適態様としては、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、−C(=X3)X4−、−SOn−、−SO2N(Rc)−、またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。X1〜X4、Ra〜Rc、nの定義は上述の通りである。なかでも、SH基含有化合物のイオンマイグレーション抑制機能がより優れる点で、アリール基、または、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、または−C(=X3)X4−を含んでいてもよい炭化水素基が挙げられ、R1aおよびR2aのうち少なくともどちらか一方が脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
なお、炭化水素基(脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基)の好適態様は、上述の通りであり、ヘテロ原子の種類も上述の通りである。
該炭化水素基の定義は上述の通りである。なお、一般式(7A)中において、該炭化水素基の好適態様としては、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、−C(=X3)X4−、−SOn−、−SO2N(Rc)−、またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはそれらの組み合わせ)が挙げられ、−X1−を有する炭化水素基(特に、脂肪族炭化水素基)がより好ましい。
該炭化水素基の定義は上述の通りである。なお、一般式(8A)中における、該炭化水素基の好適態様としては、−X1−、−N(Ra)−、−C(=X2)−、−CON(Rb)−、−C(=X3)X4−、−SOn−、−SO2N(Rc)−、またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはそれらの組み合わせ)が挙げられ、以下の一般式(9A)で表される基がより好ましい。該基であれば、SH基含有化合物の配線層中における分散性がより優れ、イオンマイグレーション抑制機能がより向上する。
*−L1−R30a 一般式(9A)
一般式(9A)中、L1は、単結合、−O−、−NR31a−、−CO−、−C(R32a)(R33a)−またはこれらを組み合わせた基を表す。R31a〜R33aは、それぞれ独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表す。
R30aは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基を表す。脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の好適態様は、上述の通りである。
なお、一般式(9A)中、*は結合位置を表す。
また、R24a〜R27aの各基中に含まれる炭素原子の数の合計は5以上である。言い換えると、R24a中の炭素原子の数と、R25a中の炭素原子の数と、R26a中の炭素原子の数と、R27a中の炭素原子の数との合計数(合計炭素数)が5以上であればよい。なお、合計数の好適態様は、上述の通りである。
なお、上述したフッ素原子が含まれるマイグレーション防止剤(一般式(1)〜(5)で表される化合物、一般式(22)で表される化合物、一般式(23)で表される化合物、一般式(24)で表される基と一般式(25)で表される基とを有する化合物)のフッ素含有率は、形成される配線層のイオンマグレーション抑制機能がより優れると共に、面状特性にもより優れる点で、20質量%以上65質量%未満であることが好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜55質量%がさらに好ましい。
なお、フッ素含有率とは、マイグレーション防止剤の全分子量中におけるフッ素原子の占める質量の割合(含有率)を表したものである。
以下、それぞれの化合物について詳述する。
まず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
P−(CR1=Y)n−Q 一般式(1)
一般式(1)中、PおよびQは、それぞれ独立に、OH、NR2R3またはCHR4R5を表す。ただし、nが0であるとき、PおよびQの両方がCHR4R5であることはなく、PおよびQの両方がOHであることもない。YはCR6または窒素原子を表す。
窒素原子に置換可能な基としては窒素原子に置換できる基であれば特に制限されないが、例えば、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに置換されていてもよい。
好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロペンチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、トリアコンチルなどを挙げることができる。さらに好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルであり、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルである。
なお、アルキル基には、−CO−、−NH−、−O−、−S−、またはこれらを組み合わせた基などの連結基が含まれていてもよい。なお、アルキル基中に上記連結基が含まれる場合、その位置は特に制限されず、末端であってもよい。例えば、−S−Rx(Rx:アルキル基)であってもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよび複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
R2およびR3で表されるアルケニル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、アルケニル基には、上記アルキル基と同様に、−CO−、−NH−、−O−、−S−またはこれらを組み合わせた基などの連結基が含まれていてもよい。
R2およびR3で表されるアルキニル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、アルキニル基には、上記アルキル基と同様に、−CO−、−NH−、−O−、−S−またはこれらを組み合わせた基などの連結基が含まれていてもよい。
さらに好ましくは、フェニル、2−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ベンジルフェニル、4−ベンジルフェニルなどを挙げることができ、特に好ましくは、フェニル、2−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ベンジルフェニル、4−ベンジルフェニルなどを挙げることができる。
R2およびR3で表されるアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
R4およびR5で表される置換基としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、これらを組み合わせた基であり、それぞれの好ましい例としては、前述のR2およびR3の例を挙げることができる。
R4およびR5で表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
R1およびR6で表される置換基としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、これらを組み合わせた基であり、それぞれの好ましい例としては、前述のR2およびR3の例を挙げることができる。
R1およびR6で表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、二つの基が結合する際には、単結合、二重結合および三重結合のいずれかの結合形式が含まれていてもよい。
なお、R1〜R6の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)は、フッ素原子で置換されていることが好ましい。なかでも、フッ素原子は、フルオロアルキル基(以下、Rf基もいう)またはRf基で置換された基として含まれることが好ましい。つまり、R1〜R6の少なくとも一つの基中には、フルオロアルキル基が含まれることが好ましい。
Rf基は、炭素原子数1ないし14の直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基、または、炭素原子数1ないし14の直鎖もしくは分岐のパーフルオロアルキル基で置換された、炭素原子数2ないし20の置換基であることが好ましい。
炭素原子数1ないし14の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基の例としては、CF3−、C2F5−、C3F7−、C4F9−、C5F11−、(CF3)2−CF−(CF2)2−、C6F13−、C7F15−、(CF3)2−CF−(CF2)4−、C8F17−、C9F19−、C10F21−、C12F25−およびC14F29−を挙げることができる。
炭素原子数1ないし14のパーフルオロアルキル基により置換された炭素原子数2ないし20の置換基の例としては、(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2−、C9F19CH2−、C8F17CH2CH(OH)CH2−、C8F17CH2CH(OH)CH2OC=OCH2−、(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OC=OCH2−、C8F17CH2CH(OH)CH2OC=O(CH2)2−、(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OC=O(CH2)2−、(CF3)2CFOC2F4−、CF3CF2 CF2O〔CF(CF3)CF2O〕4−CF(CF3)−、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Rf基は分子中に1ないし4個含まれることが好ましい。
なお、上述した一般式(1)で表される化合物は、2種以上使用してもよい。
なお、一般式(6)〜一般式(21)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
一般式(6)において、V6は置換基を表す。aは、1〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。なお、V6のうち少なくとも一つにはフッ素原子が含まれる。つまり、V6が1つの場合、その置換基にはフッ素原子が含まれ、V6が2つ以上の場合、少なくとも1つのV6にフッ素原子が含まれていればよい。フッ素原子は、少なくとも1つのV6で表される基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)に置換して導入されることが好ましい。なかでも、V6中に上述したRf基が含まれることが好ましい。
