JP5888490B2 - モータ - Google Patents

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Description

本発明は、IPM(Internal
Permanent Magnet)型のロータを備えたモータに関する。
従来、IPM型のロータとしては、積層した珪素鋼板からなるロータコアに、このロータコアを貫通する孔を設け、その中にネオジム磁石などの強い磁力を備えた希土類磁石を収めたものが知られている。この例としては、特開2008−99418号公報に記載されたものを挙げることができる。このIPM型のロータを用いたモータは、優れた性能を発揮する為、広く用いられてきた。
特開2008−99418号公報
しかしながら、ネオジム磁石の原料となるネオジム等の希土類元素は、価格変動が激しく、高騰することがある。そのような場合は、モータの製造コストも上昇し、実質的に商品としての販売が困難になる事がある。このようなリスクを回避する為に、より安価なマグネットを用いて、IPM型のロータを構成することが求められていた。
本願の発明者らは、様々の方法を検討した末に、安価なフェライトマグネットをロータ内で放射状に配置する構成にたどり着いた。ネオジムマグネットを用いたIPM型ロータでは、このような構成は一般的ではないが、フェライトマグネットを用いる場合は、好ましい性能が得られる。しかしながら、得られたモータはコギングトルクが大きく、これを低減する必要が生じた。
IPM型ロータを用いたモータにおいて、コギングトルクを低減する方法としては、特開2008−99418号公報で開示されているように、ロータの表面の曲率半径をロータの半径よりも小さくして、凸面とする方法が知られている。しかし、本願の発明者らは、フェライトマグネットを放射状に配置したIPM型ロータにこの方法を適用したものの、コギングトルクを低減する事は出来なかった。
そこで、本願の発明者らは、フェライトマグネットをロータ内で放射状に配置した構成を備えたIPM型ロータを用いたモータにおいて、コギングトルクを低減することを目的として更に研究を続け、以下に説明する本願の発明を成した。
本願の例示的な第一発明は、静止部と、前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、を有し、前記静止部は、上下に延びる中心軸に対して放射状に延びる複数のティースを有し、前記回転部は、複数のコアピースを有するロータコアと、複数のマグネットと、を有し、前記マグネットは、フェライトマグネットであり、前記複数のコアピースと、前記複数のマグネットとは、前記複数のティースの径方向内側において、周方向に交互に配列され、前記複数のマグネットの同極同士が周方向に対向し、前記コアピースの径方向外側の面は、小径面と、前記小径面より、前記中心軸からの距離が大きな大径面と、を有し、前記大径面が、前記中心軸に直交する断面において、前記中心軸を中心とする円弧であ り、前記コアピースの径方向外側の面は、周方向の中央に位置する単一の前記大径面と、 前記大径面の周方向両側に位置する一対の小径面と、を有し、前記コアピースの径方向外 側の面の中心角をθr1、前記大径面の中心角をθr2、前記複数のティースの周方向の ピッチ角をθs1、前記ティースの径方向内側の面の中心角をθs2、前記静止部が有す る前記ティースの数をNs、前記回転部が有する前記マグネットの数をNp、前記ティー スの径方向内側の面と前記大径面との径方向の間隔をg1、前記大径面と前記小径面との 径方向位置の差をg2、とし、α={θr2/θr1}/{(θs2/θs1)×(Np /Ns)×(g1/g2)}として、0.75≦α≦2.4を満たすモータ。
本願の例示的な第1発明によれば、コアピースの径方向外側の面に、小径面と大径面とが存在する。この基本構成を採用すれば、後は大径面の広がりと配置を適切に設定するのみで、コギングトルクの小さなモータを得ることが出来る。
