以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の表面処理装置10は、図1に示すように、除染システムWSとして使用されるもので、除染システムWSは、表面処理装置10と、高圧の処理水WとエアAとを供給する処理用流体供給車PCと、処理後の処理水Wと処理面1に付着した付着物とが混ざり合った汚水DWを吸引するためのバキューム車VCと、を備えて構成され、除染処理する現場に出向いて作業を行う。
表面処理装置10が除染処理する処理面1は、図6,9に示すように、車輪30cの走行する路面6と路面6の縁6aから立ち上がる立上り面7との交差する隅部4、隅部4から路面6側に延びる処理横面2、及び、隅部4から立上り面7側に延びる処理縦面3、から構成される。
除染システムWSの処理用流体供給車PCは、表面処理装置10に対し、処理水供給ホースHWを経て、最大、約30リットル/min程度の給水量で、280Mpaまでの吐出圧として処理水Wを供給でき、また、エア供給ホースHAを経て、表面処理装置10の後述するエアモータ部90を1000〜3000回/min程度回転できる圧力と容量のエアを供給できるように構成されている。なお、実施形態の場合、処理水Wは、水道水等の通常の水が使用されている。さらに付言すれば、処理水Wとしては、汚水DWを、凝集剤を利用する沈殿処理と濾過処理とを行なった後の上澄み液CWが、使用されている。
バキューム車VCは、表面処理装置10から、吸引ホースHVを経て、40m3/min程度の風量を吸引できるように構成されている。
また、実施形態のバキューム車VCには、処理後の処理水Wと処理面1に付着した付着物とが混ざり合った汚水DWを後処理する後処理装置100が、搭載されている。後処理装置100は、吸引した汚水DWを溜める回収タンク101と、処理した後の上澄み液CWを処理用流体供給車PCに供給可能に貯留タンク105と、処理槽102と、を備えて構成される。
処理槽102では、凝集剤を利用する沈殿処理と濾過処理とがなされる。実施形態では、沈殿処理において、沈殿処理槽103に回収タンク101からの汚水DWを流入させ、そして、まず、汚水DWの1リットル当たり0.5〜5vol%のゼオライトを添加して、5〜10分程度撹拌し、ゼオライトに放射性物質を吸着させる。ついで、所定時間(10分程度)、静置させ、その後、汚水DWの1リットル当たり500〜5000mgのカルシウム系等の凝集剤を添加して、5〜10分程度撹拌し、所定時間(10分程度)、静置させて、沈殿物と初期上澄み液とを分離させる。
その後、その初期上澄み液を、限外濾過装置(UF装置)を設けた濾過処理槽104に投入して、濾過し、貯留タンク105に流入させる。なお、UF装置は、分画分子量を10,000〜500,000程度としたUF膜が使用されている。
また、濾過処理槽104と貯留タンク105との間のラインに、活性炭の充填槽に濾過処理槽104からの上澄み液CWを通して、さらに、濾過処理してもよい。
貯留タンク105に貯留された上澄み液CWは、十分、放射線量が小さく、そのまま排水してもよいが、実施形態の場合には、処理水Wとして再利用している。そして、貯留タンク105に貯留された上澄み液CWは、適宜、処理用流体供給車PCの図示しない処理水タンクに送給しておく。
なお、沈殿処理槽103に沈殿した沈殿物とゼオライトとは、放射線量が高いことから、濾過布等で濾過し、その際の上澄み液は回収タンク101側に戻し、残った固定物は、少量の汚染物となり、廃棄処理するように、別容器に封入して、所定の保管場所に移送する。
実施形態の表面処理装置10は、図2〜6に示すように、フレーム12に対し、走行時に把持する一つのハンドル21、走行用の車輪30cを有した4つのキャスタ輪28、ハウジング46、シール材50、吸引手段60、処理水Wを噴射する噴射部としての回転噴射体94、を組み付けて構成されている。
フレーム12は、処理面1の隅部4に沿った前後方向に延びて左右両側に配置される左側部13と右側部14とが、左右方向に延びる二つの横連結部15,15と中央連結部16とにより、連結されて構成されている。また、前後両側には、ハンドル取付座18(18F,18B)が、左側部13と右側部14とを連結するように配設されている。
なお、本明細書では、表面処理装置10を走行させる方向を前方として、前後左右を規定している。
また、実施形態の表面処理装置10は、ハンドル21を把持し、主に、ハンドル21を前方側に押して走行させる手動走行タイプのものである。
ハンドル取付座18F,18Bは、相互に前後で対称的に形成され、前後方向の外方側に斜め上向きに延びる四角柱状の連結ロッド19を配設させて構成され、各連結ロッド19には、下部の左右両側にストッパピン19aを突設させ、上端側に左右方向に貫通する貫通孔19bを設けて構成されている(図5,6,21〜23参照)。
ハンドル21は、図3,5,6,21〜23に示すように、左右方向に延びる把持部21aと、把持部21aの左右方向の中央から下方に延びる縦杆部21bと、を備えて構成されている。縦杆部21bは、連結ロッド19を嵌合可能に四角パイプ形状とし、下端には、ストッパピン19aを嵌め込み可能な凹溝21cが形成されている。また、縦杆部21bは、ストッパピン19aを凹溝21cに嵌め込んだ際の貫通孔19bと一致する位置に、組付孔21dが形成されている。そして、組付孔21dと貫通孔19bとに貫通するように、組付ピン22を嵌め込めば、縦杆部21bの連結ロッド19からの抜けが規制され、ハンドル21が、ハンドル取付座18に取付固定される。
キャスタ輪28は、図4,5,16〜19に示すように、フレーム12の左側部13や右側部14の前後の外側で、フレーム12に対する高さを調整できるように配設されている。このキャスタ輪28の高さ調整機構HM1は、不陸部のある処理横面2を走行する際に、後述する各噴射ノズル97(旋回アーム96)における処理面1の処理横面2からの距離SN(図13参照)を所定以上確保できるようにするために、配設されている。この高さ調整機構HM1は、フレーム12側に固定された車輪取付座24に対し、キャスタ輪28を取り付けた支持ベース26が上下移動可能に取り付けられて構成される(図16,17参照)。
