JP5888502B2 - はすば歯車の転造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、はすば歯車の転造方法に関する。
はすば歯車は転造用ダイスを用いて転造成形することができる。図16は、一般的な転造用ダイスを表す斜視図である。図16に示すように、この転造用ダイスD1は、一対の転造用ラックダイスD11,D12を備える。一対の転造用ラックダイスD11,D12間に丸棒状の転造用素材(ワーク)Wが挟持される。この状態で、一方の転造用ラックダイスD11が他方の転造用ラックダイスD12に対して歯幅方向に移動すると、転造用素材Wが両転造用ラックダイスD11,D12間で転動する。転造用素材Wの転動時に両転造用ラックダイスD11,D12に形成された加工歯DHが転造用素材Wの被加工面(側周面)を押圧することにより被加工面が切り込まれる。これにより転造用素材Wの被加工面に歯が創成される。
図17は、転造用ダイスD1(転造用ラックダイスD11または転造用ラックダイスD12)に形成されている加工歯DHの正面図の一例を示す概略図である。図に太線で示した部分が加工歯(歯先)を表す。この転造用ダイスD1には複数の加工歯DH(DH1,DH2,DH3,DH4,DH5,DH6)が形成されている。加工歯DHの形成面が転造用ダイスD1の加工面である。加工面上に形成される加工歯DHと転造用素材の被加工面に創成される成形歯が噛み合った状態で転造用素材が転動することにより、転造用素材の被加工面にはすば状の歯が成形される。
図17の矢印Aで示した領域(領域A)を図の上下方向に転造用素材が転動したときに、転造用素材が一回転すると仮定する。また、領域A内を往復するように転造用素材が転動するものとする。このような転動によって転造用素材から2枚歯のはすば歯車が転造成形される。
ここで、領域Aを図17に示すように領域A1、領域A2、領域A3、領域A4の4つの領域に区分し、各領域を転造用素材が転動する場合について考察する。領域A1および領域A3上を転造用素材が転動した場合、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は、領域A1および領域A3のそれぞれに形成されている2枚の加工歯に噛み合う。具体的には、領域A1上で転造用素材の被加工面に創成される成形歯が加工歯DH2およびDH3に噛み合い、領域A3上で転造用素材の被加工面に創成される成形歯が加工歯DH3およびDH4に噛み合う。一方、領域A2および領域A4上を転造用素材が転動した場合、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は、領域A2および領域A4のそれぞれに形成されている3枚の加工歯に噛み合う。具体的には、領域A2上で転造用素材の被加工面に創成される成形歯が加工歯DH2、DH3,DH4に噛み合い、領域A4上で転造用素材の被加工面に創成される成形歯が加工歯DH3、DH4,DH5に噛み合う。つまり、図17に示す転造用ダイスD1は複数の加工歯DHを備えるとともに、2枚の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う2歯噛合領域と、3枚の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う3歯噛合領域とを有する。
2歯噛合領域では1枚の加工歯あたりから転造用素材の成形歯に加えられる押圧荷重が大きく、3歯噛合領域では1枚の加工歯あたりから転造用素材の成形歯に加えられる押圧荷重は小さい。つまり、転造用ダイスの加工部位によって1枚の加工歯あたりから加えられる押圧荷重が変動する。押圧荷重が大きい場合は切り込み量が大きく、押圧荷重が小さい場合は切り込み量が小さい。このため2歯噛合領域に配置される加工歯で創成される成形歯の切り込み量は大きく、3歯噛合領域に配置される加工歯で創成される成形歯の切り込み量は小さい。このような加工部位による切り込み量の変化によって、成形されるはすば歯車の歯底円が楕円状に形成される。図18は、図17に示す転造用ダイスD1を用いて転造成形されたはすば歯車の歯底円を示す図である。図において(1)で示した部分は領域A1を転造することにより成形された歯車部分の歯底直径を表し、(2)で示した部分は領域A2を転造することにより成形された歯車部分の歯底直径を表し、(3)で示した部分は領域A3を転造することにより成形された歯車部分の歯底直径を表し、(4)で示した部分は領域A4を転造することにより成形された歯車部分の歯底直径を表す。図に示すように、(1)および(3)で示される歯車部分の径は短く、(2)および(4)で示される歯車部分の径は長い。このため歯底円が楕円状に形成される。
また、図17に示す転造用ダイスD1を用いて成形されるはすば歯車の歯筋には、うねりが生じる。このことについて、図17に示す転造用ダイスD1の加工歯のうち、加工歯DH3によって成形される歯を例にとって考察する。加工歯DH3は、図17に示すように全ての領域A1,A2,A3,A4に亘り形成されている。領域A1および領域A3では、転造用素材の成形歯が加工歯DH3を含む2枚の加工歯に噛み合うため、加工歯DH3から加工歯DH3により成形される成形歯に加えられる押圧荷重が大きく、そのため成形歯への切り込み量が多い。切り込み量が多いと加工歯DH3が成形歯に深く入り込むために、成形歯の歯厚が薄くなる。一方、領域A2および領域A4では、転造用素材の成形歯が加工歯DH3を含む3枚の加工歯に噛み合うため、加工歯DH3から成形歯に加えられる押圧荷重が小さく、そのため成形歯への切り込み量が少ない。切り込み量が少ないと加工歯DH3が成形歯にあまり入り込まないため、成形歯の歯厚が厚くなる。このため、図19に示すように、加工歯DH3により加工された成形歯を直線状に展開した場合、歯筋方向(図19のC方向)に沿って歯厚がばらつく。その結果、歯筋にうねりが生じる。
特許文献1は、所定枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う領域(第1噛合領域)および上記所定枚数とは異なる枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う領域(第2噛合領域)を有する転造用ダイス(例えば2歯噛合領域および3歯噛合領域を有する図14に示す転造用ダイス)を備える転造装置であって、転造用ダイスの加工歯から転造用素材の成形歯に加えられる押圧荷重の変動を抑制した状態で転造用素材を転造することができる転造装置を開示する。図20は、特許文献1記載の転造装置に用いられる転造用ダイスの斜視図である。図20に示すように、この転造用ダイスは、主ダイスD2と、主ダイスD2の一方側に配置された第1補助ダイスD3と、主ダイスD2の他方側に配置された第2補助ダイスD4とを備える。主ダイスD2は上ダイスD21および下ダイスD22からなる一対のダイスを有し、第1補助ダイスD3は上ダイスD31および下ダイスD32からなる一対のダイスを有し、第2補助ダイスD4は上ダイスD41および下ダイスD42からなる一対のダイスを有する。主ダイスD2は、所定枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う第1噛合領域と、上記所定枚数とは異なる枚数の加工歯が被加工面に創成される成形歯に噛み合う第2噛合領域を有する。各ダイスD2,D3,D4の上ダイスD21,D31,D41が一体的に下ダイスD22,D32,D42に対して移動することにより、上下ダイス間に挟持された転造用素材Wが転造される。
図21は、主ダイスD2、第1補助ダイスD3および第2補助ダイスD4のそれぞれの加工面に形成された加工歯の一例を示す正面図である。各加工面上に形成される加工歯と転造用素材の被加工面に創成される成形歯が噛み合った状態で転造用素材が転動することにより、転造用素材の被加工面にはすば状の歯が成形される。
図21の矢印Aで示した領域(領域A)を上下方向に転造用素材Wが転動したときに、転造用素材が一回転すると仮定する。図21からわかるように、領域A上のどの位置で転造用素材が転動しても、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は3枚の加工歯に噛み合う。例えば図21の(1)で示した位置では、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は、主ダイスD2に形成された2枚の加工歯と第1補助ダイスD3に形成された1枚の加工歯に噛み合う。また、図21の(2)で示した位置では、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は主ダイスD2に形成された3枚の加工歯に噛み合う。さらに、図21の(3)で示した位置では、転造用素材の被加工面に創成される成形歯は、主ダイスD2に形成された2枚の加工歯と第2補助ダイスD4に形成された1枚の加工歯に噛み合う。このように、特許文献1によれば、転造用素材の成形歯に噛み合う加工歯の枚数が補助ダイスで調整される。そのため、転造用素材の転造中は常に同じ枚数の加工歯が転造用素材の成形歯に噛み合い、転造時に転造用ダイスから転造用素材の被加工面に加えられる押圧荷重が均等化される。その結果、押圧荷重の変動が抑制される。
特開昭61−140343号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1記載の転造方法によれば、転造加工中における押圧荷重の変動が抑制されるため、転造成形されたはすば歯車の歯筋精度が向上する。しかし、押圧荷重の変動を抑えるために主ダイスの両側に補助ダイスを設置するので、この補助ダイスによっても転造用素材が転造される。図22は、特許文献1記載の転造方法に従って転造成形したはすば歯車を示す図である。図22に示すように、このはすば歯車は、主ダイスで転造されることにより形成された歯車部E1と、補助ダイスで転造されることにより形成された歯車部E2,E3とを有する。歯車部E2およびE3は、本来必要のない部分であり、また歯車としての精度も悪い。つまり、特許文献1記載の転造方法によれば、歯筋精度の向上を図ることができるものの、不必要な部分まで加工してしまうという問題がある。このため歯車の小型化に支障をきたす。
