JP5892583B2 - 抗菌用銀イオン生成液、その液から生成された銀イオン抗菌液及びその抗菌液を生成する生成方法 - Google Patents

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本発明は、安全性の高い銀ゼオライトを用いて、短時間に細菌を殺菌する銀イオンの生成ができ、長期間の保存ができる抗菌用銀イオン生成液、その生成液から生成される銀イオン抗菌液、その銀イオン抗菌液を生成する生成方法に関する。
細菌は人体の分泌物を分解することで臭気を産生するといわれている。例えば、腋臭の臭気の原因は、皮膚のアポクリン汗腺から分泌する汗が原因であるが、その汗が皮膚上に分泌されると皮脂腺から分泌された脂肪分やエクリン汗腺から分泌された汗と混ざり、それが皮膚や脇毛の皮膚常在細菌により分解され、腋臭の臭気を発する物質が生成される。上記皮膚常在菌には黄色ブドウ球菌、アクネ菌、ジフテロイドなどがあり、臭気の成分には、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、アルデヒド、トリメチルアミン、ノネナールなどがある。臭いとしては、腋臭、汗臭、毛髪臭、足臭などがある。ところで、一般的な臭気の種類としては、脂肪酸系(体臭、汗など)、窒素化合物系(腐敗した尿など)、硫黄化合物系(糞便など)の三つのタイプに大きく分けられる。これらの臭気を防ぐ手段には、(1)香料によるマスキング、(2)活性炭、ゼオライト、サイクロデキストリンなどによる吸着、(3)酸、アルカリによる中和、(4)抗菌剤で細菌を殺菌する方法がある。(1)のマスキングは香料の揮発により一時的に臭気を感じさせないが、悪臭が再現されて根本的な臭気防止の効果はなく、(2)の吸着法は吸着能力に限界があるために徐効性に問題があり、(3)の中和法は特定の悪臭にしか適用できない、との問題がある。(4)の抗菌剤で細菌を殺菌する方法は、抗菌剤の種類によりアレルギーなどの刺激があり好ましくないものがあるが、銀系無機抗菌剤は、高い安全性を有することが評価され各種の製品に使用されている。
細菌の産生する臭気は、細菌の生残菌数が99%以上減少することにより、検知し得ない程までに減少することが良く知られている。上記体臭、腐敗した尿などの臭気は、例えば体臭の臭気であれば、アポクリン汗腺から出るアポクリン汗が、栄養を含んでいて皮膚にある皮膚常在菌が繁殖しやすく、その分解した臭いが腋臭であり、エクリン汗腺から出るエクリン汗、上記アポクリン汗のどちらも、皮脂腺から出る皮脂の分泌量が増えると皮膚常在菌がそれを分解して臭気が強くなるといわれている。そこでこの臭気を防止するために、銀系無機抗菌剤が利用されている。この銀系無機抗菌剤は、高い安全性を有すること、広範な抗菌スペクトルを有すること、優れた耐久性を有すること、耐性菌の発生のないことから、他の抗菌剤と比べて機能性に優れていることで最もよく利用されている。しかしながら、抗菌剤の銀イオンが細菌を殺菌するまでに長い時間がかかる、即ち殺菌の即効性がないことが問題として指摘されている(非特許文献1参照)。
また、非特許文献2には、銀2.5重量%含有の銀ゼオライトを用いた菌類等に対するMIC値が報告されている。細菌では10種類の細菌のうち、枯草菌、乳酸菌のMIC値が250ppmで最高値を示し、大腸菌と緑膿菌が62.5ppmで、黄色ブドウ球菌が125ppmのMIC値を示している(非特許文献2参照)。この報告から細菌の中でも枯草菌、乳酸菌は、銀ゼオライトで殺菌するのに高濃度の銀ゼオライトが必要なことが分かる。
上記銀イオンの殺菌作用に即効性のないことを指摘した特許文献として、以下の特許文献1が知られている。
特許文献1には、細菌や、かびに対して抗菌効果が長期間持続する抗菌剤として、亜鉛、銀、銅などの重金属のイオンを含むゼオライト系抗菌剤が一般的に使用されているが、重金属イオンの種類としては、銀イオンが、安全性の点で特に優れていることから、近年広く使用されているが、銀イオンは、処理直後の殺菌力および消臭力に関しては、塩素系殺菌剤などの酸化剤に比べると不十分であることが示されている。その問題を解決するために、ゼオライト系抗菌剤に代えて銀クロロ錯塩と酸化剤を含む抗菌剤が提案されている。殺菌の即効性を有する酸化剤と徐効性のある銀クロロ錯塩とを組み合わせることにより、広い種類の細菌やかび類に対して殺菌の即効性および徐効性を有し、瞬間消臭を発揮できることが開示されている(特許文献1参照)。
上記非特許文献1及び特許文献1が指摘するように、銀を担持するゼオライトである銀ゼオライトは、抗菌剤として安全性に優れていることから一般的に広く使用されているが、その銀イオンの殺菌作用に即効性のないことが今日まで解決できない問題として残されている。
しかしながら、上記銀ゼオライトは、上述したように、汗に含まれる皮脂を細菌が分解することで産生する体臭に対して、持続して長期間に抗菌作用を発揮できることから様々な発明が提案されている。
例えば、イオン交換可能なイオンの一部又は全部をアンモニウムイオン及び銀の金属イオンで置換した抗菌性ゼオライトと、シリコーンを含有した防臭化粧料が提案されており、該防臭化粧料の抗菌性ゼオライト((株)シナネンゼオミック製 ゼオミックAJ10N、平均粒径約2.5μm)(銀ゼオライトの銀担持量;2.2重量%)をエアゾールタイプとして用いることが記載されている(特許文献2参照)。
そして、ナノシルバー、即ち、直径約10nmシリコーン粒子の外表面に、直径1〜3nmの複数個の銀粒子が保持されている粒子状の素材を含有したウェブ材を用いた抗菌マスクとその抗菌効果が開示されており、黄色ブドウ球菌の1.4×10(CFU/ml)を接種して生残菌数が10(CFU/ml)以下になる時間は、図6の記載からみて12時間であること、そして、その抗菌効果は18時間以上持続することが開示されている(特許文献3参照)。
抗菌性ゼオライトと、六方晶構造を有するナノポーラスシリカとを含有する防臭化粧料が提案されている(特許文献4参照)。また、平均粒子径(D)と平均厚み(T)が所定の範囲にあり、(D)/(T)が4以上であり、銀、銅、亜鉛などの金属イオン担持された平板状ゼオライトを含有する抗菌性化粧料が提案されている(特許文献5参照)。
これらの提案された発明の銀ゼオライトは、塗布してから長時間経った後に抗菌作用を発揮して持続するが、塗布後の短時間に抗菌作用を発揮しないために殺菌の即効性に劣っている。
ところで、銀の抗菌性メカニズムについてまだ完全な結論を得ていないが、有力な説として銀イオン説が知られている。非特許文献3によると、銀イオンが殺菌作用を発揮する本質は、銀イオンと-SH基(スルフヒドリル基)との反応によるものらしいといわれている。銀イオンは-SH基を有するアミノ酸であるシステイン(HS-CH2-CH(-NH2)-COOH)と同様にグルタチオン(-SH基を有するトリペプチド)とも強く結合する。銀イオンの殺菌作用について、銀の電位滴定の手法で銀の挙動を解析した研究から、殺菌速度は液中の銀の濃度で決まることがわかった。また殺菌の限界は銀濃度が10−9.5mol/L(0.03ppbに相当)と非常に薄い濃度であり、この濃度はちょうど-SH基と銀イオンが反応する限界の濃度に相当することが報告されている。このことは、銀イオンの殺菌速度が銀イオンの供給速度に依存しており、銀イオンと-SH基との相互作用が殺菌作用の限界を律していることを意味している。抗菌剤から溶出した銀イオンは共存する塩類やタンパク質などと反応して、最後に銀イオンは-SH基の部分に結合し最も安定した化合物になる。
一方、細菌が生存するには進入した銀イオンを解毒しなければならないために、銀を安定な硫化銀や金属銀の形にするか、又は可溶性あるいは難溶性の化合物の形態にして細菌外に排出する。しかし、解毒する以上に銀イオンが細菌の代謝システムを阻害すると、細菌は死滅することになる。銀ゼオライトは、この銀イオンによる細菌の代謝システムの阻害により細菌を死滅させると考えられる(非特許文献3参照)。この銀イオンが「銀イオンによる細菌の代謝システムの阻害により細菌を死滅」させる殺菌作用を、以下、「代謝阻害殺菌作用」という。
