JP5896296B2 - 高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、プレス、ダイカスト、押出し、パンチといった温熱間での鍛造、鋳造分野、プラスチック成形分野、光学用ガラス成形分野、そして金属MEMS(微小電気機械素子)のマイクロ加工分野や、超精密加工分野にも利用できる金型の製造方法に関するものである。
従来、温熱間等の高温環境下で使用されている金型には、高硬度であり、かつ、その高硬度が使用温度の上昇に伴っても低下し難い優れた高温軟化抵抗性が求められている。そして、これらの高温軟化抵抗性が求められる金型には、JIS鋼種であるSKD61系の合金工具鋼や、一次炭化物を殆ど含まない高速度工具鋼(マトリックス系ハイス)などの金型材が用いられてきた。通常、これらの金型材は、硬度の低い焼きなまし状態で製品の型彫り面形状に機械加工され、その後に焼入れ焼戻しして硬さ調整がされ、仕上げ加工を経て金型となる。金型材がプリハードン鋼の場合は、焼入れ焼戻し状態で製品の型彫り面形状に機械加工がされ、仕上げ加工を経て金型となる。
このような金型に対して、本出願人は、これに用いられる金型材の製作手法を改良したことで、高温軟化抵抗性を向上した高強度金型を提案した。つまり、焼入れ焼戻し硬さが高く、かつ、その硬さが使用中の高温環境下でも低下し難い金型である。具体的には、質量%でC:0.1〜3.0%、Cr:1.0〜18.0%を含む工具鋼からなり、組織中には粒径25nm以下の酸化物が1μmあたり750個以上分散し、かつ、旧オーステナイト粒界による結晶粒径が最大10μm以下の工具部材でなる金型や、この工具部材でなる被覆層を表面に形成した金型である(特許文献1〜3)。
そして、これらの工具部材は、工具鋼粉末と酸化物粉末との混合粉末をメカニカルミリングした後の原料粉末を、熱間静水圧プレス(以下、HIPとも記す)によって固化して作製することが好ましい。例えば特許文献2では、上記の原料粉末を、1150℃かつ101.3MPaのHIP条件で、工具基体の表面に固化する条件が示されている。
特開2004−360062号公報 特開2007−297703号公報 特開2010−031366号公報
特許文献1〜3の手法は、金型の強度や高温軟化抵抗の向上に有効である。但し、原料粉末を固化する際には、その条件が不適当であると、固化後の工具部材の特性が最大限に発揮されない。つまり、固化時に原料粉末への熱影響が大きすぎると、該粉末中に微細分散させた酸化物が拡散によって粗大化し、そして得られた工具部材の結晶粒径(旧オーステナイト粒径)が粗大化して、強度や高温軟化抵抗が低下する。また、該金型の強度や高温軟化抵抗を高く維持するには、固化密度を高く維持することも必要である。したがって、特許文献1〜3のような、メカニカルミリングを利用して作製した金型の強度や高温軟化抵抗を高いレベルで達成するためには、メカニカルミリングによる上記効果が最大限に維持され、かつ、高密度の達成できる固化条件の確立が望まれる。
本発明の目的は、例えば特許文献1〜3のような、メカニカルミリングした原料粉末を固化して作製される金型の強度や高温軟化抵抗を高く維持するのに好ましい製造条件を提供することである。
本発明者は、メカニカルミリングした原料粉末を固化して作製した金型の強度や高温軟化抵抗を高く維持できる固化手段を検討した。その結果、固化手段にはHIPを選択して、さらに固化時の最適な温度と圧力の関係を明確にしたことで、金型の結晶粒径(旧オーステナイト粒径)を微細に維持できかつ高密度に固化できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、工具鋼粉末と酸化物粉末との混合粉末であって、質量%でC:0.1〜3.0%、Cr:1.0〜18.0%を含有し、かつ、体積%で酸化物を0.3〜5.0%含有する混合粉末をメカニカルミリングした後、熱間静水圧プレスによって固化し、型彫り面形状に機械加工して焼入れ焼戻しするか、または、焼入れ焼戻しして型彫り面形状に機械加工する高強度金型の製造方法において、前記の熱間静水圧プレスは、プレス時の圧力をP(MPa)、温度をT(℃)としたときに、P≦200、T≦1100であり、かつ、Log10P≧−0.00135×T+3.40の条件で行うことを特徴とする高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法である。