以下、本発明に係る測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、抵抗測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す抵抗測定装置1は、測定装置の一例であって、測定対象の抵抗(物理量の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、抵抗測定装置1は、同図に示すように、本体部2と、本体部2に接続可能に構成されたプローブ3a,3b(以下、区別しないときには「プローブ3」ともいう)とを備えて構成されている。
本体部2は、図1に示すように、電圧出力部11、測定部12、操作部13、記憶部14、表示部15および制御部16を備えて構成されている。電圧出力部11は、制御部16の制御に従い、測定用の電圧(例えば、直流電圧であって、以下「測定用電圧Vm」ともいう)を出力する出力処理を実行する。この場合、この抵抗測定装置1では、抵抗を測定する際の測定レンジとして、複数(一例として、6種類)の測定レンジが規定されており、測定レンジ毎に測定用電圧Vmの電圧値が規定されている。一例として、この抵抗測定装置1では、各電圧値が、10V、50V、125V、500Vおよび1000Vの6種類に規定されている。このため、電圧出力部11は、操作部13における後述するファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって選択された測定レンジに対応する電圧値の測定用電圧Vmを出力する。
測定部12は、制御部16の制御に従い、測定対象の抵抗(物理量)を測定する測定処理を実行する。具体的には、測定部12は、電流検出回路21、A/D変換回路22および測定回路23を備えて構成されている。電流検出回路21は、切り替え可能な複数のレンジ抵抗を備えて構成され、操作部13における後述するファンクションスイッチ31に対する切り替え操作に従ってこのレンジ抵抗を切り替え、これによって測定レンジを切り替え可能に構成されている。また、電流検出回路21は、電圧出力部11から出力された測定用電圧Vmが測定対象に供給されている状態においてプローブ3a,3b間(測定対象)を流れる電流Iを電圧変換して、電圧信号を生成する。A/D変換回路22は、電流検出回路21によって生成される電圧信号をアナログ−デジタル変換して電圧データを出力する。測定回路23は、A/D変換回路22から出力される電圧データ、および電圧出力部11によって生成される測定用電圧Vmの電圧値に基づいて測定対象の抵抗を測定する(以下、測定された抵抗値を「測定値Rm」ともいう)。
操作部13は、図2に示すように、本体部2の正面パネルに配設されたファンクションスイッチ31、リリーススイッチ32およびメジャースイッチ33等の各種のスイッチを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。ファンクションスイッチ31は、第1スイッチに相当し、複数の測定レンジのうちの1つを切り替えて選択したり、抵抗測定装置1の電源のオン/オフを切り替えたりする切り替え操作が可能なロータリースイッチで構成されている。
リリーススイッチ32は、第2スイッチに相当し、各測定レンジのうちの、高圧の測定用電圧Vm(例えば、500Vおよび1000Vの測定用電圧Vm)を用いて(測定対象に供給して)絶縁抵抗などの高い抵抗を測定する測定レンジ(第2測定レンジに相当し、以下「高抵抗測定レンジ」ともいう)を選択する際に用いる(具体的には、高抵抗測定レンジの選択を確認するための)スイッチであって、一例として押しボタン形のスイッチで構成されている。また、リリーススイッチ32は、内部に光源(一例として、LED光源)を備えて構成され、制御部16の制御に従って光源が発光する。メジャースイッチ33は、測定を指示するためのスイッチであって、このメジャースイッチ33が操作(オン操作)されたときに、制御部16が電圧出力部11に対する出力処理や測定部12に対する測定処理の実行を指示する。
記憶部14は、制御部16の制御に従い、測定部12によって測定された測定値Rmを記憶する。表示部15は、図2に示すように、一例として、本体部2の正面パネルに配設された液晶ディスプレイで構成され、制御部16の制御に従って測定値Rmを表示する。この場合、表示部15は、抵抗(物理量)のスケール(目盛)を表すスケール画像Gs1,Gs2(図3〜図6参照:以下、スケール画像Gs1,Gs2を区別しないときには「スケール画像Gs」ともいう)上における測定値Rmに対応する位置を、指針を表すマーカー画像Gm(図4,6)で指し示すことによって測定値Rmを表示する。
制御部16は、操作部13から出力される操作信号に従って各種の処理を実行すると共に、抵抗測定装置1を構成する各部を制御する。具体的には、制御部16は、処理部として機能して、各測定レンジのうちの、低圧(例えば、10V、50V、125Vおよび250V)の測定用電圧Vmを用いて(測定対象に供給して)比較的低い抵抗を測定する測定レンジ(第1測定レンジに相当し、以下「低抵抗測定レンジ」ともいう)がファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって選択されたときには、上記した低圧の測定用電圧Vmをメジャースイッチ33に対するオン操作に応じて出力可能な状態(第1状態に相当し、以下「低電圧出力待機状態」ともいう)に電圧出力部11を移行させる。
