[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るワーク保持装置39は、たとえば、ロボットアーム(ロボットハンド)41の先端に設置されて、ワーク(板状等の形態のワーク)Wを保持するものである。ワーク保持装置39で保持されたワークWは、ロボットアーム41によってハンドリング(搬送、位置決め、姿勢の変更位置決め等)がされるようになっている。
すなわち、ワーク保持装置39で保持されたワークWは、ロボットアーム41を適宜移動位置決め(回動位置決めを含む)することで、ハンドリングされ、プレスブレーキ1で自動的に曲げ加工されるようになっている。
ここで、プレスブレーキ1について詳しく説明する。
プレスブレーキ(ワーク曲げ加工機)1は、第1の型(たとえば、ダイD等の金型)と第2の型(たとえば、パンチP等の金型)とを用いて、板状のワークW(平板状のワークやワークの平板状の部位)を折り曲げ加工するものである。
以下、説明の便宜のために水平な一方向をX軸方向とし、X軸方向に対して直交する水平な他の一方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに対して直交する方向(上下方向)をZ軸方向とする。X軸方向はプレスブレーキ1の左右方向であり、Y軸方向はプレスブレーキ1の前後方向になっている。
プレスブレーキ1は、図1や図2で示すように、フレーム3に支持されている第1の型設置体(たとえば、下部テーブル)5と、第2の型設置体(たとえば上部テーブル)7と、クラウニング装置9と、制御装置15とを備えて構成されている。
フレーム3の前方下側には、平板状の後側支え板17が一体的に設けられている。後側支え板17の前側には、後側支え板17とほぼ同形状の前側支え板19が設けられている。後側支え板17と前側支え板19とは、これらの厚さ方向がY軸方向になっている。Y軸方向から見ると、後側支え板17と前側支え板19とは、お互いがほぼ重なっており、YZ中心面(プレスブレーキ1の中心を含みY軸方向とZ軸方向とに展開している平面)に対してほぼ対称になっており、後側支え板17の平面状の上端面と前側支え板19の平面状の上端面とはX軸方向に直線で延びている。
また、前側支え板19は、スペーサ21を介して後側支え板17に支持されている。これにより、後側支え板17と前側支え板19と間には、所定の間隙(Y軸方向の寸法がスペーサ21の厚さと等しい間隙)23が形成されている。
また、後側支え板17と前側支え板19とには、クラウニング装置9を設置するための貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、たとえば、矩形状に形成されており、単数もしくは複数(図1では3つ)形成されている。貫通孔25は、水平方向に展開している下面27とこの下面27と平行な上面29とを備えており、Y軸方向から見ると、後側支え板17の貫通孔25と前側支え板19の貫通孔25とがお互いが重なっている。
また、貫通孔25が複数設けられている場合、各貫通孔25は、Z軸方向ではお互いの位置が一致し、X軸方向では所定の間隔をあけ、しかも、プレスブレーキ1のYZ中心面に対して対称に配置されている。
下部テーブル5は、たとえば矩形な平板状に形成されている。下部テーブル5の厚さ寸法は、間隙23の寸法よりもごく僅かに小さくなっている。下部テーブル5は、この厚さ方向がY軸方向になるようにして、後側支え板17と前側支え板19とに挟まれ、後側支え板17と前側支え板19との間に位置している。ただし、下部テーブル5の厚さ寸法が間隙(間隔)23の寸法よりもごく僅かに小さくなっているので、後側支え板17と前側支え板19とに挟まれているだけの状態では、下部テーブル5は、後側支え板17と前側支え板19とに対して、Y軸方向とZ軸方向とで移動可能になっている。
Y軸方向から見ると、下部テーブル5のX軸方向の寸法は、後側支え板17や前側支え板19のX軸方向の寸法よりもやや小さくなっており、下部テーブル5はYZ中心面に対してほぼ対称になっており、下部テーブル5のX軸方向の両端は、貫通孔25よりも外側に位置している。また、Y軸方向から見ると、下部テーブル5の平面状の上端面と平面状の下端面とはX軸方向に直線で延びている。さらに、Y軸方向から見ると、下部テーブル5の平面状の上端面は、後側支え板17や前側支え板19の上端面よりも上方に位置しており、下部テーブル5の平面状の下端面は、Z軸方向で貫通孔25の中間に位置している。これにより、Y軸方向から見ると、貫通孔25のところで下部テーブル5の一部が露出している。
また、下部テーブル5は、X軸方向の両端部が、円柱状の一対の軸部材(YZ中心面に対して対称に配置されている軸部材)31を介して、後側支え板17と前側支え板19と支持されている。これにより、下部テーブル5は、両端が回動支持軸で支持されている両端支持梁になっている。なお、一対の軸部材31は、X軸方向で貫通孔25よりも外側に位置している。
上部テーブル7は、フレーム3の前方上側で、図示しないリニアガイドベアリング等によってフレーム3に支持されている。また、上部テーブル7は、サーボモータ33等のアクチュエータ(油圧シリンダ等でもよい。)によって、図示しないボールネジを介して、Z軸方向(下部テーブル5に対して接近もしくは離反する方向)で移動位置決めされるようになっている。
なお、上部テーブル7も平板状に形成されており、厚さ方向がY軸方向になるようにして、下部テーブル5から離れて下部テーブル5の上方に配置されている。Y軸方向から見ると、上部テーブル7はYZ中心面に対して対称に配置されており、平板状の上部テーブル7の下面が、下部テーブル5の下面と平行になって対向し、X軸方向に直線状になって延びている。
また、上部テーブル7の下面は、下部テーブル5の上面と同じ長さ寸法になっており、X軸方向で下部テーブル5と同じところに位置している。さらに、Y軸方向でも、上部テーブル7の下面は、X軸方向と下部テーブル5の上面と同じところに位置している。