ところで、特許文献6には、水処理用として任意の大きさのA型銀ゼオライトに、ゼオライトの結晶構造を崩壊しない程度のpHを示す処理液中で直接銀を担持させた水処理用銀担持抗菌剤が開示されており、上記結晶構造を崩壊しない程度のpHとして、A型銀ゼオライトが結晶構造中に含まれるアルミニウムの濃度が高く、イオン交換容量が高くて、銀担持力が大である反面、耐酸性が低く、pH5以下の溶液に浸漬すると結晶構造が溶解により崩壊してしまうので、銀担持用処理液がpH5以下とならないように注意して製造する旨の記載がある(特許文献6参照、特に段落〔0005〕参照)。このように、特許文献7には、銀ゼオライトはpH5以下の酸性溶液でイオン交換サイトを形成する結晶構造が崩壊されて、銀イオンを溶出する旨の示唆がある。
この銀イオンに関して、新生児淋菌性結膜炎を予防するのに、硝酸銀0.95〜1.05%(銀イオン濃度に換算して、6030〜6660ppm)の点眼液を点眼後に生理食塩液で洗浄するクレーデ氏法が知られており(非特許文献4参照)、その硝酸銀溶液は、濃厚溶液であると腐食作用が強いが、希薄な溶液であれば収斂作用と殺菌作用を有するものとして、1%の硝酸銀点眼液(銀イオン濃度に換算して6350ppm)を収斂殺菌剤として用いることができる旨の報告がされている(非特許文献5参照)。
そして、特許文献7には、抗菌性ゼオライトとヒドロキシ酸を配合したトイレ用芳香洗浄剤が開示されている。特許文献7には、抗菌性ゼオライトとヒドロキシ酸とを併用することで、大腸菌などの発育を阻害でき、さらに汚垢除去効果を向上できることを見出して本発明を完成した旨の記載がある。そして、実施例の検体6、9及び12には、抗菌性ゼオライト1質量%とヒドロキシ酸0.1質量%の配合により、ヒドロキシ酸と併用することで大腸菌の発育阻害効果が強くなることが開示され、また、実施例の検体15には、ゼオミックスAW10N((株)シナネンゼオミック製)0.01質量%と無水クエン酸0.1質量%の配合により、汚垢除去効果(洗浄効果)の向上が見られ、イオン交換水を用いた場合(検体16)と比べて約1.8倍の効果があったことが開示されている。
国際公開第99/065317号 特開平08−092051号公報 特開2005−334137号公報 特開2007−070273号公報 特開2007−238483号公報 特閲2001−278715号公報 特開2008−081739号公報
「人体常在菌のはなし」、青木皐著、集英社新書、第182〜183頁、2009年12月20日(第9刷発行) 「抗菌剤「ゼオミック」の商品展開」、栗原靖夫、第580頁 「抗菌製品技術協議会資料」、多様化する無機系抗菌剤と高度利用技術、椿井 靖雄、アイピーシー、25-68(1997)、http://www.antimicrobial.co.jp/solution/About_Ag_antimicrobial_agent001.html 「硝酸銀点眼液」、日本薬局方、日本公定書協会、585頁、平成18年 「点眼剤」、本瀬賢治、南山堂発行、258頁、1986年
上記特許文献1の抗菌剤は、安全性に優れる銀ゼオライトの代わりに、即効性を有する酸化剤と徐効性のある銀クロロ錯塩の2種類の成分を組み合わせることで、即効性と徐効性を発揮できるものであるが、銀ゼオライトと比べて安全性に問題があり、また、使用対象ごとにその配合割合を調整するのに時間とコストがかかるという問題が指摘されている。
銀ゼオライトは、高い安全性、広範な抗菌スペクトル、長時間に抗菌作用を発揮できる徐効性を有することなどから、上記特許文献2〜6が示すように様々な改良発明が提案されており、また、それを利用した様々な商品が市場に出回っている。例えば、抗菌液、消臭液、化粧品、サニタリー製品などの各種の製品に使用されている。これらの製品に用いられている銀ゼオライトは、その骨格がSi-O-Al-O-Siの構造を三次元的に結合した結晶構造中のAl部分に、静電気的に銀イオンが吸着された構造を有しており、イオン交換作用により上記結晶構造中の銀イオンが溶出して細菌を殺菌するといわれている。
そして、銀ゼオライトは、イオン交換作用により銀イオンを溶出して細菌を殺菌しているので、優れた徐効性を有してはいるが、殺菌の即効性がない原因になっていると考えられる。従って、銀ゼオライトの抗菌作用に即効性を持たせるには、従来の代謝阻害殺菌作用をいくら改良しても、不可能なことは明らかである。
上記特許文献7のトイレ用芳香洗浄剤は、抗菌性ゼオライトとヒドロキシ酸を配合することで、大腸菌などの発育を阻害できて汚垢除去効果も向上できることが示されているだけで、銀ゼオライトの抗菌作用に即効性を持たせる旨の記載はない。
それに対して、非特許文献3及び4は、硝酸銀ではあるが、銀イオン濃度が高ければこの銀イオンは、細菌の細胞壁を損傷させ即死状態で短時間に殺菌できることが報告されており、この銀イオンが所定の銀イオン濃度であれば細菌を即死状態で短時間に殺菌できることを示唆している。
特許文献6には、銀ゼオライトはpH5以下の酸性溶液でイオン交換サイトを形成する結晶構造が崩壊されて、銀イオンを溶出する旨の示唆があり、結晶構造を溶解できるpHの溶液中で、銀ゼオライトの結晶構造中に含まれるアルミニウムの溶解により、該結晶構造中の全銀イオンが溶出してその銀イオンの濃度を高くできる可能性を示唆している。
しかしながら、銀イオンは、感光性があり普通の塩の状態ではすぐに還元されて黒い銀の単体粒子が析出してしまうか、他成分と化合して安定な状態の化合物を形成して沈殿し、銀イオンの状態で長期に保存できないことが良く知られている。
ところで、銀ゼオライトは、抗菌性を示す銀イオンが骨格構造の内部に結合して安定化しており、水、溶剤などによって溶出することはほとんどなく、イオン交換により銀イオンが溶出して抗菌作用が長期に渡って持続する(徐効性)ことを目標として製品開発が行われてきている。それ故に、徐効性を目標に開発された銀ゼオライトは、上記特許文献6の銀イオンの濃度を高くできる可能性が示唆されているとしても、銀ゼオライトに即効性を働かせる抗菌液の製品化を試みることは、誰もが発想できないことである。
一方、上記銀イオンの状態では長期保存が不可能なために、消費者の手元に渡った製品は同じ品質を保証できないことが明らかなので、上記濃度の高い銀イオンを細菌の殺菌に利用して、銀ゼオライトに即効性を働かせる抗菌液の製品化を試みることも、誰もが発想できないことである。
以上述べたように、製品の安全性の確保は、製造、販売会社が最重要視すべき事項であるから、抗菌剤として安全性で優れている銀ゼオライトを用いて、長期間にわたる製品の品質保証と抗菌作用の即効性という両立の難しい問題を解決して、銀ゼオライトを用いた品質保証と殺菌の即効性を兼ね備えた銀イオンを生成できる抗菌用銀イオン生成液、そして、その生成液から生成された銀イオン抗菌液の製品化が希求されている。
それ故に、本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、抗菌剤として機能性、特に安全性に優れる銀ゼオライトを用いて、その結晶構造を崩壊させて銀イオンを生成し、細菌をその銀イオンで短時間の内に殺菌し、また、銀イオンの状態で長期間保存できない問題を解決する、即ち、抗菌作用の即効性と長期間にわたる製品の品質保証の両立という難題を解決する、抗菌用銀イオン生成液を提供することであり、また、その抗菌用銀イオン生成液で生成された銀イオンを含有する銀イオン抗菌液、その銀イオン抗菌液を生成する生成方法を提供することである。
従来の銀ゼオライトは、それが備えるイオン交換の作用による代謝阻害殺菌作用では、細菌を殺菌するまでの時間(以下、「殺菌時間」という)が長いために短時間に殺菌ができない。即ち殺菌の即効性がないことから、それに代わる細菌を短時間に殺菌する、銀イオンを生成する抗菌用銀イオン生成液について鋭意検討を重ねたところ、銀ゼオライトを分散した分散液と、カルボン酸を含有した同量の水溶液中に、上記銀ゼオライトの配合量に対して1.2倍の配合量のカルボン酸を含有させておけば、上記分散液と水溶液の混合により、上記カルボン酸が上記銀ゼオライトの結晶構造を完全に崩壊させて銀イオン(この銀イオンを以下、「崩壊銀イオン」という。)を溶出させること、そして、その崩壊銀イオンが細菌を短時間に殺菌することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りのものである。