車輪取付座24は、図3,16,17に示すように、左側部13や右側部14の外側面に配設された上下方向に延びるガイド溝部24aと、ガイド溝部24aの上方の左側部13や右側部14に固定される支持壁部24bと、支持壁部24bに回動可能に貫通して配設されるねじ棒24cと、支持壁部24bからのねじ棒24cの抜け止め用に、ねじ棒24cに螺着されるナット24e,24eと、を備えて構成されている。ねじ棒24cには、六角柱状の頭部24dが形成されている。
支持ベース26は、縦壁部26aと横壁部26dとを備えた断面L字状の板材から形成されている。縦壁部26aには、前後両縁に、上下方向に摺動可能にガイド溝部24aに嵌る突条26bが形成されるととともに、前後方向の中央に、ねじ棒24cを螺着させる雌ねじ部26cが固着されている。横壁部26dには、縦壁部26aと連結される補強用のリブ26e,26eが突設されるとともに、下面に、キャスタ輪28のトッププレート29が固定されている。
キャスタ輪28は、トッププレート29の下方が旋回部30としており、旋回部30は、車輪30cと、フォーク30aと、車輪30cを回動可能に支持する軸30bと、旋回部30の旋回を停止させるためのロックレバー30dと、を備えて構成されている。ロックレバー30dは、二種類のロックピン30e,30fを備えて構成されている。
トッププレート29には、ロックピン30eが嵌め込まれる係止孔31aを備えた係止プレート31と、ロックピン30fが嵌合可能な多数の係止溝32aを設けてなる円弧状の係止プレート32とが、前後両側に配設されている。
図16の二点鎖線から実線に示すように、ロックピン30eを係止プレート31の係止孔31aに嵌め込めば、キャスタ輪28が固定タイプとなって、直進走行する状態に固定される。また、図18,19に示すように、係止プレート32の所定の位置の係止溝32aにロックピン30fを嵌め込めば、車輪30cを所定方向に向かせた状態で固定させることができ、後述する図20に示すように、交差点5の縁石8の立上り面7に沿わせて、走行させ易くなる。
そして、これらのキャスタ輪28は、図16の二点鎖線と実線に示すように、高さ調整機構HM1のねじ棒24cを所定方向に回転させれば、ねじ棒24cに螺合している雌ねじ部26cが上下動して、支持ベース26の突条26bが車輪取付座24のガイド溝部24a内を摺動しつつ、支持ベース26ごと上下動することから、所定の高さ位置に配置されたならば、ナット24e,24eを支持壁部24b側や雌ねじ部26c側に圧接させて、ねじ棒24cを回転不能に停止させることにより、フレーム12に対してキャスタ輪28を所定の高さに配置させることができ、その結果、不陸部を走行することとなっても、後述する各噴射ノズル97(旋回アーム96)が処理横面2に当たらず、噴射ノズル97の処理横面2からの所定の距離SNを、安定して確保することができることとなる。
また、フレーム12の右側部14の前後両端には、図3,4,6,16,17に示すように、相互に前後で対称的に、支持ブラケット34が固定され、各支持ブラケット34には、スライド部37やガイドローラ40が配設されている。ガイドローラ40は、立上り面7の処理縦面3と摺動して、隅部4に沿って表面処理装置10を走行させ易くするものである。
各支持ブラケット34は、左右方向に沿ったスライド用孔35aを備えた支持部35を備え、支持部35には、左右方向に移動可能なスライド部37が保持されている。スライド部37には、スライド用孔35aを貫通して、固定レバー36が螺着されている。固定レバー36は、締め付ければ、スライド用孔35aの周縁に圧接される押え部36aを備えている。そのため、固定レバー36を緩めれば、スライド部37を左右方向にずらすことができ、そして、固定レバー36を締め付ければ、左右方向の所定位置に移動させた状態で、スライド部37を支持部35に固定させることができる。
また、スライド部37は、外側端に、ガイドローラ40のローラ軸41を挿通させる上下方向に貫通した挿通孔37aを備えるとともに、固定レバー38の回動操作により、挿通孔37aを縮径可能な挟持部37bを備えている。固定レバー38は、緩めれば、挟持部37bの挟持片37c,37c相互を離隔させて、ローラ軸41を上下に移動させることができて、締め付ければ、挟持片37c,37c相互を接近させて、挿通孔37aを縮径させることができ、ローラ軸41を固定させることができる。そのため、固定レバー38を緩めて、ガイドローラ40を所定高さに配置させた後、固定レバー38を締め付ければ、ガイドローラ40を所定高さに固定することができる。
ハウジング46は、図3,4,7〜10に示すように、フレーム12の中央連結部16の右端側における取付プレート43の前後両縁付近から下方に延びた連結ブラケット44,44に支持され、略長方形板状の天井壁部47と天井壁部47の外周縁から下方に延びる周壁部48と、を備えて構成されている。周壁部48は、立上り面7の処理縦面3側における縦面側壁部48aの前後方向の中央に、下縁から上方に延びる開口48bを備えている。そして、ハウジング46は、その外周縁46aに、処理面1に接触するように、シール材50を配設させている。