本発明は、歯筋精度が十分に向上し、且つ、不必要な部分まで加工することなくはすば歯車を転造することができる転造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明の転造方法に用いられる転造用ダイスには複数のはすば状の加工歯が形成されている。また、本発明の転造方法に用いられる転造用ダイスは、複数の加工歯のうちの所定枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う第1噛合領域および上記所定枚数とは異なる枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う第2噛合領域とを有する。このような転造用ダイスを用いて転造用素材の被加工面にはすば状の成形歯を創成する本発明のはすば歯車の転造方法は、第1転造工程と、第2転造工程と、噛み合い状態変化工程とを含む。第1転造工程では、転造用素材の被加工面のうち第1被加工面に創成される成形歯が第1噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、第1被加工面以外の第2被加工面に創成される成形歯が第2噛合領域に形成される加工歯に噛み合う第1噛み合い状態で、転造用素材を転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を創成する。第2転造工程では、転造用素材の被加工面のうち第2被加工面に創成される成形歯が第1噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、第1被加工面に創成される成形歯が第2噛合領域に形成される加工歯に噛み合う第2噛み合い状態で、転造用素材を転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を転造する。噛み合い状態変化工程では、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と転造用ダイスの加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、相対的な滑りにより転造用ダイスに対して転造用素材を相対的に回転させることにより、成形歯と加工歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態または第2噛み合い状態に変化させる。
本発明によれば、第1転造工程にて、転造用素材の被加工面のうち第1被加工面の成形歯が転造用ダイスの第1噛合領域で転造されるとともに第2被加工面の成形歯が転造用ダイスの第2噛合領域で転造される。一方、第2転造工程にて、第1被加工面の成形歯が転造用ダイスの第2噛合領域で転造されるとともに第2被加工面の成形歯が転造用ダイスの第1噛合領域で転造される。ここで、転造用ダイスの第1噛合領域は、転造用ダイスに形成されている複数のはすば状の加工歯のうち所定枚数の加工歯が被加工面の成形歯に噛み合う領域であり、第2噛合領域は、複数のはすば状の加工歯のうち上記所定枚数とは異なる枚数の加工歯が被加工面の成形歯に噛み合う領域である。よって、第1噛合領域に形成されている1枚の加工歯あたりから被加工面の成形歯に加えられる押圧荷重と、第2噛合領域に形成されている1枚の加工歯あたりから被加工面の成形歯に加えられる押圧荷重は異なる。
本発明の転造方法は第1転造工程および第2転造工程を含むため、転造用素材は第1転造工程および第2転造工程を経て転造成形される。このため、転造用素材の第1被加工面は、第1転造工程で転造用ダイスの第1噛合領域で転造され、第2転造工程で転造用ダイスの第2噛合領域で転造される。一方、転造用素材の第2被加工面は、第1転造工程で転造用ダイスの第2噛合領域で転造され、第2転造工程で転造用ダイスの第1噛合領域で転造される。このように、第1被加工面も第2被加工面も、それぞれ第1噛合領域および第2噛合領域で転造される。すなわち、転造用素材の被加工面のうちの特定の部分のみが、第1噛合領域のみで、あるいは第2噛合領域のみで転造されることがなく、被加工面の全ての面が、第1噛合領域でも転造されるし、第2噛合領域でも転造される。よって、転造時に転造用ダイスから転造用素材の被加工面に加えられる押圧荷重が均等化された場合と同等の効果を得ることができる。その結果、被加工面の成形歯への転造用ダイスの切り込み量のばらつきが抑えられ、切り込み量のばらつきに起因した歯筋精度の悪化が抑えられる。すなわち、本発明によって、歯筋精度が十分に向上した転造方法が提供される。
また、特許文献1に示したように押圧荷重を均等化するために補助ダイス等の余分な工具を使用する必要がないので、転造用ダイスの製作費用を低減できるとともに、補助ダイスにより転造用素材に余分な転造領域が形成されることもない。すなわち、本発明によって、不必要な部分まで加工することなくはすば歯車を転造することができる転造方法が提供される。
加えて、転造用ダイスの加工歯と転造用素材の成形歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態あるいは第2噛み合い状態に変化させる際に、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせる。加工歯と成形歯ははすば状の歯であるので、歯面間での相対的な滑りは転造用ダイスと転造用素材との間の相対的な回転を引き起こす。この相対回転により噛み合い状態が変化する。このように、本発明によれば、噛み合い面間での滑りを利用して、スムーズに噛み合い状態を第1噛み合い状態あるいは第2噛み合い状態に変化させることができる。よって、噛み合い状態を変化させるために一旦転造加工を停止させ、転造用ダイスと転造用素材との噛み合いを解消し、噛み合い状態を変化させてから再度噛み合わせ、その後に転造加工を開始するといったような手間を必要としない。すなわち本発明によれば、効率的に噛み合い状態を所望の噛み合い状態に変化させることができる。
本発明の転造方法において、各工程(第1転造工程、第2転造工程、噛み合い状態変化工程)は、それぞれ個別に実行されてもよい。例えば、第1転造工程を実行し、第1転造工程の終了後、噛み合い状態変化工程を実行し、次いで、第2転造工程を実行してもよい。また、第2転造工程を実行し、第2転造工程の終了後、噛み合い状態変化工程を実行し、次いで、第1転造工程を実行してもよい。ただし、第1転造工程と第2転造工程との間、あるいは第2転造工程と第1転造工程との間には、噛み合い状態変化工程が介在する。この場合、噛み合い状態変化工程を介在して第1転造工程と第2転造工程とを複数回実行してもよい。
また、上記噛み合い状態変化工程は、転造用素材を転造用ダイスで転造しながら実行してもよいし、第1転造工程あるいは第2転造工程の終了後に単独で実行してもよい。なお、転造しながら噛み合い状態変化工程を実行した場合、転造時間をより一層短縮することができる。
前記噛み合い状態変化工程は、前記転造用素材を前記転造用ダイスに対して強制的に軸方向移動させることにより、前記第1被加工面および前記第2被加工面に創成される成形歯と前記加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、前記相対的な滑りにより前記転造用ダイスに対して前記転造用素材を相対的に回転させることにより、前記転造用素材と前記転造用ダイスとの噛み合い状態を前記第1噛み合い状態または前記第2噛み合い状態に変化させる工程であるのがよい。この場合、前記噛み合い状態変化工程は、前記噛み合い状態を前記第2噛み合い状態から前記第1噛み合い状態に、あるいは、前記第1噛み合い状態から前記第2噛み合い状態に、変化させる工程であってもよい。
また、前記噛み合い状態変化工程は、転造成形される歯車の歯数がn、ねじれ角がβ、ピッチ円直径がdpである場合、前記転造用素材の軸方向移動量Δxが下記式
Δx=(π・dp)/(2n・tanβ)
を満たすように、前記転造用素材を前記転造用ダイスに対して強制的に軸方向移動させる工程であるのがよい。
転造用素材の成形歯と転造用ダイスの加工歯はいずれもははすば状の歯であるので、転造用素材を転造用ダイスに対して軸方向移動させることにより、噛み合い面に滑りが生じる。この滑りにより転造用素材が転造用ダイスに対して相対回転する。斯かる相対回転により、転造用素材と転造用ダイスとの噛み合い状態を移行させることができる。また、転造用素材の軸方向移動量Δxが上記式を満たすように転造用素材を軸方向移動させることにより、転造用ダイスの加工歯と転造用素材の成形歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に、あるいは第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に確実に移行させることができる。
本発明の実施形態に係る転造装置の側面図である。 転造装置の平面図である。 第1実施形態においてモータ制御部が転造用素材Wの軸方向位置を制御するために実行する制御の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係る転造用素材Wの軸方向位置Lを制御した場合における、軸方向位置Lの変化を示すグラフである。 図4の期間A2における転造用ローラダイスの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を示す概略図である。 図4の期間B2における転造用ローラダイスの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を示す概略図である。 転造用素材Wの成形歯と転造用ローラダイスの加工歯との噛み合い位置の変化を示す図である。 転造用素材Wの軸方向移動量と、転造用素材Wの成形歯と転造用ローラダイスの加工歯との噛み合い位置の周方向変化量との関係を示すグラフである。 第1実施形態で示した転造方法により転造したはすば歯車を示す図である。 本実施形態で示した転造方法により転造したはすば歯車の左右歯面のうねり量の測定結果と、転造用素材Wの軸方向位置を制御せずに転造したはすば歯車の左右歯面のうねり量の測定結果を示す図である。 図10に示す測定結果を表すたグラフである。 第2実施形態においてモータ制御部が転造用素材Wの軸方向位置を制御するために実行する制御の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態に係る転造用素材Wの軸方向位置Lの制御を実行した場合における、軸方向位置Lの変化を示すグラフである。 変形例に係る転造用ローラダイスの加工歯と転造用素材Wの成形歯との第1噛み合い状態を示す概略図である。 変形例に係る転造用ローラダイスの加工歯と転造用素材Wの成形歯との第2噛み合い状態を示す概略図である。 一般的な転造用ダイスの斜視図である。 転造用ダイスに形成されている加工歯の正面図の一例を示す図である。 図15に示す転造用ダイスを用いて転造成形されたはすば歯車の歯底円を示す図である。 加工歯により加工された歯を直線状に展開した図である。 特許文献1記載の転造装置に用いられる転造用ダイスの斜視図である。 主ダイス、第1補助ダイスおよび第2補助ダイスにそれぞれ形成された加工歯の一例を示す正面図である。 特許文献1記載の転造方法に従って転造成形したはすば歯車を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る転造装置の側面図、図2は平面図である。これらの図に示すように、本実施形態の転造装置1は、基台A上に載置されたベースプレート2と、支持部3と、一対の転造用ローラダイス4a,4b(図2参照)と、エアシリンダユニット5と、制御部6とを備える。