サーボモータ33は、上部テーブル7の左側と右側とに設けられている(YZ中心面に対して対称に配置されている)。左側のサーボモータ33Aと右側のサーボモータ33Bとは、ほぼ同期して駆動するようになっている。そして、一対のサーボモータ33(33A,33B)を駆動すると、上部テーブル7の下面が下部テーブル5の上面とほぼ平行な状態を保ったまま、上部テーブル7が下部テーブル5に対して移動するようになっている。また、サーボモータ33の駆動を停止し、サーボモータ33の回転出力軸が回転しないようにすることで(たとえば回転出力軸にサーボブレーキがかけられることで)、上部テーブル7が位置決めされこの位置が維持されるようになっている。
なお、上部テーブル7を移動位置決めすることに代えてもしくは加えて、下部テーブル5をZ軸方向で移動位置決めする構成であってもよい。いずれにしても、上部テーブル7が下部テーブル5に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な構成であればよい。
下部テーブル5には、たとえば、ダイホルダDHを介して、第1の型(たとえばダイD)が、着脱自在にしかも一体的に設置されるようになっている。上部テーブル7には、たとえば、パンチホルダPHを介して、第2の型(たとえばパンチP)が、着脱自在にしかも一体的に設置されるようになっている。
なお、Y軸方向では、上部テーブル7に設置されたパンチ(設置済みパンチ)Pの中心と、下部テーブル5に設置されたダイ(設置済みダイ)Dの中心とは、お互いに一致している。また、図1では、パンチP、パンチホルダPH、ダイD、ダイホルダDHにおけるX軸方向の寸法が、下部テーブル5や上部テーブル7におけるX軸方向の寸法と同じになっているが、実際には、パンチP、パンチホルダPH、ダイD、ダイホルダDHにおけるX軸方向の寸法は、下部テーブル5や上部テーブル7におけるX軸方向の寸法に比べて小さくなっており、パンチP、パンチホルダPH、ダイD、ダイホルダDHがX軸方向で、下部テーブル5や上部テーブル7の中央や、左右いずれかに偏った位置に配置されるようになっている。
また、プレスブレーキ1にはバックゲージ37が設けられている。バックゲージ37は、パンチPやダイD(下部テーブル5や上部テーブル7)の後側に設けられており、図示しないリニアガイドベアリングを介してフレーム3に支持されており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによってY軸方向でフレーム3に対して移動位置決め自在になっている。
そして、図2で示すように、上部テーブル7が上昇し設置済みパンチPが設置済みダイDの上方で設置済みダイDから離れている状態で、ワークWをダイDに載置しワークWの一端部をバックゲージ37に突き当てて上部テーブル7を下降させると、ダイDの「V」字状の凹部とパンチPの「V」字状の凸部とでワークWが挟まれて、ワークWの曲げ加工がなされるようになっている。
クラウニング装置9は、下部テーブル5に対してクラウニングを行う装置であり、たとえば、油圧シリンダ35を備えて構成されている。油圧シリンダ35は、支え板17,19の各貫通孔25のそれぞれに設置されている。油圧シリンダ35の筐体の下端が貫通孔25の下面に接して支え板17,19に一体的に設けられている。油圧シリンダ35のロッドの先端(上端)が、上部テーブル7の下面に接してしている。
そして、油圧シリンダ35に圧縮油(圧力が大気圧よりも高い油圧作動油)を供給することで、下部テーブル5のクラウニングがなされるようになっている。下部テーブル5のクラウニングによって、下部テーブル5(パンチP)が、図1に破線L1で示すように、上側に僅かに凸な曲線になる。
ここで、ワーク保持装置39について、図3、図6等を参照しつつ詳しく説明する。
ワーク保持装置39は、ワーク保持部43とワーク保持部位置変更部45とを備えて構成されている。
真空吸着パッド等で構成されたワーク保持部43は、複数設けられており、お互いが離れている。したがって、ワーク保持部43のそれぞれは、ワークWの異なる複数の部位でワーク(1枚のワーク)Wを保持するようになっている。
ワーク保持部位置変更部45は、各ワーク保持部43の位置を、各ワーク保持部43間の距離が変わるように変更する装置である。ワーク保持部位置変更部45によるワーク保持部43の位置の変更は、たとえば、ワークWに加工を施したことによって(たとえば平板状のワーク、もしくは、ワークの平板状の部位にプレスブレーキ1で折り曲げ加工を施したことよって)、ワークWの形状が変化したときに、この形状の変化に応じて(合わせて)、ワーク保持部43の位置を変更する装置である。
複数のワーク保持部43は、たとえばほぼ1つの平面上に配置されている。ワーク保持部位置変更部45によって、総てのワーク保持部43間の距離もしくは一部のワーク保持部43間の距離が変更されるように構成されている。ワーク保持部位置変更部45で変更された各ワーク保持部43間の距離は、次にワーク保持部位置変更部45で各ワーク保持部43間の距離が変更されるまで、その値が維持されるようになっている。
複数のワーク保持部43のうちの一部のワーク保持部である少なくも2つのワーク保持部43は、ワークWを把持して(挟み込んで)保持する把持ワーク保持部(ワーク把持部)47で構成されている。他のワーク保持部43は、真空吸着ワークを吸着して保持する吸着ワーク保持部(バキュームパッド;電磁マグネット等のマグネットでもよい。)49で構成されている。
また、把持ワーク保持部47のうちの1つの把持ワーク保持部である第1の把持ワーク保持部47Aと、把持ワーク保持部47のうちの他の1つの把持ワーク保持部である第2の把持ワーク保持部47Bとの間に、把持ワーク保持部47以外のワーク保持部(吸着ワーク保持部49、または、吸着ワーク保持部49と把持ワーク保持部47)が位置している。
ワーク保持部位置変更部45は、少なくとも、第1の把持ワーク保持部47Aと第2の把持ワーク保持部47Bと間の距離を変更するようになっている。
ワーク保持部43についてさらに詳しく説明する。