シール材50は、図6〜10に示すように、処理横面2側から隅部4を経た処理縦面3側を囲うように帯状に配設されて、先端50aを処理面1に接触させる可撓性を有したブラシ51a,52aやゴム片51b,52bから構成されている。具体的には、周壁部48の縦面側壁部48aの開口48bの周縁を除く周壁部48には、下方に延びて処理横面2に接触する路面側シール部51が配設され、開口48bの周縁には、処理縦面3に接触する縦面側シール部52が配設されている。路面側シール部51は、下端側を自由端とするブラシ51aと、隅部4近傍を囲って下端側を自由端とするゴム片51bと、から構成されている。ブラシ51aは、縦面側壁部48aの開口48bの周縁近傍まで延びるように屈曲部51aaを備えて構成されている。縦面側シール部52は、開口48bの周縁から路面6と平行に側方に延びて処理縦面3に接触するブラシ52aと、天井壁部47に固定され、ブラシ52aの上面側で処理縦面3に接触するように延びるゴム片52bと、から構成されている。ゴム片51bは、側方から見て、開口48b周縁の逆U字形に配置されるブラシ52aの前後両縁から下方に延びるように配設されて、ブラシ52aの下端52ab側とブラシ51aの屈曲部51aaにおける開口48a周縁の開口側縁51af側との隙間S(図4,6,8参照)を覆うように、配設されている。
そして、シール材50は、路面側シール部51の処理横面2側を囲う面積(図7に表われる処理縦面3までの路面側シール部51により囲まれる略長方形の面積)が、縦面側シール部52の処理縦面3側を囲う面積(図7に表われる処理横面2までの縦面側シール部52により囲まれる略長方形の面積)より、大きくなるように、隅部4からの離隔距離に関し、図6,15に示すように、路面側シール部51の横縁51dにおける隅部4から離れた距離S2が、縦面側シール部52の上縁52dにおける隅部4から離れた距離S3より大きくなるように(実施形態では約3倍程度大きい)、設定されている。
また、ハウジング46の天井壁部47の中央には、噴射部としての回転噴射体94の後述する回転軸部95を挿通させる中央孔47aが配設されている。中央孔47aは、左右方向に延びた長円形の開口とし、周縁上面側には、ゴム板からなるスライドシール54が配設されている。スライドシール54は、回転軸部95を挿通させる略円形に開口した挿通孔54aを備えるとともに、天井壁部47に固定された2本のガイドレール55により、中央孔47a付近をシールして、左右方向に移動可能に配設されている。このスライドシール54は、回転軸部95の回転中心軸RCの傾斜角度θを変更しても(図13,14参照)、中央孔47a付近を円滑にシールするために配設されている。
また、ハウジング46の中央孔47aの前後両側には、図3,4,8,10に示すように、吸引手段60としての吸引ダクト61(61F,61B)を配設する吸引口部47bが開口している。前後の各吸引ダクト61F,61Bは、吸引ホースHVと接続される1本の主管61aと主管61aから左右に二又状に分岐する分岐管61bとを備えて構成され、吸引口部47bは、各分岐管61bに対応して配設されている。そして、各吸引口部47bは、ハウジング46内では、円筒状に天井壁部47から下方に延びて、内部に、円筒状の吸引パイプ62を配設させている。各吸引パイプ62は、下端62aの開口面を処理横面2と平行として、円形に開口させている。また、各吸引パイプ62は、複数の止めねじ63により、吸引口部47bに固定されているが、止めねじ63を緩めれば、上下移動させて、下端(先端)62aの処理横面2からの距離SP(図10参照)を調整することができて、所定の離隔距離SPで吸引パイプ62の下端62aを固定することができる。
さらに、図3,4,6,10に示すように、ハウジング46のシール材50における立上り面7側部位の近傍には、実施形態の場合、縦面側壁部48aの前後両側には、上下方向に回動軸を設けた保護ローラ57,57が、配設されている。これらの保護ローラ57は、縦面側壁部48aに固定された軸支部58に支持され、噴射部としての回転噴射体94における旋回アーム96の処理縦面3との接触を防止可能に、処理縦面3と接触して回転するように形成されている。
噴射部としての回転噴射体94は、図8〜15に示すように、略逆T字形状として、下端の一文字状の旋回アーム96が、旋回アーム96の中央から上方に延びる回転軸部95を回転中心軸RCとして、旋回するように構成されている。そして、旋回アーム96の下面には、処理水Wを下外向きの放射状に噴射する複数の噴射ノズル97が配設されている。実施形態の場合、噴射ノズル97(97A,97B,97C,97D,97E,97F,97G,97H)は、8個配設されており、回転中心軸RCを中心として旋回すれば、処理水Wの8個の円弧状の回転軌跡を生じさせることとなる。
なお、実施形態の場合、旋回アーム96の回転中心軸RCを中心とした長さ寸法(直径寸法)DL(図11参照)は、約250mm程度としている。
また、旋回アーム96の先端96aの下面側は、処理面1と接触し難いように、面取りのような切欠き部96bが設けられている。
そして、これらの噴射ノズル97は、隅部4を含めた処理横面2と処理縦面3とに処理水Wを噴射できるように配設されている。すなわち、実施形態の場合、旋回アーム96の旋回時、先端(突出端)96a側の噴射ノズル97G,97H,97Aが、大きく外向きに向いており、隅部4から処理縦面3側に処理水Wを直接的に噴射できるように構成されている。
なお、実施形態では、処理横面2と処理縦面3との各噴射ノズル97から噴射される処理水Wの直接当たる幅寸法GH,GV(図9参照)に関し、処理縦面3側に三つの噴射ノズル97G,97H,97Aからの処理水Wしか直接当たらず、他の噴射ノズル97B,97C,97D,97E,97Fからの処理水Wが処理縦面3側に直接当たらないことから、処理縦面3側の幅寸法GVより処理横面2側の幅寸法GHを大きくするように、設定されている。
そして特に、実施形態の場合、回転中心軸RCを中心として旋回可能な旋回アーム96の下面側に複数の噴射ノズル97を配設させ、かつ、その回転中心軸RCの上端RCU側を立上り面7の上下方向に沿う方向から路面6側に傾斜させており、換言すれば、回転中心軸RCが、傾斜角度θを設けて、鉛直方向から立上り面7の直交方向に沿って路面6側に傾斜しており、処理縦面3に処理水Wを直接的に噴射できる噴射ノズル97G,97H,97Aを、処理縦面3に接近させた状態で、配設させることができる。