図1に示すように、ベースプレート2は下板部21と上板部22とを備える。下板部21は基台Aの上面に固定される。下板部21の上面には、図1および図2の左右方向に延設されたガイドレール21aが形成される。このガイドレール21aには、上板部22の下面部分に形成されている図示しない溝が嵌合している。したがって、上板部22は、ガイドレール21aに沿って図1および図2の左右方向に移動可能且つそれ以外の方向に移動不能に下板部21に取り付けられる。
支持部3は第1支持部31と第2支持部32とを備える。第1支持部31は上板部22の上面に固定される。また、上板部22の上面には、下板部21の上面に形成されているガイドレール21aの延設方向に一致する方向に延びたガイドレール22aが形成されていて、第2支持部32の下面に形成されている図示しない溝がこのガイドレール22aに嵌合している。したがって、第2支持部32は、ガイドレール22aに沿って図1および図2の左右方向に移動可能且つそれ以外の方向に移動不能に上板部22に取り付けられる。図1および図2からわかるように、第1支持部31と第2支持部32は、図1および図2の左右方向に所定の間隔をおいて上板部22上に設けられている。
第1支持部31に第1支持ピン31aが、第2支持部32に第2支持ピン32aが、それぞれ形成される。第1支持ピン31aと第2支持ピン32aは、軸芯が一致し且つそれぞれの先端が向かい合うように配設されている。第1支持ピン31aが棒状の転造用素材Wの一端を支持し、第2支持ピン32aが転造用素材Wの他端を支持する。
エアシリンダユニット5は、シリンダ取付台51と、エアシリンダ52とを備える。シリンダ取付台51は上板部22の上面に固定される。シリンダ取付台51にエアシリンダ52のシリンダボディ52aが固定される。シリンダボディ52aからはシリンダロッド52bが図1および図2の左右方向に延びている。シリンダロッド52bの先端は第2支持部32に連結されている。
図2に示すように、一対の転造用ローラダイス4a,4bが、第1支持ピン31aと第2支持ピン32aとによりその両端が支持された転造用素材Wの軸芯を挟んで転造用素材Wの両側(図2において転造用素材Wの上下側)に対向配置される。一対の転造用ローラダイス4a,4bの外周部分には、転造用素材Wの側周面(被加工面)にはすば状の歯部を創成するための複数の加工歯41a,41bがそれぞれ形成されている。一対の転造用ローラダイス4a,4bは、それらに形成された両加工歯41a,41bが支持部3に支持されている転造用素材Wの側周面に接触し得るように、それらの軸方向が転造用素材Wの軸方向に一致した状態で配設されている。
本実施形態で用いられる一対の転造用ローラダイス4a,4bの加工面(外周面)は、図14に示したものに類似する。具体的には、転造用ローラダイス4a,4bは、複数の加工歯を有するとともに、複数の加工歯のうちの4枚の加工歯が転造用素材Wの被加工面に創成される成形歯に噛み合う4歯噛合領域(第1噛合領域)と、複数の加工歯のうちの5枚の加工歯が転造用素材Wの被加工面に創成される成形歯に噛み合う5歯噛合領域(第2噛合領域)とを有する。
一対の転造用ローラダイス4a,4bには、それぞれ駆動シャフト42a,42bが同軸的に連結している。これらの駆動シャフト42a,42bは、それぞれ図示しない駆動モータによって軸周りに回転可能である。駆動シャフト42a,42bの回転に伴って、一対の転造用ローラダイス4a,4bがそれぞれ回転する。また、駆動シャフト42a,42bは、図2の上下方向(実際には水平方向)に移動可能に構成されている。駆動シャフト42a,42bの移動により、一対の転造用ローラダイス4a,4bの外周面(加工面)に形成されている加工歯41a,41bが支持部3に支持されている転造用素材Wの側周面(被加工面)に接近し、あるいは遠ざかる。
制御部6は、電動モータ61と、ネジ軸62と、モータ制御部63(図1参照)とを備える。電動モータ61は基台A上に固定され、図示しない電源装置からの電力の供給により駆動する。
ネジ軸62はその一方端(図1において右端)にて電動モータ61の出力軸(図1において省略)に同軸的に連結している。また、ネジ軸62の他方端(図1において左端)側は、上板部22の図1における右側面に形成されているネジ穴22bに螺合している。ネジ軸62の軸方向およびネジ穴22bの軸方向はガイドレール21aの延設方向に一致している。したがって、電動モータ61の回転駆動に伴いネジ軸62が回転した場合、ネジ軸62がネジ穴22bで回転することによって、その回転運動が上板部22の直線運動に変換される。このため上板部22および上板部22上に配設された支持部3およびエアシリンダユニット5が図1の左右方向に移動する。なお、ネジ軸62をボールネジ軸のように構成し、ネジ穴22bを含む上板部22の右側部分をボールネジナットのように構成してもよい。
モータ制御部63は、マイコンあるいはシーケンサ回路を備えて構成されており、電動モータ61に指令信号を出力する。電動モータ61は、モータ制御部63から入力した指令信号に基づいて駆動する。
また、転造装置1は、軸方向位置測定部7を備える。この軸方向位置測定部7は、レーザ光照射部71と、反射光受光部72と、演算部73とを備える。レーザ光照射部71は、レーザ光源およびレーザ駆動回路を有し、レーザ光を測定対象物に照射する。反射光受光部72は、測定対象物に照射されたレーザ光の反射光を受光する。演算部73は、反射光受光部72で受光した反射光の強度や受光位置等に基づいて、レーザ光照射部71と測定対象物との間の距離を演算する。この種のレーザ光を利用した距離の演算手法は周知であるので、その詳細な説明は省略する。
図1に示すように、本実施形態において、レーザ光照射部71によりレーザ光が照射される測定対象物は、第1支持部31である。したがって、演算部73は、レーザ光照射部71と第1支持部31との間の距離を演算する。この距離は、転造用素材Wの軸方向に沿った位置を表す。つまり、この距離が転造用素材Wの軸方向位置Lに相当する。演算部73で演算された軸方向位置Lを表す信号は、モータ制御部63に入力される。
上記構成の転造装置1を用いて転造用素材Wを転造加工する方法について、以下に説明する。
まず、第1支持ピン31aの先端を転造用素材Wの一端に押し付けるとともに、第2支持ピン32aの先端を転造用素材Wの他端に押し付けることにより、転造用素材Wを支持部3で支持する。このとき、エアシリンダ52のシリンダロッド52bを伸長させて第2支持部32を転造用素材Wに近づける方向への押圧力を第2支持部32に作用させることにより、転造用素材Wがその軸周りに回転可能に支持される。この場合において、転造用素材Wが支持部3により支持されている状態で上板部22がガイドレール21aに沿って図1および図2の左右方向に移動すると、転造用素材Wもその軸方向に移動する。つまり、図1および図2に示した状態において、転造用素材Wはその軸周りに回転可能且つ軸方向移動可能に支持部3に支持される。
また、一対の転造用ローラダイス4a,4bを同一方向に同速度で回転させるとともに、両転造用ローラダイス4a,4bの外周面に形成された加工歯41a,41bが支持部3に支持された転造用素材Wの側周面に近づく方向に、両駆動シャフト42a,42bを移動させる。そして、一対の転造用ローラダイス4a,4bを同時に転造用素材Wに接触させる。すると、転造用素材Wは一対の転造用ローラダイス4a,4bの回転方向とは反対方向に連れ回りする。また、一対の転造用ローラダイス4a,4bの加工歯41a,41bが転造用素材Wの側周面に押し付けられる。加工歯41a,41bを転造用素材Wの側周面に押し付けた状態で転造用ローラダイス4a,4bが回転することにより、転造用素材Wが転動させられるとともにその側周面にはすば状の歯部が創成される。このようにして転造加工が行われる。
転造加工が進むにつれて、転造用素材Wの外周径のうち被加工面の径(仕上がり径)が小さくなっていき、このことに起因して、一対の転造用ローラダイス4a,4bから転造用素材Wに軸方向に向かう駆動力が作用する。この駆動力によって、転造用素材Wが軸方向移動する。この軸方向移動は、「歩み」と呼ばれる。「歩み」が発生すると、転造用素材Wの軸方向位置Lが変化する。
転造用ローラダイス4a,4bは、上述したように複数の加工歯を有するとともに、複数の加工歯のうちの4枚の加工歯が転造用素材Wの被加工面に創成される成形歯に噛み合う4歯噛合領域(第1噛合領域)と、複数の加工歯のうちの5枚の加工歯が転造用素材Wの被加工面に創成される成形歯に噛み合う5歯噛合領域(第2噛合領域)とを有する。したがって、転造加工時において、転造用素材Wの側周面(被加工面)に創成される成形歯のうち4歯噛合領域で加工歯に噛み合う成形歯に加えられる押圧荷重は大きく、5歯噛合領域で加工歯に噛み合う成形歯に加えられる押圧荷重は小さい。
