JP5892064B2 - 多孔質中空糸膜の洗浄装置 - Google Patents

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Description

この発明は、多孔質中空糸膜の洗浄装置に関する。
本願は、2011年4月26日に日本に出願された特願2011−098204号、及び2011年4月26日に日本に出願された特願2011−098205号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
食品工業、医療、又は電子工業等の分野における有用成分の濃縮、回収、若しくは不要成分の除去、又は造水等には、セルロースアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、又はフッ素系樹脂等からなり、例えば湿式又は乾湿式紡糸により製造された中空状の多孔質層を有する多孔質中空糸膜が、精密濾過膜、限外濾過膜、又は逆浸透濾過膜等に多用されている。
湿式又は乾湿式紡糸により多孔質中空糸膜を製造する場合には、まず、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとを溶媒で溶解した製膜原液を調製する。ここで親水性ポリマーは、製膜原液の粘度を多孔質中空糸膜の形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加されるものであって、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン等が使用されることが多い。また溶媒としては、疎水性ポリマーと親水性ポリマーを溶解可能で、水に可溶のものが用いられ、例えばN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、又はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。
この製膜原液を環状に吐出し、凝固液中で凝固させる凝固工程により、多孔質中空糸膜が得られる。製膜原液は空気と接触する空走部を経て、凝固液中へ導入されても(乾湿式紡糸法)、空走部を経ずに直接凝固液に導入されても(湿式紡糸法)よい。
ところが、凝固が終わった時点の多孔質中空糸膜中には、通常、その多孔質部に溶媒や親水性ポリマーが溶液の状態で多量に残存している。このように溶媒が残存していると多孔質部が膨潤状態のため機械的強度が低く、親水性ポリマーが残存していると多孔質中空糸膜に求められる重要な性能の一つである透水性能が不十分となる。
そのため、凝固工程の後には、このように残存している溶媒や親水性ポリマーを多孔質中空糸膜から除去する工程が必要となる。
そこで、残存している親水性ポリマーを多孔質中空糸膜から除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、低コスト、又は短時間で多孔質中空糸膜中に残存する親水性ポリマーを除去することが可能な多孔質中空糸膜の洗浄方法が開示されている。具体的には、減圧洗浄部にて多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を減圧し、膜中の親水性ポリマー水溶液を多孔質中空糸膜の外周側へ排出する減圧工程と、減圧洗浄部の後段に設けられた加圧洗浄部にて多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を加圧して洗浄液を膜表面から圧入し、膜中の親水性ポリマー水溶液を置換、及び希釈しながら膜中空部に押し込む洗浄液供給工程と、加圧洗浄部の後段にさらに設けられた減圧洗浄部にて多孔質中空糸膜の外周側を再度減圧し、親水性ポリマー水溶液を多孔質中空糸膜の外周側へ排出させる減圧工程と、を有している。
ところで、特許文献1には、減圧工程及び洗浄液供給工程の一例として、耐圧性の筒部材を用いる方法が記載されている。具体的には、筒部材の両端には、中空糸膜が走行できる程度のクリアランスを有しつつ、筒部材の内部を外部よりも減圧状態又は加圧状態に保つことのできる、例えばラビリンスシールなどからなるシール機構が設けられている。そして、中空糸膜を筒部材内にその一端から連続的に導入するとともに減圧手段又は加圧手段を作動させることにより、筒部材内において、中空糸膜の外周側が減圧又は加圧され、中空糸膜中に残存する親水性ポリマーが中空糸膜の外周側へと吸引、及び除去される。
特開2008−161755号公報
しかしながら、特許文献1の多孔質中空糸膜の洗浄装置には、以下のような問題がある。
特許文献1の多孔質中空糸膜の洗浄装置では,洗浄装置に多孔質中空糸膜を配設する際、筒部材内に多孔質中空糸膜を挿通させる必要がある。ここで、多孔質中空糸膜は軟質の紐状部材であるため、筒部材内に多孔質中空糸膜を挿通させる際の作業性が煩雑である。
したがって、洗浄装置に多孔質中空糸膜を配設する際の作業効率が悪化するおそれがある。
また、何らかの原因により多孔質中空糸膜が筒部材内で詰まる等した場合には、洗浄装置を停止させた後に筒部材を取り外す等して筒部材の内部の確認及びメンテナンスをする必要がある。しかし、筒部材の内部は視認性が悪く、メンテナンスも困難であるという問題がある。特に、筒部材が長く形成されている場合には、この傾向は顕著である。
さらに、筒部材のメンテナンス後に再度多孔質中空糸膜を筒部材内に挿通させる必要があるため、さらに作業効率が悪化し、生産効率が低下するおそれがある。
さらに、例えば、繊維を丸編みして多孔質中空糸膜の円筒状編紐を製造する際に、規定の外径よりも大きな部分が形成され、多孔質中空糸膜を形成したときに瘤等の異常箇所となる場合がある。異常箇所を有する多孔質中空糸膜が筒部材内を走行する際、異常箇所が筒部材内で引っ掛かるおそれがある。これにより、筒部材内で多孔質中空糸膜の詰まりが発生し、洗浄工程の効率が悪化するおそれがある。
そこで、本発明は、簡単かつ効率よく多孔質中空糸膜を配設でき、容易にメンテナンスができる効率の高い多孔質中空糸膜の洗浄装置の提供を目的とする。
また、本発明は、簡単かつ効率よく多孔質中空糸膜を配設でき、多孔質中空糸膜の詰まりを防止して、効率良く多孔質中空糸膜を洗浄できる多孔質中空糸膜の洗浄装置の提供を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の多孔質中空糸膜の洗浄装置は、洗浄液を収容した洗浄槽に多孔質中空糸膜を走行させ、前記多孔質中空糸膜中の水溶性残存物を除去する多孔質中空糸膜の洗浄装置であって、前記洗浄槽内には、一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体が設けられ、前記流路構造体は、本体部と、前記本体部の上方に配置され前記本体部に対して着脱可能な上蓋部と、からなり、前記多孔質中空糸膜の走行方向に沿って前記本体部の上面に形成された走行溝部と、前記入口と前記出口との間において、前記走行方向と直交する断面積が前記走行溝部よりも大きく形成され、前記洗浄液を圧送又は吸引するための分岐流路が形成された拡大空間部と、を有し、前記中空糸膜走行流路は、前記走行溝部と、前記本体部の前記上面に密接して前記走行溝部を覆う前記上蓋部と、により形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、中空糸膜走行流路は、本体部に形成された走行溝部と、本体部に対して着脱可能な上蓋部とにより構成されているので、上蓋部を外すことにより走行溝部の上面が完全に開放され、中空糸膜走行流路内に多孔質中空糸膜を簡単かつ効率よく配設できる。また、多孔質中空糸膜の洗浄時に、何らかの原因により多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内で詰まって洗浄装置が停止した場合であっても、本体部から上蓋部を離脱させることで、中空糸膜走行流路内を簡単に確認して容易にメンテナンスができる。したがって、洗浄装置の効率を高めることができる。
また、前記中空糸膜走行流路は、前記走行方向と直交する断面形状が三角形状又は略矩形状に形成され、前記三角形状又は前記矩形状を形成する二以上の辺のうちの一辺は、前記上蓋により形成されていることが望ましい。
本発明によれば、走行溝部と上蓋部とで形成される中空糸膜走行流路の断面形状を三角形状又は略矩形状に形成することで、中空糸膜走行流路内の多孔質中空糸膜の周囲を流動する洗浄液の流動状態が、多孔質中空糸膜の中心軸に対し軸対称状態となる。これにより、多孔質中空糸膜に対する洗浄液の接触環境が多孔質中空糸膜の周方向で偏らないので、中空糸膜走行流路内の多孔質中空糸膜の走行状態を安定させることができる。さらに、三角形状又は矩形状を形成する二以上の辺のうちの1辺を上蓋部により形成することにより、上蓋部を離脱させて走行溝部に容易に多孔質中空糸膜を配設できる。このように、中空糸膜走行流路内に簡単かつ効率よく多孔質中空糸膜を配設できるので、洗浄装置の効率を高めることができる。
また、前記流路構造体は、前記走行方向と交差する方向に少なくとも二つの前記中空糸膜走行流路を備え、前記各入口と前記各出口との間において、各々個別に拡大空間部が形成されていることが望ましい。
本発明によれば、二以上の中空糸膜走行流路と、各々の中空糸膜走行流路の入口と出口との間に、各々個別に拡大空間部を形成しているので、二以上の多孔質中空糸膜を一度に良好に洗浄できる。したがって、洗浄装置の効率をさらに高めることができる。
また上記の課題を解決するため、本発明の多孔質中空糸膜の洗浄装置は、洗浄液を収容した洗浄槽に多孔質中空糸膜を走行させ、前記多孔質中空糸膜中の水溶性残存物を除去する多孔質中空糸膜の洗浄装置であって、前記洗浄槽内には、一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体が設けられ、前記流路構造体は、本体部と、本体部の上方に配置され前記本体部と着脱可能な上蓋部と、からなり、前記多孔質中空糸膜の走行方向に沿って前記本体部の上面に形成された走行溝部と、前記洗浄液を圧送又は吸引して前記洗浄液を流通させる分岐流路と、を有し、前記中空糸膜走行流路は、前記流路構造体の本体部に形成された前記走行溝部と、前記本体部の前記上面に密接して前記走行溝部を覆う前記上蓋部と、により形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、中空糸膜走行流路は、本体部に形成された走行溝部と、本体部に対して着脱可能な上蓋部とにより構成され、上蓋部を外すことにより走行溝部の上面が完全に開放されるので、中空糸膜走行流路内に多孔質中空糸膜を簡単かつ効率よく配設できる。したがって、洗浄装置の作業効率を高めることができる。
また、本発明によれば、上蓋部を外すことにより中空糸膜走行流路を開放できるので、例えば不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行しようとしたときに、本体部から上蓋部を離脱させるとともに多孔質中空糸膜を走行溝部から離脱させることができる。これにより、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行するのを回避できるので、多孔質中空糸膜の詰まりを防止できる。
また、前記上蓋部の装着と連動して前記走行溝部内に前記多孔質中空糸膜を配置し、前記上蓋部の離脱と連動して前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を離脱させる中空糸膜移動手段を有することが望ましい。
本発明によれば、多孔質中空糸膜の洗浄時において、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行しようとしたときに、本体部から上蓋部を離脱させるのと同時に、走行溝部内から多孔質中空糸膜を離脱できる。これにより、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行するのを回避できる。また、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行するのを回避した後、本体部に上蓋部を装着させるのと同時に、走行溝部内に多孔質中空糸膜を配置できる。これにより、中空糸膜走行流路内に多孔質中空糸膜を簡単かつ効率よく配設できる。
