JP2015004257A - 除染装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下面のみを解放した容器であるフードと、フードを移動させる車輪と、フードの上面に、角度調整が可能に取り付けた傾斜板8と、傾斜板8の上に搭載してあり、その先端を傾斜板8を貫通してフード内へ挿入した単数または複数基のノズル3と、フードの一部に開口した単数または複数の吸引口と、フードの移動方向と直交する方向にノズル3先端を往復動させる首振り機構とより構成する。ノズル3の首振りは傾斜板8上のモータの回転と連動させ、ノズル3にはドライアイス粒子を供給できるように構成した。
【選択図】図1
Description
<1> ドライアイス粒子を、汚染された舗装面に吹き付けると、ドライアイスが気化し、その際のエネルギーで汚物を持ち上げて剥ぎ取る、という作用を行うので、理論的にはよい除染方法である。
<2> しかし実際には特許文献1に示すように、底面を開放した空き箱状のケースを舗装面にかぶせ、その天井部に切り開いたスリットにノズルを差し込んでドライアイス粒子を吹き付けるという程度の方法しか開発されていない。
<3> このような方法では、作業員の技量によって除染効果に大きなばらつきが生じる。
<4> またケースの一部に透明窓を設けてあっても、ドライアイス粒子が飛散している状態だからその内部の状態が見えず、除染の進行状態は作業員の勘と経験に頼らざるを得ない。
<5> そのために丁寧な作業員は確実に除染することはできるが、勘に頼っているのだから必要以上の時間を要する場合もあり、雑な作業員の場合には施工速度は速いがやり直しが生じるという場合もある。
<6> また上記の方法では施工しながら移動するということが困難であり、空き箱状のケースからの漏気も多い。
<7> 路面の汚染程度に対応したドライアイスの噴射時間や、噴射角度の調整まで考慮されていない。
また上記の除染装置において、傾斜板の傾斜角度は、調整、固定可能に構成したことを特徴としたものである。
<1>汚染の状況は現場によって大きく異なるが、試験範囲を定めてそこでの成果を反映させて、ノズルの往復動の速度とノズルの噴射角度を決定することができるので、作業員個人の技量差の影響はなく、最適の除染効果を達成することができる。
<2>角度調整が可能な傾斜板の上にノズルが搭載してあり、その先端を傾斜板を貫通してフード内へ挿入している。そのために傾斜板の角度調整によってノズルの噴射角度、すなわちドライアイス粒子の地表面への衝突角度を調整することができる。その機能によって、汚染の程度や状態に応じた最適の処理を行うことができる。
本発明の除染装置は、台車2に搭載したフード1と、台車2を移動させる車輪21と、フード1の上に取り付けた傾斜板8と、傾斜板8の上に搭載したノズル容器31と、ノズル容器31に収納したノズル3と、ノズル容器31を往復動させる首振り機構5と、フード1の一部に開口した吸引口41とにより構成する。
フード1の一部か、その外側には車輪21を設けてフード1を含む台車2の移動を可能とする。
台車2の前後の両側にハンドル7を設け、このハンドル7に制御盤71を取り付ける。
制御盤71は取り外し自在として、信号線を長くしておくと、いずれのハンドル7にも取り付けることができる。
なお、本明細書と特許請求範囲の記載では、本発明の装置の移動方向を前後方向、それと直交する方向を左右方向と表現する。
フード1は、六面体の箱の底を抜いたような形状であり、下面のみを解放した容器である。
その上面の全部あるいは一部を透明材で構成すれば、作業員が内部の除染状態を把握できる。
このフード1の内部で、ドライアイス粒子の噴射を行い、それによって剥離した汚染物が付着した土砂などの粉じんが舞い上がる。
その混合体はフード1の一部に開口した吸引口41から吸引ホース42によって吸引して外部で回収する。
フード1の上面には、傾斜板8を取り付ける。
この傾斜板8は、本発明の装置の移動方向と直交する方向に配置したピンを回転軸84とし、この回転軸84を介してフード1の上面から離れる方向に傾斜自在に取り付ける。
したがって、傾斜板8はフード1の上面から徐々に手動によって引き起こすことができる。
引き起こした状態を維持するために、傾斜板8の側面に沿ってガイドレール81を立ち上げる。
ガイドレール81は円弧状態の板やレールであるが、その円弧の描く曲線は、傾斜板8の一点を支持する回転軸84を円心として描いた円弧である。
このガイドレール81と傾斜板8とを位置決めボルト83で締結すれば、引き起こした板の姿勢を維持することができる。
