JP5895667B2 - 自走式探傷装置 - Google Patents
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Description
また、超音波探触子と探傷面との間隔が大きいので、そこに水柱が形成されるように大量の水を供給することが要求される。このため、マグネット走行体へ水を地上から供給するケーブルが必要となる。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、使用する接触媒質の量を減少可能な自走式探傷装置を提供することを目的とする。
上記探傷面に磁着する磁着手段、及び上記磁着手段によって探傷面に付勢されて当該探傷面に沿って転動可能な複数の車輪を備える走行体と、
上記探傷面側に探触子を向けた状態で上記走行体に支持される超音波探傷装置と、を備え、
上記超音波探傷装置は、
上記走行体の移動に伴い上記探傷面を転動可能な中空且つゴム製のタイヤと、
上記タイヤ内の空間に配置され且つそのタイヤの内径面と先端が対向配置すると共に、タイヤと共に回転しない探触子と、を有し、
上記走行体は、上記超音波探傷装置を支持する台車部と、その台車部に揺動可能に連結して上記車輪を支持する車体部とを有し、
上記台車部の底板部における上記タイヤの外周側位置に、タイヤの探傷面への押し付け量を一定に自動調整するための複数のキャスターを設けたことを特徴とする。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記タイヤを回転自在に支持する回転軸を備え、
上記探触子は、先端が探傷面側に向く状態で上記回転軸に固定されることを特徴とする。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記鋼製構造体は鋼製煙突であり、上記超音波探傷装置は、フェイズドアレイ法による超音波探傷で筒身肉厚を測定することを特徴とする。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した構成に対し、上記走行体の走行は遠隔操作で行われる自走式探傷装置であって、
上記車輪の転動方向に対する傾斜を検出する傾斜センサを備え、その傾斜センサの検出に基づき、走行体の姿勢を認識することを特徴とする。
図1は、本実施形態の自走式探傷装置を説明する上方からみた概念図である。図2は、該自走式探傷装置を下方(探傷面側)からみた概念図である。
本実施形態の自走式探傷装置は、鋼製構造体の壁面に沿って、昇降や横行などの走行を行いつつ当該壁の探傷を連続的に行う。上記探傷を行う鋼製構造体の壁としては、熱風炉の外壁(鉄皮)や鋼製煙突が例示出来る。本実施形態では、鋼製煙突の外壁の非破壊探傷を例に挙げて説明する。
(構成)
自走式探傷装置は、図1に示すように、台車部1と、その台車部1の左右両側に配置された左右の車体部2とを備える。左右の車体部2は、それぞれ台車部1に揺動可能な状態で連結している。上記台車部1には、検査機器、制御部3、通信装置4などが搭載されている。符号5は傾斜センサを、符号6はバッテリを、符号7は媒質タンクを示す。また、車体部2には、走行手段として、車輪と、磁着手段となる磁石と、上記車輪を駆動するモータとが搭載されている。
台車部1は、箱状の台車本体部10と、図2に示すような、台車本体部10の下面に設けられた矩形の枠体部11と、底面板12とを備える。枠体部11は、図2に示すように、矩形の枠体本体部11aと、その左右に形成された左右の側方枠体部11bと、からなる。上記底面板12は、上記枠体本体部11aの内側に配置されると共に台車本体部10に支持されている。
なお、本実施形態では、接触媒質として油を使用する場合で例示するが、接触媒質は油に限定されるものではなく、水溶性のエマルジョン等の公知の接触媒質を使用しても良い。
上記タイヤセンサ30について説明する。