以下、説明の便宜のためにワーク保持装置39における所定の一方向をU軸方向とし、U軸方向に対して直交する他の所定の一方向をV軸方向とし、U軸方向とV軸方向とに対して直交する方向をW軸方向とする。ワーク保持装置39がロボットアーム(ロボットハンド)41に設置されるので、ワーク保持装置39におけるU軸方向、V軸方向、W軸方向が、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向と一致する場合もある。
ワーク保持装置39は、ベース体51と第1の移動体53と第2の移動体55とアクチュエータ57と吸着ワーク保持部49と把持ワーク保持部47とを備えて構成されている。
ベース体51は、矩形な平板状に形成されている。第1の移動体53は、矩形な平板状に形成されており、ベース体51の厚さ方向(W軸方向)に対して直交する一方向(U軸方向)における一方の側(図3の左側)で、ベース体51に対して接近・離反する方向(U軸方向)で移動位置決め自在になっている。
第2の移動体55は、第1の移動体53と同形状である矩形な平板状に形成されおり、ベース体の厚さ方向(W軸方向)に対して直交する一方向(U軸方向)における他方の側(図3の右側)で、ベース体51に対して接近・離反する方向で移動位置決め自在になっている。
アクチュエータ57は、各移動体53,55をベース体51に対して移動し位置決めするものである。
ベース体51と各移動体53,55とは、W軸方向でお互いがほぼ同じところに位置している。さらに説明すると、各移動体53,55は、W軸方向でお互いが同じところに位置しており、ベース体51は各移動体53,55に対して、W軸方向でベース体51や各移動体53,55の厚さ分程度位置がずれている。
W軸方向から見ると、矩形状のベース体51や各移動体53,55の横方向がU軸方向になっており、矩形状のベース体51や各移動体53,55の縦方向がV軸方向になっている。べース体51と各移動体53,55の縦方向の寸法はお互いがほぼ等しくなっている。べース体51の横方向の寸法は、各移動体53,55の横方向の寸法よりも大きくなっている。
また、W軸方向から見ると、ベース体51と各移動体53,55とは、V軸方向でお互いがほぼ同じところに位置している。また、第1の移動体53は、U軸方向で、ベース体51の一方の側(図3では左側)に位置しており、第2の移動体55は、U軸方向で、ベース体51の他方の側(図3では右側)に位置している。
第1の移動体53は、リニアガイドベアリング59を介してベース体51に支持されていることで、ベース体51に対して前述したU軸方向での移動をすることができるようになっている。第1の移動体53がベース体51に最も近づいたときには、図3(a)で示すように第1の移動体53がベース体51に接触するようになっている。第2の移動体55も、リニアガイドベアリング59を介してベース体51に支持されていることで、ベース体51に対して前述したU軸方向での移動をすることができるようになっている。第2の移動体55がベース体51に最も近づいたときには、第2の移動体55もベース体51に接触するようになっている。
第1の移動体53の移動ストロークと第2の移動体55の移動ストロークとはお互いが等しくなっている。
アクチュエータ57は、第1の移動体53を移動する第1のアクチュエータ(たとえば、空気圧シリンダ)57Aと、第2の移動体55を移動する第2のアクチュエータ(たとえば、空気圧シリンダ)57Bとを備えて構成されている。したがって、第1の移動体53のベース体51に対する位置と、第2の移動体55のベース体51に対する位置とを、お互いを独立させて移動位置決めすることができる。
なお、1つのアクチュエータと同期機構(ラック&ピニオン等)を用いて、第1の移動体53と第2の移動体55とをお互いに同期させて移動するようになっていてもよい。
また、アクチュエータ57として空気圧シリンダを採用する代わりに、リニアモータ等を採用してもよい。これによって、移動体53,55を任意の中間位置で停止して位置決めすることが容易になる。
吸着ワーク保持部49は、前述したように、真空吸着パッド(バキュームパッド)、磁石(電磁石等の磁力をオン・オフ可能な磁石)の少なくともいずれかで構成されている(図3等では、バキュームパッドが使用されている)。吸着ワーク保持部49は、ベース体51に複数設けられている(1つだけ設けられている構成であってもよい)。また、吸着ワーク保持部49は、第1の移動体53に複数設けられている(1つだけ設けられている構成であってもよい)。また、吸着ワーク保持部49は、第2の移動体55に複数設けられている(1つだけ設けられている構成であってもよい)。
各吸着ワーク保持部49は、ベース体51と各移動体53,55の厚さ方向(W軸方向)の一方の面から突出して設けられている。また、各吸着ワーク保持部49の吸着ライン(吸着面)は、ベース体51や各移動体53,55の厚さ方向でベース体51や各移動体53,55から所定の距離さけ離れた1つの平面(U軸方向とV軸方向とに展開している平面)上に存在している。
さらに説明すると、ベース体51には、6つの吸着ワーク保持部49が設けられている。6つの吸着ワーク保持部49のうちの4つの吸着ワーク保持部49は、ベース体51の4つの角部の近傍に設けられている。他の2つの吸着ワーク保持部49は、V軸方向ではベース体51の両端の近傍でU軸方向ではベース体51の中央に設けられている。
第1の移動体は53には、4つの吸着ワーク保持部49が設けられている。4つの吸着ワーク保持部49のうちの2つの吸着ワーク保持部49は、第1の移動体53におけるベース体51側の角部の近傍に設けられている。他の2つの吸着ワーク保持部49は、V軸方向では第1の移動体53の両端の近傍でU軸方向では第1の移動体53の中間部に設けられている。
第2の移動体は55にも、第1の移動体は53と同様にして、4つの吸着ワーク保持部49が設けられている。4つの吸着ワーク保持部49のうちの2つの吸着ワーク保持部49は、第2の移動体55におけるベース体51側の角部の近傍に設けられている。他の2つの吸着ワーク保持部49は、V軸方向では第2の移動体55の両端の近傍でU軸方向では第2の移動体55の中間部に設けられている。
