JP5891822B2 - 水蒸気バリアフィルムの製造方法およびこれを利用した電気デバイス - Google Patents

水蒸気バリアフィルムの製造方法およびこれを利用した電気デバイス Download PDF

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Description

本発明は、水蒸気バリアフィルムの製造方法およびこれを利用した電気デバイスに関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物を含む薄膜(ガスバリア層)を形成したガスバリアフィルムが、食品、医薬品等の分野で物品を包装する用途に用いられている。ガスバリアフィルムを用いることによって、水蒸気や酸素等のガスによる物品の変質を防止することができる。
このようなガスバリアフィルムを製造する方法としては、フィルム等の基材上にプラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法、化学蒸着法)によって金属を蒸着してガスバリア層を形成する方法、ポリシラザンを主成分とする塗布液を基材上に塗布した後、表面処理してガスバリア層を形成する方法、またはこれらを併用する方法が知られている。
しかしながら、これらの製造方法で形成されたガスバリア層には、基材表面に存在する突起やガスバリア層中への異物混入によって微細孔が生じることがある。また、ガスバリア層の膨張・収縮によって微小なひび割れが生じることがある。さらに、取り扱い時の折り曲げや接触などによって傷が発生することがある。このような欠陥が生じたガスバリア層は、その欠陥箇所を通じてガスが透過することがあり、完全にガスを遮断することができない。
ところで、ガスバリアフィルムは、軽くて割れにくく、フレキシブル性に優れていることから、近年、上記包装用途以外の用途、例えば、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の電子デバイス等にも使用されている。電子デバイスにガスバリアフィルムを適用するためには、高いバリア性とともに、透明性、耐熱性等を有することが必要である。これまでに、電子デバイスへの適用を指向したガスバリアフィルムが報告されている。
例えば、特許文献1には、基材フィルム上に、少なくとも1層の有機層と、少なくとも1層の無機層と、少なくとも1層の捕水層を有するガスバリアフィルム、すなわち、無機層からなるガスバリア層に、捕水層を設けたガスバリアフィルムが記載されている。
また、特許文献2には、基材フィルム上に少なくとも2層の無機ガスバリア層を有する水蒸気バリアフィルムにおいて、2層の無機ガスバリア層の間に少なくとも1層のアルカリ土類金属一酸化物からなる吸湿性層を有することを特徴とする水蒸気バリアフィルムが記載されている。
さらに、特許文献3には、透明基板上に少なくとも1層の金属窒化物膜が形成されてなる透明積層体であって、前記金属窒化物膜が、少なくとも酸素分子及び/又は水分子が存在する雰囲気中において酸化されうるものであることを特徴とする透明積層体が記載されている。
また、特許文献4には、シリカ蒸着層や塩化ビニリデン等をコートした、外部からの水分の侵入を防ぐためのフイルム(防湿層)が記載されている。
特開2009−90633号公報 特開2006−82241号公報 特開2009−29070号公報 特開平7−153571号公報
しかしながら、電子デバイスに適用されるガスバリアフィルムは、電子デバイスの製造工程や、電子デバイス使用時において、高温高湿環境にさらされることがある。また、電子デバイス製造時において、純水やアルカリ性溶液による洗浄等が行われることがある。特許文献1〜4に記載のガスバリアフィルムには、このような環境下において、ガスバリア性や透明性が低下(劣化)し、ムラが生じうることが判明した。
そこで本発明は、高温高湿の環境や、純水等に浸漬された場合であっても、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)や透明性に優れ、ムラの発生が抑制される水蒸気バリアフィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を行った結果、水蒸気バリアフィルムを所定の方法で製造することにより上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
1.基材と、前記基材上に配置された水蒸気バリア層と、を有する水蒸気バリアフィルムの製造方法であって、ポリシラザン、少なくとも1種の第1の溶媒、および少なくとも1種の第2の溶媒を含む第1の塗布液を前記基材上に塗布および乾燥して、第1の塗膜を形成する工程(1)と、前記第1の塗膜に真空紫外光を照射して水蒸気バリア層を形成する工程(2)と、を含み、この際、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、前記第1の溶媒の蒸発速度が40以下であり、かつ、前記第2の溶媒の蒸発速度が100以上である、製造方法;
2.前記第1の溶媒の蒸発速度が、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、20以下である、1.に記載の製造方法;
3.前記第1の塗布液中の前記第1の溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の総量に対して20質量%以下である、1.または2.に記載の製造方法;
4.前記水蒸気バリア層の厚さが、50〜1000nmである、1.〜3.のいずれか1つに記載の製造方法;
5.前記第1の真空紫外光の積算光量が、1000〜10000mJである、1.〜4.のいずれか1つに記載の製造方法;
6.ポリシロキサンを含む第2の塗布液を前記水蒸気バリア層上に塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程(3)と、前記第2の塗膜に真空紫外光を照射して保護層を形成する工程(4)と、をさらに含む、1.〜5.のいずれか1つに記載の製造方法;
7.前記保護層の厚さが、100〜10000nmである、6.に記載の製造方法;
8.前記第2の真空紫外光の積算光量が、500〜10000mJである、6.または7.に記載の製造方法;
9.前記基材が、線膨張係数50ppm/℃以下であり、かつ、全光線透過率90%以上である、1.〜8.のいずれか1つに記載の製造方法;
10.電子デバイス本体と、1.〜9.のいずれか1つの方法によって製造された水蒸気バリアフィルムと、を含む、電子デバイス;
11.前記電子デバイス本体が、前記水蒸気バリアフィルムによって封止されてなる、10.に記載の電子デバイス。
本発明により、高温高湿下の環境や、純水等に浸漬された場合であっても、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)や透明性に優れ、ムラの発生が抑制される水蒸気バリアフィルムを製造する方法を提供できる。
本発明に用いられる真空紫外光照射装置の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態によれば、基材と、前記基材上に配置された水蒸気バリア層と、を有する水蒸気バリアフィルムの製造方法が提供される。この際、前記製造方法は、ポリシラザン、少なくとも1種の第1の溶媒、および少なくとも1種の第2の溶媒を含む第1の塗布液を前記基材上に塗布および乾燥して、第1の塗膜を形成する工程(1)と、前記第1の塗膜に真空紫外光を照射して水蒸気バリア層を形成する工程(2)と、を含む。また前記製造方法は、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、前記第1の溶媒の蒸発速度が40以下であり、かつ、前記第2の溶媒の蒸発速度が100以上であることを特徴とする。
<工程(1)>
工程(1)は、ポリシラザン、少なくとも1種の第1の溶媒、および少なくとも1種の第2の溶媒を含む第1の塗布液を基材上に塗布および乾燥して、第1の塗膜を形成する工程である。
[基材]
本発明に係る水蒸気バリアフィルムに用いられる基材は、水蒸気バリア層を保持することができるフィルム状の基材であれば特に限定されないが、可撓性および透過性を有する折り曲げ可能なフィルム基材であることが好ましい。なお、本明細書中において、「ガス透過性を有する」とは、モコン法に従いPERMATRAN−W3/33(MOCON社製)を用いて、JIS規格のK7129法(温度40℃、相対湿度(RH)90%)に基づいて測定した水蒸気透過率が、0.5g/m/日以上であることを意味する。