また、本実施形態において、転造加工時に、一対の転造用ローラダイス4a,4bは、互いに同期しながら、一方への回転(正回転)と他方への回転(逆回転)を交互に繰り返すように制御される。転造用ローラダイス4a,4bが正回転中であるか逆回転中であるかについての情報は、モータ制御部63に入力される。本実施形態では、転造用素材Wの累積回転数Rに基づいて、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が切り換えられる。累積回転数Rとは、転造用素材Wの一方への回転数と他方への回転数の総和である。この場合、例えば転造用素材Wが一方の回転方向にX回転し、その後他方の回転方向へX回転することが繰り返されるように、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が累積回転数Rに基づいて切り換えられる。モータ制御部63は、演算部73から入力される転造用素材Wの軸方向位置Lに関する情報、および、転造用ローラダイスの回転方向に関する情報、に基づいて、転造用素材Wの軸方向位置Lを制御する。
図3は、モータ制御部63が転造用素材Wの軸方向位置Lを制御するために実行する制御の流れを示すフローチャートである。この制御は、支持部3にセットした転造用素材Wの転造を開始する指令信号が入力されたときに開始される。この制御が開始されると、モータ制御部63は、まず図3のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)10にて、軸方向位置測定部7の演算部73から現在入力されている軸方向位置Lを、初期位置L0に設定する。次いで、トリガ条件を達成したか否かを判定する(S12)。トリガ条件とは、転造用素材Wの強制的な軸方向移動を開始するきっかけ(制御開始ポイント)を与えるための条件である。本実施形態においては、転造用素材Wの軸方向位置L(あるいは軸方向移動量)が予め定められた基準軸方向位置(あるいは基準軸方向移動量)に達した回数が、予め設定された基準回数に達するという条件が、トリガ条件に設定されている。このトリガ条件を満たした場合、つまり、転造用素材Wの軸方向位置L(あるいは軸方向移動量)が予め定められた基準軸方向位置(あるいは基準軸方向移動量)に達した回数が、予め設定された基準回数に達した場合(S12:Yes)、モータ制御部63は、転造用ローラダイス4a,4bが正回転しているか否かを判定する(S14)。正回転している場合(S14:Yes)、以下の(1)式に基づいて目標軸方向位置L*を演算する(S16)。
L*=L0+Δx/2・・・(1)
一方、S14にて、転造用ローラダイス4a,4bが正回転していないと判定したとき(S14:No)は、モータ制御部63は、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転しているか否かを判定する(S18)。逆回転している場合(S18:Yes)、モータ制御部63は、以下の(2)式に基づいて目標軸方向位置L*を演算する(S20)。
L*=L0−Δx/2・・・(2)
上記(1)式および(2)式において、Δx(Δx>0)は、転造用素材Wの目標軸方向移動量である。(1)式と(2)とを比較してわかるように、転造用ローラダイス4a,4bが正回転している場合に設定される目標軸方向位置L*と逆回転している場合に設定される目標軸方向位置L*との差が、目標軸方向移動量Δxである。目標軸方向移動量Δxについては後述する。
S16またはS20にて目標軸方向位置L*を演算した後は、モータ制御部63は、転造用素材Wの軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に一致するように、電動モータ61を駆動制御する(S22)。この場合において、軸方向位置測定部7の演算部73から入力した軸方向位置Lが目標軸方向位置L*よりも小さい場合には、軸方向位置Lが増加するように電動モータ61が正回転駆動する。電動モータ61が正回転した場合、その回転がネジ軸62に伝達されて、ネジ軸62も正回転する。ネジ軸62がネジ穴22b内で正回転することにより、ネジ軸62の正回転運動が、上板部22の図1における左方への直線運動に変換される。このため上板部22が下板部21に対して図1の左方に移動する。また、上板部22には支持部3が取り付けられており、この支持部3には転造用素材Wが支持されている。このため、転造用素材Wには、その軸方向右端面から第1支持ピン31aを介して図1の左方向に駆動力が作用する。この駆動力、つまり外部から作用する力によって、転造用素材Wが強制的に図1の左方に軸方向移動させられる。また、転造用ローラダイス4a,4bは図1の左右方向に移動することができないように構成されている。したがって、電動モータ61の正回転によって、転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して図1の左方に相対的に軸方向移動する。
一方、軸方向位置Lが目標軸方向位置L*よりも大きい場合には、軸方向位置Lが減少するように電動モータ61が逆回転駆動する。電動モータ61が逆回転した場合、その回転がネジ軸62に伝達されて、ネジ軸62も逆回転する。ネジ軸62がネジ穴22b内で逆回転することにより、ネジく62の逆回転運動が、上板部22の図1における右方への直線運動に変換される。このため上板部22が下板部21に対して図1の右方に移動する。よって、転造用素材Wには、その軸方向左端面から第2支持ピン32aを介して図1の右方向に駆動力が作用する。この駆動力によって転造用素材Wが強制的に図1の右方に軸方向移動させられる。また、転造用ローラダイス4a,4bは上述したように図1の左右方向に移動することができないように構成されている。したがって、電動モータ61の逆回転によって、転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して、図1の右方に相対的に軸方向移動する。
このように、電動モータ61が回転することにより、転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して相対的に軸方向移動する。なお、S22にて転造用素材Wの軸方向位置を制御する際に、転造用素材Wの「歩み」を有効に利用するとよい。例えば、電動モータ61による転造用素材Wの軸方向位置の制御中に、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が逆回転方向から正回転方向に切り替わったときには、その時点で一旦強制的な軸方向位置の制御を停止して転造用素材Wを「歩み」により自然に軸方向移動させ、「歩み」による軸方向移動量が所定の移動量に達した後に、「歩み」方向と同一方向に転造用素材Wを強制的に軸方向移動させるとよい。また、電動モータ61による転造用素材Wの軸方向位置の制御中に、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が正回転方向から逆回転方向に切り替わったときには、その時点で一旦強制的な軸方向位置の制御を停止して転造用素材Wを「歩み」により自然に軸方向移動させ「歩み」による軸方向移動量が所定の移動量に達した後に、そのときの「歩み」方向と同一方向に転造用素材Wを強制的に軸方向移動させるとよい。
転造用素材Wの軸方向移動時に転造用素材Wに作用する駆動力は、転造用素材Wの成形歯に噛み合っている転造用ローラダイス4a,4bの加工歯に作用する。この駆動力によって、後述するように、転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して相対的に回転し、転造用素材Wと転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態が変化する。なお、「歩み」によっても噛み合い状態は変化する。本実施形態では、「歩み」を含めた転造用素材Wの軸方向移動を外部から作用する力により強制的に制御して、噛み合い状態を強制的に変化させている。
また、S22では、速やかに軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に一致するように、応答性の高い電動モータ61が制御される。例えば転造用ローラダイス4a,4bが正回転中であるときは、正回転中である間に、つまり転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が正回転方向から逆回転方向に切り替わる前に、軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に達するように、電動モータ61が制御される。同様に、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転中であるときは、逆回転中である間に、つまり転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が逆回転方向から正回転方向に切り替わる前に、軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に達するように、電動モータ61が制御される。したがって、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向がある方向に切り替わってから次に反対方向に切り替わるまでの期間に、転造用素材Wの軸方向位置Lが目標軸方向位置L*まで変化する期間と、転造用素材Wの軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に一致している状態を維持する期間が存在する。
S22にて転造用素材Wの軸方向位置Lが目標軸方向位置L*に一致するように電動モータ61を制御した後は、モータ制御部63はS14に戻る。そして上記した電動モータ61の制御を繰り返す。
S18にて、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転していないと判定したとき(S18:No)、つまり、転造が終了して転造用ローラダイス4a,4bが停止しているときは、モータ制御部63はこの制御ルーチンを終了する。以上のようにして、転造加工中における転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。
