JP5888697B2 - 発光印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物の分野において、可視光下で観察できる画像が、紫外線を照射した場合に全く異なる画像に変化する発光印刷物に関わるものである。
蛍光体、燐光体、蓄光体等に代表される、いわゆる紫外線励起発光体は、紫外線を照射することで励起して発光する特性を有している。この発光という現象は、容易に目視確認可能であるとともに、コピー機による複写物や家庭用プリンターによる出力物では再現が困難であるため、銀行券や諸証券等のセキュリティ印刷物に対して、真正品と偽造品を区別するための真偽判別要素の一つとして、従来から広く用いられてきた。
発光体印刷の真偽判別技術としての優位性は、かつては限られた専門業者や特殊印刷に従事する者しか発光体を入手できないという材料自体の入手難易度に依存している面があった。しかし、昨今、発光体は雑貨量販店等において比較的安価で販売されており、特殊印刷に従事することのない一般人であっても様々な種類の発光体を容易に入手することができる状況になっているため、紫外線を照射することで発光画像が出現するだけの効果しか有さない、単純な発光画像を形成する偽造防止技術としての価値は大きく低下してきている。
これらの事情を鑑み、紫外線を照射した場合に単に発光画像が出現する、従来のような単純な発光画像ではなく、複雑な画像構成と特殊な機能性材料を用い、よりユニークな視覚効果を実現した発光画像やその形成方法が開示されている。それらの技術の一例を示す。
本出願人は、曲線の集合模様を、潜像を施さない部分を連続線、潜像を施した部分を分岐した分断線で構成し、それぞれの部分の面積率が等しく、有色蛍光インキで印刷することを特徴とする複写防止模様を有する印刷物であって、可視光下で観察した場合には単なる曲線の集合模様として認識されるが、紫外線を照射することで、潜像が周辺よりも強く発光することを特徴とする印刷物を出願している(例えば、特許文献1参照)。
また、本出願人は、条件によって可視色が変化する機能性画像表示材料を用いることで異なる画像を出現させる画像表示体であって、一つの第一の領域と、第一の領域に隣接する一つの第二の領域とが複数組配置され、各々の第二の領域の周囲が、複数の第一の領域により囲まれ、第一の領域には、第一の画像を構成する第一のドット領域と、第一のドット領域以外の第一の背景領域とを有し、第二の領域には、第二の画像を構成する第二のドット領域と、第二のドット領域以外の第二の背景領域とを有し、第一の背景領域と第二の背景領域には機能性画像表示材料を用い、第一のドット領域には、機能性画像表示材料が備えた第一の色と等色の画像表示材料を用いたことを特徴とし、通常光の下で、肉眼で見える画像と、特定の視認条件のもと(紫外線光照射時を含む)で視認できる画像とが異なる、すなわち通常光と紫外線光照射時に観察される画像が、全く相関がなく異なる画像のチェンジ効果を有する画像表示体を出願している(例えば、特許文献2参照)。
特許第4085175号公報 特開2008−126474号公報
特許文献1に記載の技術は、一種類の有色蛍光インキで形成されているにもかかわらず、潜像だけを極めて微細な画素で構成することによって、目視上、単なる曲線の集合として認識される画像の中で、潜像が周囲より強く発光するという優れた特徴を有している。しかしながら、潜像は、印刷によって再現可能な大きさの限界に近い微細な画素で構成するため、ドットゲインの制御が難しく、ドットゲインの発生の度合いによっては発光画像が所望の効果を発しない場合があり、製造難易度が高いという問題があった。また、紫外線の照射によって、曲線の集合の中に潜像画像が出現するものの、曲線の集合自体が不可視となる効果はなく、一つの画像から異なる画像へと画像自体が変化するような画像のチェンジ効果は有さず、変化が乏しいという問題があった。