回転噴射体94は、取付ベース88の軸受部92により回動可能に支持されるとともに、上端側のスイベルジョイント等の所定の継手等を備えた非回転の回転支持部93側に支持されて、処理水Wを流入させて噴射ノズル97から噴射させるように構成されている。
また、この回転噴射体94は、回転駆動部89としてのエアモータ部90の回転駆動力を受けて、ギヤ機構91を利用して、回転中心軸RCを中心として回転するように構成されている。具体的には、エアモータ部90は、エアAの供給を受けてギヤ機構91の駆動歯車91aを回転駆動させ、駆動歯車91aに噛合する回転軸部95に設けられた従動歯車91bが回転することから、回転噴射体94が回転することとなる。
なお、エアモータ部90による回転噴射体94の回転と、回転噴射体94の各噴射ノズル97からの処理水Wの噴射は、エア圧を利用した操作スイッチ65(図3参照)の操作によって行われるように設定されている。
簡単に説明すれば、図5に示すように、処理用流体供給車PCからのエア供給ホースHAは、エア流路67のエア用継手67aに接続され、エアAは、操作スイッチ65の操作オン状態であれば、エア用継手67aから、フィルタ67b、パイロットバルブ67c、ルブリケーター67d、モータ用流路67eを経て、回転駆動部89のエアモータ部90に流入されるが、操作スイッチ65のオン操作がなければ、パイロットバルブ67cが、ルブリケーター67dにエアAを流さないように構成されている。すなわち、パイロットバルブ67cには、操作スイッチ65側にエアAを流すスイッチ用流路68と、操作スイッチ65のオン操作により、エアAをパイロットバルブ67c側に戻す作動用流路69が接続され、作動用流路69からのエアAの流入により、パイロットバルブ67cは、ルブリケーター67d側にエアAを供給し、エアモータ部90を駆動することとなる。また、ルブリケーター67dからは、処理水流路71のメカニカルバルブ71bにエアAが供給されるように構成されている。
処理用流体供給車PCからの処理水供給ホースHWは、処理水流路71の処理水用継手71aに接続され、操作スイッチ65の操作オン状態であれば、処理水用継手71aから、メカニカルバルブ71bの図示しないダンプポートを経て、回転噴射体94の上方のスイベル用流路71cに供給される。なお、メカニカルバルブ71bの図示しないダンプポートは、パイロットバルブ67cを経たルブリケーター67d側からのエアAの供給があれば、閉弁状態となって、処理水用継手71aからの処理水Wをメカニカルバルブ71bからスイベル用流路71cに供給することとなり、操作スイッチ65の操作オフに伴なったパイロットバルブ67c,ルブリケーター67d側からのエアAの供給停止により、開弁状態となって、メカニカルバルブ71bは、処理水用継手71aからの処理水Wを、図示しない排水流路を経て、吸引ダクト61内に流出させる。
そのため、操作スイッチ65をオン操作すれば、エアモータ部90が回転駆動して、回転噴射体94が回転するとともに、回転噴射体94の各噴射ノズル97から処理水Wが噴射されることとなる。
なお、実施形態の場合、回転噴射体94の回転数は、1000〜3000回/min程度とし、各噴射ノズル97は、処理水Wの吐出圧を100〜280Mpaの範囲内として、一本あたり0.2〜3.5リットル/minの吐出量としている。
また、噴射ノズル97は、開口径で換算すれば、0.07〜0.4mm(正確には、0.07〜0.37mm程度)の範囲内のものが使用されている。
さらに、実施形態の場合、図4,5,10〜12,11,15に示すように、取付ベース88は、前後2枚の支持プレート83に支持されている。各支持プレート83には、上端側の左右両側付近に、上下に延びて貫通するスライド用孔83cが形成され、上下方向の中間部位付近の右方側に、上方へ湾曲するように貫通した湾曲孔83bが形成されている。取付ベース88は、各スライド用孔83cを貫通する調整用ボルト85に締結されて、支持プレート83,83に支持されている。そして、取付ベース88は、各調整用ボルト85を緩めれば、スライド用孔83c内を調整用ボルト85が摺動できる範囲内で、図11,12に示すように、支持プレート83,83間で、左右に揺動できて、図13,14に示すように、回転噴射体94の傾斜角度θを変更するように、調整でき、その後、各調整用ボルト85を取付ベース88に締結すれば、その傾斜角度θとした回転中心軸RCで、回転噴射体94を回転(旋回)させることができる。
すなわち、回転噴射体94を保持する取付ベース88、取付ベース88を支持する支持プレート83,83、支持プレート83のスライド用孔83c、及び、スライド用孔83cを経て取付ベース88に締結される調整用ボルト85は、回転噴射体94の回転中心軸RCの傾斜角度θを調整する角度調整機構AM1を構成している。
なお、この時、図13,14に示すように、回転噴射体94の回転軸部95が左右に移動しても、スライドシール54がガイドレール55を摺動して、ハウジング46の中央孔47aの周縁を円滑にシールすることができる。
また、各支持プレート83の左右のスライド用孔83c,83cは、略上下方向に延びていることから、各調整用ボルト85を緩めて、取付ベース88を平行移動させつつ上下に移動させることができて、所定の高さ位置で各調整用ボルト85を締め付けて、取付ベース88を各支持プレート83に固定すれば、取付ベース88に保持された回転噴射体94の高さを調整できて、各噴射ノズル97(旋回アーム96)の処理横面2からの距離SNを調整することもできる(図13の二点鎖線参照)。
すなわち、回転噴射体94を保持する取付ベース88、取付ベース88を支持する支持プレート83,83、支持プレート83のスライド用孔83c、及び、スライド用孔83cを経て取付ベース88に締結される調整用ボルト85は、回転噴射体94の各噴射ノズル97における処理横面2からの距離(高さ)SNを調整する高さ調整機構HM2も構成している。