V6で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(6)に複数のV6が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
以下に、一般式(6)で表される化合物の具体例を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、化合物の構造式に併記した百分率表示は、フッ素原子の質量含率(フッ素含有率)を示すものである。
一般式(7)において、V7は置換基を表す。aは、1〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。なお、V7のうち少なくとも一つにはフッ素原子が含まれる。つまり、V7が1つの場合、その置換基にはフッ素原子が含まれ、V7が2つ以上の場合、少なくとも1つのV7にフッ素原子が含まれていればよい。フッ素原子は、少なくとも1つのV7で表される基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)に置換して導入されることが好ましい。なかでも、V7中に上述したRf基が含まれることが好ましい。
V7で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(7)に複数のV7が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
以下に、一般式(7)で表される化合物の具体例を示す。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(8)において、V8は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V8で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(8)に複数のV8が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
V8、R81およびR82のうち少なくとも1つには、フッ素原子が含まれる。なかでも、V8、R81およびR82の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、V8、R81およびR82のうち少なくとも1つには、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
なお、V8が複数ある場合、複数のV8、R81およびR82のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(9)において、V9は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V9で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(9)に複数のV9が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
V9、R91およびR92のうち少なくとも1つには、フッ素原子が含まれる。なかでも、V9、R91およびR92の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、V9、R91およびR92のうち少なくとも1つには、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
なお、V9が複数ある場合、複数のV9、R91およびR92のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(10)において、V10は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V10で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(10)に複数のV10が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R101およびR102で表される置換基としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アリール基であり、それぞれの好ましい例としては、前述のR2およびR3の例を挙げることができる。
R101およびR102が置換基を表す場合、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、V10が複数ある場合、複数のV10、R101およびR102のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(11)において、V11は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V11で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(11)に複数のV11が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R111およびR112で表される置換基としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができ、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アリール基であり、それぞれの好ましい例としては、前述のR2およびR3の例を挙げることができる。
R111またはR112が置換基を表す場合、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、V11が複数ある場合、複数のV11、R111およびR112のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(12)において、V12は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V12で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(12)に複数のV12が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、V12が複数ある場合、複数のV12、R121、R122、R123およびR124のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(13)において、V13は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V13で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(13)に複数のV13が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、V13が複数ある場合、複数のV13、R131、R132、R133およびR134のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(14)において、V14は置換基を表す。cは、1〜2の整数(好ましくは11)を表す。なお、V14のうち少なくとも一つにはフッ素原子が含まれる。つまり、V14が1つの場合、その置換基にはフッ素原子が含まれ、V14が2つ以上の場合、少なくとも1つのV14にフッ素原子が含まれていればよい。フッ素原子は、少なくとも1つのV14で表される基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)に置換して導入されることが好ましい。なかでも、V14中に上述したRf基が含まれることがより好ましい。
V14で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(14)に複数のV14が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(15)において、V15は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V15で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(15)に複数のV15が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、V15が複数ある場合、複数のV15、R151およびR152のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(16)において、V16は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V16で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(16)に複数のV16が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、V16が複数ある場合、複数のV16、R161およびR162のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(17)において、V17は置換基を表す。dは、0または1を表す。V17で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(17)に複数のV17が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、V17が複数ある場合、複数のV17、R171、R172およびR173のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(18)において、V18は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V18で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(18)に複数のV18が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R181が置換基を表す場合、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、V18が複数ある場合、複数のV18およびR181のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(19)において、V19は置換基を表す。bは、0〜4の整数(好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくは1)を表す。V19で表される置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。一般式(19)に複数のV19が存在している場合、それぞれの基は同一であっても、異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