タイヤセンサ30は、超音波探傷装置を構成する。そのタイヤセンサ30は、断面模式図である図3に示すように、回転軸31と、回転軸31の外周に同心状に配置された中空のタイヤ32と、タイヤ32の軸方向両側にそれぞれ取付けられた左右の車輪支持部材33と、フェイズドアレイ探触子34と、ゴム製の介挿部材35とを備える。
そのタイヤ32の軸方向両側に円板状部材である車輪支持部材33がそれぞれ配置され、その車輪支持部材33は、上記取付け金具にボルト止めされている。符号36はボルトを示している。符号37はOリングその他のシールリングを示している。
そのセンサ収納空間A内に、フェイズドアレイ探触子34及び介挿部材35が配置されている。そのフェイズドアレイ探触子34及び介挿部材35は、回転軸31に支持されると共に、上記タイヤ32とは縁切りされた状態となっている。なお、フェイズドアレイ探触子34は、回転軸31と同軸に探触子34が配列して構成されている。
その探触子34とその下方で対向するタイヤ32の内径面部分との間には、ゴム材からなる介挿部材35が介挿されている。介挿部材35は台形状の形状となっている。その介挿部材35の上辺部分が上記フェイズドアレイ探触子34の先端部に当接した状態で、当該介挿部材35は回転軸31に固定されている。
上記フィイズドアレイ探触子34の信号線ケーブル34aは、上記回転軸31内を貫通することで、タイヤセンサ30の外部に引き出されている。上記信号線ケーブル34aは、台車本体部10に設けられている制御部3に電気的に接続する。
また、上記センサ収納空間Aには、接触媒質としての油が充填されている。これによって、上記介挿部材35の下辺側の端面とタイヤ32内径面との間の隙間に油が常に配置された状態となる。
上記タイヤセンサ30の回転軸31の両端部は、台車本体部10の底面板12に固定されることで、回転しないように拘束されている。これによって、タイヤ32が転動により回転しても、上記フェイズドアレイ探触子34及び介挿部材35が供回りすることが無い。
また、台車本体部10の進行方向前端部と後端部にはそれぞれCCDカメラ50,51が取り付けられている。前方のカメラ50は、進行方向前方の探傷面Sを撮像可能となっている。また、後方のカメラ51は、進行方向後方の探傷面Sを撮像可能となっている。
制御部3は、板厚制御部3A、カメラ制御部3B、モータ駆動制御部3C、媒質供給制御部3Dを備える。
モータ駆動制御部3Cは、車体部2に搭載した各車輪22を個別に回転駆動する。モータ駆動制御部3Cは、操作装置100からの指令に応じた走行方向に走行するように、各車輪22を個別に回転駆動したり、その車速を調整する。
媒質供給制御部3Dは、上記ポンプ43及び流量調整弁44を調整することで、噴射する油を制御する。
また、非接触温度センサ45、傾斜センサ5、後述の回転状態検出手段が検出した検出情報が、通信装置4を介して操作装置100に送信される。
次に、左右の車体部2について説明する。左右の車体部2は、走行体を構成する。
各車体部2は、下方が開放された車体部用枠体21と、その車体部用枠体21内に配置された走行手段とを備える。
各車体部2は、図7に示すように、矩形の車体部用枠体21に、走行手段としての駆動源であるモータ23、および車輪22を有して構成されている。図7は、右側の車体部を図示している。車輪22は、各車体部2それぞれに2個ずつ設けられており、合計4個の車輪22を有する。各車輪22は、図2及び図7に示すように、その転動する向きを、自走式探傷装置の前後方向に向けて各車体部2それぞれで直線上に並んでいる。さらに、モータ23は、各車体部2に、各車輪22毎にそれぞれ搭載されており、各車輪22は、それぞれに対応するモータ23によって、ウォーム減速機構を介して個別に駆動されるようになっている。
スリーブ26の大径部26aには、その周方向に適宜の間隔をあけてタップ26dが径方向に二箇所、貫通形成されており、各タップ26dに止めねじ26eがそれぞれ装着されることで車軸25に固定されている。
ここで、二枚の円環状の車輪板28に対し円環状のネオジム磁石27が小径となっている。このため、車輪22は、図8に示すように、円周方向に沿ってネオジム磁石27の外径面部分によって円環状の溝が形成されている。このため、吹き付けたエアは、その溝に沿って流れやすくなって、車輪22をより有効に冷却させることが出来る。
