JP5892240B2 - 圧電ファン - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子を駆動源として羽板部を振動させることにより送風する圧電ファンに関する。
圧電素子を駆動源とする従来の圧電ファンは、例えば、特許文献1および2に示されている。
特許文献1に記載の圧電ファンは、振動板と圧電素子とを備えている。振動板の一端は、3枚の羽板部に分岐している。振動板の他端は、本体固定用穴を備えている。圧電素子は、それぞれの羽板部に取り付けられている。中央の羽板部に係る圧電素子と左右の羽板部に係る圧電素子とは、逆方向に分極している。それぞれの圧電素子に同位相の交流電圧を加えると、中央の羽板部と左右の羽板部は、逆位相で振動する。振動板の固定端では、中央の羽板部と左右の羽板部の振動とが互いに打ち消し合うため、振動は抑制される。圧電ファンは、以上の動作により送風を行う。
特許文献2に記載の圧電ファンは、振動板と圧電素子と支持体とを備えている。振動板は、個別の2枚の羽板部から構成されている。圧電素子は、2枚の羽板部に同じ態様で取り付けられている。支持体は2枚の羽板部を並列に連結支持している。2枚の圧電素子に逆位相の交流電圧を加えると、圧電ファンは上記と同様に動作する。
図6に示す圧電ファンは、特許文献1及び2を先行技術として本願の発明者が考案したものである。図6(A)は圧電ファン10Pの外観斜視図であり、図6(B)は圧電ファン10Pの平面図であり、図6(C)は圧電ファン10Pの側面図である。
圧電ファン10Pは、振動板11、圧電素子121,122,123,131,132,133と支持体141P,142Pとを備える。本体固定用穴151,152は、圧電ファン10P本体を例えば送風先の筐体等に固定するために設けられている。なお、図5では、圧電素子131,132を図示していない。
振動板11は、3枚の羽板部111,112,113とベース部110Pとから一体的に形成されている。羽板部111,112,113は、ベース部110Pの長手方向に沿って、羽板部112、羽板部111、羽板部113の順で配置されている。
羽板部111の一方の平板面には圧電素子121が取り付けられており、羽板部111の他方の平板面には圧電素子131が取り付けられている。羽板部112の一方の平板面には圧電素子122が取り付けられており、羽板部112の他方の平板面には圧電素子132が取り付けられている。羽板部113の一方の平板面には圧電素子123が取り付けられており、羽板部113の他方の平板面には圧電素子133が取り付けられている。中央の羽板部111と左右の羽板部112,113とが逆位相で振動するように、それぞれの圧電素子の分極方向や印加電圧の向きは、設定されている。それぞれの圧電素子に交流電圧を加えると、圧電ファン10Pは上述のように動作する。
支持体141P,142Pは、ベース部110Pの両平面から振動板11を挟み込むことによって、振動板11を支持している。
本体固定用穴151,152は、ベース部110P及び支持体141P,142Pを貫通している。圧電ファン10Pは、例えば本体固定用穴151,152に差し込まれたねじによって、送風先の筐体等に螺合される。
なお、圧電ファン10Pにおいて、多くの場合、ベース部110Pと支持体141P,142Pとは接着剤により接着されている。
特開平2−33500号公報 国際公開第2009/119431号パンフレット
しかしながら、図6に示すような従来の圧電ファンでは、上述のように、本体固定用穴151,152にネジを差し込んで、外部の筐体(圧電ファンを取り付ける筐体)に固定するため、振動板11と外部の筐体とが導通してしまう。これにより、外部の筐体を介してノイズが振動板11に伝搬してしまうことがある。このように、振動板11にノイズが伝搬すると、当該ノイズによって圧電素子の駆動信号が乱れ、所望とする振動を得られなくなってしまう。
本発明の目的は、振動板と外部の筐体との導通を防ぎ、所望とする振動を安定して得ることができる圧電ファンを提供することにある。
この発明の圧電ファンは、次の特徴を有する。圧電ファンは、ベース部と羽板部とを有する振動板と、羽板部に取り付けられている圧電素子と、支持部と本体固定部とを有し支持部によってベース部を支持する保持部材と、を備える。保持部材の本体固定部は、支持部から延伸して設けられている。
この構成では、本体固定部に形成される本体固定用穴は、振動板と支持体とが当接しない部分に形成される。これにより、圧電ファンを外部の筐体に、導電性のネジで固定しても、振動板と外部の筐体とが導通しない。これにより、振動板に外部からのノイズが伝搬されることを防止できる。
また、この発明の圧電ファンは、羽板部が複数であり、本体固定部が複数の羽板部の間に設けられていることが好ましい。
また、この発明の圧電ファンは、本体固定部が振動板を平面視してベース部よりも羽板部側に設けられていることがより好ましい。
これらの構成とすることで、上述の作用効果を実現しながら、圧電ファンを小型に構成できる。特に、本体固定部を支持部よりも羽板部側に形成することで、より小型化が可能である。
また、この発明の圧電ファンは、次の構成であることが好ましい。複数の羽板部は3枚であり、支持部の長手方向に沿って並んで配列されている。配列方向の両端の羽板部と配列方向の中央の羽板部とは、逆位相で振動するように駆動されている。
この構成では、圧電ファンのより具体的な構成例を示している。この構成とすることで、各羽板部の振動がベース部で相殺され、振動が外部に伝搬されない。この際、上述のような構成を備えることにより、各羽板部には、所望の駆動信号がより確実に印加されるので、より確実に振動を相殺することができる。
また、この発明の圧電ファンは、保持部材が絶縁性材料から構成されることが好ましい。
この構成では、保持部材が外部から電気的に絶縁されるので、保持部材を介してノイズが駆動信号に重畳することを防止できる。
