JP5892579B2 - カビ培養抽出物の製造方法およびカビ - Google Patents

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Description

本発明は、カビおよびカビを培養して得られるカビ培養抽出物に関する。
カビ等の微生物は人工的に合成が困難な医薬品原料を産生することがある。この様なカビの一種としてペニシリウム属のカビが知られている(特許文献1)。
このペニシリウム属のカビを培養して、得られた培養液を有機溶媒により抽出する。この抽出液から1,3−ジヒドロキシベンゼン環を有する10員環マクロライドが得られることが知られている。
そして前記10員環マクロライドをヒトの疾患や動物の疾患の治療のための医薬品として使用することが提案されている。
しかしながら、カビの中にはヒトや動物に対して害を及ぼす可能性のあるものも存在する。このためカビがヒトの疾患や動物の疾患の治療のための医薬品を産生する能力があることを発見した場合でも、カビそのものが毒性、発がん性等の性質を有する可能性のある場合、カビが毒性、発がん性等を示す化合物等を産生する可能性のある場合には、カビを培養して得られる医薬品を実用化することが困難となることがある。
特表2004−534756号公報
本発明の目的は、ヒトや動物に対して害を及ぼす可能性の低いカビを培養することにより、ガン細胞に対する細胞傷害性を有するカビ培養抽出物を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討した結果、ユーロチウム属のカビを培養し、そのカビおよびカビの培養物を抽出して得られるカビ培養抽出物が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
]ユーロチウム属のカビを培養する培養工程と、
前記培養工程により得られたカビおよびカビの培養物を有機溶媒により抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により得られた抽出液から有機溶媒に対する不溶分を除去する除去工程と、を少なくとも有し、
前記ユーロチウム属のカビが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託された受託番号NITE P−1083、微生物の識別の表示ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、カビ培養抽出物の製造方法を提供するものである。
また本発明の一つは、
]ユーロチウム属のカビを培養した後、カビおよびカビの培養物からカビ培養抽出物を有機溶媒により抽出し、
前記ユーロチウム属のカビが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託された受託番号NITE P−1083、微生物の識別の表示ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、カビ培養抽出物の抽出方法を提供するものである。
また本発明の一つは、
]独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託されたカビであって、
受託番号が、NITE P−1083であり、
微生物の識別の表示が、ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、ユーロチウム属のカビを提供するものである。

本発明に使用するユーロチウム属のカビは、鰹節のカビ付けに使用することができるものである。食生活に長年使用されてきた実績に示される通り、本発明に使用するユーロチウム属のカビはヒトや動物に対する毒性が極めて小さい。
また前記ユーロチウム属のカビを培養することにより得られるカビ培養抽出物は、ガン細胞に対する細胞傷害性を有する。
図1は、正常細胞であるマウス胎児由来繊維芽細胞に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。 図2は、ヒト子宮頸ガン細胞であるHeLaに対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。 図3は、ヒト肝臓ガンであるHepG2に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。 図4は、マウス大腸ガン細胞であるColon26に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。
最初に本発明に使用するカビについて説明する。
本発明に使用するカビは、ユーロチウム属に属するものである。前記カビはアムステロダミ種に属するものであれば好ましい。
前記ユーロチウム属のカビは一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記ユーロチウム属のカビは、26スベドベリ(以下、「26S」という)のリボソームを有することが好ましい。
前記26Sのリボソームとしては、例えば、前記26Sのリボソームに含まれるDNAの塩基配列の部分配列が、配列表の配列番号1に示される塩基配列と一致するものを有するものが挙げられる。
前記26Sのリボソームに含まれるDNAの塩基配列の部分配列は、配列表の配列番号1に示される塩基配列に示される塩基配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有するものであってもよい。
前記26Sのリボソームに含まれるDNAの塩基配列の部分配列は、配列表の配列番号1に示される塩基配列と95%以上の相同性を有する塩基配列を持つものが好ましい。前記相同性は、98%以上であれば好ましく、99%以上であればより好ましい。
前記ユーロチウム属のカビの培養に使用する培地に限定はなく、例えば、鰹節かび菌の培養に用いられている公知の培地用成分を使用することができる。
例えば、培養に使用する炭素源としては、グルコース、マンノース、フラクトース、マンノース、リボース、キシロース等のアルドース類、グルコン酸、マンノン酸等のアルドン酸類、グルカル酸、マンナル酸等のアルダル酸類、ソルビトール、マンニトール等のアルジトール類、グルクロン酸、マンヌロン酸等のウロン酸類等、