好ましくは、上記のTは1050以下である。そして、前記混合粉末をメカニカルミリングした後、金型基体の表面に固化することを特徴とする高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法である。
本発明によれば、例えば特許文献1〜3のような、メカニカルミリングした原料粉末を固化して作製される金型の強度や高温軟化抵抗を、より高いレベルで安定して維持することができる。
本発明のHIP処理である温度と圧力の領域に、実施例で作製した本発明例および比較例に係る高強度金型のHIP条件を印した図である。 実施例で作製した本発明例および比較例の焼戻し軟化曲線であり、本発明に係る高強度金型の強度および高温軟化抵抗を説明するための図である。 実施例で用いた金型基体の形状を説明する図である。 実施例で製造した本発明の金型基体と固化層との界面における断面顕微鏡組織を表す図面代用写真である。 本発明の好ましい実施形態を説明する図である。
本発明の特徴は、メカニカルミリングした原料粉末を固化して作製した金型の製造方法において、その強度や高温軟化抵抗を安定かつ高いレベルに維持する目的で、固化手段に用いるHIP処理の最適な温度と圧力の関係を明確にしたところにある。以下に、本発明の各構成要件について説明する。
(1)固化する原料粉末は、質量%でC:0.1〜3.0%、Cr:1.0〜18.0%、かつ、体積%で酸化物が0.3〜5.0%になるように混合された、工具鋼粉末と酸化物粉末の混合粉末を、メカニカルミリングしたものである。原料粉末の製造には、公知の特許文献1〜3の技術を踏襲することができる。具体的な製造条件は、以下の通りである。
・C:0.1〜3.0質量%
Cは、一部が基地中に固溶して強度を付与し、一部は炭化物を形成することで金型の耐摩耗性や耐焼付き性を高める重要な元素である。含有量が0.1質量%未満では金型として十分な硬さ、耐摩耗性を確保できなくなる。他方、過度の添加は靭性や熱間強度の低下を招くため上限を3.0質量%とする。
・Cr:1.0〜18.0質量%
Crは焼入れ性を高めて、また炭化物を形成して、金型の基地強化や耐摩耗性を向上させる元素である。本発明では、少なくとも1.0質量%を添加する。ただし、過度の添加は焼入れ性や熱間強度の低下を招くため、上限を18.0質量%とする。
・酸化物:0.3〜5.0体積%
酸化物は高温でも熱的に安定なため、金型材の熱処理時や、金型としての高温での使用時の結晶粒成長を効果的に抑制する上で重要な物質である。本発明では、金型の微細粒組織を維持するために、0.3体積%以上を添加する。但し、酸化物の量が多すぎると固化時の成形性が悪くなることに加えて、金型の靭性劣化を招くため、上限を5.0体積%とする。酸化物の種類は、特に熱的に安定で成長し難いイットリウム系の酸化物が好ましい。
そして、以上の成分組成を満たすように混合された、工具鋼粉末と酸化物粉末の混合粉末は、金型の代表組成に従って、例えば質量%でC:0.1〜3.0%、Si:1.2%以下、Mn:1.0%以下、Cr:1.0〜18.0%、Y:0.1〜2.7%、O:0.03〜0.75%および、Mo、W、V、Ni、Coのうちの1種または2種以上を合計で0.15〜14.0%含み、残部Feおよび不純物の全体組成に調整することができる。さらに、0.20%以下のNbおよび/または0.15%以下のSを添加することもできる。
・上記の混合粉末を、固化前にメカニカルミリング処理する。
