JP5892829B2 - 溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、アルミニウムやアルミニウム合金のダイカスト成形に好適な溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置に関する。
従来、アルミニウムあるいはアルミニウム合金(以下、アルミニウムあるいはアルミニウム合金をアルミと略記する)のダイカストによる成形は、殆んどコールドチャンバー式ダイカスト装置(以下、コールドチャンバーと略記する)と呼ばれる機械を用いて成形されており、マグネシウム合金(以下、マグネと略記する)や亜鉛合金のダイカスト成形は、多くがホットチャンバー式ダイカスト装置(以下、ホットチャンバーと略記する)と呼ばれる機械を用いて成形されている。
コールドチャンバーは、図7に示すように、別の炉で溶融した溶湯をラドル101で汲み上げ、射出スリーブ102内に注湯し、射出プランジャー103で、高速・高圧で、金型104のキャビティ104a内に、溶湯Mを充填した後に冷却して製品を得る方式である。また、ホットチャンバーは、図8に示すように、保持炉105中に浸漬されたグースネック106あるいはティーポットと呼ばれるチャンバーに射出シリンダ107が組み込まれており、該射出シリンダ107には射出プランジャー103が嵌合している。
この射出プランジャー103が下降すると、グースネック106内に溜められた溶湯Mがグースネック106のネック部を上方向に通って、ノズル108を介して金型104に高速・高圧で充填され成形が行なわれる。射出プランジャー103が上昇すると、金型104に充填されずに余って固まらない溶湯Mはグースネック106に戻り、かつ射出シリンダ107に設けられた溶湯供給孔107aから次の射出に備えて自動的に溶湯Mが供給され、射出プランジャー103の上下動で連続的に射出成形が行なわれる方式である。
上記コールドチャンバーは、ラドル101で溶湯Mを汲みあげる際、炉表面の酸化膜などのスラッジが一緒に混ざって汲みあげられることや、ラドル101で運搬中に溶湯Mが冷えたり、少し冷えた射出スリーブ102に溶湯Mを供給することから、微妙に固液共存状態に近いような状態の溶湯Mで成形することなどから、炉中のきれいな溶湯Mを使用するホットチャンバーより品質の点で劣る点がある。
また、コールドチャンバーは、人手あるいは給湯装置によりラドル101で溶湯Mを汲み、射出スリーブ102まで運ぶことで時間のロスがあるのに対し、ホットチャンバーは、連続的に溶湯Mを供給できるので、生産性の点でもホットチャンバーの方が優れている。さらに、歩留まりの点でもホットチャンバーの方が優れている。
そのため、マグネや亜鉛合金の場合は、品質・生産性・歩留まりの良いホットチャンバーで生産されるのが殆んどであるのに対し、アルミは、コールドチャンバーで生産されることが殆んどであった。
アルミにホットチャンバーが使われない理由は、溶融したアルミが鉄系合金をはじめとして多くの金属材料を侵食するため、溶湯Mと接触するグースネック106や射出シリンダ107、射出プランジャー103などの構造部材に、金属材料が使えないという制約を受けていることが大きく影響しているためである。アルミのホットチャンバーは、50〜60年前より多くの研究・開発が行なわれており、例えば、射出シリンダ107や射出プランジャー103に、二ホウ化チタン系セラミックス又は複合ホウ化物系セラミックスを主体として長年研究開発が進められたが、商品化には至っていない。なお、上記複合ホウ化物系セラミックスを用いた場合、射出シリンダ107や射出プランジャー103に大きな問題はなかったが、グースネック106やノズル108などに問題があった。
また、非特許文献1には、サイアロンなどを用いて開発が進められ開発に成功したと報告されているが、寿命などの点で問題があり、実用化まで至っていないのが現実である。
グースネック106は形状が異形なことから鋳鉄で造るのに適していて、従来、特殊耐熱鋳鉄でグースネック106を造り開発を進めたが、特に、グースネック106の溶湯通路106aが侵食され、穴径が徐々に拡大されるという問題があった。
また、グースネック106が侵食されると、溶湯M中の鉄分がリッチになり成形品の品質の低下を引き起こすという問題があった。グースネック106の外周部の見える部分は、ラドル101などにも使われる塗型材などである程度は防ぐことはできるが、溶湯通路106aを侵食から防ぐことは難しい。そのため、これまでグースネック106を鋳鉄で作り、グースネック106の溶湯通路106aやノズル108など溶湯Mの通路など溶湯Mと接触する部位に、セラミックスや黒鉛などで作られたパイプ状のものを鋳造時に鋳ぐるんで寿命の伸長を図ろうとした報告や特許出願、実用新案が多く提案されている。例えば、特許文献1〜3などに記載の技術があるが、十分な結果が得られていない。
実公平2−11965号公報 特許第3049257号公報 特開平5−285621号公報
「アルミニウム用ホットチャンバダイカストマシン公開普及説明会〔資料〕」、中小企業事業団、昭和62年度
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