図4は、上記のように転造用素材Wの軸方向位置Lが制御された場合における軸方向位置Lの変化を示すグラフである。図4の横軸は、転造用ローラダイス4a,4bによる転造用素材Wの転造が開始されてからの転造用素材Wの累積回転数Rであり、縦軸は転造用素材Wの軸方向位置Lである。なお、図4においては、転造用素材Wが図1の左方向に軸方向移動した場合に軸方向位置Lが増加し、右方向に軸方向移動した場合に軸方向位置Lが減少する。
図4に示すように、転造用素材Wの軸方向位置Lは転造加工中に変動する。また、転造加工の開始から転造用素材Wの累積回転数RがR1に達したときから転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。逆に、転造用素材Wの累積回転数RがR1に達する以前においては、転造用素材Wの軸方向位置Lは制御されない。軸方向位置Lが制御されていないときであっても、上述した「歩み」によって、転造用素材Wは自ら軸方向移動するため、軸方向位置Lが変化する。
また、累積回転数RがR1であるときにおける軸方向位置LがL1により表わされている。さらに累積回転数RがR1であるときに転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が逆回転方向から正回転方向に切り替わっている。また、この時点から、転造用素材Wの軸方向位置LがL1からL0+Δx/2まで変化(増加)するように、転造用素材Wが強制的に軸方向に移動される。この場合、図1に示す電動モータ61が正回転駆動し、転造用素材Wが図1の左方に軸方向移動する。図1の左方への転造用素材Wの軸方向移動によって、軸方向位置LがL1からL0+Δx/2まで変化(増加)する。そして、軸方向位置LがL0+Δx/2に達した後は、軸方向位置LがL0+Δx/2に一致した状態が維持される。したがって、図4に示すように、転造用ローラダイス4a,4bが正回転している期間Aに、軸方向位置LがL0+Δx/2まで変化(増加)する期間A1と、軸方向位置LがL0+Δx/2に一致した状態が維持される期間A2が存在する。
また、累積回転数RがR2に達したときに、転造用ローラダイス4a,4bの回転方向が正回転方向から逆回転方向に切り替わる。この回転方向の切り替わりとともに、転造用素材Wの軸方向位置LがL0+Δx/2からL0−Δx/2まで変化するように、転造用素材Wが強制的に軸方向に移動される。この場合、図1に示す電動モータ61が逆回転駆動し、転造用素材Wが図1の右方に軸方向移動する。図1の右方への転造用素材Wの軸方向移動によって、軸方向位置LがL0+Δx/2からL0−Δx/2まで変化(減少)する。そして、軸方向位置LがL0−Δx/2に達した後は、軸方向位置LがL0−Δx/2に一致した状態が維持される。したがって、図4に示すように、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転している期間Bに、軸方向位置LがL0−Δx/2まで変化(下降)する期間B1と、軸方向位置LがL0−Δx/2に一致した状態が維持される期間B2が存在する。なお、転造用素材Wの軸方向移動中にエアシリンダユニット5のシリンダロッド52bの長さが変化しないように(つまり、電動モータ61の駆動による転造用素材Wの軸方向移動力に負けないように)、エアシリンダユニット5が構成されている。
図4から明らかなように、期間A2での転造用素材Wの軸方向位置Lと期間B2での転造用素材Wの軸方向位置Lは異なる。期間A2での軸方向位置(L0+Δx/2)と期間B2での軸方向位置(L0−Δx/2)との差は、目標軸方向移動量Δxである。また、期間A1および期間B1では転造用素材Wの軸方向位置Lが変化する。ここで、転造用素材Wに創成される成形歯も転造用ローラダイス4a,4bの加工歯もはすば状の歯であるから、転造用ローラダイス4a,4bに対する転造用素材Wの軸方向位置Lが強制的に変化させられた場合、転造用素材Wを軸方向移動させるための駆動力が成形歯と加工歯との噛み合い面に作用する。このため上記噛み合い面で強制的な滑りが生じ、その滑りによって転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して相対的に回転する。この相対回転によって、成形歯と加工歯との噛み合い状態が変化する。よって、期間A2における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態と、期間B2における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態は異なる。なお、図4中の点線で示した曲線Cは、転造用素材Wの累積回転数RがR1に達した後に上記した軸方向位置Lの制御を行わなかった場合における転造用素材Wの軸方向位置Lの変化、すなわち「歩み」による転造用素材Wの軸方向位置Lの変化を表す。
図5は、期間A2における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を示す概略図である。図5に示すように、一対の転造用ローラダイス4a,4bの外周面に、4歯噛合領域と5歯噛合領域とが交互に形成される。なお、図5において、4歯噛合領域が細い実線で、5歯噛合領域が太線で表示される。
また、転造用素材Wの側周面(被加工面)のうち一方の転造用ローラダイス4aの4歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合う成形歯が創成される面(第1被加工面)は他方の転造用ローラダイス4bの4歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、一方の転造用ローラダイス4aの5歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合う成形歯が創成される面(第2被加工面)は他方の転造用ローラダイス4bの5歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合うように、両転造用ローラダイス4a,4bの回転位相が調整されている。図5においては、転造用素材Wの側周面(被加工面)のうち領域Aおよび領域Cで表わされる部分(第1被加工面)に創成される成形歯が両転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、領域Bおよび領域Dで表わされる部分(第2被加工面)に創成される成形歯が両転造用ローラダイス4a,4bの5歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合う。図5に示す噛み合い状態が本発明の第1噛み合い状態に相当する。また、期間A2であるときにおける転造工程が、本発明の第1転造工程に相当する。さらに、期間A1中にて転造用素材Wを軸方向移動させる工程が、本発明の噛み合い状態変化工程に相当する。
4歯噛合領域では、被加工面に創成される成形歯に4枚の加工歯が噛み合うので、1枚の加工歯あたりから成形歯に加えられる押圧荷重が大きい。一方、5歯噛合領域では、被加工面に創成される成形歯に5枚の加工歯が噛み合うので、1枚の加工歯あたりから成形歯に加えられる押圧荷重が小さい。このように噛み合い部位によって1枚の加工歯から成形歯に加えられる押圧荷重が異なるため、成形歯の歯厚が噛み合い部位によって異なる。図5に示す場合では、転造用素材Wの領域Aおよび領域Cに創成される成形歯、つまり4歯噛合領域で加工される成形歯の歯厚が小さく、領域Bおよび領域Dに創成される成形歯、つまり5歯噛合領域で加工される成形歯の歯厚が大きい。したがって、期間A2では、転造用素材Wの領域Aおよび領域Cに創成される成形歯の歯厚が小さく、領域Bおよび領域Dに創成される成形歯の歯厚が大きくなるように、転造用素材Wが転造される。
図6は、期間B2における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を示す概略図である。この図においても図5と同様に、転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域が細い実線で、5歯噛合領域が太線で表示される。
図6に示すように、期間B2においては、転造用素材Wの側周面(被加工面)のうち領域Bおよび領域Dで表わされる部分(第2被加工面)に創成される成形歯が両転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、領域Aおよび領域Cで表わされる部分(第1被加工面)に創成される成形歯が両転造用ローラダイス4a,4bの5歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合う。したがって、期間B2では、転造用素材Wの領域Bおよび領域Dに創成される成形歯の歯厚が小さく、領域Aおよび領域Cに創成される成形歯の歯厚が大きくなるように、転造用素材Wが転造される。図6に示す噛み合い状態が本発明の第2噛み合い状態に相当する。また、期間B2であるときにおける転造工程が、本発明の第2転造工程に相当する。さらに、期間B1にて転造用素材Wを軸方向移動させる工程が、本発明の噛み合い状態変化工程に相当する。
本実施形態では、図5に示す噛み合い状態(第1噛み合い状態)での転造(期間A2における転造工程)と、図6に示す噛み合い状態(第2噛み合い状態)での転造(期間B2における転造工程)が、交互に実施される。したがって、転造用素材Wの被加工面のうちの特定の部分のみが、4歯噛合領域のみで、あるいは5歯噛合領域のみで転造されることがなく、被加工面の全ての面が、4歯噛合領域でも転造されるし5歯噛合領域でも転造される。よって、転造時に被加工面に加えられる押圧荷重が均等化されたものと同等の効果を得ることができる。その結果、被加工面の成形歯への切り込み量のばらつきが抑えられ、切り込み量のばらつきに起因した歯筋精度の悪化が抑えられる。すなわち、歯筋精度が十分に向上した転造方法を提供することができる。加えて、切り込み量のばらつきにより成形歯車の歯底円が楕円状になることが防止され、歯底円を真円に近づけることができる。