R191が置換基を表す場合、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、V19が複数ある場合、複数のV19およびR191のうち少なくとも1つの基に、フッ素原子が含まれる。
一般式(20)において、R201、R202、R203およびR204は、それぞれ独立に、水素原子、または、窒素原子に置換可能な基を表す。窒素原子に置換可能な基としては、前述の一般式(1)のR2およびR3に例示した基を好ましく挙げることができる。
R201、R202、R203およびR204のうち少なくとも1つには、フッ素原子が含まれる。なかでも、R201、R202、R203およびR204の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R201、R202、R203およびR204のうち少なくとも1つには、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
一般式(21)において、R211およびR212は、それぞれ独立に、水素原子、または、窒素原子に置換可能な基を表す。窒素原子に置換可能な基としては、前述の一般式(1)のR2およびR3に例示した基を好ましく挙げることができる。
R211およびR212のうち少なくとも1つには、フッ素原子が含まれる。なかでも、R211およびR212の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R211およびR212のうち少なくとも1つには、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
上記Rx1、Rx2、A、およびX11は、さらに上述した置換基を有していてもよい。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
R7−C(=O)−H 一般式(2)
本発明において一般式(2)で表される化合物には、アルデヒド体とヘミアセタール体との間に平衡が存在することにより還元性を示す化合物(アルドースなど)や、ロブリー・ドブリュイン−ファン エッケンシュタイン転位反応によるアルドース−ケトース間の異性化によりアルデヒド体を形成しうる化合物(フルクトースなど)も含有する。
R7がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、または、アリール基を表すとき、それぞれの好ましい例としては、前述のR2およびR3の例を挙げることができる。
R7が複素環基を表すとき、好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から30の5または6員の芳香族または、非芳香族の複素環基である。好ましい例としては、2−フラニル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニルなどを挙げることができる。
R7としてさらに好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、特に好ましくは、アルキル基、アリール基である。
R7で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
また、R7で表される基中には、ヒドロキシル基、または、−COO−で表される基が含まれていてもよい。
次に、一般式(3)で表される化合物について説明する。
R8、R9およびR10で表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
R8〜R10の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)は、フッ素原子で置換されている。なかでも、R8〜R10の少なくとも一つの基中には、上述したRf基が含まれることが好ましい。なお、一般式(3)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
次に、一般式(4)で表される化合物について説明する。
R11およびR12で表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
R11〜R12の少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)は、フッ素原子で置換されている。なかでも、R11〜R12の少なくとも一つの基中には、上述したRf基が含まれることが好ましい。なお、一般式(4)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
次に、一般式(5)で表される化合物について説明する。
Z−SH 一般式(5)
一般式(5)中、Zは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、または、これらの基を組み合わせた基を表す。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基および複素環基の好ましい例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3の例を挙げることができる。
Zで表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
Zで表される基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)は、フッ素原子で置換されている。なかでも、Z中には、上述したRf基が含まれることが好ましい。なお、一般式(5)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
置換基としては、前述の一般式(1)においてR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。R511で表される基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述の一般式(1)のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
なお、R511には、フッ素原子が含まれる。なかでも、R511中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R511には、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
R521、R522、およびR523のうち少なくとも一つの基中には、フッ素原子が含まれる。なかでも、R521、R522、およびR523のうち少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R521、R522、およびR523のうち少なくとも一つの基中には、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
R531およびR532のうち少なくとも一つの基中には、フッ素原子が含まれる。なかでも、R531およびR532のうち少なくとも一つの基中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R531およびR532のうち少なくとも一つの基中には、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
R541には、フッ素原子が含まれる。なかでも、R541中の一部または全部の水素原子(好ましくは、炭素原子に結合している一部または全部の水素原子)が、フッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R541には、上述したRf基が含まれることがより好ましい。
Ry1およびRy2がアルキル基を表すとき、好ましくは炭素数1〜30、さらに好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは1〜6であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、クロロメチル、ヒドロキシメチル、アミノエチル、N,N−ジメチルアミノメチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−ヒドロキシエチル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、2−エチルヘキシルなどが好ましく挙げられる。
(CRy1Ry2)n1で表される構造として、好ましくは−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、であり、さらに好ましくは−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、であり、特に好ましくは−CH2CH2−である。
炭素原子数1〜14の直鎖状または分岐鎖状のパーフルオロアルキル基の例としては、CF3−、C2F5−、C3F7−、C4F9−、C5F11−、C6F13−、C7F15−、C8F17−、C9F19−、C10F21−、C12F25−、C14F29−などが挙げられる。
次に、一般式(22)で表される化合物について説明する。なお、一般式(22)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
上記フルオロアルキル基中の水素原子はフッ素原子以外の他のハロゲン原子に置換されていてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、エーテル性酸素原子(−O−)は、フルオロアルキル基の炭素−炭素結合環に存在してもよく、フルオロアルキル基の末端に存在してもよい。また、フルオロアルキル基の構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環を有する構造が挙げられ、直鎖構造が好ましい。
Rf1としては、ペルフルオロアルキル基または水素原子1個を含むポリフルオロアルキル基であることが好ましく、ペルフルオロアルキル基が特に好ましい(ただし、エーテル性酸素原子を有するものを含む。)。