請求項1に係る発明の2剤型抗菌用銀イオン生成液は、分離状態にある第1液と第2液からなる細菌を抗菌するために使用時に混合する2剤型抗菌用銀イオン生成液であって、前記第1液が分散助剤を含む水溶液にA型又はX型銀ゼオライトを分散した分散液であり、前記第2液がクエン酸、リンゴ酸又は酒石酸のカルボン酸を含有した水溶液であり、上記銀ゼオライトに対して上記クエン酸の配合比率が1.2以上であり、上記リンゴ酸の配合比率が1.4以上であり、上記酒石酸の配合比率が1.6以上であり、上記銀ゼオライトと上記カルボン酸が同量の水溶液中に含有されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明の2剤型抗菌用銀イオン生成液は、前記分散液中における前記銀ゼオライトの配合量が0.1〜5.0重量%の範囲にあることを特徴とする。
請求項3に係る発明の2剤型抗菌用銀イオン生成液は、前記銀ゼオライトの銀担持量が0.16〜5.0重量%の範囲にあることを特徴とする。
請求項4に係る発明の2剤型抗菌用銀イオン生成液は、前記分散助剤が親水性高分子又はジェル状剤であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の2剤型抗菌用銀イオン生成液は、前記第1液及び第2液の使用形態が液状、ジェル状又はフォーム状であることを特徴とする。
本発明の抗菌用銀イオン生成液は、銀ゼオライトを分散した第1液とカルボン酸水溶液の第2液が分離状態にあるので、長期間にわたる製品の品質保証が可能である。
また、本発明の抗菌用銀イオン生成液は、銀イオンを生成するのに、第1液の銀ゼオライトの配合量を0.1〜5.0重量%の範囲から決定すれば、カルボン酸の配合量を容易に決めることができる。
本発明の銀イオン抗菌液は、第2液のカルボン酸が第1液の銀ゼオライトの結晶構造を崩壊する量を含有することで、銀ゼオライトの結晶構造の銀イオンを溶解させて、ppm単位の濃度の銀イオンを溶出できるので、その銀イオンは、従来の銀ゼオライトのイオン交換作用では不可能であった、細菌を短時間に殺菌する即効性を発揮する。
また、本発明の銀イオン抗菌液は、銀ゼオライトの銀担持量とその配合量の両者を任意に選定することで、その銀イオン濃度を0.8〜110.0ppmの範囲で任意に増減することができるので、使用する用途に応じて細菌の殺菌時間を任意に決めることができる。
更に、本発明の抗菌用銀イオン生成液及び銀イオン抗菌液は、液状、ジェル状又はフォーム状の形態で、使用する用途に応じて選択できるので、利便性に優れている。
本発明の銀イオン抗菌液の生成方法によれば、第1液の銀ゼオライトを含む水溶液に対して各カルボン酸毎の配合比率の量を配合した第2液と、第1液の分散液を混合すれば銀イオンが溶出できるので、銀イオン抗菌液の生成が簡便に、低コストで生成することができる。
大腸菌の実施例1−1及び1−3の培養時間と生残菌数のデータに基づいて、TD2を求めるために作成したグラフである。 大腸菌の実施例1−1及び1−3の培養時間と生残菌数のデータに基づいて、TD2を求めるために作成したグラフである。 グラム陰性の大腸菌の近似式(y = 74078x-1.4455)とグラム陽性の黄色ブドウ球菌の近似式(y = 106845x-1.5189)である。 y=102710x-1.5095の累乗近似曲線である。
本発明の最良の実施形態を説明する前に、上記特許文献2のエアゾールタイプの防臭化粧料が、皮膚常在菌を殺菌するメカニズムの説明を行い、その後に本発明の実施形態を説明する。
人間の皮膚表面(角質層表面)のpHは4.5〜6.5の弱酸性であり、それは皮脂腺から出た皮脂が皮膚上の常在菌の酵素リパーゼで分解され、脂肪酸が発生するので皮膚表面は弱酸性である(男性のpHは4.5〜6.0、女性のpHは5.0〜6.5)。体臭の臭気であれば、皮膚のアポクリン汗腺から分泌された汗や脂腺から分泌された脂質が、皮膚常在菌の酵素リパーゼにより分解されて腋臭などの臭気を発生するので、例えば銀ゼオライトを含有する上記エアゾールタイプの防臭化粧料を臭気の発生する部位に噴射すれば、細菌は数時間経って殺菌され臭気が消臭される。
つまり、上記エアゾールタイプの防臭化粧料は、化粧料中の銀ゼオライトが臭気発生の部位に付着して、汗のナトリウムイオンが銀ゼオライトに接触すると、その結晶構造中の銀イオンが汗のナトリウムイオンとイオン交換されて汗に銀イオンが溶出することで、上述した細菌の代謝システムを阻害する代謝阻害殺菌作用が働き殺菌する。このイオン交換により溶出した銀イオンを、以下「イオン交換銀イオン」という。
そして、上記防臭化粧料中の銀ゼオライトは、平均粒径2.5μmで0.1重量%を含有しており(銀ゼオライトの単価は高く、この配合量が一般的である)、そして、銀ゼオライトの銀担持量は2.2重量%のものが使われている。このように、上記防臭化粧料の殺菌のメカニズムは、銀ゼオライトとナトリウムイオンの接触、銀イオンとナトリウムイオンのイオン交換、イオン交換された銀イオンの代謝阻害殺菌作用を経て殺菌が行われるために、噴霧してから短時間に殺菌して消臭することはできない。
本発明者が行った後述する実験結果によれば、上記防臭化粧料が含有する銀ゼオライト、例えば、ゼオミックAJ10N(銀ゼオライトの銀担持量;2.2重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含くむ精製水に分散した分散液100mlと、生理食塩水100mlを混合して、10分後に測定した銀イオン濃度は400ppbであった。この400ppbの銀イオン濃度の銀イオンは、生残菌数が99%減少する、即ち1/20ニュートリエントブロス培地(以下、ニュートリエントブロスを「NB」という)で、抗菌活性値が2.0以上(99%以上の死滅率)となるには60〜64分(3種の細菌で異なる)を要することが実験結果から判明した。
このように、従来の防臭化粧料は、殺菌の徐効性に優れているが、殺菌の即効性には難点がある。
(最良の実施形態)
本発明に用いる銀ゼオライトは、A型又はX型銀ゼオライトである(以下、これらの銀ゼオライトを単に「銀ゼオライト」という。)。X型銀ゼオライトは高価なのでA型銀ゼオライトを用いることが好ましい。このA型又はX型銀ゼオライトは酸により溶解されるので、本発明がこの両ゼオライトを用いる理由である。Y型銀ゼオライトやモルデナイト型銀ゼオライトは酸に溶解しないので使用できない。
ところで、A型又はX型銀ゼオライトは、上記したようにpH5以下の溶液で、イオン交換サイトを形成する結晶構造が崩壊されて銀イオンを溶出することから、本発明者は、酸性で安全性が高いクエン酸、リンゴ酸、酒石酸の3種のカルボン酸をpH5以下の酸性溶液を調製する成分として選定し、親水性高分子を含む水溶液に銀ゼオライトを分散した分散液(以下、「第1液」という。)と、水にカルボン酸を含有した水溶液(以下、「第2液」という。)を調製した。第1液及び第2液の水溶液は同量である。この第1液と第2液は細菌を抗菌するために混合により銀イオンを生成させる液であるので、この混合する前の両液を「抗菌用銀イオン生成液」と定義して以下に用いる。この抗菌用銀イオン生成液を混合して混合液を調製して以下に述べる実験を行った。
第1液の銀ゼオライトの結晶構造が第2液のカルボン酸により完全に崩壊して透明な混合液を得るために、第2液のカルボン酸は、第1液の銀ゼオライトに対して、どの位の量を配合すれば、透明になるのかを調べる実験(以下、「第1の実験」という)を最初に行った。次に、銀ゼオライトの銀担持量が異なるものを使用して、カルボン酸によりその結晶構造を完全に崩壊して透明になった混合液の銀イオン濃度を調べる実験(以下、「第2の実験」という)を行った。
(2液の混合により生成される生成物)
次に、2液を混合することで生成される生成物を説明する。
第1液の銀ゼオライト((αNa2 βAg2)O・Al2O3‐2SiO2nH2O(α+β=1 n=5:110℃乾燥品))と第2液のカルボン酸(化学式R−COOH)を撹拌し混合した混合液は、両者の化学式からみて、カルボン酸銀錯体、カルボン酸アルミニウム錯体、ナトリウムイオン(Na+)、シリカ水和物を含んでいる。
銀ゼオライトとカルボン酸の混合により、最初に、カルボン酸のプロトン(H+)が銀ゼオライトのSi-O-Al-O-Siの構造中のAl-O部分をアタックして切断し、その結果ゼオライト骨格を崩壊し、イオン交換吸着サイトが失われるので銀イオンが混合液中に溶出する。