図1は、第1実施形態に係るモータの横断面図である。 図2は、第2実施形態に係るモータの縦断面図である。 図3は、第2実施形態に係るロータユニットの横断面図である。 図4は、第2実施形態に係るロータユニットおよびステータコアの部分横断面図である。 図5は、コギングトルクおよびトルクリプルの測定結果を示すグラフである。 図6は、変形例に係るロータユニットの横断面図である。 図7は、変形例に係るロータユニットの横断面図である。 図8は、変形例に係るロータユニットの横断面図である。 図9は、変形例に係るロータユニットの横断面図である。 図10は、変形例に係るロータユニットの横断面図である。 図11は、変形例に係るロータユニットの縦断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、モータの中心軸に沿う方向を「軸方向」、モータの中心軸に直交する方向を「径方向」、モータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向の一方側を「上」、他方側を「下」として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下を定義したものであって、本発明に係るモータの使用時の向きを限定するものではない。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ1Aの横断面図である。図1に示すように、モータ1Aは、静止部2Aと回転部3Aとを有している。回転部3Aは、静止部2Aに対して、回転可能に支持されている。
静止部2Aは、複数のティース412Aを有している。各ティース412Aは、中心軸9Aに対して放射状に延びている。回転部3Aは、複数のコアピース51Aを有するロータコアと、複数のマグネット52Aとを有している。複数のコアピース51Aと、複数のマグネット52Aとは、複数のティース412Aの径方向内側において、周方向に交互に配列されている。マグネット52Aは、フェライトマグネットである。また、複数のマグネット52Aは、同極同士が周方向に対向している。
また、コアピース51Aの径方向外側の面は、大径面511Aと小径面512Aとを有している。大径面511Aの中心軸9Aからの距離は、小径面512Aの中心軸9Aからの距離より、大きい。
複数のティース412Aの間には、磁気的な空隙であるスロット414Aが存在する。このため、仮に、コアピースの径方向外側の面に凹凸が無いとすると、単純に、スロット数と磁極数との最小公倍数の次数を持つコギングトルクが生じる。しかしながら、本実施形態では、コアピース51Aの径方向外側の面に、大径面511Aと小径面512Aとが存在する。当該構成を採用すれば、大径面511Aの広がりと配置を適切に設定するのみで、モータ1Aのコギングトルクを低減できる。
また、大径面511Aは、中心軸9Aに直交する断面において、中心軸9Aを中心とする円弧となっている。このため、大径面511Aの全体を、ティース412Aに接近させることができる。したがって、ティース412Aと大径面511Aとの間の磁束密度を、高めることができる。
<2.第2実施形態>
<2−1.モータの全体構成>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のモータ1は、例えば、自動車に搭載され、操舵装置の駆動力を発生させるために使用される。ただし、本発明のモータは、他の既知の用途に使用されるものであってもよい。例えば、本発明のモータは、自動車の他の部位、例えばエンジン冷却用ファンの駆動源として使用されるものであってもよい。また、本発明のモータは、産業用機械、家電製品、OA機器、医療機器等に搭載され、各種の駆動力を発生させるものであってもよい。
図2は、第2実施形態に係るモータ1の縦断面図である。図2に示すように、モータ1は、静止部2と回転部3とを、有している。静止部2は、駆動対象となる装置の枠体に、固定される。回転部3は、静止部2に対して、回転可能に支持される。
本実施形態の静止部2は、ハウジング21、蓋部22、ステータユニット23、下軸受部24、および上軸受部25を、有している。
ハウジング21は、略円筒状の側壁と、側壁の下部を塞ぐ底部とを、有している。蓋部22は、ハウジング21の上部の開口を覆っている。ステータユニット23および後述するロータユニット32は、ハウジング21と蓋部22とに囲まれた内部空間に、収容されている。ハウジング21の底部の中央には、下軸受部24を配置するための凹部211が、設けられている。また、蓋部22の中央には、上軸受部25を配置するための円孔221が、設けられている。