さらに、前後の支持プレート83,83は、それぞれ、下支持金具73と上支持金具78とを利用して、フレーム12の左側部13や右側部14に固定されている取付プレート43に、保持されている。
すなわち、下支持金具73,73は、断面L字形として、前後で対称的に、取付プレート43の前後の縁の下面側で、取付ボルト74により取付プレート43に固定されている。そして、支持プレート83の貫通孔83aと下支持金具73とを貫通する調整用ボルト75にナット76が締結されて、下支持金具73と支持プレート83とが締結されている。
また、上支持金具78,78は、断面L字形として、前後で対称的に、支持プレート83,83間の位置における取付プレート43の前後の縁の上面側で、取付ボルト79により取付プレート43に固定されている。そして、支持プレート83の湾曲孔83bと上支持金具78とを貫通する調整用ボルト80にナット81が締結されて、上支持金具78と支持プレート83とが締結されている。
そのため、図15に示すように、調整用ボルト75,75と調整用ボルト80,80とを緩めれば、調整用ボルト80を湾曲孔83b内で摺動させつつ、支持プレート83,83を貫通孔83a(調整用ボルト75)回りで回転移動させることができ、所定位置で調整用ボルト75,75と調整用ボルト80,80とを締め付ければ、各支持プレート83の貫通孔83a回りで回転移動させて固定でき、各支持プレート83に固定された取付ベース88も回転移動して停止されることから、取付ベース88に保持された回転噴射体94の傾斜角度θを調整することができる。
すなわち、回転噴射体94を保持した取付ベース88を支持する支持プレート83,83、支持プレート83,83を調整用ボルト75とナット76とにより取付プレート43に固定する下支持金具73,73、及び、支持プレート83,83の湾曲孔83bを経て、支持プレート83,83を調整用ボルト80とナット81とにより取付プレート43に固定する上支持金具78,78により、回転噴射体94の回転中心軸RCの傾斜角度θを調整する角度調整機構AM2が構成されている。
実施形態の表面処理装置10を使用して処理面1を除染処理する場合には、現場にて、まず、処理用流体供給車PCから延びるエア供給ホースHAと処理水供給ホースHWとを表面処理装置10のエア用継手67aや処理水用継手71aに接続させるとともに、バキューム車VCから延びる吸引ホースHVを吸引ダクト61Bに接続させる。そして、処理用流体供給車PCとバキューム車VCとを作動させ、表面処理装置10に所定のエアAと処理水Wとを供給させて、操作スイッチ65をオン操作し、回転噴射体94を1000〜3000回/minの回転数で回転させつつ、例えば、225Mpaの吐出圧の処理水Wを供給して、図6,7,17に示すように、左右方向の突出位置を調整したガイドローラ40を立上り面7に当て、かつ、シール材50の先端50aを処理面1に接触させつつ、4m/minの移動速度で前方移動させれば、各噴射ノズル97から処理水Wが噴射されて、処理面1を処理できる。
すなわち、この表面処理装置10では、図3,6,7に示すように、シール材50の先端50a側を、処理面1における処理横面2側から隅部4を経た処理縦面3側にかけて接触させつつ、路面6に接触させた車輪30cを利用して、隅部4に沿って走行し、そして、処理水Wを、噴射部としての回転噴射体94の複数の噴射ノズル97から処理面1に対して、噴射し、かつ、吸引手段60により、処理後の処理水Wと処理面付着物とが混ざり合った汚水DWを吸引すれば、除染作業を行うことができる。
その際、回転噴射体94の複数の噴射ノズル97が、隅部4を含めた処理横面2と処理縦面3とに対して処理水Wを噴射可能に配設されており、隅部4を含めた処理横面2と処理縦面3とにおける放射能物質が付着した付着物を、細かくしつつ処理面1から円滑に剥離することができる。
さらに、剥離された付着物は処理後の処理水とともに汚水DWとして、吸引手段60によって吸引され、その際、ハウジング46の外周縁46aのシール材50が、先端50a側を、処理横面2側から隅部4を経た処理縦面3側を囲うように、帯状に配設されており、ハウジング46内の汚水DWは、他の路面6や立上り面7に飛散すること無く、円滑に吸引除去される。
特に、処理面1が、隅部4を含んでいても、その隅部4とともに、その立上り面7側の処理縦面3も、処理水Wが当たり、かつ、シール材50で囲まれて、他に漏らさずに、吸引されることから、路面6側の処理横面2だけでなく、その縁6aの隅部4とその隅部4から立上る処理縦面3を、的確に、除染できる。
さらに、上記の除染作業は、表面処理装置10を、車輪30cを利用して隅部4に沿って走行させつつ、行えることから、効率的に行える。
さらに付言すると、実施形態の表面処理装置10では、鋼球を利用するショットブラスト、サンドブラスト、研磨剤を使用するのではなく、処理水Wとして、水道水等の水を利用できることから、少量の処理水Wの高圧の圧力による衝撃力によって、処理面1における放射能物質が付着した付着物を、剥離し、かつ、細かくでき、そして、細かく微粒子状となった付着物を、霧状の処理水Wにより、濡らす、あるいは、水で包みこんで、吸引手段60で吸引可能な流動体にできる。そして、放射性物質を含んだ微粒子状の流動体となったならば、素早く吸引手段60で吸引するため、ハウジング46外に放射能物質の付着物や汚水DWを漏らすことなく、すなわち、再度、処理面1に放射能物質を付着させることなく、効率的に、処理面1を除染できる。