また、前記多孔質中空糸膜が前記中空糸膜走行流路内に導入される前に前記多孔質中空糸膜の外径を検知する外径検知手段と、前記流路構造体内における前記洗浄液の圧送又は吸引の開始又は停止を制御する洗浄液調整手段と、前記上蓋部を移動させて前記本体部に対して前記上蓋部を着脱させる上蓋部移動手段と、を備えていることが望ましい。
本発明によれば、外径検知手段を有しているので、不良に形成された多孔質中空糸膜を確実に検知できる。また、上蓋部移動手段を有しているので、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行しようとしたときに、本体部から上蓋部を離脱させるのと同時に、走行溝部内から多孔質中空糸膜を離脱させて、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行するのを回避できる。また、洗浄液調整手段を有しているので、上蓋部の離脱時に洗浄液の圧送又は吸引を停止させることにより、上蓋部及び多孔質中空糸膜に押圧力又は吸引力が作用するのを防止できる。これにより、上蓋部及び多孔質中空糸膜を容易に移動させることがきる。また、多孔質中空糸膜に押圧力又は吸引力が作用して多孔質中空糸膜が損傷するのを抑制できる。
また、前記外径検知手段により検知した前記多孔質中空糸膜の外径が、所定値よりも大径な異常箇所であると判断した場合に、前記異常箇所が前記中空糸膜走行流路を走行するのを回避する異常箇所回避制御を行い、前記異常箇所回避制御は、前記洗浄液調整手段により前記洗浄液の圧送又は吸引を停止させる洗浄液流動停止動作と、前記洗浄液流動停止動作の後、前記上蓋部移動手段により前記上蓋部を前記本体部から離脱させるとともに、前記中空糸膜移動手段により前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を離脱させる離脱動作と、を備えていることが望ましい。
本発明によれば、異常箇所回避制御を行うことにより、大径に形成された多孔質中空糸膜の異常箇所を回避できるので、中空糸膜走行流路内における多孔質中空糸膜の詰まりを確実に防止できる。
また、異常箇所回避制御では、洗浄液の圧送又は吸引を停止させる洗浄液流動停止動作の後に、上蓋部及び多孔質中空糸膜を離脱させる離脱動作を行うので、上蓋部及び多孔質中空糸膜に押圧力又は吸引力が作用するのを抑制できる。これにより、上蓋部及び多孔質中空糸膜を容易に移動させることがきる。また、多孔質中空糸膜に押圧力又は吸引力が作用して多孔質中空糸膜が損傷するのを抑制できる。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)洗浄液を収容した洗浄槽に多孔質中空糸膜を走行させ、前記多孔質中空糸膜中の残存物を除去する多孔質中空糸膜の洗浄装置であって、前記洗浄槽内には、一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体を備え、前記流路構造体は、分離可能な少なくとも二つの構造体からなり、前記流路構造体は、前記少なくとも二つの構造体のうち、少なくとも一つの構造体に形成された走行溝部と、前記洗浄液を圧送又は吸引して前記洗浄液を流通させる分岐流路と、を有し、前記分岐流路は、前記中空糸膜走行流路に連結されている流路である、前記洗浄装置、
(2)前記中空糸膜走行流路は、中空糸膜走行方向と直交する断面の断面積が、前記走行溝部の中空糸膜走行方向と直交する断面の断面積よりも大きく形成された拡大空間部を有し、前記拡大空間部は、前記中空糸膜走行流路の一端側の入口から前記中空糸膜走行流路の他端側の出口の間に形成されており、前記分岐流路は、前記拡大空間部に連結されている流路である、(1)に記載の洗浄装置、
(3)前記少なくとも二つの構造体のいずれか一方の構造体が少なくとも一つの平面を有し、前記中空糸膜走行流路を構成する一つの面が前記平面を共有している、(1)又は(2)に記載の洗浄装置、
(4)前記中空糸膜走行流路は、前記走行方向と直交する断面形状が三角形状又は矩形状である、(3)に記載の洗浄装置、
(5)前記流路構造体は、前記走行方向と交差する方向に少なくとも二つの前記中空糸膜走行流路を有する、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の洗浄装置、
(6)前記走行流路は、走行する中空糸膜に対応するよう各々個別に形成された流路であり、前記各々個別に形成された前記走行流路に対し、各々個別に前記拡大空間部が形成されている、(5)に記載の洗浄装置、
(7)前記拡大空間部は、中空糸膜の外径をdとしたときに、中空糸膜走行方向に平行な長さXが、2d≦X≦200dを満足し、かつ、中空糸膜走行方向に直交する高さWが、1.5d≦W≦30dを満足する、(2)〜(6)のいずれか一項に記載の洗浄装置、
(8)前記拡大空間部の底面と、前記拡大空間部の底面と前記走行溝部の底面とを接続する側面とのなす角度が90度から175度である、(2)〜(7)のいずれか一項に記載の洗浄装置、
(9)前記少なくとも二つの構造体の着脱と連動して、前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を着脱させる中空糸膜移動手段を有する、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の洗浄装置、
(10)前記多孔質中空糸膜が前記中空糸膜走行流路内に導入される前に前記多孔質中空糸膜の外径異常を検知する外径検知手段と、前記少なくとも二つの構造体の少なくとも一つの構造体を移動させて前記少なくとも二つの構造体を分離させる構造体移動手段と、を備えた(1)〜(9)のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の洗浄装置、
(11)前記外径検知手段により検知した前記多孔質中空糸膜の外径が、所定値よりも大径な異常箇所であると判断した場合に、前記異常箇所が前記中空糸膜走行流路を走行するのを回避する異常箇所回避制御を行う異常箇所回避制御装置を有し、前記異常箇所回避制御は、洗浄液調整手段により前記洗浄液の圧送又は吸引を低減若しくは停止させる洗浄液流量調整動作と、前記洗浄流量調整動作の後、前記少なくとも二つの構造体の少なくとも一つの構造体の前記構造体移動手段により、前記少なくとも二つの構造体を分離させるとともに、前記中空糸膜移動手段により前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を離脱させる離脱動作と、を備えた、(1)〜(10)のいずれか一項に記載の洗浄装置、及び
(12)前記少なくとも二つの構造体の一つが本体部であり、一つが上蓋部であり、前記上蓋部は、前記本体部の上方に配置され前記本体部と着脱可能な構造体である、(1)〜(11)のいずれか一項に記載の洗浄装置。
本発明によれば、中空糸膜走行流路は、本体部に形成された走行溝部と、本体部に対して着脱可能な上蓋部とにより構成されているので、上蓋部を外すことにより走行溝部の上面が完全に開放され、中空糸膜走行流路内に多孔質中空糸膜を簡単かつ効率よく配設できる。また、多孔質中空糸膜の洗浄時に、何らかの原因により多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内で詰まって洗浄装置が停止した場合であっても、本体部から上蓋部を離脱させることで、中空糸膜走行流路内を簡単に確認して容易にメンテナンスができる。したがって、洗浄装置の作業効率を高めることができる。
また、本発明によれば、上蓋部を外すことにより中空糸膜走行流路を開放できるので、例えば不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行しようとしたときに、本体部から上蓋部を離脱させるとともに多孔質中空糸膜を走行溝部から離脱させることができる。これにより、不良に形成された多孔質中空糸膜が中空糸膜走行流路内を走行するのを回避できるので、多孔質中空糸膜の詰まりを防止できる。
多孔質中空糸膜の洗浄装置の説明図である。 流路構造体の斜視図である。 流路構造体の上蓋部を外したときの本体部の斜視図である。 図2における流路構造体のA−A線における断面図である。 図2における流路構造体のB−B線における断面図である。 第2実施形態の流路構造体の本体部の斜視図である。 第2実施形態の流路構造体の上流側から見た走行方向に直交する断面図である。 第3実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置の説明図である。 第3実施形態の流路構造体の側面断面図である。 第3実施形態の流路構造体の上蓋部を外したときの本体部の斜視図である。 第3実施形態の上流側から見た流路構造体の走行方向に垂直な断面図である。 第3実施形態の上蓋部移動手段の説明図である。 第3実施形態の中空糸膜移動手段の説明図である。 第3実施形態の異常箇所回避制御装置のシステムブロック図である。 第3実施形態の異常箇所回避制御の制御フローである。 第3実施形態の離脱動作の説明図である。
本発明の一つの態様である多孔質中空糸膜の洗浄装置は、前記多孔質中空糸膜が順次通過する、洗浄液を収容した少なくとも一つの洗浄槽と、洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を加圧し、洗浄液を多孔質中空糸膜の内周側から外周側に通液させる加圧洗浄部及び/又は洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を減圧し、洗浄液を多孔質中空糸膜の内周側から外周側へ通液させる減圧洗浄部と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給手段と、前記洗浄槽内に備えられた一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体とを有する洗浄装置であって、前記加圧洗浄部は、前記洗浄液中に配置されて内部が洗浄液で満たされる前記流路構造体と、前記流路構造体の中空糸膜走行流路内に洗浄液を圧入して中空糸膜走行流路内の洗浄液の圧力を上昇させる液体圧入手段とを有し、前記減圧洗浄部は、前記洗浄液中に配置されて内部が洗浄液で満たされる前記流路構造体と、前記流路構造体の中空糸膜走行流路内の洗浄液を吸引して中空糸膜走行流路内の洗浄液の圧力を低下させる液体吸引手段とを有し、前記流路構造体は、分離可能な少なくとも二つの構造体からなり、前記流路構造体は、前記少なくとも二つの構造体のうち、少なくとも一つの構造体に形成された走行溝部と、前記洗浄液を圧送又は吸引して前記洗浄液を流通させる分岐流路と、を有し、前記分岐流路は、前記走行溝部に連結されている流路である。
(第1実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置)
以下に、第1実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の多孔質中空糸膜Mの洗浄装置11の説明図である。
図1に示す多孔質中空糸膜Mの洗浄装置11は、多孔質中空糸膜Mが順次通過する、洗浄液Lを収容.した3個の洗浄槽110(第1洗浄槽111、第2洗浄槽112、及び第3洗浄槽113)と、多孔質中空糸膜Mを洗浄する、第1減圧洗浄部120と加圧洗浄部130と第2減圧洗浄部140と、下流側の洗浄槽に清浄な洗浄液を供給する供給手段150と、多孔質中空糸膜Mの走行を規制する規制手段160とを備えて構成される。
以下の説明において、「上流」及び「下流」は多孔質中空糸膜Mの走行方向を基準とし、「上流側」とは洗浄装置11に多孔質中空糸膜Mが供給される側であり、「下流側」とは洗浄装置11から多孔質中空糸膜Mが排出される側とする。
多孔質中空糸膜Mの洗浄装置11は、第1減圧洗浄部120と、加圧洗浄部130と、第2減圧洗浄部140は直列に配列され、この配列の両端には第1減圧洗浄部120と第2減圧洗浄部140とが位置している。