ステータユニット23は、駆動電流に応じて磁束を発生させる電機子である。ステータユニット23は、ステータコア41、インシュレータ42、およびコイル43を有する。ステータコア41は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板により形成されている。ステータコア41は、円環状のコアバック411と、コアバック411から径方向内側へ向けて突出した複数本のティース412と、を有する。コアバック411は、ハウジング21の側壁の内周面に、固定されている。複数のティース412は、周方向に略等間隔に配列されている。各ティース412は、中心軸9に対して放射状に延びている。
インシュレータ42は、絶縁体である樹脂からなり、ティース412に取り付けられている。各ティース412の上面、下面、および周方向の両端面は、インシュレータ42に覆われている。また、コイル43は、インシュレータ42に巻かれた導線により、構成されている。インシュレータ42は、ティース412とコイル43との間に介在することによって、ティース412とコイル43とが電気的に短絡することを、防止している。
下軸受部24および上軸受部25は、ハウジング21および蓋部22と、回転部3側のシャフト31との間に配置されている。本実施形態の下軸受部24および上軸受部25には、球体を介して外輪と内輪とを相対回転させるボールベアリングが、使用されている。ただし、ボールベアリングに代えて、すべり軸受や流体軸受等の他方式の軸受が、使用されていてもよい。
下軸受部24の外輪241は、ハウジング21の凹部211内に配置されて、ハウジング21に固定されている。また、上軸受部25の外輪251は、蓋部22の円孔221内に配置されて、蓋部22に固定されている。一方、下軸受部24および上軸受部25の内輪242,252は、シャフト31に固定されている。これにより、シャフト31は、ハウジング21および蓋部22に対して、回転可能に支持されている。
本実施形態の回転部3は、シャフト31とロータユニット32とを、有している。
シャフト31は、中心軸9に沿って延びる柱状の金属部材である。シャフト31は、上述した下軸受部24および上軸受部25に支持されつつ、中心軸9を中心として回転する。また、シャフト31は、蓋部22より上方に突出した頭部311を有する。頭部311は、ギア等の動力伝達機構を介して、自動車の操舵装置等に連結される。
ロータユニット32は、ステータユニット23の径方向内側に配置されて、シャフト31とともに回転する。ロータユニット32は、ロータコアを構成する複数のコアピース51、複数のマグネット52、円筒部材53、および内側樹脂部54を有している。複数のコアピース51と複数のマグネット52とは、周方向に交互に配列されている。円筒部材53は、軸方向に延びる略円筒状の金属部材である。シャフト31は、円筒部材53の内側に圧入されている。内側樹脂部54は、円筒部材53の外周面と、複数のマグネット52および複数のコアピース51との間に、設けられている。
このようなモータ1において、静止部2のコイル43に駆動電流を与えると、ステータコア41の複数のティース412に、径方向の磁束が生じる。そして、ティース412とマグネット52との間の磁束の作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、静止部2に対して回転部3が、中心軸9を中心として回転する。
<2−2.ロータユニットについて>
図3は、ロータユニット32の横断面図である。図2に示されたロータユニット32の断面は、図3中のA−A断面に相当する。また、図4は、ロータユニット32およびステータコア41の部分横断面図である。以下では、図2〜図4を参照しつつ、ロータユニット32のより詳細な構造について、説明する。
複数のコアピース51は、ステータユニット23の径方向内側において、周方向に等間隔に配列されている。各コアピース51は、略扇形の電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板により、形成されている。積層鋼板を構成する各電磁鋼板の間には、絶縁被膜が介在している。これにより、各コアピース51における渦電流の発生が、抑えられている。
複数のマグネット52は、複数のコアピース51の間に、それぞれ配置されている。各マグネット52は、周方向の両端面が磁極面となっている。複数のマグネット52は、同極の磁極面同士が周方向に対向するように配置されている。各コアピース51は、その両側に配置されたマグネット52により磁化される。その結果、コアピース51の径方向外側の面が、磁極面となる。つまり、マグネット52から生じる磁束は、コアピース51を通って、コアピース51の径方向外側へ延びる。