植物、動物由来のでんぷん、抽出液等、
エタノール、グリセリン等の水酸基含有化合物等を挙げることができる。
また培養に使用する窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等を挙げることができる。
また培養に使用するリン源としては、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム等を挙げることができる。
また培養に使用するカリウム源としては、塩化カリウム、硝酸カリウム等を挙げることができる。
前記炭素源、窒素源、リン源、カリウム源等は一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記培地用成分として、必要に応じてpHを調整するための緩衝成分、ポリアクリル酸誘導体等のゲル化成分等を配合することができる。
前記ユーロチウム属のカビを培養するときの条件は以下の通りである。
前記ユーロチウム属のカビの培養を行うときの温度は、15〜55℃の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは20〜45℃の範囲である。
前記ユーロチウム属のカビの培養を行うときの時間は、6時間〜60日の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜30日の範囲であり、さらに好ましくは3〜20日の範囲である。
前記ユーロチウム属のカビの培養を行うときのpHは、2〜8の範囲の範囲が好ましく、より好ましくは3〜7の範囲であり、さらに好ましくは4〜6の範囲である。
前記ユーロチウム属のカビの培養の際に使用する水に特に限定はなく、イオン交換水、蒸留水、水道水、通常の水道水から塩素を除去した工業用水等が使用される。
前記ユーロチウム属のカビの培養後、前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を有機溶媒により抽出する。
前記有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の鎖状脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の環状脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルブチルエーテル等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等が挙げられる。
本発明に使用する有機溶媒は親水性有機溶媒が好ましい。
この様な親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類等が挙げられる。
取り扱い性の面から本発明に使用する有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類であればより好ましい。
本発明に使用する有機溶媒は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
前記ユーロチウム属のカビの培養に使用した培地および前記ユーロチウム属のカビをフラスコ、試験管等の抽出用容器に移し、前記有機溶媒と接触させて前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地を有機溶媒により抽出する。
この抽出操作により、前記ユーロチウム属のカビと、前記ユーロチウムのカビを培養することにより得られた培養物とから有機溶媒に溶解する成分が抽出される。
前記抽出操作の際に、前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)ならびに前記有機溶媒(2)を接触させる順番に限定はなく、例えば、前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)に対して有機溶媒(2)を加えてもよいし、有機溶媒(2)に対して前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)を加えてもよい。また前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)ならびに前記有機溶媒(2)をそれぞれ同時に抽出用容器に投入することにより同時に接触させてもよい。
次に前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)および有機溶媒(2)を含む混合物を攪拌する。
前記混合物を攪拌する操作は、例えば、前記混合物を含む抽出用容器を回転させる方法、前記混合物を含む抽出用容器に磁気式または機械式の攪拌手段を設置して混合物を混ぜる方法、前記混合物を含む抽出用容器を震盪する方法等が挙げられる。
なお、前記震盪する方法には、前記混合物に対して超音波により振動を加える方法が含まれる。
前記混合物を攪拌することにより、前記ユーロチウム属のカビおよび前記ユーロチウム属のカビの培養物を含む培地(1)から前記有機溶媒(2)に溶解する成分を抽出することができる。
前記抽出の際の温度は、15〜150℃の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは20〜100℃の範囲である。前記抽出は通常常圧下に実施されるが、加圧下に実施することも可能である。
前記抽出の際の時間は、1分〜1日間の範囲が好ましく、10分〜12時間の範囲が好ましい。
次に前記混合物から有機溶媒に溶けない成分を除去する。
前記有機溶媒に溶けない成分を除去する方法としては、例えば、遠心分離、濾過等の方法を挙げることができる。
前記混合物から有機溶媒に溶けない成分を除去することにより、カビ培養抽出物の有機溶液を得ることができる。
前記カビ培養抽出物の有機溶液から有機溶媒を留去することにより、カビ培養抽出物を得ることができる。