また、最も上流側に配置された第1洗浄槽111には第1減圧洗浄部120が収められ、第1洗浄槽111の下流側の第2洗浄槽112には加圧洗浄部130が収められ、第2洗浄槽112の下流側の第3洗浄槽113には第2減圧洗浄部140が収められている。
(洗浄槽)
洗浄槽110は、洗浄液Lを収容する。
洗浄槽110の材質は特に制限されず、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、若しくはポリアセタールなどの樹脂、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、若しくはチタンなどの金属、若しくはこれら金属を主な成分とする合金類(例えばニッケル合金・チタン合金やジュラルミン又はステンレスなど);又は、これらの複合材料などが挙げられる。特に、第1洗浄槽11の材質はチタンが好ましい。
第1洗浄槽111、第2洗浄槽112、及び第3洗浄槽113の形状及び大きさについては、それぞれ後述する流路構造体123,133,143を浸漬できるものであればよい。
各洗浄槽110には、各洗浄槽110からあふれた分の洗浄液Lを排出するオーバーフロー管111a,112a,113aが設けられている。具体的には、第3洗浄槽113からオーバーフローした洗浄液Lは、第3洗浄槽113のオーバーフロー管113aから第2洗浄槽112へ供給される。また、第2洗浄槽112からオーバーフローした洗浄液Lは、第2洗浄槽112のオーバーフロー管112aから第1洗浄槽111へ供給される。さらに、第1洗浄槽111からオーバーフローした洗浄液Lは、第1洗浄槽111のオーバーフロー管111aから系外へ排出される。
(第1減圧洗浄部)
第1減圧洗浄部120は、洗浄液Lに浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を減圧し、多孔質中空糸膜Mの内周側から外周側へ洗浄液Lを通液させる。
図1に示す第1減圧洗浄部120は、中空糸膜走行流路125と、拡大空間部126と、前記拡大空間部126から分岐する分岐流路122とが内部に形成され、洗浄液L中に配置されて内部が洗浄液Lで満たされる流路構造体123と、前記流路構造体123の拡大空間部126内の洗浄液Lを吸引して、拡大空間部126内の洗浄液Lの圧力を低下させる液体吸引手段124とを有している。
洗浄液Lは、分岐流路122を通じて液体吸引手段124により吸引され、中空糸膜走行流路125内及び/又は拡大空間部126内の洗浄液Lの圧力を低下させている。
液体吸引手段124は、洗浄液Lを吸引するエゼクター124aと、洗浄液Lを作動流体としてエゼクター124aに圧送するポンプ124bと、一端が流路構造体123の分岐流路122と接続され、他端が第1洗浄槽111に接続された第一の配管124cと、一端が第1洗浄槽111に接続され、他端がエゼクター124aに接続された第二の配管124dを有している。
(流路構造体)
図2は、流路構造体123の斜視図である。
本発明の流路構造体は、分離可能な少なくとも二つの構造体からなる。前記構造体の一つが本体部であり、一つが上蓋部であり、前記上蓋部は、前記本体部の上方に配置され前記本体部と着脱可能な構造体であることが好ましい。すなわち、図2に示すように、流路構造体123は、本体部123aと上蓋部123bとにより形成されていることが好ましい。
流路構造体123を構成する本体部123a及び上蓋部123bの材質としては、洗浄液Lで腐食したり、洗浄液Lに侵されたりしない素材であり、洗浄液Lの吸引で変形や破損しない十分な強度を維持できれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、若しくはポリアセタールなどの樹脂、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、若しくはチタンなどの金属若しくは合金類、又はこれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でもチタンが好ましい。
(中空糸膜走行流路)
図3は、流路構造体123の上蓋部123bを外したときの本体部123aの斜視図である。
図4は、図2における流路構造体のA−A線における断面図である。
図5は、図2における流路構造体のB−B線における断面図である。
図3に示すように、本体部123aには、多孔質中空糸膜Mの走行方向に沿って、上面に走行溝部125a,125bが形成されている。上蓋部123bの底面123cが本体部123aの上面に密接して走行溝部125a,125bを覆うことにより、中空糸膜走行流路125(図1参照)が形成される。本実施形態の中空糸膜走行流路125(図2参照)は、多孔質中空糸膜Mの走行方向と平面上で直交する方向に、並列して8本形成されているが、中空糸膜走行流路125の本数は8本に限られることはない。
前記流路構造体は、走行方向と平面上で交差する方向に少なくとも二つの中空糸膜走行流路を有することが好ましい。前記走行溝部は、前記流路構造体を構成する分離可能な少なくとも二つの構造体のうちの少なくとも一つに形成されている。
図4に示すように、中空糸膜走行流路125の、多孔質中空糸膜Mの走行方向と直交する断面形状は、ほぼ三角形状又はほぼ矩形状であればよく、流路の形成が容易な点から矩形が好ましく、特に正方形が好ましい。また、中空糸膜走行流路125の断面形状が矩形であれば、断面形状が円形の場合に比べて、多孔質中空糸膜Mが流路の壁面と接触したとしてもその接触面積がより小さく、損傷が生じ難い点でも有利である。
また、本体部123a側と上蓋部123bの合わせ面の両方に半円形の流路を形成し、閉じ合わせることで円形流路を形成した場合に比べ、中空糸膜走行流路125の断面形状を矩形とし、その一辺を上蓋部123bの底部によって形成すると、走行溝部125a,125bの形成は本体部123a側のみでよく、上蓋部123bの合わせ面をフラットにすることができる。このようにすると、中空糸膜走行流路125を形成する際の加工が容易であり、本体部123a側と上蓋部123bの精密な位置合わせは不要となる。また、走行溝部125a,125bに多孔質中空糸膜Mを配置した際、多孔質中空糸膜Mは流路に完全に埋まり込むため、上蓋部123bを閉じる際に合わせ面に多孔質中空糸膜Mを挟みこんでしまう恐れがなくなる。
中空糸膜走行流路125の断面形状が三角形の場合も、その一辺を上蓋部123bの底部によって形成すると矩形と同じ効果が得られる。中空糸膜走行流路125の断面形状が三角形の場合、正三角形が好ましい。
中空糸膜走行流路125の断面形状を正多角形にすると、中空糸膜走行流路125内の多孔質中空糸膜M周囲を流動する洗浄液Lの流動状態が、多孔質中空糸膜Mの中心軸に対し軸対称状態となり、中空糸膜走行流路125内の多孔質中空糸膜Mの走行状態が安定しやすくなる。
ただし、中空糸膜走行流路125の断面形状は矩形や三角形には限定されず、三角形以外の多角形や円形などであってもよい。
また、中空糸膜走行流路125は曲面で構成されていてもよい。
中空糸膜走行流路125の壁面と多孔質中空糸膜Mの最小隙間は多孔質中空糸膜Mの直径の5%〜40%が好ましく、10%〜20%がより好ましい。
最小隙間が前記下限値以上であれば、多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路125の壁面と接触することによる表面損傷や、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗が増大することを抑制しやすい。
従って、中空糸膜走行流路125の幅d1(図2参照)は多孔質中空糸膜Mの直径の110%〜180%が好ましく、120%〜140%がより好ましいことになる。また、中空糸膜走行流路125の高さd2(図2参照)も、多孔質中空糸膜Mの直径の110%〜180%が好ましく、120%〜140%がより好ましいことになる。
一方、最小隙間が前記上限値以下であれば、多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路125内で、洗浄液Lの流動により振動や屈曲を起こし、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗が増大することを抑制できる。加えて、多孔質中空糸膜Mが走行する中空糸膜走行流路125内の洗浄液Lの圧力を、所定の圧力に低下又は上昇させるのに必要な液体吸引手段124での洗浄液Lの吸引量も抑制できる。
中空糸膜走行流路125の内壁面は、多孔質中空糸膜Mが接触した場合でも多孔質中空糸膜Mの表面が損傷しないように、精密研削仕上げや研磨仕上げによって滑らかに仕上げることが好ましい。また前記仕上げに加え、中空糸膜走行流路125の内壁面には、多孔質中空糸膜Mとの摩擦抵抗を低減させるフッ素系コーティングやダイヤモンドライクカーボンコーティングなどを施すのがさらに好ましい。
(拡大空間部)
図5に示すように、中空糸膜走行流路125の一端側の入口(入口121a)と他端側の出口(出口121b)との間には、拡大空間部126が形成されている。
拡大空間部126は、本体部123aの上面を凹ませることで形成された本体側凹部126bと、本体側凹部126bと対応した位置において上蓋部123bの底面123cを凹ませることで形成された上蓋側凹部126aとにより形成される。
本体側凹部126bは、8本並列に配置された走行溝部125a,125bの全てと連通するように形成されている。また、走行方向における本体側凹部126bの幅は、下方から上方に向かって漸次広くなるように形成されている。すなわち、本体側凹部126bの底面(拡大空間部の底面)と走行溝部125a,125bの底面とを接続する側面126cは、所定の傾斜角度θを有するテーパ面となっている。このように、側面126cをテーパ面とすることで、多孔質中空糸膜Mの走行時に、本体側凹部126bの側面126cと走行溝部125a,125bとで形成されるエッジに多孔質中空糸膜Mが引っ掛かるのを抑制している。
前記傾斜角度、すなわち前記拡大空間部の底面と、前記拡大空間部の底面と前記走行溝部の底面とを接続する側面とのなす角度θ1,θ2は、90〜175度が好ましく、100〜170度がより好ましく、120〜150度がさらに好ましい。前記傾斜角度が上記範囲内であると、前記拡大空間部内の前記走行溝部125a,125bの底面と前記側面126cとのなす角度が鈍角状になるため、中空糸膜を走行流路に導入することが容易になる。
前記拡大空間部における、上流側の前記傾斜角度θ1と下流側の前記傾斜角度θ2は異なっていてもよく、前記拡大空間部内の多孔質中空糸膜Mが均等に加圧されることから、上流側の前記傾斜角度θ1と下流側の前記傾斜角度θ2は等しい角度であることが好ましい。
多孔質中空糸膜Mの外周面から上蓋側凹部126aの底面までの離間距離h1は、多孔質中空糸膜Mの直径の1〜10倍が好ましく、多孔質中空糸膜Mの直径の3〜7倍がより好ましい。また、多孔質中空糸膜Mの外周面から本体側凹部126bの底面までの離間距離h2も同様に、多孔質中空糸膜Mの直径の1〜10倍が好ましく、多孔質中空糸膜Mの直径の3〜7倍がより好ましい。
このように、上蓋側凹部126a及び本体側凹部126bを形成することで、拡大空間部126の断面積は、中空糸膜走行流路125の断面積よりも大きく形成される。拡大空間部126の断面積は、中空糸膜走行流路125の断面積の10〜140倍が好ましく、30〜70倍がより好ましい。
また、このように、拡大空間部126を形成することで、拡大空間部126内において全ての多孔質中空糸膜Mの外周側を略均等に減圧でき、多孔質中空糸膜Mの内周側から外周側へ洗浄液Lを通液できる。
中空糸膜走行流路125と拡大空間部126とを合計した全走行流路の長さD(図2参照)は、100〜2000mmが好ましく、300〜1000mmがより好ましい。そのうち、拡大空間部126の長さは、全走行流路の長さDの10〜50%が好ましく、全走行流路の長さDの20〜40%がより好ましい。
全走行流路の長さDが前記下限値以上であれば、多孔質中空糸膜M周囲の減圧に必要な洗浄液Lの吸引量が少なくてすむ。全走行流路の長さDが前記上限値以下であれば、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗や洗浄装置11が過大になることを抑制しやすい。