図3および図4に示すように、コアピース51の径方向外側の面は、周方向の中央に位置する単一の大径面511と、大径面511の周方向両側に位置する一対の小径面512と、を含んでいる。中心軸9に対する大径面511の径は、中心軸9に対する小径面512の径より大きい。また、本実施形態では、大径面511と、一対の小径面512とが、いずれも、中心軸9に直交する断面において、中心軸9を中心とする円弧となっている。
一方、図4に示すように、ティース412の径方向内側の端部には、周方向に広がる内側磁芯部413が、設けられている。また、周方向に隣り合う内側磁芯部413の間には、磁気的な空隙となるスロット414が存在する。このため、仮に、コアピースの径方向外側の面が、中心軸を中心とする一定の曲率を有する凹凸の無い曲面であったとすると、当該モータには、静止部側のスロット数と回転部側の磁極数との最小公倍数の次数を持つコギングトルクが生じる。
しかしながら、本実施形態のモータ1では、コアピース51の径方向外側の面に、大径面511と小径面512とが存在する。このような構成を採用すれば、大径面511の広がりと配置を適切に設定するのみで、モータ1のコギングトルクを、低減させることができる。
また、本実施形態のモータ1では、大径面511と小径面512とが存在することにより、ティース412に生じる鎖交磁束の脈動が、低減される。鎖交磁束の脈動が低減されると、コイル43に生じる誘起電圧が低減される。したがって、例えば、120°矩形波通電の場合に、入力された矩形電流の脈動が小さくなる。その結果、モータ1の駆動時におけるトルクの変動であるトルクリプルが、低減される。
また、図3および図4に示すように、大径面511は、中心軸9に直交する断面において、中心軸9を中心とする円弧となっている。すなわち、大径面511自体は、中心軸9に対して一定の径を有する、凹凸の無い曲面となっている。このため、大径面の中心軸に対する径が一定でない場合と比べて、大径面511の全体を、内側磁芯部413の径方向内側の面に接近させることができる。その結果、大径面511と内側磁芯部413との間の磁束密度を、高めることができる。
また、本実施形態では、図4に示すように、内側磁芯部413の径方向内側の面も、中心軸9Aに直交する断面において、中心軸9Aを中心とする円弧となっている。すなわち、内側磁芯部413の径方向内側の面も、中心軸9に対して一定の径を有する、凹凸の無い曲面となっている。このため、大径面511と、内側磁芯部413の径方向内側の面との径方向の間隔が、一定となっている。このようにすれば、大径面511と、内側磁芯部413の径方向内側の面とを、広範囲に亘って径方向に最接近させることができる。その結果、大径面511と内側磁芯部413との間の磁束密度を、より高めることができる。
特に、近年では、レアアースであるネオジムの価格が高騰し、ネオジムマグネットを使用することが困難となっている。このため、フェライトマグネットを使用しつつ、静止部と回転部との間の磁束密度を高めたいという技術的要求が強い。この点、本実施形態の構造では、上述の通り、大径面511と内側磁芯部413との間の磁束密度を高めることができる。したがって、フェライトマグネットを使用しつつ、高い磁束密度を得ることができる。
内側樹脂部54は、コアピース51およびマグネット52の径方向内側、かつ、円筒部材53の径方向外側に、設けられている。本実施形態では、複数のコアピース51が径方向内側において繋がっておらず、それに代えて、非磁性の内側樹脂部54が、複数のコアピース51および複数のマグネット52の径方向内側の領域を、満たしている。これにより、コアピース51およびマグネット52から径方向内側への磁束の漏れが、抑制されている。このため、マグネット52の磁束は、効率よくステータユニット23側へ導かれる。その結果、ロータユニット32とステータユニット23との間の磁束密度が、さらに高められる。
内側樹脂部54を成型するときには、まず、一対の金型によって形成される空洞に、複数のコアピース51、複数のマグネット52、および円筒部材53を配置する。次に、金型内の空洞に、溶融樹脂を流入させる。溶融樹脂は、複数のコアピース51および複数のマグネット52の径方向内側、かつ、円筒部材53の径方向外側の環状の領域に充填される。その後、溶融樹脂を硬化させることにより、内側樹脂部54が成型される。また、溶融樹脂の硬化と同時に、複数のコアピース51、複数のマグネット52、および円筒部材53と、内側樹脂部54とが、固定される。
<2−3.解析例>
