JP2013202647A - 溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルミ又はアルミ合金の溶湯Mを保持する保持炉2と、溶湯内に略垂直にかつ保持炉の底部に貫通状態で設置されていると共に側面に溶湯が流入可能な溶湯供給貫通孔を有したセラミックス製の射出シリンダ3と、射出シリンダ内に嵌合されたセラミックス製の射出プランジャー4と、射出シリンダの下端に接続された流入口と流入した溶湯をL字型流路5bを介して略水平方向に射出する流出口とを有する継ぎ手部5と、略水平に配され流出口に基端が接続された溶湯通路6aを内部に有するノズル部6と、ノズル部の先端に設けられ溶湯通路を開閉可能な開閉バルブ8とを備え、継ぎ手部、ノズル部及び開閉バルブの溶湯に接触する部分が、全てセラミックスで形成されている。
【選択図】 図1
Description
そのため、マグネや亜鉛合金の場合は、品質・生産性・歩留まりの良いホットチャンバーで生産されるのが殆んどであるのに対し、アルミは、コールドチャンバーで生産されることが殆んどであった。
グースネック106は形状が異形なことから鋳鉄で造るのに適していて、従来、特殊耐熱鋳鉄でグースネック106を造り開発を進めたが、特に、グースネック106の溶湯通路106aが侵食され、穴径が徐々に拡大されるという問題があった。
特許文献1〜3などに記載の技術では、十分な結果が得られていないが、これは、鋳包みの際に熱衝撃や凝固時の収縮による圧縮応力などで鋳ぐるんだ部材が内部で割れたり、鋳鉄とセラミックスや黒鉛との熱膨張係数に差があることで、650℃〜700℃の高温下におかれるグースネックは、鋳鉄の内径と鋳ぐるんだ部材の外径との間に隙間ができるため、射出圧力に耐えられずに割れたりすることが原因と考えられる。
一方、一部小型機で鋳鉄のグースネックを用いず、射出シリンダとグースネックとを一体化し、全体を窒化珪素やサイアロンなどのファインセラミックスを用いて作り、商品化された例がある。しかしながら、セラミックスは、複雑形状になると成形あるいは焼結が難しく、巣が発生し易い・微細クラックなどが発生するなどの問題があるため、安定性に欠けていた。また、形状が単純な円筒でなく複雑な形状でシンメトリーでないため、650℃〜700℃の炉中で、均一に熱膨張することは考え難く、熱応力による歪が発生し、射出時の高圧を繰り返し受けることでセラミックスが割れたりすることが絶えなかった。
さらに、ノズルのつまりが金型に熱を奪われるために発生することから、成形完了時にノズルを後退させ、金型と切り離す方法も取られたりしているが、この場合は、グースネック内に残圧があるため、あとから溶湯がノズルから噴き出したり、垂れ出したり(いわゆる鼻ダレという)するという課題がある。
また、射出シリンダと射出プランジャーとがファインセラミックス製であると共に、継ぎ手部、ノズル部及び開閉バルブの溶湯に接触する部分が全てセラミックスで形成されているため、アルミ等の溶湯による侵食を防ぐことができ、溶湯中の鉄分がリッチになって成形品の品質が低下することを抑制可能である。
さらに、本発明における溶湯の流路構造は、従来のグースネックのように複雑な構造ではなく、ノズル部が直線状の溶湯通路を有したシンプルな筒状構造であると共に、継ぎ手部もシンプルなL字型流路を有したものであるため、セラミックスにより成形し易く、熱応力による歪みも生じ難いため、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
すなわち、このホットチャンバーダイカスト装置では、溶湯供給装置を、金型と開閉バルブとの間で切り離して移動可能な移動機構を備えているので、開閉バルブを閉じてノズル部からの溶湯を止めた状態で、移動機構により金型と開閉ノズルとを切り離すことができ、開閉バルブ付近のメンテナンス性が大幅に向上する。また、切り離した状態で、開閉バルブを開け、必要に応じて射出プランジャーを下降させることで、保持炉内の溶湯を開閉バルブ下部に設置したインゴットケース等に排出することができる。また、保持炉内に残った溶湯は、保持炉の底部もしくは底部に近い側部に栓あるいはバルブなどを備えるようにすることで、容易に抜き取ることが可能である。これにより、長期の運転休止時などにおいて、保持炉内、溶湯通路内の殆ど全ての溶湯を容易に空にすることも可能である。