拡大空間部126は、中空糸膜の外径をdとしたときに、中空糸膜走行方向に平行な長さXが、2d≦X≦200dを満足し、かつ、中空糸膜走行方向に直交する高さWが、1.5d≦W≦30dを満足することが好ましい。長さXのより好ましい範囲は2.5d≦X≦150dであり、更に好ましい範囲は3d≦X≦100dである。高さWのより好ましい範囲は1.8d≦W≦25dであり、更に好ましい範囲は2d≦W≦20dである。
長さX及び高さWは、2.5d≦X≦150dを満足し、かつ、1.8d≦W≦25dを満足することがより好ましく、3d≦X≦100dを満足し、かつ、2d≦W≦20dを満足することが更に好ましい。
前記長さXは、拡大空間部における中空糸膜の走行方向と同一方向の拡大空間部の長さである。すなわち、側面126cと、拡大空間部の上流側に位置する走行溝部125aとの接点p1と側面126cと、拡大空間部の下流側に位置する走行溝部125aとの接点p2とを結ぶ直線の長さである。
前記高さWは、拡大空間部における中空糸膜の走行方向に対して直交方向の拡大空間部の高さであり、拡大空間部における中空糸膜の走行方向に対して直交方向の上蓋側凹部126aの底面から本体側凹部126bまでの高さである。すなわち、多孔質中空糸膜Mの外周面から上蓋側凹部126aの底面までの離間距離h1と、多孔質中空糸膜Mの外周面から本体側凹部126bの底面までの離間距離h2に多孔質中空糸膜Mの外径dを合計した距離である。
長さXが前記範囲内であると、膜走行方向の洗浄液が流動することにより発生する圧力損失による圧力勾配小さくでき、洗浄液の膜流通量を増やすことができ、かつ、拡大空間部での膜の搖動や撓みを抑制しやすい。
高さWが前記範囲内であると、中空糸膜の周方向の圧力分布を均一化でき、かつ流路構造体の加工コストを抑制できる。
(分岐流路)
分岐流路は、洗浄液を圧送又は吸引して洗浄液を流通させる流路であり、前記中空糸膜走行流路又は前記拡大空間部に連結されている流路である。
図4に示すように、分岐流路122は、本体部123aに形成された本体側凹部126bの底面から外側に貫通して形成されている。
第1減圧洗浄部120では、入口121aから分岐流路122までの距離と、出口121bから分岐流路122までの距離とは等しく形成されている。また、入口121aから分岐流路122までの流路の構造と、出口121bから分岐流路122までの流路の構造は、分岐流路122に対し対称構造であることが好ましい。
このような構造とすると、洗浄液Lを分岐流路122から液体吸引手段124により吸引した際に、中空糸膜走行流路125内に多孔質中空糸膜Mを引き込む力(膜中心軸方向の圧縮力)が分岐流路122を挟んで対称となる。分岐流路122の断面形状は特に限定されず、円形でもよいし矩形でもよい。
(上蓋部)
上蓋部123bは、前記流路構造体123を構成する少なくとも二つの構造体のうちの一つである。
上蓋部123bは、本体部123aに対して着脱可能に形成されており、洗浄装置11の稼動時には、上蓋部123bが本体部123aに固定される。
上蓋部123bの本体部123aへの固定手段としては、ボルトによる締結や、上蓋部123bを昇降させて本体部123aに対して着脱可能とするネジ送り機構、又は油圧シリンダー、空圧シリンダー、若しくは水圧シリンダーなどの流体推進機構を用いたりすることが好ましい。
このように、上蓋部123bが本体部123aに対して着脱可能とすることにより、上蓋部123bを外した状態で走行溝部125a,125b内に容易に多孔質中空糸膜Mを挿入することが可能となる。したがって、中空糸膜走行流路125内に多孔質中空糸膜Mを簡単かつ効率よく配設することができる。また、何らかの原因により多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路125内で詰まって洗浄装置1が停止した場合であっても、本体部123aから上蓋部123bを離脱させることで、中空糸膜走行流路125内を簡単に確認して容易にメンテナンスが行える。
図1に示すように、液体吸引手段124は、中空糸膜走行流路125内の洗浄液Lを分岐流路122を通じて吸引し、中空糸膜走行流路125及び拡大空間部126内の洗浄液Lの圧力を低下させる。
この例の液体吸引手段124は、洗浄液Lを吸引するエゼクター124aと、洗浄液Lを作動流体としてエゼクター124aに圧送するポンプ124bと、第一の配管124cと、第二の配管124dとを有しており、エゼクター124aは第一の配管124cを介して分岐流路122及び第1洗浄槽111と接続されており、拡大空間部126内から、分岐流路122、及び第一の配管124cを通じて洗浄液Lを吸引できるようになっている。
吸引された洗浄液Lは、第一の配管124cを通じて第1洗浄槽111内に戻されるようになっている。ただし、本発明の洗浄装置11はこの形態には限定されず、液体吸引手段124によって吸引した洗浄液Lは廃棄、又は別工程に移送される形態であってもよい。
エゼクター124aは、ポンプ124bから圧送される洗浄液Lの運動エネルギーを利用して、拡大空間部126内の洗浄液Lを分岐流路122を通じて吸引する。具体的には、ポンプ124bより洗浄液Lを加圧しノズル(図示略)から高速吐出させ、その洗浄液Lの運動エネルギーを利用し、洗浄液Lを随伴吸引させる。
通常、液体を高減圧度で吸引する場合、ポンプ流路内やインペラー内で真空泡や減圧沸騰による蒸気泡が発生し、ポンプに異常振動が発生したりキャビテーションによるインペラーの損傷が起こったりする場合がある。
エゼクター124aを用いた吸引は、このような現象やポンプの損傷を防ぐ方法として有効である。
エゼクター124aの構造は極めて単純で、ポンプのような回転部がなく、内部で真空泡や減圧沸騰による蒸気泡が発生して振動が発生しても、エゼクター124aは破損しにくい。加えて、異物を吸引しても破損したり詰まったりする恐れも少ない。
また、例えば第1減圧洗浄部120内部で多孔質中空糸膜Mが切断された場合、その端部を分岐流路122から洗浄液Lとともに吸い込むと、ポンプの回転部分に多孔質中空糸膜Mの端部が巻き付いて、ポンプがロックして停止したり、ポンプインペラーやモーターが破損したりする恐れがある。
これに対し、エゼクター124aの場合は、多孔質中空糸膜Mの端部が巻き付く部分がなく、ポンプ124bからエゼクター124aに加圧供給される洗浄液Lと一緒にエゼクター124aの吐出口から排出されるだけで、ポンプ124bを損傷させる恐れはほとんどない。
ポンプ124bとしては、第1洗浄槽111から洗浄液Lを吸引し、吸引した洗浄液Lをエゼクター124aに供給でき、必要な減圧度に到達できるものが好ましい。例えば単段や多段の渦巻きポンプ、カスケードポンプ、スクロールポンプ、又はギヤポンプなどが挙げられる。またポンプの駆動軸とモーター回転軸がマグネットカップリングにより接続されたシールレスタイプのポンプは、ポンプ回転軸は外気と遮断されており、高減圧状態の洗浄液Lにシール部から外気が漏入し減圧膨張によりポンプ効率が低下する恐れがなく特に好ましい。
液体吸引手段124は、不図示のインバータにより制御できるようになっていることが好ましい。
また、一定の圧力に保ちたい部分に不図示の圧力センサーを設け、前記圧力センサーの出力をインバータにフィードバックして、液体吸引手段124のポンプ124bのポンプ回転速度などを自動制御できるようにすることがより好ましい。
前記減圧洗浄部により減圧した際の圧力範囲は、−0.1MPa以上0MPa未満が好ましく、−0.09MPa以上−0.03MPa未満がより好ましく、−0.08MPa以上−0.04MPa未満が更に好ましい。
(加圧洗浄部)
図1に示す加圧洗浄部130は、洗浄液Lに浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を加圧し、多孔質中空糸膜Mの外周側から内周側へ洗浄液Lを供給させる。
加圧洗浄部130は、洗浄液L中に配置されて内部が洗浄液Lで満たされる流路構造体133と、前記流路構造体133の中空糸膜走行流路135内に洗浄液Lを圧入して中空糸膜走行流路135内の洗浄液Lの圧力を上昇させる液体圧入手段134とを有している。
液体圧入手段134は、洗浄液Lを中空糸膜走行流路135内に圧送するポンプ134bと、一端が第2洗浄槽112と接続され、他端が流路構造体133の分岐流路132に接続された第一の配管134cとを有している。
分岐流路132は第一の配管134cを介して液体圧入手段134のポンプ134bと接続されており、ポンプ134bによって、分岐流路132を通じて中空糸膜走行流路135内に洗浄液Lを圧入できるようになっている。これにより、中空糸膜走行流路135内での洗浄液Lの流動圧力損失によって、中空糸膜走行流路135内での洗浄液Lの圧力を上昇させることができる。
加圧洗浄部130は、このように洗浄液Lが満たされ、かつ加圧された状態の中空糸膜走行流路135内を通過するように、多孔質中空糸膜Mを連続的に走行させるようになっている。
流路構造体133の構成は、第1減圧洗浄部120の流路構造体123と同じである。すなわち、図2から図5に示す流路構造体123のように、中空糸膜走行流路125を形成する走行溝部125a,125b、本体側凹部126b及び分岐流路122が形成された本体部123aの上部が、上蓋側凹部126aが形成された上蓋部123bによって閉じられることで形成されている。
流路構造体133として図2に示す流路構造体123を用いた場合、本体部123aに対し上蓋部123bを密着させた状態で洗浄液Lを圧入すると、中空糸膜走行流路125の内部は加圧状態となり、上蓋部123bを押し上げる力が働いて上蓋部123bが本体部123aから持ち上がり、隙間が生じて加圧状態の洗浄液Lが漏れ、内部の洗浄液Lの圧力が低下することがある。そのため、上蓋部123bには常時、上蓋部123bを押し上げる力より大きな閉止力を与えるのが好ましい。
上蓋部123bへの閉止力付与には、前述のとおり、上蓋部123bを本体部123aにボルトなどで締結したり、上蓋部123bの昇降と閉止力付与を兼ねることができるネジ送り機構、油圧シリンダー、空圧シリンダー、又は水圧シリンダーなどの流体推進機構を用いたりすることが好ましい。
また、中空糸膜走行流路135、拡大空間部136及び分岐流路132の断面形状についても、第1減圧洗浄部120の流路構造体123と同一である。
さらに、中空糸膜走行流路135の幅や高さ、拡大空間部136の長さや面積、又は全走行流路Dの長さ等についても、第1減圧洗浄部120の流路構造体123と同一である。
加圧洗浄部130では、入口131aから分岐流路132までの距離と、出口131bから分岐流路132までの距離とはそれぞれ等しくてもよいし、分岐流路132から出口131bまでの距離を、分岐流路132から入口131aまでの距離よりも短く設定してもよい。
特に、分岐流路132から出口131bまでの距離を、分岐流路132から入口131aまでの距離よりも短くした構造とすると、洗浄液Lを分岐流路132から液体圧入手段134により圧入した際、多孔質中空糸膜Mには中空糸膜走行流路135内から引き出される力(膜中心軸方向の張力)が分岐流路132を挟んで発生するが、その力は出口131b側が強くなり、多孔質中空糸膜Mが入口131aから出口131bに向かって移動させる推力に利用できる。
液体圧入手段134は、第2洗浄槽112内の洗浄液Lを吸引し、分岐流路132を通じて圧入し、中空糸膜走行流路125内及び/又は拡大空間部136内の洗浄液Lの圧力を上昇させる。
この例の液体圧入手段134は、洗浄液Lを中空糸膜走行流路135内に圧送するポンプ134bと、第一の配管134cとを有しており、ポンプ134bは第一の配管134cを介して分岐流路132及び第2洗浄槽112と接続されており、第一の配管134cを通じ分岐流路132を経て中空糸膜走行流路135内に洗浄液Lを圧入できるようになっている。
液体圧入手段134としては、拡大空間部136内に洗浄液Lを分岐流路132を通じて圧入し、所定の圧力を発生可能な揚程、及び吐出量を持つもので、洗浄液Lで腐食しない材質、又は接液部コーティングがされているものであればよい。例えば単段や多段の渦巻きポンプ、カスケードポンプ、スクロールポンプ、又はギヤポンプなどが挙げられる。またポンプの駆動軸とモーター回転軸がマグネットカップリングにより接続されたシールレスタイプのポンプは、ポンプ回転軸は外気と遮断されており、高減圧状態の洗浄液Lにシール部から外気が漏入し減圧膨張によりポンプ効率が低下する恐れがなく特に好ましい。