本実施形態と同等の構造を有するモータにおいて、大径面511の寸法を変化させ、コギングトルクおよびトルクリプルの値を測定した。図5は、その結果を示したグラフである。図5の横軸は、大径面511の周方向の幅を示している。図5の縦軸は、左辺の第1軸がコギングトルクを示し、右辺の第2軸がトルクリプルを示している。
本解析では、静止部2のスロット数Nsを12、回転部3が有するマグネット52の数Npを8とした。また、図4に示されるコアピース51の径方向外側の面の中心角θr1を30°、複数のティース412の周方向のピッチ角θs1を30°、内側磁芯部413の径方向内側の面の中心角θs2を24.4°、内側磁芯部413の径方向内側の面と大径面512との径方向の間隔g1を0.45mm、とそれぞれ設定した。また、大径面511と小径面512との径方向位置の差g2については、0.5mmの場合と、1.0mmの場合とのそれぞれについて調べた。そして、大径面511の周方向の幅を、4mm〜10mm(中心角θr2=11.4°〜28.8°)の範囲で変化させた。
図5中のデータ曲線C1は、g2=1.0mmのときのコギングトルクの変化を示している。図5中のデータ曲線C2は、g2=0.5mmのときのコギングトルクの変化を示している。また、図5中のデータ曲線R1は、g2=1.0mmのときのトルクリプルの変化を示している。図5中のデータ曲線R2は、g2=0.5mmのときのトルクリプルの変化を示している。
図5のグラフを見ると、いずれのデータ曲線も、大径面511の周方向の幅が4mm〜6mmの範囲において、顕著に数値が低下している。すなわち、大径面511の中心角θr2を11.4°〜17.1°の範囲に設定したときに、コギングトルクおよびトルクリプルの値が、著しく低下したことが分かる。また、
α={θr2/θr1}/{(θs2/θs1)×(Np/Ns)×(g1/g2)}
というパラメータを定義すれば、上記の解析結果から、0.75≦α≦2.4を満たすときに、コギングトルクおよびトルクリプルの値を、特に低減できると言える。
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
図6は、一変形例に係るロータユニット32Bの横断面図である。図6の例では、大径面511Bと小径面512Bとが、なだらかに連続している。このような場合であっても、コアピース51Bの径方向外側の面に大径面511Bと小径面512Bとが設けられているため、大径面511Bの広がりと配置を適切に設定するのみで、コギングトルクを低減できる。また、図6の例においても、大径面511Bは、中心軸に直交する断面において、中心軸を中心とする円弧となっている。このため、大径面511Bの全体を、ティースに接近させることができる。また、大径面511Bと小径面512との間に急な段差がないため、各鋼板の打ち抜きが容易となる。
図7は、他の変形例に係るロータユニット32Cの横断面図である。図7の例では、マグネット52Cおよび小径面512Cの径方向外側に、外側樹脂部55Cが設けられている。外側樹脂部55Cは、例えば、内側樹脂部54Cとともに、インサート成型される。外側樹脂部55Cは、小径面512Cと、マグネット52Cの径方向外側の面とを、覆っている。このようにすれば、コアピース51Cおよびマグネット52Cの径方向外側への飛散を防止できる。
また、図7の例では、大径面511Cが、外側樹脂部55Cから露出している。このため、外側樹脂部55Cによって、大径面511Cとティースとが引き離されることはない。したがって、大径面551Cとティースとの間の磁束密度を、高めることができる。
図8は、他の変形例に係るロータユニット32Dの横断面図である。図8の例では、各コアピース51Dが、2つの大径面511Dと、3つの小径面512Dとを有している。2つの大径面511Dの配置および形状は、コアピース51Dの周方向中央を基準として、対称となっている。なお、大径面の数は、3つ以上であってもよい。
図9は、他の変形例に係るロータユニット32Eの横断面図である。図9の例では、コアピース51Eが、単一の小径面512Eと、一対の大径面511Eと、を有している。小径面512Eは、コアピース51Eの径方向外側の面の、周方向の中央に位置している。また、大径面511Eは、小径面512Eの周方向両側に位置している。すなわち、コアピース51Eの径方向外側の面の中央に、溝が設けられている。