すなわち、このホットチャンバーダイカスト装置では、溶湯に接触する部分のセラミックスが、ジルコニアを主成分としていると共に、セラミックスで形成された部分の外周が、金属製部材で覆われているので、ジルコニアがアルミに対する耐食性に優れていると共に、その熱膨張係数が金属材料に近いため、周囲に設置した金属製部材との間に隙間が生じ難い利点がある。
すなわち、本発明の溶湯供給装置及びホットチャンバーダイカスト装置によれば、L字型流路を有した継ぎ手部と、略水平に配され直線状の溶湯通路を有するノズル部と、ノズル部の先端に設けられ溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備えているので、金型側からの空気流入とノズル部側からの溶湯の漏れ出しとを防ぐことができる。また、溶湯に接触する部分が全てセラミックスで形成されているため、アルミ等の溶湯による侵食を防ぐことができると共に、流路構造がシンプルであるため、セラミックスにより成形し易く、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
したがって、本発明は、ホットチャンバーの利点であるきれいな溶湯を使い、生産性・品質・歩留りの高い新しい方式のダイカスト方法を提供するものであって、グースネックを用いないことで、グースネックの溶湯通路にセラミックスを鋳ぐるむことによる弊害などの課題を無くし、溶湯と接触する部分をセラミックス化し、鉄分がリッチになることを防ぐことができる。これらにより、寿命の伸長を図り、同時にシンプル化、低コスト化、メンテナンス性を考慮した構造が得られ、空気の巻き込みや鼻ダレなどの課題も解決することができる。
また、継ぎ手部5、ノズル部6及び開閉バルブ8は、図示しないガスバーナや電熱ヒータなどで常に加熱され、内部を流通する溶湯Mが凝固しないようになっている。
また、上記射出シリンダ3は、シリンダ支持部材12により上部が支持されていると共に、継ぎ手部5との接続部分をシールした状態で継ぎ手部5側に押し付けられている。
例えば、射出シリンダ3及び射出プランジャー4の材料は、アルミに対する耐食性に優れ、耐摩耗性・耐熱性・高温における機械的強度・耐熱衝撃性などに優れたセラミックスが良く、これまで提案されてきた二ホウ化チタン・ホウ化系複合セラミックス(二ホウ化チタンと炭化ホウ素を主成分とする複合セラミックス)・サイアロン・窒化珪素・窒化アルミ・炭化チタニューム・炭化珪素・炭化ホウ素などを主成分とするファインセラミックスあるいはこれらの複合材料などが採用される。
上記ノズル部6は、継ぎ手部5と金型7との中間に位置し、溶湯通路6aあるいは溶湯Mの貯留部を形成するための部材である。
例えば、ノズル部6は、内部に溶湯通路6aを有するジルコニアで形成された円筒状のノズル本体13と、該ノズル本体13の外周を覆って焼き嵌めで固定した炭素鋼や合金工具鋼など金属管部材14とで構成されている。
なお、ノズル部6や開閉バルブ8も、継ぎ手部5と同様に割り型方式で構成しても構わない。
また、セラミックスとしてジルコニアを採用する理由は、アルミに対する耐食性が有り、熱膨張係数が金属材料に近いため、高温で内側セラミックス部15と外側金属部16との間や、ノズル本体13と金属管部材14との間に隙間ができないようにするためである。
また、開閉バルブ8には、軸部18を上下動可能な油圧シリンダ19が接続されている。この油圧シリンダ19は、架台9側に固定され、リンク部材19aを介して軸部18の上部に接続されている。
なお、開閉バルブ8の軸部18は、溶湯Mに接触する部位であるのでセラミックスであるのは言うまでもないが、材料は、仮に開閉バルブ8がジルコニアであっても、例えば窒化珪素やサイアロンあるいは他のセラミックスでも良い。この場合、熱膨張係数が大きく変わるが、軸が小径であるので問題とならない。