基材の具体例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂フィルム;有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(シルプラス:新日鐵化学株式会社製);透明ポリイミドのフィルム(透明ポリイミド系フィルム タイプHM:東洋紡株式会社製、透明ポリイミド系フィルム ネオプリムL L−3430:三菱ガス化学株式会社製)等が挙げられる。これらのうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)を用いることが好ましい。また、デバイスを封止する加工工程で高温処理が必要な場合には、耐熱性および透明性の観点から、透明ポリイミドフィルムを用いることが好ましい。これらの基材は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記の樹脂フィルムを用いた基材は、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。
上記の樹脂フィルムを用いた基材は、従来公知の一般的な製法により製造することができる。例えば、樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、前記未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍であることが好ましい。
本発明に用いる基材の厚さは5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
本発明に用いる基材は、線膨張係数が50ppm/℃以下であることが好ましく、1〜50ppm/℃であることが好ましい。基材の線膨張係数が50ppm/℃以下であると、液晶表示装置(LCDパネル)等の電子デバイスに水蒸気バリアフィルムを適用した場合、環境温度変化等に対する色ズレの発生や基材の変形を抑制しうることから好ましい。なお、本明細書において「線膨張係数」とは、下記の方法により測定した値を採用するものとする。具体的には、EXSTAR TMA/SS6000型熱応力歪測定装置(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、測定する基材を窒素雰囲気下で5℃/分で30℃から50℃まで加熱した後、一時温度を維持する。その後、再度5℃/分で30〜150℃に加熱し、このとき、引張モード(荷重5g)で基材の寸法変化を測定する。当該値から線膨張係数が求められる。
また、本発明に用いる基材の全光線透過率は、90%以上であることが好ましい。全光線透過率が90%以上であると、液晶表示装置(LCDパネル)等の電子デバイスに水蒸気バリアフィルムを適用した場合、高い輝度が得られうることから好ましい。なお、本明細書において、「全光線透過率」とは、分光光度計(可視紫外線分光光度計 UV−2500PC:株式会社島津製作所製)を用いて、ASTM D−1003規格に準拠して可視光線の入射光量に対する全透過光量を測定して算出される、可視光域における平均透過率を意味する。
上述した基材上には、適宜その他の層(中間層)を形成してもよい。中間層としては、アンカーコート層、平滑層、およびブリードアウト防止層等が挙げられる。
(アンカーコート層)
アンカーコート層は、基材と水蒸気バリア層との密着性を向上させ、かつ、高い平滑性を付与する機能を有する。アンカーコート層は、例えば、アンカーコート剤を基材上に塗布することによって形成されうる。
用いられうるアンカーコート剤としては、特に制限されないが、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等が挙げられる。これらのアンカーコート剤は、単独で、または2種以上組み合わせて用いられうる。前記アンカーコート剤には、さらに公知の添加剤、例えば溶剤、希釈剤等を加えてもよい。
アンカーコート剤の基材へのコーティング方法としては、特に制限されないが、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等が挙げられる。基材上にコーティングされたアンカーコート剤中に含まれうる溶剤や希釈剤等を乾燥除去することによって、アンカーコート層が形成されうる。
当該アンカーコート剤は、乾燥状態で0.1〜5g/mとなる塗布量で塗布されることが好ましい。
(平滑層)
平滑層は、通常、基材の一方の面上に形成され、微小な突起等が存在する基材の粗面を平坦化し、基材上に成膜する水蒸気バリア層などにおける凹凸やピンホールの発生を防止する機能を有する。平滑層は、感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成されうる。
前記感光性樹脂組成物は、通常、感光性樹脂、光重合開始剤、および溶媒を含む。
前記感光性樹脂としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限されないが、ラジカル反応性不飽和結合を有するアクリレート化合物を含有する樹脂、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを含有する樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いられうる。
前記光重合開始剤としては、特に制限されないが、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられるこれらの光重合開始剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられうる。
前記溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;α−またはβ−テルピネオール等のテルペン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル等のエステル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてさらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、無機粒子、感光性樹脂以外の樹脂等の添加剤が添加されていてもよい。
これらのうち、好ましい添加剤の一つは、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」とも称する)である。前記光重合性を有する感光性基としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基が挙げられる。反応性シリカ粒子が有する光重合性を有する感光性基と、感光性樹脂が有する重合性不飽和基とが反応することによって水蒸気バリア層との密着性が向上しうる。
前記反応性シリカ粒子としては、特に制限されないが、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが有する加水分解性シリル基を加水分解することによって、シリカ粒子とシリルオキシ基を生成して得られたもの、すなわち、重合性不飽和基修飾加水分解性シランとシリカ粒子とが化学的に結合したものでありうる。前記加水分解性シリル基としては、特に制限されないが、アルコキシシリル基;アセトキシシリル基等のカルボキシレートシリル基;クロロシリル基等のハロゲン化シリル基;アミノシリル基;オキシムシリル基;ヒドリドシリル基が挙げられる。なお、重合性不飽和基としては、特に制限されないが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
前記反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmであることが好ましく、0.001〜0.01μmであることがより好ましい。反応性シリカ粒子が、上記範囲の平均粒子径を有することにより、感光性樹脂組成物に含有されうる後述のマット剤と組み合せて用いることで、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性およびハードコート性を有しうる。
前記反応性シリカ粒子を感光性樹脂組成物中に含む場合、反応性シリカ粒子は、20〜60質量%で含有されることが好ましい。反応性シリカ粒子が20質量%以上含有されると、水蒸気バリア層との密着性が向上しうることから好ましい。一方、反応性シリカ粒子が60質量%以下であると、高温高湿環境下におけるフィルムの変形が抑制され、これに伴うクラックの発生を抑制しうることから好ましい。
また、感光性樹脂組成物はマット剤を含むことが好ましい。マット剤を含有することによって光学特性が調整されうる。
マット剤としては、特に制限されず、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等が用いられうる。前記マット剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用されうる。
マット剤の平均粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。マット剤が上記範囲の平均粒子径を有することにより、感光性樹脂組成物に含有されうる上述の反応性シリカ粒子と組み合せて用いることで、防眩性と解像性とをバランスよく満たす光学特性およびハードコート性を有しうる。