その銀イオンはカルボン酸と反応して多くの銀イオンがカルボン酸銀錯体を生成し、同時にごく僅かな銀イオンを生成する。一方、アルミニウムはカルボン酸と反応してカルボン酸アルミニウム錯体を生成し、その他には、シリカ水和物及びナトリウムイオンを生成すると推測される。
上記カルボン酸錯体の一例であるクエン酸銀錯体の構造式を以下に示す。
yは1及び/又は2であり、yが3であると難溶性で水に溶けなくなる。銀イオンとクエン酸の反応で生成されるクエン酸銀錯体は、殆どがクエン酸1銀のものであるから、yが1でxが2の錯体である。
(第1の実験)
詳細には、第1液は、銀ゼオライトの一例としてA型銀ゼオライトを対象にして説明する。A型銀ゼオライトであるゼオミックAJ10N(銀担持量2.2重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%又は0.5重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。この分散液は白濁している。
第2液は、カルボン酸の一例としてクエン酸を対象にして説明する。第2液のクエン酸の配合量は、銀ゼオライトの配合量(重量%)に対して、配合比率が0.9〜1.7の配合量を含有する100gの水溶液を調製した。ここで使用するクエン酸は市販品のクエン酸1水和物である。
第1液と第2液を同量の100gずつ混合して200gの混合液とし、pHメーターによりその混合液のpHを測定した。銀ゼオライトの溶解性は目視により判定した。
上記第1液と第2液を混合して、時間の経過と共に上記クエン酸が上記銀ゼオライトを溶解した混合液の透明状態を目視して、白濁、半透明、透明の43段階で判断した。第1の実験の結果を表1に示す。表1の「配合比率」は、銀ゼオライトの配合量(重量%)に対するクエン酸の配合量(重量%)の割合、即ち「クエン酸の重量%/銀ゼオライトの重量%」の比率を意味しており、その比率を「配合比率」と定義して以下に用いる。
なお、表1の混合液の透明状態の判断の右側に記載の数字は、混合液のpHの値を示している。
表1に示すNo.1〜12の値は、試料数をN=3としてその算術平均で求めた。
なお、以下の表に示す値は、表1に示す試料数と同様に試料数をN=3としてその算術平均で求めたものである。
表1は、上記A型銀ゼオライトの合計12個の試料の第1の実験の結果である。
表1に示すNo.1〜12のpHの値は、試料数をN=3としてその算術平均で求めた。また、以下の表に示す値は、表1に示す試料数と同様に試料数をN=3としてその算術平均で求めたものである。
上記第1の実験の結果は、銀ゼオライトに対してクエン酸の配合比率が1.1以下の場合には、混合してから30分が経った後でも、混合液の性状は半透明の状態にあり、銀ゼオライトの骨格構造がクエン酸により溶解されなかった。銀ゼオライトに対してクエン酸の配合比率が1.2以上の場合には、混合してから2分後に、銀ゼオライトの骨格構造がクエン酸により溶解されて混合液が透明になり、混合液中に全銀イオンが溶出されることを示した。このことから、混合液を人体に塗布する場合または混合液が人体に触れる虞がある場合を考慮すると、上記クエン酸の配合量として上記範囲にある量を用いることが好ましい。
以上のことから、第1液及び第2液の水溶液の量は同量であって、クエン酸の配合量は、銀ゼオライトに対して配合比率が1.2以上の配合量であれば、上記第1液と第2液を混合した2分後に、上記クエン酸が上記の結晶構造を完全に崩壊して銀イオンを生成することを示した。換言すれば、第1液の銀ゼオライトの配合量を選定して決めれば、第2液のクエン酸の配合量は、上記銀ゼオライトの配合量の1.2倍以上の量を配合することで、第1液と第2液を混合した2分後に、銀ゼオライトが含有していた全ての銀イオンを溶出させることができることが判明した。
次に、第2液のクエン酸に代えてリンゴ酸又は酒石酸を用いた、第1の実験の結果を表1−1に示す。
リンゴ酸又は酒石酸の配合量は、銀ゼオライトに対して配合比率が1.4以上又は1.6以上であれば、第1液と第2液を混合した1分後に、上記リンゴ酸又は酒石酸が銀イオンを生成することを示した。リンゴ酸又は酒石酸もクエン酸と同様に上記第1液と第2液を混合した1分後に、銀ゼオライトが含有していた全ての銀イオンを溶出させることができることが判明した。
従って、リンゴ酸又は酒石酸は、クエン酸と同様に銀ゼオライトの1.4倍以上又は1.6倍以上の量を配合することで銀イオンを生成する。
ここで、銀ゼオライトから溶出する銀イオンは、イオン交換により又は結晶構造の崩壊により溶出しても同じものであるが、銀ゼオライトから銀イオンを溶出するメカニズムが異なることから、上述したイオン交換により溶出した銀イオンを「イオン交換銀イオン」と称したのに対して、上記結晶構造を崩壊により溶出した銀イオンを「崩壊銀イオン」と称する。
(第2の実験)
続いて、第2の実験について説明する。
第2の実験は、銀担持量の異なる4種類の銀ゼオライトを用いて、そして、上記銀ゼオライトを完全に崩壊する配合量のカルボン酸を用いて、溶出する銀イオン濃度が、どの程度の濃度を示すのかを調べるために行った実験である。
第2の実験の第1液及び第2液は、第1の実験と同様に、銀ゼオライトの一例としてA型銀ゼオライトを、カルボン酸の一例としてクエン酸を対象にして説明する。
具体的には、第1液は、銀ゼオライトとして銀担持量0.16重量%のA型銀ゼオライトを調製したもの、ゼオミックAV10N((株)シナネンゼオミック製、銀担持量0.3重量%)、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製、銀担持量2.2重量%)、ゼオミックAK10N((株)シナネンゼオミック製、銀担持量5.0重量%)を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散した100gの分散液を用いた。第2液は、上記銀ゼオライトに対してクエン酸の配合比率が1.2以上の配合量のクエン酸を精製水に溶解した100gの水溶液を用いた。なお、上記銀担持量0.16重量%のA型銀ゼオライトの調製方法は後述する。
第1液と第2液の各100gを混合してから10分後に、その200gの混合液からゼオライトを分離するために濾過して、得られた液中の銀イオン濃度を高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(ICP S−8100、島津製作所(株)製)により測定した。
一方、実験例であるクエン酸含有の水溶液に対して、比較例として該クエン酸含有の水溶液に代えて水道水を用いた。表2に示す比較例のNo.30、31の銀ゼオライトは、実験例のNo.21、26で用いた同種のゼオミックAV10Nを、比較例のNo.32、33の銀ゼオライトは、実験例のNo.22、27で用いた同種のゼオミックAJ10Nを、比較例のNo.34、35の銀ゼオライトは、実験例のNo.23、24、28、29で用いた同種のゼオミックAK10Nを用いた。銀イオン濃度の測定方法は、上述した方法と同様に両液を混合してから10分後に測定を行った。また、比較例のNo.36として、ゼオライト分散液100gと生理食塩液(塩化ナトリウム0.9重量%)100gを混合した混合液200gを調製して、溶出する銀イオン濃度の測定を行った。その濃度は400ppbであった。なお、この比較例のNo.36は、発汗(塩化ナトリウム0.9重量%)した状態の体に、上記エアゾールタイプの防臭化粧料の銀ゼオライト(銀担持量2.2重量%)を噴霧した条件と同じ場合を想定して、比較例のNo.36の銀イオン濃度を測定したものである。
第2の実験の結果を表2に示す。
表2の結果は、配合比率1.2の実験例No.20〜24の銀イオン濃度と、配合比率1.6の実験例のNo.25〜29の銀イオン濃度が、測定誤差を考慮すると一致していることを示し、そして、銀担持量が増えるに伴って銀イオン濃度が増加していることを示している。更に、実験例のNo.23と24及び実験例のNo.28と29を対比すると、銀ゼオライトの配合量が0.1重量%の実験例のNo.23及び28は、銀イオン濃度が24.7ppm、25.0ppmであるのに対して、銀ゼオライトの配合量が1.0重量%の実験例のNo.24及び29は、銀イオン濃度が249.6ppm、250.0ppmなので、配合量が10倍に増えるのに伴って銀イオン濃度も10倍に増えている。このことは、銀担持量が同じ銀ゼオライトを用いて配合比率1.2以上のクエン酸の配合量で銀ゼオライトを崩壊すれば、銀ゼオライトの配合量に比例して銀イオン濃度が得られることを示している。