特許文献1〜3などに記載の技術では、十分な結果が得られていないが、これは、鋳包みの際に熱衝撃や凝固時の収縮による圧縮応力などで鋳ぐるんだ部材が内部で割れたり、鋳鉄とセラミックスや黒鉛との熱膨張係数に差があることで、650℃〜700℃の高温下におかれるグースネックは、鋳鉄の内径と鋳ぐるんだ部材の外径との間に隙間ができるため、射出圧力に耐えられずに割れたりすることが原因と考えられる。
さらに、鋳鉄のような鉄系合金では、650℃〜700℃という高温での機械的・物理的性質にも問題があり、長時間大きな応力を受けた状態で保持されることは、クリープなどの機械的・物性的限界もあるためか大きな阻害要因となっていると考えられている。
一方、一部小型機で鋳鉄のグースネックを用いず、射出シリンダとグースネックとを一体化し、全体を窒化珪素やサイアロンなどのファインセラミックスを用いて作り、商品化された例がある。しかしながら、セラミックスは、複雑形状になると成形あるいは焼結が難しく、巣が発生し易い・微細クラックなどが発生するなどの問題があるため、安定性に欠けていた。また、形状が単純な円筒でなく複雑な形状でシンメトリーでないため、650℃〜700℃の炉中で、均一に熱膨張することは考え難く、熱応力による歪が発生し、射出時の高圧を繰り返し受けることでセラミックスが割れたりすることが絶えなかった。
また、全体をセラミックスで作るため、複雑で大きなものを作ることには限界があり、型締力15トンという小型の機械ではある程度の運転ができても、寿命の問題などがあり、15トン以上の大型機などでは制約を受け、広く普及するまでには至っていないのが現実である。
また、マグネの場合、グースネックや射出シリンダなどに鉄系金属材料を使っても激しく侵食されないことから、鉄系金属材料を用いてホットチャンバー化が進んでいるが、実際には、射出完了後、金型が開き、射出プランジャーが上昇すると、ノズル内に残った溶湯は空気と一緒にグースネック内に戻る。次に射出する時、グースネック内の溶湯通路およびノズル内は保持炉の溶湯レベルまで空気で満たされていることになるので、射出プランジャーの移動量に対して実射出量が減り、成形品の充填不足を起こしたり、空気の巻き込みによる巣の発生などの問題を引き起こす原因となる。
そこで、マグネの場合は、金型と接するノズル先端部付近の温度を微妙に調整し、射出完了後、あえてノズル先端部付近の溶湯を固めて、ノズルの穴を塞ぐ栓を作り、射出圧力を高くして次の射出時に強制的に栓を溶湯と一緒に成形するというような方法が取られている例がある。この方法は空気を巻き込まず、真空状態にして、溶湯供給孔から溶湯が流入しやすくするなどの効果と相まって、安定的な成形ができるため「プラグ打ち」と呼ばれマグネのホットチャンバーでは多く用いられている成形方法である。
しかしながら、アルミで「プラグ打ち」を実際に試すと、構造部材にセラミックスを使う関係から射出圧力をマグネ合金の「プラグ打ち」のように高圧にできないことや、アルミとマグネとの比熱や粘性などに差があること等が起因しているかどうか定かではないが、射出圧を多少上げてもマグネのようにはできず、ノズルが詰まって射出できなかった。
また、従来、溶湯保持炉の溶湯レベルをノズル先端部付近のレベルにし、極力空気の巻き込みが少なくなるような方法をとっている例もある。
さらに、ノズルのつまりが金型に熱を奪われるために発生することから、成形完了時にノズルを後退させ、金型と切り離す方法も取られたりしているが、この場合は、グースネック内に残圧があるため、あとから溶湯がノズルから噴き出したり、垂れ出したり(いわゆる鼻ダレという)するという課題がある。
また、ホットチャンバーは、グースネックの大半を保持炉の中に浸漬するのが一般的であるが、前述した非特許文献1の報告のようにグースネックと保持炉とを一体化して、溶湯との接触部位を減らす提案などがある。しかしながら、この技術では、正月休暇などの長期休暇や計画停電時あるいはトラブルなどの場合、保持炉内の溶湯を汲み出さなければならない場合がある。保持炉内の溶湯を汲み出す作業は容易ではなく、危険も伴っている。このような場合、保持炉内の溶湯は汲み出すことができても、グースネック内の溶湯は残るので、そのままグースネック内で凝固させなければならない。しかし、再起動させようとすると、凝固させたアルミを再溶解させなければならず、再溶解に時間がかかる上、溶湯通路に鋳ぐるんだセラミックスが割れたりする問題などがあった。
以上説明したように、アルミのホットチャンバー化は、本業界関係者にとって夢のダイカスト機であることから、長年多くの開発が行なわれてきたにもかかわらず、主要部材に通常の金属材料が使用できないことや、グースネックの溶損の問題、及び空気の巻き込みなど多くの理由により、寿命、安定性、メンテナンス性などの点で広く普及するまでに至っていない。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、グースネックを用いずにアルミのホットチャンバー化も可能で、生産性や信頼性の高い成形が可能な新しい発想の溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る溶湯供給装置は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を保持する保持炉と、該保持炉の溶湯内に略垂直にかつ前記保持炉の底部に貫通状態で設置されていると共に側面に前記溶湯が流入可能な溶湯供給貫通孔を有したセラミックス製の射出シリンダと、該射出シリンダ内に上下動可能に嵌合され前記射出シリンダ内の溶湯を下方に射出可能なセラミックス製の射出プランジャーと、前記射出シリンダの下端の射出口に接続された流入口と該流入口から流入した前記溶湯をL字型流路を介して略水平方向に射出する流出口とを有する継ぎ手部と、略水平に配され前記流出口に基端が接続された直線状の溶湯通路を内部に有するノズル部と、前記ノズル部の先端に設けられ前記溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備え、前記継ぎ手部、前記ノズル部及び前記開閉バルブの前記溶湯に接触する部分が、全てセラミックスで形成されていることを特徴とする。