感光性樹脂組成物中のマット剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、好ましくは2〜20質量部、より好ましくは4〜18質量部、さらに好ましくは6〜16質量部ある。
さらに感光性樹脂組成物は、感光性樹脂以外の樹脂を含むことが好ましい。当該感光性樹脂以外の樹脂としては、特に制限されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のビニル系樹脂およびこれらの共重合体;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂、メタクリル樹脂等のアクリル系樹脂およびこれらの共重合体;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;線状ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂の具体例としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1または2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線または電子線)を照射して硬化するものが挙げられる。この際、前記光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化すると3次元網目構造を形成するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリル系プレポリマーが特に好ましい。また、光重合性モノマーとしては、上述の光感光性樹脂等が使用されうる。
感光性樹脂組成物の基材へのコーティング方法としては、特に制限されないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等の湿式コーティング法、または蒸着法等の乾式コーティング法が挙げられる。基材上にコーティングされた感光性樹脂組成物中に含まれる溶媒等を乾燥除去することによって平滑層が形成されうる。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601に規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10〜30nmであることが好ましい。Rtが10nm以上であると、後述する第1の塗布液を塗布する工程(1)において、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で平滑層表面に塗工手段が接触する場合に、安定した塗布性が得られうることから好ましい。一方、Rtが30nm以下であると、後述の工程で得られる水蒸気バリア層の凹凸が平滑化されうることから好ましい。
平滑層の厚さとしては、特に制限されないが、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは2〜7μmである。平滑層の厚さが1μm以上であると、上記平滑層としての機能を十分に発揮しうることから好ましい。一方、平滑層の厚さが10μm以下であると、水蒸気バリアフィルムの光学特性のバランスを調整することができ、水蒸気バリアフィルムのカールを抑えうることから好ましい。
(ブリードアウト防止層)
平滑層を有する基剤は、加熱の際に基材中から表面に未反応のオリゴマー等が移行して、基材表面が汚染されうる。ブリードアウト防止層は、当該基材表面の汚染を抑制する機能を有しうる。当該ブリードアウト防止層は、通常、平滑層を有する基材の平滑層とは反対の面に設けられうる。
ブリードアウト防止層は、上記機能を有していれば、平滑層と同じ構成でありうる。すなわち、ブリードアウト防止層は、感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成されうる。
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂、光重合開始剤、および溶媒を含む。前記感光性樹脂、光重合開始剤、および溶媒は上述の平滑層に記載のものと同様のものが用いられうる。また、前記感光性樹脂組成物は、上述の平滑層と同様に、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、無機粒子、感光性樹脂以外の樹脂等の添加剤が添加されていてもよい。
ブリードアウト防止層は、平滑層と同様に感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、硬化させることによって形成されうる。具体例としては、各種成分を適宜配合して、所定の希釈溶剤を加えて塗布液を調製し、当該塗布液を基材上に公知の塗布方法によって塗布する。その後、電離放射線を照射して硬化させることによりブリードアウト防止層が形成されうる。なお、電離放射線は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の真空紫外光、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線が使用されうる。
ブリードアウト防止層の厚さとしては、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。ブリードアウト防止層の厚さが1μm以上であると、水蒸気バリアフィルムの耐熱性が向上しうることから好ましい。一方、ブリードアウト防止層の厚さが10μm以下であると、水蒸気バリアフィルムの光学特性が好適に調整され、また、水蒸気バリアフィルムのカールを抑制しうることから好ましい。
基材上に、上述のアンカーコート層、平滑層、およびブリードアウト層からなる群から選択される少なくとも1つの中間層が形成される場合、基材および中間層の総膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
[第1の塗布液]
第1の塗布液は、ポリシラザン、少なくとも1種の第1の溶媒、および少なくとも1種の第2の溶媒を含む。
(ポリシラザン)
ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、およびこれらの中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
前記ポリシラザンは、特に制限されないが、比較的低温でセラミック化してシリカに変性する化合物であることが好ましく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の下記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0005891822
上記一般式(1)において、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、またはアルコキシ基を表す。
ポリシラザンは、得られる水蒸気バリア層としての緻密性の観点から、R、R、およびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンであることが特に好ましい。
また、前記一般式(1)において、Siに結合した水素原子(Rおよび/またはR)の一部がメチル基等のアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、基材との接着性が改善され、かつ、硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より膜厚(平均膜厚)を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。そこで用途に応じて適宜、パーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と、6員環および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000(ポリスチレン換算)であり、分子量によって液体または固体でありうる。これらは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。パーヒドロポリシラザンの市販品としては、アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)等が挙げられる。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(1)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照)等が挙げられる。
第1の塗布液中のポリシラザン濃度は、目的とするポリシラザン塗膜の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%であることが好ましい。