特許文献2に記載の技術は、通常光下でAという画像が見えていたとすると、紫外線を照射した場合にはAが消失してBという画像が出現する、いわゆる画像のチェンジ効果を有する技術であって、従来の技術と比較すると、画像の変化に優れ、発光画像の視認性を高く保つことができるという特徴を有している。しかしながら、画像のチェンジ効果を高く保つためには、三種類のインキ(一つの機能性表示材料と二つの着色インキ)を必要とし、加えて、三種類のインキによって構成される三つの画像が、お互いに重なり合う領域がなく完全に隣り合う、いわゆる「毛抜き合わせ」と呼ばれる、最も難易度の高い刷り合わせを要求することから、安定して連続製造するには極めて高い技術が必要であった。また、紫外線照射時にAの画像を消失させてBの画像を出現させるためには、可視光下で非等色であった二つの領域の色彩を、発光時には等色に変化させる必要があった。反射色は異なるが、発光時の色彩が等しいペアインキを作製するためには、発光体とインキに関する専門的な知識が必要であり、仮に作製できたとしても、発光している印刷物を観察すると、発光色か、発光強度の違いから、観察者が感知できる程度には色彩が異なっているのが常であった。以上のように、特許文献2に記載の技術は、インキ製造、印刷物製造の難易度が極めて高いという問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、製造の難易度が低く、かつ、安定した連続製造が可能で、可視光下で観察される画像が、紫外線を照射した場合に消失するか、又は、可視光下で観察される画像と、紫外線を照射した場合に観察される画像とが、全く相関のない異なる画像であることを特徴とする、画像のチェンジ効果に優れた発光印刷物である。
本発明における発光印刷物は、基材上の少なくとも一部の領域に、印刷画像を備え、印刷画像は、領域と同じ大きさの領域において第一の網点で構成された基材と異なる色の可視画像が形成され、可視画像は、第一の色彩で発光する紫外線発光能を有する第一のインキから形成され、紫外線照射時に領域が均等に発光するために最小面積率が0%より大きく、かつ、最大面積率と最小面積率との差が10%以上60%以内であり、可視光下で観察した場合には、可視画像は面積率の差異から生じる濃淡差によって視認でき、紫外線を照射して観察した場合には、可視画像を形成している第一のインキが第一の色彩で均等に発光し、面積率の差異から生じる濃淡差を消失させることで可視画像が視認できなくなることを特徴とする。
本発明における発光印刷物は、領域より小さい領域において第二の網点で構成された透明又は基材と等色の潜像画像が積層されて成り、潜像画像は、紫外線吸収能を有する又は第一の色彩と異なる第二の色彩で発光する紫外線発光能を有する第二のインキから形成され、可視光下で観察した場合には、可視画像は面積率の差異から生じる濃淡差によって視認でき、紫外線を照射して観察した場合には、可視画像を形成している第一のインキが第一の色彩で均等に発光し、面積率の差異から生じる濃淡差を消失させることで可視画像が視認できなくなり、潜像画像を形成している第二のインキが紫外線発光しない又は第一の色彩と異なる第二の色彩で発光することで潜像画像が視認できることを特徴とする。
本発明における発光印刷物は、潜像画像が基材と等色の場合、潜像画像が可視画像の下に積層されて成ることを特徴とする。
本発明における発光印刷物は、第二の色彩で発光する第二のインキの色相は、第一の色彩で発光する第一のインキの色相と補色の関係であることを特徴とする。
本発明の発光印刷物においては、印刷画像中に可視光下で視認される画像が、紫外線を照射した場合に消失することによって真偽判別することが可能である。
本発明の発光印刷物においては、印刷画像中に可視光下で視認される画像が、紫外線を照射した場合に全く相関のない異なる画像に変化する、いわゆる画像のチェンジ効果を有する。このため、従来技術のように紫外線照射時に出現する発光画像に可視画像が反映されてしまうことがなく、可視画像および発光画像のいずれも視認性が高いため、真偽判別性に優れる。
本発明の発光印刷物において、印刷画像を形成するペアインキは、可視光下でも紫外線照射時でも等色である必要はないため、インキ間の色合わせは必要なく、ペアインキは容易に作製できる。また、それぞれのインキで形成する二つの画像は従来技術のような厳密な毛抜き合わせを必要とせず、単純に重なり合って入れば良い。また、ドットゲインの厳重な管理をすることなくチェンジング効果を奏することが可能であるため、製造の難易度が低く、安定した連続製造が可能である。
以上の手法で形成した発光印刷物は、生産性の高い印刷方式であるオフセット印刷で製造可能であることからコストパフォーマンスに優れ、また最新のデジタル機器を用いたとしても発光画像の再現は不可能であることから、偽造防止効果に優れる。