Rf1としては、炭素原子数が4〜6のペルフルオロアルキル基、または、エーテル性酸素原子を有する炭素原子数が4〜9のペルフルオロアルキル基が好ましい。
Rf1の具体例としては、以下が挙げられる。
−CF3、−CF2CF3、−CF2CHF2、−(CF2)2CF3、−(CF2)3CF3、−(CF2)4CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)6CF3、−(CF2)7CF3、−(CF2)8CF3、−(CF2)9CF3、−(CF2)11CF3、−(CF2)15CF3、−CF(CF3)O(CF2)5CF3、−CF2O(CF2CF2O)pCF3(pは1〜8の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)qC6F13(qは1〜4の整数)、−CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)rC3F7(rは1〜5の整数)。
Rf1としては、特に−(CF2)CF3または−(CF2)5CF3が好ましい。
なかでも、フッ素原子、トリフルオロメチル基が好ましい。
L2は、単結合、または、水酸基若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。なかでも、炭素数1〜2のアルキレン基が好ましい。
L3は、単結合または炭素数1〜6のアルキレン基を表すなかでも、単結合または炭素数1〜2のアルキレン基が好ましい。
なかでも、−CO2−、−O−、−S−、−SO2NR222−、または、−CONR222−が好ましい。
ただし、Y1およびZ1がいずれも単結合以外の場合、L2はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。
次に、一般式(23)で表される化合物について説明する。なお、一般式(23)で表される化合物には、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
(CR231R232)nで表される構造として、好ましくは−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、であり、さらに好ましくは−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、であり、特に好ましくは−CH2CH2−である。
(CR233R234)mで表される構造として、好ましくは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(OH)CH2−、−CH2CH(CH2OH)−であり、さらに好ましくは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(OH)CH2−、−CH2CH2CH2−、であり、特に好ましくは、−CH2−、−CH2CH2−、である。
Y2が単結合または−CO−のとき、nは0を表し、mは0〜6の整数を表す。なかでも、mは0〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
Y2が−COO−のとき、nは1または2を表し、好ましくは2を表す。mは1〜6の整数を表し、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
パーフルオロアルキレン基の炭素数は1〜20であるが、2〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。パーフルオロアルキレン基の具体例としては、例えば、−C4F8−、−C5F10−、−C6F12−、−C7F14−、−C8F16−、−C9F18−、−C10F20−、−C12F24−などが挙げられる。
パーフルオロエーテル基とは、上記パーフルオロアルキレン基中の1箇所以上の炭素−炭素原子間、またはパーフルオロアルキレン基の結合末端にエーテル性酸素原子(−O−)が挿入された基を意味する。パーフルオロアルキレン基の炭素数は1〜20であるが、2〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。パーフルオロエーテル基の具体例としては、−(CgF2gO)h−(式中、gはそれぞれ独立に1〜20の整数であり、hは1以上の整数であり、g×h≦20以下の関係を満たす。)で表されるパーフルオロエーテル基が挙げられる。
次に、一般式(24)で表される基と一般式(25)で表される基とを有する化合物(以後、化合物Xとも称する)について説明する。なお、化合物Xには、上述したフッ素含有率を満たすフッ素原子が含まれることが好ましい。
*は、結合位置を示す。
Rfは、エーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、またはフッ素原子を表す。Rfの定義は、炭素原子数が異なる点を除いて上記Rf1と同義であり、好適態様も同義である。
*は、結合位置を示す。
Z2は、単結合、エステル基、アミド基、またはエーテル基を表す。
L4は、単結合または2価の有機基を表す。L4で表される有機基としては、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい態様の1つである。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、さらに、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。なかでも、L4中の総炭素数が1〜15であることが好ましい。なお、ここで、総炭素数とは、例えば、L4で表される置換若しくは無置換の2価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシル基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
L5は、単結合、または、炭素数1〜6のフッ素を有さない2価の有機基を表す。なかでも、炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。
なお、一般式(26)および一般式(27)中のR241〜R244、XおよびRfの定義は、上述の通りである。
ポリマーA中における一般式(27)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10〜95モル%が好ましく、30〜90モル%がより好ましい。
ポリマーAの重量平均分子量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。
*−(R281O)qR282 一般式(28)
R281は、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
R282は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。なかでも、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、前述のR2およびR3で表されるアルキル基の置換基を挙げることができる。
qは、1〜210の整数を表す。
一般式(28)で表される基の好適態様としては、以下の一般式(28−1)で表される基が挙げられる。
*−(R283O)k(R284O)jR282 一般式(28−1)
R283は、エチレン基を表す。R284は、炭素数3〜4のアルキレン基を表す。
kは、0〜100の整数を表す。なかでも、1〜50が好ましく、2〜23がより好ましい。
jは、0〜100の整数を表す。なかでも、0〜50が好ましく、0〜23がより好ましい。
なお、k+jは2≦k+j≦100を満たす。
一般式(26)および一般式(27)の説明は、上述の通りである。
L6は、単結合または炭素数1〜10のフッ素原子を有しない2価の有機基である。L6が上記有機基である場合、直鎖構造、分岐構造、環構造、部分的に環を有する構造の炭素数1〜10のオキシアルキレン基であることが好ましい。オキシアルキレン基として具体的には、CH2CH10CH2O(式中、C6H10は、シクロヘキシレン基である。)、CH2O、CH2CH2O、CH2CH(CH3)O、CH(CH3)O、CH2CH2CH2O、C(CH3)2O、CH(CH2CH3)CH2O、CH2CH2CH2CH2O、CH(CH2CH2CH3)O、CH2(CH2)3CH2O、CH(CH2CH(CH3)2)Oなどが挙げられる。なかでも、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましい。
なお、一般式(29)中、R281、R282、qの定義は、上述の通りである。
ポリマーB中における一般式(27)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10〜85モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
ポリマーB中における一般式(29)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10〜85モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
ポリマーBの重量平均分子量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、3,000〜500,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。
図2は、配線基板の第2の実施態様の模式的断面図を示し、配線基板100は、絶縁基板12と、絶縁基板12上に配置された2つの配線層114とを備える。配線層114は、細線状の第1金属層114aと第2金属層114bとを有する。
図2に示す配線基板100は、配線層114の形状が異なる点を除いて、図1に示す配線基板10と同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、主として配線層114について説明する。
配線層114は、図1に示す配線基板10中の配線層14に相当して同様の構成を有し、その形状のみが異なる。つまり、第1金属層114aは図1に示す配線基板10中の第1金属層14aに相当し、第2金属層114bは図1に示す配線基板10中の第1金属層14bに相当する。
より具体的には、配線層114を構成する金属の種類の好適態様は、上述した第1の実施形態の場合と同じである。
また、第2金属層114bの厚みT1は、上述した第1の実施形態の場合と同様に、配線層114の全体厚みT2の1/10の厚みに相当する。
また、第2金属層114bに含まれるマイグレーション抑制剤の質量Yは、第1の実施形態の場合と同様に、第1金属層114aに含まれるマイグレーション抑制剤の質量Xより大きく、その好適態様も同じである。