また、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたときには、その状態において操作部13のリリーススイッチ32が操作されたときにのみ上記した高圧の測定用電圧Vmをメジャースイッチ33に対するオン操作に応じて出力可能な状態(第2状態に相当し、以下「高電圧出力待機状態」ともいう)に電圧出力部11を移行させる。つまり、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたとしても、操作部13のリリーススイッチ32が操作されない限り、電圧出力部11を高電圧出力待機状態には移行させない。
また、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって低抵抗測定レンジが選択されたときには、図3に示すように、上記したスケール画像Gs1を表示部15に表示させる。一方、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたときには、図2に示すように、スケール画像Gsを非表示状態に維持する非表示処理を実行し、その非表示処理の実行中にリリーススイッチ32が操作されたときに、図5に示すように、上記したスケール画像Gs2を表示部15に表示させる。つまり、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されただけでは、スケール画像Gsを表示させず、高抵抗測定レンジが選択され、その状態においてリリーススイッチ32が操作されたときに初めてスケール画像Gsを表示させる。
また、制御部16は、電圧出力部11を高電圧出力待機状態に移行させている状態において、メジャースイッチ33に対するオン操作(抵抗測定装置1に対する予め決められた操作の一例)がされない状態が予め決められた時間(例えば、5分間)継続したときに、この高電圧出力待機状態を解除する。また、制御部16は、高電圧出力待機状態を解除したときには、上記した非表示処理を実行する。
また、制御部16は、上記した低電圧出力待機状態および高電圧出力待機状態において操作部13のメジャースイッチ33がオン操作されたときに、電圧出力部11を制御して、選択された測定レンジに対応する電圧値の測定用電圧Vmを出力する出力処理を実行させると共に、測定部12を制御して測定処理を実行させる。
さらに、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されて、上記した非表示処理を実行する際に、リリーススイッチ32に配設されている光源を発光させる。また、制御部16は、測定部12によって測定された測定値Rmを記憶部14に記憶させると共に、スケール画像Gsとマーカー画像Gmとを用いて測定値Rmを表示する上記の表示形態で測定値Rmを表示部15に表示させる。
各プローブ3は、本体部2の電圧出力部11から出力される測定用電圧Vmを測定対象に供給すると共に、測定用電圧Vmの供給によって測定対象に流れる電流Iを本体部2の測定部12に入力させる。この場合、この抵抗測定装置1では、図2に示すように、各プローブ3の一方(この例では、プローブ3a)が、ペン形に構成され、各プローブ3の他方(この例では、プローブ3b)が、測定対象を挟んで接続させるクリップ形に構成されている。
次に、抵抗測定装置1を用いて測定対象の抵抗を測定する方法、およびその際の抵抗測定装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態では、電源がオフ状態となっているものとする。
この抵抗測定装置1を用いて、低抵抗測定レンジで測定対象の抵抗を測定するときには、操作部13のファンクションスイッチ31を操作して、「OFF」の位置(図2参照)から、複数の低抵抗測定レンジのうちの1つ(例えば、10Vの測定用電圧Vmを用いて抵抗を測定する測定レンジ)を示す位置(同図に示す「10V」の位置)に回動させて、その低抵抗測定レンジを選択する。この際に、抵抗測定装置1を構成する各部に電源が供給され、制御部16が各部に対する制御を開始する。
また、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって低抵抗測定レンジが選択されたときに、操作部13から出力される操作信号に基づいて低抵抗測定レンジが選択されたと判別して、第1表示処理を実行する。この第1表示処理では、制御部16は、表示部15を制御して、図3に示すように、スケール画像Gs1を表示させる。また、制御部16は、表示部15を制御して、スケール画像Gs1内の数値の単位(この例では「Ω」)を示す単位画像Gu、および測定用電圧Vmの電圧値(この例では「10V」)を示す電圧値画像Gvを表示させる。