本発明における発光印刷物を示す。 本発明における発光印刷物の構成の概要を示す。 発光印刷物の二つの層構造を示す。 (a)は本発明における発光印刷物を可視光下で観察した場合に、観察者に視認される画像を示し、(b)は本発明における発光印刷物に紫外線を照射した場合に、観察者に視認される画像を示す。 本発明の一実施例における発光印刷物を示す。 本発明の一実施例における発光印刷物の構成の概要を示す。 (a)は、本発明の一実施例における発光印刷物を可視光下で観察した場合に観察者に視認される画像を示し、(b)は、本発明における発光印刷物に紫外線を照射した場合に、観察者に視認される画像を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
図1に、本発明における発光印刷物(1)を示す。発光印刷物(1)は、基材(2)の上に、基材と異なる色を有する印刷画像(3)が形成されて成る。基材(2)は印刷画像(3)が形成できれば、紙であってもプラスティックであっても、金属等であってもよく、その材質は問わない。印刷画像(3)は、透明以外の基材と異なる色であれば良く、基材(2)の中に収まる限り、大きさにも制限はない。
まず、本発明の印刷画像(3)の構成を図2に示す。印刷画像(3)は、第一の有意情報を表した可視画像(5)と、第二の有意情報を表した潜像画像(4)とから成る。可視画像(5)と潜像画像(4)が表す画像が比較的単純な画像の二値画像である形態について説明する。可視画像(5)は、複数の網点から構成され、基材と異なる色彩を有して成り、画像内の最大面積率と最小面積率の差が60%以内で形成されて成る。一方の潜像画像(4)は、複数の網点から構成され、基材と同じ色彩か、透明な色彩である必要がある。また、可視画像(5)は、紫外線を照射することで発光する、いわゆる紫外線発光能を有し、潜像画像(4)は紫外線を吸収する、いわゆる紫外線吸収能を有するか、可視画像(5)が発光する色彩とは別の色彩で発光する紫外線発光能を有する必要がある。潜像画像(4)が紫外線発光能を有する場合は、可視画像(5)の発光色の色相と潜像画像(4)の発光色の色相とが補色の関係にあることが好ましいが、別の色彩で発光すれば問題はない。可視画像(5)と潜像画像(4)を構成する網点の構成には、特段の制約はなく、その大小や粗密によって、濃淡が表現できれさえいれば、AMスクリーンでもFMスクリーンでも良い。また、網点を集合させて形成した画線や、画素等を用いて可視画像(5)と潜像画像(4)を構成したとしても何ら問題ない。加えて、それぞれの網点の相互の位置関係等にも制約はない。以上が、本発明の印刷画像(3)の構成の概要である。
ちなみに、本発明における「網点」とは、印刷画像を形成する最小単位の小さな点のことである。これらを特定の方向に一定の距離連続して配置した点線や破線の分断線、直線、曲線及び破線を画線とし、少なくとも一つの印刷網点又は印刷網点を複数集めて一塊にした円や三角形、四角形を含む多角形、星形等の各種図形、あるいは文字や記号、数字等を画素とする。
図3に印刷画像(3)の層構造を示す。印刷画像(3)を構成する二つの画像である可視画像(5)と潜像画像(4)はそれらが重なり合ってさえいれば、基本的にはいずれの画像が上になっても下になってもよい。ただし、潜像画像(4)を構成する材料によって潜像画像(4)が上であるほうが好ましい場合と、下であるほうが好ましい場合とがある。その具体的な例については後記する。いずれにしても、可視画像(5)と潜像画像(4)とを積層することで印刷画像(3)を形成することが本発明の必須条件である。
ここで、可視画像(5)に要求される性能について具体的に説明する。可視画像(5)は、可視光下では第一の有意情報を任意の色彩の濃淡で表す一方、紫外線照射時には画像全体が目視上均一に発光し、第一の有意情報が視認できないフラットな発光画像となる必要がある。発光の形態は蛍光、燐光、蓄光のいずれであってもよく、発光波長は可視領域でも赤外域のような不可視領域でも問題ない。ただし、認証性を考慮すると、可視領域に発光波長を有するものが望ましい。
可視光下で視認される可視画像(5)中の一定の濃淡を、紫外線照射時に目視上消失させるためには、可視画像(5)の可視光下の色彩と、紫外線照射時の発光強度をバランスさせる必要がある。例えば、可視画像(5)が濃い色彩で形成されている場合には、可視画像(5)の発光強度は高い必要があり、一方、可視画像(5)が淡い色彩で形成されている場合には、可視画像(5)の発光強度は低い必要がある。仮に、可視画像(5)が濃い色彩で形成されているにも関わらず、発光強度が低い場合には、紫外線照射時でも第一の有意情報が消失しきらずにやや濃度が淡くなった程度の色彩で観察され、逆に可視画像(5)が淡い色彩で形成されているにも関わらず、発光強度が高い場合には、紫外線照射時には第一の有意情報が強く発光しすぎてネガポジが反転した状態で観察される。