さらに、配線層114全体に含まれるマイグレーション抑制剤の質量の好適範囲、および、第2金属層114bに含まれるマイグレーション抑制剤の質量の好適範囲は、上述した第1の実施形態の場合と同じである。
なお、図2においては、配線層114は垂直断面が矩形状の層であるが、特にその形状は制限されず任意の形状であってもよい。
配線層114の幅Wは、配線基板の高集積化の点から、0.1〜10000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
配線層114間の間隔Dは、配線基板の高集積化の点から、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜300μmがより好ましく、0.1〜100μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが特に好ましい。
配線層114の厚みT2は、配線基板の高集積化の点から、0.001〜100μmが好ましく、0.01〜30μmがより好ましく、0.01〜20μmがさらに好ましい。
また、配線基板は、電子機器に含まれることが好ましい。電子機器とは、タッチパネルもしくはメンブレンスイッチやそれらを搭載したテレビ・モバイル通信機器・パーソナルコンピューター・ゲーム機器・車載表示機器・ネット通信機器、照明・表示用LED、太陽電池制御に関する電子配線機器、RFIDなどの無線通信デバイス、あるいは半導体配線基板や有機TFT配線基板で駆動制御された機器類を指す。
例えば、図3に示すように、上述した配線基板100の配線層114側上には、必要に応じて、さらに配線層114を覆うように絶縁層20を設けて、絶縁層付き配線基板200を形成してもよい。絶縁層20を設けることにより、配線層114間の絶縁特性がより向上する。
絶縁層20の材料としては、公知の絶縁性の材料を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、アクリレート樹脂など挙げられる。
また、絶縁層20として、いわゆる光学用透明粘着シート(OCA)を使用してもよい。OCAは市販品を用いてもよく、例えば、3M(株)製8171CLシリーズ、8146シリーズなどが挙げられる。
また、絶縁層20として、いわゆるソルダーレジスト層を使用してもよい。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200Gなどが挙げられる。
配線基板の製造方法は上述した配線層を形成することができれば特に制限されず、公知の方法を採用できる。
配線基板の製造方法の好適態様の一つとしては、金属微粒子を含む組成物(導電性ペースト)を絶縁基板上に塗布して、必要に応じて加熱処理を行い、配線層を作製する方法が好ましい。
なかでも、配線基板の製造方法の好適態様の一つとしては、少なくとも金属微粒子を含む組成物(導電性ペーストに相当。以後、組成物Xとも称する)と、少なくともマイグレーション抑制剤を含む組成物(以後、組成物Yとも称する)との少なくとも2種の組成物を使用する方法が挙げられる。より具体的には、組成物Xと組成物Yとをそれぞれ独立したコーティング用組成物として絶縁基板上に塗布する方法(以後、第1の方法とも称する)と、組成物Xと組成物Yとを混合してなる混合組成物を絶縁基板上に塗布する方法(以後、第2の方法とも称する)が挙げられる。
なお、組成物を絶縁基板上に塗布する方法は特に制限されず、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
以下に、インクジェット法を用いた第1の方法および第2の方法について詳述する。
なお、後述する説明を容易にするために、第1の方法および第2の方法で使用される組成物Yにはマイグレーション抑制剤は含まれるが、組成物Xにはマイグレーション抑制剤は含まれていないとする。また、配線基板の製造方法で使用される導電ペーストの詳細については、後述する。
まず、ステージ22上に絶縁基板12を載置する。ステージ22は、通常、絶縁基板12よりも広い幅寸法を有しており、図示しない移動機構により水平方向に自在に移動可能に構成されている。移動機構としては、ラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構などが挙げられる。また、図示しないステージ制御部により移動機構を制御して、ステージ22を所望の位置に移動させることができる。
次に、絶縁基板12に向かって組成物Xを吐出するインクジェットヘッド24から組成物Xを1層または数層分積層して第1層30を形成する。この組成物Xの積層は、図4(A)に示すように、移動機構によりステージ22を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から組成物Xを吐出する。ここでは、絶縁基板12に向かって組成物Yを吐出するインクジェットヘッド26からは、組成物Yの吐出は行わない。
吐出終了後、必要に応じて、第1層30を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、金属微粒子同士を融着させることができる。例えば、組成物X吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
なお、各ノズルからの吐出量の調整は、描画のドットピッチ密度によって調整してもよい。例えば、インクジェットヘッド24とインクジェットヘッド26の各ノズルの吐出量を一定としたまま、インクジェットヘッド24の数とインクジェットヘッド26の数とを25:75となるように制御することにより、吐出量の比率の調整を行うことも可能である。
吐出終了後、必要に応じて、混合層32を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、金属微粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
上記方法で形成された混合層32では組成物Yに含まれていたマイグレーション抑制剤が含有され、結果として第1層30と混合層32とからなる配線層34中の外側に位置する混合層32にマイグレーション抑制剤を偏在させることができる。つまり、組成物Xおよび組成物Y中のマイグレーション抑制剤の濃度を調整すると共に、その塗布量(吐出量)の比率を調整して、複数の層を積層することにより、上述したマイグレーション抑制剤が偏在した配線層を形成することができる。
なお、図4においては、第1層30と混合層32の2層積層の場合について説明したが、積層させる層の数は特に制限されず、上述した配線層が形成されれば、何層積層してもよい。また、第1層30と混合層32とが、それぞれ上述した第1金属層14a(または第1金属層114a)と第2金属層14b(または第2金属層114b)とに相当するように、組成物Xおよび組成物Yの混合比率を調整して、配線層34を形成してもよい。
また、上記では、組成物Xにマイグレーション抑制剤が含まれない態様について説明したが、組成物Xと組成物Yの両方にマイグレーション抑制剤および金属微粒子が含まれていてもよい。
まず、ステージ22上に絶縁基板12を載置する。
次に、絶縁基板12に向かって組成物Xを吐出するインクジェットヘッド24から組成物Xを1層または数層分積層して第1層30を形成する。組成物Xの積層は、第1の方法と同様に、移動機構によりステージ22を移動させながら(図5(A)では左方向に移動)、インクジェットヘッド24から組成物Xを吐出する。
吐出終了後、必要に応じて、第1層30を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、金属微粒子同士を融着させることができる。例えば、組成物X吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
吐出終了後、必要に応じて、混合層32を加熱する工程を実施してもよい。加熱処理を施すことにより、溶媒を除去できると共に、金属微粒子同士を融着させることができる。例えば、吐出終了後、25〜250℃(より好ましくは、80〜230℃)の環境温度に一定時間保持することが好ましい。
上記方法で形成された混合層32では組成物Yに含まれていたマイグレーション抑制剤が含有され、結果として第1層30と混合層32とからなる配線層34中の外側に位置する混合層32にマイグレーション抑制剤を偏在させることができる。
なお、図5においては、第1層30と混合層32の2層積層の場合について説明したが、積層させる層の数は特に制限されず、上述した配線層が形成されれば何層積層してもよい。
また、上記では、組成物Xにマイグレーション抑制剤が含まれない態様について説明したが、組成物Xと組成物Yの両方にマイグレーション抑制剤および金属微粒子が含まれていてもよい。
金属微粒子を構成する金属の種類は特に制限されず、用途に応じて適宜最適な金属の種類が選択される。なかでも、プリント配線基板などの配線回路としての点から、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの合金などが挙げられる。
金属マイクロ粒子の平均粒径は特に制限されず、配線層の導電特性がより優れる点で、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒径は特に制限されず、配線層の導電特性がより優れる点で、5〜100nmが好ましく、10〜20nmがより好ましい。
なお、金属微粒子の平均粒径は、金属微粒子を電子顕微鏡(SEM若しくはTEM)により観察して、20個以上の金属微粒子の一次粒径(直径)を測定して、それらを算術平均して得られる平均値である。
使用される保護剤の種類は特に制限されず、公知のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドンなど側鎖に自由電子を有する官能基を有するポリマー)や、公知の界面活性剤などが挙げられる。
なかでも、金属ナノ粒子の場合、その表面が保護剤で覆われていることが好ましく、特に、熱重量測定(TGA)において160℃まで加熱した際の重量減少率が30%以上である保護剤を使用することが好ましい。このような保護剤であれば、加熱処理を施して配線層を形成した際に、保護剤が配線層中に残存しにくく、導電特性に優れた配線層が得られる。
また、導電ペーストには、必要に応じて、金属微粒子およびマイグレーション抑制剤以外に他の成分が含まれていてもよい。
例えば、導電ペーストには、樹脂バインダーが含まれていてもよい。樹脂バインダーが含まれることにより、絶縁基板と配線層との密着性がより向上する。使用される樹脂バインダーの種類は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、またはシランカップリング剤の反応物などが挙げられる。