ところで、本実施形態では、転造用素材Wと両転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態が、図5に示す第1噛み合い状態と図6に示す第2噛み合い状態とを交互に繰り返すように、転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。具体的には、図4に示すグラフにおいて、転造用ローラダイス4a,4bが正回転している期間Aのうち軸方向位置LがL0+Δx/2に一致した状態が維持される期間A2にて第1噛み合い状態で転造用素材Wが転造され、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転している期間Bのうち軸方向位置LがL0−Δx/2に一致した状態が維持される期間B2にて第2噛み合い状態で転造用素材Wが転造されるように、転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。このときに用いられる軸方向移動量、すなわち噛み合い状態を第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に、あるいは第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に変化させるために必要な転造用素材Wの軸方向移動量が、目標軸方向移動量Δxである。したがって、転造用素材WがΔxだけ軸方向移動することにより、転造用素材Wと両転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態が第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に、あるいは第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に、変化する。
目標軸方向移動量Δxの具体的な算出方法について説明する。
転造用素材Wと両転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態が図5に示す第1噛み合い状態である場合、例えば転造用ローラダイス4a,4bが22.5°(π/8)回転するごとに、転造用素材Wの成形歯に噛み合う加工歯の形成領域が4歯噛合領域から5歯噛合領域に、あるいは5歯噛合領域から4歯噛合領域に切り替わる。また、転造用ローラダイス4a,4bが90°(π/2)回転した場合に転造用素材Wが一回転するものとする。さらに、このような転造加工により転造用素材Wが2枚歯のはすば歯車に転造されるものとする。
図5に示した噛み合い状態と図6に示した噛み合い状態とを比較すると、転造用ローラダイス4a,4bに対する転造用素材Wの回転位置が90°だけずれていることがわかる。したがって、転造用素材Wと両転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態を図5に示す第1噛み合い状態から図6に示す第2噛み合い状態に変化させるためには、転造用素材Wを両転造用ローラダイス4a,4bに対して90°(π/2)だけ相対回転させればよい。よって、目標軸方向移動量Δxは、転造用素材Wが両転造用ローラダイス4a,4bに対して90°だけ相対回転するように噛み合い面間で滑りを生じさせるような軸方向移動量であるといえる。ちなみに、成形されるはすば歯車の歯数がn枚である場合、転造用ローラダイス4a,4bがπ/nだけ回転したときに、転造用素材Wが一回転する。したがって、n枚歯のはすば歯車を転造により成形する場合、目標軸方向移動量Δxは、転造用素材Wが両転造用ローラダイス4a,4bに対してπ/nだけ相対回転するように噛み合い面間で滑りを生じさせるような軸方向移動量である。
図7は、転造用素材Wの軸方向移動に伴う転造用素材Wの成形歯と転造用ローラダイスの加工歯との噛み合い位置の変化を示す図である。図7に示すように、転造用素材Wが距離Xだけ図の左方に強制的に軸方向移動された場合、図7の点Aで示す位置で転造用素材Wの成形歯と噛み合っていた加工歯の部分は点Bで示す位置まで成形歯上をその周方向にスライドする。つまり、転造用素材Wの軸方向移動に伴って、転造用素材Wの成形歯と転造用ローラダイスの加工歯との噛み合い位置が、周方向に変化する。この周方向に沿った噛み合い位置の変化量を、周方向変化量と呼ぶ。
図8は、転造用素材Wの軸方向移動量Xと周方向変化量Sとの関係を示すグラフである。図において横軸が軸方向移動量であり、縦軸が周方向変化量である。軸方向移動量と周方向変化量との関係は、成形歯あるいは加工歯のねじれ角に依存する。例えばねじれ角がβである場合、軸方向移動量Xと周方向変化量Sとの関係が、以下の(3)式により表わされる。
tanβ=S/X (3)
また、周方向変化量Sを転造用素材Wの円周長(正確には成形されるはすば歯車のピッチ円周長)で除した値は、360°(2π)に対する転造用素材Wの相対回転角度α(α/2π)に等しい。したがって、相対回転角度αがπ/nであるための周方向変化量Sは、以下の(4)式によって導かれる。
S=πdp/2n (4)
上記(4)式において、dpは成形されるはすば歯車のピッチ円直径である。
上記(3)式および上記(4)式から下記の(5)式が導かれる。
X=πdp/(2n・tanβ) (5)
上記(5)式により求められる軸方向移動量Xは、転造用素材Wの転造用ローラダイスに対する相対回転角度αがπ/nであるために必要な転造用素材Wの軸方向移動量、すなわち目標軸方向移動量Δxである。よって、(5)式によって目標軸方向移動量Δxを計算することができる。
例えば、ねじれ角45°、歯数2のはすば歯車を転造により成形する場合、上記(5)式から計算される目標軸方向移動量Δxはπdp/4である。このとき相対回転角度αがπ/2(90°)となる。
したがって、上記(5)式に基づいて目標軸方向移動量Δxを予め算出しておき、転造加工時には図4に示すように転造用素材Wを目標軸方向移動量Δxだけ移動させながら転造加工することによって、転造用素材Wの被加工面のうち4歯噛合領域で加工される部分と5歯噛合領域で加工される部分とを交互に入れ替えることができる。そのため転造用素材Wの被加工面の全ての領域が均等に4歯噛合領域および5歯噛合領域で加工される。よって、成形されるはすば歯車の歯部の歯厚が均一化され、歯部の歯筋精度が向上する。
図9は、本実施形態で示した転造方法により転造したはすば歯車Pを示す図である。図9からわかるように、成形されたはすば歯車Pは、両転造用ローラダイス4a,4bで転造されることにより形成された歯車部E1を有する。また、図19に示すはすば歯車と異なり、本来必要のない歯車部が形成されない。このことからわかるように、本実施形態によれば、不必要な部分まで加工することなくはすば歯車を転造することができる。
図10は、本実施形態で示した転造方法により転造したはすば歯車の左右歯面のうねり量の測定結果(図10(a))と、転造用素材Wの軸方向位置を制御せずに転造したはすば歯車の左右歯面のうねり量の測定結果(図10(b))を示す図である。また、図11は、図10に示す測定結果を表すグラフである。
図10に示すように、転造用素材Wの軸方向位置を制御しない場合(図10(b)の場合)、成形されるはすば歯車の左右歯面のうねり量は最大60μmであった。これに対し、本実施形態のように転造用素材Wの軸方向位置を制御した場合(図10(a)の場合)、成形されるはすば歯車の左右歯面のうねり量は最大16μmであった。このことから、本実施形態によれば、歯面のうねり量が大幅に減少し、歯筋精度が十分に向上したことがわかる。また、図11に示すように、軸方向位置を制御しない場合においても「歩み」により転造用素材Wが軸方向移動するが、その移動量は1.5mmである。これに対し、軸方向位置を制御した場合、軸方向移動量は約2.7mmである。このように、転造用素材Wを強制的に軸方向移動量を制御することによって、うねり量を大幅に減少させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、転造加工中に、転造用素材Wの軸方向位置LをL0+Δx/2に一致させた状態とL0−Δx/2に一致させた状態とが交互に繰り返されるように、転造用素材Wの軸方向位置Lを制御する例について説明した。これに対し、本実施形態では、転造加工の後半に、転造用素材Wの軸方向位置Lが初期位置L0からΔxだけ移動するように転造用素材Wの軸方向位置Lを制御する例について説明する。なお、本実施形態で使用する転造装置の構成は、上記第1実施形態にて説明した図1および図2に示す転造装置1と同一構成であるので、装置構成の具体的説明は省略する。また、本実施形態では、転造用ローラダイス4a、4bは、往復回転するのではなく、一方向(例えば正回転方向)のみに回転するように、その回転方向が制御されている。
図12は、モータ制御部63が転造用素材Wの軸方向位置Lを制御するために実行する制御の流れを示すフローチャートである。この制御は、支持部3にセットした転造用素材Wの転造を開始する指令信号が入力されたときに開始される。この制御が開始されると、モータ制御部63は、まず図10のS30にて、軸方向位置測定部7の演算部73から現在入力されている軸方向位置Lを初期位置L0に設定する。次いで、トリガ条件を達成したか否かを判定する(S32)。トリガ条件とは上記第1実施形態で説明したように、転造用素材Wの強制的な軸方向移動を開始するきっかけ(制御開始ポイント)を与えるための条件である。本実施形態においては、転造用素材Wの軸方向位置(あるいは軸方向移動量)が予め定められた基準軸方向位置L2(あるいは基準軸方向移動量)に達するという条件が、トリガ条件に設定されている。このトリガ条件を満たした場合、つまり、転造用素材Wの軸方向位置(あるいは軸方向移動量)が予め定められた基準軸方向位置L2(あるいは基準軸方向移動量)に達した場合(S32:Yes)、モータ制御部63は、転造用素材Wの軸方向位置Lが、L0+Δxに一致するように、電動モータ61を駆動制御する(S34)。ここで、Δxは転造用素材Wの目標軸方向移動量を表し、上記第1実施形態で説明した方法により求められる。
図13は、上記のように転造用素材Wの軸方向位置Lが制御された場合における軸方向位置Lの変化を示すグラフである。図13の横軸は転造用素材Wの累積回転数R、縦軸は転造用素材Wの軸方向位置Lである。