ノズル3は円弧板を貫通した状態で取り付けてあるから、傾斜板8を引き起こすと、ノズル3の地表面に対する噴射角度を変えることができる。
このようにノズル3の噴射角度は、傾斜板8の引き起こし角度によって、対象とする汚染面に対して前進方向に向けて最適の角度で噴射できるので、汚染面に反射したドライアイス粒子の排気と粉じんをフード1内で方向を与えて流動させ、吸引口41に導くことができる。
なお傾斜板8の角度の調整は、上記の機構に限らず、スクリュージャッキやパンタグラフ機構など公知の角度調整機構を採用することができる。
フード1の底面の周囲には、ドライアイス粒子や粉じんが外部に飛散することを阻止するためにスカート11を設ける。
このスカート11は、ブラシやゴム板、金属板、樹脂板などで構成し、フード1の移動時にはスカート11の下面が除染対象の面上を滑動する。
移動中にスカート11がフード1の下に巻き込まれないように、ゴム板とブラシを使い分ける。
外部への飛散を阻止するために二重に設置することも可能である。
ノズル3はドライアイス粒子を噴射するための装置であり、ドライアイス粒子の製造装置とは噴射ホース33で連結している。
傾斜板8を貫通したノズル3の先端は、フード1に開口した挿入口32を貫通させて、フード1内に挿入してあり、その先端と舗装面との距離は調節が可能である。
距離を調整可能とするために、ノズル3は直接フード1に取り付けるのではなく、ノズル容器31に挿入して、所定の位置で取り付け、あるいは取り外すことができるように構成する。
ノズル3を複数本、左右方向に平行に並べた場合には、対象面における各噴射範囲は重ならないように配置する。
ノズル3先端と対象面の距離は15〜20cmが適当であるが、その数値に限定するものではない。
ノズル3の往復動を許容するために、フード1に開口した挿入口32は、横長になるが、フード1の上にゴム板を乗せ、ノズル3の動きに合わせてゴム板がフード1の上面を滑るように構成すれば、挿入口32の開口面積を最小限に制限しておくことができる。
ノズル容器31は傾斜板8の上面に設置した、縦方向に貫通した筒体である。
ノズル容器31はノズル3を着脱可能にセットするための容器であり、その内部に挿入したノズル3を側面からボルトで締めつけてその位置を固定でき、ボルトを緩めれば抜き出すことができる。
ノズル容器31自体は、傾斜板8上に、ブラケット12とピン13で軸支して取り付けるが、このピン13の方向は、本発明の装置の移動方向と平行方向であるので、ノズル容器31はピン13を軸心として左右方向への首振りが可能である。
ノズル容器31は1基、または左右方向に平行に複数基を傾斜板8の上に設置する。
ノズル3の左右方向の往復動を「首振り」と称すると、そのための首振り機構5は首振りモータ54と左右動リンクで構成する。
この首振りモータ54の回転速度は、インバーター制御により調整が可能である。
そして、傾斜板8の上に搭載した首振りモータ54の回転盤52と、その回転盤52に軸支した回転リンク51と、回転リンク51に軸支した左右動リンク53とで構成する。
この左右動リンク53の端を、傾斜板8にピン13で軸支したノズル容器31に取り付ける。
すると、首振りモータ54の回転が左右動リンク53の左右動となり、この左右動がピン13で軸支したノズル容器31の左右方向の往復動となる。
するとノズル容器31に挿入してセットしたノズル3の先端は、傾斜板8を貫通してフード1の内部に露出した状態で左右動を繰り返すから、ノズル3からのドライアイス粒子は一定範囲でまんべんなく噴射することになる。
回転盤52の1回転で、ノズル3が1往復するため、隣接するノズル3の噴射範囲が重なるように回転盤の直径とリンクの長さを調整しておくと、ドライアイス粒子の噴射漏れの範囲が生じない。
フード1の一部には吸引口41を開放して、吸引ホース42に連結し、この吸引ホース42は集塵機に接続する。
するとフード1内で舞い上がった汚染物を吸引口41から吸引して外部のタンクへ誘導することができる。
ここで吸引するのは、気化した炭酸ガスと、剥離した汚染物の粉じんであるから、汚染水の回収の場合とは異なり集塵機のフィルターで容易に回収することができる。
スカート11を二重に設置した場合、内側のスカート11と外側のスカート11の間に、吸引口41を単数、または複数設置することでフード1から漏れた汚染物を吸引することができる。
フード1内の底板6の上には吸引箱4を設置する。
この吸引箱4は、一端の面に吸引口41を開口し、吸引口41と反対側は除染装置とは別の、外部の集塵機に吸引ホース42を介して連結する。
この吸引箱4の吸引口41を、底板6に左右方向に開口した集塵スリット61のすぐ上に開口し、吸引ホース42は台車22の前方方向から引き出す。