前記有機溶媒を留去する方法に限定はなく、例えば、前記カビ培養抽出物の有機溶液を常圧下または減圧下に前記有機溶媒の沸点以上の温度に加温する方法等を挙げることができる。
上記の操作により、本発明のカビ溶媒抽出物を得ることができる。
本発明のカビ溶媒抽出物はガン細胞に対して傷害活性を示す。
前記ガン細胞としては、例えば、肺癌患者由来のリンパ球細胞とリンパ腫細胞であるNAT−30細胞とを融合して作製したハイブリドーマ、ヒト大腸癌由来細胞、マウス大腸癌由来細胞、ヒト末梢血リンパ球等の一種もしくは二種以上が挙げられる。
ここで、肺癌患者由来のリンパ球細胞とリンパ腫細胞であるNAT−30細胞とを融合して作製したハイブリドーマとしては、HB4C5、HF10B4等を挙げることができる。HB4C5は、培養及び細胞活性の測定が容易であるという理由から好ましい。
前記ヒト大腸癌由来細胞としては、Colo−201、LoVo、Caco−2、LS180等を挙げることができる。Colo−201、及びCaco−2からなる群より選ばれる少なくとも一つの株化細胞であることが、培養が容易であることから好ましく、Colo−201であることがさらに好ましい。
前記マウス大腸癌由来細胞としては、Colon−26、RKO−E6、CT26、CL25等を挙げることができる。Colon−26であることが、in vivo(動物実験)において効果を検討することが容易であることから好ましい。
また前記カビ培養抽出物は、上記のような株化細胞以外に、ヒト末梢血リンパ球細胞に対して、細胞傷害活性を有するものであってもよい。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[カビの採取]
かつお節からユーロチウム属のカビをマルトモ社の研究所にて採取した。この採取したユーロチウム属のカビ(以下、「No.145株」という)をビーズストックにより冷凍保存した。
ビーズストックにはイワキ社製のマイクロバンクを用いた。No.145株を下記に示す方法により培養し、保存サンプルとした。なおマイクロバンクを用いたNo.145株の保存温度はマイナス40℃である。
前記No.145株の微生物学上の特徴は次の通りである。
(1)生育温度
25〜30℃の範囲で良好に生育する。
(2)生育pH
pH3.0〜pH8.0の範囲で生育が可能である。
(3)培地選択性
寒天培地上で、ツァペック・ドッグス培地、PDA培地(ポテトデキストロース寒天培地)、MY20培地(ぶどう糖200g、ペプトン5g、麦芽エキス3g、酵母エキス3gおよび蒸留水1リットルの組成)、サブロー培地で生育が可能であったが、コーンミール培地で生育させることはできなかった。
(4)顕微鏡を使用した形態観察結果
ホウキ状に配列した梗子をもち、その先端に分生子の数珠上の連鎖を生じる形態が観察された。
(5)MY20寒天培地上でのコロニーの様子
観察開始初期には白色の毛足の長いコロニーを形成した。その後、次第に黄色の毛足の短いコロニーへと変化することが確認された。
[カビの培養]
前記No.145株をMY20(ぶどう糖200g、ペプトン5g、麦芽エキス3g、酵母エキス3gおよび蒸留水1リットルの組成)を使用した寒天培地の培養プレートに植菌し、30℃で7日間培養を行った。
次に前記培養プレート内のシングルコロニーを回収し、新しいMY20を使用した寒天培地の培養プレートに移した。これを同様に30℃で7日間(合計14日間)培養を行った。
なお目視観察により、明らかに生育が遅いものについては、合計14日間培養を行ったものと同様となるまで培養期間を延長した。
[カビの培養物の抽出]
前記No.145株の培養プレートをスパチュラで崩しながら試験管に詰めてメタノールを添加した。
次にシリコーンにより前記試験管に栓をして、室温で30分間超音波を加えて抽出を行った。なお超音波の処理には市販の超音波洗浄機を使用した。
次にメタノールを含む混合物を濾過し、濾過液を回収した。
濾過により得られたメタノールに対する不溶物を試験管に戻し、再度新しいメタノールを添加し、数回試験管を振った。この混合液を再度濾過し、後に得られた濾過液を先に得られた濾過液と合わせた。
次にロータリーエバポレーターにて、合わされた濾過液からメタノールを留去し、カビ培養抽出物1(No.145株)を得た。
[ガン細胞に対する細胞傷害の検証]
試験細胞として下記の細胞を使用した。
・正常細胞:マウス胎児由来繊維芽細胞(日本SLC社より購入したBALB/cマウスを交配し、母胎より摘出した胎児より調製した。)
・ガン細胞:HeLa(ヒト子宮頸ガン、American Typical Type Collectionより購入した。)、Colon26(マウス大腸ガン、東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センターより分譲されたもの。)、HepG2(ヒト肝臓ガン、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 研究資源バンクより分譲されたもの。)
MY20を使用した寒天培地の培養プレートに、マウス胎児由来繊維芽細胞、HeLa、HepG2およびColon26を乗せた。次に先に得られたカビ培養抽出物1をメタノールにより希釈した同一濃度のメタノール溶液をそれぞれの培養プレートに添加した。
それぞれの培養プレートを30℃で48時間培養した。
次に細胞数測定用キットWST−8(キシダ化学社製)を用いて、吸光光度計により各細胞の生存率を相対値として測定した。
生存率の測定は、測定用溶媒のみを使用した場合の吸光光度を100%として行った。
結果を図1〜4に示す。
図1は、正常細胞であるマウス胎児由来繊維芽細胞に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。
図2は、ヒト子宮頸ガン細胞であるHeLaに対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。
図3は、ヒト肝臓ガンであるHepG2に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。
図4は、マウス大腸ガン細胞であるColon26に対するカビ培養抽出物の濃度と生細胞数との関係を示したグラフである。