図13によれば、転造用素材Wの軸方向位置の初期位置がL0で表わされる。また、転造用素材Wの累積回転数RがR0に達する前は、転造用素材Wは軸方向移動していない。累積回転数RがR0に達した直後に転造用素材Wが「歩み」による軸方向移動を開始する。そして、累積回転数RがR1に達したときに、軸方向位置Lが基準軸方向位置L2に達する。このときにトリガ条件を満たす。よって、このとき以降、転造用素材Wの軸方向位置が制御され、転造用素材Wの軸方向位置LがL2からL0+Δxまで変化するように、転造用素材Wが強制的に軸方向移動される。この場合において、転造用素材Wの「歩み」を促進する方向に転造用素材Wを強制的に軸方向移動させると良い。本実施形態では転造用ローラダイス4a,4bが正回転しているので、「歩み」により軸方向位置Lが増加する。したがって、転造用素材Wの軸方向位置Lが基準軸方向位置L2に達した後に(つまりトリガ条件を満たした後に)、軸方向位置Lが増加する方向に転造用素材Wが強制的に軸方向移動される。なお、図13中の点線で示した曲線Cは、転造用素材Wの軸方向位置Lが基準軸方向位置L2に達した以降に上記した軸方向位置Lの制御を行わなかった場合における転造用素材Wの軸方向位置Lの変化、すなわち「歩み」による転造用素材Wの軸方向位置Lの変化を表す。
転造用素材Wの強制的な軸方向移動により、累積回転数RがR2に達したときに転造用素材Wの軸方向位置LがL0+Δxに達する。それ以降は軸方向位置LがL0+Δxに一致した状態が維持される。したがって、図13に示すように、転造用素材Wの転造加工中、軸方向位置LがL0である期間C1(〜R0)と、軸方向位置LがL0〜L0+Δxまで連続的に変化する期間C2(R0〜R2)と、軸方向位置LがL0+Δxである期間C3(R2〜)が存在する。
図13から明らかなように、期間C1での転造用素材Wの軸方向位置Lと期間C3での転造用素材Wの軸方向位置Lは異なる。また、期間C2では転造用素材Wの軸方向位置が連続的に変化する。ここで、転造用素材Wに創成される成形歯も転造用ローラダイス4a,4bの加工歯もはすば状の歯であるから、転造用ローラダイス4a,4bに対する転造用素材Wの軸方向位置Lが強制的に変化させられた場合、成形歯と加工歯との噛み合い面にて滑りが生じ、その滑りによって転造用素材Wが転造用ローラダイス4a,4bに対して相対的に回転する。この相対回転によって、成形歯と加工歯との噛み合い状態が変化する。よって、期間C1における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態と、期間C3における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態は異なる。期間C1における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態は、例えば図5に示す第1噛み合い状態であり、期間C3における転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態は、例えば図6に示される第2噛み合い状態である。したがって、期間C1であるときにおける転造工程が本発明の第1転造工程に相当し、期間C3であるときにおける転造工程が本発明の第2転造工程に相当する。また、期間C2であるときに転造用素材Wを軸方向移動させる工程が、本発明の噛み合い状態変化工程に相当する。
このように、本実施形態では、図5に示す噛み合い状態(第1噛み合い状態)での転造工程(期間C1における転造工程)と、図6に示す噛み合い状態(第2噛み合い状態)での転造工程(期間C3における転造工程)が連続的に変化して、それぞれ実施される。したがって、転造用素材Wの被加工面のうちの特定の部分のみが、4歯噛合領域のみで、あるいは5歯噛合領域のみで転造されることがなく、被加工面の全ての面が、4歯噛合領域でも転造されるし、5歯噛合領域でも転造される。よって、転造時に被加工面に加えられる押圧荷重が均等化される。その結果、被加工面の成形歯への切り込み量のばらつきが抑えられ、切り込み量のばらつきに起因した歯筋精度の悪化が抑えられる。すなわち、歯筋精度が十分に向上した転造方法を提供することができる。加えて、切り込み量のばらつきにより成形歯車の歯底円が楕円状になることが防止され、歯底円を真円に近づけることができる。
以上のように、上記第1および第2本実施形態によれば、転造用素材Wの被加工面のうち第1被加工面(図5に示す領域A,C)に創成される成形歯が4歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、第1被加工面以外の第2被加工面(図5に示す領域B,D)に創成される成形歯が5歯噛合領域に形成される加工歯に噛み合う第1噛み合い状態で、転造用素材Wを転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を創成する第1転造工程(図4の期間A2および図13の期間C1で行われる転造工程)と、転造用素材Wの被加工面のうち第2被加工面(図6に示す領域B,D)に創成される成形歯が4歯噛合領域(第1噛合領域)に形成される加工歯に噛み合い、第1被加工面(図6に示す領域A,C)に創成される成形歯が5歯噛合領域(第2噛合領域)に形成される加工歯に噛み合う第2噛み合い状態で、転造用素材Wを転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を転造する第2転造工程(図4の期間B2および図13の期間C3で行われる転造工程)と、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、相対的な滑りにより転造用ローラダイス4a,4bに対して転造用素材Wを相対的に回転させることにより、成形歯と加工歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態または第2噛み合い状態に変化させる噛み合い状態変化工程(図4の期間A1,B1および図13の期間C2で行われる転造工程)と、を含む。
上記第1実施形態および第2実施形態によれば、第1転造工程にて、転造用素材Wの被加工面のうち第1被加工面の成形歯が転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域で転造されるとともに第2被加工面の成形歯が転造用ローラダイス4a,4bの5歯噛合領域で転造される。一方、第2転造工程にて、第1被加工面の成形歯が転造用ローラダイス4a,4bの5歯噛合領域で転造されるとともに第2被加工面の成形歯が転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域で転造される。
したがって、転造用素材Wの被加工面のうち、第1被加工面が、第1転造工程にて4歯噛合領域で転造されるとともに、第2転造工程にて5歯噛合領域で転造される。また、転造用素材Wの被加工面のうち、第2被加工面が、第1転造工程にて5歯噛合領域で転造されるとともに、第2転造工程にて4歯噛合領域で転造される。すなわち、転造用素材Wの被加工面のうちの特定の部分のみが、4歯噛合領域のみで、あるいは5歯噛合領域のみで転造されることがなく、被加工面の全ての面が、4歯噛合領域でも転造されるし5歯噛合領域でも転造される。よって、転造時に転造用ローラダイス4a,4bから転造用素材Wの被加工面に加えられる押圧荷重が均等化される。その結果、被加工面の成形歯への転造用ローラダイス4a,4bの切り込み量のばらつきが抑えられ、切り込み量のばらつきに起因した歯筋精度の悪化が抑えられる。
また、特許文献1に示したように補助ダイス等の余分な工具を使用する必要がないので、転造用ダイスの製作費用を低減できるとともに、補助ダイスにより転造用素材Wに余分な転造領域が形成されることもない。すなわち、不必要な部分まで加工することなくはすば歯車を転造することができる。
加えて、転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態あるいは第2噛み合い状態に変化させる際に、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせる。加工歯と成形歯ははすば状の歯であるので、歯面間での相対的な滑りは転造用ローラダイス4a,4bと転造用素材Wとの間の相対的な回転を引き起こす。この相対回転により噛み合い状態が変化する。このように、噛み合い面間での滑りを利用して、スムーズに噛み合い状態を第1噛み合い状態あるいは第2噛み合い状態に変化させることができる。
また、上記上記第1および第2実施形態によれば、噛み合い状態変化工程が、転造用素材Wを転造用ローラダイス4a,4bで転造しながら実行される。すなわち、図4の期間A1,B1、図13の期間C2では、転造用ローラダイス4a,4b上を転造用素材Wが転動しつつ、転造用素材Wの軸方向位置Lが変化することにより噛み合い状態が変化する。このように転造しながら噛み合い状態変化工程を実行するため、転造時間を短縮することができる。
また、転造用ローラダイス4a,4bと転造用素材Wの噛み合い状態を変化させるために、外部から力を転造用素材Wに作用させることにより、転造用素材Wを転造用ローラダイス4a,4bに対して強制的に軸方向移動させている。斯かる軸方向移動により、転造用素材Wの第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と転造用ローラダイス4a,4bの加工歯との噛み合い面に相対的な滑りが強制的に生じ、この相対的な滑りにより転造用ローラダイス4a,4bに対して転造用素材Wが相対的に回転する。このような転造用素材Wの相対回転により転造用素材Wと転造用ローラダイス4a,4bとの噛み合い状態が第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に、あるいは第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に、スムーズに変化する。
また、転造用素材Wを軸方向移動させる際には、上板部22を転造用ローラダイス4a,4bに対して相対的に移動させることにより、第1支持ピン31aまたは第2支持ピン32aを介して転造用素材Wの軸方向端面から転造用素材Wに軸方向移動させるための駆動力を作用させている。このように転造用素材Wの軸方向端面から駆動力を作用させることにより、転造用素材Wを転造用ローラダイスに対して相対回転させつつ軸方向移動させることができる。