上記各車体部2は、台車部1の枠体部11に揺動可能に連結している。次に、その構成を図2及び図1を参照して説明する。
左右の側方枠体部11bから、それぞれ横方向外方に向けて揺動軸60が突出している。上記揺動軸60は、上記車体部用枠体21の長手方向中央部を幅方向に貫通するように配置されている。これによって、車体部用枠体21は、上記揺動軸60周りに揺動が可能、つまりピッチング方向の揺動が可能な状態で上記枠体部11つまり台車部1に連結している。
また、図1に示すように、台車部1に対し、車体部2を初期位置(台車部1を基準とした水平方向の位置)に付勢する位置決め機構64を備える。位置決め機構64は、前後で対を為すバネによって構成される。
本実施形態では、鋼製煙突の外壁面を探傷面Sとし、その円筒面である探傷面Sに沿って、自走式探傷装置が走行することで移動する。
具体的には、上記探傷面Sに自走式探傷装置の車輪22を磁着させて取り付ける。そして、不図示の探傷開始スイッチをオンにする。なお、万一の場合に生じ得る落下防止のために、上方に位置する構造物と自走式探傷装置のワイヤーフック(不図示)とをロープ等の検索具によって互いを連結して、自走式探傷装置が落下して、人体、地上もしくは他の設備機器に激突して損傷を与えることがないように十分な配慮をしておく。
例えば、ロータリエンコーダ等から構成される回転状態検出手段からの信号に基づく移動距離によって、探傷装置Tの昇降方向への移動量を推定し、目的の高さまで移動したかを判定する。また、傾斜センサ5からの信号によって、鉛直軸に対する探傷装置の姿勢を検出し、現在、探傷装置Tは、上昇中なのか下降中なのか横行中(旋回中)なのかなどを判定する。また、前方カメラからの撮像によって、想定外の障害物の存在の有無や、設定した軌道を実際に走行中か否かを判定する。また後方カメラからの画像によって、例えば探傷面Sにきちんと油が添加されているか、つまり探傷が精度良く実施されているか否かを判定することができる。
この結果、媒質タンク7を探傷装置Tに搭載可能となり、探傷装置Tを完全に無線による遠隔操作で走行及び検査機器の制御が可能となる。
また、本実施形態の探傷装置Tでは、走行時に上記探傷と共に表面の温度を測定している。非接触温度センサ45が検出した温度情報に基づき、予め想定されている温度よりも高い表面温度を測定した場合には、その検出位置若しくはその近傍で、内部の耐火煉瓦が剥離している可能性があると判定することが可能である。
また、上記実施形態では、車輪22自体に磁石を設けたが、車輪22とは別に磁石を設け、その磁力による吸引で車輪22を探傷面Sに吸着させるようにしても良い。
本実施形態の自走式探傷装置Tは、次の効果を奏する。
(1)超音波探傷装置Tは、移動に伴い上記探傷面Sを転動可能な中空且つゴム製のタイヤ32と、上記タイヤ32内の空間に配置され且つそのタイヤ32の内径面と先端が対向配置すると共に、タイヤ32と共に回転しない探触子34と、を備える。
この構成によれば、超音波探傷で消費する接触媒体が、探傷面Sとタイヤ32との間の部分にだけ介在すればよいので、消費する接触媒質を大幅に減少させることが可能となる。この結果、地上からケーブルで接触媒質を探傷装置Tに送り必要が無くなる。これによって、自走式探傷装置Tを無線による遠隔操作による自動走行が可能となる。すなわち、媒質を供給するケーブルの取り回しを考慮する必要がないので、動作範囲の拡大や操作性の向上に繋がる。
この構成によれば、探触子34とタイヤ32内径面との間の接触媒質を介在させる必要がある隙間も小さくすることが可能となる。
(3)タイヤ32を回転自在に支持する回転軸31を備え、探触子34は、先端が探傷面S側に向く状態で上記回転軸31に固定される。
この構成によれば、探触子34がタイヤ32と供回りすることを回避可能となる。
この構成によれば、対象とする探傷面Sが壁面であっても、より確実に探傷面Sとタイヤ32との間に接触媒質を介在させることが可能となる。