(第1の溶媒)
第1の溶媒は、当該技術分野において、一般的に基準として用いられる酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、蒸発速度が40以下であり、好ましくは20以下であり、より好ましくは0.1〜10である。
第1の溶媒としては、特に制限されないが、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、酢酸オキソヘキシル、シクロヘキサノールアセテート、γ―ブチロラクトン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート等のエステル類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、α―テルピネオール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール類;イソホロン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン類;p−シメン等の芳香族炭化水素類;アニソール等のエーテル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル類等が用いられうる。
なお、本明細書において、溶媒の蒸発速度は、以下の方法により測定された値を採用するものとする。具体的には、窒素ガスを供給可能にしたフード付き化学天秤2台を用い、両者の天秤皿に濾紙No.5C(9cmφ)を入れた10cmφのシャーレをのせる。一方に酢酸ブチル、他方に試料をそれぞれ0.7mLずつとり、23℃、相対湿度50%、大気圧下において、窒素ガスを30NL/mLの流速で各シャーレへ同時に供給して、酢酸ブチルおよび試料のそれぞれの重量を30秒経過ごとに同時に測定し、60秒、90秒、120秒において、酢酸ブチルの減少重量に対する試料の減少重量の百分率をそれぞれ求める。試料の溶媒の蒸発速度は、前記減少重量の百分率の平均値として算出される。
なお、公知の有機溶剤の蒸発速度は「最新コーティング技術」(1983年(株)総合技術センター発行)17〜19ページの表5等にも記載されており、このような公知の値を適宜採用してもよい。
第1の溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の総量に対して20質量%以下であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
(第2の溶媒)
第2の溶媒は、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、蒸発速度が100以上であり、好ましくは100〜200であり、より好ましくは100〜150である。
第2の溶媒としては、特に制限されないが、ジブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン等が用いられうる。
なお、第2の溶媒においても、蒸発速度は、第1の溶媒と同様の方法により測定された値を採用するものとする。また、第2の溶媒の蒸発速度は、適宜公知の値を参酌してもよい。
第2の溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の総量に対して80質量%以上であることが好ましく、90〜99質量%であることがより好ましい。
第1の塗布液は、さらにアミン、金属、第1および第2の溶媒以外の溶媒等を含んでいてもよい。
(アミンおよび金属)
アミンおよび金属は、後述する工程(2)において、ポリシラザンの酸化ケイ素化合物への転化を促進しうる。第1の塗布液中に特にアミン触媒を0.5〜5質量%の含有量で含むと、塗布性が向上し、転化反応に要する時間が短時間となることから好ましい。
(第1および第2の溶媒以外の溶媒)
第1および第2の溶媒以外の溶媒としては、特に制限されず、公知の溶媒が用いられうる。具体的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素溶媒等の炭化水素溶媒;脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。より詳細には、炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン、塩化メチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。また、エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上を混合して、上述の第1および第2の溶媒とともに用いられうる。
第1の塗布液中の第1および第2の溶媒以外の溶媒の含有量は、後述する塗布液の乾燥速度を考慮して適宜決定されうる。
[第1の塗膜]
第1の塗膜は、上記第1の塗布液を基材上に塗布および乾燥することにより形成される。基材がアンカーコート層、平滑層等の中間層を有する場合には、当該中間層上に第1の塗膜が形成されうる。
第1の塗布液の基材等への塗布方法としては、従来公知の適切な湿式コーティング法が採用されうる。具体的には、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
第1の塗布液を塗布した後は、第1の塗膜を乾燥させて、第1の塗膜中に含有される有機溶媒を除去する。本発明においては、第1の塗布液中に、2種以上の溶媒、すなわち、第1の溶媒および第2の溶媒を含むことを特徴とする。前記2種の溶媒を含むことにより、塗布した第1の塗布液の乾燥速度が好適に制御される。その結果、基材および中間層が有する凹凸に起因して発生する第1の塗膜の凹凸の発生が低減され、第1の塗膜表面が平坦になりうる。そうすると、後述の工程(2)を経て得られる水蒸気バリア層が、高温高湿の環境や、純水等に浸漬された場合であっても、水蒸気バリア性や透明性に優れ、ムラの発生が抑制されたものとなりうる。なお、第1の塗膜の乾燥時において、第1の塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させても、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適な水蒸気バリア層が得られうる。なお、残存する溶媒は工程(2)の過程で除去されうる。
第1の塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
第1の塗布液の塗布量は、所望の水蒸気バリア層の厚さに応じて当業者が適宜設定しうる。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得た第1の塗膜に真空紫外光を照射して水蒸気バリア層を形成する工程である。
[水蒸気バリア層]
水蒸気バリア層は、水蒸気バリアフィルムに水蒸気バリア性を付与する。
前記水蒸気バリア層は、工程(1)で得た第1の塗膜に真空紫外光(VUV)を照射することにより形成される。第1の塗膜に真空紫外光を照射することにより、第1の塗膜中に含まれるポリシラザンが改質されうる。なお、ポリシラザンの改質とは、ポリシラザンが、酸化ケイ素化合物および/または酸窒化ケイ素化合物へ転化することを意味する。なお、本明細書において「真空紫外光」とは、10〜200nmの波長を有する電磁波を含む紫外光を意味し、好ましくは100〜200nm、より好ましくは100〜180nmである。
ポリシラザンの改質処理、すなわち、ポリシラザンの置換反応による酸化ケイ素および/または酸窒化ケイ素の形成には450℃以上の高温が必要であり、加熱による改質処理は、樹脂フィルムを基材に用いる場合には適用が困難である。そこで、より低温で改質処理をすることができる真空紫外光の照射による改質が適用される。真空紫外光をポリシラザンに照射すると、ポリシラザンがシラノールを経由することなく直接酸化されることから(光量子プロセスと呼ばれる光子の作用)、高密度で欠陥の少ない酸化ケイ素膜および/または酸窒化ケイ素膜が得られうる。また、真空紫外光では、反応雰囲気中に存在する酸素等から高い酸化能力を有するオゾンや活性酸素が生成され、当該オゾンや活性酸素によってもポリシラザンの改質処理を行うことができる。その結果、より緻密な酸化ケイ素膜および/または酸窒化ケイ素膜が得られうる。したがって、真空紫外光の照射によりポリシラザンが改質されて得られる水蒸気バリア層は、高いバリア性を有しうる。
水蒸気バリア層の厚さは、所望の性能に応じて適宜に設定されうる。例えば、水蒸気バ
リア層の厚さは、50nm〜1μmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。水蒸気バリア層の厚さが50nm以上であると、十分なバリア性が得られうることから好ましい。一方、膜厚が1μm以下であると、高い光線透過性を実現でき、かつ、水蒸気バリア層の形成に際して安定した塗布を行うことができることから好ましい。
[照射条件]