可視画像(5)の色彩は、基本的に可視画像(5)を形成した画線中に含まれる着色顔料の種類とその配合割合によって決定され、発光強度とは基本的に可視画像(5)を形成した画線中に含まれる発光顔料の種類とその配合割合によって決定される。着色顔料と発光顔料の配合割合のバランスがとれていない場合、紫外線照射時の第一の有意情報の消失効果は失われてしまうことから、着色顔料や発光顔料を変更した場合にはその都度、適正な配合割合を見出す必要がある。適正な配合割合の簡単な見分け方としては、紫外線照射時に可視画像(5)中の第一の有意情報がポジで視認されている場合には発光顔料の配合割合が相対的に不足しており、逆に可視画像(5)中の第一の有意情報がネガで視認されている場合には着色顔料の配合割合が相対的に不足していると考えて良い。また、基材(2)が白色である場合には、着色顔料の色彩と、発光顔料の発光色は基本的には補色の関係にあることが好ましい。それは二つの顔料の物体色と発光色の合成色を白色にすることによって、紫外線照射時の可視画像(5)の色彩を基材の色彩に近づけて画像の消失効果をより高めるためである。
また、可視光下で視認される可視画像(5)中の一定の濃淡を、紫外線照射時に目視上消失させるためには、可視画像(5)の階調表現域、すなわち可視画像(5)中の最小面積率と最大面積率の差も重要となる。いかに適切に着色顔料と発光顔料を調整して画像を形成したとしても、その階調表現域が100%であった場合(濃い部分は面積率100%、淡い部分は面積率0%)には可視画像(5)中の第一の有意情報が紫外線照射時に目視上消失することはない。第一の有意情報を紫外線照射時に目視上消失させるためには、可視画像(5)に一定の階調制限を必ず設ける必要がある。
可視画像(5)の階調表現域を広くした場合には、可視光下での第一の有意情報の視認性は高くなるものの、紫外線照射時に第一の有意情報を消失させることは難しくなり、逆に可視画像(5)の階調表現域を狭くした場合には、紫外線照射時に第一の有意情報を消失させることは容易になるものの、可視光下での第一の有意情報の視認性は低くなる。よって、可視光下での第一の有意情報の視認性と、紫外線照射時の第一の有意情報の消失効果を両立させうる階調表現域で可視画像(5)を形成する必要がある。
具体的には可視画像(5)の階調表現域が10%より低い場合には可視光下の第一の有意情報の視認性が低すぎ、可視画像(5)の階調表現域が60%を超える場合には紫外線照射時の第一の有意情報の消失効果を得られなくなるため、可視画像(5)の階調表現域が10%以上60%以下で形成する必要があり、可視画像を形成している画像に含まれる着色顔料や発光顔料が変わるごとに適正な階調表現域を設定し直す必要がある。
以上のように、可視画像(5)を形成するにあたっては、可視光下の色彩と紫外線照射時の発光強度をバランスよく調整し、かつ、10%以上60%の階調表現域の中から適切な値を見出す必要がある。
続いて、潜像画像(4)に要求される性能について具体的に説明する。潜像画像(4)は可視画像(5)と異なり、複雑な色彩や発光特性は必要ない。重要なのは、可視光下で不可視であることと、紫外線を吸収する紫外線吸収能を有するか、あるいは紫外線によって発光する発光能を有することである。
潜像画像(4)は印刷画像(3)中に形成されているにもかかわらず、可視光下では視認されてはならない。よって、潜像画像(4)は、透明であるか、あるいは基材(2)と等色である必要がある。
望ましい積層順について、潜像画像(4)が透明であって、紫外線吸収能あるいは紫外線発光能を有する場合について述べる。この場合、潜像画像(4)はもともと可視光下では不可視であるから、可視画像(5)の上に重ねても、下に重ねても良い。また、紫外線照射時には照射された紫外線を吸収する働きを成すか、あるいは発光する働きを成すが、可視画像(5)の上にあっても、下にあっても紫外線の吸収効果と発光効果は変わらない。よって、潜像画像(4)が透明である場合、可視画像(5)の上にあっても下にあっても効果に変わりは無い。