この溶湯供給装置では、L字型流路を有した継ぎ手部と、略水平に配され直線状の溶湯通路を有するノズル部と、ノズル部の先端に設けられ溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備えているので、継ぎ手部とノズル部とでL字型のシンプルな流路構造が得られると共に、開閉バルブにより金型側からの空気流入とノズル部側からの溶湯の鼻だれのような漏れ出しとを防ぐことができる。したがって、空気の巻き込みによる巣の発生を防止できると共にプラグ打ちが不要になる。
また、射出シリンダと射出プランジャーとがファインセラミックス製であると共に、継ぎ手部、ノズル部及び開閉バルブの溶湯に接触する部分が全てセラミックスで形成されているため、アルミ等の溶湯による侵食を防ぐことができ、溶湯中の鉄分がリッチになって成形品の品質が低下することを抑制可能である。
さらに、本発明における溶湯の流路構造は、従来のグースネックのように複雑な構造ではなく、ノズル部が直線状の溶湯通路を有したシンプルな筒状構造であると共に、継ぎ手部もシンプルなL字型流路を有したものであるため、セラミックスにより成形し易く、熱応力による歪みも生じ難いため、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
第2の発明に係るホットチャンバーダイカスト装置は、第1の発明の溶湯供給装置を備え、前記開閉バルブが、前記溶湯が流入可能なキャビティを有する金型に接続されることを特徴とする。
第3の発明に係るホットチャンバーダイカスト装置は、第2の発明において、前記溶湯供給装置を、前記金型と前記開閉バルブとの間で切り離して移動可能な移動機構を備えていることを特徴とする。
すなわち、このホットチャンバーダイカスト装置では、溶湯供給装置を、金型と開閉バルブとの間で切り離して移動可能な移動機構を備えているので、開閉バルブを閉じてノズル部からの溶湯を止めた状態で、移動機構により金型と開閉ノズルとを切り離すことができ、開閉バルブ付近のメンテナンス性が大幅に向上する。また、切り離した状態で、開閉バルブを開け、必要に応じて射出プランジャーを下降させることで、保持炉内の溶湯を開閉バルブ下部に設置したインゴットケース等に排出することができる。また、保持炉内に残った溶湯は、保持炉の底部もしくは底部に近い側部に栓あるいはバルブなどを備えるようにすることで、容易に抜き取ることが可能である。これにより、長期の運転休止時などにおいて、保持炉内、溶湯通路内の殆ど全ての溶湯を容易に空にすることも可能である。
第4の発明に係るホットチャンバーダイカスト装置は、第2又は第3の発明において、前記溶湯に接触する部分の前記セラミックスが、ジルコニアを主成分としていると共に、前記セラミックスで形成された部分の外周が、金属製部材で覆われており、該金属製部材が、前記セラミックスで形成された部分に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されていることを特徴とする。
すなわち、このホットチャンバーダイカスト装置では、溶湯に接触する部分のセラミックスが、ジルコニアを主成分としていると共に、セラミックスで形成された部分の外周が、金属製部材で覆われているので、ジルコニアがアルミに対する耐食性に優れていると共に、その熱膨張係数が金属材料に近いため、周囲に設置した金属製部材との間に隙間が生じ難い利点がある。
また、セラミックスで形成された部分の外周を覆う金属製部材が、セラミックスで形成された部分に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されているので、例えば割り型の金属製部材をネジ締結したり、筒状の金属製部材をセラミックス部分に焼き嵌めすることで、セラミックス部分に圧縮応力を働かせて高温でも互いの間に隙間が生じないようにすると共に、内圧に対するセラミックス部分の補強効果も得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置によれば、L字型流路を有した継ぎ手部と、略水平に配され直線状の溶湯通路を有するノズル部と、ノズル部の先端に設けられ溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備えているので、金型側からの空気流入とノズル部側からの溶湯の漏れ出しとを防ぐことができる。また、溶湯に接触する部分が全てセラミックスで形成されているため、アルミ等の溶湯による侵食を防ぐことができると共に、流路構造がシンプルであるため、セラミックスにより成形し易く、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