なお、水を媒質に使用した場合には、垂れ落ちてしまうため、大量の水が必要となる。また探傷面Sが高熱の場合には、蒸発を考慮してやはり大量の水が必要となる。
この構成によれば、鋼製煙突の肉厚を全面に亘って探傷することが可能となる。
(6)走行体の走行は遠隔操作で行われる自走式探傷装置Tであって、車輪22の転動方向に対する傾斜を検出する傾斜センサ5を備え、その傾斜センサ5の検出に基づき、走行体の姿勢を認識する。
この構成によれば、探傷装置Tの姿勢を確認することが可能となる。
(7)車輪22の4輪を個別に回転駆動する。
この構成によれば、前進後退ばかりかその場での旋回を行うことが可能となる。
2 車体部
3 制御部
3A 板厚制御部
3B カメラ制御部
3C モータ駆動制御部
3C 各モータ駆動制御部
3C モータ駆動制御部
3D 媒質供給制御部
4 通信装置
5 傾斜センサ
7 媒質タンク
10 台車本体部
11 枠体部
11a 枠体本体部
11b 側方枠体部
12 底面板
22 車輪
23 モータ
27 ネオジム磁石
28 車輪板
30 タイヤセンサ
31 回転軸
32 タイヤ
33 車輪支持部材
34 フェイズドアレイ探触子
35 介挿部材
39 キャスター
40 接触媒質供給装置
41 油噴射部
42 油供給管路
43 ポンプ
44 流量調整弁
45 非接触温度センサ
50,51 カメラ
60 揺動軸
61 揺動規制機構
62 停止部
63 ストッパ部
64 位置決め機構
100 操作装置
A センサ収納空間
S 探傷面
T 自走式探傷装置
Claims (6)
- 鋼構造体の壁面を探傷面とし、その探傷面に沿って移動しながら上記壁を超音波探傷装置によって非破壊探傷する自走式探傷装置であって、
上記探傷面に磁着する磁着手段、及び上記磁着手段によって探傷面に付勢されて当該探傷面に沿って転動可能な複数の車輪を備える走行体と、
上記探傷面側に探触子を向けた状態で上記走行体に支持される超音波探傷装置と、を備え、
上記超音波探傷装置は、
上記走行体の移動に伴い上記探傷面を転動可能な中空且つゴム製のタイヤと、
上記タイヤ内の空間に配置され且つそのタイヤの内径面と先端が対向配置すると共に、タイヤと共に回転しない探触子と、を有し、
上記走行体は、上記超音波探傷装置を支持する台車部と、その台車部に揺動可能に連結して上記車輪を支持する車体部とを有し、
上記台車部の底板部における上記タイヤの外周側位置に、タイヤの探傷面への押し付け量を一定に自動調整するための複数のキャスターを設けたことを特徴とする自走式探傷装置。 - 上記探触子とタイヤ内径面との間に介挿され且つタイヤと共に回転しないゴム製介挿材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載した自走式探傷装置。
- 上記タイヤを回転自在に支持する回転軸を備え、
上記探触子は、先端が探傷面側に向く状態で上記回転軸に固定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した自走式探傷装置。 - 上記探傷面とタイヤとの間に接触媒質としての油を介在させる接触媒質供給装置を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した自走式探傷装置。
- 上記鋼製構造体は鋼製煙突であり、上記超音波探傷装置は、フェイズドアレイ法による超音波探傷で筒身肉厚を測定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した自走式探傷装置。
- 上記走行体の走行は遠隔操作で行われる自走式探傷装置であって、
上記車輪の転動方向に対する傾斜を検出する傾斜センサを備え、その傾斜センサの検出に基づき、走行体の姿勢を認識することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した自走式探傷装置。
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