さらに、噛み合い状態変化工程において、転造用素材Wの軸方向移動量Δxが下記式
Δx=(π・dp)/(2n・tanβ)
(nは転造成形される歯車の歯数、βはねじれ角、dpはピッチ円直径)
を満たすように、転造用素材Wを転造用ローラダイス4a,4bに対して強制的に軸方向移動させている。転造用素材Wの軸方向移動量Δxが上記式を満たすように転造用素材Wを軸方向移動させることにより、転造用ローラダイス4a,4bの加工歯と転造用素材Wの成形歯との噛み合い状態を確実に第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に、あるいは第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に移行させることができる。
また、転造用素材Wを軸方向移動させる際には、「歩み」による転造用素材Wの軸方向移動量を促進(増大)させるような方向に転造用素材Wを軸方向移動させている。つまり、「歩み」による転造用素材Wの移動方向と制御による転造用素材Wの移動方向が一致する。例えば、図4において、転造用ローラダイス4a,4bが正回転しているときおける転造用素材Wの「歩み」方向は、軸方向位置Lが増加する方向である。このとき、より軸方向位置が増加するように転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。また、転造用ローラダイス4a,4bが逆回転しているときにおける転造用素材Wの「歩み」方向は、軸方向位置Lが減少する方向である。このとき、より軸方向位置が減少するように転造用素材Wの軸方向位置Lが制御される。つまり、本実施形態によれば、「歩み」を促進する方向に軸方向位置を制御することにより、「歩み」による転造用素材Wの軸方向移動を利用している。よって、「歩み」による軸方向移動を利用する分だけ転造用素材Wを強制的に軸方向移動させるための駆動源(例えば電動モータ61)に必要な駆動力を低減することができる。よって、効率的に転造用素材Wの軸方向位置を制御することができる。
また、上記第1実施形態に示した転造方法は、第1噛み合い状態で転造用素材Wを転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を創成する第1転造工程と、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、相対的な滑りにより転造用ローラダイス4a,4bに対して転造用素材Wを相対的に回転させることにより、成形歯と加工歯との噛み合い状態を第1噛み合い状態から第2噛み合い状態に変化させる噛み合い状態変化工程(第1噛み合い状態変化工程)と、第2噛み合い状態で転造用素材Wを転動させることにより、第1被加工面および第2被加工面にはすば状の成形歯を転造する第2転造工程と、第1被加工面および第2被加工面に創成される成形歯と加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、相対的な滑りにより転造用ローラダイス4a,4bに対して転造用素材Wを相対的に回転させることにより、成形歯と加工歯との噛み合い状態を第2噛み合い状態から第1噛み合い状態に変化させる噛み合い状態変化工程(第1噛み合い状態変化工程)と、を含む。このようにして、転造用素材Wと転造用ローラダイスとの噛み合い状態を変化させることができる。また、上記した工程を繰り返し実行することにより、転造される歯車の歯筋精度を向上させることができる。さらに、上記第1実施形態によれば、転造用素材Wは、その初期位置L0を中心として、その軸方向位置が制御されている。このため安定して転造用素材Wを軸方向移動させることができる。
また、上記第2実施形態で示した転造方法は、転造用素材Wの初期位置L0で転造用素材Wを転造する工程(第1転造工程)と、転造用素材Wの軸方向位置Lが初期位置L0から目標軸方向移動量Δxだけ変化するように転造用素材Wを強制的に軸方向移動させることにより、転造用素材Wの成形歯と転造用ローラダイス4a,4bの加工歯との噛み合い状態を変化させる工程(噛み合い状態変化工程)と、転造用素材Wの軸方向位置Lが初期位置L0から目標軸方向移動量Δxだけ変化した位置L0+Δxで転造用素材Wを転造する工程(第2転造工程)とを含む。これによれば、転造用素材Wの軸方向位置Lの制御が簡便化される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば上記実施形態においては、2枚歯のはすば歯車を転造する場合について説明したが、3枚歯あるいはそれ以上の枚数の成形歯を有するはすば歯車を転造する場合についても本発明を適用することができる。
例えば、3枚歯のはすば歯車を転造する場合、第1転造工程では図14に示すように転造用ローラダイス4a,4bと転造用素材Wとを噛み合わせるとともに、第2転造工程では図15に示すように転造用ローラダイス4a,4bと転造用素材Wとを噛み合わせればよい。なお、図14、図15において、転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域が細い実線で、5歯噛合領域が太線で表示される。図14からわかるように、第1転造工程では、転造用素材Wの被加工面のうち領域A,C,Eで示される領域(第1被加工領域)が転造用ローラダイス4a,4bの4歯噛合領域で転造され、領域E,D,Fで表わされる領域(第2被加工領域)が転造用ローラダイス4a,4bの5歯噛合領域で転造される。一方、図15からわかるように、第2転造工程では、転造用素材Wの被加工面のうち領域B,D,Fで表わされる領域(第2被加工領域)が転造用ローラダイスの4歯噛合領域で転造され、領域A,C,Dで表わされる領域(第1被加工領域)が転造用ローラダイスの5歯噛合領域で転造される。この場合において、図14と図15とを比較してわかるように、転造用ローラダイス4a,4bに対して転造用素材が60°(π/3)だけ相対回転するように転造用素材Wを強制的に軸方向移動させることにより、噛み合い状態が図14に示す状態(第1噛み合い状態)から図15に示す状態(第2噛み合い状態)に、あるいは図15に示す状態から図14に示す状態に、変化する。
また、上記実施形態では、転造用ダイスとして転造用ローラダイスを使用した例を示したが、転造用ラックダイス等でも本発明を適用することができる。さらに、上記実施形態では、噛み合い状態変化工程(図4の期間A1およびB1、図13の期間C2で行われる工程)が、転造用素材を転造しながら行われる。しかしながら、噛み合い状態変化工程のみを単独で実行するようにしてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…転造装置、2…ベースプレート、21…下板部、22…上板部、22b…ネジ穴、3…支持部、31…第1支持部、31a…第1支持ピン、32…第2支持部、32a…第2支持ピン、4a,4b…転造用ローラダイス、41a,41b…加工歯、5…エアシリンダユニット、6…制御部、61…電動モータ、62…ネジ軸、63…モータ制御部、7…軸方向位置測定部、71…レーザ光照射部、72…反射光受光部、73…演算部、L…軸方向位置、W…転造用素材、Δx…目標軸方向移動量

Claims (3)

  1. 複数のはすば状の加工歯が形成されているとともに、複数の加工歯のうちの所定枚数の加工歯が転造用素材の被加工面に創成される成形歯に噛み合う第1噛合領域および前記加工歯のうちの前記所定枚数とは異なる枚数の加工歯が前記被加工面に創成される成形歯に噛み合う第2噛合領域とを有する転造用ダイスを用いて前記被加工面にはすば状の成形歯を創成するはすば歯車の転造方法であって、
    前記転造用素材の被加工面のうち第1被加工面に創成される成形歯が前記第1噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、前記第1被加工面以外の第2被加工面に創成される成形歯が前記第2噛合領域に形成される加工歯に噛み合う第1噛み合い状態で、前記転造用素材を転動させることにより、前記第1被加工面および前記第2被加工面にはすば状の成形歯を創成する第1転造工程と、
    前記転造用素材の被加工面のうち前記第2被加工面に創成される成形歯が前記第1噛合領域に形成される加工歯に噛み合い、前記第1被加工面に創成される成形歯が前記第2噛合領域に形成される加工歯に噛み合う第2噛み合い状態で、前記転造用素材を転動させることにより、前記第1被加工面および前記第2被加工面にはすば状の成形歯を転造する第2転造工程と、
    前記第1被加工面および前記第2被加工面に創成される成形歯と前記加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、前記相対的な滑りにより前記転造用ダイスに対して前記転造用素材を相対的に回転させることにより、前記成形歯と前記加工歯との噛み合い状態を前記第1噛み合い状態または前記第2噛み合い状態に変化させる噛み合い状態変化工程と、
    を含む、転造方法。
  2. 請求項1記載の転造方法において、
    前記噛み合い状態変化工程は、前記転造用素材を前記転造用ダイスに対して強制的に軸方向移動させることにより、前記第1被加工面および前記第2被加工面に創成される成形歯と前記加工歯との噛み合い面に相対的な滑りを強制的に生じさせ、前記相対的な滑りにより前記転造用ダイスに対して前記転造用素材を相対的に回転させることにより、前記転造用素材と前記転造用ダイスとの噛み合い状態を前記第1噛み合い状態または前記第1噛み合い状態に変化させる工程である、転造方法。
  3. 請求項2記載の転造方法において、
    前記噛み合い状態変化工程は、転造成形される歯車の歯数がn、ねじれ角がβ、ピッチ円直径がdpである場合、前記転造用素材の軸方向移動量Δxが下記式
    Δx=(π・dp)/(2n・tanβ)
    を満たすように、前記転造用素材を前記転造用ダイスに対して強制的に軸方向移動させる工程である、転造方法
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