そして、実験例のNo.20〜29は、銀イオン濃度が0.8〜250.0ppmの範囲の値を示しており、その濃度はppm単位である。それに対して、比較例のNo.36は、銀イオン濃度が400ppbの値を示している。
以上のことから、比較例のNo.36のイオン交換銀イオンの銀イオン濃度はppbの単位であるのに対して、崩壊銀イオンの銀イオン濃度はppm単位を示しており、従来の銀イオン濃度の約4〜625倍の濃度のものが得られた。上記銀ゼオライトをカルボン酸で溶解して銀イオンを溶出するメカニズムは、従来のイオン交換のメカニズムでは決して得られないppm単位の高濃度の崩壊銀イオンを短時間に生成することが判った。
そして、表1に示すNo.3、4及びNo.9、10の混合液、そして、No.2、8の混合液を試験管に保存して窓側に置いて、両混合液の色の変化を観察した。No.2、8の混合液は3日間で茶色に変色したが、No.3、4及びNo.9、10の混合液は、1ヶ月経っても透明の状態であった。
第2の実験の結果は、第2液中に銀ゼオライトの配合量に対して配合比率1.2以上のクエン酸量を配合して、第1液と第2液を混合すると、上記クエン酸が上記銀ゼオライトの結晶構造を崩壊して銀イオンを生成し、その崩壊銀イオン濃度は0.8ppm以上の濃度が得られることを示し、また、銀ゼオライトの銀担持量の増加に伴って銀イオン濃度が増加することを示した。
以上述べた第1及び第2の実験の結果から、第1液の銀ゼオライトを分散した分散液と、第2液のカルボン酸を含有した水溶液で、上記銀ゼオライトの配合量に対して、配合比率1.2以上のカルボン酸を第2液に配合したものを第1液と混合すれば、上記カルボン酸から崩壊銀イオンを短時間に生成し、その銀イオン濃度は0.8ppm以上の濃度が得られることが判明した。このように混合する前の分離状態にある第1液と第2液は、高濃度の銀イオンを生成することができる抗菌用銀イオン生成液であることが明らかになった。
上記した第1液と第2液の混合により崩壊銀イオンを生成した混合液を、「銀イオン抗菌液」と定義して以下に用いる。
上述したように、上記防臭化粧料と同じ条件の比較例のNo.36は、そのイオン交換銀イオンの殺菌のメカニズムが銀ゼオライトとナトリウムイオンの接触、銀イオンとナトリウムイオンのイオン交換、イオン交換された銀イオンの代謝阻害殺菌作用を経て殺菌を行うために、短時間に殺菌することはできない。それに対して、特許文献6には、該結晶構造中の全銀イオンが溶出してその銀イオンの濃度を高くできる可能性を示しており、また、非特許文献4及び5には、硝酸銀の銀イオン濃度が高ければ細菌を即死状態で短時間に殺菌できること(以下、この細菌を短時間に殺菌できる作用を「短時間殺菌作用」という。)が示唆されていると述べた。そこで、表2の比較例のNo.36の銀ゼオライトの配合量が0.1重量%で、400ppbの濃度を有するイオン交換銀イオンが殺菌に要する時間と、表2のNo.25〜27の銀ゼオライトの配合量が0.1重量%で、0.8、1.5及び10.9ppmの濃度を有する崩壊銀イオンが殺菌に要する時間を測定した。具体的な細菌として大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌の3種類を対象にして、以下に述べる抗菌性試験方法で生残菌数を測定して殺菌時間の計算を行い、その得られた殺菌時間に基づいて、イオン交換銀イオンが奏する代謝阻害殺菌作用と、崩壊銀イオンが奏する短時間殺菌作用による殺菌時間から、殺菌の即効性の検討を行った。
以下に銀イオン濃度と殺菌の即効性について詳説する。
(銀イオン濃度と殺菌の即効性)
JIS Z 2801(ISO 22196:2007)で定められている抗菌性試験方法では、無加工品の24時間培養後の菌数を抗菌加工品の24時間培養後の菌数で除した数の対数値を、抗菌活性値と呼び、2.0以上(99%以上の死滅率)で効果があると定義されている。換言すれば、生残菌数が10(CFU/ml)から10(CFU/ml)に減少することを意味している。
ところで、抗菌剤の抗菌力による培地中の生残菌数の時間変化と細菌の減少数は、次式で表すことができる。
dN/dt=−KN・・・・・(3)
ここで、Nは細菌数を、tは培養時間を、Kは死滅係数を表している。
(3)式からLogN=LogN−(1/D)tを導くことが出来る。Dは1/Kを意味している。
しかし、JIS Z 2801の抗菌性試験方法は、NB培地として1/500NB濃度(NB培地濃度の1/500で栄養分が少ない)を用いて、24時間後の抗菌活性値を測定する方法である。
上記抗菌試験を始める前に、崩壊銀イオンの濃度が1.5ppmの銀イオン抗菌液を用いて抗菌活性値の測定を試みたが、10分以内に全ての細菌が殺菌され測定することが不可能なことが分かった。この不可能な理由は、1/500NB濃度では栄養分が少ないこと、そして、上記銀イオン抗菌液の殺菌能力が従来の抗菌剤と比べて遥に強いためと推測される。
一方、繊維製品の抗菌性試験方法であるJIS L 1902(ISO 20743:2007)は、NB培地として1/20NB濃度を用いて、18時間後の抗菌活性値を測定する方法である。
上記抗菌試験を始める前に、上記抗菌性試験方法で述べたように、1.5ppm濃度の銀イオン抗菌液を用いて抗菌活性値の測定を試みたが、1時間以内に全ての細菌が殺菌され測定することが不可能なことが分かった。従来の抗菌性試験方法は、主にイオン交換銀イオンのような抗菌剤の徐効性を測定するのに向いているが、細菌を短時間の内に殺菌する目的で生成された崩壊銀イオンは、従来の抗菌性試験方法では測定が困難なので、1/20NB培地で細菌を生育させ、初発菌数5.0×10((CFU/ml)Log値5.7)が培養時間の経過により減少する生残菌数を計測して、その計測値をグラフにプロットして得られた点に基づいて近似直線を描き、初発菌数(5.7)が抗菌活性値2(99%の菌数減少の意味)の値である3.7に要する時間(以下、「TD2」という)を求めて殺菌の即効性を示すことができるかを試みたところ、TD2の値により殺菌の即効性を示せることが分かった。上記TD2を計測する手順(以下、「TD2計測手順」という)は後に具体的に詳説する。
菌数測定は、1/20NB濃度の液体培地10mlに所定の銀イオン濃度に調製した抗菌液を0.5ml混合して、菌懸濁液0.1ml接種し撹拌して所定時間にSCDLP培地9mlに試料1mlをサンプリングして菌数を測定した。
(実施例)
第1液は、実施例1−1として、ゼオミックAJ10N(銀担持量2.2重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。また、実施例1−2として、A型銀ゼオライトであるゼオミックAV10N(銀担持量0.3重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。そして、実施例1−3として、銀担持量0.16のA型銀ゼオライト0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。A型ゼオライト(東ソー(株)製)100gを純水500mlに少しずつ投入して懸濁液として、これに硝酸溶液(1/20N)を滴下してpH9〜10に調節して、この懸濁液に硝酸銀0.26gを純水100mlに溶解した液を滴下して、室温で8時間撹拌して反応させた後に懸濁液を濾過し、その濾過により得られたゼオライトケーキを純水で洗浄して110℃で15時間乾燥して銀担持量0.16重量%の銀ゼオライトを調製した。
第2液は、配合比率1.2の配合量のクエン酸を含有する100gの水溶液を調製した。
(比較例)
比較例1−1として、第1液は、ゼオミックAJ10N(銀担持量2.2重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。また、第2液は、生理食塩液(塩化ナトリウム0.9%)100gを調製した。 比較例1−2として、第1液は、ゼオミックAJ10N(銀担持量2.2重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。また、第2液は、水道水100gとした。