一方、潜像画像(4)が基材と等色であって、紫外線吸収能あるいは紫外線発光能を有する場合について述べる。紫外線吸収能や紫外線発光能は可視画像(5)が上にあっても下にあってもその効果自体は変化しないが、潜像画像(4)が基材と等色である場合、潜像画像(4)が可視画像(5)の下にある構成であることが望ましい。これは、可視画像(5)の上に基材と等色の潜像画像(4)を重ねる場合、潜像画像(4)が隠ぺい力のある顔料によって形成されていると、潜像画像(4)によって可視画像(5)の一部が隠蔽され、可視光下で可視画像(5)と潜像画像(4)が重なり合って視認されてしまう場合があるためである。
潜像画像(4)が紫外線吸収能を有する場合、可視画像(5)を励起させる紫外線領域の波長の光を吸収する特性を有する必要がある。紫外線吸収能は、特定の顔料や樹脂を用いることで付与することができる。紫外線吸収能を有する材料の一例を挙げる。顔料として用い得る無機系紫外線吸収材としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等が代表的であり、これらは特に高い紫外線吸収特性を有している。また、ハロゲン、カルボニル基、ベンゼン環、不飽和基等を含む有機化合物はいずれも少なからず紫外線を吸収する特性を有しているが、サリチル酸系吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が代表的であり、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は紫外線長波領域(波長400nm〜300nm)に顕著な吸収特性を有していることで知られている。
また、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合体、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の樹脂は、紫外線領域の紫外線短波の波長の短い領域を特に吸収する特性を持っていることで知られている。
これらの顔料や樹脂の特性を利用して、紫外線吸収能を有するインキを作製して潜像画像(4)を印刷すればよい。ただし、印刷適性、堅牢性、耐光性等を考慮すると、樹脂成分に長期にわたって紫外線吸収能を担保させることは困難であると考えられることから、顔料に無機系紫外線吸収材を用いて紫外線吸収能を担保させる形態のインキが最も好ましい。
一方、可視画像(5)は、紫外線吸収能を有さない、すなわち紫外線を透過する特性を有する必要がある。一般的にインキに用いられる樹脂成分には少なからず紫外線を吸収したり、反射したりする効果があるが、その程度の吸収能は有していても問題ない。基本的な考え方としては、潜像画像(4)よりも相対的に多くの紫外線を透過すればよいことから、具体的には認証に用いる波長における紫外線の吸収率が潜像画像(4)の2分の1以下であることを基準とする。
以上のような構成で形成した発光印刷物(1)の効果について図4を用いて説明する。図4(a)に示すように、太陽や蛍光灯等の一般的な可視光源(6)から照射される可視光下の観察で本発明の発光印刷物(1)を観察した場合、透明あるいは基材と等しい色で形成された潜像画像(4)は視認できず、基材と異なる色を有する可視画像(5)だけが視認でき、具体的には可視画像(5)中に含まれた第一の有意情報が面積率の差異によって形成された色の濃淡によって視認できる。
一方、図4(b)に示すように、紫外線を照射して本発明の発光印刷物(1)を観察した場合、可視画像(5)の中の第一の有意情報は視認できず、潜像画像(4)の第二の有意情報のみが視認できる。これは発光能を有する可視画像(5)が発光することで、第一の有意情報が視認できないフラットな発光画像となる一方、潜像画像(4)は発光しないか、あるいは可視画像(5)とは異なる色彩で発光することによって、可視画像(5)が作り出したフラットな発光画像をバックに、潜像画像(4)の第二の有意情報が可視化されるためである。
以上のように、可視光下の観察では可視画像(5)が表す第一の有意情報が、紫外線を照射して観察した場合には可視画像(5)が表す第一の有意情報が消失して、潜像画像(4)が表す第二の有意情報が出現する。これが本発明の発光印刷物(1)の効果であり、観察条件を変えることで第一の有意情報と第二の有意情報が混ざり合うことなく、完全にチェンジして観察できることを最大の特徴とする。