この発明によると、振動板と外部の筐体とを確実に絶縁し、所望とする振動を安定して得ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の外観斜視図、平面図、側面図、断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の駆動概念を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る保持部材142の平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電ファン10Aの外観斜視図、平面図、側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る圧電ファン10Bの外観斜視図、平面図、側面図である。 本発明の比較例に係る圧電ファン10Pの外観斜視図、平面図、側面図である。
本発明の第1の実施形態に係る圧電ファンについて、図を参照して説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の外観斜視図である。図1(B)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の平面図である。図1(C)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の側面図である。図1(D)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10のA−A’断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る圧電ファン10の駆動概念を示す図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る保持部材142の平面図である。
圧電ファン10は、振動板11、圧電素子121,122,123,131,132,133、保持部14を備える。
振動板11は、互いに対向する第1平板面と第2平板面とを有し、所定の剛性を有する平板であり、例えば、厚み0.1mmからなるSUS(ステンレススチール)から作られる。
振動板11は、3枚の羽板部111,112,113とベース部110とから一体的に形成されている。羽板部111,112,113およびベース部110は、それぞれ長尺状の平板である。羽板部111,112,113は、ベース部110の長手方向に沿って所定の間隔で、ベース部110に接続されている。羽板部111,112,113は、ベース部110の長手方向に沿って、羽板部112、羽板部111、羽板部113の順で並んで接続されている。羽板部111,112,113の長手方向は、ベース部110の長手方向すなわち羽板部111,112,113の配列方向に対して直交している。
羽板部111,112,113のベース部110に接続する側の端部は、各羽板部111,112,113の固定端となる。一方、羽板部111,112,113の当該固定端と反対側の端部は、自由端となる。
羽板部111,112,113の幅(短手方向の長さ)は、長手方向に沿って変化する。具体的には、羽板部111,112,113の固定端側の幅は、羽板部111,112,113の自由端側の幅よりも短くなっている。これにより、振動板11を平面視して(第1平板面及び第2平板面に直交する方向から見て)、羽板部111と羽板部112の間に所定間隔の空隙が形成され、羽板部111と羽板部113の間に所定間隔の空隙が形成される。
両端の羽板部112,113は、同じ形状をしている。配列方向に沿った中央の羽板部111の幅は、配列方向に沿った両端の羽板部112,113の幅の略2倍である。
圧電素子121は、羽板部111の第1平板面に取り付けられている。圧電素子131は、羽板部111の第2平板面(第1平板面の反対側の面)に取り付けられている。圧電素子122は、羽板部112の第1平板面に取り付けられている。圧電素子132は、羽板部112の第2平板面に取り付けられている。圧電素子123は、羽板部113の第1平板面に取り付けられている。圧電素子133は、羽板部113の第2平板面に取り付けられている。
圧電素子121,122,123,131,132,133は長尺状の平板である。それぞれの圧電素子は、平板面に直交する方向に分極している。それぞれの圧電素子の平板面には、駆動信号印加用の電極が形成されている(図示せず)。
それぞれの圧電素子は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから作られる圧電体と圧電体の両主面に形成された電極とから構成される。なお、振動板11を導電体とすることで、振動板11側の電極を省略することができる。
図2に示すように、圧電素子121の分極方向と圧電素子122,123の分極方向とは、逆となっている。また、圧電素子131の分極方向と圧電素子132,133の分極方向とは、逆となっている。さらに、圧電素子121の分極方向と圧電素子131の分極方向とは同じとなっている。
このように分極された圧電素子121,122,123,131,132,133に同位相の交流電圧を加えると、羽板部111と羽板部112,113は、逆位相で振動する。振動板の固定端では、羽板部111と羽板部112,113の振動とが互いに打ち消し合うため、振動は抑制される。
保持部14は、支持体141と保持部材142とを備える。
支持体141は、ベース部110と略同じ長尺状の平板からなる。支持体141は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料から作られる。支持体141は、ベース部110と長手方向が一致するように、ベース部110の第1平板面に取り付けられている。
保持部材142は、支持部160と本体固定部161,162とから一体的に形成されている。保持部材142は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料から形成されている。このように、支持体141および保持部材142を絶縁性材料で形成することにより、保持部材142を介して外部からのノイズが駆動信号に重畳することを防止できる。これにより、さらに、ノイズのよる振動への悪影響を低減できる。なお、少なくとも保持部材142の本体固定部161,162が絶縁性材料であれば、上述の作用効果を奏することは可能である。