合計14個の各吸着ワーク保持部49は、同時に真空吸着がオン・オフされるようになっているが、各吸着ワーク保持部49のそれぞれが独立してオン・オフされるようになっていてもよいし、所定の群毎にオン・オフされるようになっていてもよい。たとえば、ベース体51に設けられている6つの吸着ワーク保持部49が同時にオン・オフされるようになっており、第1の移動体53に設けられている4つの吸着ワーク保持部49が同時にオン・オフされるようになっており、第2の移動体55に設けられている4つの吸着ワーク保持部49が同時にオン・オフされるようになっていてもよい。
把持ワーク保持部47は、U軸方向では、第1の移動体53の、ベース体51とは反対側に位置する端部(端の近傍)に設けられている。さらには、把持ワーク保持部47は、第1の移動体53に2つ設けられており、一方の把持ワーク保持部47は、V軸方向で、第1の移動体53の両端の近傍に設けられている。
また、把持ワーク保持部47は、U軸方向では、第2の移動体55の、ベース体51とは反対側に位置する端部(端の近傍)に設けられている。さらには、把持ワーク保持部47は、第2の移動体55に2つ設けられており、一方の把持ワーク保持部47は、V軸方向で、第2の移動体55の両端の近傍に設けられている。
これにより、把持ワーク保持部47は、ワーク保持装置39の両端に位置しており、U軸方向では、把持ワーク保持部47内側に、吸着ワーク保持部49が存在している。
合計4つの把持ワーク保持部47は、W軸方向から見ると、ワーク保持装置39の4つの角部の近傍に配置されている。また、4つの把持ワーク保持部47は、W軸方向では、お互いが同じところに位置しており、吸着ワーク保持部49と同じ方向に突出しているが、この突出高さは、吸着ワーク保持部49の突出高さよりも低くなっている。
把持ワーク保持部47は、固定ツメ61とこの固定ツメ61に対して接近・離反する方向で移動自在な可動ツメ65とベース部(把持ワーク保持部本体部)63とを備えて構成されている。
把持ワーク保持部本体部63は、第1の移動体53(第2の移動体55)一体的に設けられている。固定ツメ61は把持ワーク保持部本体部63に一体的に設けられている。可動ツメ65は、リニアガイドベアリング(図示せず)を介して把持ワーク保持部本体部63に支持されており、空気圧シリンダ等のアクチュエータ(図示せず)によって、U軸方向で把持ワーク保持部本体部63に対して移動するようになっている。
そして、可動ツメ65を移動することで、固定ツメ61と可動ツメ65とでワークWを把持して保持し、もしくは、ワークWを開放するようになっている。
また、可動ツメ65は「L」字状の形成されており、ワークWを把持しようとして可動ツメ65を固定ツメ61側に移動すると、ワークWが存在しない場合、可動ツメ65が固定ツメ61に当接し固定ツメ61と把持ワーク保持部本体部63と可動ツメ65とで「ロ」字状の形状になるように構成されている。そして、固定ツメ61と可動ツメ65とでワークWを把持するとき、この「ロ」字の内側に、ワークWの縁部(折り曲げ加工等で形成された縁部)が入り込めるようになっている(図6(a)参照)。
なお、既に理解されるように、ワーク保持装置39は、中心面(ワーク保持装置39の中心を通って、U軸方向に直交している平面)に対して対称になっている。
また、ベース体51がブラケット67を介して、ロボットハンドの先端に一体的に設置されるようになっている。
次に、ワーク保持装置39等の動作について説明する。
まず、初期状態として、上部テーブル7が上昇しており、図示しない入力部を介してワークWの形状等に係るワーク情報が制御装置15に入力されており、板状の複数枚のワークWが重ねられており(図示せず)、ロボット69(図4等参照)のロボットアーム41にはワーク保持装置39が一体的に設置されており、このワーク保持装置39の各移動体53、55が図3(b)で示すように、ベース体51から突出しており、ワーク保持装置39の全体が所定のデフォルト位置に位置しているものとする。
上記初期状態において、図示しないスタートボタンが押されると、制御装置の15の制御の下、ロボット69とワーク保持装置39とプレスブレーキ1とが次の動作をする。
まず、プレスブレーキ1のバックゲージ37が移動位置決めされ、ロボット69によってワーク保持装置39が適宜移動し、積み重ねられているワークWのうちの1枚のワークWを吸着ワーク保持部49で保持する。
続いて、ワークWを、ダイDの上に載置するとともに、バックゲージ37に突き当てて位置決めする(図4(a)参照)。
続いて、ワーク保持装置39でワークWを保持したままパンチPを下降し、ワークWに曲げ加工を施す。ワークWの曲げ加工をするとき、ワークWの両端が跳ね上がるが、この跳ね上がりに合わせて、ロボット69でワーク保持装置39を回動し移動する(図4(b)参照)。なお、ワークWの曲げ加工をするとき、必要に応じてクラウニング装置9によるクラウニングがなされる。
続いて、パンチPを上昇させ、折り曲げたワークWをプレスブレーキ1から搬出し、この搬出したワークWを一旦ワーク保持装置39から離して所定の位置に置く。
続いて、ワーク保持装置39の各移動体53、55を、図3(a)で示すように、ベース体51側に引っ込めて、吸着ワーク保持部49でワークWを再び保持する(ワークWを持ち替える)。また、バックゲージ37を再び位置決めする。
続いて、ワークWを、ダイDの上に再び載置するとともに、バックゲージ37に突き当てて位置決めする(図5(a)参照)。
続いて、ワーク保持装置39でワークWを保持したままパンチPを再び下降し、ワークWに曲げ加工を施す。ワークWの曲げ加工をするとき、ワークWの両端が跳ね上がるが、この跳ね上がりに合わせて、ロボット69でワーク保持装置39を回動し移動する(図5(b)参照)。
続いて、パンチPを上昇させ、折り曲げたワークWをプレスブレーキ1から搬出し、この搬出したワークWを一旦ワーク保持装置39から離して所定の位置に置く。
続いて、ワークWをワーク保持装置39の把持ワーク保持部47で保持し(図6(a)参照)、ワークWを所定の位置(折り曲げ加工済みワークの保管場所)場所まで搬送し、ワークWを開放し、ワーク保持装置39がデフォルト位置に戻る。