真空紫外光としては、特に限定されず、公知のものが使用されうる。例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ等が挙げられる。これらのうち、エキシマランプ、特にキセノン(Xe)エキシマランプを用いることが好ましい。Xe、Kr、Ar、Ne等の希ガスは最外殻電子が閉殻となっているため、化学的に非常に不活性であることから、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガス(励起原子)は、他の原子と結合して分子を形成することができる。例えば、希ガスがキセノンの場合には、
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
となる。この際、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するとき、172nmのエキシマ光(真空紫外光)が発光する。上記エキシマランプは前記エキシマ光を利用する。前記エキシマ光を発生させる方法としては、例えば、誘電体バリア放電を用いる方法および無電極電界放電を用いる方法が挙げられる。なお、誘電体バリア放電とは、両電極間に誘電体(エキシマランプの場合は透明石英)を介してガス空間を配し、電極に数10kHzの高周波高電圧を印加した場合に、ガス空間に生じる雷に似た非常に細いmicro dischargeと呼ばれる放電である。また、無電極電界放電とは、容量性結合による放電であり、別名RF放電とも呼ばれる。具体的には、誘電体バリア放電と同様にランプや電極等が配置され、前記電極に数MHzの高周波電圧を印加した場合に得られる空間的・時間的に一様な放電である。
エキシマランプは、エキシマ光が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されない点に特徴を有し、効率性が高い。また、余分な光が放射されないことから、対象物の温度を低く保つことができる。さらに、始動・再始動に時間を要さないことから、瞬時に点灯点滅が可能となる。特に、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの真空紫外光を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。当該Xeエキシマランプは、172nmと波長が短く、エネルギーが高いことから、有機化合物の結合の切断能が高いことが知られている。また、Xeエキシマランプは、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素であっても効率よく活性酸素やオゾンを発生させることができる。したがって、例えば、波長185nmの真空紫外光を発する低圧水銀ランプと対比すると、Xeエキシマランプは、高い有機化合物の結合切断能を有し、活性酸素やオゾンを効率的に発生させることができ、低温かつ短時間でポリシラザンの改質処理をすることができる。また、Xeエキシマランプは、光の発生効率が高いため、低電力で瞬時に点灯点滅が可能であり、単一の波長を発光できることから、高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小等の経済的観点、および熱によるダメージを受けやすい基材を用いた水蒸気バリアフィルムへの適用等の観点からも好ましい。
真空紫外光の照射は、照射される改質前のポリシラザン層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。例えば、基材にプラスチックフィルムを用いる場合には、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−真空紫外光照射ランプ間の距離を設定しうる。
真空紫外光照射の時間は、使用する基材やポリシラザン層の組成、濃度等によっても異なるが、通常、0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
真空紫外光の積算光量としては、特に制限されないが、1000〜10000mJ/cmであることが好ましく、1000〜5000mJ/cmであることがより好ましい。真空紫外光の積算光量が1000mJ/cm以上であると、十分な改質が行われることにより高いバリア性が得られうることから好ましい。一方、真空紫外光の積算光量が10000mJ/cm以下であると、基材が変形することなく平滑性の高い水蒸気バリア層が形成されうることから好ましい。
真空紫外光の照射温度は、適用する基材によっても異なり、当業者によって適宜決定されうる。真空紫外光の照射温度は、好ましくは50〜200℃である。当該温度が前記範囲内であると、基材の変形や強度の劣化等が生じにくく、基材の特性が損なわれないことから好ましい。
また、真空紫外光の照射雰囲気は、特に制限されないが、活性酸素やオゾンを発生させて効率的に改質を行う観点から酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。真空紫外照射の酸素濃度は300〜10000ppm(1%)であることが好ましく、500〜5000ppmであることがより好ましい。酸素濃度が上記範囲にあると、バリア性の劣化を防止することができることから好ましい。真空紫外光の照射雰囲気中の酸素以外のガスは、乾燥不活性ガスであることが好ましく、コストの観点から、乾燥窒素ガスであることがより好ましい。なお、酸素濃度は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガス等のガス流量を計測し、流量比を変えることで調整することができる。
発生させた真空紫外光は、照射効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの真空紫外光を反射板で反射させてから改質前のポリシラザン層に照射してもよい。また真空紫外光の照射は、バッチ処理にも連続処理にも適用可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定されうる。例えば、基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら連続的に真空紫外光を照射して改質を行うことが好ましい。
本発明の一実施形態において、水蒸気バリアフィルムは、さらに保護層を有していてもよい。当該保護層を有する水蒸気バリアフィルムの製造方法は、ポリシロキサンを含む第2の塗布液を前記水蒸気バリア層上に塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程(3)と、前記第2の塗膜に真空紫外光を照射して保護層を形成する工程(4)と、をさらに含む。
<工程(3)>
工程(3)は、ポリシロキサンを含む第2の塗布液を、工程(2)で得た水蒸気バリア層上に塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程である。
[第2の塗布液]
第2の塗布液はポリシロキサンを含む。
(ポリシロキサン)
ポリシロキサンとしては、特に制限されず、公知のものが用いられうる。なかでも下記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。
Figure 0005891822
上記一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立して、C1〜C8の有機基を表す。この際、前記R〜Rの少なくとも1つは、アルコキシ基または水酸基であり、mは1以上の整数である。C1〜C8の有機基としては、特に制限されないが、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;γ−メタクリルオキシプロピル基等の(メタ)アクリル酸エステル基;γ−グリシドキシプロピル基等のエポキシ含有アルキル基;γ−メルカプトプロピル基等のメルカプト含有アルキル基;γ−アミノプロピル基等のアミノアルキル基;γ−イソシアネートプロピル基等のイソシアネート含有アルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖状または分岐状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の脂環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等の直鎖状または分岐状アルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等のアシル基が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンのうち、mが1以上、かつ、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が1,000〜20,000であるオルガノポリシロキサンを用いることがより好ましい。オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が1000以上であると、形成される保護層に亀裂が生じにくくなり、水蒸気バリア性を維持しうることから好ましい。一方、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が20,000以下であると、形成される保護層が十分に硬化され、保護層として十分な硬度が得られうることから好ましい。