次いで、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって選択された低抵抗測定レンジに対応する電圧値(この例では、10V)の測定用電圧Vmを出力可能な低電圧出力待機状態に電圧出力部11を移行させる。この場合、この抵抗測定装置1では、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって低抵抗測定レンジが選択されたときに制御部16が第1表示処理を実行してスケール画像Gs1を表示部15に表示させるため、抵抗測定が可能な状態となったこと(低電圧出力待機状態に移行したこと)を使用者に確実に認識させることが可能となっている。
次いで、測定対象における1つの被接触部位をクリップ形のプローブ3bで挟み、測定対象における他の1つの被接触部位にプローブ3aの先端部を接触させる。続いて、操作部13のメジャースイッチ33をオン操作する。次いで、制御部16は、メジャースイッチ33に対するオン操作(操作部13から出力された操作信号)に応じて電圧出力部11を制御して出力処理を実行させ、電圧値が10Vの測定用電圧Vmを出力させる。この際に、電圧出力部11から出力された測定用電圧Vmがプローブ3a,3bを介して測定対象に供給される。
続いて、制御部16は、測定部12を制御して測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部12の電流検出回路21が、測定用電圧Vmの供給に伴ってプローブ3a,3b間を流れる電流Iを電圧変換して電圧信号を生成する。
次いで、測定部12のA/D変換回路22が、電流検出回路21によって生成された電圧信号をアナログ−デジタル変換して電圧データを出力する。続いて、測定部12の測定回路23が、A/D変換回路22から出力された電圧データ、および電圧出力部11によって生成される測定用電圧Vmの電圧値に基づいて測定対象の(プローブ3a,3bが接触している被接触部位間の)抵抗を測定する。
次いで、制御部16は、測定部12によって測定された抵抗の測定値Rmを記憶部14に記憶させると共に、第2表示処理を実行する。この第2表示処理では、制御部16は、表示部15を制御して、図4に示すように、スケール画像Gs1上における測定値Rmに対応する位置をマーカー画像Gmで指し示すことによって測定値Rmを表示させる。
続いて、測定を終了する際には、メジャースイッチ33をオフ操作する。この際に、制御部16は、電圧出力部11を制御して測定用電圧Vmの出力を停止させると共に、測定部12を制御して測定処理を停止させる。また、制御部16は、電圧出力部11を低電圧出力待機状態に維持(継続)させる。また、制御部16は、第2表示処理を終了して、図3に示すように、表示部15によるマーカー画像Gmの表示を停止させる(第1表示処理を実行して、スケール画像Gs1、単位画像Guおよび電圧値画像Gvの表示を継続させる)。以上により、低抵抗測定レンジでの測定対象の抵抗測定が終了する。
次いで、抵抗測定装置1を用いて、高抵抗測定レンジで測定対象の抵抗(絶縁抵抗)を測定するときには、操作部13のファンクションスイッチ31を操作して、「10V」の位置(図2参照)から、2つの高抵抗測定レンジのうちの1つ(例えば、500Vの測定用電圧Vmを用いて抵抗を測定する測定レンジ)を示す位置(同図に示す「500V」の位置)に回動させて、その高抵抗測定レンジを選択する。
続いて、制御部16は、操作部13から出力される操作信号に基づいてファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたと判別する。この場合、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって低抵抗測定レンジが選択された上記の場合とは異なり、この時点では、非表示処理を実行して、図2に示すように、スケール画像Gs、単位画像Guおよび電圧値画像Gvを表示させない非表示状態に維持すると共に、リリーススイッチ32が操作されたか否かを繰り返して判別する。また、制御部16は、非表示処理を実行する際に、リリーススイッチ32に配設されている光源を発光させる。この場合、光源を連続的に発光(連続点灯)させてもよいし、光源を点滅させてもよい。
ここで、この抵抗測定装置1では、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたとしても、その状態において操作部13のリリーススイッチ32が操作されない限り、制御部16は、電圧出力部11を高電圧出力待機状態には移行させない。このため、この抵抗測定装置1では、例えば、導通検査を行うために低抵抗測定レンジの選択を意図してファンクションスイッチ31に対する操作を行ったにも拘わらず、その意図に反して高抵抗測定レンジを選択した状態でメジャースイッチ33をオン操作したとしても、高圧の測定用電圧Vmが出力されない結果、高圧の測定用電圧Vmの供給によって測定対象が故障する事態を確実に防止することが可能となっている。