従来、アトライターやボールミル等の装置によるメカニカルミリング法は、原料粉末の結晶粒径を微細にできる手段として使用されており、工具鋼の分野でも提案されている。そして、本発明の場合、工具鋼粉末に酸化物粉末を混合したことで、これがメカニカルミリングによってさらに原子レベルにまで混合され、高温でも安定な酸化物粒子の導入による結晶粒微細化と分散強化の効果が得られる。メカニカルミリング後の原料粉末の結晶粒径は、好ましくは平均で100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
(2)メカニカルミリングした原料粉末を、プレス時の圧力をP(MPa)、温度をT(℃)としたときに、P≦200、T≦1100(好ましくは、T≦1050)であり、かつ、Log10P≧−0.00135×T+3.40の条件で熱間静水圧プレスして、固化する。
上記の原料粉末を固化して作製した金型の強度や高温軟化抵抗を高く維持するには、固化時に、原料粉末の有する超微細な結晶粒と、微細に分散した酸化物の状態を維持する必要がある。このためには、固化中の原料粉末に加わる熱量を抑えることが有効である。一方で、高強度金型の強度や高温軟化抵抗を高く維持するには、固化密度を高く維持することも必要である。そこで、加わる熱量を抑えながらも高密度を達成できる固化手段には、HIPが最適である。そして、本発明者が検討した結果、その時の最適な温度と圧力の関係を明確にできたことで、本発明に到達した。
メカニカルミリングによって混合粉末中に導入された微細な結晶粒や分散酸化物は、次の固化時の昇温によって、少なからず成長する。そして、これらの成長が過度であると、続く焼入れ焼戻しで結晶粒は更に大きく成長して、その結果、金型製品中の結晶粒径(旧オーステナイト粒径)は大きく、かつ、その使用中の結晶粒の成長を抑制すべき酸化物の微細分散効果も弱まっていることから、金型の強度や高温軟化抵抗は低下する。また、使用前後における金型の硬さが、その室温状態での測定で変わらず維持できていたとしても、実際に使用中の高温環境下にある金型の高温硬さが一時的に低下する。したがって、固化時の加熱温度は1100℃以下に抑えることが有効である。好ましくは、1050℃以下である。
一方、固化時の加熱温度が低いと、原料粉末の変形抵抗が高くなる。この結果、固化が不十分となり、成形体中には多くの空隙が残存して、これは次の焼入れ焼戻しでも解消されないことから、金型製品の硬度が上がらない要因となる。したがって、固化時の加熱温度は低く抑えながらも、固化後の成形体の密度を上げるためには、大きな成形圧力が必要となる。
そこで、本発明では、固化手段に熱間静水圧プレスによる処理(HIP処理)を採用する。HIP処理であれば高い成形圧力を実現することができるが、HIP装置を安全に稼働させる必要から、実際に使用できるプレス時の圧力の上限は200MPaである。したがって、固化に必要なプレス時の圧力の下限を知ることが重要となるが、この下限値はプレス時の温度によって変動する。発明者らの検討によれば、プレス時の温度をT(℃)、圧力をP(MPa)としたとき、Log10P≧−0.00135×T+3.40を満足する圧力Pでプレスすることで、相対密度が97%以上、好ましくは98%以上の高密度で、かつ、微細な結晶粒と分散酸化物を維持した成形体を得ることができる。そして、本発明の製造方法によれば、HIP処理の実施者は、例えば、他の製造条件との関係で温度または圧力を変更しなければならないような場合であっても、上記の関係式を満足する温度および圧力を適宜選択することにより、試行錯誤によることなく成形体の十分な密度を安定的に維持することができる。
本発明の場合、相対密度が97%以上の成形体を再現性よく達成するには、同温度と圧力の関係を図1の網掛け領域とする。この領域内において、上で説明した温度の上限値、圧力の上限値および下限値が全て満足されるので、固化された高強度金型において優れた強度と高温軟化抵抗性を達成できる。
(3)好ましくは、メカニカルミリングした後の前記原料粉末を、金型基体の表面に固化する。