上記第2の塗布液は、さらに溶媒を含有していてもよい。
(溶媒)
第2の塗布液に含有されうる溶媒としては、特に制限されないが、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン系溶媒等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、エチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンコン等のケトン類、およびアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸−sec−ペンチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。非プロトン系溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N′,N′−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどが挙げられる。また、上記溶媒の他、上述した第1の塗布液で用いられうる第1の溶媒および第2の溶媒を用いてもよい。これらのうち、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。なお、これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[第2の塗膜]
第2の塗膜は、上記第2の塗布液を水蒸気バリア層上に塗布および乾燥することにより形成される。なお、第2の塗膜についても第1の塗膜と同様に、第2の塗膜に含有される有機溶媒をすべて乾燥させても、一部残存させてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合には、残存する溶媒は工程(4)の過程で除去されうる。
第2の塗布液の水蒸気バリア層への塗布方法としては、従来公知の適切な湿式コーティング法が採用されうる。具体的には、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー法等が挙げられる。
第2の塗布液を塗布した後は、第2の塗膜を乾燥させて、第2の塗膜中に残存する有機溶媒を除去する。第2の塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。乾燥温度が50℃以上であると、十分なバリア性を得ることができることから好ましい。一方、乾燥温度が200℃以下であると、基材が変形することなく平滑性の高い保護層を形成することができることから好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は、設定温度に応じて当業者により適宜設定されうるが、短時間に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気としては、大気雰囲気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下などのいずれの条件であってもよい。
第2の塗布液の塗布量は、所望の保護層の厚さに応じて当業者が適宜設定しうる。
<工程(4)>
工程(4)は、工程(3)で得た第2の塗膜に真空紫外光を照射して保護層を形成する工程である。
[保護層]
保護層は、水蒸気バリア層を水分等から保護し、水蒸気バリア性を維持する機能を有する。
保護層は、工程(3)で得た第2の塗膜に真空紫外光(VUV)を照射することにより形成される。第2の塗膜を真空紫外光で照射することにより、第2の塗膜中に含まれるポリシロキサンが改質されうる。
保護層の厚さは、所望の性能に応じて適宜に設定されうる。例えば、保護層の厚さは、100nm〜10μmであることが好ましく、50nm〜1μmであることがより好ましい。保護層の厚さが100nm以上であると、十分なバリア性が得られうることから好ましい。一方、保護層の厚さが10μm以下であると、高い光線透過性を実現でき、かつ、保護層の形成に際して安定した塗布を行うことができることから好ましい。
保護層の膜密度は、通常、0.35〜1.2g/cmであり、好ましくは0.4〜1.1g/cmであり、より好ましくは0.5〜1.0g/cmである。膜密度が0.35g/cm以上であると、十分な塗膜の機械的強度を得ることができることから好ましい。一方、膜密度が1.2g/cm以下であると、保護層のクラックが生じにくくなることから好ましい。
[照射条件]
真空紫外光としては、上記工程(1)と同様に、公知のものが使用されうる。例えば、低圧水銀ランプ、エキシマランプ等が挙げられる。これらのうち、エキシマランプ、特にキセノン(Xe)エキシマランプを用いることが好ましい。
真空紫外光の照射の時間は、使用する基材やポリシロキサン層の組成、濃度等によっても異なるが、通常、0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
真空紫外光の積算光量としては、特に制限されないが、500〜1,000mJ/cmであることが好ましい。真空紫外光の積算光量が500mJ/cm以上であると、十分な改質が行われることにより高いバリア性が得られうることから好ましい。一方、真空紫外光の積算光量が1,000mJ/cm以下であると、基材が変形することなく平滑性の高い水蒸気バリア層が形成されうることから好ましい。
真空紫外光の照射温度は、適用する基材によっても異なり、当業者によって適宜決定されうる。真空紫外光の照射温度は、好ましくは50〜200℃である。当該温度が前記範囲内であると、基材の変形や強度の劣化等が生じにくく、基材の特性が損なわれないことから好ましい。
また、真空紫外光の照射雰囲気は、特に制限されないが、活性酸素およびオゾンを発生させて効率的に改質を行う観点から酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。真空紫外照射の酸素濃度は300〜10000ppm(1%)であることが好ましく、500〜5000ppmであることがより好ましい。酸素濃度が上記範囲にあると、バリア性の劣化を防止することができることから好ましい。真空紫外光の照射雰囲気中の酸素以外のガスは、乾燥不活性ガスであることが好ましく、コストの観点から特に乾燥窒素ガスを用いることがより好ましい。なお、酸素濃度は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガス等のガス流量を計測し、流量比を変えることで調整することができる。
発生させた真空紫外光は、照射効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの真空紫外光を反射板で反射させてから改質前のポリシラザン層に照射してもよい。また真空紫外光の照射は、バッチ処理にも連続処理にも適用可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定されうる。例えば、基材が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら連続的に真空紫外光を照射して改質を行うことが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、電子デバイス本体と、上述の方法によって製造された水蒸気バリアフィルムとを含む電子デバイスが提供される。
<電子デバイス本体>
電子デバイス本体としては、特に制限されず、水蒸気バリアフィルムが適用されうる公知の電子デバイス本体が挙げられる。例えば、太陽電池(PV)、液晶表示素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等が挙げられる。これらの電子デバイス本体の構成についても、特に制限はなく、公知の構成を有しうる。例えば、有機EL素子は、基板、陰電極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽電極等を有しうる。
<水蒸気バリアフィルム>
上述の方法によって製造された水蒸気バリアフィルムは、基材、封止用材料等に使用されうる。基材として、例えば、太陽電池に使用される場合には、水蒸気バリアフィルム上にITO等の透明導電性薄膜を透明電極として設けた樹脂支持体として適用することができる。この場合、水蒸気バリアフィルムは、電子デバイス本体に組み込まれている。また、封止用材料として使用される場合には、例えば、液晶表示素子を封止した電子デバイスが得られうる。本発明に係る水蒸気バリアフィルムは、封止用材料として、電子デバイス本体の封止に用いられることが好ましい。