なお、使用される有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、カルビトール、2−ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、α―テルピネオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン)、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、オクタン、ドデカン)芳香族炭化水素溶媒(例えば、トルエン、キシレン)、アミド系溶媒(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルプロピレンウレア)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル)、カーボネート系溶媒(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒を、2種以上混合して使用してもよい。
上記配線基板の製造方法(その1)以外の他の配線基板の製造方法の好適態様の一つとしては、上述した一般式(1)〜一般式(5)で表される化合物、一般式(22)で表される化合物、一般式(23)で表される化合物、および、一般式(24)で表される基と一般式(25)で表される基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つのマイグレーション抑制剤(以後、これら化合物をまとめて「フッ素原子含有マイグレーション抑制剤」とも称する)と、金属微粒子とを含む導電ペースト(配線層形成用組成物)を用いて、配線層を製造する方法が挙げられる。
上記フッ素原子含有マイグレーション抑制剤にはフッ素原子が含まれる。そのため、上記導電ペーストを用いて配線層を形成すると、フッ素原子含有マイグレーション抑制剤の表面エネルギーが低さのため、フッ素原子含有マイグレーション抑制剤が配線層の表面近傍に移動し、上述した所定のマイグレーション抑制剤の濃度分布を有する配線層が形成される。つまり、上記導電ペーストを絶縁基板上に塗布して、必要に応じて硬化処理を施すだけで、所望の配線層を製造することができる。
導電ペースト中に含まれる金属微粒子の定義は、上述の通りである。
また、導電ペーストには、上述した溶媒や樹脂バインダーなどが含まれていてもよい。
また、導電ペーストを塗布して得られる塗膜に対する硬化処理の方法も特に制限されず、上述した配線基板の製造方法(その1)で述べた加熱処理などが挙げられる。
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成、特級)2.04g(20.0mmol)と、n−オクチルアミン(花王、純度98%)1.94g(15.0mmol)と、n−ドデシルアミン(関東化学、特級)0.93g(5.0mmol)とを混合し、この混合溶液にシュウ酸銀〔硝酸銀(関東化学、一級)とシュウ酸アンモニウム一水和物またはシュウ酸二水和物(関東化学、特級)から合成したもの〕6.08g(20.0mmol)を加え、3分間撹拌し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物を調製した。これを95℃で20〜30分加熱撹拌すると、二酸化炭素の発泡を伴う反応が完結し、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール(関東化学、一級)10mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色光沢の被覆銀超微粒子の固体物4.62g(銀基準収率97.0%)が得られた。この固体物をn−ブタノール(関東化学、特級)とn−オクタン(関東化学、特級)の混合溶媒(4/1:v/v)に6.93gに分散し、マイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストA−1を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、DL―αトコフェロール(東京化成社製)0.3gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−1を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、IRGANOX245(BASF社製)0.15gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−2を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、IRGANOX1135(BASF社製)0.15gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−3を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、5−Mercapto−1−phenyl−1H−tetrazole(東京化成社製)0.15gを添加、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−4を得た。
マイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストA−2として、ポリマー型導電性ペーストLS−450−7H(アサヒ化学研究所製)を用いた。
前述の導電性ペーストA−2(10g)に対し、DL―αトコフェロール(東京化成社製)0.8gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−5を得た。
前述の導電性ペーストA−2(10g)に対し、IRGANOX245(BASF社製)0.4gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−6を得た。
前述の導電性ペーストA−2(10g)に対し、IXEPLAS B1(東亞合成社製)0.4gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−7を得た。
マイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストA−3として、ナノペーストNPS(ハリマ化成社製)を用いた。
前述の導電性ペーストA−3(10g)に対し、DL―αトコフェロール(東京化成社製)0.4gを添加して、攪拌し、マイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−8を得た。
反応容器に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(3.5g,12.6mmol)、ジクロロメタン(20ml)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデカン−1−オール(6.3g,12.6mmol)、テトラヒドロフラン(10ml)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.4g,12.6mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.05g,0.4mmol)をこの順に加えた。
反応溶液を室温で3時間攪拌した後、反応溶液に1N塩酸(50ml)を加え、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。固形分をろ別した後、減圧濃縮し、白色の粗結晶を得た。メタノールで再結晶を行い、化合物M−1を6.0g得た(収率63%)。
得られた化合物M−1の1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、基準:テトラメチルシラン)
6.98(2H,s)、5.09(1H,s)、4.59(2H,t)、2.90(2H,t)、2.71(2H,t)、1.43(9H,s)
1H−NMRのデータにおいて、各プロトンのピークが特徴的な位置に観察されることから、化合物M−1であると同定した。
反応容器に、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジチオール(和光純薬製)(4.0g,26.6mmol)、テトラヒドロフラン(80ml)を加えて完溶させた。その後、アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,8,8,8−ドデカフルオロ−7−(トリフルオロメチル)オクチル(12.5g,26.6mmol)を、滴下漏斗から0.5時間かけて反応溶液に滴下した。反応溶液を65℃で6時間攪拌後、室温まで冷却し、反応溶液を減圧濃縮した。反応溶液にヘキサン200mLを添加し、氷浴にて冷却して、粗結晶16gを得た。粗結晶のうち8gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)にて精製し、本発明の化合物M−2を6g得た(収率72%)。
得られた化合物M−2の1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、基準:テトラメチルシラン)
11.1(1H,br)、4.44(2H,t)、3.40(2H,t)、2.85(2H,t)、2.49(2H,t)、2.49(2H,m)
1H−NMRのデータにおいて、各プロトンのピークが特徴的な位置に観察されることから、化合物M−2であると同定した。
反応容器に、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸(1.5g,9.19mmol)、テトラヒドロフラン(27ml)、ジメチルホルムアミド(3ml)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(3.35g,9.19mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.76g,9.19mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.11g,0.91mmol)をこの順に加えた。70℃で24時間攪拌した後、水50mlを加え、酢酸エチル100mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。固形分をろ別した後、溶液を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、化合物M−3を3.1g得た(収率66%)。
下記スキームに従って、化合物M−4Aを合成した。
得られた本発明の化合物M−4のNMRスペクトルは以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、基準:テトラメチルシラン):4.43(2H,t)、3.60(2H,t)、2.95(2H,t)、2.49(2H,m)
1H−NMRのデータにおいて、各プロトンのピークが特徴的な位置に観察されることから、化合物M−4であると同定した。