本発明の製造方法による金型は、それを金型の型彫り面(キャビティ)の部分に適用して、金型の基体の部分は別の材料とした複合構造にすれば、混合粉末の使用量を削減でき、メカニカルミリング処理も含めた原料粉末の準備に掛かるコストを削減できる。そして、高強度と優れた高温軟化抵抗性が求められる型彫り面の部分には本発明の効果が発揮されている一方で、高靭性が求められる基体の部分には靭性に優れた別の材料を使用すれば、金型全体としての機械的特性は更に改善できる。基体の材料には、コストの安い溶製材を使用することもできる。
一例を図5に示す。まず準備した金型基体4に、それから製造される金型の型彫り面を想定して、その型彫り面より数mm程度深い凹状の空間5を予め形成しておく。次に、この空間5にメカニカルミリングした上記の原料粉末を充填して、これを金型基体4ごとカプセルに納めてHIP処理すれば、原料粉末は金型基体と一体に固化された層となる。そして、この固化層を型彫り面形状に機械加工することで、型彫り面の部分が本発明の成形体で構成された上記の複合構造の金型が得られる。
なお、原料粉末の充填領域は、HIP処理によって少なからず収縮する。そこで、この収縮挙動をコンピューター等によるシミュレーションで把握しておけば、HIP処理後の固化層を、金型の型彫り面に対してニアネット形状にすることができる。また、上記の空間5を金型の型彫り面の形状に近くしておけば、HIP処理後の固化層は、金型の型彫り面に対して均一な厚さに近づけることができる。これらの配慮によって原料粉末の使用量および、型彫り面形状への機械加工工数を減らすことができる。
(5)HIP処理によって固化した後には、型彫り面形状に機械加工して焼入れ焼戻しするか、または、焼入れ焼戻しして型彫り面形状に機械加工して金型に仕上げる。
これらに関する条件も、特許文献1〜3の技術を踏襲することができる。つまり、固化された素材に対しては、必要であれば通常の鍛造・圧延工程、焼きなまし状態での機械加工などを適用して、あとは焼入れ焼戻しと型彫り面形状への機械加工をして金型に仕上げる。焼入れは、素材の化学組成などに応じて、例えば800〜1250℃の温度範囲から行えばよい。そして、焼戻し温度は、例えば150〜700℃の温度範囲より適宜利用して、調質すればよい。なお、焼入れは、前記の熱間静水圧プレスによる固化時の冷却過程を利用して実施することもできる。
本発明の製造方法による金型は、その機械加工後の型彫り面の状態のままで使用できることに加えて、さらに用途に応じて、かつ、本発明の金型の特性(結晶粒径、酸化物粒径、表面粗さなど)を損なわない範囲で、例えば各種の表面処理、ダイヤモンドライクカーボンなどの表面被覆処理を施すことも可能である。
表1に示すのは、市販のJIS SKD61ガスアトマイズ粉末とY酸化物粉末の混合粉末を、遊星型ボールミル装置を用いて遠心加速度150Gで10時間メカニカルミリング処理した原料粉末の成分組成である。P、Sは0.03%以下、W、Ni、Co、Nbは0.1%以下である。そして混合時には、Y酸化物が全体積の3.0%になるよう添加されている。
メカニカルミリング処理の条件は、処理後の粉末の平均結晶粒径が100nm以下になるよう装置因子を調整した。そして、X線回折法による半価幅を利用して算出した処理後の粉末の平均結晶粒径は約30nmであった。
次に、表1の原料粉末を内部容積がφ60×30mmのHIP用カプセルに充填し、脱気して封止した。そして、これを表2に示すA〜Hの8つの条件でHIP処理して、固化した。図1には、本発明のHIP処理である温度と圧力の領域に、A〜Hの条件を印した。なお、各条件におけるHIP処理の保持時間は3時間とした。
条件A〜Hの成形体の密度を表3に示す。そして、これらの成形体を1030℃から焼入れ後、400〜700℃の各温度で焼戻した後に、室温で測定した焼戻し硬さを、図2に示す。図2には、同様の条件で焼入れ焼戻ししたSKD61溶製材の焼戻し硬さも示す。そして、このうち、700℃での焼戻し硬さを表3に示す。