上記構成以外に、本発明は、上記記載の可視画像(5)のみの構成であっても、真偽判別を行うことが可能であり、この発光印刷物においては、印刷画像中に可視光下で視認される可視画像(5)が、紫外線を照射した場合に消失することによって真偽判別することが可能である。
ちなみに、本発明における「可視光下の観察」とは、発光印刷物(1)に波長が400nmから700nmの可視光が入射し、発光印刷物(1)から生じる反射光を観察者が観察している状況を指し、より厳密には、正反射光よりも拡散反射光が相対的に多い観察角度に観察者の視点がある状況を指す。また、一方の「紫外線を照射して観察」とは、発光印刷物(1)に200nmから400nmまでの波長帯に含まれる紫外線を照射し、観察者が、発光印刷物(1)から発せられる発光を観察している状況を指す。
なお、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400〜700nm)の特定の波長の強弱の分布を示すものである。
以上のような性能を備えた潜像画像(4)と可視画像(5)を印刷する方式は、いずれの印刷方式であってもよい。本発明の発光印刷物(1)は、オフセット印刷で形成しても十分な効果を発揮するが、フレキソ印刷やグラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等で形成してもよい。生産性を重視する場合には、オフセット印刷で形成するほうが望ましい。
以下、前述の発明を実施するための最良の形態にしたがって、具体的に作製した発光印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本実施例は、図5から図7までを用いて説明する。本実施例は、潜像画像(4´)、可視画像(5´)をそれぞれ多階調画像とし、それぞれの画像をオフセット印刷方式で形成した例であって、潜像画像(4´)は紫外線吸収能を有する例である。
図5に、本発明における発光印刷物(1´)を示す。発光印刷物(1´)は、基材(2´)の上に、淡い紫色の印刷画像(3´)が形成されて成る。基材(2´)には、一般的な白色上質紙(日本製紙製)を使用した。
本発明の印刷画像(3´)の構成を図6に示す。印刷画像(3´)は、第一の有意情報を表した可視画像(5´)と、第二の有意情報を表した潜像画像(4´)とから成る。本実施例における第一の有意情報とは「男性の顔画像」であり、第二の有意情報とは「鳳凰」の画像である。
図6に示す潜像画像(4´)は、第二の有意情報である鳳凰の画像を表し、最小面積率0%で最大面積率100%の、階調表現域100%の階調で表した多階調画像であり、様々な面積率で構成された豊かな濃淡を表現して成る。図6に示す可視画像(5´)は、第一の有意情報である男性の顔画像を表し、最小面積率50%で最大面積率100%の、階調表現域50%の階調で表した多階調画像である。
まず、基材(2)に、365nmを中心波長とする紫外線長波の吸収能のある金属顔料、チタンを含む白インキ(ベストワン GIGA 白 M−SOYA T&K TOKA製)で、潜像画像(4´)をウェットオフセット印刷方式によって形成した。潜像画像(4´)は基材と同じ色である白色であることから、可視画像(5´)を形成する前に、基材(2´)に直接印刷した。この段階で本潜像画像(4´)は白色で基材(2´)と等色であることから、目視上不可視となった。
続いて、表1に示すインキを用いて、可視画像(5´)を同じくウェットオフセット印刷方式によって、潜像画像(4´)上に重ね合わせて印刷した。表1のインキは三つのインキを混合して作製した。可視画像(5´)は可視光下の観察で紫に見えるが、365nmを中心波長とする紫外線長波を照射して観察すると、やや白味がかった緑色で発光する。
表1
Figure 0005888697
以上の構成で作製した発光印刷物(1´)の効果について図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、可視光下の観察では可視画像(5´)が表す第一の有意情報が紫色の濃淡によって視認できた。一方、365nmを中心波長とする紫外線長波を照射して観察した場合には可視画像(5´)が白味がかった緑色で発光して第一の有意情報が消失して、潜像画像(4´)が表す第二の有意情報が発光せず、暗く沈んだ紫色で視認され、結果として、白味がかった緑色の発光の中に、暗く沈んだ紫色の第二の有意情報が視認できた。以上のように、第一の有意情報と第二の有意情報が混ざり合うことなく、完全にチェンジして観察できることが確認できた。