300mLの三口フラスコに、4−メチル−2−ペンタノン(和光純薬工業(株)製)27.3gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−オクチル37.6g、グリシジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)1.42g、V−601(和光純薬工業(株)製)0.92g、4−メチル−2−ペンタノン(和光純薬工業(株)製)63.8g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間撹拌後、90℃に昇温し、さらに2時間攪拌した。上記の反応溶液に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸3.34g、ジメチルドデシルアミン(和光純薬工業(株)製)0.21gを加え、120℃に加熱し24時間反応させた。反応終了後、ヘキサン500ml、酢酸エチル500mlを加え、有機層を5%クエン酸水溶液300mlで洗浄後、5%アンモニア水溶液300mlで洗浄した。さらに5%クエン酸水溶液300mlで洗浄後、水300mlで洗浄した。有機層を減圧濃縮後、ヘキサンで再沈を行い、減圧化で乾燥し、化合物M−5(Mw=7,000)を30g得た。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定されたポリスチレン換算値である。重量平均分子量のGPC法による測定は、ポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mmI.D.×15cm)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行った。
化合物M−5は、一般式(24)で表される基と一般式(25)で表される基とを有する化合物に該当する。
300mLの三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)14.3gを入れ、窒素気流下、80℃まで加熱した。そこへ、アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−オクチル4.81g、グリシジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)1.56g、ブレンマーAE−400(日本油脂社製)14.09g、V−601(和光純薬工業(株)製)0.46g、1−メトキシ−2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)33.4g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間撹拌後、90℃に昇温し、さらに2時間攪拌した。上記の反応溶液に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸3.67g、ジメチルドデシルアミン(和光純薬工業(株)製)0.23g、を加え、120℃に加熱し24時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮後し水200gで希釈した。反応液をフィルターろ過した後、60℃に加熱し、分離したポリマー溶液を取り出し、化合物M−6(Mw=8,000)の35w%水溶液45g得た。
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定されたポリスチレン換算値である。重量平均分子量のGPC法による測定は、ポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mmI.D.×15cm)を用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行った。
化合物M−6は、一般式(24)で表される基と、一般式(25)で表される基と、一般式(28)で表される基とを有する化合物に該当する。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、合成例10で得られた化合物M−1(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−9を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、上記合成例11で得られた化合物M−2(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−10を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、上記合成例12で得られた化合物M−3(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−11を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、前記合成例13で得られた化合物M−4(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−12を得た。
合成例1で得られた導電性ペーストA−1(11.55g)に対し、前記合成例14で得られた化合物M−5(高分子型)(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−13を得た。
フローメタルSW−1020(バンドー化学社製:導電性ペーストA−4、11.55g)に対し、合成例15で得られた化合物M−6(高分子型)(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−14を得た。
前述の導電性ペーストA−2(10g)に対し、合成例10で得られた化合物M−1(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−15を得た。
前述の導電性ペーストA−2(10g)に対し、合成例12で得られた化合物M−3(0.12g)を添加し、撹拌してマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−16を得た。
マテリアルプリンターDMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)を用い、吐出量:10pL、吐出間隔:50μmの条件で、ガラス基板上へマイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストAをL/S=75/75μmの櫛形状に描画を行い、これを3層分重ねて描画を行った。次に、その同位置にマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストBを同パターンで1層分の描画を行った。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行い、試験用配線基板を作製した。
なお、各実施例および比較例において導電性ペーストAおよび導電性ペーストBとしては、後述する表1に記載の上記導電ペーストをそれぞれ使用した。また、本方法は、表1の「配線形成方法」欄において「IJ」と表記する。
マテリアルプリンターDMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)を用い、吐出量:10pL、吐出間隔:50μmの条件で、ガラス基板上へマイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストA−1をL/S=75/75μmの櫛形状に描画を行い、これを3層分重ねて描画を行った。次に、吐出間隔を100μmに変更し、更に1層分導電性ペーストA−1の描画を行い、その同位置にマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストB−1を同パターン、吐出間隔:100μmの条件で1層分の描画を行った。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行い、試験用配線基板を作製した。
また、本方法は、表1の「配線形成方法」欄において「IJ2」と表記する。
DP―320型スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製)を用いて、ガラス基板上へマイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストAをL/S=75/75μmの櫛形状に印刷を行い(300メッシュスクリーンを使用)、その同位置にマイグレーション抑制剤を含有する導電性ペーストBを同パターンで印刷を行った(500メッシュスクリーンを使用)。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行い、試験用配線基板を作製した。
なお、各実施例および比較例において導電性ペーストAおよび導電性ペーストBは、後述する表1に記載の種類をそれぞれ使用した。また、本方法は、表1の「配線形成方法」欄において「スクリーン」と表記する。
作製した試験用配線基板をエポキシ樹脂で包埋し、研磨による断面出しを行った後、S−3000N(HITACHI社製SEM)を用いて断面を観察、配線層の層厚の測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
なお、各試験用配線基板中の配線層の露出表面から配線層の全体厚みの1/10に相当する深さ位置までの領域を第2金属層として、残りの部分を第1金属層とした。
前述のSEM写真と、INCA PentaFETx3(OXFORD社製EDX)を用い、マイグレーション抑制剤の存在部の検出を行い、第1金属層と第2金属層における検出強度、面積比より質量Xと質量Yの比(X/Y)を求めた。結果を表1にまとめて示す。
得られた試験用配線基板の導電性評価を抵抗率計ロレスタEP MCP−T360(三菱化学アナリテック社製)を用いて行った。
評価方法として、作製した試験用配線基板の抵抗測定値をR1、マイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストAのみで作製した比較用配線基板(導電性ペーストBを用いる部分を導電性ペーストAで代替したもの)の抵抗測定値をR2とし、その変化割合R1/R2を計算した。以下の基準に従って、評価した。結果を表1にまとめて示す。尚、実用上はC以上が使用可能であり、B以上が好ましい。
「A」:R1/R2≦1.1の場合
「B」:1.1<R1/R2≦1.25の場合
「C」:1.25<R1/R2≦2.0の場合
「D」:2.0<R1/R2の場合