さらに、細かい霧状(流動状)の汚水DWが、重力により立上り面7側から路面6側に接近して、処理横面2側を濡らし、ハウジング46外に汚水DWを漏らす虞れが生じても、シール材50が囲う処理面1は、立上り面7側の処理縦面3より、路面6側の処理横面2の方が広い。そのため、ハウジング46外へ漏らすように処理横面2側に霧状の汚水DWが集まっても、実施形態の表面処理装置10では、そのような汚水DWを、広く囲ったシール材50の処理横面2側の路面側シール部51の内側に拡散させて留めておくことができて、ハウジング46外に漏れる前に、吸引手段60によって的確に吸引してハウジング46外への汚水DWの漏れを防止することができる。
したがって、実施形態の表面処理装置10では、処理面1が路面6と路面6の縁6aから立上る立上り面7との交差する隅部4を含んでいても、効率的かつ的確に処理面の除染作業を行うことができる。
なお、実施形態の表面処理装置10を使用して、処理水Wの吐出圧を125〜225Mpaの範囲内で噴射して除染処理を行なえば、種々の処理面1を、約200cpm以下程度に除染することができる。
但し、上記の範囲とずれて、吐出圧は、100Mpa以上、125Mpa未満の範囲内としたり、225Mpaを越えた280Mpa以下の範囲内として、処理面1を除染処理してもよい。ちなみに、100Mpa以上、125Mpa未満の範囲内の場合は、処理面1の露出した表面に放射性物質が付着されている場合に、好適となる。225〜280Mpaの範囲内とする場合には、処理面1に凹凸があって、その凹部の深い内部の部位に、放射性物質が潜り込んで付着されている場合に、好適となるが、但し、処理面1の削る量が増えることから、処理後のcpm値が大きく低減しない場合に限定使用する除染処理方法とすることが望ましい。
そして、実施形態の表面処理装置10では、ハウジング46を隅部4に沿って移動可能に、立上り面7と摺動可能なガイドローラ40,40が、隅部4に沿ったハウジング46の前後両端側に配設されている。
そのため、実施形態では、図3に示すように、立上り面7にガイドローラ40,40を摺動させつつ、表面処理装置10を走行させれば、処理縦面3側からシール材50を離すことなく、隅部4に沿わせて表面処理装置10を走行させ易く、円滑に除染作業を行うことができる。
さらにまた、実施形態の表面処理装置10では、車輪30cが、キャスタ輪28から構成され、キャスタ輪28が、走行可能な状態として、車輪30cの向きを角度調整して固定可能な固定手段(ロック機構)33としてのロックレバー30dと係止プレート32とを備えて構成されている。
そのため、図20に示すように、交差点5等の路面6と縁石8とが処理面1の場合の除染に好適となる。すなわち、交差点5では、上方から見た縁石8の立上り面7は、交差点5の規模により、種々の曲率のカーブとなっている。しかし、その曲率に対応させて、図18,19に示すように、係止プレート32の所定の係止溝32aにロックレバー30dのロックピン30fを嵌めて、キャスタ輪28の車輪30cの向きWDを、若干、縁石8側に向けて固定すれば、シール材50における処理縦面3側の縦面側シール部52を、常に所定の圧力で縁石8の立上り面7側の処理縦面3に押圧しつつ、表面処理装置10を走行させることができる。その結果、上記のような構成では、カーブ走行中の表面処理装置10のハウジング46内のシール性が良好となり、的確に飛散を防止して汚水DWを吸引できて、交差点等の縁石8付近の除染作業を円滑かつ効率的に行うことができる。
勿論、上記の構成では、処理縦面3が、カーブになっている場合に限らず、直線状となっている場合にも、走行が可能な範囲で、車輪30cの向きを、僅かに、処理縦面3側に向けるようにして、縦面側シール部52を処理縦面3から離さずに、除染処理を行うようにしてもよい。すなわち、この場合でも、表面処理装置10を無理に立上り面7側に押し付けなくとも、単に、表面処理装置10を前方に走行させるだけで、シール材50における縦面側シール部52を、常に所定の圧力で立上り面7側の処理縦面3に押圧しつつ、表面処理装置10を走行させることができる。そのため、このような構成では、容易に、ハウジング46内のシール性を安定させて、除染作業を行うことができる。
なお、実施形態では、車輪30cを4輪とした場合を示したが、路面6上を走行でき、かつ、処理縦面3近傍の走行が円滑に行なえれば、立上り面7側の前後に車輪30cを設け、立上り面7から離れた側に1つの車輪30cとして、3輪タイプとしてもよい。但し、安定走行の観点からは、4輪以上の車輪30cが望ましく、嵩張らない観点からは、車輪30cを前後左右に配置させた4輪とすることが望ましい。そして、車輪30cの向きを固定可能なキャスタ輪28は、少なくとも立上り面7側の前後だけに配置させてもよいが、安定走行の観点からは、全ての車輪を固定可能なキャスタ輪とすることが望ましい。
また、実施形態の表面処理装置10では、吸引手段60が、走行時の回転噴射体94の後方側に配設されるとともに、ハウジング46内へ突出するように配設されて、下端62aを処理横面2と略並行に開口させた吸引パイプ62を備えて構成されている(図8,10参照)。
そのため、実施形態では、吸引パイプ62の下端62aが、開口面を処理横面2と略平行として、処理横面2に接近させる状態となることから、ハウジング46の天井壁部47から吸引する場合に比べて、吸引する汚水DWの流速を高めて汚水DWを吸引でき、仮に、シール材50の先端50a側が部分的に処理面1から離れても、吸引パイプ62が汚水DWを吸引する所定の負圧を維持でき、換言すれば、所定の吸引効率を確保できる。そのため、このような構成では、漏れ易い処理横面2側の汚水DWだけで無く、処理縦面3側を含めたハウジング46内の全域の霧状(流動状)の汚水DWを、飛散を防止しつつ的確に吸引することができる。
また、吸引パイプ62は、走行時における噴射部としての回転噴射体94の後方側に配置されて、回転噴射体94の前方側に配置されている訳ではないことから、回転噴射体94の噴射ノズル97で噴射された処理水Wが当った後の処理面1のエリアを、吸引しつつ通過できて、確実に、汚水DWを吸引することができる。