次いで、非表示処理の実行中にリリーススイッチ32が操作されたと判別したときには、制御部16は、第3表示処理を実行して、図5に示すように、スケール画像Gs2を表示部15に表示させる。つまり、制御部16は、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択され、かつその状態においてリリーススイッチ32が操作されたときにスケール画像Gs2を表示させる。また、制御部16は、表示部15を制御して、スケール画像Gs2内の数値の単位(この例では「MΩ」)を示す単位画像Gu、および測定用電圧Vmの電圧値(この例では「500V」)を示す電圧値画像Gvを表示させる。
また、制御部16は、非表示処理の実行中にリリーススイッチ32が操作されたと判別したときには、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって選択された高抵抗測定レンジに対応する電圧値(この例では、500V)の測定用電圧Vmを出力可能な高電圧出力待機状態に電圧出力部11を移行させる。また、制御部16は、電圧出力部11を高電圧出力待機状態に移行させたときには、リリーススイッチ32に配設されている光源の発光を停止させる。
この場合、スケール画像Gs2が表示部15に表示されることで、抵抗測定が可能な状態となったこと(高電圧出力待機状態に移行したこと)を使用者に確実に認識させることが可能となっている。
ここで、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジを選択した後にリリーススイッチ32を操作すべきこと(高抵抗測定レンジで抵抗を測定するために必要な操作)を使用者に認識させる手段を備えていない構成では、そのような必要な操作を使用者が認識していないときには、使用者はメジャースイッチ33をオン操作しても抵抗測定が行われない理由が理解できず、その結果、測定作業をスムーズに行うことが困難となる。
これに対して、この抵抗測定装置1では、上記したように、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって高抵抗測定レンジが選択されたとしても、その状態において操作部13のリリーススイッチ32が操作されない限り、制御部16は、スケール画像Gsを表示部15に表示させない。このため、この抵抗測定装置1では、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作だけでは、高電圧出力待機状態には移行しないことを使用者に対して確実に認識させることが可能となっている。また、リリーススイッチ32やその配置位置の近傍にリリーススイッチ32の機能等を表記することで、リリーススイッチ32を操作しなければ高電圧出力待機状態には移行しないことを認識していない使用者に対して、そのこと(高抵抗測定レンジで抵抗を測定するために必要な操作)を確実に認識させることが可能となる。このため、この抵抗測定装置1によれば、測定作業をスムーズに行わせることが可能となっている。
また、この抵抗測定装置1では、制御部16が非表示処理を実行する際に、リリーススイッチ32に配設されている光源を発光させるため、リリーススイッチ32がどれであるか(どのスイッチを操作すべきか)を使用者に対して確実に認識させることが可能となっている。
続いて、上記した低抵抗測定レンジで抵抗を測定する際の手順と同様にして、測定対象の各被接触部位にプローブ3a,3bをそれぞれ接触させた後に、操作部13のメジャースイッチ33をオン操作する。次いで、制御部16は、メジャースイッチ33に対するオン操作に応じて電圧出力部11を制御して出力処理を実行させ、電圧値が500Vの測定用電圧Vmを出力させる。この際に、電圧出力部11から出力された測定用電圧Vmがプローブ3a,3bを介して測定対象に供給される。
続いて、制御部16は、測定部12を制御して上記した測定処理を実行させる。次いで、制御部16は、測定部12によって測定された抵抗の測定値Rmを記憶部14に記憶させると共に、第4表示処理を実行する。この第4表示処理では、制御部16は、表示部15を制御して、図6に示すように、スケール画像Gs2上における測定値Rmに対応する位置をマーカー画像Gmで指し示すことによって測定値Rmを表示させる。続いて、測定を終了する際には、メジャースイッチ33をオフ操作する。この際に、制御部16は、電圧出力部11を制御して測定用電圧Vmの出力を停止させると共に、測定部12を制御して測定処理を停止させる。また、制御部16は、電圧出力部11を高電圧出力待機状態に維持(継続)させる。また、制御部16は、第4表示処理を終了して、図5に示すように、表示部15によるマーカー画像Gmの表示を停止させる(第3表示処理を実行して、スケール画像Gs2、単位画像Guおよび電圧値画像Gvの表示を継続させる)。以上により、高抵抗測定レンジでの測定対象の抵抗測定が終了する。
一方、上記した高電圧出力待機状態において、操作部13のメジャースイッチ33に対するオン操作(予め決められた操作)が例えば5分間(予め決められた時間)以上操作されないときには、制御部16は、高電圧出力待機状態を解除する。また、制御部16は、高電圧出力待機状態を解除したときには、上記した非表示処理を実行して表示部15によるスケール画像Gs、単位画像Guおよび電圧値画像Gvの表示を停止させると共に、リリーススイッチ32に配設されている光源を発光させる。