なお各グラフの添加濃度(%)は、細胞培地に添加したカビ培養抽出物の終濃度を容積比として示したものである。
図1から、カビ培養抽出物1(No.145株を使用)は正常細胞に対してほとんど影響を及ぼさないことが分かる。
また図2〜4により、カビ培養抽出物1のみが特異的にガン細胞に対して細胞傷害を有することが分かる。
特にカビ培養抽出物1の添加濃度が0.1%以上でガン細胞は著しく減少し、0.5%でほぼ死滅することが分かる。
次にNo.145株についてゲノム抽出し、シーケンス解析により株菌の同定を行った。
なおゲノム抽出は、塩化ベンジル法で実施した。またシーケンス解析はダイターミネータ法により、Applied Biosystems社製の3130 Generic analyzerを使用して実施した。
株菌の同定はリボソマールDNA領域を対象として行った。
得られたデータをデータベース(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)と比較した。
その結果、最も近い菌株としてEurotium amstelodami strain UWFP1115(菌株情報データベース番号:GenBank Accession no. AY213699)が存在し、相同性は99%であることが判明した。
前記シーケンス解析により判明したNo.145株の26S(スベドベリ)リボゾームDNA部分配列を配列表の配列番号1に示す。
本発明に係るカビは、26スベドベリのリボソームを有するユーロチウム属のカビであって、前記26スベドベリのリボソームに含まれるDNAの塩基配列の部分配列が、配列表の配列番号1に示される塩基配列または配列番号1に示される塩基配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列を有する、ユーロチウム属のカビであれば好ましい。
また本発明に係るカビは、前記26スベドベリのリボソームに含まれるDNAの塩基配列の部分配列が、配列表の配列番号1に示される塩基配列と95%以上の相同性を有する塩基配列を有するユーロチウム属のカビであればなお好ましい。
前記No.145株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し、2011年4月8日に寄託番号NITE P−1083、微生物の識別の表示Eurotium amstelodami MK145として寄託されたものである。
[比較例1]
実施例1の場合で使用したNo.145株に代えて、かつお節枯節に育成したカビをマルトモ社の研究所にて単離した。この単離されたカビ(以下、「MK82株」という)を使用した他は全く同じ条件で実験を行った。
結果を図1〜4に示す。カビとしてMK82株を使用した場合、カビ培養抽出物にはガン細胞に対する濃度依存性が認められないことが判明した。
[比較例2]
実施例1の場合で使用したNo.145株に代えて、かつお節枯節に育成したカビをマルトモ社の研究所にて単離した。この単離されたカビ(以下、「No.115株」という)を使用した他は全く同じ条件で実験を行った。
結果を図1〜4に示す。カビとしてNo.115株株を使用した場合、カビ培養抽出物にはガン細胞に対する濃度依存性が認められないことが判明した。
[比較例3]
実施例1の場合で使用したNo.145株に代えて、かつお節枯節に育成したカビをマルトモ社の研究所にて単離した。この単離されたカビ(以下、「No.125株」という)を使用した他は全く同じ条件で実験を行った。
結果を図1〜4に示す。カビとしてNo.125株を使用した場合、カビ培養抽出物にはガン細胞に対する濃度依存性が認められないことが判明した。
[比較例4]
実施例1の場合で使用したNo.145株に代えて、かつお節枯節に育成したカビをマルトモ社の研究所にて単離した。この単離されたカビ(以下、「No.135株」という)を使用した他は全く同じ条件で実験を行った。
結果を図1〜4に示す。カビとしてNo.135株を使用した場合、カビ培養抽出物にはガン細胞に対する濃度依存性が認められないことが判明した。
本発明によれば、鰹節の製造に利用されるカビ菌を培養することにより、ガン細胞に対する細胞傷害を有する抽出物が得られる。この抽出物を用いることより、ガン治療の医薬品、食品添加剤等の開発に大きく寄与することが可能となる。
1 実施例1
2 比較例1
3 比較例2
4 比較例3
5 比較例4

Claims (3)

  1. ユーロチウム属のカビを培養する培養工程と、
    前記培養工程により得られたカビおよびカビの培養物を有機溶媒により抽出する抽出工程と、
    前記抽出工程により得られた抽出液から有機溶媒に対する不溶分を除去する除去工程と、を少なくとも有し、
    前記ユーロチウム属のカビが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託された受託番号NITE P−1083、微生物の識別の表示ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、カビ培養抽出物の製造方法。
  2. ユーロチウム属のカビを培養した後、カビおよびカビの培養物からカビ培養抽出物を有機溶媒により抽出し、
    前記ユーロチウム属のカビが、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託された受託番号NITE P−1083、微生物の識別の表示ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、カビ培養抽出物の抽出方法。
  3. 独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センターに対し寄託されたカビであって、
    受託番号が、NITE P−1083であり、
    微生物の識別の表示が、ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami) MK145である、ユーロチウム属のカビ。
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