続いて、2枚目のワークWに対して1枚目のワークWと同様に曲げ加工を施す。ただし、2枚目のワークWの曲げ加工が終了したき、図6(b)で示すように、ワークWを吸着ワーク保持部49で保持して、所定の位置(折り曲げ加工済みワークWの保管場所)場所まで搬送し、ワークWを開放する。なお、図6(b)では、「コ」字状の2枚のワークWの姿勢がお互いに180°ずれており、一方のワークW内に他方のワークWの一部(折り曲げられた部位)が入り込んでいるので、ワークWの設置スペースが小さくなっている。
続いて、ワークWが無くなるまで、上述した2枚のワークWの曲げ加工等を交互に実行し、上記初期状態に戻る。
ワーク保持装置39によれば、ワーク保持部位置変更部45で各ワーク保持部43の位置を変更することができるので、ワークWに曲げ加工を施すこと等によってワークWの形状が変化した場合であっても、ワークWを的確に保持することができる。
すなわち、ワークWに比べてワーク保持装置39が極端に小さくなりそうな場合には、ワーク保持部位置変更部45で各ワーク保持部43間の距離を大きくすることで、ワークWのほぼ全体を保持することができ、ワークWの自重によるワークWの撓み(ワーク保持装置39で保持した場合における撓み)を防止することができ、ワークWの揺れ(ワーク保持装置39で保持した場合における揺れ)を防止することができ、ロボット69によるワークWのハンドリングが容易になる。
また、ワークWに深曲げ加工をして、ワークWがワーク保持装置39よりも小さくなっても(図8等参照)、ワーク保持部位置変更部45で各ワーク保持部43間の距離を小さくすることで、ワークWを保持することができ、最終工程までワークWを加工することができ、ワークWが仕掛品になることが防止される。
また、図19で示したようにお互いが異なる仕様のワーク保持装置を複数種類用意する必要がなくなるので、コストの上昇を押さえることができ、多種類のワーク保持装置39の保管場所が不要になり、さらに、ワーク保持装置39の交換による段取り時間が無くなり、ワークWの加工のタクトタイムを短縮することができる。
さらに、図7(a)で示すようにワークWをワーク保持装置39で保持した後、図7(b)で示すように、ワーク保持部位置変更部45で各ワーク保持部43間の距離が僅かに小さくなるように変更すれば、図7(b)で示すように、ワークWに僅かな撓み(挫屈状の撓み)が発生する。これにより、板状のワークWの2枚吊りを防止することができる。そして、ロボット69とワーク保持装置39とプレスブレーキとを使ったワークWの曲げ加工の自動化がしやすくなる。
ワークWの2枚吊りを防止する場合には、複数枚重ねられている一番上の1枚のワークWを吊り上げる時にのみ、図7(b)の状態にするものとする。
また、図9で示すように、ワーク保持部43がワークWに形成されている貫通孔W1に干渉するおそれがあるときには、ワーク保持部位置変更部45でワーク保持部43の位置を適宜変更することで、ワーク保持部43とワークWに形成されている貫通孔W1との干渉を避けることができ、ワークWを的確に保持することができる。
また、ワーク保持装置39によれば、ワーク保持部43が吸着ワーク保持部49と把持ワーク保持部47とで構成されているので、吸着ワーク保持部49と把持ワーク保持部47と使い分けることで、より広範で様々な形状のワークWをより様々な態様で保持することができる。
たとえば、図6や図8で示すように、ワークWに深曲げ加工をしてさらに最終工程まで曲げ加工したワークWを保持するとき、ワークWの被保持部を一定の箇所にする必要がなくなり(図6(a)、図6(b)とを対比)、ワークWを保持するときのワークWの向きの制約が少なくなり、最終工程まで曲げ加工したワークWをパレット上に載置する場合のスペースを小さくすることができる(図6(b)参照)。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るワーク保持装置71は、第1の実施形態に係るワーク保持装置39と同様にして、ロボットアーム41の先端に設置されて、ワークWを保持し移送するものである。
すなわち、ワーク保持装置71で保持されたワークWは、ロボットアーム41によってハンドリング(搬送、位置決め、姿勢の変更位置決め等)がされるようになっている。
ワーク保持装置71について詳しく説明する。
ワーク保持装置71のワーク保持部位置変更部45は、図10、図11等で示すように、複数のエレメント(複数のメンバ)73が限定連鎖を構成しているリンク装置(リンク機構)75と、このリンク装置75を限定運動させるとともにリンク装置75の所定の形態を保持するアクチュエータ77とを備えて構成されている。
各ワーク保持部43は、リンク装置75のエレメント73に支持されている(たとえば、一体的に設けられている)。
アクチュエータ77は、筐体79とこの筐体79に対して駆動する(移動して駆動力を出力する)駆動体81とを具備している。
リンク装置75を構成している各エレメント73のうちの一部のエレメント73E,73Fが筐体79に対して対偶をなしており、リンク装置75を構成している各エレメント73のうちの他の一部のエレメント(73A,73C)が駆動体81に対して対偶をなしており、アクチュエータ77の筐体79が、たとえばブラケットを介してボルト等の締結具によって、ロボットアーム41一体的に設置されるように構成されている(図14参照)。
ワーク保持装置71についてさらに詳しく説明する。
以下、説明の便宜のためにワーク保持装置71における所定の一方向をU軸方向とし、U軸方向に対して直交する他の所定の一方向をV軸方向とし、U軸方向とV軸方向とに対して直交する方向をW軸方向とする。ワーク保持装置71がロボットアーム41に設置されるので、ワーク保持装置71におけるU軸方向、V軸方向、W軸方向が、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向と一致する場合もある。
アクチュエータ77は、上述したように筐体(エレメント)79と、この筐体79からV軸方向に突出し所定の軸(V軸方向に延びている中心軸C1)を回転中心にして筐体79に対し回転駆動するオスネジ軸(エレメント;駆動体)81とを備えて構成されている。ひらたく言えば、アクチュエータ77は、たとえば、回転出力軸にオスネジが一体的に設けられているオスネジ軸付きサーボモータで構成されている。