<電子デバイスの製造方法>
電子デバイス本体と、水蒸気バリアフィルムとを含む電子デバイスは、特に制限されず、公知の手法を適宜参照して製造されうる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<中間層を有する基材の作製>
[中間層(ブリードアウト防止層および平滑層)を有する基材1の作製]
基材として、両面に易接着加工された厚さ125μmのポリエステルフィルムである極低熱収PET Q83(熱膨張係数:40ppm、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
上記基材の一方の面に、感光性樹脂であるUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7535(JSR株式会社製)を、乾燥後の膜厚が4.0μmとなるように塗布した。得られた塗膜を、高圧水銀ランプで照射し、硬化させることでブリードアウト防止層を形成した。なお、照射は、空気雰囲気下、照射エネルギー量1.0J/cmで80℃、3分間行った。
上記基材の前記ブリードアウト防止層とは反対の面に、感光性樹脂であるUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501(JSR株式会社製)を、乾燥後の膜厚が4.0μmとなるように塗布した。得られた塗膜を、高圧水銀ランプで照射し、硬化させることで平滑層を形成した。なお、照射は、空気雰囲気下、照射エネルギー量1.0J/cmで80℃、3分間行った。
このようにして得られた中間層(ブリードアウト防止層および平滑層)を有する基剤1の平滑層について、表面粗さを測定した。前記表面粗さは、JIS B 0601で規定される方法に準拠して測定した。具体的には、装置としてAFM(原子間力顕微鏡)SPI3800N DFM(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、1回の測定範囲を80μm×80μmと設定し、測定箇所を変えて3回測定を行った。得られたそれぞれの測定値の平均値を表面粗さ(Rz)とした。基材1が有する平滑層の表面粗さ(Rz)は約25nmであった。
[中間層(2つの平滑層)を有する基材2の作製]
基材として、両面に易接着加工された厚さ200μmの耐熱性透明ポリイミド系フィルムであるネオプリムL(熱膨張係数:65ppm、三菱ガス化学株式会社製)を用いた。
8.0gのトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(エポライト100MF:共栄社化学株式会社製)、5.0gのエチレングリコールジグリシジルエーテル(エポライト40E:共栄社化学株式会社製)、12.0gのオキセタニル基を有するシルセスキオキサン(OX−SQ−H:東亞合成株式会社製)、32.5gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2.2gのAl(III)アセチルアセトネート、134.0gのメタノールシリカゾル(固形分濃度30質量%:日産化学工業株式会社製)、0.1gのBYK333(シリコン系界面活性剤:ビックケミー・ジャパン株式会社製)、125.0gブチルセロソルブ、および15.0gの0.1mol/Lの塩酸水溶液を混合して十分に撹拌した。これを室温でさらに静置脱気して感光性樹脂組成物を得た。上記基材の一方の面を定法によりコロナ放電処理を施した後、前記感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が4.0μmとなる条件で塗布し、80℃で3分間乾燥した。さらに、120℃で10分間の加熱処理を施して平滑層を形成した。基材のもう一方の面についても同様の方法で平滑層を形成し、中間層(2つの平滑層)を有する基材2を作製した。基材2が有する2つの平滑層の表面粗さは、基材1に記載の方法と同様の方法で測定したところ、ともに約20nmであった。
[中間層(2つの平滑層)を有する基材3の作製]
上記基材2で用いた基材を、厚さ100μmの有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格としたフィルムであるシルプラスH100(熱膨張係数:80ppm、新日鐵化学社製)に変更したことを除いては、上記基材2と同様の方法により中間層(2つの平滑層)を有する基材3を作製した。なお、基材3が有する2つの平滑層の表面粗さは、基材1に記載の方法と同様の方法で測定したところ、ともに約20nmであった。
<水蒸気バリアフィルムの製造>
(実施例1)
工程(1)
20質量%の無触媒のパーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−20:AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)、および5質量%(固形分)アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を含むジブチルエーテル溶液に、ジイソブチルケトン(第1の溶媒、蒸発速度:20)およびジブチルエーテル(第2の溶媒、蒸発速度:200)の混液(ジイソブチルケトン:ジブチルエーテル=5:95)を添加して、第1の塗布液を調製した。得られた第1の塗布液は、アミン触媒が1質量%(固形分)であった。
中間層(2つの平滑層)を有する基材2上(平滑層上)に、上記で調製した第1の塗布液を、スピンコーターを用いて、乾燥後の膜厚が200nmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させて、第1の塗膜を得た。
工程(2)
前記工程(1)で得た第1の塗膜に真空紫外光を照射して水蒸気バリア層を形成して、水蒸気バリアフィルム1を製造した。
なお、真空紫外光は、図1に断面模式図で示す装置を用いてXeエキシマランプを照射することによって行った。図1の装置は、装置チャンバー1内に172nmの真空紫外光を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ2と外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダー3とが設置されている。装置チャンバー1内は、ガス供給口(図示せず)から窒素ガスおよび酸素ガスが供給され、ガス排出口(図示せず)から装置チャンバー1内部のガスを排気することにより、実質的に装置チャンバー1から水蒸気を除去し、かつ、酸素濃度を所定の濃度に維持している。装置チャンバー1には、さらに試料ステージ4が設けられており、試料5は試料ステージ4上に載置される。試料ステージ4は、移動手段(図示せず)により装置チャンバー1内を水平に、所定の速度で往復移動できる。また、試料ステージ4は、加熱手段(図示せず)により、所定の温度に維持することができる。図1の装置では、試料ステージ4は、水平移動して紫外線照射される際に、試料5の塗布層表面と、エキシマランプ2との最短距離が3mmとなるように高さが調整されている。なお、遮光板6は、Xeエキシマランプ2によって生じる真空紫外線が、例えば、エージング中に試料5の塗布層に照射されることを防止している。
なお、Xeエキシマランプの積算光量は、紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METER(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて照射エネルギーを測定することで調節した。具体的には、図1の装置において、Xeエキシマランプ管面とセンサヘッド(172nm)の測定面との最短距離が3mmとなるようにセンサヘッドを試料ステージ4中央に設置し、かつ、装置チャンバー1内の雰囲気が、真空紫外光照射工程と同一の酸素濃度となるように窒素と酸素とを供給した。Xeエキシマランプ2の照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設けた後、試料ステージ4を0.5m/minの速度で移動させて照射エネルギーの測定を行った。得られた照射エネルギーの値に基づき、試料ステージの移動速度を、積算光量が3,000mJ/cmとなるように調整した。なお、真空紫外光照射についても、照射エネルギーを測定時と同様に、10分間のエージング後に行った。
(実施例2)
工程(3)
イソプロピルアルコール、メタノール、イソブチルアルコール、ブタノール、およびブチルセロソルブの混液(イソプロピルアルコール:メタノール:イソブチルアルコール:ブタノール:ブチルセロソルブ=20:15:15:43:7)の混液に、オルガノポリシロキサン(グラスカHPC7003:JSR株式会社製)を溶解した(固形分量:10%)。その後、ジブチルスズビスマレイン酸モノブチルエステルを前記オルガノポリシロキサンの固形分に対して10:1の割合で添加して第2の塗布液を調製した。