本発明のHIP処理で作製した条件A〜D、Fの成形体は、高密度を達成しており、調質後の焼戻し硬さも高かった。そして、この硬さは、焼戻し温度が高くなっても(つまり、金型として使用時の温度が高くなっても)低下幅が小さく、優れた高温軟化抵抗性を有していた。特に、HIP処理時の温度を1050℃以下とした条件C、Dの成形体は、条件A、Bの成形体に比べて、例えば、焼戻しの温度を500℃から700℃へ高めても硬さの低下は抑制されており、強度および高温軟化抵抗の両特性において優れていた。そして、HIP処理時の温度がさらに低い条件Fの成形体は、圧力を調整して、本発明の温度と圧力の関係式を満たしたことで、高密度を達成していた。
一方、HIP処理時の温度および圧力の個々の条件は調整されているが、これらの関係が本発明を満たさない条件Eの成形体は、密度が低いことから、全域の焼戻し温度に亘って硬さが低かった。そして、SKD61溶製材は、焼戻し硬さがもとより低いことに加えて、その硬さも、例えば焼戻し温度を500℃から700℃に高めた時で半分のレベルにまで低下した。なお、条件G、Hの成形体は、HIP処理時の温度が1100℃を超えていたにもかかわらず、高温軟化抵抗性は条件Aの成形体と同等であった。しかし、700℃の状態における高温硬さを測定すると、本発明の条件で作製した成形体のそれが概ね400HVを超えていたのに対して、条件G、Hによる成形体のそれは400HVを大きく下回り、約370HVのレベルであった。
金型の型彫り面を想定して、一面に総深さ20mmの凹状の空間2を形成した図3の基体1を準備した。素材は、JIS SKD61の溶製材である。空間2の形状は、ここに充填される原料粉末のHIP後の収縮挙動を勘定して、縁部にテーパ3を設けている。そして、深さ(a)/深さ(b)の比は、原料粉末の相対タップ密度である55%になるように設定されている。この基体1をHIP処理用カプセルに挿入後、空間2に実施例1で用いたメカニカルミリング後の原料粉末を充填し、カプセルに蓋をして、脱気、封止処理を行った。そして、このカプセルに、1000℃、141.9MPaの条件でHIP処理を行った。保持時間は3時間である。
HIP後のカプセルから原料粉末の固化された基体1を取り出し、固化層を平坦に機械加工した。図4は、機械加工後の基体と固化層との界面を示した、断面組織の顕微鏡写真である。そして、この基体を固化層ごと1030℃から焼入れ後、700℃で焼戻した時の、固化層の焼戻し硬さおよび高温軟化抵抗性は、実施例1の条件Dのものに同等であった。
1 基体
2 空間
3 テーパ
4 金型基体
5 空間

Claims (3)

  1. 工具鋼粉末と酸化物粉末との混合粉末であって、質量%でC:0.1〜3.0%、Cr:1.0〜18.0%を含有し、かつ、体積%で酸化物を0.3〜5.0%含有する混合粉末をメカニカルミリングした後、熱間静水圧プレスによって固化し、型彫り面形状に機械加工して焼入れ焼戻しするか、または、焼入れ焼戻しして型彫り面形状に機械加工する高強度金型の製造方法において、
    前記熱間静水圧プレスは、プレス時の圧力をP(MPa)、温度をT(℃)としたときに、P≦200、T≦1100であり、かつ、Log10P≧−0.00135×T+3.40の条件で行うことを特徴とする高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法。
  2. 前記熱間静水圧プレスは、T≦1050の条件で行うことを特徴とする請求項1に記載の高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法。
  3. 前記混合粉末をメカニカルミリングした後、金型基体の表面に固化することを特徴とする請求項1または2に記載の高温軟化抵抗性に優れた高強度金型の製造方法。
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