したがって、本発明は、ホットチャンバーの利点であるきれいな溶湯を使い、生産性・品質・歩留りの高い新しい方式のダイカスト方法を提供するものであって、グースネックを用いないことで、グースネックの溶湯通路にセラミックスを鋳ぐるむことによる弊害などの課題を無くし、溶湯と接触する部分をセラミックス化し、鉄分がリッチになることを防ぐことができる。これらにより、寿命の伸長を図り、同時にシンプル化、低コスト化、メンテナンス性を考慮した構造が得られ、空気の巻き込みや鼻ダレなどの課題も解決することができる。
本発明に係る溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置の一実施形態において、射出シリンダ内へ溶湯を流入させ、射出準備中の状態を示す断面図である。 本実施形態において、射出中の状態を示すホットチャンバーダイカスト装置の断面図である。 本実施形態において、射出を完了し成形品取り出し時の状態を示すホットチャンバーダイカスト装置の断面図である。 本実施形態において、射出プランジャーが戻り、次の射出に備える状態、すなわち図1と同様の状態を示すホットチャンバーダイカスト装置の断面図である。 本実施形態において、メンテナンス時の状態を示すホットチャンバーダイカスト装置の断面図である。 本発明に係る溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る従来例のコールドチャンバー式ダイカスト装置を示す断面図である。 本発明に係る従来例のホットチャンバー式ダイカスト装置を示す断面図である。
以下、本発明におけるホットチャンバーダイカスト装置の一実施形態を、図1から図6に基づいて説明する。なお、断面図において、要部をハッチングで示している。
本実施形態におけるホットチャンバーダイカスト装置1は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯Mを用いた成形に好適なダイカストマシンであって、図1に示すように、溶湯供給装置として、溶湯Mを保持する保持炉2と、該保持炉2の溶湯M内に略垂直にかつ保持炉2の底部に貫通状態で設置されていると共に側面に溶湯Mが流入可能な溶湯供給貫通孔3aを有したセラミックス製の射出シリンダ3と、該射出シリンダ3内に上下動可能に嵌合され射出シリンダ3内の溶湯Mを下方に射出可能なセラミックス製の射出プランジャー4と、射出シリンダ4の下端の射出口3bに接続された流入口5aと該流入口5aから流入した溶湯MをL字型流路5bを介して略水平方向に射出する流出口5cとを有する継ぎ手部5と、略水平に配され流出口5cに基端が接続された直線状の溶湯通路6aを内部に有するノズル部6と、ノズル部6の先端に設けられ溶湯通路6aを開閉可能な開閉バルブ8とを備えている。
このホットチャンバーダイカスト装置1は、開閉バルブ8が、溶湯Mが流入可能なキャビティ7bを有する金型7に接続される。すなわち、開閉バルブ8は、溶湯通路6aの先端とスプール7aとの間に設けられこれらを連結する連通孔8aを有している。また、金型7は、溶湯通路6aの先端にスプール7aが接続され溶湯通路6aからの溶湯Mが流入可能なキャビティ7bを有している。
また、このホットチャンバーダイカスト装置1は、保持炉2、中空エルボ状の継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8を支持する架台9と、金型7と開閉バルブ8とを切り離して移動可能な移動機構10とを備えている。
上記保持炉2は、その外周に図示しないガスバーナや電熱ヒータ等の加熱手段が設けられ、該加熱手段により加熱されて溶湯Mを適温に保持するようになっている。この保持炉2の内壁は、アルミの溶湯Mに対して耐食性のあるコーティング材を塗布して溶湯M中に鉄分が溶けだすことを防いでいる。また、保持炉2内には、図示しない溶解炉から溶湯Mを供給する供給管11の先端部が配されている。
また、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8は、図示しないガスバーナや電熱ヒータなどで常に加熱され、内部を流通する溶湯Mが凝固しないようになっている。
上記射出プランジャー4は、図示しない油圧シリンダや電動サーボモータに接続されており、これらにより上下に駆動制御される。
また、上記射出シリンダ3は、シリンダ支持部材12により上部が支持されていると共に、継ぎ手部5との接続部分をシールした状態で継ぎ手部5側に押し付けられている。
これらの射出シリンダ3と射出プランジャー4とは、高温のアルミの溶湯M中で数万回から数十万回という高速・高圧の摺動に耐える耐摩耗性を有し、アルミの溶湯Mに対する耐食性に優れ、高温における機械的強度に優れたセラミックスが主要材料とされている。
例えば、射出シリンダ3及び射出プランジャー4の材料は、アルミに対する耐食性に優れ、耐摩耗性・耐熱性・高温における機械的強度・耐熱衝撃性などに優れたセラミックスが良く、これまで提案されてきた二ホウ化チタン・ホウ化系複合セラミックス(二ホウ化チタンと炭化ホウ素を主成分とする複合セラミックス)・サイアロン・窒化珪素・窒化アルミ・炭化チタニューム・炭化珪素・炭化ホウ素などを主成分とするファインセラミックスあるいはこれらの複合材料などが採用される。
上記継ぎ手部5は、中空エルボ状であり、溶湯Mの貯留部であると同時に、射出シリンダ3を支え、上下動する射出プランジャー4により射出される溶湯Mを略直角方向の水平方向に進路変更させ、かつノズル部6と連結する機能を有している。