オスネジ軸81には、ナット(エレメント)83が螺合している。ナット83は、リンク装置75のエレメント73で支持されていることで、軸C1を中心にして回転することは無く、オスネジ軸81の回転によってオスネジ軸81の長手方向(V軸方向、C1軸の方向)で移動位置決めされるようになっている。
オスネジ軸81とナット83とは、三角ネジや台形ネジ等の、セルフロックがなされる通常のすべりネジで構成されているが、オスネジ軸81とナット83とがボールネジで構成されていてもよい。オスネジ軸81とナット83とがボールネジで構成されている場合には、オスネジ軸81が回転を停止しているときにオスネジ軸81の回転を阻止するサーボブレーキ等のブレーキが必要になる。
なお、アクチュエータ77として、空気圧シリンダや油圧シリンダ等のシリンダを採用してもよい。この場合、シリンダの筒状体(シリンダの本体)がサーボモータ77の筐体79に相当し、シリンダのシリンダロッドがサーボモータ77のオスネジ軸81に相当する。そして、ナット83の代わりに、シリンダロッドの先端にシリンダロッド先端部材を一体的に設けるものとする。
第1の長尺エレメント73Aは、この長手方向に対して直交する平面による断面の形状が「H」字状もしくは「I」字状である直線的な棒状に形成されている。第1の長尺エレメント73Aはこの長手方向の一端部近傍の部位が、回動中心軸C11を回動中心にして、ナット83に対してまわり対偶をなし回動(揺動)するようになっている。軸C11は、ナット83の中心を通り、軸C1に対して直交しW軸方向に延伸している。なお、軸C11が軸C1と直交しておらず(交わっておらず)、軸C1から僅かに離れていてよい。すなわち、軸C11が軸C1に対してねじれの位置に存在していてもよい。
第1の長尺エレメント73Aは、軸C1の一方の側で、軸C11からU軸方向の成分とV軸方向の成分とを含んだ(W軸方向の成分は含まない)斜めの方向に延伸している。すなわち、第1の長尺エレメント73Aは、軸C1から、U軸方向では軸C1(サーボモータ77)から離れ、V軸方向では、サーボモータ77の筐体79側に向かうように、斜めに延伸している。なお、第1の長尺エレメント73Aがサーボモータ77の大きさに比べて十分に長いので、第1の長尺エレメント73Aは、V軸方向では、一旦はサーボモータ77の筐体79に近づき、その後離れるように延伸している。
第1の筐体係合エレメント73Eは、長手方向に対して直交する平面による断面の形状が第1の長尺エレメント73Aと同形状である棒状で直線状に形成されている。第1の筐体係合エレメント73Eは、第1の長尺エレメント73Aよりも短く形成され、長手方向の一端部がまわり対偶をなしてアクチュエータ77の筐体79に係合している。
第1の筐体係合エレメント73Eの長手方向の他端部は、まわり対偶をなして、第1の長尺エレメント73Aとナット83との係合部側の部位で第1の長尺エレメント73Aの長手方向の中間部で第1の長尺エレメント73Aに係合している。
すなわち、第1の筐体係合エレメント73Eはこの長手方向の一端の近傍の部位が、回動中心軸C12を回動中心にして、サーボモータ77の筐体79に対してまわり対偶をなし回動(揺動)するようになっている。また、第1の筐体係合エレメント73Eはこの長手方向の他端の近傍の部位が、回動中心軸C13を回動中心にして、第1の長尺エレメント73Aに対してまわり対偶をなし回動(揺動)するようになっている。
回動中心軸C12,C13は、軸C11と平行であってW軸方向に延伸している。回動中心軸C12は、第1の長尺エレメント73Aが延出している側でサーボモータ77の筐体79から僅かに離れている(ねじれの位置に位置している;図11では軸C1よりも僅かに左側にずれている)が、回動中心軸C12が軸C1と直交する位置にあってもよい。軸C13は、第1の長尺エレメント73Aの長手方向で、第1の長尺エレメント73Aの一端側(軸C11の近く)に位置している。
第2の長尺エレメント73Bは、たとえば、第1の長尺エレメント73Aと同じ長さに形成されている。より具体的には、第1の長尺エレメントとほぼ同形状に形成されている。また、第2の長尺エレメント73Bは、この長手方向の中間部(たとえば中央部)が、まわり対偶をなして第1の長尺エレメント73Aの長手方向の中間部(たとえば中央部)で第1の長尺エレメント73Aに係合している。
第2の長尺エレメント73Bは、この長手方向の中央の部位が、回動中心軸C14を回動中心にして、第1の長尺エレメント73Aの長手方向の中央の部位に対してまわり対偶をなし回動(揺動)するようになっている。軸C14は、軸C11と平行であってW軸方向に延伸している。
第3の長尺エレメント73Cは、第1の長尺エレメント73Aと同じ長さに形成されている。より具体的には、第1の長尺エレメント73Aとほぼ同形状に形成されている。第3の長尺エレメント73Cは、この長手方向の一端部が、ナット83と第1の長尺エレメント73Aとの係合箇所と同じ箇所で、まわり対偶をなしてナット83と第1の長尺エレメント73Aとに係合している。
第3の長尺エレメント73Cは、中心面(軸C1を含みU軸方向に対して直交している平面;軸C1を含みV軸方向とW軸方向とに展開している平面)に対して、第1の長尺エレメント73Aと対称になっている。そして、第3の長尺エレメント73Cは、軸C11を回動中心にしてナットに対して回動するようになっている。
以上によって、エレメント73A,73Cが、ナット83を介した間接的な形態ではあるが、駆動体81に対して対偶をなしていることになる。
第2の筐体係合エレメント73Fは、第1の筐体係合エレメント73Eと同じ長さに形成されている。より具体的には、第1の筐体係合エレメント73Eと同形状に形成されている。第2の筐体係合エレメント73Fは、この長手方向の一端部がまわり対偶をなしてアクチュエータ77の筐体79に係合している。また、第2の筐体係合エレメント73Fは、この長手方向の他端部がまわり対偶をなし、第3の長尺エレメント73Cの長手方向の中間部で第3の長尺エレメント73Cに係合している。