比較例1−3として、ゼオミックAV10N(銀担持量0.3重量%)((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%を、キサンタンガム0.2重量%を含む精製水に分散して100gの分散液を調製した。また、第2液は、水道水100gとした。
試験菌として大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌を対象に、JIS L 1902の抗菌性試験方法に基づき、ブイヨン培地を1/20NB濃度として抗菌液を混合して前記の如く試験菌を接種して培養時間に対する生残菌数を測定して、上記TD2計測手順によりTD2を計測した。
大腸菌を接種して培養時間に対する生残菌数を測定した結果と、上記TD2計測手順によりTD2を求めた結果を表3−1に示す。
図1及び図2は表3−1の大腸菌の実施例1−1及び1−3の培養時間と生残菌数のデータに基づいて、TD2を求めるために作成したグラフである。以下にTD2を求める手順を最初に図1を参照しながら説明する。
図1のグラフの横軸は培養時間を、縦軸は生残菌数を表し、表3−1のデータから3点をプロットして得られた点に基づいて近似直線を描いて、その近似直線の一次方程式を求め、その一次方程式がy = -0.57x + 5.9167である。グラフにプロットして得られたy軸の初期の生残菌数(5.7)が抗菌活性値2である値3.7を上記一次方程式のyに代入してxを求めると4(小数点以下を四捨五入)であった。この4がTD2の値を示している。図2のグラフも図1と同様にして得られたもので、一次方程式がy = -0.0679x + 5.6429であり、yに3.7を代入してxを求めると29(小数点以下を四捨五入)であった。
表3−1の上記エアゾールタイプの防臭化粧料と同じ条件の比較例1−1は、上記比較例のNo.36と同じ第1液と第2液の混合液で、そのTD2が60〜64分(3種の細菌で異なる)であるから、その銀イオンが奏する代謝阻害殺菌作用は殺菌時間TD2が60〜64分であることが判った。それに対して、大腸菌の実施例1−3は銀イオン濃度800ppbの崩壊銀イオン液で、そのTD2が30分であるから、銀イオン濃度800ppbの崩壊銀イオンが奏する短時間殺菌作用は、殺菌時間TD2を比較例1−1の9/20である29分に短縮できることを示している。また、実施例1−2は銀イオン濃度が1.5ppmであれば殺菌時間TD2を10分に短縮でき、実施例1−1は銀イオン濃度が11.0ppmであれば殺菌時間を4分に短縮できることを示している。
以上述べたことは、本発明の抗菌用銀イオン生成液から生成された銀イオン抗菌液の銀イオン濃度が、イオン交換作用で得られる銀イオン濃度の約4倍であれば殺菌時間TD2が1/8に、約30倍であれば1/20に短縮できることを示している。
黄色ブドウ球菌を接種して培養時間に対する生残菌数を測定した結果と、上記TD2計測手順によりTD2を求めた結果を表3−2に示す。
緑膿菌を接種して培養時間に対する生残菌数を測定した結果と、上記TD2計測手順によりTD2を求めた結果を表3−3に示す。
表3は、3種類の細菌によって、同じ銀イオン濃度であっても細菌の抵抗力の強い緑膿菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌の順にTD2の値が小さくなる傾向を示し、同じ値ではなく近似した値であるが、表3からでは上記TD2と銀イオン濃度の関係を把握するのが難しい。そして、表3に示した実施例は崩壊銀イオンを示し、比較例はイオン交換銀イオンを示しているが、両者に異なる命名を付けたのは、銀ゼオライトから銀イオンが溶出するメカニズムが異なることが理由であることは既述した通りである。そこで、両者は同じ銀イオンであるから、TD2と銀イオン濃度の関係を表3に示すTD2と銀イオン濃度のデータを同じ図面上にプロットして点を描き、その点から得られるグラフを作成して、上記銀イオンの溶出するメカニズムの相違をそのグラフに基づいて、崩壊銀イオンとイオン交換銀イオンを対比することで、崩壊銀イオンの特徴を検討する。
ところで、細菌類はグラム染色によって紫色に染まるものをグラム陽性、紫色に染まらず赤く見えるものをグラム陰性と呼び、この染色性の違いは細胞壁の構造の違いによるもので、グラム陽性はペプチドグリカンが厚く脂質が少ない細胞壁を持ち、グラム陰性はペプチドグリカン層が薄く脂質が多い細胞壁を持つ。そして、大腸菌と緑膿菌はグラム陰性で細胞壁が薄く、黄色ブドウ球菌はグラム陽性で細胞壁が厚いことが知られている。
崩壊銀イオンは、細菌の細胞壁を損傷させ即死状態で短時間に殺菌する作用、即ち短時間殺菌作用を有することを既述したが、上記のようにグラム陰性の大腸菌及び緑膿菌とグラム陽性の黄色ブドウ球菌は、細胞壁の厚さが異なるのでグラム陰性の例として大腸菌を選び、計算して得られたTD2を横軸に、銀イオン濃度を縦軸にプロットして、大腸菌と黄色ブドウ球菌の両者の各点を描写して、得られた各点の関係を近似式で表示したところ、図3のグラフが示すように、グラム陰性の大腸菌の近似式(y = 74078x-1.4455)、そして、グラム陽性の黄色ブドウ球菌の近似式(y = 106845x-1.5189)は、累乗近似曲線で表示できた。図3の×印は大腸菌のプロットした点を、○印は黄色ブドウ球菌のプロットした点を示している。
図3のグラフは、グラム陰性の大腸菌とグラム陽性の黄色ブドウ球菌の累乗近似曲線の形状が近似しているから、ppm単位の崩壊銀イオンは、細菌の細胞壁の厚さに関係なく同じ殺菌力を示すことが分かった。そこで、表3の大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌の各データを、同じ図面上にプロットした点を描写して近似曲線を求めた。図4に示すように、その近似曲線の式はy = 102710x-1.5095の累乗近似曲線であり、相関係数はR2 = 0.9509であった。図4のグラフを参照しながら、崩壊銀イオンとイオン交換銀イオンのTD2と銀イオン濃度が示すグラフの傾向を検討する。
TD2が60分付近の比較例1−1の銀イオン濃度は、400ppbであってx軸の値が減少しても増加する傾向がみられないのに対して、TD2が30分付近の実施例1−3の銀イオン濃度は、800ppbの付近からx軸の値が減少すると急激に増加する傾向がみられる。
上記比較例1−1は、過酷な発汗の状態であっても、そのイオン交換銀イオンの濃度が400ppbで、そのTD2が60分付近であるのに対して、実施例1−3は、その崩壊銀イオンの濃度が800ppbでそのTD2が30分付近であり、また、崩壊銀イオンの実施例1−1は、比較例1−1と同じ銀ゼオライトを用いているが、実施例1−1の銀イオンの濃度が11000ppbで、TD2が4分であって、比較例1−1の銀イオンの濃度が400ppbで、TD2が60分であるから、銀イオン濃度が約28倍に増加することで、そのTD2が1/15倍に殺菌時間が短縮されていることが判った。そして、上記表2の実施例のNo.24、29の試料は銀イオン濃度が249.6ppm、250ppmであるので、上記累乗近似曲線(y = 74078x-1.4455)にy=250000を代入してxを演算すると0.43が得られ、26秒で殺菌できることが判った。
上述したことから、イオン交換銀イオンは、過酷な発汗状態であっても、その銀イオン濃度は400ppbであるから、更に過酷な状況を想定したとしても、上記銀イオンが受動的な銀イオンであることを考慮すると、その濃度を増やすことは困難と考えられるから、殺菌時間を短縮することも困難と考えられる。
一方、実施例1−3は、800ppbの濃度が細菌を約30分で殺菌でき、殺菌時間を上記イオン交換銀イオンのそれより短縮することができ、更に、銀ゼオライトの崩壊銀イオンは能動的な銀イオンであるから、銀ゼオライトの銀担持量とその配合量の両者を、例えば、表2のNo.20〜24の0.16、0.3、2.2又は5.0重量%の銀担持量、即ち銀担持量が0.16〜5.0重量%の範囲の量を任意に選定し、そして、0.1〜1.0重量%の範囲の銀ゼオライトの配合量を任意に選定することで、その銀イオン濃度を0.8〜250.0ppmの範囲で任意に増減することができ、その濃度の増減に伴って上記崩壊銀イオンの殺菌時間を任意に短縮させることができる。