上記ノズル部6は、継ぎ手部5と金型7との中間に位置し、溶湯通路6aあるいは溶湯Mの貯留部を形成するための部材である。
上記継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8の溶湯Mに接触する部分は、全てセラミックスで形成されている。特に、上記セラミックスが、ジルコニアを主成分とすることが好ましい。また、上記セラミックスで形成された部分の外周は、金属製部材で覆われていることが好ましい。さらに、この金属製部材は、上記セラミックスで形成された部分に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されていることが好ましい。
すなわち、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8には、例えば炭素鋼や合金工具鋼などの一般的な鉄系材料に熱膨張係数が近いジルコニアを用い、外周部を炭素鋼や合金工具鋼などの一般的な鉄系材料の金属製部材で覆っている。これにより、セラミックスと外周部の金属製部材との間に高温の運転温度においても隙間が生じないようにすることで、射出時に発生する内圧によってセラミックスが容易に割れないようバックアップしている。
また、金属製部材を焼き嵌めによりセラミックスに圧縮応力を働かせたり、割り型の金属製部材をネジ締結してセラミックスに圧縮応力を働かせるようにすることで、高温でもセラミックスと外周部の金属製部材との間に隙間ができないようにすると共に、セラミックスに圧縮応力を加えることで内圧に対する補強効果も働かせるようにしている。
例えば、ノズル部6は、内部に溶湯通路6aを有するジルコニアで形成された円筒状のノズル本体13と、該ノズル本体13の外周を覆って焼き嵌めで固定した炭素鋼や合金工具鋼など金属管部材14とで構成されている。
また、上記中空エルボ状の継ぎ手部5は、L字型流路5bを有する内側セラミックス部15と、該内側セラミックス部15の外周を覆った炭素鋼や合金工具鋼などの外側金属部16とで構成されている。なお、この外側金属部16の側部に、ノズル部6の基端部が固定されている。
例えば、内側セラミックス部15にジルコニアを用い、外側金属部16は、二つ割りにした合金工具鋼SKD61を機械加工した金属加工部材とする。二つ割りした外側金属部16で内側セラミックス部15を覆うと共に、ねじを用いて外側金属部16と内側セラミックス部15との間に隙間がないように或いは外周から圧縮応力が加わるように互いに一体化させる。これにより、内側セラミックス部15に内圧が加わっても、容易には破壊しないようにすることで、安全上の観点からも効果がある。
なお、ノズル部6や開閉バルブ8も、継ぎ手部5と同様に割り型方式で構成しても構わない。
一般に、セラミックスは圧縮応力には強いが、引張応力に弱いものが多いため、本実施形態では、外周の金属製部材の焼き嵌めにより、セラミックス部分に圧縮応力が加わるようにしている。これにより、高圧の射出圧が加わった時、内圧が加わっても、内側セラミックス部15やノズル本体13に引張応力が極力加わらないようにしている。
また、セラミックスとしてジルコニアを採用する理由は、アルミに対する耐食性が有り、熱膨張係数が金属材料に近いため、高温で内側セラミックス部15と外側金属部16との間や、ノズル本体13と金属管部材14との間に隙間ができないようにするためである。
上記開閉バルブ8は、ノズル部6と金型7との間に位置し、射出時は連通孔8aを開き、射出終了後に連通孔8aを閉じることで、金型7が開いて成形品Sが取り出された後、金型7側から空気の流入を防止すると共に、略水平方向のノズル部6からアルミの溶湯Mが漏れ出すことを防止する機能を有している。
この開閉バルブ8は、略水平方向に形成された溶湯通路を成す横方向の孔(バルブ孔18a)と、該横方向の孔と直交する下部は止まり孔で、上部は貫通している十字状に形成された縦方向の孔を有し、縦方向の孔には、軸部18が嵌合している。軸部18には上記連通孔8aが軸部18を貫通する形で設けられていて、軸部18が上昇時は連通孔8aが閉じられ溶湯が金型7側と遮断され、軸が下降時は連通孔8aが連通し、溶湯が金型7側に送られる構成となっている。
また、開閉バルブ8には、軸部18を上下動可能な油圧シリンダ19が接続されている。この油圧シリンダ19は、架台9側に固定され、リンク部材19aを介して軸部18の上部に接続されている。
なお、軸部18が最下端に位置している状態では、バルブ孔18aと連通孔8aとの中心軸が一致している。すなわち、油圧シリンダ19を下降させると、バルブ孔18aと連通孔8aとの位置がずれてバルブ孔18aより下部の軸部18によって連通孔8aが閉まり、溶湯Mは金型7側とノズル部6側との連絡が断たれる。また、油圧シリンダ19を上昇させると、バルブ孔18aと連通孔8aとの中心軸が一致して金型7側とノズル部6側との通路は繋がり、射出プランジャー4の下降で溶湯Mは連通孔8a内を流れて金型7内に充填されるようになっている。
なお、開閉バルブの他の構造としては、上昇すると連通孔8aが開き、下降すると連通孔8aが閉じる構造、バルブ孔18aが形成された軸部18がロータリーアクチュエータによって略90°軸中心に回転して連通孔8aの開閉が行なわれるような構造、テーパーを使った構造、斜板を使った構造など、自在に溶湯の通路となる連通孔8aを開閉することができる構造であれば採用可能である。