第2の筐体係合エレメント73Fは、中心面(軸C1を含みU軸方向に対して直交している平面;軸C1を含みV軸方向とW軸方向とに展開している平面)に対して、第1の筐体係合エレメント73Eと対称になっている。したがって、第2の筐体係合エレメント73Fは、軸(軸C12と対称位置にある軸)C32を回動中心にして、アクチュエータ77の筐体79に対して回動するようになっている。また、第2の筐体係合エレメント73Fは、軸(軸C13と対称位置にある軸)C33を回動中心にして、第3の長尺エレメント73Cに対して回動するようになっている。
第4の長尺エレメント73Dは、第2の長尺エレメント73Bと同じ長さに形成されている。より具体的には、たとえば、第2の長尺エレメント73Bとほぼ同形状に形成されている。第4の長尺エレメント73Dは、この長手方向の中間部(たとえば中央部)が、まわり対偶をなして第3の長尺エレメント73Cの長手方向の中間部(たとえば中央部)で第3の長尺エレメント73Cに係合している。また、第4の長尺エレメント73Dは、この長手方向の一端部(アクチュエータ77の筐体79を間にしてナット83とは反対側に位置している端部)が、まわり対偶をなして第1の長尺エレメント73Aの長手方向の一端部(アクチュエータ77の筐体79を間にしてナット83とは反対側に位置している端部)で第1の長尺エレメント73Aに係合している。
また、第4の長尺エレメント73Dは、中心面(軸C1を含みU軸方向に対して直交している平面;軸C1を含みV軸方向とW軸方向とに展開している平面)に対して、第2の長尺エレメント73Bと対称になっている。そして、第4の長尺エレメント73Dは、軸C34を回動中心にして第3の長尺エレメント73Cに対して回動するようになっている。また、第4の長尺エレメント73Dは、軸C22回動中心にして第2の長尺エレメント73Bに対して回動するようになっている。軸C22は、軸C1と直交している。
アクチュエータ77、ナット83、第1の長尺エレメント73A、第2の長尺エレメント73B、第3の長尺エレメント73C、第4の長尺エレメント73D、第1の筐体係合エレメント73E、第2の筐体係合エレメント73Fが上述したように係合していることで、アクチュエータ77とナット83と各エレメント73とが限定運動するリンク装置75が構成されている。
また、ワーク保持装置71では、アクチュエータ77の筐体79が固定節になりオスネジ軸81が原動節になり、各エレメント73が従動節もしくは連接節になっている。また、各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dと各筐体係合エレメント73E,73Fとは、W軸方向でほぼ同じところに位置している。
ワーク保持部43は、各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dに、たとえばブラケット85を介して一体的に設けられている(図12、図13等参照)。ワーク保持部43は、複数設けられており、総てのワーク保持部43が吸着ワーク保持部49で構成されているが、少なくとも一部のワーク保持部43が把持ワーク保持部47で構成されていてもよい。
各ワーク保持部43は、お互いが離れて各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dに設置されている。また、ワーク保持部43は、V軸方向で、各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dの一方の側に突出している。各ワーク保持部43のワーク吸着面は、アクチュエータ77が稼動してナット83の位置が変化し、各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dが運動しても、W軸に対して直交する所定の平面(各長尺エレメント72A,73B,73C,73Dから所定の距離だけ離れている平面)上に存在している。
ワーク保持部43(真空吸着パッド)は、たとえば16個設けられている。第1の真空吸着パッド43Aは、軸C11(C13)と軸C15との中間に設けられている。第2の真空吸着パッド43Bは、軸C15と軸C14との中間に設けられている。第6の真空吸着パッド43Fは、軸C16のところに設けられている。第5の真空吸着パッド43Eは、第2の長尺エレメント73Bの長手方向の他端部に設けられている。
第3の真空吸着パッド43C、第4の真空吸着パッド43D、第7の真空吸着パッド43G、第8の真空吸着パッド43Hは、中心面(軸C14と軸C34とを含み軸C1に対して直交している平面)に対して、第6の真空吸着パッド43F、第5の真空吸着パッド43E、第2の真空吸着パッド43B、第1の真空吸着パッド43Aと対称に設けられている。
第9の真空吸着パッド43I、第10の真空吸着パッド43J、第11の真空吸着パッド43K、第12の真空吸着パッド43L、第13の真空吸着パッド43M、第14の真空吸着パッド43N、第15の真空吸着パッド43O、第16の真空吸着パッド43Pは、中心面(軸C1を含みU軸と直交している平面)に対して、第1の真空吸着パッド43A、第2の真空吸着パッド43B、第3の真空吸着パッド43C、第4の真空吸着パッド43D、第5の真空吸着パッド43E、第6の真空吸着パッド43F、第7の真空吸着パッド43G、第8の真空吸着パッド43Hと対称に設けられている。
また、ワーク保持装置71には、第1の中尺エレメント73G、第2の中尺エレメント73H、第3の中尺エレメント73I、第4の中尺エレメント73J、第5の中尺エレメント73K、第6の中尺エレメント73L、第7の中尺エレメント73M、第8の中尺エレメント73N、第1の短尺エレメント73O、第2の短尺エレメント73Pが設けられている。
これらの中尺エレメント73G〜73Nや短尺エレメント73O,73Pは、リンク装置75の剛性を高めるために設けられており、長手方向に対して直交する平面による断面の形状が、第1の長尺エレメント73Aと同形状であって棒状に形成されており、W軸方向で長尺エレメント73A〜73Dや筐体係合エレメント73E,73Fとほぼ同じところに位置している。