なお、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−1を使用した実施例1〜5および比較例1では、導電性ペーストA−1のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−2を使用した実施例6〜8および比較例3では、導電性ペーストA−2のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−3を使用した実施例9および比較例5では、導電性ペーストA−3のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
なお、比較例2においては、導電性ペーストA−1のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、比較例4においては、導電性ペーストA−2のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
さらに、比較例6においては、導電性ペーストA−3のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
得られた試験用配線基板を用いて、湿度85%、温度85度、圧力1.0atm、電圧80Vの条件で寿命測定(使用装置:エスペック(株)社製、EHS−221MD)を行った。
評価方法としては、まず、作製した試験用配線基板上に高透明性接着剤転写テープ8146−2(3M社製)貼り合せて、逆側にガラス基板を張り合わせて作製された絶縁信頼性試験用基板を用いて上記条件で寿命測定を行い、配線層間の抵抗値が1×105Ωになるまでの時間T1を測定した。
次に、マイグレーション抑制剤を含まない導電性ペーストAのみで作製した比較用配線基板(導電性ペーストBを用いる部分をAで代替したもの)を用いて同様の方法で絶縁信頼性試験用基板を作製し、上記条件で寿命測定を行い、配線層間の抵抗値が1×105Ωになるまでの時間T2を測定した。
得られた時間T1および時間T2を用いて寿命の改善効果(T1/T2)を計算した。以下の基準に従って、評価した。結果を表1にまとめて示す。尚、実用上はC以上が使用可能であり、B以上が好ましい。
「A」:T1/T2≧5の場合
「B」:5>T1/T2≧2の場合
「C」:2>T1/T2>1の場合
「D」:1≧T1/T2の場合
なお、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−1を使用した実施例1〜5および比較例1では、導電性ペーストA−1のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−2を使用した実施例6〜8および比較例3では、導電性ペーストA−2のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、導電性ペーストAとして導電性ペーストA−3を使用した実施例9および比較例5では、導電性ペーストA−3のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
なお、比較例2においては、導電性ペーストA−1のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
また、比較例4においては、導電性ペーストA−2のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
さらに、比較例6においては、導電性ペーストA−3のみで作製した比較用配線基板を用いて、上記評価を行った。
一方、マイグレーション抑制剤を使用していない比較例1,3および5では、導電性は優れるものの、絶縁信頼性に劣っていた。
また、第2金属層に含まれるマイグレーション抑制剤との質量Yが、第1金属層に含まれるマイグレーション抑制剤の質量Xより小さい、比較例2,4および6では、絶縁信頼性には優れるものの、導電性に劣っていた。
マテリアルプリンターDMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)を用い、吐出量:10pL、吐出間隔:50μmの条件で、ガラス基板上へ導電性ペーストAまたはBをL/S=75/75μmの櫛形状に描画を行い、これを2層分重ねて描画を行った。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行い、試験用配線基板を作製した。
なお、各実施例および比較例において導電性ペーストAおよび導電性ペーストBとしては、後述する表2に記載の上記導電ペーストをそれぞれ使用した。本方法は、表2の「配線形成方法」欄において「IJ3」と表記する。
DP―320型スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製)を用いて、ガラス基板上へ導電性ペーストAまたはBをL/S=75/75μmの櫛形状に印刷を行い(300メッシュスクリーンを使用)、その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行い、試験用配線基板を作製した。
なお、各実施例および比較例において導電性ペーストAおよび導電性ペーストBとしては、後述する表2に記載の上記導電ペーストをそれぞれ使用した。本方法は、表1の「配線形成方法」欄において「スクリーン2」と表記する。
なお、<導電性評価方法>および<絶縁信頼性評価方法>で使用される比較用配線基板としては、実施例10〜14では導電性ペーストA−1を使用して上記と同様の手順(IJ3)で作製した比較用配線基板を用いた。
実施例15では、導電性ペーストA−4を使用して上記と同様の手順(IJ3)で作製した比較用配線基板を用いた。
実施例16および17では、導電性ペーストA−2を使用して上記と同様の手順(スクリーン2)で作製した比較用配線基板を用いた。
一方、比較例7〜9に示すように、フッ素原子含有マイグレーション抑制剤が含まれない場合は、導電性は優れるものの、絶縁信頼性に劣っていた。
12 絶縁基板
14,34,114 配線層
14a,114a 第1金属層
14b,114b 第2金属層
16 上面
18 側面
20 絶縁層
22 ステージ
24,26,28 インクジェットヘッド
30 第1層
32 混合層
200 絶縁層付き配線基板
Claims (8)
- 絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配置された配線層とを有し、
前記配線層は前記配線層の露出表面から全体厚みの1/10に相当する深さまでの領域である第2金属層と、前記第2金属層以外の領域である第1金属層とを有し、
前記配線層が下記のマイグレーション抑制剤を含み、
前記第2金属層に含まれるマイグレーション抑制剤の質量Yが、前記第1金属層に含まれるマイグレーション抑制剤の質量Xよりも大きい、配線基板。
(マイグレーション抑制剤)
下記一般式(1A)で表される化合物、一般式(1)で表される化合物、一般式(22)で表される化合物、一般式(23)で表される化合物、一般式(26)で表される繰り返し単位と一般式(27)で表される繰り返し単位とを有するポリマー、および、ビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つ。
P−(CR1=Y)n−Q 一般式(1)
(一般式(1)中、PおよびQは、それぞれ独立に、OH、NR2R3またはCHR4R5を表す。R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または窒素原子に置換可能な基を表す。R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Yは、CR6または窒素原子を表す。R1およびR6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、R5、またはR6で表される基は、そのうちの少なくとも二つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。nは0〜5の整数を表す。ただし、nが0であるとき、PおよびQの両方がCHR4R5であることはなく、PおよびQの両方がOHであることもない。nが2以上の数を表すとき、(CR1=Y)で表される複数の原子群は、同一であっても異なっていてもよい。
なお、R1〜R6の少なくとも一つの基中には、フッ素原子が含まれる。)
ただし、Y1およびZ1がいずれも単結合以外の場合、L2はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
一般式(27)中、R 262 は、水素原子、または、炭素数1〜4の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。L 5 は、単結合、または、炭素数1〜6のフッ素を有さない2価の有機基を表す。Xは、水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。Rfは、エーテル性酸素原子を有していてもよい水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素原子数20以下のフルオロアルキル基、またはフッ素原子を表す。) - 前記マイグレーション抑制剤が、一般式(1A)で表される化合物、一般式(1)で表される化合物、一般式(26)で表される繰り返し単位と一般式(27)で表される繰り返し単位とを有するポリマー、および、ビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1に記載の配線基板。
- 前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(10)で表される化合物である、請求項1または2に記載の配線基板。
- 前記質量Xと前記質量Yとの比(X/Y)が、0.001以上0.30未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基板。
- 前記配線層中の金属が、金、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基板。
- 前記絶縁基板上に側面が露出する細線状の第1金属層が配置され、
前記第1金属層の前記側面を含む前記絶縁基板と接触していない表面を覆うように第2金属層が配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線基板。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線基板と、前記配線基板の前記配線層上に配置された絶縁層とを有する、絶縁層付き配線基板。
- プリント配線基板に用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線基板。
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