この開閉バルブ8で重要なことは、第1に、射出プランジャー4の上下動と開閉バルブ8の開閉のタイミングである。すなわち、射出プランジャー4が下降した時、開閉バルブ8が閉じたままでは、溶湯Mの行き場がなくなるため問題であり、射出プランジャー4が上昇した時、開閉バルブ8が開いたままでは、空気が流入したり、鼻だれが発生したりする。したがって、これまでの説明では油圧シリンダ19を用いて説明したが、射出プランジャー4の上下動と開閉バルブ8の開閉との駆動源に電動サーボを用い、タイミングを取るようにしても良い。第2に、射出時、金型7に溶湯Mが充填すると溶湯通路6a内の圧力が高くなるので、溶湯Mが外部に噴き出したり、漏れたりすることを防がなければ、連続運転の妨げになる場合だけでなく、圧力損失や安全上の問題があるため、軸部18の下降時、軸部18のフランジ部を使って端面シールしたり、軸部18にテーパー部を設けて確実なシールをする必要がある。
なお、開閉バルブ8の軸部18は、溶湯Mに接触する部位であるのでセラミックスであるのは言うまでもないが、材料は、仮に開閉バルブ8がジルコニアであっても、例えば窒化珪素やサイアロンあるいは他のセラミックスでも良い。この場合、熱膨張係数が大きく変わるが、軸が小径であるので問題とならない。
同様に、射出シリンダ3と継ぎ手部5との連結部、継ぎ手部5とノズル部6との連結部、さらにノズル部6と開閉バルブ8との連結部は、連続運転と圧力損失と安全上の点から溶湯Mの漏れや噴出はあってはならない。また、650℃〜700℃という高温であるため、常温の油や真空機器などで通常使われるゴム製のOリングなどを使うことができない。したがって、本実施形態では、端面同士の平面度、面粗度を考慮して端面でシールする方法や、ニカフィルム(登録商標:日本カーボン製黒鉛質のシート)などの黒鉛シート又はセラミックスファイバーなどをOリングの代用として使ってシールしている。
上記架台9は、金型7以外の部分、すなわち保持炉2、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8を支えており、下部固定部9aと、該下部固定部9a上に移動可能に設けられ上部に継ぎ手部5を設置した上部移動部9bとで構成されている。該上部移動部9bは、金型7に対して開閉バルブ8が水平方向に離間する又は近接する方向へ移動可能な移動機構10として機能する。すなわち、上部移動部9bは、下部に設けた図示しないガイドレール等によって下部固定部9a上を移動可能になっている。なお、成形工程時には、移動機構10により上部移動部9bを金型7側に移動させて、連結部17を金型7側に押し付けてシールさせている。
上記金型7は、固定型7Aと可動型7Bとを備え、固定型7Aと可動型7Bとの間にスプール7aに繋がったキャビティ7bが形成される。なお、この金型7には、図示しない型締め機構が設けられている。
次に、本実施形態のホットチャンバーダイカスト装置による成形方法について、図1から図5を参照して説明する。
まず、図1に示すように、射出プランジャー4を上方に移動させて溶湯供給貫通孔3aから溶湯Mを射出シリンダ3内に流入させる。次に、図2に示すように、射出プランジャー4を下方に移動させて射出シリンダ3内の溶湯Mを下端の射出口3bから射出する。また、このとき開閉バルブ8は、軸部18を下げてバルブ孔18aと連通孔8aとを繋げて連通孔8aを開けておく。この際、射出される溶湯Mは、継ぎ手部5によりほぼ直角方向に方向転換され、方向転換後はそのまま略水平方向に進んで略水平に配されたノズル部6の溶湯通路6aを流れる。すなわち、溶湯Mの流路は、全体としてL字状となる。さらに、溶湯Mは開閉バルブ8を通り、金型7のキャビティ7b内に射出成型される。
次に、図3に示すように、金型7の可動型7Bを固定型7Aから離間させ、キャビティ7b内の成形品Sを取り出す。このとき、開閉バルブ8の軸部18を上方に移動させて連通孔8aを閉塞しておくことで、ノズル部6の先端から溶湯Mが漏れ出ることを防止する。さらに、図4に示すように、射出プランジャー4を再び上方に引き戻して次の成形工程を連続的に繰り返すことが可能である。
このように開閉バルブ8は、重要な役目をもっており、単純に開閉バルブ8が無い場合を想定してみると、金型7との連結部の問題があり、単純にノズル部6と金型7とを連結した場合、射出成型完了後、金型7が開くと、ノズル部6に残った、あるいは、溶湯供給貫通孔3aから供給される溶湯Mがノズル部6から垂れ、金型7側に垂れ出してしまう。この場合、型締めや成形品に影響したり、空気の巻き込みが発生するという問題があるため、単純にはこのような構造は成立しない。
なお、本発明者らは、この開閉バルブ8の効果を確認するため、アルミの代わりに油を用いて、常温で、可視化のため透明アクリルで作ったノズル部6を用いて試験した結果、空気の巻き込みがなくなることを確認した。
また、開閉バルブ8の効果はマグネの例でも知ることができる。従来、前述したマグネの「プラグ打ち」は、空気の巻き込みなどを無くすために行なわれるが、実際には作業者の「勘」や「経験」に頼っている。この「プラグ打ち」は、ノズル部6をバーナーで加熱し、ノズル部6の先端部を完全には凝固させず、「栓」を形成するような状態を連続して維持しなければならないが、本実施形態の開閉バルブ8を用いれば、「勘」や「経験」に頼らず開閉するだけで良い。