支持部160は、ベース部110と略同じ長尺状の平板からなる。本体固定部161,162は、支持体160の平板面における長手方向に平行な端面から突出している。本体固定部161,162は、ほぼ羽板部111の幅だけ離れて位置している。本体固定部161,162は、それぞれ本体固定用穴151,152を形成されている。圧電ファン10は、例えば、本体固定用穴151,152に差し込まれた金属製ネジ等によって、例えば送風先の筐体のような外部の筐体に螺合されている。
保持部材142は、支持部160とベース部110の長手方向が一致するように、ベース部110の第2平板面に取り付けられている。この際、本体固定部161は羽板部111と羽板部112との間の空隙内に位置し、本体固定部162は羽板部111と羽板部113との間の空隙内に位置している。
このような構成とすることで、本体固定用穴151,152にネジ等の導体の固定部材を差し込んで外部の筐体に螺合しても、ネジを介して振動板11と外部の筐体とが電気的に導通(短絡)しない。したがって、外部の筐体内に含まれる他の回路基板で発生したノイズや、筐体外部から伝搬したノイズが、振動板11に伝搬されることを防止できる。これにより、圧電素子121,122,123,131,132,133の駆動信号にノイズが重畳せず、羽板部111,112,113を安定して所望のように振動させることができる。
また、支持部160とベース部110とが接着剤により接着されることにより、保持部材142が振動板11に取り付けられる。本体固定用穴151,152は支持部160に形成されていないので、本体固定用穴151,152は接着剤によって塞がれるおそれがない。したがって、本体固定用穴に影響を与えず、支持部と振動板との接着性をよくすることができる。
また、本実施形態では、本体固定部161,162は、羽板部間に形成された空隙内に位置している。このように形成すると、圧電ファン10の外形形状が大きくならないため、より好ましい。
また、本体固定部161,162は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料によって形成されている。これにより、金属製ネジ等の導電体によって圧電ファン10を固定したとしても、導電体と振動板11とは本体固定部161,162によって電気的に絶縁される。したがって、外部から振動板に所望の電圧をかける構造を容易に実現することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る圧電ファンについて、図4を参照して説明する。図4(A)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電ファン10Aの外観斜視図である。図4(B)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電ファン10Aの平面図である。図4(C)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電ファン10Aの側面図である。
第2の実施形態の圧電ファン10Aは、支持体141を備えていない点を除いて、第1の実施形態に示した圧電ファン10と同一の構成を備えている。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る圧電ファンについて、図5を参照して説明する。図5(A)は、本発明の第3の実施形態に係る圧電ファン10Bの外観斜視図である。図5(B)は、本発明の第3の実施形態に係る圧電ファン10Bの平面図である。図5(C)は、本発明の第3の実施形態に係る圧電ファン10Bの側面図である。
第3の実施形態に係る圧電ファン10Bは、第1の実施形態の保持部14に代えて保持部14Bを備える。その他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる点を説明する。保持部14Bは、本体固定部161B,162Bを有する保持部材142Bを備える。本体固定部161B,162Bは、ベース部110から羽板部111,112,113が突出していない側に、位置している。
なお、本体固定部の形状や配置等は、上記の実施形態に限定されない。
また、振動板を構成する羽板部の枚数は、上記の実施形態に限定されない。
また、上述の実施形態では、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスから構成しているが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などから構成してもよい。
また、上記の実施形態では、振動板の両方の平板面に圧電素子を取り付けたが(バイモルフ型)、振動板の片方の平板面に圧電素子を取り付けてもよい(ユニモルフ型)。
10,10A,10B,10P:圧電ファン
11,11P:振動板
111,112,113:羽板部
121,122,123,131,132,133:圧電素子
14,14B:保持部
141,141P,142P:支持体
142,142B:保持部材
160:支持部
161,162,161B,162B:本体固定部

Claims (4)

  1. 長尺状の平板であるベース部と、前記ベース部の長手方向に沿って所定の間隔で前記ベース部に接続された複数の羽板部と、を有する平板状の振動板と、
    前記羽板部に取り付けられている圧電素子と、
    持部と、本体固定部とを有し、前記支持部によって前記ベース部を支持する平板状の保持部材と、を備え、
    前記複数の羽板部のうち隣接する羽板部どうしは、互いに逆位相で振動するように駆動され、
    前記保持部材の本体固定部は、前記複数の羽板部の間で、かつ前記支持部の長手方向に平行な端面から延伸して設けられていることを特徴とする圧電ファン。
  2. 前記本体固定部は、前記振動板を平面視して前記ベース部よりも前記羽板部側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧電ファン。
  3. 前記保持部材は、絶縁性材料から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電ファン。
  4. 前記支持部は、前記ベース部と略同じ長尺状である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電ファン。
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