液体圧入手段134は、不図示のインバータにより制御できるようになっていることが好ましい。
また、一定の圧力に保ちたい部分に不図示の圧力センサーを設け、前記圧力センサーの出力をインバータにフィードバックして、液体圧入手段134のポンプ134bのポンプ回転速度などを自動制御できるようにすることがより好ましい。
前記加圧洗浄部により圧力を付与した際の圧力範囲は、0.01MPa以上1MPa未満が好ましく、0.05MPa以上0.5MPa未満がより好ましく、0.1MPa以上0.3MPa未満が更に好ましい。
(第2減圧洗浄部)
図1に示すように、第2減圧洗浄部140は、洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を減圧し、多孔質中空糸膜Mの内側から外周側へ洗浄液Lを通液させる。
第2減圧洗浄部140は、中空糸膜走行流路145と、拡大空間部146と、前記拡大空間部146から分岐する分岐流路142とが内部に形成され、洗浄液L中に配置されて内部が洗浄液Lで満たされる流路構造体143と、前記流路構造体143の拡大空間部146内の洗浄液Lを吸引して、拡大空間部146内の洗浄液Lの圧力を低下させる液体吸引手段144とを有している。
液体吸引手段144は、洗浄液Lを吸引するエゼクター144aと、洗浄液Lを作動流体としてエゼクター144aに圧送するポンプ144bと、一端が流路構造体143の分岐流路142と接続され、他端が第3洗浄槽113に接続された第一の配管144cと、一端が第3洗浄槽113に接続され、他端がエゼクター144aに接続された第二の配管144dを有している。
第2減圧洗浄部140は、第1減圧洗浄部120と同じ構成であるため、各部材についての説明は省略する。
(供給手段)
供給手段150は、最も下流側に配置された洗浄槽110(本実施形態では第3洗浄槽)に清浄な洗浄液を供給する。供給手段150は、清浄な洗浄液を収容するタンク151と、清浄な洗浄液を第3洗浄槽113に送る供給配管152とを備える。
(規制手段)
規制手段160は、多孔質中空糸膜Mの走行を規制する。
図1の規制手段60は、ガイドロール161a〜161jから構成されている。多孔質中空糸膜Mは、これらガイドロール161a〜161jによって走行を規制される。具体的には、図1に示すように、多孔質中空糸膜Mは連続的に第1洗浄槽111に収容された洗浄液L中に引き込まれ、第1減圧洗浄部120の入口121aから流路構造体123の中空糸膜走行流路125内に導入され、中空糸膜走行流路125内及び拡大空間部126内の洗浄液L中を通過して出口121bから導出された後、洗浄液Lの外部へと引き出される。ついで、多孔質中空糸膜Mは第2洗浄槽12に収容された洗浄液L中に引き込まれ、加圧洗浄部130の入口131aから流路構造体133の中空糸膜走行流路135内に導入され、中空糸膜走行流路135内及び拡大空間部136内の洗浄液L中を通過して出口131bから導出された後、洗浄液Lの外部へと引き出される。引き続き、第3洗浄槽13に収容された洗浄液L中に引き込まれ、第2減圧洗浄部140の入口141aから流路構造体143の中空糸膜走行流路145内に導入され、中空糸膜走行流路145内及び拡大空間部146内の洗浄液L中を通過して出口141bから導出された後、洗浄液Lの外部へと引き出されるようになっている。
規制手段160におけるガイドロール161a〜161jとしては、多孔質中空糸膜Mの製造に通常使用されるガイドロールが使用できる。
本洗浄装置の中空糸膜の走行方向の下流側には、中空糸膜走行流路毎にガイドロール161jを駆動させる、個別定張力駆動アシストロール(図示略)を設置してもよい。前記アシストロールを設置することにより、中空糸膜走行流路125内での中空糸膜Mの張力を安定化することができ、中空糸膜の撓みや揺動による前記走行流路内の詰まりを回避することができる。
本洗浄装置において、本体部123aの上蓋部123bと接する面であって、前記走行流路125と平行かつ前記流路構造体123の最も外側に位置する前記面にパッキンを設置してもよい。前記パッキンを設置することにより、加圧洗浄時に走行流路125を流れる洗浄液の、走行方向と直交する方向への漏れを防止できる。洗浄液の漏れを防止することにより、走行流路125を走行する多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路125上の洗浄液の漏れ部に洗浄液の漏れに伴い貼りついてしまい走行できない状態となり走行流路が詰まる現象を防止できる。
(第1実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、中空糸膜走行流路125は、本体部123aに形成された走行溝部125a,125bと、本体部123aに対して着脱可能な上蓋部123bと、により構成されているので、上蓋部123bを外すことにより、走行溝部125a,125bの上面が完全に開放され、中空糸膜走行流路125内に多孔質中空糸膜Mを簡単かつ効率よく配設できる。また、多孔質中空糸膜Mの洗浄時に、何らかの原因により多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路125内で詰まって洗浄装置11が停止した場合であっても、本体部123aから上蓋部123bを離脱させることで、中空糸膜走行流路125内を簡単に確認して容易にメンテナンスができる。したがって、洗浄装置11の効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、走行溝部125a,125bと上蓋部123bとで形成される中空糸膜走行流路125の断面形状を三角形状又は略矩形状に形成することで、中空糸膜走行流路125内の多孔質中空糸膜Mの周囲を流動する洗浄液Lの流動状態が、多孔質中空糸膜Mの中心軸に対し軸対称状態となる。これにより、多孔質中空糸膜Mに対する洗浄液Lの接触環境が多孔質中空糸膜Mの周方向で偏らないので、中空糸膜走行流路125内の多孔質中空糸膜Mの走行状態を安定させることができる。さらに、流路構造体を構成する分離可能な少なくとも二つの構造体のうち少なくとも一つの構造体が少なくとも一つの平面を有し、前記中空糸膜走行流路を構成する一つの面が前記平面を共有していることが好ましい。すなわち、三角形状又は矩形状を形成する二以上の辺のうちの1辺を上蓋部123bにより形成することにより、上蓋部123bを離脱させて走行溝部125a,125bに容易に多孔質中空糸膜Mを配設できる。このように、中空糸膜走行流路25内に簡単かつ効率よく多孔質中空糸膜Mを配設できるので、洗浄装置11の効率を高めることができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の流路構造体123の本体部123aの斜視図である。
図7は、上流側から見た第2実施形態の流路構造体123の走行方向に直交する断面図である。
上述した第1実施形態では、図3に示すように、拡大空間部126を構成する本体側凹部126bが8本並列に配置された走行溝部125a,125bの全てと連通するように形成されていた。これに対して、第2実施形態では、図6に示すように、本体側凹部126bが8本並列に配置された走行溝部125a,125bに対して、それぞれ独立に8個形成されている点で、第1実施形態とは異なっている。以下に、第2実施形態の流路構造体123について説明する。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図7に示すように、本体側凹部126bは、8本形成された中空糸膜走行流路125の入口121aと出口121bとの間において、それぞれ独立に8個形成されている。各本体側凹部126bの下方には、各本体側凹部126bを接続する接続凹部126dが形成されている。すなわち、各本体側凹部126b本体部123aの上面と接続凹部126dとを連通する貫通孔として形成されており、下方が接続凹部126dを介して各本体側凹部126bが連通されている。接続凹部126dの底部には分岐流路122が形成されており、分岐流路122を通じて液体吸引手段124により洗浄液Lが吸引されることで、拡大空間部126内の洗浄液Lの圧力を低下させている。
(第2実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、二以上の中空糸膜走行流路125と、各々の中空糸膜走行流路125の入口121aと出口121bとの間に、各々個別に拡大空間部126を形成しているので、二以上の多孔質中空糸膜Mを一度に良好に洗浄できる。したがって、洗浄装置11の効率をさらに高めることができる。
(第3実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置)
本発明の一つの態様である第3実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置は、前記多孔質中空糸膜が順次通過する、洗浄液を収容した少なくとも一つの洗浄槽と、洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を加圧し、洗浄液を多孔質中空糸膜の内周側から外周側に通液させる加圧洗浄部及び/又は洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜の外周側の洗浄液を減圧し、洗浄液を多孔質中空糸膜の内周側から外周側へ通液させる減圧洗浄部と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給手段と、前記洗浄槽内に備えられた一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体と、中空糸膜移動手段とを有する洗浄装置であって、前記加圧洗浄部は、前記洗浄液中に配置されて内部が洗浄液で満たされる前記流路構造体と、前記流路構造体の中空糸膜走行流路内に洗浄液を圧入して中空糸膜走行流路内の洗浄液の圧力を上昇させる液体圧入手段とを有し、前記減圧洗浄部は、前記洗浄液中に配置されて内部が洗浄液で満たされる前記流路構造体と、前記流路構造体の中空糸膜走行流路内の洗浄液を吸引して中空糸膜走行流路内の洗浄液の圧力を低下させる液体吸引手段とを有し、前記流路構造体は、分離可能な少なくとも二つの構造体からなり、前記流路構造体は、前記少なくとも二つの構造体のうち、少なくとも一つの構造体に形成された走行溝部と、前記洗浄液を圧送又は吸引して前記洗浄液を流通させる分岐流路と、を有し、前記分岐流路は、前記走行溝部に連結されている流路であり、前記中空糸膜移動手段は、前記少なくとも二つの構造体の着脱と連動して、前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を着脱させる。
以下に、第3実施形態の多孔質中空糸膜の洗浄装置について、図面を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態の多孔質中空糸膜Mの洗浄装置21の説明図である。
第3実施形態は、走行溝部内から多孔質中空糸膜を着脱させる中空糸膜移動手段を有する点、及び異常箇所回避制御S10を行う点で、第1及び第2実施形態とは異なっている。以下に第3実施形態の多孔質中空糸膜Mの洗浄装置21について説明する。第1又は第2実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図8に示す多孔質中空糸膜Mの洗浄装置21は、多孔質中空糸膜Mが順次通過する、洗浄液Lを収容した3個の洗浄槽210(第1洗浄槽211、第2洗浄槽212、及び第3洗浄槽213)と、多孔質中空糸膜Mを洗浄する、第1減圧洗浄部220と加圧洗浄部230と第2減圧洗浄部240と、下流側の洗浄槽に清浄な洗浄液を供給する供給手段250と、多孔質中空糸膜Mの走行を規制する規制手段260とを備えて構成される。