次に、メンテナンスを行う際は、開閉バルブ8を閉じた状態で、図5に示すように、移動機構10により上部移動部9bを移動させることで、開閉バルブ8から保持炉2までを、金型7と離間させる。さらに、開閉バルブ8の下部にインゴットケース20を置いて、開閉バルブ8を開くか、場合によってはゆっくりと射出プランジャー4を下降させることで、保持炉2内の溶湯Mを開閉バルブ8からインゴットケース20に出すことが可能となる。
これまでのグースネックを使った従来のホットチャンバー機では、上述したように、長期休暇などの際の運転休止やトラブル時の運転中止時に、保持炉内の溶湯やグースネック内の溶湯をそのまま凝固させてしまうと、次の運転時に射出シリンダや射出プランジャーが割れたりするトラブルの原因となってしまう。このため、人手によって溶湯を汲み出していたが、熱くて危険な作業であった。それでもグースネック内の溶湯は完全には汲み出せず、残ってしまった分は凝固させなければならず、運転再開時の再溶解に手間がかかるという問題があった。これに対し、本実施形態では、前述したように保持炉2内の溶湯Mを、移動機構10及び開閉バルブ8の操作によって容易に空にすることができる。
このように本実施形態のホットチャンバーダイカスト装置1では、L字型流路5bを有した継ぎ手部5と、略水平に配され直線状の溶湯通路6aを有するノズル部6と、溶湯通路6aの先端とスプール7aとの間に設けられこれらを連結する連通孔8aを開閉可能な開閉バルブ8とを備えているので、継ぎ手部5とノズル部6とでL字型のシンプルな流路構造が得られると共に、開閉バルブ8により金型7側からの空気流入とノズル部6側からの溶湯Mの漏れ出しとを防ぐことができる。したがって、空気の巻き込みによる巣の発生を防止できると共にプラグ打ちが不要になり、さらにはノズル部6からの溶湯Mの漏れがなく、金型7と開閉バルブ8とを切り離してメンテナンスを行うことも容易となる。
特に、金型7と開閉バルブ8とを切り離して移動可能な移動機構10を備えているので、開閉バルブ8で連通孔8aを閉塞してノズル部6からの溶湯Mを止めた状態で、移動機構10により金型7と開閉バルブ8とを切り離すことができ、開閉バルブ8付近のメンテナンス性が大幅に向上する。また、切り離した状態で、開閉バルブ8により連通孔8aを開け、必要に応じて射出プランジャー4を下降させることで、溶湯貯留部や溶湯通路6a内の溶湯Mを開閉バルブ8下部に設置したインゴットケース20に押し出すことができる。
また、保持炉2の底部もしくは底部に近い側部には、貫通孔2aが形成され、該貫通孔2aを塞ぐ栓2bが設けられている。保持炉2内に残った溶湯Mは、図5に示すように、貫通孔2aを塞ぐ栓2bを抜くことで、容易に抜き取るこが可能である。これにより、長期の運転休止時などにおいて、保持炉2内、溶湯通路6a内の殆ど全ての溶湯Mを容易に空にすることも可能である。なお、栓2bの代わりにバルブ等を設けても構わない。
また、射出シリンダ3と射出プランジャー4とがファインセラミックス製であると共に、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8の溶湯Mに接触する部分が全てセラミックスで形成されているため、アルミ等の溶湯Mによる侵食を防ぐことができ、溶湯M中の鉄分がリッチになって成形品の品質が低下することを抑制可能である。
さらに、溶湯Mの流路構造は、従来のグースネックのように複雑な構造ではなく、ノズル部6が直線状の溶湯通路6aを有したシンプルな筒状構造であると共に、継ぎ手部5もシンプルなL字型流路5bを有したものであるため、セラミックスにより成形し易く、熱応力による歪みも生じ難いため、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
また、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8の溶湯Mに接触する部分にジルコニアを主成分とするセラミックスを用いているので、アルミ溶湯からの侵食に耐えることが出来、また、熱膨張係数がセラミックスの中では大きい部類に有り、一般的な金属材料に熱膨張係数の同等な材料があるため、周囲に金属製部材を設置した際に金属製部材との間に高温でも隙間が生じ難い利点がある。
さらに、セラミックスで形成された部分(ノズル部6の場合はノズル本体13、継ぎ手部5の場合は内側セラミックス部15、開閉バルブ8の場合は部材8b)の外周を覆う金属製部材(ノズル部6の場合は金属管部材14、継ぎ手部5の場合は外側金属部16、開閉バルブ8の場合は部材8c)を備えているので、セラミックス部分に射出時の内圧が加わっても外側を覆う金属製部材でも内圧を受けることで破損を防ぐことができる。
特に、金属製部材(ノズル部6の場合は金属管部材14、継ぎ手部5の場合は外側金属部16、開閉バルブ8の場合は部材8c)が、セラミックスで形成された部分(ノズル部6の場合はノズル本体13、継ぎ手部5の場合は内側セラミックス部15、開閉バルブ8の場合は部材8b)に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されているので、セラミックス部分に圧縮応力を働かせて高温でも互いの間に隙間が生じないようにすると共に、内圧に対するセラミックス部分の補強効果も得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述したように、セラミックスで形成された部分の外周を金属製部材で覆うことが望ましいが、本実施形態の他の例として、図6に示すように、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8等は、例えば、窒化珪素やサイアロン系セラミックスのように、アルミに対する耐食性、耐熱性、熱衝撃性、高温における機械的強度などにすぐれたセラミックスを用いて単独で作っても良い。