図8や図9の例においても、コアピースの径方向外側の面に大径面と小径面とが設けられている。このため、大径面の広がりと配置を適切に設定するのみで、コギングトルクを低減できる。また、図8や図9の例においても、各大径面は、中心軸に直交する断面において、中心軸を中心とする円弧となっている。このため、各大径面の全体を、ティースに接近させることができる。
図10は、他の変形例に係るロータユニット32Fの横断面図である。図10の例では、複数のコアピース51Fが、径方向内側において繋がっている。このようにすれば、複数のコアピース51Fが、遠心力により径方向外側へ飛散することを、防止できる。なお、一部のコアピースのみが、径方向内側において繋がっていてもよい。
図11は、他の変形例に係るロータユニット32Gの横断面図である。図11のロータユニット32Gは、環状板56Gを有している。環状板56Gは、円筒部材53Gの径方向外側において、径方向および周方向に略円板状に広がっている。環状板56Gは、中央に円孔560Gを有し、当該円孔561Gに円筒部材53Gが挿入されている。複数のコアピース51Gは、環状板56Gの上側および下側において、それぞれ周方向に等間隔に配列されている。環状板56Gの外周面と、大径面511Gとは、略同一の径方向位置に配置されている。また、マグネット52Gは、環状板56Gに設けられた第1貫通孔561Gを通って、軸方向に延びている。環状板56Gの材料には、例えば、非磁性の金属であるアルミニウム、アルミニウム合金、または銅合金が、使用される。
各コアピース51Gの環状板56Gに接する面、すなわち、環状板56Gの上側に配置された各コアピース51Gの下面、および、環状板56Gの下側に配置された各コアピース51Gの上面には、それぞれ、一対の凸部513Gが設けられている。図11の例では、各コアピース51Gが、複数の電磁鋼板を固定するためのかしめ部を、2箇所に有している。当該かしめ部によって、各コアピース51Gの端面に、一対の凸部513Gが形成されている。
各コアピース51Gの凸部513Gは、環状板56Gに設けられた第2貫通孔562Gに、圧入されている。これにより、環状板56Gに対して各コアピース51Gが固定されるとともに、各コアピース51Gが、周方向および径方向に位置決めされている。モータを駆動させると、コアピース51Gに遠心力が掛かるが、上述した凸部513Gと貫通孔561Gとの嵌め合わせによって、コアピース51Gの径方向外側への飛散が防止される。
なお、環状板56Gの第2貫通孔562Gを凹部に変更し、当該凹部にコアピース51Gの凸部513Gを嵌め合わせるようにしてもよい。また、環状板側に凸部を設け、当該凸部を、コアピース側に設けられた凹部または貫通孔に、嵌め合わせるようにしてもよい。すなわち、環状板と各コアピースとは、これらの一方に設けられた凹部または貫通孔と、他方に設けられた凸部との嵌め合わせによって、固定されていればよい。
静止部が有するティースの数や、回転部が有するマグネットの数は、上記の実施形態と相違していてもよい。すなわち、上記の実施形態のようにNs=12,かつ,Np=8であってもよいし、Ns,Npを異なる値としてもよい。ただし、NsとNpとの最小公倍数をNmとして、Nm<Ns×Npを満たす場合は、NsとNpとの最小公倍数が小さい。このため、コギングトルクが大きくなりやすい。したがって、Nm<Ns×Npの場合には、本発明のコギング低減策が、より有用であると言える。
その他、各部材の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
本発明は、IPM型のロータを備えたモータに利用できる。
1,1A モータ
2,2A 静止部
3,3A 回転部
9,9A 中心軸
21 ハウジング
22 蓋部
23 ステータユニット
24 下軸受部
25 上軸受部
31 シャフト
32,32B,32C,32D,32E,32F,32G ロータユニット
41 ステータコア
42 インシュレータ
43 コイル
51,51A,51B,51C,51D,51E,51F,51G コアピース
52,52A,52C,52G マグネット
53,53G 円筒部材
54,54C 内側樹脂部
55C 外側樹脂部
56G 環状板
411 コアバック
412,412A ティース
413 内側磁芯部
414,414A スロット
511,511A,511B,511C,511D,511E,511G 大径面
512,512A,512B,512C,512D,512E 小径面
θr1 コアピースの径方向外側の面の中心角
θr2 大径面の中心角
θs1 複数のティースの周方向のピッチ角