多孔質中空糸膜Mの洗浄装置21は、第1減圧洗浄部220と、加圧洗浄部230と、第2減圧洗浄部240は直列に配列され、この配列の両端には第1減圧洗浄部220と第2減圧洗浄部240とが位置している。
また、最も上流側に配置された第1洗浄槽211には第1減圧洗浄部220が収められ、第1洗浄槽211の下流側の第2洗浄槽212には加圧洗浄部230が収められ、第2洗浄槽212の下流側の第3洗浄槽213には第2減圧洗浄部240が収められている。
(洗浄槽)
洗浄槽210は、洗浄液Lを収容する。
洗浄槽210の材質、形状、大きさ、及び構成は、前記第1実施形態の洗浄槽と同じである。
(第1減圧洗浄部)
図9は、第3実施形態の流路構造体223の側面図である。
第1減圧洗浄部220は、洗浄液Lに浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を減圧し、多孔質中空糸膜Mの内周側から外周側へ洗浄液Lを通液させる。
図8に示す第1減圧洗浄部220は、中空糸膜走行流路225(図9参照)と、拡大空間部226(図9参照)と、前記拡大空間部226から分岐する分岐流路222(図9参照)とが内部に形成され、洗浄液L中に配置されて内部が洗浄液Lで満たされる流路構造体223と、前記流路構造体223の拡大空間部226内の洗浄液Lを吸引して、拡大空間部226内の洗浄液Lの圧力を低下させる液体吸引手段224とを有している。
前記流路構造体223の構成は、第1実施形態の流路構造体123と同じである。
(流路構造体)
図9に示すように、流路構造体223は、本体部223aと、上蓋部223bと、前記上蓋部223bの上流側及び下流側に設けられた中空糸膜移動手段280(280a,280b)と、を備えている。
流路構造体223を構成する本体部223a及び上蓋部223bの材質は、第1実施形態の本体部123a及び上蓋部123bの材質と同じである。
(中空糸膜走行流路)
図10は、流路構造体223の上蓋部223bを外したときの本体部223aの斜視図である。
図11は、上流側から見た流路構造体223の走行方向に垂直な断面図である。
図10に示すように、本体部223aには、多孔質中空糸膜Mの走行方向に沿って、上面に走行溝部225a,225bが形成されている。図11に示すように、上蓋部223bの底面223cが本体部223aの上面に密接して走行溝部225a,225bを覆うことにより、中空糸膜走行流路225が形成される。本実施形態の中空糸膜走行流路225は、多孔質中空糸膜Mの走行方向と平面上で直交する方向に、並列して8本形成されているが、中空糸膜走行流路225の本数は8本に限られることはない。
中空糸膜走行流路225は、第1実施形態の中空糸膜走行流路125と同じ構成であるため、各部材についての説明は省略する。
(拡大空間部)
図9に示すように、中空糸膜走行流路225の入口221aと出口221bとの間には、拡大空間部226が形成されている。前記拡大空間部226の構成は第1実施形態の拡大空間部126と同じである。
多孔質中空糸膜Mの外周面から上蓋側凹部226aの底面までの離間距離h1、多孔質中空糸膜Mの外周面から本体側凹部226bの底面までの離間距離h2、拡大空間部226の断面積、及び中空糸膜走行流路225と拡大空間部226とを合計した全走行流路の長さDは、第1実施形態の拡大空間部126と同じである。
(分岐流路)
図11に示すように、分岐流路222は、本体部223aに形成された本体側凹部226bの底面から外側に貫通して形成されている。前記分岐流路222の構成は、第1実施形態の分岐流路122と同じである。
(上蓋部)
上蓋部223bは、前記流路構造体223を構成する少なくとも二つの構造体のうちの一つであり、構造体移動手段は、前記少なくとも二つの構造体を分離させる手段である。
図12は、第3実施形態の上蓋部223b、及び上蓋部移動手段(構造体移動手段)290の説明図である。図12は、走行方向から流路構造体223及び上蓋部移動手段290を見たときの説明図となっている。
図12に示すように、上蓋部223bは、後述する上蓋部移動手段290により、上蓋部223bが下降移動することで本体部223aに装着され、上蓋部223bが上昇移動することで本体部223aから離脱されるように形成されている。すなわち、上蓋部223bは、昇降動作によって本体部223aに対して着脱可能に形成されている。
上蓋部223bは、平面視略矩形状に形成されており、上蓋部223bの四隅には、上蓋部移動手段290を構成するガイドロッド293が挿通されるガイド孔292が形成されている。
上蓋部223bは、ガイド孔292とガイドロッド293により水平方向に位置規制されるとともに、ガイドロッド293に沿って昇降移動可能となっている。上蓋部移動手段290によりガイドロッド293に沿うように昇降移動されることで、上蓋部223bが本体部223aに対して着脱可能となっている。
このように、上蓋部223bが本体部223aに対して着脱可能とすることにより、上蓋部223bを外した状態で走行溝部225a,225b内に容易に多孔質中空糸膜Mを挿入することが可能となる。したがって、中空糸膜走行流路225内に多孔質中空糸膜Mを簡単かつ効率よく配設することができる。
さらに、後述する異常箇所回避制御S10(図15参照)では、多孔質中空糸膜Mの外径異常箇所を検知したときに、本体部223aから上蓋部223bを上昇させて離脱させるとともに、多孔質中空糸膜Mを上昇させて中空糸膜走行流路225から離脱させている。これにより、異常箇所J(図16参照)を有する多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内で詰まるのを防止している。
(上蓋部移動手段)
本実施形態の上蓋部移動手段290は、上蓋部223bの上方に配置された空圧シリンダー295である。空圧シリンダー295は、上蓋部223bの上面に固定され昇降移動可能なピストン部291と、ピストン部291を昇降させるシリンダーチューブ294と、本体部223aの四隅から上方に立設された4本のガイドロッド293と、により構成されている。
上蓋部移動手段290は、不図示のエア源により、シリンダーチューブ294内へ空気を供給することにより、ピストン部291を昇降移動させている。
ピストン部291は、上蓋部223bの上面に固定されており、上蓋部223bは、ピストン部291の昇降移動に連動して昇降移動するように構成されている。前述のとおり、上蓋部223bの各ガイド孔292にはそれぞれガイドロッド293が挿通されているため、上蓋部223bはガイドロッド293に沿って昇降移動する。上蓋部223bの上蓋部移動手段290としては、空圧シリンダーに限られることはなく、油圧シリンダー、又は水圧シリンダーであってもよい。
(中空糸膜移動手段)
図13は、中空糸膜移動手段280(280a,280b)の説明図である。上流側の中空糸膜移動手段280a及び下流側の中空糸膜移動手段280bは、同一の構成となっている。したがって、以下の説明では、上流側の中空糸膜移動手段280aについてのみ説明をし、下流側の中空糸膜移動手段280bの説明は省略している。
中空糸膜移動手段280aは、前記流路構造体223を構成する少なくとも二つの構造体の着脱と連動して、前記走行溝部225a,225b内から前記多孔質中空糸膜Mを着脱させる手段である。
中空糸膜移動手段280aは、主に上蓋部223bの上流側端面において、走行方向と交差する方向に固定される一対のブラケット281aと、一対のブラケット281a間において回転可能に軸支された回転ローラ285aと、により構成されている。
図13に示すように、ブラケット281aは、鉄やSUS等の金属や樹脂等により平面視略L字形状に形成されている。ブラケット281aの一辺は上蓋部223bの上流側端面に固定される台座部282aとなっており、他辺は回転ローラ285aを軸支する軸支部283aとなっている。ブラケット281aは、例えばボルト289により上蓋部223bの上流側端面に固定されるが、固定手段はボルト289に限られず、例えば溶接等であってもよい。
図9に示すように、ブラケット281aの軸支部283aは、本体部223aに形成された走行溝部225a,225bの底面よりも下方に延出されて形成されている。
軸支部283aの下方への延出長さは、上蓋部223bが本体部223aに密着して装着されている状態において、一対の軸支部283aの間に配置された回転ローラ285aの外周面が多孔質中空糸膜Mの下方に配置されるように設定される。さらに、軸支部283aの下方への延出長さは、回転ローラ285aと多孔質中空糸膜Mとの離間距離が、前述の上蓋部移動手段290の上昇ストローク長よりも短くなるように設定される。これにより、上蓋部移動手段290が上蓋部223bを上昇させたときに、回転ローラ285aが多孔質中空糸膜Mに当接して、多孔質中空糸膜Mを上方に移動させることができる。
図13に示すように、回転ローラ285aは、金属や樹脂等により形成された円柱状構造体であり、一対のブラケット281aの軸支部283a間に、回転可能に軸支されている。回転ローラ285aの軸方向の移動は、例えばナット288を回転ローラ285aの軸芯286に締結することで規制される。
また、回転ローラ285aの軸芯286と、ブラケット281aの軸支部283aとの間には、回転ローラ285aの軸芯286とブラケット281aとの摺動抵抗を低減し、回転中心からの軸芯286のズレを防止するベアリング284が設けられている。
本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」という。)からなる樹脂製のベアリング284を用いることが好ましい。PEEKは、ポリエーテルケトン樹脂の一種で、結晶性の熱可塑性樹脂に属する合成樹脂である。PEEKは、非常に高い耐熱特性を有しており、耐疲労性又は耐摩耗性に優れている。さらに、寸法安定性も高く、耐薬品性にも優れている。また、金属製のベアリングとは異なり、非常に軽量である。
ベアリング284の材料は、PEEKに限られることは無く、例えばフェノール樹脂やポリテトラフルオロエチレン等、その他の樹脂材料であってもよい。また、ベアリング284の材料は、樹脂材料に限られることは無く、SUS材等の金属材料であってもよい。
図8に示すように、液体吸引手段224は、中空糸膜走行流路225内の洗浄液Lを、分岐流路222を通じて吸引し、中空糸膜走行流路225及び拡大空間部226内の洗浄液Lの圧力を低下させる。
第3実施形態の液体吸引手段224、エゼクター224a、及びポンプ224bの構成は、第1実施形態の液体吸引手段124、エゼクター124a及びポンプ124bの構成と同じである。
第3実施形態の液体吸引手段224は、後述の異常箇所回避制御S10(図15参照)において、洗浄液調整制御部2130(図14参照)により制御されており、外径検知手段2120によって多孔質中空糸膜の異常箇所を検出した場合に、ポンプ224bを停止させて洗浄液流動停止動作S20を行っている。洗浄液流動停止動作S20の詳細については後述する。
(加圧洗浄部)
図8に示す第3実施形態の加圧洗浄部230は、洗浄液Lに浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を加圧し、多孔質中空糸膜Mの外周側から内周側へ洗浄液Lを供給させる。
加圧洗浄部230、及び分岐流路232の構成は、第1実施形態の加圧洗浄部130及び分岐流路132の構成と同じである。
流路構造体233の構成は、第1減圧洗浄部220の流路構造体223と同じである。すなわち、図9から図11に示す流路構造体223のように、中空糸膜走行流路225を形成する走行溝部225a,225b、本体側凹部226b及び分岐流路222が形成された本体部223aの上部が、上蓋側凹部226aが形成された上蓋部223bによって閉じられることで形成されている。
流路構造体233として図9に示す流路構造体223を用いた場合、本体部223aに対し上蓋部223bを密着させた状態で洗浄液Lを圧入すると、中空糸膜走行流路225の内部は加圧状態となり、上蓋部223bを押し上げる力が働いて上蓋部223bが本体部223aから持ち上がり、隙間が生じて加圧状態の洗浄液Lが漏れ、内部の洗浄液Lの圧力が低下することがある。そのため、上蓋部223bには常時、上蓋部223bを押し上げる力より大きな閉止力を与えるのが好ましい。