また、継ぎ手部5の上部に射出シリンダ3を直接連結した構成で説明したが、図6のように、継ぎ手部5と射出シリンダ3の間に、セラミックスで作った円筒状の受け座201を設けても良い。受け座201は継ぎ手の外寸法を小さくできるなどの効果や分解清掃などのメンテナンス性を良くするためのものである。
また、射出シリンダ3は、耐食・耐摩耗性に優れ、高精度に機械加工するなどの関係から高価な部材になることが多いが、できる限り寸法を小さくしたい点と、さらに大気と溶湯との界面にあると、界面に発生する酸化膜の影響や温度差により界面の影響を受け寿命を短くする恐れがある点とから、高価な材料は使いたくないという要望がある。このため、図6に示すように、射出シリンダ3の上部にセラミックスで作った押さえリング202を設け、該押さえリング202が上記界面に在るような構成にしても良い。
さらに、図6に示すように、継ぎ手部5とノズル部6との連結部が、互いに球面状に加工されていると共にラップ仕上げされ、球面シールの状態で、互いに押し付けられるようにしても良い。
なお、本実施態様では、アルミのホットチャンバーを中心に説明したが、例えば、コールドチャンバーの射出スリーブ102へ溶湯を供給する溶湯供給装置としても有用である。溶湯供給装置の場合、射出圧力は低くて良いため、射出シリンダ3のセラミックスの肉厚を薄く出来るコストメリットや継ぎ手部5、ノズル部6、開閉バルブ8にバックアップ金属が不要になる、シール面のシールがやりやすくなる等、シンプル化によるコストメリットがある。
さらに、ラドルを使って、表面から溶湯を汲み上げる場合と違い、炉内のきれいな溶湯を冷やさず供給出来るばかりでなく、例えば、電動サーボを用いて射出シリンダの停止位置(下降限)を調正することができるので、溶湯供給量の計量が可能になり、溶湯使用料の無駄を無くすことが可能になる等のメリットがある。
本発明にかかる溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置は、特に、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を用いたホットチャンバ−方式の成形に有用である。
さらに、例えばコールドチャンバーダイカスト装置の溶湯供給装置としても有用である。
1…ホットチャンバーダイカスト装置、2…保持炉、3…射出シリンダ、3a…溶湯供給貫通孔、3b…射出口、4…射出プランジャー、5…継ぎ手部、5a…流入口、5b…L字型流路、5c…流出口、6…ノズル部、6a…溶湯通路、7…金型、7a…スプール、7b…キャビティ、8…開閉バルブ、8a…連通孔、13…ノズル本体、14…金属管部材(金属製部材)、16…外側金属部(金属製部材)、M…溶湯

Claims (4)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を保持する保持炉と、
    該保持炉の溶湯内に略垂直にかつ前記保持炉の底部に貫通状態で設置されていると共に側面に前記溶湯が流入可能な溶湯供給貫通孔を有したセラミックス製の射出シリンダと、
    該射出シリンダ内に上下動可能に嵌合され前記射出シリンダ内の溶湯を下方に射出可能なセラミックス製の射出プランジャーと、
    前記射出シリンダの下端の射出口に接続された流入口と該流入口から流入した前記溶湯をL字型流路を介して略水平方向に射出する流出口とを有する継ぎ手部と、
    略水平に配され前記流出口に基端が接続された直線状の溶湯通路を内部に有するノズル部と、
    前記ノズル部の先端に設けられ前記溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備え、
    前記継ぎ手部、前記ノズル部及び前記開閉バルブの前記溶湯に接触する部分が、全てセラミックスで形成されていることを特徴とする溶湯供給装置。
  2. 請求項1に記載の溶湯供給装置を備え、
    前記開閉バルブが、前記溶湯が流入可能なキャビティを有する金型に接続されることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。
  3. 請求項2に記載のホットチャンバーダイカスト装置において、
    前記溶湯供給装置を、前記金型と前記開閉バルブとの間で切り離して移動可能な移動機構を備えていることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。
  4. 請求項2又は3に記載のホットチャンバーダイカスト装置において、
    前記溶湯に接触する部分の前記セラミックスが、ジルコニアを主成分としていると共に、前記セラミックスで形成された部分の外周が、金属製部材で覆われており、
    該金属製部材が、前記セラミックスで形成された部分に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されていることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。
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