さらに、溶湯Mの流路構造は、従来のグースネックのように複雑な構造ではなく、ノズル部6が直線状の溶湯通路6aを有したシンプルな筒状構造であると共に、継ぎ手部5もシンプルなL字型流路5bを有したものであるため、セラミックスにより成形し易く、熱応力による歪みも生じ難いため、射出時の高圧にも耐えることが可能である。
特に、金属製部材(ノズル部6の場合は金属管部材14、継ぎ手部5の場合は外側金属部16、開閉バルブ8の場合は部材8c)が、セラミックスで形成された部分(ノズル部6の場合はノズル本体13、継ぎ手部5の場合は内側セラミックス部15、開閉バルブ8の場合は部材8b)に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されているので、セラミックス部分に圧縮応力を働かせて高温でも互いの間に隙間が生じないようにすると共に、内圧に対するセラミックス部分の補強効果も得ることができる。
なお、本実施態様では、アルミのホットチャンバーを中心に説明したが、例えば、コールドチャンバーの射出スリーブ102へ溶湯を供給する溶湯供給装置としても有用である。溶湯供給装置の場合、射出圧力は低くて良いため、射出シリンダ3のセラミックスの肉厚を薄く出来るコストメリットや継ぎ手部5、ノズル部6、開閉バルブ8にバックアップ金属が不要になる、シール面のシールがやりやすくなる等、シンプル化によるコストメリットがある。
さらに、ラドルを使って、表面から溶湯を汲み上げる場合と違い、炉内のきれいな溶湯を冷やさず供給出来るばかりでなく、例えば、電動サーボを用いて射出シリンダの停止位置(下降限)を調正することができるので、溶湯供給量の計量が可能になり、溶湯使用料の無駄を無くすことが可能になる等のメリットがある。
さらに、例えばコールドチャンバーダイカスト装置の溶湯供給装置としても有用である。
Claims (4)
- アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を保持する保持炉と、
該保持炉の溶湯内に略垂直にかつ前記保持炉の底部に貫通状態で設置されていると共に側面に前記溶湯が流入可能な溶湯供給貫通孔を有したセラミックス製の射出シリンダと、
該射出シリンダ内に上下動可能に嵌合され前記射出シリンダ内の溶湯を下方に射出可能なセラミックス製の射出プランジャーと、
前記射出シリンダの下端の射出口に接続された流入口と該流入口から流入した前記溶湯をL字型流路を介して略水平方向に射出する流出口とを有する継ぎ手部と、
略水平に配され前記流出口に基端が接続された直線状の溶湯通路を内部に有するノズル部と、
前記ノズル部の先端に設けられ前記溶湯通路を開閉可能な開閉バルブとを備え、
前記継ぎ手部、前記ノズル部及び前記開閉バルブの前記溶湯に接触する部分が、全てセラミックスで形成されていることを特徴とする溶湯供給装置。 - 請求項1に記載の溶湯供給装置を備え、
前記開閉バルブが、前記溶湯が流入可能なキャビティを有する金型に接続されることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。 - 請求項2に記載のホットチャンバーダイカスト装置において、
前記溶湯供給装置を、前記金型と前記開閉バルブとの間で切り離して移動可能な移動機構を備えていることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。 - 請求項2又は3に記載のホットチャンバーダイカスト装置において、
前記溶湯に接触する部分の前記セラミックスが、ジルコニアを主成分としていると共に、前記セラミックスで形成された部分の外周が、金属製部材で覆われており、
該金属製部材が、前記セラミックスで形成された部分に対して外周から圧縮応力を加えた状態で固定されていることを特徴とするホットチャンバーダイカスト装置。
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