さらに、実施形態の表面処理装置10は、図9,13,14に示すように、噴射部としての回転噴射体94が、回転中心軸RCの上端RCU側を立上り面7の上下方向に沿う方向から路面6側に傾斜させた状態として、回転中心軸RCを中心として旋回可能な旋回アーム96を備え、旋回アーム96が、回転中心軸RC側から先端96a側にかけて、下面側に複数の噴射ノズル97を配設させて構成されている。
そのため、実施形態では、隅部4に沿って走行しつつ、各噴射ノズル97から処理水Wを噴射させ、かつ、旋回アーム96を旋回させれば(図7,8参照)、旋回アーム96の回転中心軸RCが路面6側に傾斜しており、各噴射ノズル97が、処理横面2、処理縦面3、及び、相互の交差する隅部4に対し、円滑に、繰り返して処理水Wを噴射できて、処理水Wの給水量が少なくとも、処理面1のはつりを抑えて、効率的に、放射性物質を含んだ処理面付着物を、剥離させることができ、一層、円滑に、処理面1の除染作業を行なえる。
なお、除染処理が円滑に行なえれば、処理水Wは、隅部4や処理縦面3側に対し、噴射ノズル97から噴射されて直接的に当たらなくとも、間接的に当たってもよい。
また、除染処理が円滑に行なえれば、回転する旋回アーム96に複数の噴射ノズル97を設けずに、例えば、十字状の固定アームに複数の噴射ノズル97を配置させて、処理横面2だけでなく、隅部4や処理縦面3側に対し、間接的、望ましくは、直接的に処理水Wを当てるようにしてもよく、この場合でも、隅部4に沿って走行すれば、除染作業を行うことが可能となる。
但し、処理水Wを噴射する複数の噴射ノズル97を旋回アーム96で回転させつつ走行すれば、各噴射ノズル97が回転することから、全ての処理面1の全域に処理水Wを当てることが可能となって、効率的に除染することが可能となる。
また、実施形態の表面処理装置10では、シール材50における立上り面7側部位の近傍に、回転噴射体94の旋回アーム96における処理縦面3との接触を防止可能に、処理縦面3と接触して回転可能な保護ローラ57,57が配設されている。
そのため、実施形態では、処理縦面3と接触する保護ローラ57,57により、回転噴射体94の旋回アーム96における処理縦面3との接触を防止できるため、処理縦面3との接触による噴射ノズル97を含めた回転噴射体94の故障を防止することができる。
さらにまた、実施形態の表面処理装置10では、走行させる際に把持するハンドル21を備えるとともに、ハンドル21が、隅部4に沿った方向の前後両側で、付け替え可能に配設されている。
そのため、実施形態では、処理横面2から立上る処理縦面3が、図3に示すように、表面処理装置10の走行方向の右側に配置されていたり、あるいは、図23に示すように、表面処理装置10の走行方向の左側に配置されていても、ハンドル21を把持しやすい側に付け替えることができる。そして、ハンドル21が、隅部4に沿った方向の両側に、それぞれ、配設されている訳ではないことから、嵩張らず、吸引手段60や処理水Wの取り回しが容易となる。
なお、実施形態では、吸引ホースHVを走行方向の後方側の吸引ダクト61に接続させている。すなわち、ハンドル21を前後で付け替える際には、走行時の処理水Wの噴射しているエリアの後方側の吸引ダクト61に、吸引ホースHVを接続させるように、吸引ホースHVの付け替えも必要となる。但し、吸引ホースHVが二又状に分岐していれば、二つの吸引ダクト61F,61Bに共に吸引ホースHVを接続させておき、吸引ホースHVの付け替えをなくしてもよい。
さらに、実施形態の表面処理装置10では、吸引パイプ62が、止めねじ63を利用して、下端62aと処理横面2との間の距離SPを調整可能に配設されている(図8,10参照)。
そのため、実施形態では、処理横面2の不陸部の有無により、吸引パイプ62の下端62aの高さ位置を調整でき、処理横面2に応じて、吸引パイプ62の下端62aの高さを調整すれば、好適な吸引効率を確保することができる。
さらにまた、実施形態の表面処理装置10では、噴射ノズル97の処理面1からの離隔距離SNを調整可能な調整手段CMとしての高さ調整機構HM1,HM2が、配設されている。
すなわち、高さ調整機構HM1では、図16の二点鎖線と実線に示すように、ねじ棒24cを所定方向に回転させれば、ねじ棒24cに螺合している雌ねじ部26cが上下動して、支持ベース26の突条26bが車輪取付座24のガイド溝部24a内を摺動しつつ、支持ベース26ごと上下動し、所定の高さ位置に配置されたならば、ナット24e,24eを支持壁部24b側に圧接させて、ねじ棒24cを回転不能に停止させることにより、フレーム12に対してキャスタ輪28を所定の高さに配置させることができて、その結果、不陸部を走行することとなっても、後述する各噴射ノズル97(旋回アーム96)が処理横面2に当たらず、噴射ノズル97の処理横面2からの所定の距離SNを、安定して確保することができることとなる。
また、高さ調整機構HM2では、図11,13に示すように、各支持プレート83の左右における上下方向に延びたスライド用孔83c,83c内で、各調整用ボルト85を緩めて、取付ベース88を平行移動させつつ上下に移動させ、所定の高さ位置で各調整用ボルト85を締め付けて、取付ベース88を各支持プレート83に固定すれば、取付ベース88に保持された回転噴射体94の高さを調整できて、各噴射ノズル97(旋回アーム96)の処理横面2からの距離SNを調整することもできる。
そして、これらのような構成では、処理横面2が細かい凹凸を備えて、処理水Wの当り難い部位が多く存在する等の場合には、噴射ノズル97を処理横面2に接近させて対処でき、逆に、処理水Wの衝撃を抑えたい場合や不陸部による噴射ノズル97(旋回アーム96)の処理横面2との接触防止の観点から、噴射ノズル97を処理横面2から離す等できる。
特に、ハウジング46自体の高さを変えずに、噴射ノズル97自体の高さを調整可能な高さ調整機構HM2では、シール材50の路面側シール部51の高さが変わらず、ハウジング46内のシール性に影響がないことから、処理水Wの圧力や吸引手段60の負圧の調整を行わずに、処理面1の状態が種々あっても、容易に対処できる。