θs2 ティースの径方向内側の面の中心角
Ns 静止部が有するティースの数
Np 回転部が有するマグネットの数
g1 ティースの径方向内側の面と大径面との径方向の間隔
g2 大径面と小径面との径方向位置の差

Claims (10)

  1. 静止部と、
    前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
    を有し、
    前記静止部は、
    上下に延びる中心軸に対して放射状に延びる複数のティース
    を有し、
    前記回転部は、
    複数のコアピースを有するロータコアと、
    複数のマグネットと、
    を有し、
    前記マグネットは、フェライトマグネットであり、
    前記複数のコアピースと、前記複数のマグネットとは、前記複数のティースの径方向内側において、周方向に交互に配列され、
    前記複数のマグネットの同極同士が周方向に対向し、
    前記コアピースの径方向外側の面は、
    小径面と、
    前記小径面より、前記中心軸からの距離が大きな大径面と、
    を有し、
    前記大径面が、前記中心軸に直交する断面において、前記中心軸を中心とする円弧であ り、
    前記コアピースの径方向外側の面は、
    周方向の中央に位置する単一の前記大径面と、
    前記大径面の周方向両側に位置する一対の小径面と、
    を有し、
    前記コアピースの径方向外側の面の中心角をθr1、
    前記大径面の中心角をθr2、
    前記複数のティースの周方向のピッチ角をθs1、
    前記ティースの径方向内側の面の中心角をθs2、
    前記静止部が有する前記ティースの数をNs、
    前記回転部が有する前記マグネットの数をNp、
    前記ティースの径方向内側の面と前記大径面との径方向の間隔をg1、
    前記大径面と前記小径面との径方向位置の差をg2、
    とし、
    α={θr2/θr1}/{(θs2/θs1)×(Np/Ns)×(g1/g2)} として、
    0.75≦α≦2.4
    を満たすモータ。
  2. 請求項1に記載のモータにおいて、
    前記ティースの径方向内側の端面が、前記中心軸に直交する断面において、前記中心軸を中心とする円弧となっているモータ。
  3. 請求項1に記載のモータにおいて、
    前記Nsと前記Npとの最小公倍数をNmとして、
    Nm<Ns×Np
    を満たすモータ。
  4. 請求項3に記載のモータにおいて、
    Ns=12,かつ,Np=8
    であるモータ。
  5. 請求項1または請求項2に記載のモータにおいて、
    前記コアピースは、複数の前記大径面を有するモータ。
  6. 請求項5に記載のモータにおいて、
    複数の前記大径面の配置および形状は、前記コアピースの周方向中央を基準として、対称になっているモータ。
  7. 請求項5または請求項6に記載のモータにおいて、
    前記コアピースの径方向外側の面は、
    周方向の中央に位置する単一の前記小径面と、
    前記小径面の周方向両側に位置する一対の大径面と、
    を有するモータ。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載のモータにおいて、
    前記回転部は、
    前記マグネットの径方向外側の面および前記小径面を覆う外側樹脂部
    をさらに有し、
    前記大径面は、外側樹脂部から露出しているモータ。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載のモータにおいて、
    少なくとも2つの前記コアピースが、各コアピースの径方向内側において繋がっているモータ。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかに記載のモータにおいて、
    前記回転部は、
    前記中心軸に対して径方向および周方向に広がる環状板
    をさらに有し、
    前記ロータコアを構成する各コアピースと前記環状板とが、これらの一方に設けられた凹部または貫通孔と、他方に設けられた凸部との嵌め合わせにより固定され、
    前記環状板の外周面と、前記大径面とが、略同一の径方向位置に配置されているモータ
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