上蓋部223bへの閉止力付与には、前述の油圧シリンダー、空圧シリンダー、又は水圧シリンダーなどの流体推進機構を用いている。これにより、上蓋部223bが自動制御で昇降可能に構成されるとともに、上蓋部223bに閉止力付与が可能となり、加圧洗浄部230においても異常箇所回避制御を行うことができる。
また、中空糸膜走行流路235、拡大空間部236及び分岐流路232の断面形状についても、第1減圧洗浄部220の流路構造体223と同一である。
さらに、中空糸膜走行流路235の幅や高さ、拡大空間部236の長さや面積、又は全走行流路Dの長さ等についても、第1減圧洗浄部220の流路構造体223と同一である。
加圧洗浄部230の入口231a及び出口231bの構成は、第1実施形態の加圧洗浄部130の入口131a及び出口131bと同じである。
液体圧入手段234は、第2洗浄槽212内の洗浄液Lを吸引し、分岐流路232を通じて圧入し、拡大空間部236内の洗浄液Lの圧力を上昇させる。
第3実施形態の液体圧入手段234の構成は、第1実施形態の液体圧入手段134と同じである。
第3実施形態の液体圧入手段234は、不図示のインバータにより制御できるようになっている。
また、一定の圧力に保ちたい部分に不図示の圧力センサーを設け、前記圧力センサーの出力をインバータにフィードバックして、液体圧入手段234のポンプ234bのポンプ回転速度などを自動制御できるように構成されている。
さらに、前記液体圧入手段234は、後述の異常箇所回避制御S10(図15参照)において、洗浄液調整制御部2130(図14参照)により制御されており、外径検知手段2120により多孔質中空糸膜の異常箇所を検出した場合に、ポンプ234bを停止させて洗浄液流動停止動作S20を行っている。洗浄液流動停止動作S20の詳細については後述する。
(第2減圧洗浄部)
図8に示すように、第3実施形態の第2減圧洗浄部240は、洗浄液に浸漬された多孔質中空糸膜Mの外周側の洗浄液を減圧し、多孔質中空糸膜Mの内側から外周側へ洗浄液Lを通液させる。前記第2減圧洗浄部240の構成は、第1実施形態の減圧洗浄部140と同じである。
(供給手段)
供給手段250の構成は、第1実施形態の供給手段150と同じである。
(規制手段)
規制手段260は、多孔質中空糸膜Mの走行を規制する。
図8の第3実施形態の規制手段260は、ガイドロール261a〜261jから構成されている。多孔質中空糸膜Mは、これらガイドロール261a〜261jによって走行を規制される。第3実施形態の規制手段260の構成は、第1実施形態の規制手段160と同じである。
また、後述する異常箇所回避制御S10の際には、中空糸膜移動手段280の回転ローラ285も規制手段260として機能する。具体的には、異常箇所回避制御S10により上蓋部223bが上昇したときに、流路構造体223,233,243の上流側及び下流側において、回転ローラ285aが多孔質中空糸膜Mに当接し、多孔質中空糸膜Mを上方に移動させて多孔質中空糸膜Mの走行を規制している。
(異常箇所回避制御装置)
図14は、異常箇所回避制御装置2100のシステムブロック図である。
異常箇所回避制御装置2100は、前記外径検知手段2120により検知した多孔質中空糸膜Mの外径が、所定値よりも大きな異常箇所Jであると判断した場合に、前記異常個所Jが中空糸膜走行流路225を走行することを回避する、異常箇所回避制御S10を行う。
多孔質中空糸膜Mの外径の所定値とは外径値の閾値であり、中空糸膜走行流路の幅d1、中空糸膜走行流路の高さd2より定められる値である。
異常箇所回避制御装置2100は、多孔質中空糸膜Mの直径を検知する外径検知手段2120と、洗浄液Lの圧送又は吸引の開始若しくは停止を制御する洗浄液調整制御部2130(請求項11の「洗浄液調整手段」に相当。)と、構造体移動手段、すなわち上蓋部移動手段290を制御する上蓋部移動手段制御部2140と、外径検知手段2120の信号から異常箇所を検知し、洗浄液調整制御部2130及び上蓋部移動手段制御部2140に信号を与える統合制御部2110と、により構成されている。
(外径検知手段)
外径検知手段2120は、多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内に導入される前に、前記多孔質中空糸膜Mの外径の異常箇所Jを検知する手段である。
外径検知手段2120は、図8に示すように、各洗浄槽210の上流側に配置され、多孔質中空糸膜Mの直径(外径)を検知している。
外径検知手段2120は、例えばCCDカメラ等の画像読取装置であり、画像によって多孔質中空糸膜Mの直径(外径)を検知している。外径検知手段2120は、CCDカメラ等の画像読取装置に限られることは無く、例えば、光学式外径測定器や、レーザ式外径測定器であってもよい。
(統合制御部)
統合制御部2110は、外径検知手段2120により検知された多孔質中空糸膜Mの外径が、所定値よりも大径な異常箇所であるか否かを判断している。また、多孔質中空糸膜Mの外径が、所定値よりも大径な異常箇所であると判断した場合には、洗浄液調整制御部2130及び上蓋部移動手段制御部2140に異常箇所回避制御S10の開始信号(以下「制御開始信号」という。)を与える。さらに、多孔質中空糸膜Mの異常箇所Jが流路構造体223,233,243を通過した後には、異常箇所回避制御S10の停止信号(以下「制御開始信号」という。)を与える。
(洗浄液調整制御部)
洗浄液調整制御部2130は、統合制御部2110からの制御開始信号及び制御停止信号に基づき、洗浄液Lの圧送又は吸引の停止又は開始を制御している。洗浄液調整制御部2130は、第1減圧洗浄部220のポンプ224b、加圧洗浄部230のポンプ234b及び第2減圧洗浄部240のポンプ244bと接続されており、統合制御部2110からの制御開始信号及び制御停止信号に基づき、各ポンプ224b,234b,244bに対して停止又は駆動させるように指令を与えている。
(上蓋部移動手段制御部)
上蓋部移動手段制御部2140は、統合制御部2110からの制御開始信号及び制御停止信号に基づき、上蓋部移動手段290を駆動させて上蓋部223bを上昇又は降下させている。具体的には、上蓋部移動手段制御部2140は、上蓋部移動手段290の不図示のエアポンプに接続されている。統合制御部2110からの制御開始信号に基づきエアポンプを駆動させてシリンダーチューブ294内の空気を吸引することによりピストン部291を上昇させ、上蓋部223bを上昇させている。また、統合制御部2110からの制御停止信号に基づきエアポンプを駆動させてシリンダーチューブ294内に空気を圧送することによりピストン部291を下降させ、上蓋部223bを下降させている。
(異常箇所回避制御S10)
図15は、異常箇所回避制御S10の制御フローである。
統合制御部2110により、走行する多孔質中空糸膜Mに異常箇所があると判定された場合には、異常箇所回避制御S10を行う。
図15に示すように、異常箇所回避制御S10は、洗浄液流動停止動作S20と、離脱動作S30と、装着動作S40と、洗浄液流動開始動作S50と、により行われる。以下に各動作について説明する。異常箇所回避制御S10は、第1減圧洗浄部220、加圧洗浄部230及び第2減圧洗浄部240の各洗浄部で行われるが、その制御フローは同一である。したがって、以下では、第1減圧洗浄部220における異常箇所回避制御S10についてのみ説明をし、加圧洗浄部230及び第2減圧洗浄部240における異常箇所回避制御S10については説明を省略する。
(洗浄液流動停止動作S20)
異常箇所回避制御S10では、始めに洗浄液流動停止動作S20が行われる。
洗浄液流動停止動作S20では、洗浄液調整制御部2130からポンプ224bに対して停止信号を与えている。これにより、第1減圧洗浄部220における洗浄液Lの吸引が停止する。
(離脱動作S30)
図16は、離脱動作S30の説明図である。図面をわかりやすくするために、図16では上蓋部移動手段290の図示を省略している。
異常箇所回避制御S10では、洗浄液流動停止動作S20に続いて、離脱動作S30が行われる。
離脱動作S30では、流路構造体223を構成する少なくとも二つの構造体の少なくとも一つの構造体を移動させて、前記少なくとも二つの構造体を分離させる。
離脱動作S30では、上蓋部移動手段制御部2140から上蓋部移動手段290に対して、ピストン部291を上昇させるように信号を与える。これにより、ピストン部291の上昇に連動して上蓋部223bが上昇し、図16に示すように本体部223aから上蓋部223bが離脱する。さらに、上蓋部223bの上昇に連動して中空糸膜移動手段280の回転ローラ285aが上昇する。そして、回転ローラ285aが多孔質中空糸膜Mに当接して、多孔質中空糸膜Mを上方に移動させている。これにより、多孔質中空糸膜Mは走行溝部225a,225bから離脱し、多孔質中空糸膜Mの異常箇所Jが本体部223aと上蓋部223bとの間を空走する。したがって、異常箇所Jは、中空糸膜走行流路225内で詰まることなく通過する。
(装着動作S40)
異常箇所回避制御S10では、離脱動作S30に続いて、装着動作S40が行われる。
装着動作S40では、異常箇所Jが流路構造体223を通過して流路構造体223の下流側に移動したと判断したとき、上蓋部移動手段制御部2140から上蓋部移動手段290に対して、ピストン部291を下降させるように信号を与える。これにより、ピストン部291の下降に連動して上蓋部223b及び回転ローラ285aが下降し、図9に示すように、多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内に配置されるとともに、本体部223aに対して上蓋部223bが装着される。
異常箇所Jが流路構造体223の下流側に移動したか否かは、例えば、外径検知手段2120を異常箇所Jが通過した時点から、任意のある時間を経過した時点までの時間における、異常箇所Jの走行速度と異常箇所Jの移動距離との関係から判断できる。
(洗浄液流動開始動作S50)
異常箇所回避制御S10では、装着動作S40に続いて洗浄液流動開始動作S50が行われる。
洗浄液流動開始動作S50では、洗浄液調整制御部2130からポンプ224bに対して駆動信号を与えている。これにより、第1減圧洗浄部220における洗浄液Lの吸引が再度開始され、多孔質中空糸膜Mの洗浄が再開される。
以上で、異常箇所回避制御S10が終了する。
(作用効果)
本実施形態によれば、中空糸膜走行流路225は、本体部223aに形成された走行溝部225a,225bと、本体部223aに対して着脱可能な上蓋部223bと、により構成されているので、上蓋部223bを外すことにより中空糸膜走行流路225内に多孔質中空糸膜Mを簡単かつ効率よく配設できる。したがって、洗浄装置21の作業効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、上蓋部223bを外すことにより中空糸膜走行流路225を開放できるので、例えば不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行しようとしたときに、本体部223aから上蓋部223bを離脱させるとともに多孔質中空糸膜Mを走行溝部225a,225bから離脱させることができる。これにより、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行するのを回避できるので、多孔質中空糸膜Mの詰まりを防止できる。
また、本実施形態によれば、多孔質中空糸膜Mの洗浄時において、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行しようとしたときに、本体部223aから上蓋部223bを離脱させるのと同時に、走行溝部225a,225b内から多孔質中空糸膜Mを離脱できる。これにより、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行するのを回避できる。また、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行するのを回避した後、本体部223aに上蓋部223bを装着させるのと同時に、走行溝部225a,225b内に多孔質中空糸膜Mを配置できる。これにより、中空糸膜走行流路225内に多孔質中空糸膜Mを簡単かつ効率よく配設できる。