一方、実施形態の高さ調整機構HM1では、各車輪30cのフレーム12に対する高さを調整できることから、処理横面2や処理縦面3の傾きや不陸部に対応させて、個別に車輪30cを調整して、ハウジング46と回転噴射体94との路面6に対する角度も調整することができる。
さらに、実施形態の表面処理装置10では、角度調整機構AM1,AM2を備えて、噴射部としての回転噴射体94が、旋回アーム96の回転中心軸RCの傾斜角度θを調整可能に配設されている。
すなわち、角度調整機構AM1では、各調整用ボルト85を緩めて、スライド用孔83c内を調整用ボルト85が摺動できる範囲内で、図11,12に示すように、支持プレート83,83間で、回転噴射体94を保持した取付ベース88を左右に揺動できて、図13,14に示すように、回転噴射体94の傾斜角度θを変更するように、調整でき、その後、各調整用ボルト85を取付ベース88に締結すれば、その傾斜角度θとした回転中心軸RCで、回転噴射体94を回転させることができる。
また、角度調整機構AM2では、図15に示すように、調整用ボルト75,75と調整用ボルト80,80とを緩めれば、調整用ボルト80を湾曲孔83b内で摺動させつつ、支持プレート83,83を貫通孔83a(調整用ボルト75)回りで回転移動させることができ、所定位置で調整用ボルト75,75と調整用ボルト80,80とを締め付ければ、各支持プレート83の貫通孔83a回りで回転移動させて固定でき、各支持プレート83に固定された取付ベース88も回転移動して停止されることから、取付ベース88に保持された回転噴射体94の傾斜角度θを調整することができる。
そのため、例えば、処理横面2や処理縦面3に段差等があって、旋回アーム96の回転中心軸RCの傾斜角度θを調整して、その段差を備えた側に、複数の噴射ノズル97の向きを配置させれば、段差部位を含めて、円滑に除染作業を行うことができる。
ちなみに、実施形態の場合、回転噴射体94の回転中心軸RCの立上り面7からの傾斜角度θは、角度調整機構AM1,AM2の調整により、0〜30°程度まで調整することができる。
なお、実施形態の場合、角度調整機構AM1,AM2の調整により、実質的に噴射ノズル97の高さも調整できることから、噴射ノズル97の処理横面2からの離隔距離を調整可能な調整手段CMをも構成できる。
さらに、ガイドローラ40,40が、支持部35で支持されるスライド部37が左右方向に移動可能に構成されており、このスライド機構も、処理縦面3からの噴射ノズル97の離隔距離を調整可能な調整手段CMを構成することができる。
また、実施形態の表面処理装置10では、立上り面7と摺動可能なガイドローラ40が、図6,16,17に示すように、固定レバー38を操作してローラ軸41を上下にずらしてスライド部37の固定すれば、処理横面2からの高さを調整可能に配設されている。
そのため、実施形態では、例えば、立上り面7となる処理縦面3側の縁石8がその高さを低くしていても、ガイドローラ40を下げて、高さの低いその縁石8の立上り面7にガイドローラ40を摺動させることができる。
なお、ガイドローラ40の高さは、路面6に不陸部があるような場合には、ある程度の高さに配置させた方が、立上り面7にガイドローラ40を摺動させつつ、表面処理装置10をバランスよく早く走行させることができるものの、上記のように、立上り面7の高さが低ければ、ガイドローラ40を下げて、対処する必要が生ずる。
さらに、実施形態の表面処理装置10では、処理横面2と処理縦面3とへの噴射ノズル97から噴射される処理水Wの直接当たる幅寸法GH,GVが、処理縦面3側の幅寸法GVより処理横面2側の幅寸法GHを大きくするように、設定されている。
そのため、実施形態では、複数の噴射ノズル97から噴射する処理水Wを処理横面2側に多く噴射することができて、走行時、隅部4から離れた路面6側の除染エリアを広く確保することができる。
ちなみに、実施形態では、幅寸法GH,GVの合計を約300mmとしており、そして、回転噴射体94の傾斜角度θを大きくして、かつ、回転噴射体94を高く配置させることによって、処理横面2側の処理水Wの直接当たる幅寸法GVM(図14参照)を、約50mm確保できるように構成されている。
なお、実施形態では、一文字状の旋回アーム96の下面に8個の噴射ノズル97を配設した場合を示したが、回転軸部95から放射状に3〜8本程度の旋回アームを突出させ、各旋回アームの回転中心軸側から先端側にかけて、複数の噴射ノズルを配設させるように構成しても良い。なお、この時、各噴射ノズルにおける走行しない状態での回転軌跡は、相互に、重ならないように、各噴射ノズルを配設させ、さらに、各噴射ノズルからの処理水の噴射方向は、実施形態のように、回転中心軸から遠ざかるにつれて、外向きの角度を大きくするように設定することが、処理面1に対して、効率的に処理水を当てることとなって、好ましい。
さらに、実施形態では、1つの回転噴射体94を使用する表面処理装置を例示したが、一つの大きなハウジング内に、複数(例えば、2個や3個等)の回転噴射体94を設けて、表面処理装置を構成してもよい。
さらにまた、実施形態では、吸引手段60の一部を構成するバキューム車VC自体に後処理装置100を搭載させた場合を示したが、バキューム車VCと別位置に、後処理装置を配設させて、汚水DWの後処理を行い、その処理した上澄み液CWを、給水車SCに貯留させていた水(真水)TWと合わせ、あるいは、単体使用として、処理水Wに使用してもよい。
なお、この場合の後処理装置は、図示した後処理装置100に比べて大型のものであるが、後処理装置100と同様に、ゼオライトや凝集剤を利用した沈殿処理と、限外濾過装置を設けた濾過処理と、を行って、除染した上澄み液CWを処理用流体供給車PC側に供給するように、構成すればよい。