実施例1に記載の水蒸気バリアフィルム1が有する水蒸気バリア層上に、第2の塗布液をスピンコーターを用いて、乾燥後の膜厚が1200nmとなるように塗布し、その後、120℃で2分間乾燥させて第2の塗膜を得た。
工程(4)
前記工程(3)で得た第2の塗膜に真空紫外光を照射して保護層を形成して、水蒸気バリアフィルム2を製造した。なお、真空紫外光は、図1の装置を用いて、上記工程(2)と同様の方法により積算光量を1000mJ/cmとなるように試料ステージの移動速度を調整して照射した。
(実施例3〜19および比較例1〜8)
用いる基材、第1の溶媒の種類および溶媒添加量、工程(2)における真空紫外光の積算光量、第1の塗布液の塗布量、工程(4)における真空紫外光の積算光量、および第2の塗布液の塗布量等を下記表1に示す条件に設定して、実施例1または実施例2と同様の方法で水蒸気バリアフィルム3〜26を製造した。
Figure 0005891822
Figure 0005891822
Figure 0005891822
<水蒸気バリアフィルムの評価>
上記で製造した水蒸気バリアフィルム1〜26について、下記の評価を行った。
[未処理の水蒸気バリアフィルム]
(評価1:水蒸気バリア性の評価)
真空蒸着装置JEE−400(日本電子株式会社製)を用い、製造した水蒸気バリアフィルム1の水蒸気バリア層表面に、マスクを通して12mm×12mmのサイズで水分と反応して腐食する金属である金属カルシウム(粒状)を蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面に水蒸気不透過性の金属である金属アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)を蒸着させて仮封止をした。次いで、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下に移した。前記仮した金属アルミニウム蒸着面に紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製)を介して厚さ0.2mmの石英ガラスを張り合わせ、紫外線を照射して前記紫外線硬化樹脂を硬化させて本封止し、水蒸気バリア性評価試料を作製した。
得られた水蒸気バリア性評価試料を、恒温恒湿度オーブンYamato Humidic ChamberIG47Mを用いて、85℃、90%RHの高温高湿下で保存し、60時間後の12mm×12mmの金属カルシウム蒸着面積に対する金属カルシウムの腐食面積を百分率(%)で算出し、下記の基準に従って水蒸気バリア性を評価した。
○:金属カルシウムが腐食した面積が1.0%未満である
△:金属カルシウムが腐食した面積が1.0%以上、5.0%未満である
×:金属カルシウムが腐食した面積が、5.0%以上である。
(評価2:透明性の評価)
水蒸気バリアフィルムを目視で観察し、下記基準に従って透明性の評価を行った。
○:実用上問題のないレベル
△:やや懸念のあるレベル
×:明らかに着色しているレベル。
(評価3:ムラの評価)
水蒸気バリアフィルムを目視で観察し、下記基準に従ってムラの評価を行った。
○:実用上問題のないレベル
△:やや懸念のあるレベル
×:明らかにムラがあるレベル。
得られた評価結果を下記表2に示す。
[加熱曝露した水蒸気バリアフィルム]
水蒸気バリアフィルムを、大気雰囲気下、220℃で10分間加熱環境下に曝露した。この際、水蒸気バリアフィルムの水蒸気バリア層表面には他の部材が接触しないように保持した。加熱処理後、水蒸気バリアフィルムを加熱装置から取り出し、室温まで冷却した。このようにして得られた加熱曝露した水蒸気バリアフィルムについて、上記未処理の水蒸気バリアフィルムと同様の方法で、水蒸気バリア性、透明性、ムラの評価を行った。
得られた評価結果を下記表2に示す。
[浸漬曝露した水蒸気バリアフィルム]
水蒸気バリアフィルムを、サーモ機に投入し、100℃で24時間放置した後、25℃の純水で24時間浸漬曝露した。その後、再度のサーモ機に投入して、100℃で24時間放置した。このようにして得られた浸漬曝露した水蒸気バリアフィルムについて、上記未処理の水蒸気バリアフィルムと同様の方法で、水蒸気バリア性、透明性、ムラの評価を行った。
得られた評価結果を下記表2に示す。
Figure 0005891822
表2の未処理の水蒸気バリアフィルムの評価結果からも明らかなように、本発明に係る水蒸気バリアフィルムは、水蒸気バリア性および透明性に優れ、ムラが少ないことが分かる。
また、加熱処理および浸漬処理した水蒸気バリアフィルムの評価結果からも明らかなように、高温高湿の環境や、純水等に浸漬された場合であっても、優れた水蒸気バリア性や透明性を維持することができ、ムラの発生も抑制されることが分かる。
1 装置チャンバー、
2 Xeエキシマランプ、
3 ホルダー、
4 試料ステージ、
5 試料、
6 遮光板。

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材上に配置された水蒸気バリア層と、を有する水蒸気バリアフィルムの製造方法であって、
    ポリシラザン、少なくとも1種の第1の溶媒、および少なくとも1種の第2の溶媒を溶媒の主成分とする第1の塗布液を前記基材上に塗布および乾燥して、第1の塗膜を形成する工程(1)と、
    前記第1の塗膜に真空紫外光を照射して水蒸気バリア層を形成する工程(2)と、
    を含み、
    この際、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、前記第1の溶媒の蒸発速度が40以下であり、かつ、前記第2の溶媒の蒸発速度が100以上であり、
    前記第1の溶媒は、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピオン酸−n−ペンチル、酢酸オキソヘキシル、シクロヘキサノールアセテート、γ―ブチロラクトン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、α―テルピネオール、1,3−ブチレングリコール、イソホロン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、p−シメン、アニソール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノブチルエーテルよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であり、
    前記第2の溶媒は、ジブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、及びトルエンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であり
    前記第1の塗布液中の前記第1の溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の総量に対して20質量%以下である、製造方法。
  2. 前記第1の塗布液の溶媒が、前記第1の溶媒および前記第2の溶媒からなるものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1の溶媒の蒸発速度が、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした場合に、20以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記水蒸気バリア層の厚さが、50〜1000nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記第1の塗膜への真空紫外光の積算光量が、1000〜10000mJである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. ポリシロキサンを含む第2の塗布液を前記水蒸気バリア層上に塗布および乾燥して第2の塗膜を形成する工程(3)と、
    前記第2の塗膜に真空紫外光を照射して保護層を形成する工程(4)と、
    をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記保護層の厚さが、100〜10000nmである、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記第2の塗膜への真空紫外光の積算光量が、500〜10000mJである、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記基材が、線膨張係数50ppm/℃以下であり、かつ、全光線透過率90%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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