本実施例は、実施例1と同様に図5から図7までを用いて説明する。本実施例は、実施例1と同様に潜像画像(4´)、可視画像(5´)をそれぞれ多階調画像とし、それぞれの画像をオフセット印刷方式で形成した例であって、潜像画像(4´)は紫外線発光能を有する例である。
本実施例における実施例1との違いは、潜像画像(4´)と可視画像(5´)の積層順の違いと、潜像画像(4´)の発光特性の違いであるため、画像の構成やその可視画像(5´)の説明は省略する。まず、可視画像(5´)を表1のインキで基材(2)上に印刷した。この段階で本可視画像(5´)は基材(2´)上に紫色の画像として目視可能である。
続いて、紫外線で青色に発光する透明インキ(FINE INK 紫外線励起型インキ 青 DIC製)を用いて、潜像画像(4´)を可視画像(5´)の上に同じくウェットオフセット印刷方式によって重ね合わせて印刷した。潜像画像(4´)は、可視光下の観察では透明で不可視であって、365nmを中心波長とする紫外線長波を照射して観察すると、青色で発光する。なお、本透明インキは、表1のインキと比較すると、発光強度が半分程度である。潜像画像(4´)が可視画像(5´)より強く発光する場合、潜像画像(4´)の階調が反転してしまう問題が生じる。これを防ぐため、潜像画像(4´)に紫外線発光能を有するインキを用いる場合には、表1のインキよりも発光強度が低くなるように設計する必要がある。また、逆に可視画像(5´)より潜像画像(4´)より強く発光する場合には、潜像画像(4´)の階調をあらかじめ濃淡反転しておく必要がある。
以上の構成で作製した発光印刷物(1´)の効果について図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、可視光下の観察では可視画像(5´)が表す第一の有意情報が紫色の濃淡によって視認できた。一方、365nmを中心波長とする紫外線長波を照射して観察した場合には可視画像(5´)が白味がかった緑色で発光して第一の有意情報が消失して、潜像画像(4´)が表す第二の有意情報が青色で発光して視認され、結果として、白味がかった緑色の発光の中に、白味がかった緑色と青色の混色で発光する第二の有意情報が視認できた。以上のように、第一の有意情報と第二の有意情報が混ざり合うことなく、完全にチェンジして観察できることが確認できた。
1、1´ 発光印刷物
2、2´ 基材
3、3´ 印刷画像
4、4´ 潜像画像
5、5´ 可視画像
6、6´ 可視光源
7a、7a´、7b、7b´ 観察者の視点
8、8´ 紫外線ランプ

Claims (3)

  1. 基材上の少なくとも一部の領域に、印刷画像を備え、
    前記印刷画像は、前記領域と同じ大きさの領域において第一の網点で構成された前記基材と異なる色の可視画像が形成され、
    前記可視画像は、第一の色彩で発光する紫外線発光能を有する第一のインキから形成され、紫外線照射時に前記領域が均等に発光するために最小面積率が0%より大きく、かつ、最大面積率と前記最小面積率との差が10%以上60%以内であり、
    前記領域より小さい領域において第二の網点で構成された透明又は前記基材と等色の潜像画像が積層されて成り、
    前記潜像画像は、紫外線吸収能を有する又は前記第一の色彩と異なる第二の色彩で発光する紫外線発光能を有する第二のインキから形成され、
    可視光下で観察した場合には、前記可視画像は面積率の差異から生じる濃淡差によって視認でき、紫外線を照射して観察した場合には、前記可視画像を形成している前記第一のインキが前記第一の色彩で均等に発光し、前記面積率の差異から生じる濃淡差を消失させることで前記可視画像が視認できなくなり、前記潜像画像を形成している前記第二のインキが紫外線発光しない又は前記第一の色彩と異なる前記第二の色彩で発光することで前記潜像画像が視認できることを特徴とする発光印刷物。
  2. 前記潜像画像が前記基材と等色の場合、前記潜像画像が前記可視画像の下に積層されて成ることを特徴とする請求項1記載の発光印刷物。
  3. 前記第二の色彩で発光する前記第二のインキの色相は、前記第一の色彩で発光する前記第一のインキの色相と補色の関係であることを特徴とする請求項1又は2記載の発光印刷物。
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