また、本実施形態によれば、外径検知手段2120を有しているので、不良に形成された多孔質中空糸膜Mを確実に検知できる。また、上蓋部移動手段290を有しているので、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路25内を走行しようとしたときに、本体部223aから上蓋部223bを離脱させるのと同時に、走行溝部225a,225b内から多孔質中空糸膜Mを離脱させて、不良に形成された多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路225内を走行するのを回避できる。また、洗浄液調整制御部2130を有しているので、上蓋部223bの離脱時に洗浄液Lの圧送又は吸引を停止させることにより、上蓋部223b及び多孔質中空糸膜Mに押圧力又は吸引力が作用するのを防止できる。これにより、上蓋部223b及び多孔質中空糸膜Mを容易に移動させることがきる。また、多孔質中空糸膜Mに押圧力又は吸引力が作用して多孔質中空糸膜Mが損傷するのを抑制できる。
また、本実施形態によれば、異常箇所回避制御S10を行うことにより、大径に形成された多孔質中空糸膜Mの異常箇所Jを回避できるので、中空糸膜走行流路225内における多孔質中空糸膜Mの詰まりを確実に防止できる。
また、異常箇所回避制御S10では、洗浄液Lの圧送又は吸引を停止させる洗浄液流動停止動作S20の後に、上蓋部223b及び多孔質中空糸膜Mを離脱させる離脱動作S30を行うので、上蓋部223b及び多孔質中空糸膜Mに押圧力又は吸引力が作用するのを抑制できる。これにより、上蓋部223b及び多孔質中空糸膜Mを容易に移動させることがきる。また、多孔質中空糸膜Mに押圧力又は吸引力が作用して多孔質中空糸膜Mが損傷するのを抑制できる。
(他の実施形態)
この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明の洗浄装置1は、図1又は図8に示す洗浄装置11又は21に限定されない。例えば洗浄装置11又は21では、流路構造体123,133,143、223,233,又は243の全体が洗浄液L中に浸漬されているが、中空糸膜走行流路125,135,145、225,235,又は245の入口121a,131a,141a、221a,231a,又は241a、及び出口121b,131b,141b、221b,231b,又は241bが洗浄液L中に配置されて各流路内が洗浄液Lで満たされるものであれば、流路構造体123,133,143、223,233,又は243の全体を洗浄液L中に浸漬する形態には限定されない。
加圧洗浄部130又は230は、液体圧入手段134又は234によって分岐流路132又は232から圧入される洗浄液Lで中空糸膜走行流路135又は235内及び拡大空間部136又は236内が満たされ、中空糸膜走行流路135又は235を経て入口131a又は231a及び出口131b又は231bから洗浄液Lが排出される。
また、第1減圧洗浄部120又は220、及び第2減圧洗浄部140又は240の液体吸引手段124,144、224,又は244は、エゼクター124a,144a、224a,又は244aを用いた吸引システムに限定されず、例えば吸引ポンプ等で中空糸膜走行流路125,145、225,245内の洗浄液Lを、分岐流路122,142、222,242を通じて吸引してもよい。
また、図1又は図8に示す洗浄装置11又は21は、第1減圧洗浄部120又は220、加圧洗浄部130又は230、及び第2減圧洗浄部140又は240はそれぞれ別々の洗浄槽110(第1洗浄槽111〜第3洗浄槽113)又は210(第1洗浄槽211〜第3洗浄槽213)に収められているが、例えば、第1減圧洗浄部120又は220と加圧洗浄部130又は230とが同じ洗浄槽110又は210に収められていてもよい。洗浄槽110又は210の数は技術の適用にあわせて適宜変更される設計事項である。
以上の実施形態では、第1減圧洗浄部120又は220と第2減圧洗浄部140又は240の間に一つの加圧洗浄部130又は230が設けられた洗浄装置11又は21を説明したが、本発明はこれに限定されず、加圧洗浄部は二以上設けられていてもよい。
上述した洗浄装置11又は21では、下流側の洗浄槽が上流側の洗浄槽よりも高い位置になるように配列されているが、各洗浄槽は同じ高さになるように横並びに配列されていてもよい。
また、各洗浄槽は横並びの配列に限られず、縦並びの配列であってもよい。
また、上述した実施形態では、洗浄槽の個数は3個であったが、洗浄槽の個数は3個に制限されない。ただし、洗浄装置11又は21の小型化の観点から、2〜3個程度が好ましい。
第3実施形態における中空糸膜移動手段280は、上蓋部223bの端面に固定されて設けられており、上蓋部移動手段290による上蓋部223bの昇降移動に連動して中空糸膜移動手段280も昇降移動するように形成されていた。しかし、例えば、中空糸膜移動手段280を上蓋部223bに固定せずに独立して設け、さらに中空糸膜移動手段280を昇降させる昇降手段を独立して設けてもよい。ただし、装置構成が簡単である点で、本実施形態に優位性がある。
また、第3実施形態では、異常箇所回避制御S10の装着動作S40において、異常箇所Jが流路構造体223の下流側に移動したか否かは、所定時間経過したときの異常箇所Jの走行速度と移動距離との関係から判断をしていた。しかし、例えば、流路構造体223の下流側に外径検知手段2120を設け、下流側の外径検知手段2120の検知データから異常箇所Jが流路構造体223の下流側に移動したと判断してもよい。ただし、外径検知手段2120を流路構造体223の下流側に設けることなく低コストに洗浄装置を構成できる点で、本実施形態に優位性がある。
また、第3実施形態では、異常箇所回避制御S10において、異常箇所Jが流路構造体223の下流側に移動した後、装着動作S40を自動で行っていた。しかし、装着動作S40は必ずしも自動で行われる必要はなく、手動で行ってもよい。
本発明の洗浄装置は、中空糸膜走行流路内に多孔質中空糸膜を簡単かつ効率よく配設でき、中空糸膜走行流路内を簡単に確認して容易にメンテナンスができる。したがって、洗浄装置の作業効率を高めることができるため、食品工業、医療又は電子工業等の分野などにおいて利用可能性がある。
11,21 洗浄装置
110,210 洗浄槽
111,211 第1洗浄槽(洗浄槽)
112,212 第2洗浄槽(洗浄槽)
113,213 第3洗浄槽(洗浄槽)
121a,131a,141a,221a,231a,241a 入口
121b,131b,141b,221b,231b,241b 出口
122,132,142,222,232,242 分岐流路
123a,133a,143a,223a,233a,243a 本体部
123b,133b,143b,223b,233b,243b 上蓋部
123,133,143,223,233,243 流路構造体
125,135,145,225,235,245 中空糸膜走行流路
125a,135a,145a,225a,235a,245a 走行溝部
125b,135b,145b,225b,235b,245b 走行溝部
126,136,146 拡大空間部
290 上蓋部移動手段
2120 外径検知手段
2130 洗浄液調整制御部(洗浄液調整手段)
L 洗浄液
M 多孔質中空糸膜
J 異常箇所
S10 異常箇所回避制御
S20 洗浄液流動停止動作
S30 離脱動作

Claims (12)

  1. 洗浄液を収容した洗浄槽に多孔質中空糸膜を走行させ、前記多孔質中空糸膜中の残存物を除去する多孔質中空糸膜の洗浄装置であって、
    前記洗浄槽内には、一端側の入口から他端側の出口に向かって前記多孔質中空糸膜が連続的に走行可能な中空糸膜走行流路を有する流路構造体を備え、
    前記流路構造体は、分離可能な少なくとも二つの構造体からなり、
    前記流路構造体は、前記少なくとも二つの構造体のうち、少なくとも一つの構造体に形成された走行溝部と、前記洗浄液を圧送又は吸引して前記洗浄液を流通させる分岐流路と、を有し、
    前記分岐流路は、前記中空糸膜走行流路に連結されている流路である、前記洗浄装置。
  2. 前記中空糸膜走行流路は、中空糸膜走行方向と直交する断面の断面積が前記走行溝部の中空糸膜走行方向と直交する断面の断面積よりも大きく形成された拡大空間部を有し、
    前記拡大空間部は、前記中空糸膜走行流路の一端側の入口から前記中空糸膜走行流路の他端側の出口の間に形成されており、
    前記分岐流路は、前記拡大空間部に連結されている流路である、請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記少なくとも二つの構造体のいずれか一方の構造体が少なくとも一つの平面を有し、
    前記中空糸膜走行流路を構成する一つの面が前記平面を共有している、請求項1又は2に記載の洗浄装置。
  4. 前記中空糸膜走行流路の、前記走行方向と直交する断面形状が三角形状又は矩形状である、請求項3に記載の洗浄装置。
  5. 前記流路構造体は、前記走行方向と交差する方向に少なくとも二つの前記中空糸膜走行流路を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  6. 前記走行流路は、走行する中空糸膜に対応するよう各々個別に形成された流路であり、前記各々個別に形成された前記走行流路に対し、各々個別に前記拡大空間部が形成されている、請求項5に記載の洗浄装置。
  7. 前記拡大空間部は、中空糸膜の外径をdとしたときに、
    中空糸膜走行方向に平行な長さXが、2d≦X≦200dを満足し、
    かつ、中空糸膜走行方向に直交する高さWが、1.5d≦W≦30dを満足する、請求項2〜6のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  8. 前記拡大空間部の底面と、前記拡大空間部の底面と前記走行溝部の底面とを接続する側面とのなす角度が90度から175度である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  9. 前記少なくとも二つの構造体の着脱と連動して、前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を着脱させる中空糸膜移動手段を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  10. 前記多孔質中空糸膜が前記中空糸膜走行流路内に導入される前に前記多孔質中空糸膜の外径の異常箇所を検知する外径検知手段と、
    前記少なくとも二つの構造体の少なくとも一つの構造体を移動させて前記少なくとも二つの構造体を分離させる構造体移動手段と、を備えた請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の洗浄装置。
  11. 前記外径検知手段により検知した前記多孔質中空糸膜の外径が、所定値よりも大径な異常箇所であると判断した場合に、前記異常箇所が前記中空糸膜走行流路を走行するのを回避する異常箇所回避制御を行う異常箇所回避制御装置を有し、
    前記異常箇所回避制御は、
    洗浄液調整手段により前記洗浄液の圧送又は吸引を低減若しくは停止させる洗浄液流量調整動作と、
    前記洗浄流量調整動作の後、前記少なくとも二つの構造体の少なくとも一つの構造体の前記構造体移動手段により、前記少なくとも二つの構造体を分離させるとともに、前記中空糸膜移動手段により前記走行溝部内から前記多孔質中空糸膜を離脱させる離脱動作と、を備えた、請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  12. 前記少なくとも二つの構造体の一つが本体部であり、一つが上蓋部であり、
    前記上蓋部は、前記本体部の上方に配置され前記本体部と着脱可能な構造体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の洗浄装置。
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