前方方向とは、集塵スリット61からみると、ノズル3の設置側と反対側である。
集塵スリット61の前後の位置には、斜板62を設置し、斜板62の下縁にはスカート63を取り付ける。
集塵スリット61の前後に配置して2枚の斜板62は、上方の間隔が広く、下方の間隔が狭くなっている。
そのように配置すると、ノズル3は真下向きではなく、多少前方方向へ向けて角度を備えて配置してあるから、ノズル3からのエネルギーを効率よく前方の吸引口41に導入することができる。
こうしてフード1内で舞い上がった汚染物を、その流れの方向を変えずに吸引口41から吸引して外部の集塵機へ誘導する。
ここで吸引するのは、気化した炭酸ガスと、剥離した汚染物の粉塵だから、汚染水の回収の場合とは異なり集塵機のフィルターで容易に回収することができる。
さらに吸引口41を交換可能の構造としておけば、除染対象物や汚染状況に応じて開口の大きさの異なったものに交換して吸引流速を調整することができる。
除染作業に際して、噴射のエネルギーで底板6の上に載った汚染物が斜板62を伝わって集塵スリット61に落下すると舗装面を再度汚染してしまうことも考えられる。
そこで集塵スリット61の両側に設置する斜板62を単なる板体ではなく、下端で「V」字状に折り返した構造を採用することもできる。
すなわち図7に示すように、斜板62の集塵スリット61側に折り返し板64を取り付けて、断面をV字状に形成する。
すると斜板62の先端のV字状の折り返し部分で汚染物を捕捉するから、汚染物のスリット61からの再度の落下を阻止することができる。
上記の装置の一部にギヤードモータを装備する。
このモータの回転はギヤを介して車輪21に伝達するから、インバーター制御やギヤの切り替えによって任意の速度による自走が可能である。
モータの回転を正転、逆転することで台車2を前進、後退させることができる。
次に上記の装置を利用して、例えば放射能で汚染されたアスファルト舗装やコンクリート舗装の汚染物を除去する方法を説明する。
ドライアイス粒子で表面の汚染を除去する原理は、前記したようにドライアイス粒子が気化する際のエネルギーで汚染物を持ち上げて剥ぎ取る機能による。
そこで除染範囲の一部を試験範囲として、ノズル3の噴射角度とノズル3の左右の首振り速度、装置の走行速度を数段階に変えて除去作業の前後の放射能の量を測定する。
ノズル3の噴射角度を変えるには、回転軸84を中心に、傾斜板8を徐々に引き起こして位置決めボルト83でガイドレール81に固定して行う。
ノズル3の首振り速度の調整は、首振りモータ54のインバータ制御によって行う。
それらの結果からその現場での最適の、吹付角度、首振り速度、台車2の移動速度を決定し、この数値を制御盤71においてインバータ制御の周波数として設定する。
上記のテストで最適速度が決定するから、その後は同一速度を保たせて走行するだけで、どの位置でも単位面積あたり同一量、同一角度からドライアイス粒子をノズル3から噴射することができる。
したがって、作業員の勘や技量が影響することがない。
ドライアイス粒子の噴射によってドライアイス粒子と剥離した粉じんはフード1内に舞い上がるが、吸引口41からの負圧で吸引ホース42を通してフィルターを備えたタンク内に取り込む。
粉じんと汚染気体はフィルターに吸着するから、このフィルターを廃棄処理する。
2:台車
21:車輪
3:ノズル3
31:ノズル容器
32:挿入口
4:吸引箱
41:吸引口
42:吸引ホース
5:首振り機構
51:回転リンク
52:回転盤
53:左右動リンク
6:底板
61:集塵スリット
62:斜板
63:スカート
64:折り返し板
7:ハンドル
71:制御盤
8:傾斜板
81:ガイドレール
82:案内溝
83:位置決めボルト
Claims (2)
- 下面のみを解放した容器であるフードと、
フードを移動させる車輪と、
フードの上面に、角度調整が可能に取り付けた傾斜板と、
傾斜板の上に搭載してあり、その先端を傾斜板を貫通してフード内へ挿入した単数または複数基のノズルと、
フードの一部に開口した単数または複数の吸引口と、
フードの移動方向と直交する方向にノズル先端を往復動させる首振り機構とより構成し、
ノズルの首振りは傾斜板上のモータの回転と連動させ、
ノズルにはドライアイス粒子を供給できるように構成したことを特徴とした、
除染装置。 - 請求項1記載の除染装置において、
傾斜板の傾斜角度は、調整、固定可能に構成したことを特徴とした、
除染装置。
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