ところで、上記表2の実施例のNo.24、29は、銀ゼオライトの銀イオン担持量5.0重量%、配合量1.0重量%で銀イオン濃度が249.6ppm、250.0ppmの例を示したが、上記配合量の上限は、1.0重量%に限定されるものではなく5.0重量%以下の量であることが好ましい。従って、銀ゼオライトの配合量は、0.1〜5.0重量%の範囲の量を任意に選択すればよい。
その理由は、上記銀ゼオライトの配合量が0.1重量%未満であると、銀ゼオライトの分散量が少ないために、得たい配合量の濃度を一定にすることができなくなり、そして、その配合量が5.0重量%を超えると銀ゼオライトが凝集する虞があり、また、銀ゼオライトのキロ当たりの単価が高価なので増やすことは好ましくない。従って、銀ゼオライトの配合量は、0.1〜5.0重量%の範囲にあるものを選択することが好ましい。
また、銀担持量を任意に選定できる量として0.16〜5.0重量%の範囲であると述べたが、その理由は、上記銀担持量が0.16重量%未満であると、崩壊銀イオンの濃度が800ppb未満となり、TD2が30分以上の時間となり即効性が失われ、そして、その銀担持量が5.0重量%を超えると市販品がないためにコスト高になる虞がある。従って、銀ゼオライトの配合量は、0.16〜5.0重量%の範囲にあるものを選択することが好ましい。
上述したように、銀ゼオライトの配合量は、0.1〜5.0重量%の範囲にある量を、そして、その銀担持量は、0.16〜5.0重量%の範囲にある量を選択することが好ましいが、例えば、上記配合量が5.0重量%で、上記銀担持量が5.0重量%を選択したとすると、銀イオン濃度は、上記表2の実施例のNo.24、29の5倍の1250.0ppmとなる。従って、本発明の銀イオン抗菌液は、第1液と第2液を任意に調整して混合すれば、銀イオン濃度が0.8〜1250.0ppmの範囲から任意の濃度のものを生成できる。
しかしながら、市販されている銀ゼオライトの汎用品である、2.2重量%銀担持量のゼオライトは、量産化されて単価が安く、汎用品でない5.0重量%銀担持量のものは、単価が高いこと、そして、配合量に比例して経費が増加することを考慮すると、銀ゼオライトは、2.2重量%銀担持量を配合量が1.0重量%のものを用いて、銀イオン濃度が110.0ppmとして利用することが好ましい。
次に、銀イオン抗菌液の即効性について述べる。細菌の生残菌数を1%以下に減少させる時間は、上記崩壊銀イオンの濃度が0.8ppmの場合に30分であり、その濃度が250ppmの場合に26秒であることは既述した。銀イオン濃度が1250.0ppmの場合、上記累乗近似曲線(y = 74078x-1.4455)にy=1250000を代入してxを演算すると0秒で殺菌できることが判った。
換言すれば、銀イオン濃度は、銀ゼオライトの配合量とその銀担持量を使用目的に応じて任意に調整することが容易にでき、そして、細菌の殺菌は、その調整により0秒〜30分の範囲以内の時間で行うことができる。
上述したように、銀イオン抗菌液は、従来の殺菌時間と比べて細菌を短時間の内に殺菌できることが明らかであるから、殺菌の即効性を有している。
以上述べたように、上記実施例の実験データから得られた結果は、崩壊銀イオンは、従来のイオン交換銀イオンでは不可能なppm単位の高濃度が得られ、その濃度が増加するに伴い殺菌時間が短縮化され、殺菌の即効性を奏することを示した。そこで、上記した銀イオン濃度が高ければこの銀イオンは、細菌を短時間に殺菌できることを、「短時間殺菌作用」と称して用いたが、本発明の崩壊銀イオンは、短時間に殺菌できることが実験データにより証明された。
ここで、本発明の崩壊銀イオンを従来のイオン交換銀イオンと対比して、崩壊銀イオンの優れた特徴点を以下に説明する。具体的な事例で説明することがその特徴点を理解し易くできるので、イオン交換銀イオンの事例として、上記比較例のNo.36を取り上げ、崩壊銀イオンの事例として、表2の実験No.21及び実施例1−2を取り上げて説明する。この両者は、銀担持量が2.2重量%の銀ゼオライトを0.1重量%配合して同じ条件を備えていることが、具体的な事例として取り上げる理由である。
上記比較例のNo.36は、発汗(塩化ナトリウム0.9重量%)した状態の体(この発汗状態はスポーツ選手の運動時の状態と同じである)に、0.1重量%配合の銀ゼオライト(銀担持量が2.2重量%)を噴霧した状況と同じ条件で行った実験であるが、そのような過酷な状況であっても、イオン交換銀イオンの濃度は400ppbである。
そして、液中の銀ゼオライトが臭気発生の部位に付着して、汗のナトリウムイオンが銀ゼオライトに接触すると、その結晶構造中の銀イオンが汗のナトリウムイオンとイオン交換されて汗にイオン交換銀イオンが溶出されるもので、銀イオンとイオン交換するナトリウムイオンが存在することで溶出するものである。それ故に、イオン交換銀イオンは、例えば、ナトリウムイオンの存在により溶出するものなので受動的な銀イオンである。また、この比較例のNo.36の殺菌のメカニズムは、銀ゼオライトとナトリウムイオンの接触、銀イオンとナトリウムイオンのイオン交換、イオン交換された銀イオンの代謝阻害殺菌作用を経て殺菌が行われるために、噴霧してから銀イオンが溶出するまでの時間が長く、また、殺菌までの時間が長い。
それに対して、崩壊銀イオンは、ナトリウムイオンの存在の有無に関係なしに、第1液と第2液を混合することで銀イオンが溶出する能動的な銀イオンであり、また、銀イオンが溶出するまでの時間が2分と短い。更に、表2の実験No.21及び実施例1−2の銀ゼオライトは、上記比較例のNo.36の銀ゼオライトと同じものを用いており、その銀ゼオライトから溶出する崩壊銀イオンの濃度は1.5ppmであって、イオン交換銀イオンの銀イオン濃度400ppbは約3.8倍も濃い濃度を示した。そして、図4を検討して得られた結果である、崩壊銀イオンは、従来のイオン交換銀イオンでは不可能なppm単位の高濃度が得られ、その濃度が増加するに伴い殺菌時間が短縮化され、殺菌の即効性を奏することも考慮して、イオン交換銀イオンに対して崩壊銀イオンの特徴を表4にまとめて示した。
次に、本発明の第1液と第2液の使用形態は、その使用する用途により、液状、ジェル状又はフォーム状の形態で使用できる。その使用形態での各液の処方とその用途に用いることで得られる効果を説明する。
1.液状の使用形態
(1)デオドラント(噴霧)
(処方)
本発明の第1液と第2液を液状のデオドラントとした実施例を示す。第1液と第2液は下記の処方により噴霧用の液状に調製した。市販の2連式容器で吐出口2個の吐出器の各容器に、第1液と第2液を封入して2液を同時に噴霧する。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)0.1重量%、キサンタンガム0.1重量%、精製水99.8重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸0.12重量%、キサンタンガム0.1重量%、ヒアルロン酸0.5重量%、精製水99.28重量%を配合して調製した。
(効果)
本デオドラントの銀イオン濃度は11ppm 、黄色ブドウ球菌のTD2は5分。体臭の防止に便利であり、加齢臭の防止にも有効である。
養護老人ホームにおいて、加齢臭の明確な老人8名に腋の下と首筋に第1液及び第2液のデオドラントを混合し噴霧して塗布した。1時間後と6時間後に官能試験による判定の結果、いずれも8名全員に加齢具が感じられなかった。
(2)抗菌防臭液(噴射又は噴霧)
(処方)
本発明の第1液と第2液を噴射用の液状とした抗菌液の実施例を示す。第1液と第2液は下記の処方により液状に調製した。2連式容器で吐出口1個の市販の噴射器の各容器に、第1液と第2液を封入して2液を同量吐出させて塗布する。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)3.0重量%、キサンタンガム0.1重量%、精製水96.9重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸3.6重量%、キサンタンガム0.1重量%、チアベンダゾール0.6重量%、精製水95.7重量%を配合して調製した。