ここで、高抵抗測定レンジを選択してリリーススイッチ32を操作した後にしばらく時間が経過したときには、使用者がそのこと(電圧出力部11が高電圧出力待機状態に移行していること)を忘れて、低抵抗測定レンジを選択したとの誤認識をするおそれがある。この場合、時間の経過に拘わらず高電圧出力待機状態が継続する構成では、このように使用者が誤認識をしているときには、低圧の測定用電圧Vmが供給されるとの使用者の意図(誤認識)に反して高圧の測定用電圧Vmが測定対象に供給されることとなる。これに対して、この抵抗測定装置1では、上記したように、高電圧出力待機状態において操作部13のメジャースイッチ33に対するオン操作が5分間以上操作されないときには、制御部16によって高電圧出力待機状態が解除される。このため、この抵抗測定装置1では、リリーススイッチ32を操作した後にしばらく時間が経過したときの使用者の誤認識に起因して、高圧の測定用電圧Vmが測定対象に供給される事態を確実に防止することが可能となっている。
このように、この抵抗測定装置1では、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作によって第2測定レンジが選択されたときには、スケール画像Gsを非表示状態に維持する非表示処理を実行すると共に非表示処理の実行中にリリーススイッチ32が操作されたときにスケール画像Gsを表示部15に表示させる。このため、この抵抗測定装置1によれば、高抵抗測定レンジで抵抗を測定するために必要な操作を認識していない使用者に対して、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作だけでは、高電圧出力待機状態(第2状態)には移行しないことを確実に認識させることができる。したがって、この抵抗測定装置1によれば、例えば、リリーススイッチ32やその配置位置の近傍にリリーススイッチ32の機能等を表記することで、ファンクションスイッチ31に対する切り替え操作をした後にリリーススイッチ32を操作すべきことを確実に認識させることができる結果、測定作業をスムーズに行わせることができる。
また、この抵抗測定装置1では、制御部16が非表示処理を実行する際にリリーススイッチ32に配設されている光源を発光させる。このため、この抵抗測定装置1によれば、リリーススイッチ32がどれであるか(どのスイッチを操作すべきか)を使用者に対して確実に認識させることができる結果、測定作業をよりスムーズに行わせることができる。
また、この抵抗測定装置1では、電圧出力部11を高電圧出力待機状態(第2状態)に移行させている状態において抵抗測定装置1に対する予め決められた操作(メジャースイッチ33に対するオン操作)がされない状態が予め決められた時間(この例では5分間)継続したときには、制御部16が高電圧出力待機状態を解除する。このため、この抵抗測定装置1によれば、例えば、高抵抗測定レンジを選択してリリーススイッチ32を操作した後にしばらく時間が経過したときに、電圧出力部11が高電圧出力待機状態に移行していることを使用者が忘れて、低抵抗測定レンジを選択したとの誤認識をしたとしても、そのような誤認識に起因して、高圧の測定用電圧Vmが測定対象に供給される事態を確実に防止することができる。
なお、測定装置の構成は、上記した構成に限定されない。例えば、500Vおよび1000Vの測定用電圧Vmを用いて抵抗を測定する測定レンジを高抵抗測定レンジ(非表示処理を実行する測定レンジ)として規定した例について上記したが、これらは一例であって、高抵抗測定レンジや低抵抗測定レンジの種類は任意に規定することができる。また、上記のスケール画像Gsやマーカー画像Gmの内容も一例であって、任意の内容に変更することができる。
また、低電圧出力待機状態および高電圧出力待機状態において単位画像Guおよび電圧値画像Gvをスケール画像Gsと共に表示させる例について上記したが、各待機状態では、単位画像Guおよび電圧値画像Gvを表示させずに、測定値Rmを表示させる際(マーカー画像Gmを表示させる際)に単位画像Guおよび電圧値画像Gvを表示させる構成を採用することもできる。また、各待機状態において単位画像Guおよび電圧値画像Gvの一方(例えば、単位画像Gu)だけを表示させ、測定値Rmを表示させる際に単位画像Guおよび電圧値画像Gvの双方を表示させる構成を採用することもできる。また、各待機状態において、初期位置(例えば、スケール画像Gsにおける「∞」の位置)を指し示すマーカー画像Gmをスケール画像Gsと共に表示させる構成を採用することもできる。
また、高電圧出力待機状態(第2状態)において、メジャースイッチ33に対するオン操作が予め決められた時間としての5分間以上されないときに、高電圧出力待機状態を解除する例について上記したが、この予め決められた時間は5分間に限定されず任意に規定することができる。また、高電圧出力待機状態において、メジャースイッチ33以外の他のスイッチのいずれかに対する操作が予め決められた時間以上されないときに、高電圧出力待機状態を解除する構成を採用することもできる。
また、抵抗を測定する抵抗測定装置1に適用した例について上記したが、電圧、電流および電力などの他の物理量を測定する測定装置や、これらの物理量および抵抗の2種類以上を測定する測定装置に適用することもできる。