詳しく説明すると、第1の中尺エレメント73Gは、第1の長尺エレメント73Aよりも短く第1の筐体係合エレメント73Eよりも長くなっている。第1の中尺エレメント73Gの長手方向の一端部は、軸C11(C13)と軸C14との中間部で、軸C15を回動中心にして、第1の長尺エレメント73Aに回動自在に係合している。
第2の中尺エレメント73Hは、第1の中尺エレメント73Gと同じ長さになっている。第2の中尺エレメント73Hの長手方向の一端部は、軸C14と第2の長尺エレメント73Bの長手方向の他端との中間部で、軸C16を回動中心にして、第2の長尺エレメント73Bに回動自在に係合している。また、第2の中尺エレメント73Hの長手方向の他端部は、第1の中尺エレメント73Gの他端部で第1の中尺エレメント73Gに係合しており、軸C17を回動中心にして、第1の中尺エレメント73Gに回動自在になっている。
ここで、軸C14と軸C15との間の距離と、軸C15と軸C17との間の距離と、軸C16と軸C17との間の距離と、軸C14と軸C16との間の距離とは、お互いが等しくなっている。
第3の中尺エレメント73Iと第4の中尺エレメント73Jとは、中心面(軸C14と軸C34とを含み軸C1に対して直交している平面)に対して、第1の中尺エレメント73Gと第2の中尺エレメント73Hと対称になっている。したがって、軸C18、軸C19、軸C20は、中心面(軸C14と軸C34とを含み軸C1に対して直交している平面)に対して、軸C16、C15、C17と対称になっている。
第5の中尺エレメント73Kと第6の中尺エレメント73Lと第7の中尺エレメント73Mと第8の中尺エレメント73Nとは、中心面(軸C1を含みU軸に直交している平面)に対して、第1の中尺エレメント73Gと第2の中尺エレメント73Hと第3の中尺エレメント73Iと第4の中尺エレメント73Jと対称になっている。したがって、軸C34、軸C35、軸C36、軸C37、軸C38、軸C39、軸C40は、中心面(軸C1を含みU軸に直交している平面)に対して、軸C14、軸C15、軸C16、軸C17、軸C18、軸C19、軸C20と対称になっている。
第1の短尺エレメント73Oは、第1の筐体係合エレメント73Eとほぼ同様の長さになっている。第1の短尺エレメント73Oの長手方向の一端部は、軸C19と軸とC22との中間部で、軸C21を回動中心にして、第2の長尺エレメント73Bに回動自在に係合している。第2の短尺エレメント73Pは、第1の短尺エレメント73Oと同形状に形成されており、中心面(軸C1を含みU軸に直交している平面)に対して、第1の短尺エレメント73Oと対称になっている。
また、第2の短尺エレメント73Pは、軸C41を回動中心にして、第4の長尺エレメント73Dに対して回動するようになっている。また、第1の短尺エレメント73Oの長手方向の他端部と第2の短尺エレメント73Pの長手方向の他端部とは、軸C23を回動中心にしてお互いが回動するように係合している。
また、軸C21と軸C23との間の距離と、軸C23と軸C41との間の距離と、軸C41と軸C22との間の距離と、軸C22と軸C21との間の距離とは、お互いが等しくなっている。さらに、各軸C15〜C23、C35〜C41は、W軸方向に延伸している。
なお、リンク装置75において、各中尺エレメント73G〜73Nと各短尺エレメント73O,73Pとを削除した構成であってもよい。
第2の実施形態に係るワーク保持装置71は、第1の実施形態に係るワーク保持装置39とほぼ同様に動作して(図15〜図16参照)ほぼ同様の効果を奏する。また、第2の実施形態に係るワーク保持装置71は、上記効果に加えて次の効果を奏する。
すなわち、ワーク保持装置71によれば、ワーク保持部位置変更部45が、各エレメント73が限定連鎖を構成しているリンク装置75と、このリンク装置75を限定運動させるとともにリンク装置75の所定の形態を保持するアクチュエータ(1つのサーボータ)77とを備えて構成されているので、複数のリニアガイドベアリングやアクチュエータを備えているものに比べて、装置の構成が簡素化され軽量化されている。
また、ワーク保持装置71によれば、アクチュエータ77の筐体79がロボットアーム41に一体的に設置されているので、簡素な構成で、ワーク保持装置71をロボットアーム41に設置することができる。
なお、上記説明では、アクチュエータ77の筐体79がロボットアーム41に一体的に設置されているが、図17で示すように、複数本(たとえば4本)の接続ロッド89とロボットハンドブラケット87とを用いて、ワーク保持装置71をロボットアーム41に設置する構成であってもよい。
図17で示す構成では、ロボットハンドブラケット87は、ロボットアーム41の先端でロボットアーム41に一体的に設置されている。また、各接続ロッド89の両端は球面軸受けになっている。すなわち、各接続ロッド89の一端は、球面軸受けによってロボットハンドブラケット87に接合されている。また、1本目の各接続ロッド89は球面軸受けによって第1の長尺エレメント73Aの中央部に接合されており、2本目の各接続ロッド89は球面軸受けによって第2の長尺エレメント73Bの中央部に接合されており、3本目の各接続ロッド89は球面軸受けによって第3の長尺エレメント73Cの中央部に接合されており、4本目の各接続ロッド89は球面軸受けによって第4の長尺エレメント73Dの中央部に接合されている、各各接続ロッド89は等脚の四角錐台の斜辺のところに位置している。
また、図17に示す構成では、ワーク保持装置71と各接続ロッド89とロボットハンドブラケット87とが限定連鎖を構成してない。そこで、図17に示す構成に、ワーク保持装置71と各接続ロッド89とロボットハンドブラケット87とを限定連鎖にする機構(図示せず)が別途設けられているものとする。この機構を設けることで、W軸方向から見た場合、ワーク保持装置71の中心とロボットハンドブラケット87の中心とがお互いに常に一致し、ワーク保持装置71がW軸を中心にしてロボットハンドブラケット87に対して常に回転せず、駆動体81の回転に応じて、ワーク保持装置7171がこの姿勢を変えることなく、W軸方向にのみ移動するようになるものとする。