(効果)
本抗菌防臭液の銀イオン濃度は110ppm 、黄色ブドウ球菌のTD2は3分。
銀イオン抗菌液を噴霧又は噴射して、病室、厨房、浴室、トイレ、養鶏場、養豚場の細菌に即効性の除菌効果を得ることができる。
[排水口・トイレの抗菌洗浄効果]
本処方の2液を排水口やトイレに噴射することにより、取れ難い水棲菌のヌルミと汚れが容易に除去されて清潔になった。
[洗濯物の防臭効果]
洗濯機による衣類洗濯の洗浄仕上げ時に、本処方の2液の混合液を噴射して3分間疸抑して脱水し室内乾燥をした。このような短時間の銀イオン処理により、室内干しの臭いが防止されて、更に、衣類に銀イオンが吸着することにより着用時における汗臭の発生が防止された。
[靴の除菌・防臭効果]
皮靴、ブーツ、スニーカーに本処方の2液を噴射して臭いを防止することができる。
(3)パックシート(辱瘡用)
(処方)
本発明の第1液と第2液の混合液を辱瘡用のパックシートとした実施例を示す。第1液と第2液は下記の処方により噴霧する液状に調製した。2連式容器で吐出口2個の市販の吐出器の各容器に、第1液と第2液を封入して2液を同量吐出させて、厚さ2cmのポリウレタンスポンジの表面に吐出し混合して塗布する。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)0.5重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.5重量%、精製水99.0重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸0.55重量%、CMC0.5重量%、精製水98.95重量%を配合して調製した。
(効果)
本パックシートの銀イオン濃度は55 ppm 、緑膿菌のTD2は7分。
銀イオン液を塗布した厚さ2cmのポリウレタンスポンジである。辱瘡部を保護しながら緑膿菌を抗菌する辱疫ケアシートであり、スキンケア剤を任意に配合することが好ましい。抗菌液の性状としてはジェル状が使用感に好ましいが、粘度を上げることは銀イオンの拡散性が低下して即効抗菌性が低下するので好ましくない。
2.ジェル状の使用形態
(1)デオドラントジェル(塗布)
(処方)
本発明の第1液及び第2液を、肌に塗布する粘度2300mPs・Sのジェル状のデオドラント(防臭化粧品)とした実施例を示す。第1液及び第2液は下記処方により粘度2300mPs・Sのジェルに調製した。第1液と第2液のジェルを2連式容器で吐出口2個の市販の吐出器の各容器に封入して同時に同量を吐出してこれを手のひらに受けて、指先で混合して塗布する。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)1.0重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC ジェル化剤)1.5重量%、プロビレングリコール5.0重量%、精製水92.5重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸1.2重量%、HPMC0.1重量%、精製水98.7重量%を配合して調製した。
(効果)
本ジェルの銀イオン濃度は110ppm、黄色ブドウ球菌のTD2は12分。
銀イオンジェルを身体に塗布する防臭化粧品で即効性に特徴がある。ジェルタイプは液状より銀イオンの拡散に時間を要するので液状より殺菌に時間を要するが、ジェルは瑞々しくさわやかな使用感があり好まれる。
サッカー選手7名に本抗菌ジェルを塗布し、7名に従来品のデオドラントジェルを噴霧し、8名には無処理で試合を行った。試合終了後に汗を拭き取ったタオルをそれぞれポリエチレン(PE)袋に密封して18時間にわたり1時間毎に臭気を評価した。本抗菌ジェルを用いた選手の使用タオルは18時間にわたり臭気を全く感じなかった。デオドラントジェルを用いた選手及び無処理選手の使用タオルは時間の経過と共に汗臭が強くなった。
(2)パックシート(にきび用)
本発明の第1液と第2液をジェル状にしてにきび用のパックシートにした実施例を示
す。
(処方)
第1液と第2液を粘度1000mPs・Sのジェルに調製し該ジェルを2連式吐出2口の容器に収納した。プッシュヘッドを押して2液を同量吐出させた混合ジェルを吐出して、銀イオンの生成をシートの面で行ってパックシートとした。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)0.2重量%、アデカノールGT-700 1.0重量%、精製水98.8重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸0.24重量%、アデカノールGT-700 1.0重量%、サルチル酸1.5重量%、精製水97.26重量%を配合して調製した。
(効果)
本ジェル状の第1液及び第2液の銀イオン濃度は22ppm 、皮膚常在菌のTD2は11分。
本ジェル状液を不織布に塗布したパックシートは、にきび面にパックしてニキビケアパックとして優れる。アクネ菌に対して即効性を有し、従来のにきびケア剤は硫黄臭があり肌に刺激があったが、本パックは無臭で刺激がなく安全性が高い。
3.フォーム状の使用形態
(1)デオドラントフォーム(エアゾール)
(処方)
本発明の第1液と第2液をフォーム状(泡状)のデオドラントとした実施例を示す。第1液と第2液は下記の処方により液状に調製した。2連式容器で吐出口1個の市販のエアゾール式塗布具の金属加圧容器の各容器に第1液と第2液を収納して液化石油ガス(LPG)圧により同量の2液を泡状に吐出させて塗布する。
第1液は、ゼオミックAJ10N((株)シナネンゼオミック製)0.2重量%、CMC0.5重量%、ステアリン酸10.0重量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油1.0重量%、POE(20)ソルビタンモノステアリン酸2.0重量%、精製水86.3重量%を配合して調製した。
第2液は、クエン酸0.24重量%、CMC0.5重量%、ステアリン酸10.0重量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油1.0重量%、POE(20)ソルビタンモノステアリン酸2.0重量%、精製水86.26重量%を配合して調製した。
(効果)
本フォームの銀イオン濃度は22ppm 、黄色ブドウ球菌のTD2は8分。
頭髪用のデオドラントフォームとしてブラッシング時に用いて効果が得られる。特に薬液による濡れを嫌う犬や猫等のペットには、銀イオンムースによるブラッシングは犬猫回虫の抗菌として期待される。

Claims (5)

  1. 分離状態にある第1液と第2液からなる細菌を抗菌するために使用時に混合する2剤型抗菌用銀イオン生成液であって、
    前記第1液が分散助剤を含む水溶液にA型又はX型銀ゼオライトを分散した分散液であり、前記第2液がクエン酸、リンゴ酸又は酒石酸のカルボン酸を含有した水溶液であり、上記銀ゼオライトに対して上記クエン酸の配合比率が1.2以上であり、上記リンゴ酸の配合比率が1.4以上であり、上記酒石酸の配合比率が1.6以上であり、上記銀ゼオライトと上記カルボン酸が同量の水溶液中に含有されていることを特徴とする2剤型抗菌用銀イオン生成液。
  2. 前記分散液中における前記銀ゼオライトの配合量が0.1〜5.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の2剤型抗菌用銀イオン生成液。
  3. 前記銀ゼオライトの銀担持量が0.16〜5.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の2剤型抗菌用銀イオン生成液。
  4. 前記分散助剤が親水性高分子又はジェル状剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2剤型抗菌用銀イオン生成液。
  5. 前記第1液及び第2液の使用形態が液状、ジェル状又はフォーム状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2剤型抗菌用銀イオン生成液。
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